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Glyphs 2.3

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ハンドブック2016 年 11 月 版<br />

<strong>Glyphs</strong> <strong>2.3</strong><br />

デザインからリリースまで 統 合 する<br />

万 人 のためのフォントエディター


本 書 は<strong>Glyphs</strong>バージョン<strong>2.3</strong> 用 のハンドブック2016 年 6 月 版 ( 英 語 )を<br />

日 本 語 翻 訳 したものです。<br />

最 新 版 は 以 下 のウェブサイトでダウンロードしてください。<br />

glyphsapp.com/get-started<br />

©2011–2016 glyphsapp.com<br />

原 著 執 筆 :Rainer Eric Scheihelbauer、Georg Seifert<br />

協 力 :Jeff Kellem、Rob Keller、Claus Eggers Sørensen、 大 曲 都 市<br />

日 本 語 版 翻 訳 : 大 曲 都 市<br />

日 本 語 版 協 力 : 照 山 裕 爾 、 丸 山 邦 明


目 次<br />

1 <strong>Glyphs</strong> 8<br />

1.1 OpenTypeフォントを<br />

作 るためのツール 8<br />

1.2 インストール 8<br />

1.2.1 必 要 インストール 環 境 8<br />

1.2.2 インストール 8<br />

1.<strong>2.3</strong> 製 品 版 へのアップグレード 9<br />

1.3 コミュニティ 9<br />

1.4 アップデート 9<br />

1.5 <strong>Glyphs</strong> Mini 9<br />

1.6 キーボードショートカット 9<br />

1.7 クラッシュリポート 10<br />

2 環 境 設 定 11<br />

2.1 環 境 設 定 の 開 き 方 11<br />

2.1.1 アップデート 11<br />

2.1.2 ユーザー 設 定 11<br />

2.1.3 サンプルテキスト 13<br />

2.1.4 アドオン 14<br />

2.1.5 編 集 ビュー 共 有 15<br />

3 編 集 ビュー 16<br />

3.1 グリフの 編 集 16<br />

3.2 パスの 描 画 16<br />

3.2.1 ペンツール 16<br />

3.2.2 鉛 筆 ツール 17<br />

3.<strong>2.3</strong> 基 本 図 形 17<br />

3.3 パスの 編 集 18<br />

3.3.1 ポイントとパスの 選 択 18<br />

3.3.2 ポイントとパスの 移 動 18<br />

3.3.3 ポイントとセグメントのタイプ 変 換 19<br />

3.3.4 アラインメントゾーン 内 のポイント 19<br />

3.3.5 拡 大 縮 小 と 回 転 20<br />

3.3.6 整 列 21<br />

3.3.7 パスの 複 製 21<br />

3.3.8 ポイントの 削 除 22<br />

3.3.9 パスの 開 閉 23<br />

3.3.10 パスの 切 断 23<br />

3.3.11 アウトラインの 再 接 続 24<br />

3.3.12 パス 方 向 の 管 理 24<br />

3.3.13 極 点 と 変 曲 点 25<br />

3.3.14 重 なったポイント 26<br />

3.4 アンカー 26<br />

3.4.1 合 成 用 と 位 置 合 わせ 用 アンカー 26<br />

3.4.2 リガチャー 用 キャレット 27<br />

3.4.3 アンカーの 追 加 、 編 集 、 削 除 27<br />

3.4.4 ベースグリフ + 発 音 記 号 の 位 置 合 わせ 28<br />

3.4.5 発 音 記 号 + 発 音 記 号 の 位 置 合 わせ 29<br />

3.4.6 連 綿 の 位 置 合 わせ 用 アンカー 29<br />

3.5 ガイドライン 29<br />

3.5.1 スマートガイドライン 29<br />

3.5.2 ローカルガイドラインと<br />

グローバルガイドライン 30<br />

3.5.3 グリフごとの 取 り 消 し 履 歴 31<br />

3.6 グリフの 表 示 31<br />

3.6.1 ズーム 31<br />

3.6.2 スクロール 32<br />

3.6.3 表 示 オプション 32<br />

3.6.4 グリフとレイヤーの 色 33<br />

3.7 背 景 レイヤー 34<br />

3.8 テキスト 入 力 34<br />

3.8.1 サンプルテキスト 35<br />

3.8.2 テキストツール 35<br />

3.8.3 書 字 方 向 36<br />

3.9 計 測 36<br />

3.9.1 情 報 パネル 36<br />

3.9.2 ものさしツール 38<br />

3.9.3 計 測 ガイドライン 39<br />

3.9.4 補 助 線 39<br />

3.10 注 釈 40<br />

3.10.1 注 釈 カーソル 40<br />

3.10.2 注 釈 テキスト 40<br />

3.10.3 注 釈 矢 印 41<br />

3.10.4 注 釈 円 41<br />

3.10.5 注 釈 プラスマイナス 41<br />

3.11 画 像 41


3.11.1 画 像 の 追 加 41<br />

3.11.2 画 像 の 調 整 42<br />

3.12 プレビューとテスト 43<br />

3.12.1 カーニングのプレビュー 43<br />

3.12.2 マスターのプレビュー 43<br />

3.1<strong>2.3</strong> パスのオフセットプレビュー 43<br />

3.12.4 OpenTypeフィーチャーの<br />

プレビュー 44<br />

3.12.5 インスタンスのプレビュー 44<br />

3.12.6 OS Xでのプレビュー 45<br />

3.12.7 Adobe アプリケーションでの<br />

プレビュー 46<br />

3.12.8 Web ブラウザでのプレビュー 46<br />

4 パレット 48<br />

4.1 パレットサイドバー 48<br />

4.2 線 幅 メモ 48<br />

4.3 自 動 カーブ 48<br />

4.4 レイヤー 49<br />

4.4.1 レイヤーパレットの 操 作 49<br />

4.4.2 特 別 なレイヤー 50<br />

4.5 変 形 50<br />

4.5.1 変 形 の 基 準 点 51<br />

4.5.2 反 転 51<br />

4.5.3 双 方 向 適 用 可 能 な 変 形 51<br />

4.5.4 整 列 51<br />

4.5.5 ブーリアン 処 理 52<br />

5 フィルタ 53<br />

5.1 フィルタ 53<br />

5.1.1 フィルタメニュー 53<br />

5.1.2 カスタムパラメータとしてのフィルタ 53<br />

5.2 標 準 で 付 属 するフィルタ 54<br />

5.2.1 マスター 互 換 性 を 手 動 修 正 54<br />

5.2.2 ハッチング 55<br />

5.<strong>2.3</strong> パスをオフセット 56<br />

5.2.4 重 なったパスを 合 体 57<br />

5.2.5 ラフ 57<br />

5.2.6 角 丸 58<br />

5.2.7 スマート 角 丸 59<br />

5.2.8 変 形 59<br />

5.3 サードパーティー 製 のフィルタ 61<br />

6 フォントビュー 62<br />

6.1 グリフの 表 示 62<br />

6.1.1 グリッド 表 示 62<br />

6.1.2 リスト 表 示 63<br />

6.1.3 グリフの 検 索 64<br />

6.2 グリフセットの 管 理 64<br />

6.2.1 新 しいグリフの 生 成 64<br />

6.2.2 ファイル 間 のグリフのコピー 65<br />

6.<strong>2.3</strong> グリフの 削 除 67<br />

6.3 グリフのプロパティ 67<br />

6.3.1 グリフ 名 68<br />

6.3.2 字 幅 とサイドベアリング 68<br />

6.3.3 カーニンググループ 68<br />

6.3.4 フォント 出 力 時 に 含 める 68<br />

6.3.5 カラーラベル 68<br />

6.3.6 Unicode 68<br />

6.3.7 メモ(リスト 表 示 ) 69<br />

6.3.8 コンポーネント(リスト 表 示 ) 69<br />

6.3.9 リスト 表 示 での 表 示 専 用 の 項 目 69<br />

6.4 複 数 グリフの 処 理 70<br />

6.4.1 グリフの 選 択 70<br />

6.4.2 レイヤーコマンドとフィルタ 70<br />

6.4.3 グリフ 名 の 一 括 変 更 70<br />

6.4.4 フィルタ 71<br />

6.4.5 パレット 操 作 71<br />

6.5 絞 り 込 みとソート 72<br />

6.5.1 検 索 ボックス 72<br />

6.5.2 カテゴリ 73<br />

6.5.3 文 字 体 系 73<br />

6.5.4 スマートフィルタ 74<br />

6.5.5 リストフィルタ 75<br />

6.5.6 フィルタの 管 理 75<br />

6.5.7 glyphOrderカスタムパラメータ 75


6.6 グリフ 名 とUnicode 76<br />

6.6.1 グリフ 情 報 のデータベース 76<br />

6.6.2 グリフの 命 名 78<br />

6.6.3 グリフ 名 の 変 更 80<br />

6.6.4 CIDマッピング 80<br />

6.7 画 像 80<br />

6.7.1 画 像 の 追 加 80<br />

6.7.2 画 像 の 表 意 80<br />

7 フォント 情 報 82<br />

7.1 フォント 82<br />

7.1.1 ファミリー 名 82<br />

7.1.2 ユニット 数 (UPM) 82<br />

7.1.3 デザイナーとデザイナーのURL 83<br />

7.1.4 製 造 者 と 製 造 者 のURL 83<br />

7.1.5 著 作 権 83<br />

7.1.6 バージョン 83<br />

7.1.7 日 付 84<br />

7.1.8 カスタムパラメータ 84<br />

7.2 マスター 84<br />

7.2.1 プロポーション:ウエイトとグリフ 幅 85<br />

7.2.2 メトリクス 85<br />

7.<strong>2.3</strong> ステム 86<br />

7.2.4 アラインメントゾーン 87<br />

7.2.5 カスタムパラメータ 87<br />

7.3 インスタンス 88<br />

7.3.1 アクティブ 88<br />

7.3.2 スタイル 名 88<br />

7.3.3 ウエイトとグリフ 幅 89<br />

7.3.4 スタイルリンク 90<br />

7.3.5 補 間 91<br />

7.3.6 カスタムパラメータ 91<br />

7.3.7 インスタンスプレビュー 91<br />

7.4 フィーチャー 91<br />

7.4.1 OpenTypeフィーチャーコード 91<br />

7.4.2 フィーチャーコードの 自 動 生 成 92<br />

7.4.3 フィーチャーコードの 手 動 編 集 92<br />

7.5 その 他 の 設 定 94<br />

7.5.1 グリッドの 間 隔 とグリッド 細 分 94<br />

7.5.2 標 準 外 のグリフ 名 を 使 用 94<br />

7.5.3 コンポーネント 自 動 整 列 を 解 除 95<br />

7.5.4 オルタネートを 元 のグリフの<br />

横 に 並 べる 95<br />

7.6 メモ 95<br />

7.6.1 フォント 全 体 用 メモ 95<br />

8 図 形 の 再 利 用 97<br />

8.1 コンポーネント 97<br />

8.1.1 コンポーネントグリフの 生 成 97<br />

8.1.2 パスをコンポーネントに 変 換 98<br />

8.1.3 レシピ 98<br />

8.1.4 コンポーネントの 編 集 99<br />

8.1.5 ベースグリフと<br />

コンポーネントグリフとの 関 係 100<br />

8.1.6 アンカー 100<br />

8.1.7 自 動 整 列 102<br />

8.1.8 コンポーネントのロック 104<br />

8.1.9 コンポーネントの 分 解 104<br />

8.1.10 パスとコンポーネントの 混 合 104<br />

8.1.11 コンポーネントの<br />

ネスティング( 入 れ 子 ) 105<br />

8.1.12 優 先 される 発 音 記 号 のグリフ 名 105<br />

8.1.13 アンダースコアで 始 まる<br />

グリフ 名 のコンポーネント 105<br />

8.2 スマートコンポーネント 106<br />

8.2.1 スマートグリフの 設 定 106<br />

8.2.2 スマートコンポーネントの 追 加 108<br />

8.<strong>2.3</strong> スマートコンポーネントの 補 間 108<br />

8.2.4 自 動 整 列 用 アンカー 109<br />

8.3 コーナーとキャップコンポーネント 109<br />

8.3.1 コーナーコンポーネント 109<br />

8.3.2 キャップコンポーネント 111<br />

9 スペーシングとカーニング 113<br />

9.1 スペーシング 113<br />

9.1.1 スペーシングのショートカット 113


9.1.2 メトリクスキー 114<br />

9.1.3 メトリクスキーと 自 動 整 列 115<br />

9.2 カーニング 115<br />

9.2.1 カーニングの 方 法 115<br />

9.2.2 カーニンググループ 116<br />

9.<strong>2.3</strong> カーニングペアの 確 認 118<br />

9.2.4 カーニングペアの 削 除 118<br />

9.2.5 カーニングペアのコピー 119<br />

9.2.6 カーニングのクリーンアップ 119<br />

9.2.7 カーニングの 圧 縮 119<br />

9.2.8 kernフィーチャー 手 動 追 加 120<br />

10 PostScriptヒンティング 121<br />

10.1 ヒンティング 121<br />

10.2 フォント 全 体 のヒンティング 122<br />

10.2.1 スタンダードステム 122<br />

10.2.2 アラインメントゾーン 123<br />

10.<strong>2.3</strong> カスタムパラメータ 124<br />

10.3 オートヒンティング 124<br />

10.3.1 フレックス・ヒント 125<br />

10.4 グリフレベルの 手 動 ヒンティング 126<br />

10.4.1 ステムヒント 126<br />

10.4.2 ゴーストヒント 128<br />

10.4.3 マルチプルマスターのヒンティング 129<br />

11 TrueTypeヒンティング 130<br />

11.1 インストラクション 130<br />

11.2 オートヒンティング 130<br />

11.2.1 手 動 または 自 動 の<br />

インストラクション 131<br />

11.3 手 動 インストラクション 131<br />

11.3.1 水 平 ステムとゾーン 132<br />

11.3.2 ラスタライザープレビュー 133<br />

11.3.3 アンカー 133<br />

11.3.4 整 列 134<br />

11.3.5 ステム 134<br />

11.3.6 トリプルヒント 136<br />

11.3.7 補 間 136<br />

11.3.8 斜 線 137<br />

11.3.9 未 編 集 ポイントの 自 動 補 間 138<br />

12 マルチプルマスター 139<br />

12.1 概 要 139<br />

12.2 マスターのセットアップ 140<br />

1<strong>2.3</strong> インスタンスのセットアップ 141<br />

12.4 互 換 性 の 修 正 141<br />

12.5 マスターレイヤーの 比 較 144<br />

12.6 複 数 ファイル 間 でのファミリーの<br />

一 貫 性 の 確 保 145<br />

12.7 ブレースレイヤー 146<br />

12.8 ブラケットレイヤー 146<br />

12.9 開 いたブラケットレイヤー 147<br />

13 カラーフォント 149<br />

13.1 複 数 レイヤーでの 作 業 149<br />

13.1.1 全 レイヤー 選 択 ツール 149<br />

13.1.2 メトリクスの 同 期 149<br />

13.1.3 カラーフォントの 出 力 149<br />

13.2 複 数 レイヤーフォント 149<br />

13.2.1 マスターのカスタム 名 と<br />

プレビュー 色 150<br />

13.2.2 すべてのマスター 用 のインスタンス 150<br />

13.<strong>2.3</strong> 複 数 レイヤーフォントの<br />

プレビューと 使 用 150<br />

13.3 Microsoftカラーフォント 151<br />

13.3.1 CPALテーブル 151<br />

13.3.2 カラーレイヤーの 作 成 152<br />

13.4 Apple カラーフォント 152<br />

13.4.1 ビットマップ 画 像 ファイル 153<br />

13.4.2 画 像 サイズごとのレイヤー 153<br />

13.4.3 Apple カラーフォントの 使 用 153<br />

13.5 SVG カラーフォント 154<br />

13.5.1 SVG ファイル 154<br />

13.5.2 SVG レイヤー 154<br />

13.5.3 SVG カラーフォントの 使 用 154


14 エラー 対 処 156<br />

14.1 グリフ 名 156<br />

14.2 フォント 名 156<br />

14.3 Unicode 値 の 重 複 157<br />

14.4 OpenTypeのフィーチャーコード 157<br />

14.5 アウトライン 159<br />

14.5.1 開 いたパス 160<br />

14.5.2 不 正 なパスの 方 向 160<br />

14.5.3 重 なり 合 った 同 一 のパス 160<br />

14.5.4 アウトラインの 非 互 換 160<br />

15 読 み 込 みと 書 き 出 し 161<br />

15.1 ベクトルベースの<br />

描 画 アプリケーション 161<br />

15.1.1 Adobe Illustrator 161<br />

15.1.2 Sketch 161<br />

15.1.3 パスのコピーペースト 161<br />

15.2 FontLab Studio 162<br />

15.2.1 FontLabから<strong>Glyphs</strong>へ 162<br />

15.2.2 <strong>Glyphs</strong>からFontLabへ 162<br />

15.3 Unified Font Object 162<br />

15.3.1 UFO 形 式 でファイル 保 存 162<br />

15.3.2 UFO 形 式 でファイル 書 き 出 し 162<br />

15.3.3 UFOファイルの 読 み 込 み 163<br />

15.4 Type1、OpenType、TrueType 163<br />

15.4.1 既 存 のフォントを 開 く 163<br />

15.4.2 OpenType/CFFフォントの 出 力 163<br />

15.4.3 OpenType/TTフォントの 出 力 164<br />

15.5 Web フォント 165<br />

15.5.1 WOFF、WOFF2、<br />

EOT フォントの 出 力 165<br />

15.6 メトリクス 166<br />

15.6.1 メトリクスデータの 読 み 込 み 166<br />

15.6.2 メトリクスデータの 出 力 167<br />

15.7 プロジェクト 168<br />

15.7.1 プロジェクトのセットアップ 168<br />

15.7.2 プロジェクトの 出 力 169<br />

16 機 能 拡 張 171<br />

16.1 スクリプト 171<br />

16.2 プラグイン 172<br />

16.2.1 プラグインの 手 動 インストール 172<br />

16.2.2 プラグインマネージャー 172<br />

16.3 SDK 173<br />

17 補 足 資 料 174<br />

17.1 フィーチャー 自 動 生 成 174<br />

17.2 クラス 自 動 生 成 184<br />

17.3 カスタムパラメータ 184<br />

17.4 グリフの 各 種 属 性 データ 208<br />

17.4.1 グローバルなグリフデータの 変 更 208<br />

17.4.2 ファイルごとグリフデータの 変 更 210<br />

17.5 キーボードショートカットの 変 更 211


1 <strong>Glyphs</strong><br />

1.1 OpenTypeフォントを 作 るためのツール<br />

<strong>Glyphs</strong>(グリフス)は 基 本 的 には 新 しいフォントをデザインし 出 力 するた<br />

めのアプリケーションです。その 根 幹 にあるのは、 単 語 を 組 みながらアウ<br />

トラインを 編 集 できるというアイデアです。すべてのツールは 書 体 デザイ<br />

ンの 各 作 業 をできるだけ 直 感 的 かつ 簡 単 に 遂 行 できるように 最 適 化 されて<br />

います。<br />

私 たちは<strong>Glyphs</strong> を 使 えば、 本 当 に 必 要 なとき 以 外 は 技 術 的 なことに<br />

手 を 煩 わせることなく、デザインに 集 中 できると 信 じています。たとえば<br />

<strong>Glyphs</strong> はフォント 出 力 時 に 様 々な 技 術 的 な 処 理 ( 重 なったパスの 結 合 な<br />

ど)をまとめて 自 動 的 に 実 行 します。ですからユーザーは、 従 来 のように<br />

デザイン 用 のバージョンとフォント 出 力 用 のバージョンを 個 別 に 保 存 し 管<br />

理 する 必 要 がありません。もちろん、こういった 自 動 的 な 処 理 は 必 要 に 応<br />

じて 解 除 できます。<br />

<strong>Glyphs</strong>はすべての 種 類 のOpenTypeフォントの 出 力 に 対 応 していま<br />

す。OpenType/CFF(Compact Font Format、 拡 張 子 .otf)、OpenType/<br />

TT(TrueType、 拡 張 子 .ttf)、そしてWeb フォント 形 式 ではWOFF と<br />

WOFF2(Web Open Font Format、 拡 張 子 .woff と.woff2)、EOT(Embeddable<br />

OpenType、 拡 張 子 .eot)が 書 き 出 せます。なお、 最 近 のモダ<br />

ンなソフトウェア(Web ブラウザを 含 む)の 多 くはOpenType をサポー<br />

トしていますが、 旧 式 のソフトウェアではOpenType 以 前 またUnicode<br />

以 前 のTrueType フォントやPostScript Type1フォントを 必 要 とするも<br />

のも 存 在 します。それらは<strong>Glyphs</strong>では 出 力 できません。<br />

<strong>Glyphs</strong>は 既 存 のフォントを 開 くことができます。しかしすべてのフォ<br />

ント 情 報 が 読 み 込 まれるとは 限 りません。 詳 細 は「15 読 み 込 みと 書 き 出<br />

し 」( p.161)を 参 照 してください。<br />

1.2 インストール<br />

1.2.1 必 要 インストール 環 境<br />

<strong>Glyphs</strong> はMac 専 用 のアプリケーションであり、<strong>Glyphs</strong> 2.x の 動 作 には<br />

OS X 10.9.5 Mavericks 以 降 の 環 境 が 必 要 です。<br />

1.2.2 インストール<br />

試 用 する 場 合 も 購 入 を 希 望 する 場 合 も、まずはglyphsapp.com/buy の<br />

「<strong>Glyphs</strong> 2 Trial」から 試 用 版 をダウンロードしてください。アプリケー<br />

ションフォルダにドラッグするだけでインストールは 完 了 します(アプリ<br />

ケーションフォルダはFinderの「 移 動 > アプリケーション」メニュー(ま<br />

<strong>Glyphs</strong>ハンドブック2016 年 11 月 版<br />

8


たはcommand + shift+A)でアクセスすることができます)。 試 用 期 間<br />

は30 日 間 で、 全 機 能 を 使 うことができます。<br />

1.<strong>2.3</strong> 製 品 版 へのアップグレード<br />

試 用 版 を 製 品 版 にアップグレードするにはglyphsapp.com/buy の<br />

「<strong>Glyphs</strong> Full License」で 製 品 版 ライセンスを 購 入 します。ダウンロード<br />

した「.glyphs2license」ファイルをダブルクリックするか、<strong>Glyphs</strong>アプ<br />

リケーション( 試 用 版 )のアイコンにドラッグ&ドロップすることでアッ<br />

プグレードが 完 了 します。<br />

1.3 コミュニティ<br />

ご 質 問 やご 意 見 があれば、<strong>Glyphs</strong> のフォーラムに 登 録 また 投 稿 すること<br />

ができます( 英 語 、forum.glyphsapp.com)。スパム 投 稿 防 止 のため、<br />

ユーザーはTwitterアカウントを 保 持 している 必 要 があり、 最 初 の 投 稿 は<br />

フォーラム 管 理 権 限 者 の 承 認 を 待 つ 必 要 があります。バグリポートに 関 し<br />

ては、bugreport.glyphsapp.comに 投 稿 できます。<br />

1.4 アップデート<br />

<strong>Glyphs</strong>は 頻 繁 にアップデートされます。 新 機 能 はglyphsapp.com/blog<br />

で 紹 介 されます。 細 かい 更 新 履 歴 は「ヘルプ > 更 新 履 歴 」で 確 認 できます。<br />

お 使 いのバージョン 番 号 をチェックするには「<strong>Glyphs</strong> > <strong>Glyphs</strong> につい<br />

て」を 選 びます。バージョンアップは「<strong>Glyphs</strong> > 更 新 をチェック…」を<br />

選 ぶか、 環 境 設 定 で 自 動 チェックをオンにしておくことで 自 動 的 に 実 行 で<br />

きます。 詳 細 は「2.1.1 アップデート」(p.11)を 参 照 してください。<br />

1.5 <strong>Glyphs</strong> Mini<br />

<strong>Glyphs</strong> Mini は 廉 価 版 アプリケーションです。ここで 紹 介 されているフ<br />

ル 版 の 多 くの 上 級 機 能 がカットされています( 例 :プラグイン、レイヤー、<br />

マルチプルマスター、Pythonスクリプト、OpenTypeフィーチャー 手 動<br />

編 集 、カスタムパラメータ 編 集 、 手 動 ヒンティング)。<strong>Glyphs</strong> Mini はシ<br />

ンプルで 安 価 な 入 門 用 アプリケーションで、 趣 味 の 書 体 デザインやアイコ<br />

ンフォントの 作 成 に 向 いています。<br />

1.6 キーボードショートカット<br />

ワークフローを 効 率 化 するため、<strong>Glyphs</strong>にはたくさんのキーボードショー<br />

トカットが 用 意 されています。これらのカスタマイズはシステム 環 境 設 定<br />

の「キーボード > ショートカット > アプリケーション」で 行 います。<br />

<strong>Glyphs</strong>にデフォルトで 設 定 されているいくつかのショートカットはシ<br />

ステム 標 準 のものと 競 合 しています( 例 :Spotlight(command + space)、<br />

Spaces(control + 矢 印 ))。 <strong>Glyphs</strong> を 快 適 に 使 用 するために、これらシ<br />

<strong>Glyphs</strong>ハンドブック2016 年 11 月 版<br />

9


ステム 用 ショートカットを 変 更 されることをお 勧 めします。(なお、 本 ハ<br />

ンドブックではショートカットなどの 同 時 押 しはshift+F などのように +<br />

を 使 って 表 記 します。)<br />

ツールバーのショートカットの 変 更 方 法 については「17.5 キーボード<br />

ショートカットの 変 更 」(p.211)を 参 照 してください。<br />

1.7 クラッシュリポート<br />

<strong>Glyphs</strong>がクラッシュすると2 種 類 のクラッシュリポートダイアログが 表 示<br />

されます。1つはApple に 送 られるものであり 私 たち 開 発 者 には 届 きませ<br />

ん。もう1つは<strong>Glyphs</strong> を 再 起 動 したときに 現 れるもので、 下 図 のように<br />

<strong>Glyphs</strong>のアイコンが 左 上 に 表 示 されています。このリポートはクラッシュ<br />

した 原 因 を 突 き 止 めるためにとても 重 要 なものです。コメントをご 記 入 い<br />

ただかなくても、お 使 いのハードウェア、OS、<strong>Glyphs</strong>のクラッシュ 寸 前<br />

の 状 態 、またどの 時 点 でクラッシュしたかなどの 細 かな 技 術 的 情 報 が 送 信<br />

されます。<strong>Glyphs</strong> の 品 質 を 向 上 させるため、 常 に 送 信 していただけるよ<br />

うお 願 いします。もしクラッシュを 確 実 に 起 こす 手 順 が 分 かっているので<br />

あれば、コメント 欄 にて 説 明 していただけると 助 かります(トラブルの 内<br />

容 についてはフォーラムまたはbugreport.glyphsapp.comにご 報 告 いた<br />

だいても 結 構 です)。<br />

初 めてリポートを 送 信 する 際 、<strong>Glyphs</strong> はお 名 前 とメールアドレスの<br />

入 力 を 促 します。 入 力 された 内 容 は 次 回 以 降 、 自 動 的 に 入 力 されることに<br />

なります。これを 拒 否 し、 後 でリポートダイアログに 手 動 入 力 することも、<br />

またはフィールドが 空 白 のままで 送 信 することも 可 能 です。なお、あなた<br />

の 環 境 で 起 きたクラッシュの 原 因 を 究 明 するために、その 時 点 で 作 業 し<br />

ていた<strong>Glyphs</strong> のファイルの 提 供 をお 願 いすることがあります。この 場 合 、<br />

ファイルは 問 題 解 決 後 に 消 去 いたします。あなたの 明 確 な 同 意 がないかぎ<br />

り 他 者 に 送 られることはありません。<br />

<strong>Glyphs</strong>ハンドブック2016 年 11 月 版<br />

10


2 環 境 設 定<br />

2.1 環 境 設 定 の 開 き 方<br />

環 境 設 定 ウインドウは「<strong>Glyphs</strong> > 環 境 設 定 」(command + ,)で 開 けます。<br />

2.1.1 アップデート<br />

<strong>Glyphs</strong>のアップデート 方 針 を 設 定 できます。「 今 チェックする」ボタンを<br />

押 すとただちに 最 新 バージョンを 確 認 し、もしアップデートがあればダウ<br />

ンロードボタンと 更 新 履 歴 を 表 示 します。 最 後 に 更 新 をチェックした 日 時<br />

はボタンの 上 に 表 示 されます。<br />

「 更 新 を 自 動 的 にチェック」がオンになっている 場 合 は 定 期 的 かつ 自<br />

動 的 に<strong>Glyphs</strong> サーバーへ 接 続 し、 最 新 バージョンの 存 在 を 確 認 できます。<br />

このオプションはオンにしておくことをお 勧 めします。<br />

「 開 発 中 バージョンも 表 示 」をオンにしておくと 安 定 したバージョンだ<br />

けでなくβ 版 にもアップデート 可 能 になります。<strong>Glyphs</strong>のβ 版 は 頻 繁 に 更 新<br />

され、バグ 修 正 もこちらの 方 が 迅 速 に 行 われます。もし 安 定 版 を 待 ってい<br />

られない 場 合 や 新 機 能 をいち 早 く 試 したい 場 合 はこちらもオンにしてくだ<br />

さい。β 版 は 安 定 版 と 比 べてテストが 行 き 届 いていませんので、 更 新 前 に 安<br />

定 版 の 複 製 を 取 っておくことをお 勧 めします。 最 新 の 安 定 版 はglyphsapp.<br />

com/buyでダウンロード 可 能 です。<br />

2.1.2 ユーザー 設 定<br />

「 読 み 込 み 元 のファイルのグリフ 名 を 保 持 」オプションでは、 既 存 のフォン<br />

トファイルや 他 のアプリケーションで 作 られた 作 業 ファイルを 開 く 際 のグ<br />

リフ 名 について 設 定 します。 自 動 的 に<strong>Glyphs</strong> 標 準 のグリフ 名 に 変 更 して<br />

かまわない 場 合 はオフ、 他 のアプリケーションとの 連 携 のためなど 非 標 準<br />

のグリフ 名 を 使 う 必 要 がある 場 合 はをオンにします。デフォルトではオン<br />

になっています。<br />

<strong>Glyphs</strong>ハンドブック2016 年 11 月 版<br />

11


「 読 み 込 んだファイルではコンポーネントの 自 動 整 列 を 解 除 」がオフの<br />

場 合 、 既 存 のフォントファイルや 他 のアプリケーションで 作 られた 作 業 ファ<br />

イルを 開 くとコンポーネントの 自 動 整 列 が 実 行 され、コンポーネントの 位<br />

置 が 統 一 されます( 読 み 込 み 元 のファイルとは 体 裁 が 変 わる 可 能 性 があり<br />

ます)。オンにすると 自 動 整 列 はおこなわず、 読 み 込 み 元 のファイルの 各<br />

コンポーネントの 位 置 が 保 持 されます。 自 動 整 列 についての 詳 細 は「8.1.7<br />

自 動 整 列 」(p.102)を 参 照 してください。<br />

編 集 ビューでは 複 数 のグリフを 並 べた 状 態 でデザイン 作 業 などをおこな<br />

うことができます。ここで 表 示 できるテキストの 行 長 を「 編 集 ビュー 幅 」<br />

で 設 定 します。 入 力 する 数 値 はフォントのユニット 数 です。1ユニットは<br />

フォントのボディを 細 分 化 した 単 位 で、フォント 情 報 で 設 定 するUPM に<br />

関 連 しています。 詳 細 は「7.1.2 ユニット 数 (UPM)」( p.82)を 参 照 し<br />

てください。<br />

「ハンドルサイズ」は 編 集 ビューで 表 示 されるすべてのポイント(ベ<br />

ジェ 曲 線 のポイント、アンカー、ヒント)のサイズです。サイズが 大 きい<br />

と 視 認 性 が 向 上 しクリックしやすくなります。 小 さいとパスのデザインが<br />

見 やすくなります。<br />

コーナーポイント、スムースポイント、アラインメントゾーン、カー<br />

ニング 量 、そして 背 景 色 もユーザー 設 定 で 変 更 できます。「 初 期 化 」ボタン<br />

をクリックするとすべての 色 が 初 期 化 されます。<br />

「マスター 互 換 性 をずらし 表 示 」は「 表 示 > マスター 互 換 性 を 表 示 」<br />

(control+option + command + N)を 有 効 にした 状 態 でのアウトライン<br />

表 示 に 関 する 設 定 です。オフの 場 合 、 各 マスターの 原 点 を 揃 えた 上 で 重 ね<br />

て 表 示 します。オンの 場 合 は 斜 めにずらして 表 示 します。 詳 細 は「12.4 互<br />

換 性 の 修 正 」(p.141)を 参 照 してください。<br />

PythonスクリプトAPIのテキスト 出 力 は<strong>Glyphs</strong>のマクロパネル(ウ<br />

インドウ>マクロパネル)で 行 われます。オンにすると、OSX 付 属 のコン<br />

ソール.app で 行 われます。スクリプトが 原 因 で<strong>Glyphs</strong> がクラッシュする<br />

など、マクロパネルで 出 力 結 果 が 確 認 できない 時 に 便 利 です。<br />

「Disable Localisation. Please restart <strong>Glyphs</strong> to take effect.」を<br />

オンにするとアプリケーションの 言 語 を 英 語 に 変 更 できます。アプリケー<br />

ションの 再 起 動 後 に 効 果 が 現 れます。<br />

「Lion 以 降 の 保 存 仕 様 を 使 う」をオンにすると、OS X 10.7 Lionで 実<br />

装 されたファイル 保 存 方 式 が 使 われます。ファイルは 自 動 保 存 され、 過 去<br />

のバージョンを 閲 覧 できるようになります。ただし 独 自 のバージョンコン<br />

トロールシステムを 持 ったクラウドに 保 存 する 場 合 などはこの 機 能 を 切 っ<br />

ておいた 方 がよいでしょう。<br />

<strong>Glyphs</strong>ハンドブック2016 年 11 月 版<br />

12


2.1.3 サンプルテキスト<br />

ここでは 付 属 のサンプルテキストを 編 集 、ペースト、 初 期 化 したりするこ<br />

とができます。テキストフィールドはUnicodeに 完 全 対 応 しており、 発 音<br />

記 号 や 欧 文 以 外 の 文 字 もそのまま 入 力 できます。 各 サンプルは1 行 になっ<br />

ている 必 要 があるので、 編 集 ビュー 内 で 複 数 行 表 示 させたい 場 合 はバック<br />

スラッシュと 小 文 字 のn(\n)を 改 行 マークとして 挿 入 してください。グ<br />

リフ 名 を 指 定 したい 場 合 はスラッシュで 始 めて( 例 :/quoteright)、 グ リ<br />

フ 名 の 末 尾 はスペースまたはスラッシュで 区 切 ります。これはタイピング<br />

しにくい 文 字 やUnicode にない 文 字 、 例 えばOpenType のオルタネート<br />

(/a.sc)などを 表 示 させたいときに 便 利 です。/Placeholder( 他 のグリフ<br />

を 続 けたいときはやはりスペースかスラッシュで 区 切 る)は 現 在 選 択 中 の<br />

グリフを 繰 り 返 し 表 示 してくれます。スラッシュそのものを 入 力 したいと<br />

きは 二 度 打 ちしてください(//)。<br />

「ファイルを 開 く」ボタンで 外 部 のテキストファイルを 読 み 込 めます。<br />

「 初 期 化 」ボタンを 押 すとサンプルテキストが<strong>Glyphs</strong> 標 準 のものに 戻 りま<br />

す。サンプルテキストをより 使 いこなすには、「3.8.1 サンプルテキスト」<br />

(p.35)を 参 照 してください。<br />

<strong>Glyphs</strong>ハンドブック2016 年 11 月 版<br />

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2.1.4 アドオン<br />

「プラグイン」タブの 左 のリストにはインストールされているすべてのプラ<br />

グイン 名 が 表 示 されます。プラグイン 開 発 者 が 自 動 更 新 機 能 を 設 定 をして<br />

いる 場 合 、アップデートがあった 際 は 自 動 で 通 知 され、 直 接 ダウンロード<br />

するためのダイアログかプラグインをダウンロードできるWeb サイトへの<br />

リンクが 表 示 されます。<br />

「 自 動 的 に 更 新 をチェック」がオンになっていると<strong>Glyphs</strong>は 起 動 時 に<br />

プラグインの 更 新 を 確 認 し、 更 新 があれば 環 境 設 定 のこのタブに 案 内 します。<br />

新 バージョンがあるプラグインにはアスタリスクマークが 表 示 され、 選 択<br />

すると「ダウンロード」ボタンが 右 下 に 表 示 されます。これをクリックす<br />

ることでプラグインのホームページにジャンプすることができます。なお、<br />

アップデートの 有 無 を 手 動 で 確 認 したい 場 合 はプラグインフィールドでプ<br />

ラグイン 名 を 選 択 した 上 で「 更 新 をチェック」ボタンをクリックします。<br />

ダウンロードしたプラグインをインストールする 場 合 、プラグインを<br />

Finderでダブルクリックして 表 示 されたダイアログの 指 示 に 従 ってくださ<br />

い。アプリケーションの 再 起 動 後 にプラグインが 有 効 になります。プラグ<br />

インをアンインストールする 際 は、 環 境 設 定 のこのタブで「プラグイン」<br />

フィールドのプラグイン 名 を 右 クリックして「Finderに 表 示 」を 選 択 しま<br />

す。プラグインが 表 示 されたらアイコンをゴミ 箱 や 他 のフォルダに 移 動 し、<br />

アプリケーションを 再 起 動 してください。<br />

「Pythonモジュール」タブでは、サードパーティー 製 のPythonライ<br />

ブラリであるVanilla(Tal Leming 作 )、 Robofab(Tal Leming、Erik<br />

can Blokland、Just van Rossum 作 )、FontTools(Just van Rossum<br />

作 、Behdad Esfahbod 管 理 )をインストールできます。<strong>Glyphs</strong>のスクリ<br />

プトの 中 にはこれらのライブラリを 使 うものがあります。サードパーティー<br />

製 のスクリプトをインストールする 場 合 や 独 自 のPythonスクリプトを 書<br />

く 場 合 は、これらのライブラリをインストールしておくことを 強 く 推 奨 し<br />

ます。また、RobofabのPythonラッパーであるObjectsGS.pyがScripts<br />

フォルダにインストールされます。Robofab スクリプトは 他 のPython<br />

ライブラリと 同 様 にインポートして 使 います( 例 :from robofab.world<br />

import CurrentFont)。<br />

<strong>Glyphs</strong>ハンドブック2016 年 11 月 版<br />

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2.1.5 編 集 ビュー 共 有<br />

「 外 部 プレビューを 有 効 化 」がオンの 場 合 、 編 集 ビューの 内 容 をiPhoneや<br />

iPadなどのiOSデバイスにリアルタイム 表 示 することができます。iOSデバ<br />

イスには<strong>Glyphs</strong> Viewerをインストールしておいてください(AppStore<br />

から 無 料 で 入 手 可 能 )。iOS デバイスで<strong>Glyphs</strong> Viewer アプリを 開 始 し、<br />

表 示 したい<strong>Glyphs</strong> を 選 択 すると 編 集 ビューの 内 容 が 即 座 に 表 示 されます。<br />

メニューに 戻 りたいときは 画 面 の 任 意 の 場 所 を 長 押 しします。<br />

iOS デバイスと<strong>Glyphs</strong> を 実 行 中 のMac は 同 じWiFi ネットワークに<br />

存 在 する 必 要 があります。もし<strong>Glyphs</strong> Viewerから 対 象 の<strong>Glyphs</strong>を 見 つ<br />

けられない 場 合 、 両 者 が 同 じネットワークに 繋 がっていることを 確 認 して<br />

ください。 解 決 しない 場 合 は 両 方 のマシンを 再 起 動 してみてください。そ<br />

れでも 解 決 しない 場 合 は 別 のネットワークを 試 すかルーターの 設 定 を 調 整<br />

してください。なお、Mac とiOSが 別 々のネットワーク 規 格 で 同 じルータ<br />

に 接 続 している 場 合 、<strong>Glyphs</strong> ViewerはMac を 発 見 できません。これは<br />

ルーターが 様 々な 無 線 規 格 ( 例 :802.11g や802.11n)に 対 応 しており、<br />

それらを 同 時 に 有 効 化 している 場 合 などに 起 こります。ルーターをgまた<br />

はnのいずれか 一 方 だけに 設 定 すると 問 題 が 解 決 できるかもしれません。<br />

<strong>Glyphs</strong>ハンドブック2016 年 11 月 版<br />

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3 編 集 ビュー<br />

3.1 グリフの 編 集<br />

編 集 ビューではグリフを 編 集 できます。 編 集 ビューにアクセスするには、<br />

「 表 示 > 新 規 タブ」(command + T)で 新 しい 編 集 タブを 開 きます。すで<br />

に 開 かれているタブにアクセスするには 当 該 のタブをクリックするか、ま<br />

たはoption+command + 数 字 キーで、 任 意 のタブを 選 択 します。 例 えば<br />

option+command + 3だと、 開 かれている 複 数 のタブのうち 左 から3 番 目<br />

のタブがアクティブになります。 最 初 のタブ(option + command + 1)<br />

は 必 ずフォントビューです。 詳 細 は「6 フォントビュー」(p.62)を 参 照<br />

してください。<br />

編 集 ビューは 編 集 モードとテキストモードの2つのモードがあります。<br />

テキストツール(ショートカットはT)を 選 択 するとテキストモードにな<br />

ります。 詳 細 は「3.8 テキスト 入 力 」(p.34)を 参 照 してください。 他 の<br />

ツールを 選 択 するか、 任 意 のグリフをダブルクリックするか、またはグリ<br />

フ 選 択 中 ( 任 意 のグリフの 手 前 にテキストカーソルがある 状 態 )にescキー<br />

を 押 すと 編 集 モードに 切 り 替 わります。<br />

3.2 パスの 描 画<br />

ペンツール、フリーハンドツール、 基 本 図 形 ツールなどで 新 しいパスを 描<br />

画 します。<br />

3.2.1 ペンツール<br />

ペンツール◆pentool(ショートカットはP)が 選 択 された 状 態 では、クリックする<br />

と 直 線 が 描 け、ドラッグすると 曲 線 が 描 けます。ドラッグ 中 にスペースバー<br />

を 押 すとポイントを 動 かせます。アウトラインを 閉 じるには、 書 き 始 めの<br />

オンカーブポイントをクリックします。<br />

スムースに 繋 がっているオンカーブポイントは 緑 色 の 丸 で 表 示 されま<br />

す(この 色 は「<strong>Glyphs</strong> > 環 境 設 定 」のユーザー 設 定 で 変 更 できます)。ス<br />

ムースな 繋 がりとはカーブ(オンカーブポイントの 両 側 が 曲 線 で、2 本 の<br />

ハンドルが 一 直 線 上 にある 状 態 )、またはタンジェント(オンカーブポイン<br />

トの 片 方 が 直 線 、もう 片 方 が 同 角 度 の 曲 線 )の 状 態 を 指 します。なお、ポ<br />

イントの 表 示 、 非 表 示 は「 表 示 > ポイントを 表 示 」メニューから 切 り 替 え<br />

られます。<br />

<strong>Glyphs</strong>ハンドブック2016 年 11 月 版<br />

16


カーブの 描 画 中 にハンドルを 折 りたい(コーナーポイントにしたい) 場 合<br />

はドラッグ 中 にoption キーを 押 します。コーナーポイントは 青 い 正 方 形<br />

で 表 示 されます(この 色 も 環 境 設 定 で 変 更 できます)。コーナーポイントか<br />

ら 伸 びるハンドルはスムースポイントと 違 い 他 方 のセグメントの 角 度 の 影<br />

響 を 受 けないため、 独 立 して 動 かすことができます。<br />

ハンドルは 灰 色 の 丸 で 表 示 され、その 角 度 と 長 さでセグメントの 曲 線<br />

を 表 現 します。 開 いたパスでは 開 始 点 と 終 了 点 はパス 方 向 に 直 角 の 短 い 線<br />

で 表 示 されます。パスの 開 始 点 は3 角 形 で 表 示 され、パスの 描 画 方 向 ( 右<br />

周 り・ 左 回 り)も 示 しています。パスの 描 画 方 向 は 特 定 のパス 機 能 および<br />

グリフのレンダリングにおいて、とても 重 要 な 役 割 を 果 たします( 詳 細 は<br />

「3.3.12 パス 方 向 の 管 理 」(p.24)を 参 照 )。<br />

ここで 用 語 の 説 明 をしておきます。<strong>Glyphs</strong> では、アウトライン 上 にある<br />

ポイントを「オンカーブポイント(on-curve point)」、アンカーポイン<br />

トから 伸 びて 曲 線 を 定 義 するポイントを「ハンドル」または「オフカーブ<br />

ポイント(off-curve point)」と 呼 びます。 両 者 を 区 別 する 必 要 のない 際<br />

はどちらも「ポイント」と 呼 びます。<br />

オンカーブポイントは、 他 のグラフィックソフトでは 通 常 「アンカー<br />

ポイント」と 呼 ばれています。しかし「アンカー」はフォント 製 作 ソフト<br />

では 他 の 用 語 として 用 いられるため、 曖 昧 さ 回 避 のため<strong>Glyphs</strong> では「オ<br />

ンカーブポイント」(または「ポイント」)と 呼 ぶことにしています。アン<br />

カーの 詳 細 は「8.1.6 アンカー」(p.100)を 参 照 してください。<br />

オンカーブポイントとオンカーブポイントの 間 に 描 かれる 曲 線 または<br />

直 線 を「セグメント」と 呼 びます。ポイントとセグメントから 構 成 される<br />

図 形 を「アウトライン」または「パス」と 呼 びます。<br />

3.2.2 鉛 筆 ツール<br />

鉛 筆 ツール ◆pencilt(B)はマウスドラッグによるフリーハンドで 素 早 くカーブを 描<br />

画 するためのツールで、 特 にペンタブレットを 使 用 する 際 に 便 利 です。 鉛<br />

筆 ツールで 描 かれたパスはユーザーの 描 いた 線 を 忠 実 に 再 現 するため、 多<br />

くのポイントを 挿 入 します。そのため、 描 画 後 はおそらく 修 正 作 業 が 必 要<br />

になるでしょう。<br />

3.<strong>2.3</strong> 基 本 図 形<br />

基 本 図 形 ツールでは4 角 形 と 楕 円 形 の 描 画 が 可 能 です。4 角 形 と 楕 円 形 を 選<br />

<strong>Glyphs</strong>ハンドブック2016 年 11 月 版<br />

17


択 するには 基 本 図 形 ツールのボタンをクリックします(F)。 4 角 形 と 楕 円<br />

形 を 切 り 替 えるには、 基 本 図 形 ツールをクリックしたままにするかショー<br />

トカットshift + F で 切 り 替 えるか、 一 方 のツールを 選 択 中 にコンテクスト<br />

メニューで「 楕 円 を 描 画 」または「 長 方 形 を 描 画 」で 切 り 替 えられます。<br />

ツール 選 択 後 、 描 画 エリアを 斜 めにドラッグすることで4 角 形 または 楕 円<br />

を 描 画 します。shiftキーを 押 しながらドラッグすれば 正 方 形 または 真 円 を<br />

描 けます。またoptionを 押 しながらドラッグすると、ドラッグ 開 始 地 点 を<br />

中 心 として 図 形 を 描 くことができます。サイズを 数 値 で 指 定 して 図 形 を 描<br />

くには、 描 画 エリアをクリックして 現 れるダイアログに 数 値 を 入 力 します。<br />

3.3 パスの 編 集<br />

3.3.1 ポイントとパスの 選 択<br />

選 択 ツール◆selectt(V)ではクリックすることで 個 別 のポイントを、ドラッグす<br />

ることで 範 囲 内 の 全 ポイントを 選 択 することができます。optionキーを 押<br />

しながらドラッグすると、ハンドルは 無 視 され 範 囲 内 のオンカーブポイン<br />

トのみが 選 択 されます。なお、ポイントを 追 加 選 択 したい 場 合 、あるいは<br />

一 部 のポイントの 選 択 を 解 除 したい 場 合 はshift キーを 押 しながらクリッ<br />

クまたはドラッグします。セグメントをダブルクリックするとパス 全 体 が<br />

選 択 されます。<br />

<strong>Glyphs</strong> ではオンカーブポイントを 選 択 することなくハンドルだけを<br />

選 択 することができます。またshift を 押 しながら 追 加 選 択 する 際 、ポイ<br />

ントの 前 後 関 係 に 依 存 せず 全 く 離 れたハンドルも 追 加 できます。ポイント<br />

が1つだけ 選 択 されている 状 態 では、tab キーを 押 すとパス 上 の 次 のポイン<br />

トに 移 動 し、shift+tab キーで 前 のポイントに 移 動 できます。<br />

3.3.2 ポイントとパスの 移 動<br />

選 択 したポイントやパスはマウスによるドラッグまたはキーボードの 矢 印<br />

キーで 移 動 できます。マウスによるドラッグ 中 にshift を 押 すと、 移 動 方<br />

向 が 水 平 、 垂 直 に 限 定 されます。なお、shift+ 矢 印 キーでは10ユニット<br />

単 位 、command + 矢 印 で100ユニット 単 位 の 移 動 が 可 能 です。<br />

オンカーブポイントを 移 動 すると、 付 随 するハンドルは 選 択 されてい<br />

なくても 移 動 します。optionキーを 押 しながら 移 動 すると、ハンドルの 位<br />

置 が 固 定 されたままオンカーブポイントが 移 動 します。ポイントの 移 動 中<br />

にcontrolとoptionを 押 すと「ナッジ 移 動 」ができます。これは 周 囲 のセ<br />

<strong>Glyphs</strong>ハンドブック2016 年 11 月 版<br />

18


グメントの 曲 線 率 を 保 ったままの 移 動 です。<br />

左 : 元 のアウトライン。2つのポイ<br />

ントを 選 択 中 。<br />

中 央 : 選 択 したポイントを 左 下 に 移<br />

動 。ハンドルは 変 化 しないまま 追 従 。<br />

下 : 選 択 したポイントを 左 下 にナッ<br />

ジ 移 動 。 曲 線 率 を 保 つため、ハンド<br />

ルは 変 化 。<br />

同 様 にハンドルもマウスによるドラッグまたは 矢 印 キーで 移 動 することが<br />

できます。 複 数 のハンドルが 選 択 されている 場 合 はすべて 同 時 に 移 動 でき<br />

ます。ここでもshift+ 矢 印 キーでは10ユニット 単 位 、command + 矢 印<br />

で100ユニット 単 位 の 移 動 が 可 能 です。optionキーを 押 しながらだとハン<br />

ドル 角 度 を 固 定 したままで 移 動 させることができます。<br />

スムースポイント( 緑 色 の 丸 )に 隣 接 するハンドルを、control + option<br />

を 押 しながら 移 動 すると 反 対 側 のハンドルも 対 称 移 動 します。<br />

曲 線 セグメントをドラッグすると 両 端 のハンドルが 移 動 します。この<br />

際 、コーナーポイントから 生 えているハンドルは 角 度 も 変 更 されます。 角<br />

度 を 固 定 したい 場 合 はoption を 押 しながらドラッグを 開 始 してください<br />

(ドラッグ 中 にoptionを 押 しても 角 度 は 固 定 されません)。<br />

「パスのクリーニング」を 実 行 する<br />

時 は 注 意 してください。この 操 作 で<br />

はほぼ 無 意 味 なポイントが 取 り 除 か<br />

れますが、 他 のマスターとの 互 換 性<br />

を 保 つためには、そのポイントが 必<br />

要 なのかもしれません。<br />

3.3.3 ポイントとセグメントのタイプ 変 換<br />

オンカーブポイントの 接 続 タイプをスムースポイント( 緑 色 の 丸 または3<br />

角 で 表 示 )からコーナーポイント( 青 色 の4 角 または3 角 で 表 示 )に 切 り<br />

替 える 際 は、そのポイントをダブルクリックします。ポイントを 選 択 して<br />

returnキー、またはenter キーを 押 すことでも 切 り 替 えることができます。<br />

コーナーポイントからスムースポイントに 切 り 替 える 際 も 同 様 です。<br />

「パス > パスをクリーニング」(option + shift+command + T)を<br />

実 行 すると、すべてのオンカーブポイントのタイプが 適 切 に 設 定 されます<br />

(コーナーポイントの 両 側 のハンドルが 一 直 線 上 に 並 んでいる 場 合 はスムー<br />

スポイントに 変 更 されます)。パスの 一 部 を 選 択 中 はその 範 囲 のみが 対 象 と<br />

なります。 直 線 セグメント 上 にあるハンドルなどの 無 駄 な 要 素 も 取 り 除 き<br />

ます。<br />

直 線 のセグメントをoption キーを 押 しながらクリックすると 曲 線 に<br />

切 り 替 えられます( 両 端 にハンドルが 発 生 します)。 曲 線 セグメントを 直 線<br />

に 切 り 替 えたい 場 合 は、ハンドルを 選 びdelete キーで 削 除 します。<br />

3.3.4 アラインメントゾーン 内 のポイント<br />

縦 メトリクス 線 (「7.2 マスター」、p.84)に 整 列 しているポイントはベー<br />

<strong>Glyphs</strong>ハンドブック2016 年 11 月 版<br />

19


ジュ 色 の 菱 形 、アラインメントゾーン 内 にあるポイントはベージュ 色 の 円<br />

形 でハイライトされます。フォントを 小 サイズで 表 示 している 際 でも、ポ<br />

イントが 正 確 に 揃 っているか 否 かを 一 目 で 確 認 できます。<br />

3.3.5 拡 大 縮 小 と 回 転<br />

選 択 したポイントやアウトラインの 状 態 は 灰 色 の 情 報 パネルに 表 示 されま<br />

す( 表 示 > 情 報 パネルを 表 示 、shift+command + I)。<br />

Tip: <strong>Glyphs</strong> 内 のすべてのテキスト<br />

フィールドは 矢 印 キーの 上 下 で 数 字<br />

を 増 減 させられます。shiftキーを<br />

押 しながらで10 単 位 で 変 化 します。<br />

ポイントを1つ 選 択 している 時 は、 情 報 パネルのx 欄 とy 欄 で 位 置 を 数 値 指<br />

定 することができます。 上 下 の 矢 印 キーで 数 値 を 変 更 することもできます。<br />

複 数 のポイントを 選 択 している 時 は、 情 報 パネル 左 の9つの 点 で 基 準<br />

点 を 設 定 した 後 、x 欄 とy 欄 で 基 準 点 の 位 置 を 数 値 指 定 します。 幅 と 高 さ<br />

を 数 値 指 定 することもできます。なお、 幅 と 高 さの 比 率 を 固 定 したい 場 合<br />

は◆unlock◆をクリックしてロック 状 態 ◆lock◆にしておきます。 幅 や 高 さを 個 別 に 指 定<br />

したい 場 合 はロックを 解 除 します。<br />

複 数 のポイントが 選 択 されている 場 合 、 情 報 パネルの 右 端 に 数 字 が 表<br />

示 されます。これは 選 択 されているパスのポイント 総 数 (□)と、 実 際 に<br />

選 択 されているポイントの 総 数 です(■)。<br />

複 数 のポイントが 選 択 されている 場 合 、バウンディングボックス<br />

を 表 示 することができます( 表 示 > バウンディングボックスを 表 示 、<br />

option + shift + command + B)。ボックスの 白 丸 のいずれかをドラッグ<br />

することで 選 択 内 容 を 拡 大 縮 小 することが 可 能 です。shiftキーを 押 しなが<br />

らドラッグすると、 縦 横 の 比 率 を 保 ったまま 変 形 します。<br />

<strong>Glyphs</strong>ハンドブック2016 年 11 月 版<br />

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このほか 回 転 ツール◆rotatet(R)で 選 択 部 分 を 回 転 したり、 拡 大 縮 小 ツール◆scaleto<br />

(S)で 大 きさを 変 更 することも 可 能 です。 一 回 クリックして 変 形 の 基 準 点<br />

を 決 めた 後 、ドラッグすることで 回 転 や 拡 大 縮 小 を 実 行 できます。shift<br />

キーを 押 しながらドラッグすることでで90 度 ごとの 回 転 、または 比 率 を 固<br />

定 した 拡 大 縮 小 ができます。<br />

他 にもパレットやフィルタによる 変 形 が 可 能 です。それぞれパレット<br />

とフィルタの 章 を 参 照 してください。<br />

3.3.6 整 列<br />

「パス > 選 択 ポイントを 整 列 」を 選 ぶと、 選 択 されているポイントがすべ<br />

て 一 列 に 並 びます。この 機 能 はオンカーブとオフカーブ 両 方 のポイントに<br />

作 用 します。<strong>Glyphs</strong> は 選 択 範 囲 の 状 況 から 判 断 して 自 動 的 に 水 平 または<br />

垂 直 にポイントを 整 列 します。「 選 択 ポイントを 整 列 」は 灰 色 の 情 報 パネル<br />

にある 変 形 基 準 点 に 従 います。<br />

原 点 とはx=0, y=0の 地 点 のことです。<br />

イタリック 角 度 が0° 以 外 の 場 合 は<br />

サイドベアリングの 線 がxハイトの<br />

中 心 を 通 過 する 斜 め 線 になるため、<br />

原 点 はそれに 従 って 斜 め 線 とベース<br />

ラインの 交 点 になります( 傾 斜 があ<br />

る 場 合 、 原 点 のx 座 標 は0ではなく<br />

なります)。<br />

2つのポイントと1つのアンカーを 選 んだ 状 態 で「 選 択 ポイントを 整 列 」<br />

を 実 行 すると、アンカーは 両 ポイントの 中 間 地 点 に 水 平 移 動 します。これ<br />

はアンカーを 素 早 く 選 択 範 囲 の 中 央 に 整 列 させたい 場 合 に 有 効 です。また<br />

1つのポイントと1つのコンポーネントを 選 んだ 状 態 で 同 機 能 を 実 行 すると、<br />

ポイントを 原 点 と 捉 えてコンポーネントだけが 移 動 します(ポイントは 移<br />

動 しません)。あるポイントを 基 準 としてコンポーネントを 動 かすときに 便<br />

利 です。もしコンポーネントが「origin」という 名 前 のアンカーを 含 んで<br />

いる 場 合 は、<strong>Glyphs</strong> は 原 点 ではなくそのアンカーを 使 ってコンポーネン<br />

トを 移 動 します。<br />

「パス > 選 択 ポイントを 整 列 」を1 個 のポイントに 対 して 実 行 すると、<br />

背 景 レイヤーにある 最 も 近 距 離 のポイントと 同 じ 位 置 に 移 動 します。<br />

「パス > 選 択 ポイントを 整 列 」は 個 別 のポイントに 対 して 適 用 する 機<br />

能 です。アウトラインの 一 部 または 全 体 やコンポーネントを 整 列 させたい<br />

ときはパレットサイドバー(option + command + P)の「 変 形 」 機 能 を<br />

使 用 してください。 詳 細 は「4.5 変 形 」(p.50)を 参 照 してください。<br />

3.3.7 パスの 複 製<br />

パス 全 体 を 複 製 するには、まずパスをダブルクリックして 選 択 します( 全<br />

セグメントが 青 く 表 示 されます)。パスを 完 全 に 囲 むようにドラッグするこ<br />

とでパス 全 体 を 選 択 することも 可 能 です。 必 要 に 応 じてshift キーを 押 し<br />

ながら 他 のパスも 追 加 選 択 してください。その 後 、optionキーを 押 しなが<br />

ら 選 択 したパスをドラッグすることで 任 意 の 位 置 に 新 しいパスを 複 製 する<br />

ことができます(ドラッグ 開 始 前 からoptionキーを 押 してください)。<br />

コピー(command + C)とペースト(command + V)も 使 えます。<br />

この 場 合 、 新 しいパスは 元 のパスと 同 じ 位 置 に 複 製 されます。ペースト 直<br />

後 は 新 しいパスのみが 選 択 された 状 態 になっています。 複 製 後 にマウスで<br />

<strong>Glyphs</strong>ハンドブック2016 年 11 月 版<br />

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なくキーボードで 移 動 させたい 場 合 はこちらの 方 が 便 利 でしょう。<br />

セグメントを 複 製 するには、まずセグメントを 定 義 しているオンカー<br />

ブポイントを 選 択 します。クリックでもドラッグで 囲 んでも 選 択 できます<br />

( 選 択 されたセグメントは 青 く 表 示 されます)。その 後 、optionを 押 しなが<br />

らドラッグすると 選 択 されたセグメントが 複 製 されます。セリフなど 特 定<br />

の 部 分 を 複 製 したいときに 便 利 です。<br />

3.3.8 ポイントの 削 除<br />

ポイントを 削 除 するには 任 意 のポイントを 選 んでdelete キーを 押 してくだ<br />

さい。または 削 除 ツール ◆eraseto(E またはshift+E)でクリックして 削 除 するこ<br />

ともできます。<strong>Glyphs</strong>はパスを 閉 じたまま 削 除 し、なるべく 削 除 前 のカー<br />

ブの 状 態 を 維 持 するために 隣 接 するハンドルを 修 正 します。<br />

Tip: セグメントを 削 除 する 手 っ 取<br />

り 早 い 方 法 は、ペンツール(P)で<br />

ポイントを 挿 入 し、それを 即 座 に<br />

option+deleteで 削 除 することです。<br />

optionキーを 押 しながら 削 除 すると、パスを 閉 じずにセグメントごと 削 除<br />

することができます。<br />

また、 削 除 ツール◆erasetoでoption を 押 しながらセグメントをクリックする 方<br />

法 、あるいは 選 択 ツール◆selectt でハンドルを 選 びoption + delete のショート<br />

カットを 実 行 する 方 法 でもセグメントを 削 除 できます。またはオンカーブ<br />

ポイントを 含 めたセグメント 全 体 を 選 択 し、option + deleteで 削 除 します。<br />

これは 隣 接 する、しないに 関 わらず 複 数 のセグメントに 適 用 できます。<br />

<strong>Glyphs</strong>ハンドブック2016 年 11 月 版<br />

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3.3.9 パスの 開 閉<br />

ペンツール◆pentool で 既 に 存 在 するポイントをクリックするとパスが 開 きます。<br />

開 いたパスの 末 端 のポイントは 青 い 線 分 で 表 示 されます。この 状 態 になる<br />

と 選 択 ツール◆selecttでポイントをバラバラに 動 かすことができます。<br />

パスをふたたび 閉 じるには、 開 いているポイント 同 士 をドラッグで 重 ね 合<br />

わせます。ポイントの 形 状 は 線 分 ではなくなり(3 角 形 、 丸 など)、パスが<br />

閉 じたことが 視 覚 的 に 伝 わるようになっています。 開 いたパスのあるグリ<br />

フを 編 集 中 にコンテクストメニュー( 右 クリックまたはcontrol + クリッ<br />

クで 表 示 )から「 開 いたパスを 閉 じる」を 実 行 することで 閉 じることもで<br />

きます。または 開 いた2つの 末 端 ポイントを 選 択 してコンテクストメニュー<br />

から「ポイントを 接 続 」を 選 択 します。<br />

3.3.10 パスの 切 断<br />

Tip: ナイフツールと 削 除 ツールの<br />

ように 複 数 のツールが1つのボタン<br />

を 共 有 している 場 合 は、ショートカッ<br />

トにshiftキーを 追 加 することで 切<br />

り 替 えることができます。<br />

ナイフツール◆knifeto(E またはshift+E)でパスを 横 断 するようにドラッグする<br />

と、2つの 閉 じたアウトラインにすることができます。もし 複 数 のパスを<br />

同 時 に 切 った 場 合 は、セグメントを 繋 ぎ 直 します。<br />

ナイフツールが 表 示 されていない 時 に 選 択 するには、 削 除 ツール ◆erasetoのボタン<br />

を 押 しっぱなしにしてポップアップメニューから 選 ぶか、Eまたはshift + E<br />

で 選 びます。<br />

<strong>Glyphs</strong>ハンドブック2016 年 11 月 版<br />

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3.3.11 アウトラインの 再 接 続<br />

「アウトラインを 開 く」と「ポイン<br />

トを 再 接 続 」の 結 果 。「アウトライ<br />

ンを 開 く」 機 能 はコーナーポイント<br />

( 青 い 点 )にのみ 有 効 です。<br />

偶 数 個 のポイントを 選 択 してコンテクストメニューの「ポイントを 再 接 続 」<br />

を 実 行 すると、 選 択 範 囲 内 の 最 も 近 い2つずつのポイントをペアとして、ポ<br />

イントの 接 続 状 態 を 変 更 します。コンテクストメニューから「アウトライン<br />

を 開 く」を 選 択 すると、コーナーの 延 長 線 上 に2つのポイントが 生 成 されパ<br />

スがループした 状 態 になります。これらの 状 態 であれば、 他 セグメントの<br />

角 度 やポイントの 位 置 に 影 響 を 与 えることなく 目 的 のセグメント、ポイン<br />

トを 調 整 することが 可 能 です。また、マルチプルマスターによる 補 間 の 際<br />

も 適 切 な 結 果 を 得 やすくなります。<br />

なお、「アウトラインを 開 く」のオーバーラップの 大 きさは「ファイル ><br />

フォント 情 報 > マスター」(command+I)の「 垂 直 ステム」 欄 に 入 力 し<br />

た1 番 目 の 値 の 約 半 分 です (オーバーラップを 常 にステム 内 に 収 めるため)。<br />

ループしたコーナーは、3 角 形 の 面 積 が 近 隣 のアウトラインセグメン<br />

トより 小 さい 場 合 は 透 明 扱 いとなります。そのため、パスの 外 側 にループ<br />

を 作 ることも 可 能 です。もしオーバーラップのサイズが 許 容 範 囲 を 超 える<br />

と、ふたたび 可 視 化 されます。これは 欧 文 のs など、カーブした 線 の 末 端<br />

を 編 集 する 際 に 便 利 です。<br />

3.3.12 パス 方 向 の 管 理<br />

パスの 開 始 点 は3 角 形 で 表 示 され、その 向 きによってパスの 方 向 が 分 かり<br />

ます( 緑 色 はスムースポイント、 青 色 はコーナーポイント)。 任 意 のオン<br />

カーブポイントを 選 んでコンテクストメニューから「 開 始 点 の 設 定 」を 選<br />

べば、そこを 開 始 点 にすることができます。なお、 開 いたパスではどちら<br />

かの 末 端 のポイントに 表 示 される 矢 印 で 方 向 を 判 断 できます。<br />

Tip: ドーナツ 状 などカウンター( 空<br />

洞 )のあるパスを 手 っ 取 り 早 く 描 き<br />

たい 場 合 は、 方 向 を 気 にせず 外 側 と<br />

内 側 のアウトラインを 描 いてから<br />

shift+command+R(パス 方 向 を<br />

修 正 )を 適 用 します。<br />

外 周 のパスなど 黒 塗 りで 表 示 されるべきパスは 反 時 計 回 り、カウンター<br />

のパス( 白 抜 きで 表 示 されるべきパス)は 時 計 回 りで 描 かれなければいけ<br />

ません。パスの 方 向 を 変 更 するには、 任 意 のパスを 選 んで「パス > パス 方<br />

向 を 逆 転 」またはコンテクストメニューから「 選 択 パスの 方 向 を 逆 転 」を<br />

選 びます。パス 全 体 が 選 択 されている 必 要 はなく、1ポイントでも 選 択 さ<br />

れていれば 対 象 となります。もし 何 も 選 択 されていない 状 態 で「パス 方 向<br />

<strong>Glyphs</strong>ハンドブック2016 年 11 月 版<br />

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を 逆 転 」を 選 択 すると、すべてのパス 方 向 が 逆 転 されます。<br />

「パス > パス 方 向 を 修 正 」(shift+command + R)を 選 ぶと、パス 選 択 の<br />

有 無 に 関 係 なく<strong>Glyphs</strong> は 自 動 ですべてのパスの 正 しい 方 向 を 判 別 し、 必<br />

要 に 応 じて 修 正 します。 同 機 能 はパスの 重 なり 順 も 変 更 し、すべてのパス<br />

の 開 始 点 を 左 下 のポイントにリセットします。<br />

option を 押 すと 同 メニュー 項 目 は「 全 マスターのパス 方 向 を 修 正 」<br />

(option+shift+command + R)に 変 わります。 項 目 名 の 通 り、この 機<br />

能 は 選 択 中 のグリフのすべてのマスターのパス 方 向 を 修 正 します。もしブ<br />

レースレイヤー(12.7、p.146)やブラケットレイヤー(12.8、p.146)が<br />

ある 場 合 、これらにも 適 用 されます。この 機 能 はマスターでないレイヤー<br />

には 影 響 しません。マルチプルマスターのファイルでは 便 利 な 機 能 です。<br />

マルチプルマスターで 補 間 する 際 は、パスの 重 なり 順 、 開 始 点 の 位 置 、<br />

そしてパスの 方 向 はどのマスターでも 統 一 されてなければいけません。 詳<br />

細 は「12 マルチプルマスター」(p.139)を 参 照 してください。<br />

3.3.13 極 点 と 変 曲 点<br />

極 点 とはハンドルの 角 度 が 完 全 に 水 平 または 垂 直 になるポイントのことで<br />

す。パスには 極 点 を 置 くのが 慣 例 となっています。フォント 技 術 の 中 には<br />

ヒンティングなど 極 点 が 置 かれていることが 前 提 になっているものもあり<br />

ますし、ナッジ 移 動 (「3.3.2 ポイントとパスの 移 動 」、p.18)でも 極 点 が<br />

ある 方 が 容 易 に 制 御 できます。 変 曲 点 とはカーブ 方 向 が 途 中 で 入 れ 替 わる<br />

セグメント(2つの 弧 からなる 波 型 セグメント)の 方 向 転 換 点 のことです。<br />

パスのオフセット(5.<strong>2.3</strong>、p.56)などのフィルタでは 変 曲 点 があった 方<br />

が 美 しい 結 果 を 得 られます。フォントレンダラーの 中 にはこのようなポイ<br />

ントがない 場 合 、パスが 正 確 に 描 画 されない 可 能 性 があります。また、マ<br />

ルチプルマスターで 変 曲 点 がない 場 合 、スムースポイントであるはずのポ<br />

イントが 折 れることもあります。なお、Web フォントの 製 作 などではファ<br />

イルサイズを 最 小 限 に 保 つためにポイント 数 を 少 なめに 抑 えた 方 がいい 場<br />

<strong>Glyphs</strong>ハンドブック2016 年 11 月 版<br />

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合 もあります。<br />

本 来 ならば 極 点 が 存 在 するべき 曲 線 のセグメント 上 をペンツール◆pentool(P)<br />

でshift+ クリックすることで 極 部 分 、つまりアウトラインの 上 下 左 右 の<br />

末 端 に 極 点 を 打 つことができます。また、2つの 弧 からなる 波 型 セグメン<br />

ト(ダブルカーブ)の 中 間 付 近 をshift+ クリックすると 変 曲 点 を 追 加 し、<br />

2つの 弧 (シングルカーブ)のセグメントに 分 割 できます。 例 えば 欧 文 のS<br />

の 中 央 のスパインと 呼 ばれるカーブ 部 分 は1つのセグメントで 描 くことは<br />

できますが、( 例 :3.3.11の 挿 絵 )、 元 々のPostScript の 仕 様 ではダブル<br />

カーブ(S 字 )は 推 奨 されていないので、それに 従 ってカーブを 分 割 した<br />

い 場 合 にShift + クリックが 有 効 になるのです。<br />

「パス > 極 点 を 追 加 」を 選 ぶと、 現 在 のレイヤーのすべての 極 部 分 に<br />

ポイントが 追 加 されます(パスやセグメントを 選 択 しておく 必 要 はありま<br />

せん)。ただし、あまりにも 小 さなセグメントができると 予 想 される 箇 所 に<br />

は、<strong>Glyphs</strong> は 極 点 を 追 加 しません。このような 場 合 、ポイントの 配 置 は<br />

意 図 的 なものであると 解 釈 するからです。 逆 に 極 点 から 微 妙 に 外 れている<br />

ポイントが 存 在 した 場 合 、<strong>Glyphs</strong> はカーブ 形 状 を 保 ちつつそのポイント<br />

を 極 点 位 置 に 動 かそうとします。<br />

極 点 は「AddExtremes」カスタムパラメータを 使 ってフォント 出 力<br />

時 に 追 加 することもできます。 詳 細 は「17 補 足 資 料 」(p.174)の「フィ<br />

ルタ」の 章 を 参 照 してください。この 機 能 はマルチプルマスターの 互 換 性<br />

維 持 のため、フォント 出 力 時 まで 極 点 追 加 を 後 回 しにしたいときなどに 便<br />

利 です。<br />

3.3.14 重 なったポイント<br />

2 個 の 隣 り 合 ったオンカーブポイントが 同 一 の 座 標 に 存 在 し、 結 果 として<br />

セグメントの 長 さがゼロになっている 場 合 、それらのポイントは 赤 で 表 示<br />

されます。これらのポイントは 片 方 が 削 除 可 能 であり、「パス > パスをク<br />

リーニング」(option + shift+command + T)で 自 動 的 に 削 除 できます。<br />

3.4 アンカー<br />

3.4.1 合 成 用 と 位 置 合 わせ 用 アンカー<br />

アンカーは<strong>Glyphs</strong> で 様 々な 役 割 を 果 たす 特 別 な 種 類 のポイントで、 赤 で<br />

表 示 されます。 基 本 的 にアンカーはコンポーネント、コーナーコンポーネ<br />

ント、キャップコンポーネントなどの 位 置 合 わせ、また 発 音 記 号 や 連 綿 機<br />

能 (「 8 図 形 の 再 利 用 」、p.97)の 位 置 合 わせに 使 われます。これらのアン<br />

カーには 命 名 規 則 が 存 在 します。 名 前 についての 詳 細 は「8.1.6 アンカー」<br />

<strong>Glyphs</strong>ハンドブック2016 年 11 月 版<br />

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(p.100)を 参 照 してください。「origin」という 名 前 のアンカーがレイヤー<br />

内 にある 場 合 、その 位 置 が 通 常 のパスのポイントとの 整 列 の 基 準 座 標 とし<br />

て 使 われます(「3.3.6 整 列 」、p.21)。<br />

サードパーティー 製 のスクリプトやプラグインの 中 にはアンカーを 多<br />

用 するものもあります。 詳 細 はそれぞれに 付 属 の 解 説 を 参 照 してください。<br />

3.4.2 リガチャー 用 キャレット<br />

リガチャー( 合 字 ) 用 のキャレット 位 置 とは、 合 字 が 表 示 された 時 にテキ<br />

ストカーソルが 表 示 されるべき 位 置 のことです。2 文 字 のリガチャーのグリ<br />

フでは「caret_1」と 名 のつくアンカーがベースライン 上 に 置 かれ、3 文 字<br />

以 上 のリガチャーでは「caret_2」「 caret_3」などが 追 加 されていきます。<br />

アンカー 名 は 同 名 のものが 複 数 存 在 してはいけませんが 数 字 の 順 番 は 関 係<br />

ありません。GDEFOpenTypeテーブルのLigatureCaretByPosに 従 って、<br />

座 標 のみを 参 照 してキャレット 位 置 と 順 番 が 決 まります。<br />

caret_1<br />

<strong>Glyphs</strong>がリガチャーとして 認 識 するグリフに「グリフ > アンカーを 自 動<br />

設 置 」(command+U)を 実 行 すると、 必 要 なアンカーが 挿 入 されます。<br />

リガチャーとして 認 識 するグリフとは、s_t やf_f_l など、 複 数 のグリフ 名<br />

がアンダースコア 区 切 りで 連 なったグリフのことです。 詳 細 は「6.6 グリ<br />

フ 名 とUnicode」( p.76)を 参 照 してください。<br />

このハンドブックの 執 筆 時 点 ではCocoaのテキストエンジンを 使 用 す<br />

るMacアプリケーションのみがキャレットアンカーを 参 照 します。Adobe<br />

とMicrosoftのアプリケーションはこの 情 報 を 無 視 します。<br />

3.4.3 アンカーの 追 加 、 編 集 、 削 除<br />

編 集 中 のグリフ 内 で 右 クリック(またはcontrol + クリック)して 表 示 さ<br />

れるコンテクストメニューから「アンカーを 追 加 」を 選 択 すると、そこに<br />

「new anchor」という 名 前 のアンカーが 追 加 されます。 追 加 時 にはテキ<br />

スト 入 力 モードになっており、 即 座 に 名 前 を 入 力 できます。 選 択 解 除 後 で<br />

も、あらためてアンカーをダブルクリックして 名 前 を 入 力 できます。また、<br />

アンカーを 選 択 すると 情 報 パネルにアンカー 名 が 表 示 されますので、これ<br />

<strong>Glyphs</strong>ハンドブック2016 年 11 月 版<br />

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をクリックすることでも 名 前 の 入 力 が 可 能 です。<br />

<strong>Glyphs</strong>には 各 グリフの 詳 細 情 報 のデータベースがあり、どのグリフに<br />

どんなアンカーが 必 要 なのかが 把 握 されています。この 情 報 をもとにアン<br />

カーを 追 加 するには「フォント > アンカーを 自 動 設 置 」(command+U)<br />

を 実 行 します。optionを 押 しながらだと 項 目 名 が「アンカーをリセット」<br />

となり、これを 実 行 すると 既 に 存 在 するアンカーは 破 棄 されてすべてのア<br />

ンカーが 再 配 置 されます(データベースにないアンカーは 削 除 されます)。<br />

アンカーはクリックで 選 択 できます。 選 択 状 態 でTab キーを 押 すと 次 の<br />

アンカー、shift+tab で 前 のアンカーに 移 ることができます。また、shift<br />

を 押 しながらクリックすると 複 数 のアンカーを 追 加 選 択 できます。アンカー<br />

の 名 前 は 選 択 時 にのみ 表 示 されます。すべてのアンカーを 選 択 したい 場 合<br />

は「 編 集 > すべてを 選 択 」(command + A)を 二 度 実 行 します。 一 度 実 行<br />

するとすべてのパスが 選 択 され、もう 一 度 実 行 するとコンポーネントとア<br />

ンカーもすべて 選 択 されます(パスが 存 在 しない 場 合 は 一 度 目 の 実 行 でコ<br />

ンポーネントとアンカーが 選 択 されます)。<br />

アンカーはマウスによるドラッグ、またはキーボードの 矢 印 キーで 移<br />

動 することができます。 矢 印 キーで 移 動 する 際 にshift キーを 押 しておく<br />

と10ユニット 単 位 、commandキーで100ユニット 単 位 の 移 動 が 可 能 です。<br />

また、 情 報 パネルに 座 標 を 入 力 して 移 動 することもできます。アンカーは<br />

通 常 赤 い 丸 で 表 示 されますが、ベースラインやxハイトに 揃 っている 時 は<br />

菱 形 で 表 示 されます。<br />

アンカーを 複 製 するにはoption を 押 しながらドラッグしてください<br />

(ドラッグ 前 からoption を 押 しておく 必 要 があります)。 複 製 されたアン<br />

カーは 名 前 の 末 尾 にアンダースコアが 追 加 されます。これは 各 レイヤー 内<br />

でアンカー 名 が 重 複 してはいけないためです。<br />

アンカーを 削 除 するには、アンカーを 選 択 した 状 態 でdelete または<br />

backspaceキーを 押 します。<br />

3.4.4 ベースグリフ+ 発 音 記 号 の 位 置 合 わせ<br />

<strong>Glyphs</strong> は 結 合 用 発 音 記 号 ( 字 幅 ゼロ)のアンカー(_top や_bottom な<br />

ど)と、それに 対 応 するアンカー(top やbottom など)を 持 ったベース<br />

グリフから、 自 動 的 にOpenType のmark フィーチャー(ベースグリフ<br />

+ 発 音 記 号 の 結 合 機 能 )をフォント 出 力 時 に 生 成 します。なお、 欧 文 用 の<br />

結 合 用 発 音 記 号 ( 字 幅 ゼロ)はグリフ 名 の 最 後 にcomb が 付 きます( 例 :<br />

acutecomb、macroncomb)。<br />

例 えば 小 文 字 m に「top」というアンカーがあり、 結 合 用 発 音 記 号<br />

acutecomb に「_top」というアンカーがあった 場 合 、それぞれの 位 置 が<br />

参 照 され、 元 々フォントには 存 在 しなかったアキュート 付 きのmがフォン<br />

ト 使 用 時 に 自 動 的 に 合 成 されて 使 用 できるようになります。<br />

結 合 用 発 音 記 号 はそれぞれ 固 有 のUnicode 値 を 持 っており、テキスト<br />

<strong>Glyphs</strong>ハンドブック2016 年 11 月 版<br />

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入 力 時 にタイプしたりペーストしたりできます。markフィーチャーがある<br />

と、まずベースとなる 文 字 、 次 に 結 合 用 発 音 記 号 を 入 力 することで、フォ<br />

ントのユーザーはあらゆる 文 字 とあらゆる 発 音 記 号 の 組 み 合 わせを 入 力 す<br />

ることができます。<br />

markフィーチャーと 併 せて、もしフォント 内 にidotless やjdotless<br />

がある 場 合 、<strong>Glyphs</strong> は 自 動 的 にccmp フィーチャー(グリフの 結 合 と 解<br />

体 機 能 )もフォント 出 力 時 に 生 成 します。 詳 細 は「17.1 フィーチャー 自 動<br />

生 成 」(p.174)を 参 照 してください。<br />

3.4.5 発 音 記 号 + 発 音 記 号 の 位 置 合 わせ<br />

結 合 用 発 音 記 号 にアンダースコア 付 きアンカー(_top など)と 普 通 のア<br />

ンカー(top など)の 両 方 がある 場 合 、<strong>Glyphs</strong>は 自 動 的 にmkmkフィー<br />

チャー(mark to mark、 発 音 記 号 + 発 音 記 号 の 結 合 機 能 )をフォント 出<br />

力 時 に 生 成 します。これがあると、1つの 文 字 に 二 重 (またはそれ 以 上 )<br />

の 発 音 記 号 を 記 すことができます。<br />

例 えばacutecombの 下 部 に 通 常 通 り_top アンカーを 置 いた 後 、 上 部<br />

にtop アンカーを 置 いた 場 合 、フォント 使 用 時 に「 文 字 + アキュート + も<br />

う1つ 発 音 記 号 」という 文 字 を 入 力 することができます。<br />

3.4.6 連 綿 の 位 置 合 わせ 用 アンカー<br />

アラビア 文 字 ではベースラインが 常 に 水 平 とは 限 らず、 書 風 によっては 徐 々<br />

にベースラインが 下 がっていきます。これをフォントで 実 現 するためには 各<br />

文 字 の 連 綿 の 位 置 を 正 確 に 合 わせる 必 要 がありますが、そのためには、そ<br />

れぞれの 文 字 の 連 綿 の 終 わり( 語 頭 形 、 語 中 形 の 左 端 )に「exit」という<br />

アンカーを、 始 まり( 語 中 形 、 語 尾 形 の 右 端 )に「entry」というアンカー<br />

を 置 きます。テキスト 入 力 時 にはentryアンカーの 位 置 とexitアンカーの<br />

位 置 が 合 わせられ、 完 全 に 水 平 なデザインだけでなく 徐 々に 線 が 下 ってい<br />

くようなデザインが 可 能 になります。 右 書 きプレビューがオンになってい<br />

ると、 連 綿 アンカーの 結 果 は 自 動 的 に 反 映 されます。 詳 細 は「3.8.3 書 字<br />

方 向 」(p.36)を 参 照 してください。<br />

3.5 ガイドライン<br />

3.5.1 スマートガイドライン<br />

ポイントをドラッグ 移 動 する 際 、 他 のポイントと 整 列 しているか 水 平 垂 直<br />

に 移 動 している 際 に 赤 い 線 (スマートガイドライン)が 表 示 されます。 一<br />

時 的 に 表 示 を 無 効 化 するにはcontrolキーを 押 してください。<br />

ドラッグ 中 のオブジェクトは 他 のオンカーブポイントやハンドルにス<br />

ナップします。これはコンポーネントでも 同 様 で、コンポーネント 内 のポ<br />

イントにスナップする 際 はそのポイントが 小 さく 表 示 され、 周 囲 に 赤 い 丸<br />

<strong>Glyphs</strong>ハンドブック2016 年 11 月 版<br />

29


が 表 示 されます。これもドラッグ 中 にcontrol キーを 押 すことで 一 時 的 に<br />

無 効 化 できます。<br />

3.5.2 ローカルガイドラインとグローバルガイドライン<br />

右 クリック(またはcontrol + クリック)で 表 示 されるコンテクストメ<br />

ニューから「ガイドラインを 追 加 」を 選 択 すると、 表 示 中 のレイヤーに 水<br />

平 のガイドラインが 追 加 されます( 青 い 線 で 表 示 されます)。なお、2 点 の<br />

ポイントが 選 択 された 状 態 で「ガイドラインを 追 加 」を 実 行 すると、その<br />

2 点 を 貫 通 するガイドラインが 追 加 されます。<br />

上 級 Tip: 計 測 ガイドラインを 素 早<br />

く 追 加 するには、 物 差 しツール 中 で<br />

ドラッグしている 時 にGを 押 します。<br />

その 直 線 に 従 って 計 測 ガイドライン<br />

が 追 加 されます。なお、control+<br />

option+commandキーを 同 時 押<br />

しすることでいつでもものさしツー<br />

ルにアクセスすることができます。<br />

この 青 いガイドラインは 現 在 のレイヤーでしか 表 示 されないローカル<br />

ガイドラインです。フォント 内 のすべてのグリフに 現 れるグローバルガイ<br />

ドラインも 存 在 し、これは 赤 色 で 表 示 されます。 既 存 のローカルガイドラ<br />

インのタイプをグローバルガイドラインに 変 更 するにはガイドラインを 選<br />

択 し、コンテクストメニューから「グローバルガイドラインにする」を 選<br />

んでください。グローバルガイドラインをローカルガイドラインに 戻 す 際<br />

の 動 作 も 同 様 です。<br />

ガイドラインはクリックで 選 択 できます。 選 択 されるとガイドライン<br />

上 の 小 さな 丸 が 塗 りで 表 示 されます( 選 択 されていない 時 は 小 さな 丸 の 内<br />

側 が 白 く 表 示 されています)。ガイドラインを 洗 濯 中 にtab キーで 他 のガイ<br />

ドラインを 順 に 選 択 、shift+Tab キーで 逆 順 に 選 択 することができます。<br />

ガイドライン 上 の 小 さな 丸 は 任 意 の 位 置 にドラッグ 移 動 することができ<br />

ます。 小 さな 丸 をドラッグ 移 動 するとガイドラインは 角 度 を 保 ったままで<br />

移 動 します。 他 のポイントやアンカーなどと 同 様 に、 小 さな 丸 を 矢 印 キー<br />

で 移 動 することも 可 能 です(shift+ 矢 印 やcommand + 矢 印 により 大 き<br />

な 単 位 で 移 動 できます)。 小 さな 丸 をダブルクリックすると、そこを 中 心 に<br />

ガイドラインが90 度 回 転 します(うまくいかない 場 合 は 他 の 場 所 をクリッ<br />

クして 選 択 を 解 除 した 後 、あらためてダブルクリックしてください)。 小 さ<br />

な 丸 以 外 の 場 所 ( 線 )をクリックして 選 択 した 後 、 線 をドラッグすると 小<br />

さな 丸 を 中 心 にガイドラインを 回 転 することができます。<br />

optionキーを 押 しながら 小 さな 丸 をドラッグすることでガイドライン<br />

を 複 製 することができます。ガイドラインのコピーペーストも 可 能 です。<br />

ガイドラインを 選 択 し、 情 報 パネル(shift+command + I)で 位 置<br />

や 角 度 を 数 値 指 定 することもできます。x 欄 、y 欄 で 小 さな 丸 の 座 標 を、◆guidean<br />

マークの 欄 で 角 度 を 指 定 します。なお、 初 期 状 態 ( 情 報 パネルの ◆alignleが 選 択<br />

された 状 態 )では 左 のサイドベアリングが 座 標 指 定 の 基 準 となっています<br />

(x の 値 が 大 きくなるほど 小 さな 丸 が 右 方 向 へ 移 動 )。 情 報 パネルの 整 列 ア<br />

イコン◆alignriをクリックすると 基 準 は 右 サイドベアリングとなります(x の 値<br />

が 大 きくなるほど 小 さな 丸 が 左 方 向 へ 移 動 )。これはアラビア 文 字 やヘブラ<br />

イ 文 字 などの 右 基 準 の 文 字 のガイドラインが 必 要 な 局 面 、あるいは 右 サイ<br />

ドベアリングの 変 更 に 合 わせてガイドラインの 位 置 を 追 従 させたいときに<br />

<strong>Glyphs</strong>ハンドブック2016 年 11 月 版<br />

30


有 効 です。なお、 整 列 アイコン◆alignceをクリックすると 基 準 が 左 右 サイドベア<br />

リングの 中 央 となり、x の 値 を 変 更 しても 小 さな 丸 は 移 動 しません。<br />

小 さな 丸 を 選 択 してコンテクストメニューから「ガイドラインをロッ<br />

ク」を 選 ぶとガイドラインの 位 置 が 固 定 され、クリックやドラッグなどの<br />

動 作 に 反 応 しなくなります。ロックされたガイドラインには 小 さな 丸 の 代<br />

わりに 錠 前 のアイコンが 表 示 されます。ロックを 解 除 するにはアイコン 上<br />

で 右 クリック(またはcontrol + クリック)によりコンテクストメニュー<br />

を 表 示 し、「ガイドラインをアンロック」を 選 んでください。<br />

上 から 順 : 未 選 択 と 選 択 状 態 のロー<br />

カルガイド、 未 選 択 と 選 択 状 態 のグ<br />

ローバルガイド、ロック 状 態 のロー<br />

カルガイド、ロック 状 態 のグローバ<br />

ルガイド<br />

ものさしツール 選 択 中 にGを 押 すと 計 測 ガイドライン( 距 離 を 計 測 できる<br />

ガイドライン)が 作 成 されます。 情 報 パネル 右 下 のものさしアイコン◆measure<br />

をクリックしても 計 測 ガイドラインに 変 換 できます。 詳 細 は「3.9 計 測 」<br />

(p.36)を 参 照 してください。<br />

3.5.3 グリフごとの 取 り 消 し 履 歴<br />

編 集 ビューおよびグリフビューでは、 取 り 消 し 用 の 履 歴 はグリフごとに 保<br />

管 されています。<br />

つまり、フォント 全 体 やマスター 単 位 に 関 わる 操 作 (グローバルガイ<br />

ドラインの 編 集 など)については 取 り 消 しができません(グローバルガイ<br />

ドラインは 特 定 のグリフではなくマスターに 帰 属 するため)。<br />

3.6 グリフの 表 示<br />

3.6.1 ズーム<br />

編 集 ビューでは 様 々な 方 法 でズームイン、ズームアウトができます。<br />

MacBookや 外 付 けのトラックパッドをお 使 いの 方 は、2 本 指 によるピ<br />

ンチのジェスチャーが 使 えます。option キー + スクロールジェスチャー、<br />

あるいはoptionキー + マウスのスクロールでもズームが 可 能 です。<br />

Tip: command+spaceのショート<br />

カットを 有 効 にするには、<br />

Spotlightまたはキーボード 切 り 替<br />

えのショートカットを 停 止 しておく<br />

必 要 があります。<br />

ズームツール◆zoomtoo(Z)で 編 集 エリアをクリックするとズームイン、<br />

option を 押 しながらクリックするとズームアウトできます。また、ズー<br />

ムツールでドラッグすることでエリアをズームアップできます。なお、 他<br />

ツールを 使 用 している 際 にcommand + space を 押 すと 一 時 的 にズー<br />

ムツールが 使 用 できます。command + space + クリックでズームイン、<br />

option+command + space + クリックでズームアウトできます。<br />

<strong>Glyphs</strong>ハンドブック2016 年 11 月 版<br />

31


「 表 示 > ズームイン」(option + プラス)および「 表 示 > ズームアウト」<br />

(option + ハイフン)によるズームイン、ズームアウトも 可 能 です。<br />

「アクティブなレイヤーにズーム」(command + 0)を 実 行 すると、 現<br />

在 選 択 中 のグリフのアセンダーからディセンダーまでが 編 集 ビューに 収 ま<br />

るように 表 示 します。「 原 寸 大 にズーム」(option + command + 0)では<br />

ユニットのサイズが 画 面 のピクセルに 揃 うように 表 示 されます( 標 準 解 像<br />

度 のスクリーンでは1ユニット = 1ピクセル、Retina スクリーンでは1ユ<br />

ニット = 2ピクセル)。<br />

ウインドウ 右 下 のズームボタンによるズームイン、ズームアウトも 可 能 で<br />

す。なお、ズームインボタンとズームアウトボタンの 間 に 表 示 される 数 字<br />

は1000ユニットを 何 ピクセルで 表 示 しているかを 示 しています。この 数<br />

値 を 変 更 することで 表 示 サイズを 指 定 することができます。1000と 入 力<br />

した 場 合 、 標 準 解 像 度 のスクリーン(MacOSXは 標 準 スクリーン 解 像 度 を<br />

72ppiと 仮 定 します)では1ユニットが1ピクセルで 表 示 されることになり<br />

ます。Retinaスクリーン(スクリーン 解 像 度 を144ppiとみなします)で<br />

あれば1ユニットが2ピクセルで 表 示 されます。<br />

3.6.2 スクロール<br />

トラックパッドを 使 用 している 場 合 、2 本 指 スクロールのジェスチャーで<br />

画 面 をスクロールできます。マウスではホイールを 回 転 させると 縦 方 向 の<br />

スクロール、shift を 押 しながらホイールを 回 転 させると 横 にスクロール<br />

できます。また、 編 集 ビュー 右 端 と 下 端 のスクロールバーをドラッグして<br />

もスクロールすることが 可 能 です(スクロールバーの 挙 動 はシステム 環 境<br />

設 定 の「 一 般 」で 変 更 できます)。 手 のひらツール ◆handtoo(H)によるドラッグ<br />

でもスクロールできます。なお、 他 ツールを 使 用 している 際 にspaceを 押<br />

して 一 時 的 に 手 のひらツールが 使 用 することも 可 能 です(ただしテキスト<br />

入 力 モードのときはspaceバーを 押 すとスペースが 入 力 されてしまいます。<br />

これを 避 けるにはcommand + space を 押 してからcommand のみを 放<br />

してください。またはescキーでテキスト 入 力 モードを 解 除 します)。<br />

3.6.3 表 示 オプション<br />

表 示 メニューでは 編 集 ビューに 表 示 される 内 容 を 変 更 できます。<br />

「ポイントを 表 示 」ではオンカーブポイント、オフカーブポイントの 表<br />

示 の 有 無 を 設 定 できます。<br />

「メトリクスを 表 示 」ではグリフのメトリクス 線 の 表 示 の 有 無 を 設 定 で<br />

きます。<br />

<strong>Glyphs</strong>ハンドブック2016 年 11 月 版<br />

32


「ヒントを 表 示 」ではPostScript のヒンティングの 表 示 およびキャッ<br />

プコーナーコンポーネントの 表 示 の 有 無 を 設 定 できます。<br />

「プレビューを 黒 塗 り」では 非 アクティブなレイヤーの 閉 じたパスを 黒<br />

で 塗 りつぶすか 否 かを 設 定 できます。<br />

他 にも 編 集 ビューを 切 り 替 えるサードパーティー 製 のプラグインが 数<br />

多 く 用 意 されています。これらをインストールすると 表 示 メニューに 項 目<br />

が 追 加 されます。 詳 細 は「16.2 プラグイン」(p.172)を 参 照 してください。<br />

3.6.4 グリフとレイヤーの 色<br />

フォントビューでは 選 択 したグリフに 対 してカラーラベルを 設 定 できます<br />

が、 編 集 ビューではグリフのカラーラベルだけではなくレイヤー 独 自 のカ<br />

ラーラベルも 設 定 することができます。 編 集 ビューでレイヤー 選 択 中 に 右<br />

クリック(またはcontrolクリック)でコンテクストメニューを 開 き、「レ<br />

イヤー 用 の 色 を 設 定 」オプションにチェックマークをつけると、グリフで<br />

はなくレイヤーのカラーラベルを 設 定 できます。<br />

コンテクストメニューを 表 示 させた 状 態 でoptionキーを 押 すと「レイヤー<br />

のカラーラベル」オプションに 切 り 替 わり、グリフではなくレイヤーに 色<br />

をつけられます。 情 報 パネルにはグリフのカラーラベルとレイヤーのカ<br />

ラーラベルの 両 方 が 表 示 されます( 情 報 パネルの 左 がグリフのカラーラベ<br />

ル、 右 がレイヤー 用 のカラーラベル)。<br />

また、フォントビューでも 同 様 に2 色 で 表 示 されるようになります。 詳 細<br />

は「6.3.5 カラーラベル」(p.68)を 参 照 してください。なお、 情 報 パネ<br />

ルの 表 示 は「 表 示 > 情 報 パネルを 表 示 」(shift+command + I)です。<br />

<strong>Glyphs</strong>ハンドブック2016 年 11 月 版<br />

33


3.7 背 景 レイヤー<br />

編 集 ビューは 背 景 レイヤーを 必 ず 持 っています。 背 景 レイヤーは 一 時 的 に<br />

パスを 保 管 したり 変 更 内 容 を 比 較 確 認 したりするのに 便 利 です(たとえば<br />

フィルタの 中 には「フィルタ > ハッチング」など 現 在 作 業 中 のアウトライ<br />

ンをバックアップのため 背 景 レイヤーに 自 動 的 に 複 製 するものもあります)。<br />

通 常 レイヤーで 作 業 している 際 、 背 景 レイヤーに 存 在 するパスやコンポー<br />

ネントのアウトラインは 薄 い 灰 色 で 表 示 されます。<br />

「パス > 背 景 レイヤーを 編 集 」(command + B)にチェックをつける<br />

と 背 景 レイヤーに 移 動 し、 背 面 が 薄 い 茶 色 で 表 示 されるようになります( 環<br />

境 設 定 で 色 は 変 更 可 能 )。なお、 背 景 レイヤーで 作 業 している 間 は 通 常 レイ<br />

ヤーのパスが 薄 い 灰 色 で 表 示 されます。<br />

通 常 レイヤーを 表 示 している 時 に「 表 示 > 背 景 レイヤーを 表 示<br />

(shift+command+B)」のチェックを 外 すと 背 景 レイヤーが 表 示 されな<br />

くなります。 反 対 に、 背 景 レイヤーを 表 示 している 時 に「 表 示 > 背 景 レイ<br />

ヤーを 表 示 (shift+command + B)」のチェックを 外 すと 通 常 レイヤー<br />

が 表 示 されなくなります。<br />

通 常 レイヤーでパスやコンポーネントなどのオブジェクトを 選 択 し、<br />

「パス> 選 択 内 容 を 背 景 レイヤーに 複 製 」(command + J)を 実 行 すると、<br />

選 択 したオブジェクトが 背 景 レイヤーに 複 製 されます( 背 景 レイヤーで 作<br />

業 している 時 は 逆 に 作 用 します)。この 時 、それまで 背 景 レイヤーに 存 在 し<br />

たオブジェクトは 削 除 されます。option を 押 しながらだと「パス > 選 択<br />

内 容 を 背 景 レイヤーに 追 加 」(option + command + J)という 項 目 名 にな<br />

り、それまで 背 景 レイヤーに 存 在 したオブジェクトを 削 除 することなく 選<br />

択 中 のオブジェクトを 追 加 できます。<br />

「パス > 背 景 レイヤーと 入 れ 替 え」(control + command + J)を 実 行<br />

すると 通 常 レイヤーと 背 景 レイヤーの 内 容 を 入 れ 替 わえることができます。<br />

また、「パス」メニューを 開 いている 際 にoptionキーを 押 すと「 背 景 レイ<br />

ヤーを 消 去 」という 項 目 が 現 れ、 背 景 レイヤーの 内 容 を 空 にできます。こ<br />

れらはフォントビューで 複 数 グリフ 選 択 時 に 実 行 することも 可 能 です。<br />

編 集 ビューで 作 業 している 時 に「レイヤー > 背 景 レイヤーを 割 り 当 て<br />

る…」を 選 択 すると、 現 在 開 いている 他 の<strong>Glyphs</strong> ファイルの 当 該 グリフ<br />

を 背 景 レイヤーに 割 り 当 てることができます。フォントビューで 複 数 のグ<br />

リフを 選 択 した 状 態 で 実 行 することも 可 能 です。また 作 業 中 の<strong>Glyphs</strong>ファ<br />

イル 自 身 を 選 択 することで、 現 在 のパスを 背 景 に 複 製 することもできます。<br />

Tip: テキスト 入 力 モードからグリ<br />

フ 編 集 に 素 早 く 移 るには、escキー<br />

を 押 してください。<br />

3.8 テキスト 入 力<br />

編 集 ビューはシンプルなテキストエディターとして 機 能 し、 単 語 または 文<br />

章 を 見 ながらアウトライン 編 集 することが 可 能 です。テキストツール(T)<br />

が 選 ばれている 状 態 で 入 力 します。システム 環 境 設 定 で 選 択 されている 入<br />

力 モードでの 入 力 、キーボードビューアや 文 字 ビューアからの 入 力 、 他 ア<br />

<strong>Glyphs</strong>ハンドブック2016 年 11 月 版<br />

34


プリケーションからのコピー&ペースト、「 編 集 > 特 殊 文 字 …」からの 入<br />

力 など、 様 々な 方 法 による 文 字 入 力 を 受 け 付 けます。 音 声 認 識 でのテキス<br />

ト 入 力 も 可 能 です。<br />

編 集 ビューの 横 幅 の 最 大 幅 は「<strong>Glyphs</strong> > 環 境 設 定 」のユーザー 設 定<br />

で 設 定 できます。 計 算 の 基 準 はフォントのユニット 数 (UPM)です。 例 え<br />

ば1000UPMのフォントを 制 作 する 場 合 、 編 集 ビュー 幅 を20000と 設 定 す<br />

ると1 行 に 全 角 20 文 字 が 表 示 できることになります。<br />

編 集 ビューのテキスト 量 が 多 いとアプリケーションが 遅 くなることに 注<br />

意 してください。プレビューが 開 いていると 更 にスピードが 落 ちます。 制<br />

作 中 のフォントで 量 の 多 いテキストを 組 んでテストしたい 場 合 は、フォン<br />

トファイルを 出 力 することをお 勧 めします( 出 力 先 はAdobe のFonts フォ<br />

ルダを 推 奨 )。 詳 細 は「3.12.7 Adobeアプリケーションでのプレビュー」<br />

(p.46)をご 覧 ください。<br />

3.8.1 サンプルテキスト<br />

環 境 設 定 にはサンプルテキストを 数 の 上 限 なく 保 存 しておくことができま<br />

す。サンプルテキストの 内 容 は「<strong>Glyphs</strong> > 環 境 設 定 」の「サンプルテキ<br />

スト」タブで 設 定 してください(「2.1.3 サンプルテキスト」、p.13)。サ<br />

ンプルテキストを 使 用 する 場 合 は、 編 集 ビューで「 編 集 > サンプルテキス<br />

トを 選 択 …」(option + command + F)を 選 びます。ダイアログで 矢 印<br />

キーの 上 下 (またはマウスクリック)で 選 択 し、return キーを 押 します<br />

(OK ボタンをクリックでも 可 )。<br />

「 編 集 > その 他 > 前 のサンプルテキスト」(または「 次 のサンプルテキ<br />

スト」)を 選 択 すると、ダイアログを 開 かずに 前 後 のサンプルテキストを 使<br />

用 することができます。これらにショートカットを 割 り 当 てたい 場 合 はシ<br />

ステム 環 境 設 定 から 設 定 を 行 ってください。<br />

3.8.2 テキストツール<br />

テキストツール(T) 選 択 中 はキーボードで 文 字 入 力 することができます。<br />

<strong>Glyphs</strong>ハンドブック2016 年 11 月 版<br />

35


単 語 や 文 章 の 入 力 はもちろん、 改 行 も 可 能 です。コピーペーストすること<br />

もできます。 矢 印 キーや「 編 集 」メニューの 各 種 機 能 、OSX の「サービ<br />

ス」 機 能 も 他 のMac アプリケーションと 同 様 に 機 能 します。<br />

カーソルの 右 側 が 現 在 アクティブなグリフです。フォントビュー 上 の<br />

前 のグリフまたは 後 のグリフに 移 動 するにはhomeまたはendキーを 押 し<br />

てください。これはフォントビュー 上 の 表 示 グリフを 絞 っている 場 合 に 便<br />

利 です。<br />

「 編 集 > プレースホルダーを 挿 入 」(option + shift+command + P)<br />

を 選 ぶとプレースホルダーを 入 力 することができます。これは 現 在 のグリ<br />

フと 同 じものを 自 動 的 に 表 示 する 仮 想 グリフのようなものです。 例 えばn<br />

がプレースホルダーで「ononnoon」と 表 示 していた 場 合 、プレースホル<br />

ダーをk に 変 更 するだけで 表 示 を「okokkook」に 切 り 替 えることができ<br />

ます。サイドベアリング 編 集 中 に 同 じグリフを 繰 り 返 し 表 示 させたいとき<br />

などに 便 利 です。<br />

キーボードで 入 力 することができないグリフや 入 力 方 法 を 知 らない<br />

グリフを 入 力 する 時 は「 編 集 > 検 索 」のサブメニューから「 検 索 …」<br />

(command+F)を 選 びます。ダイアログ 上 部 の 検 索 欄 にグリフ 名 の 一 部<br />

を 入 力 するとその 文 字 列 が 含 まれるグリフがすべて 表 示 されますので、グ<br />

リフ 名 をダブルクリックするかreturnキーを 押 す、あるいは「 選 択 」ボタ<br />

ンをクリックすることでグリフを 決 定 します。「dier 01」など、スペース<br />

で 区 切 った 複 数 のキーワードで 検 索 すると、adieresis.ss01やedieresis.<br />

cv01など、キーワードをすべて 含 むグリフが 表 示 されます。 複 数 のグリフを<br />

選 択 するには、shiftを 押 しながらクリックで 範 囲 選 択 するか、command<br />

を 押 しながらで 個 別 追 加 します。<br />

3.8.3 書 字 方 向<br />

編 集 ビューではウインドウ 右 下 のメニューから 左 書 き、 右 書 き、そして 縦<br />

書 きを 選 べます。<br />

3.9 計 測<br />

<strong>Glyphs</strong> ではいくつかの 方 法 で 座 標 、またポイントやカーブ 間 の 距 離 を 計<br />

測 することができます。<br />

3.9.1 情 報 パネル<br />

灰 色 の 情 報 パネルの 表 示 / 非 表 示 は「 表 示 > 情 報 パネルを 表 示 」<br />

(shift+command + I)で 切 り 替 えられます。<br />

<strong>Glyphs</strong>ハンドブック2016 年 11 月 版<br />

36


情 報 パネルの 右 側 には 現 在 選 択 しているものに 関 連 した 情 報 が 表 示 されま<br />

す。オンカーブポイントが1つ 選 択 された 場 合 はその 座 標 が 表 示 されます。<br />

オフカーブポイント(ハンドル)を 選 ぶと 情 報 パネルにはデルタ 値 (オン<br />

カーブポイントからの 水 平 距 離 Δx と 垂 直 距 離 Δy)および 直 線 距 離 (L)<br />

が 表 示 されます。<br />

Tip: 簡 単 かつ 正 確 にステムやボウ<br />

ルの 幅 を 調 べるには、 該 当 する2つ<br />

のポイントを 選 び、 選 択 範 囲 の 幅 の<br />

値 を 確 認 してください。<br />

オフカーブ、オンカーブに 関 わらず 複 数 のポイントを 選 ぶと、 情 報 パ<br />

ネルには 選 択 範 囲 の 幅 (↔)と 高 さ(↕)が 表 示 されます。x とyは 左 の<br />

マトリクスで 選 択 した 基 準 点 に 基 づいた 座 標 となっています。つまりマト<br />

リクスの 中 心 を 選 ぶと、 現 在 選 択 している 範 囲 の 中 央 の 座 標 が 表 示 されま<br />

す。 一 番 右 の 数 字 はレイヤー 内 のポイントの 総 数 (□)と、 選 択 している<br />

ポイントの 総 数 (■)です。<br />

情 報 パネルに 表 示 される 値 は、ポイント 数 を 除 いて 数 値 入 力 により 変 更 す<br />

ることが 可 能 です(tab キーまたはshift+tab で 入 力 欄 を 移 動 できます)。<br />

新 しい 入 力 値 はreturnキーを 押 すか、tab(またはshift + tab)で 違 う 入<br />

力 欄 に 移 ったときに 適 用 されます。 矢 印 キーの 上 下 でも 数 値 を 増 減 するこ<br />

とができます。この 場 合 、shiftを 押 しながら 矢 印 キーを 押 すことで 変 化 量<br />

が10 単 位 になります。なお、 数 値 入 力 で 拡 大 縮 小 する 場 合 は、◆lock◆アイコン<br />

で 比 率 固 定 の 有 無 が 切 り 替 わることと、 左 のマトリクスで 指 定 した 位 置 が<br />

基 準 点 になることに 注 意 してください。<br />

コンポーネントが 選 択 されている 場 合 、 情 報 パネルにはコンポーネン<br />

トのベースグリフ 名 、ベースグリフからの 相 対 位 置 、 拡 大 縮 小 率 、 角 度 が<br />

表 示 されます。 右 上 にある 小 さな ◆jumplinボタンをクリックすると、 現 在 のグリ<br />

フの 左 にベースグリフが 挿 入 され、 編 集 可 能 な 状 態 になります。コンポー<br />

ネントの 操 作 の 詳 細 は「8 図 形 の 再 利 用 」(p.97)を 参 照 してください。<br />

コンポーネントのベースグリフを 変 更 するには、 情 報 パネルに 表 示 されて<br />

いるベースグリフ 名 をクリックし、 表 示 されたダイアログで 新 しいグリフ<br />

を 選 びます。コンポーネントの 位 置 、 拡 大 縮 小 率 、 角 度 を 変 更 するには 情<br />

報 パネルの 各 欄 に 数 値 を 入 力 します(コンポーネントの 位 置 は 自 動 整 列<br />

がオフになっている 場 合 にのみ 変 更 可 能 です。 詳 細 は「8.1.7 自 動 整 列 」<br />

(p.102)を 参 照 してください)。<br />

<strong>Glyphs</strong>ハンドブック2016 年 11 月 版<br />

37


3.9.2 ものさしツール<br />

ものさしツール ◆rulerto(L)に 切 り 替 えるとすべてのポイントの 座 標 が 表 示 されま<br />

す。 一 時 的 にものさしツールを 使 用 するにはcontrol + option + command<br />

を 同 時 押 しします。<br />

333, 446<br />

279, 479<br />

-158, 0<br />

491, 446<br />

, -735<br />

-210, -250<br />

279, 400<br />

-210, 250<br />

121, 171<br />

121, -171<br />

69, 229<br />

-115.4, -204<br />

158, 229<br />

400, 229<br />

489, 229<br />

-0.8, 735<br />

-121, 172<br />

326, 303<br />

210, -251 279, 57<br />

-121, -172<br />

161.4, 265<br />

210, 251<br />

279, -22<br />

214, 242<br />

x のデルタ 値 はフォント 情 報 のイタ<br />

リック 角 度 を 参 照 します。x デルタ<br />

ものさしツール<br />

Allegra Gerade.glyphs<br />

選 択<br />

-<br />

時<br />

abc<br />

に<br />

Allegra<br />

表 示 される 青 い 数 字 はオンカーブポイントのx 座<br />

標 とy 座 標 、 赤 い 数 字 は 曲 線 セグメントのオンカーブポイント 同 士 のデル<br />

ïb ïf ïj ïk ïl ït Iï iï /f_k.liga ◆/e.sc/oe.sc/… s12nⁿ col/periodcen… CGOQS/dotac… Á/acutecomb.… /acutecomb.c… Ysop Ytong Y… noðnnisnoonl… colk/periodce… k<br />

が0の 場 合 、イタリック 角 とセグメ<br />

ントが 完 全 に 一 致 しているというこ<br />

とになります。<br />

タ 値 です。これらの 値 を 見 ることでアウトラインの 対 称 性 などを 確 認 する<br />

ことができます。<br />

ものさしツールでドラッグすると、アウトライン 間 の 直 線 距 離 を 測 るこ<br />

とができます。ドラッグ 中 のポインタの 先 には 角 度 が 表 示 されます。shift<br />

を 押 しながらドラッグすると 角 度 を 水 平 または 垂 直 に 固 定 することができ<br />

ます。<br />

131.2, -242<br />

325, 181<br />

1.1, -122<br />

-184.3, 303<br />

54.9<br />

15.4°<br />

143.0<br />

34.3<br />

146, 0<br />

199, 0<br />

現 在 のグリフだけでなく 編 集 ビューのすべてのグリフを 横 断 して 計 測 する<br />

249, 0<br />

ことも 可 能 です。<br />

164, 0<br />

341, 0<br />

505, 0<br />

k<br />

n (57) -13<br />

496<br />

006B<br />

Kerning<br />

k<br />

2428 pt<br />

<strong>Glyphs</strong>ハンドブック2016 年 11 月 版<br />

38


Allegra Gerade.glyphs - abc Allegra<br />

Font ïb ïf ïj ïk ïl ït Iï iï /f_k.liga ◆/e.sc/oe.sc/ae… s12nⁿ col/periodcent… CGOQS/dotacc… Á/acutecomb.c… /acutecomb.case Ysop Ytong Yuma noðnnisnoonlvæn col/periodcent…<br />

65, 660<br />

-146, 0211, 660<br />

142, 620<br />

208, 446<br />

-0.5, -660<br />

89.8 146.5 36.3 175.3 40.0 146.5 116.3 61.8<br />

-0.5, 660<br />

0.0°<br />

53, 0<br />

147, 129, 0<br />

200, 0<br />

Features<br />

l<br />

006C<br />

Kerning n (57) n (57)<br />

Kerning<br />

ドラッグ 中 にGを 押 すと、 計 測 オプション h 付 261 きのガイドラインが l 追 加 され<br />

480 pt<br />

ます。これはガイドラインを 選 択 して 情 報 パネルから 計 測 オプション◆measure<br />

を 有 効 化 する 操 作 と 同 じです。<br />

3.9.3 計 測 ガイドライン<br />

グローバルガイドラインとローカルガイドラインは、いずれも 計 測 ガイド<br />

ラインにすることができます。ガイドラインをクリックして 選 択 し、 情 報<br />

パネルに 表 示 されるものさしアイコンをクリックしてください。 計 測 ガイ<br />

ドラインは 他 のガイドラインと 同 様 に 角 度 や 位 置 などを 変 更 することが 可<br />

能 です。 詳 細 は「3.5 ガイドライン」(p.29)を 参 照 してください。<br />

ものさしツールと 同 様 、 計 測 ガイドラインはアウトライン 間 の 距 離 を 表 示<br />

します。ものさしツールとの 違 いは、どのツールを 選 んでいるときでも 値<br />

が 表 示 されるという 点 です。<br />

248.9<br />

98.3<br />

195.8<br />

91.0<br />

3.9.4 補 助 線<br />

テキスト 入 力 モードで「 表 示 > 補 助 線 を 表 示 」を 選 ぶと 補 助 線 を 表 示 する<br />

ことができます。 補 助 線 はそのy 位 置 でのグリフの 左 右 端 までの 距 離 を 表 示<br />

します。 補 助 線 の 表 示 位 置 ( 上 下 位 置 )はcontrol + option + command<br />

を 押 しながらクリックまたはドラッグすることで 変 更 できます。ものさし<br />

ツール◆rulertoでドラッグ 移 動 することも 可 能 です。<br />

<strong>Glyphs</strong>ハンドブック2016 年 11 月 版<br />

39


細 い 灰 色 の 縦 線 はグリフの 左 右 端 を 表 しています。 補 助 線 に 表 示 され<br />

る 数 字 はグリフの 端 からアウトラインまでの 距 離 です。<br />

補 助 線 を 表 示 している 時 、カーニングされている 部 分 は 有 彩 色 になり<br />

ます。 詰 めのカーニングの 場 合 は 水 色 で、 空 けのカーニングの 場 合 は 黄 色<br />

で 表 示 されます。この 色 は「<strong>Glyphs</strong> > 環 境 設 定 」のユーザー 設 定 で 変 更<br />

できます。<br />

215 215 55 55 85 180 116.7 117.3<br />

3.10 注 釈<br />

注 釈 ツール ◆annotoo(A)を 使 うと 作 業 中 のアウトラインにコメントや 印 を 付 ける<br />

ことができます。このツールを 選 択 すると 情 報 パネルは 注 釈 関 連 のツール<br />

パレットになります。<br />

注 釈 ツール 選 択 時 に「 編 集 > すべてを 選 択 」を 実 行 すると、 作 業 中 レ<br />

イヤーの 注 釈 をすべて 選 択 することができます。 選 択 した 注 釈 はキーボー<br />

ドの 矢 印 キーで 移 動 できます(shift を 押 しながらで10 単 位 、command<br />

で100 単 位 )。また、delete キーで 選 択 した 注 釈 を 削 除 することができます。<br />

3.10.1 注 釈 カーソル<br />

注 釈 ツールパレットの 一 番 左 にあるポインタのボタンは 注 釈 の 選 択 ツール<br />

です。これを 使 って 注 釈 を 選 択 、 移 動 、 拡 大 縮 小 することができます。 選<br />

択 した 注 釈 はdelete キーで 削 除 できます。<br />

3.10.2 注 釈 テキスト<br />

左 から2 番 目 にあるT のボタンはテキストツールです。これを 選 択 して 任<br />

意 の 場 所 をクリックすると 空 のテキストボックスを 配 置 できます。ボック<br />

スをダブルクリックすると 文 字 を 入 力 できます。 入 力 が 終 わったらreturn<br />

キーで 確 定 します( 確 定 させなくても 他 のツールに 移 って 作 業 を 続 行 する<br />

ことが 可 能 です)。<br />

<strong>Glyphs</strong>ハンドブック2016 年 11 月 版<br />

40


Is there a kink in the curve?<br />

ボックスの 右 にあるポイントをドラッグするとテキストボックスの 幅 を 調<br />

整 できます。ボックスの 高 さは 文 章 量 によって 自 動 的 に 変 化 します。<br />

3.10.3 注 釈 矢 印<br />

ボックスの3 番 目 にあるのは 矢 印 ツールです。 任 意 の 場 所 をクリックして<br />

矢 印 マークを 追 加 します。 根 元 にあるポイントをドラッグして 角 度 を 変 え<br />

ることができます。 長 さは 変 更 できません。<br />

3.10.4 注 釈 円<br />

4 番 目 は 円 ツールです。クリックして 円 を 作 成 します。 大 きさを 変 更 する<br />

には 下 端 にあるポイントをドラッグします。<br />

3.10.5 注 釈 プラスマイナス<br />

プラスボタンを 選 ぶとプラス 記 号 (+ )を 配 置 でき、マイナスボタンを 選<br />

ぶとマイナス 記 号 (-)を 配 置 できます。 多 くのデザイナーがカウンター<br />

やボウル、またステムなどの 加 減 を 説 明 するためにプラスとマイナスの 記<br />

号 を 使 うため、この 注 釈 が 用 意 されています。<br />

3.11 画 像<br />

3.11.1 画 像 の 追 加<br />

グリフのレイヤーには、OSXでサポートされているあらゆる 形 式 (PDF 含 む)<br />

の 画 像 を、 編 集 ビューまたはフォントビューにドラッグして 配 置 することがで<br />

<strong>Glyphs</strong>ハンドブック2016 年 11 月 版<br />

41


きます。また、「グリフ > 画 像 を 追 加 …」(option + shift+command+I)<br />

で 表 示 されるダイアログでは 複 数 の 画 像 を 選 択 し、 選 択 中 のマスターの 各<br />

グリフに 配 置 することも 可 能 です。この 場 合 、 用 意 した 画 像 を 目 的 のグリ<br />

フに 配 置 するためには 画 像 のファイル 名 がグリフ 名 と 一 致 している 必 要 が<br />

あります。 例 えば2つの 画 像 のファイル 名 がThorn.pngとthorn.jpegだっ<br />

た 場 合 、それぞれ 自 動 的 に 大 文 字 のThorn と 小 文 字 のthorn のグリフに<br />

配 置 されることになります(ただしOSXのファイルシステムは 大 文 字 と 小<br />

文 字 の 区 別 を 付 けないため2つのファイル 名 をThorn.png、thorn.pngと<br />

すると 同 じフォルダに 保 存 できません。 先 の 例 のように 異 なるファイル 形<br />

式 で 保 存 するか、フォルダを 分 ける 必 要 があります)。<br />

<strong>Glyphs</strong> ファイルには 画 像 は 含 まれず、 画 像 ファイルへの 相 対 パスの<br />

みが 保 存 されます。そのため、 画 像 は<strong>Glyphs</strong> ファイルとなるべく 近 い 階<br />

層 のフォルダに 保 存 しておくのが 理 想 です。 画 像 が 移 動 したり 改 名 された<br />

りなどの 理 由 でパスが 不 正 の 場 合 、 画 像 不 明 のアイコンが 表 示 されます。<br />

画 像 の 表 示 / 非 表 示 を 切 り 替 えるには「 表 示 > 画 像 を 表 示 」をチェックしま<br />

す。ただしレイヤーにアウトラインもコンポーネントもない 状 態 では、「 表<br />

示 > 画 像 を 表 示 」がチェックされていなくても 画 像 は 必 ず 表 示 されます。<br />

OpenTypeフォント 出 力 時 に 画 像 ファイルは 無 視 されますが、Apple<br />

方 式 のカラーフォントを 出 力 する 場 合 は 使 用 されます。 詳 細 は「13.4 Apple<br />

カラーフォント」(p.152)を 参 照 してください。<br />

3.11.2 画 像 の 調 整<br />

初 期 状 態 では、 画 像 はDTP ポイントがフォントのユニットと 合 致 するサ<br />

イズで、 左 下 端 が 原 点 に 揃 うように 配 置 されます。 大 量 の 画 像 を 扱 う 場 合<br />

は 前 もって 画 像 サイズを 計 算 して 統 一 しておきましょう( 例 えば72dpiで<br />

1000ピクセル 四 方 の 画 像 は 無 調 整 で 全 角 サイズになります)。<br />

画 像 はドラッグ 移 動 することができます。また、バウンディングボッ<br />

クスをドラッグして、あるいは 拡 大 縮 小 ツール(S)により 画 像 サイズを<br />

変 更 することができます(shift キーを 押 しておくことで 縦 横 比 が 保 持 さ<br />

れます)。 回 転 ツール(R)で 画 像 を 回 転 することもできます。パレットの<br />

「 変 形 」 操 作 は 画 像 に 対 しても 適 用 できます。<br />

<strong>Glyphs</strong>ハンドブック2016 年 11 月 版<br />

42


情 報 パネルで 画 像 の 位 置 (x y)、 拡 大 率 (↔ ↕)、 角 度 を 数 値 指 定 するこ<br />

とも 可 能 です。<br />

情 報 パネル 右 端 の◆jumplin アイコンをクリックすると 元 の 画 像 ファイルを<br />

Finder 上 に 表 示 します。また、◆unlock◆ アイコンをクリックすると 画 像 はロッ<br />

クされます。 画 像 のFinderでの 表 示 およびロックはコンテクストメニュー<br />

からでも 行 えます。ロック 解 除 にはコンテクストメニューの「 画 像 のロッ<br />

ク 解 除 」を 選 択 します。<br />

コンテクストメニューの「レイヤー 境 界 に 合 わせてトリム」を 選 択 す<br />

ると、グリフのバウンディングボックスをはみ 出 している 部 分 をトリミン<br />

グ( 切 り 抜 き)することができます。<br />

3.12 プレビューとテスト<br />

3.12.1 カーニングのプレビュー<br />

カーニング 結 果 のプレビューは 初 期 状 態 ではオンです。これを 切 り 替 える<br />

にはウインドウ 右 下 のカーニングプレビューボタンを 押 します。「◆kernoff」は<br />

カーニング 表 示 なし、「◆kerned◆」はカーニング 表 示 あり、「◆kernloc」サイドベアリ<br />

ング 固 定 です。カーニングなしの 設 定 ではカーニングが 一 切 表 示 されませ<br />

ん。 残 りの2つではどちらもカーニングを 表 示 しますが、 最 後 のオプショ<br />

ン(サイドベアリング 固 定 )ではサイドベアリング 値 を 編 集 できなくなり<br />

ます。このモードはカーニング 作 業 中 に 誤 ってサイドベアリングを 編 集 し<br />

てしまうのを 避 けたいときに 有 効 です。<br />

3.12.2 マスターのプレビュー<br />

編 集 ビューはマスターのプレビューそのものです。 現 在 選 択 中 のマスター<br />

がアンチエイリアス 付 き、カーニング 有 効 状 態 でプレビューされます。<br />

マスターが2つ 以 上 ある 場 合 は、それぞれのマスターを 表 す 太 さの 異 な<br />

る「n」ボタンがウインドウの 左 上 に 現 れます。マスターを 切 り 替 えるに<br />

は 任 意 のボタンをクリックするか、command + マスター 番 号 のショート<br />

カットを 押 してください。 例 えばマスターが2つある 場 合 は 左 のマスター<br />

がcommand + 1、 右 がcommand + 2 になります。<br />

複 数 のマスターでの 作 業 工 程 についての 詳 細 は12 章 「マルチプルマスター」<br />

(p.139)を 参 照 してください。<br />

3.1<strong>2.3</strong> パスのオフセットプレビュー<br />

「 表 示 > オフセットプレビューを 表 示 」を 選 ぶと、「カーブをオフセット」<br />

フィルタの 実 行 結 果 をプレビュー(シミュレーション)することができま<br />

<strong>Glyphs</strong>ハンドブック2016 年 11 月 版<br />

43


す。「カーブをオフセット」フィルタは 開 いたパスを 後 から 肉 付 けしたい 場<br />

合 に 便 利 です。なお、このプレビューを 有 効 化 するには、 少 なくとも1 回<br />

「カーブをオフセット」フィルタを 使 う 必 要 があります。このプレビューは<br />

現 在 編 集 中 のグリフのみに 適 用 されます。<br />

オフセットプレビューが 適 用 された<br />

小 文 字 のp( 左 )と 適 用 されていな<br />

いもの( 右 )。オフセットの 値 は 前 回<br />

に「カーブをオフセット」フィルタ<br />

を 実 行 した 時 のものが 使 われます。<br />

3.12.4 OpenType フィーチャーのプレビュー<br />

OpenTypeフィーチャーをプレビューするにはウインドウ 左 下 の「フィー<br />

チャー▼」メニューから 任 意 のフィーチャーを 選 んでください。フィー<br />

チャーは 複 数 同 時 に 有 効 化 できます。フィーチャーが1つでも 選 択 されてい<br />

ると、「フィーチャー」メニューがハイライトされます。ボタンには 現 在 有<br />

効 化 されている4 文 字 のフィーチャー 名 が 表 示 されます。すべてのフィー<br />

チャーを 一 度 に 無 効 化 したい 場 合 は 一 番 上 の「―」を 選 んでください。<br />

初 めてフィーチャーをプレビューする 場 合 、またフィーチャーやグリ<br />

フ 名 などを 変 更 した 場 合 には、 必 ず「フォント 情 報 」の「フィーチャー」<br />

タブ 内 でフィーチャーをコンパイルしてください。コンパイル 成 功 しなけ<br />

ればフィーチャーはプレビューできません。<br />

特 定 の 言 語 でのみ 作 用 するフィーチャーを 有 効 化 させたい 場 合 は<br />

「Localized Forms」のフィーチャーを 選 択 したのちに、フィーチャーの<br />

リストの 下 にある 言 語 のリストから 任 意 の 言 語 を 選 びます。これを 試 すに<br />

は、まずフォント 情 報 の「フィーチャー」タブに「locl」フィーチャーが<br />

あり、 特 定 言 語 専 用 のルールが 用 意 されている 必 要 があります。<br />

編 集 ビューでは、<strong>Glyphs</strong>はグリフ 置 き 換 え(GSUB) 系 のフィーチャー<br />

しか 表 示 することができません。グリフのポジショニング(GPOS) 系 の<br />

フィーチャーは、 各 OSやアプリケーションによって 挙 動 が 全 くが 変 わるか<br />

らです。Adobe 系 のアプリケーションでポジショニング 系 のフィーチャー<br />

をテストするにはAdobe のFonts フォルダーを 活 用 するのがいいでしょう。<br />

詳 しくは「3.12.7 Adobe アプリケーションでのプレビュー」(p.46)を<br />

参 照 してください。なお、InDesign でプレビューする 場 合 、OpenType<br />

フィーチャーの 挙 動 はコンポーザーの 選 択 によって 変 わる 場 合 があること<br />

に 留 意 してください。<br />

3.12.5 インスタンスのプレビュー<br />

ウインドウ 左 下 のフィーチャーメニューの 隣 にあるプレビューボタン(◆preview)<br />

<strong>Glyphs</strong>ハンドブック2016 年 11 月 版<br />

44


をクリックすると、ウインドウ 下 部 にプレビューが 表 示 されます。プレ<br />

ビューと 作 業 領 域 の 境 目 を 上 下 にドラッグするとサイズを 変 えられます。<br />

「ウインドウ > プレビューパネル」を 選 択 するとプレビューを 別 のウイ<br />

ンドウで 表 示 することができ、マルチモニター 環 境 でも 快 適 に 作 業 するこ<br />

とができます。このウインドウでの 表 示 は、マウスカーソルが 編 集 ビュー<br />

のウインドウ 上 にある 時 にのみ 有 効 になります。アクティブな 編 集 ビュー<br />

が 存 在 しない 場 合 は 空 白 になることがありますが、この 場 合 は 編 集 ビュー<br />

をクリックすることで 表 示 内 容 が 更 新 されます。<br />

プレビューボタンの 右 隣 のインスタンスメニュー( 複 数 のインスタンス<br />

を 作 成 している 場 合 のみ 表 示 されます)をクリックして 任 意 のインスタン<br />

スを 選 ぶと、その 場 でインスタンスが 生 成 されてプレビューできます。「す<br />

べてのインスタンスを 表 示 」を 選 ぶと、 現 在 のグリフのすべてのインスタ<br />

ンスがプレビューに 一 覧 表 示 されます。インスタンスはフォント 情 報 で 設<br />

定 できますが、この 詳 細 は「7.3 インスタンス」(p.88)を 参 照 してくだ<br />

さい。インスタンスメニューの 一 番 上 の「―」を 選 ぶと、 現 在 のマスター<br />

のプレビューに 戻 ります。<br />

プレビューには 編 集 ビューに 打 ち 込 んだテキストが 一 行 で 表 示 され、 現<br />

在 選 択 中 のグリフが 中 央 に 表 示 されます(「すべてのインスタンス 表 示 」<br />

の 場 合 を 除 く)。プレビュー 領 域 に 表 示 されている 任 意 の 文 字 をダブルク<br />

リックすると、 編 集 ビューでそのグリフが 選 択 された 状 態 になります。な<br />

お、プレビュー 領 域 の 表 示 には、カスタムパラメータおよび「4.4.2 特 別<br />

なレイヤー」(p.50)で 説 明 するブラケットを 使 った 設 定 が 反 映 されます。<br />

プレビュー 領 域 上 でコンテクストメニューを 呼 び 出 すと、「アクティブ<br />

なグリフを 常 に 中 央 に 表 示 」が 選 択 できます。これがオンの 状 態 では、 編<br />

集 ビューで 選 択 中 のグリフが 常 に 表 示 されるようになります。オフの 状 態<br />

では<strong>Glyphs</strong> はプレビュー 領 域 を 行 頭 揃 えでなるべく 埋 めるようにテキス<br />

トを 移 動 します。<br />

インスタンスメニューの 隣 にある◆flipbw◆ボタンをクリックするとプレビュー<br />

の 色 ( 白 黒 )を 反 転 することができます。その 隣 のF ボタンをクリックす<br />

ると、プレビューを 上 下 反 転 できます。これはスペーシングのテストなど<br />

に 便 利 です。また、その 隣 のスライダーを 移 動 させるとプレビューがぼけ<br />

て 表 示 され、 視 力 低 下 時 の 読 みやすさを 簡 易 的 に 確 認 することができます。<br />

ここで 書 かれている 通 りOS Xには<br />

複 雑 なフォントキャッシュの 問 題 が<br />

ありますので、 未 完 成 のフォントを<br />

FontBookにインストールすること<br />

はお 勧 めしません。<br />

3.12.6 OS X でのプレビュー<br />

OS X は 複 雑 なフォントキャッシュのメカニズムを 導 入 しているため、 単<br />

純 に 元 フォントを 同 名 のフォントファイルで 上 書 きするだけでは 様 々な 問<br />

題 が 起 きてしまいます。 大 きな 問 題 としては、 変 更 内 容 が 確 認 できなかっ<br />

たり、 入 力 した 文 字 と 違 うものが 現 れたり、フォントメニューから 消 える<br />

などがあります。このようなキャッシュの 問 題 を 避 けるには、フォントを<br />

出 力 するたびにファミリー 名 に 新 しい 番 号 を 付 けるか( 例 :MyFont01、<br />

<strong>Glyphs</strong>ハンドブック2016 年 11 月 版<br />

45


MyFont02、MyFont03…)、ファミリー 名 に 文 字 を 追 加 するといいでしょ<br />

う( 例 :MyFontAA、MyFontAB…)。 沢 山 のバージョンのフォントを 出<br />

力 するときには 文 字 を 使 った 方 が 正 確 な 順 番 に 並 びます。<br />

キャッシュの 問 題 に 遭 ってしまったときは、すべてのアプリケーショ<br />

ンを 閉 じて 出 力 したフォントすべてをFontBookまたはFonts フォルダか<br />

らいったん 削 除 してください。 次 に、「ターミナル」アプリケーションを 起<br />

動 して 以 下 のコマンドを 一 行 ごとに 入 力 しreturn キーを 押 して 実 行 して<br />

ください。 最 初 のコマンドでは 管 理 者 ユーザーのパスワードが 必 要 です:<br />

sudo atsutil databases -remove<br />

atsutil server -shutdown<br />

atsutil server -ping<br />

これらのコマンドを 実 行 した 後 、マシンを 再 起 動 します。 問 題 が 解 決 しな<br />

い 場 合 は、Mac をセーフモードで 起 動 してください(command + S を 押<br />

しながら 起 動 、Apple ロゴが 出 るまで 押 したまま)。そしてshiftキーを 押<br />

しながら 再 起 動 、ログインすることでキャッシュを 再 生 成 してください。<br />

3.12.7 Adobe アプリケーションでのプレビュー<br />

ポジショニングのフィーチャーやメニューの 挙 動 など、フォントの 動 作<br />

をしっかり 確 認 するには「/ ライブラリ/ApplicationSupport/Adobe/<br />

Fonts/」を 保 存 先 に 選 んでOTF フォントを 出 力 するのがいいでしょう。こ<br />

のフォルダにインストールされたフォントはAdobe アプリケーションで<br />

即 座 に 使 用 可 能 になります。また、 同 名 のフォントを 上 書 き 保 存 した 場 合 、<br />

即 座 に 新 しいフォントの 内 容 が 有 効 になります。このフォルダはOS X の<br />

システムのフォントフォルダから 独 立 しているため、 保 存 したフォントは<br />

Adobe アプリケーション 以 外 では 使 えませんが、OS Xのキャッシュ 問 題<br />

を 回 避 するのに 非 常 に 有 効 です。<br />

Fonts フォルダが 存 在 しない 場 合 は、 上 記 のAdobe フォルダ 以 下 に<br />

shift+command + N ショートカットで 新 規 フォルダを 作 ってください。<br />

Adobe アプリケーション 起 動 中 にFonts フォルダを 作 った 場 合 は、アプリ<br />

ケーションを 再 起 動 してください。<br />

3.12.8 Web ブラウザでのプレビュー<br />

「ファイル > 出 力 > ウェブフォント」を 選 ぶことでウェブフォントを 出 力<br />

することができます。 何 度 も 同 じフォルダに 出 力 する 場 合 は、 出 力 先 フォ<br />

ルダを 同 ダイアログで 指 定 できます(「 出 力 先 」をチェックした 後 、その 下<br />

に 表 示 されるパスをクリックして 保 存 先 を 設 定 します)。ウェブフォントを<br />

使 うHTMLテストファイルを 用 意 し、そのファイルをウェブブラウザで 開<br />

いてフォントを 出 力 するたびにページを 更 新 してください。この 方 法 だと<br />

ウェブフォントは 出 力 のたびに 上 書 きされますので、ページを 更 新 すれば<br />

必 ず 最 新 のフォントが 使 われるはずです。しかしウェブブラウザの 中 には<br />

<strong>Glyphs</strong>ハンドブック2016 年 11 月 版<br />

46


フォントキャッシュを 使 うものもあり、ページを 更 新 しても 最 新 のフォント<br />

が 表 示 されないケースがあるかもしれません。この 場 合 、ほとんどのMac<br />

のブラウザはshiftキーをしながら 更 新 (たいていの 場 合 command + R)<br />

するとページを 完 全 に 更 新 することができます。<br />

<strong>Glyphs</strong>ハンドブック2016 年 11 月 版<br />

47


4 パレット<br />

4.1 パレットサイドバー<br />

メインウインドウ 右 上 の◆palette ボタン、または「ウインドウ > パレット」<br />

(option+command + P)でパレットサイドバーを 呼 び 出 すことができ<br />

ます。 初 期 状 態 ではパレットサイドバーは4つのセクションに 別 れており、<br />

各 セクション 左 上 角 の3 角 形 をクリックすることで 展 開 / 収 納 することが<br />

できます。プラグインで 拡 張 機 能 を 追 加 することも 可 能 です。<br />

4.2 線 幅 メモ<br />

線 幅 メモセクションは 単 純 にデザイン 時 のメモとして 使 うものであり、フォ<br />

ントの 設 定 や 各 グリフのパスには 影 響 を 及 ぼしません。<br />

すぐに 参 照 できるよう、ここに 重 要 な 線 幅 の 情 報 を 入 力 しておくとい<br />

いでしょう。この 値 はマスターごとに 保 持 されます。なお、タイ 文 字 やア<br />

ラビア 文 字 など 欧 文 以 外 の 文 字 に 関 しては、グリフ 選 択 時 に 専 用 の 寸 法 が<br />

現 れます。<br />

通 常 、 小 さいカーブほど 高 い 湾 曲 率<br />

が 必 要 です。 例 えばoの 場 合 、 外 側<br />

よりも 内 側 のアウトラインの 湾 曲 率<br />

を 高 くしないと 同 じカーブに 見 えま<br />

せん。<br />

4.3 自 動 カーブ<br />

自 動 カーブセクションではセグメントの 湾 曲 率 を 簡 単 に 設 定 することがで<br />

きます。ほとんどの 場 合 、 初 期 状 態 の1 列 表 示 で 事 足 りるでしょう。まず2<br />

つのテキストフィールドのうち 左 側 に 最 小 値 、 右 側 に 最 大 値 を 入 力 します。<br />

その 後 、 任 意 のセグメントを 定 義 しているハンドル(1つでも 複 数 でも 可 )<br />

を 選 択 し、8つのボタンのいずれかをクリックするとハンドル 角 度 が 固 定<br />

されたままセグメントの 湾 曲 率 が 調 整 されます(セグメントの 一 方 のハン<br />

ドルのみを 選 択 して 実 行 した 場 合 でも 他 方 のハンドルも 調 整 されます)。 別<br />

セグメントを 定 義 するハンドルを 選 択 して 同 じボタンを 押 すと、そのセグ<br />

メントにも 同 じ 湾 曲 率 が 適 用 されます。こうすることで、 違 うセグメント<br />

の 湾 曲 率 を 揃 えることができるわけです。<br />

なお、8つのボタンには、テキストフィールドに 入 力 した 最 小 値 から<br />

最 大 値 までを 均 等 割 にした 値 が 割 り 当 てられます。ボタンをクリックする<br />

以 外 に、control + option + 1から8のショートカットでもこれらの 値 を 適<br />

用 することができます。<br />

テキストフィールドに 入 力 する 数 字 (%)はハンドルの 長 さを 意 味 し<br />

ます。100%ではセグメントを 定 義 する2 本 のオフカーブポイントがぴった<br />

り 重 なり、1%だとハンドルが 極 めて 短 い 状 態 になります。また、 楕 円 形<br />

の 湾 曲 率 にするのであれば56% とします。テキストフィールドに1% より<br />

小 さい 値 は 入 力 できません。また 入 力 可 能 な 最 大 値 は100です。セグメン<br />

トを 直 線 にしたい 場 合 は 自 動 カーブを 使 うのではなく、ハンドルを 選 んで<br />

delete キーで 削 除 してください。<br />

<strong>Glyphs</strong>ハンドブック2016 年 11 月 版<br />

48


稀 にセグメント 両 端 のハンドルを 個 別 に 調 整 する 必 要 が 生 じるかもし<br />

れません。その 場 合 はテキストフィールドの 左 にある3 角 形 をクリックし<br />

てボタンを2 次 元 に 展 開 します。この 場 合 、セグメントを 定 義 している 最<br />

初 のハンドルの 長 さをx 軸 で、2つ 目 のハンドルがy 軸 で 制 御 できます。ハ<br />

ンドルの 順 番 は 選 択 しているパスの 方 向 で 決 まります。<br />

4.4 レイヤー<br />

<strong>Glyphs</strong> には2 種 類 のレイヤーがあります。1つはマスターレイヤー、もう<br />

1つは 従 属 レイヤーです。マスターレイヤーはインスタンスの 補 間 やフォ<br />

ントのバリエーションを 保 管 するのに 必 要 です。すべてのグリフは 全 マス<br />

ターレイヤーを 自 動 的 に 保 持 しており、 削 除 はできません。マスターに 関<br />

する 各 種 設 定 は「ファイル > フォント 情 報 > マスター」でおこないます。<br />

「レイヤー」パレットではマスターレイヤーは 従 属 レイヤーとは 区 別 され、<br />

レイヤー 名 が 太 字 で 表 示 されます。<br />

各 レイヤーには 目 玉 アイコンが 存 在 し、クリックすることで 表 示 / 非<br />

表 示 を 切 り 替 えられます。 選 択 されていないレイヤーを 表 示 状 態 ◆layervi にす<br />

ると、そのパスとコンポーネントが 選 択 中 のレイヤーの 背 面 に 灰 色 のアウ<br />

トラインで 表 示 されます。 目 玉 を 閉 じた 状 態 にすると、そのレイヤーは 表<br />

示 されません。<br />

従 属 レイヤーのレイヤー 名 は 通 常 の 太 さで、 関 連 するマスターレイヤー<br />

の 下 に 表 示 されます。 従 属 レイヤーは 個 々のグリフに 対 して 作 成 するもの<br />

で、 無 制 限 に 作 ることができます。 従 属 レイヤーはデザインのバリエー<br />

ションを 保 管 するのに 使 ったり、 複 数 のウエイトを 作 成 する 際 にブラケッ<br />

トレイヤー、ブレースレイヤーとして 使 ったり、カラーフォントを 作 るの<br />

に 使 ったりします。カラーフォントについての 詳 細 は「13 カラーフォン<br />

ト 」( p.149)を 参 照 してください。<br />

4.4.1 レイヤーパレットの 操 作<br />

マスターレイヤー 名 の 編 集 はフォント 情 報 (command + I)の「マスター」<br />

パネルでおこないます。レイヤーパレットでは 編 集 できません。<br />

新 規 従 属 レイヤーを 追 加 するには、フォントビューか 編 集 ビューでグリ<br />

フを 選 択 した 上 でレイヤーパレットでマスターレイヤーを 選 択 し、「 複 製 」<br />

ボタンをクリックします。その 結 果 、 新 しい 従 属 レイヤーがマスターレイ<br />

ヤーの 下 に 追 加 されます。 従 属 レイヤー 名 はマスターレイヤー 名 と 作 成 日<br />

時 を 使 って 自 動 的 に 命 名 されます。 従 属 レイヤー 名 を 変 更 したい 場 合 はレ<br />

イヤーパレットに 表 示 されている 名 前 をダブルクリックして 書 き 換 えてく<br />

ださい。 従 属 レイヤーを 消 去 するには、フォントビューか 編 集 ビューでグ<br />

リフを 選 択 した 上 でレイヤーパレットで 従 属 レイヤー 名 を 選 択 し、「-」ボ<br />

タンをクリックします。<br />

従 属 レイヤーを 選 択 した 状 態 で◆cog◆ボタンを 押 して「マスターとして 使<br />

<strong>Glyphs</strong>ハンドブック2016 年 11 月 版<br />

49


用 」を 選 択 すると、その 従 属 レイヤーの 内 容 (パスやコンポーネント)が<br />

マスターレイヤーとなり、 現 在 のマスターレイヤーは 従 属 レイヤーとして<br />

入 れ 替 わります。<br />

◆cog◆ボタンの「 再 補 間 」は 選 択 したレイヤーの 内 容 を 他 のマスターレイ<br />

ヤーから 再 生 成 する 機 能 で、 最 低 でも 合 計 3つのマスターが 存 在 している 必<br />

要 があります。 特 にブレースレイヤーを 使 用 する 際 に 便 利 な 機 能 です。 詳<br />

細 は「12.7 ブレースレイヤー」(p.146)を 参 照 してください。<br />

4.4.2 特 別 なレイヤー<br />

従 属 レイヤーに 特 定 の 名 前 をつけると 特 別 な 機 能 を 持 つレイヤーになります。<br />

ブレースレイヤー(12.7、p.146)とブラケットレイヤー(12.8、p.146)<br />

は、マルチプルマスター 環 境 においてマスターレイヤーと 連 携 します。カ<br />

ラーフォントを 作 成 する 際 も 特 別 なレイヤー 設 定 が 必 要 になります。 詳 細<br />

は「13 カラーフォント」(p.149)を 参 照 してください。<br />

サードパーティー 製 のプラグインの 中 には 従 属 レイヤーを 活 用 するも<br />

のがあるかもしれません。この 場 合 は、それぞれに 付 属 する 資 料 を 参 照 し<br />

てください。<br />

4.5 変 形<br />

パレットサイドバー 最 下 部 のセクションには 基 本 的 なパスの 変 形 機 能 が 用<br />

意 されています。まず 最 上 部 で 変 形 の 基 準 点 を 指 定 します。 選 択 したパス<br />

の 相 対 的 な 位 置 、 任 意 の 座 標 、フォントのメトリクス 情 報 (ベースライン<br />

やx ハイト、キャップハイトなど)に 基 づく 点 のいずれか1つを 基 準 点 に 指<br />

定 することができます。<br />

基 準 点 の 設 定 以 降 は、 上 から 順 に 以 下 の 変 形 操 作 が 可 能 です。<br />

・◆fliph◆ ◆flipv◆: 水 平 または 垂 直 に 反 転<br />

・◆scale◆ ◆unscale: 拡 大 または 縮 小 (パーセント 指 定 )<br />

・◆rotatec ◆rotatec: 時 計 回 りまたは 反 時 計 回 りの 回 転 ( 角 度 指 定 )<br />

・◆slantl◆ ◆slantr◆: 左 または 右 への 傾 斜 ( 角 度 指 定 )<br />

・ 複 数 のパスの 整 列<br />

・ブーリアン 処 理 ( 複 数 のパスの 合 成 、 切 り 抜 き、 差 分 抽 出 )<br />

パレットサイドバーの 変 形 機 能 の 大 半 はフォントビューでも 編 集 ビューで<br />

も 機 能 します。その 時 に 選 択 している 内 容 によってパス 全 体 、パスの 一 部 、<br />

またはレイヤー 全 体 に 作 用 することになります。 複 数 グリフを 選 択 して 適<br />

用 することも 可 能 です。<br />

変 形 処 理 を 実 行 する 際 はグリッドと 分 割 の 単 位 が 反 映 されますので、<br />

オンカーブポイントは 自 由 変 形 ではなくグリッドに 吸 着 します。 詳 細 は<br />

「7.5.1 グリッドの 間 隔 とグリッド 細 分 」(p.94)を 参 照 してください。<br />

<strong>Glyphs</strong>ハンドブック2016 年 11 月 版<br />

50


4.5.1 変 形 の 基 準 点<br />

パスの 整 列 とブーリアン 処 理 を 除 く 各 変 形 機 能 では、 基 準 点 に 基 づいてパ<br />

ス( 一 部 のパス、あるいはすべてのパス)やコンポーネントを 変 形 します。<br />

なお、パスやコンポーネントを 選 択 せずに 変 形 を 実 行 した 場 合 、すべての<br />

パスとコンポーネントが 変 形 の 対 象 となります。<br />

基 準 点 はセクション 最 上 部 で 設 定 します。<br />

選 択 したパスの 相 対 的 な 位 置 を 基 準 点 とする 場 合 は 左 側 のマトリクス<br />

を 使 用 します。 情 報 パネルと 同 様 に「 右 下 」や「 中 心 」などの9 箇 所 から<br />

基 準 点 を 選 択 してください。<br />

編 集 ビューの 任 意 の 座 標 を 基 準 点 とする 場 合 は、 的 のアイコン ◆originpを 選<br />

択 します。この 結 果 、 編 集 ビュー 内 に 基 準 点 が 表 示 されます。 基 準 点 を 任<br />

意 の 位 置 に 置 くためには、 回 転 ツール(R)または 拡 大 縮 小 ツール(S)に<br />

切 り 替 えて 編 集 ビューの 任 意 の 地 点 をクリックしてください。<br />

フォント 情 報 のメトリクス 情 報 (ベースラインや、ハイト、キャップ<br />

ハイトなど)に 基 づく 点 を 基 準 点 とする 場 合 、◆originmアイコンから 任 意 の 点<br />

をクリックして 選 択 します。<br />

Tip: 小 文 字 n のコンポーネントを<br />

水 平 垂 直 反 転 するか180° 回 転 する<br />

ことで 小 文 字 u をすぐに 作 ることが<br />

できます。このとき、 選 択 範 囲 の 中<br />

心 を 基 準 点 とするとオーバーシュー<br />

トによるズレが 生 じます。これを 避<br />

けるにはxハイトの 中 心 を 基 準 点 と<br />

します。<br />

選 択 範 囲 を 半 分 に 縮 小 したい 場 合 、<br />

100と 入 力 して 縮 小 ボタンをクリッ<br />

クするか、50と 入 力 して 拡 大 ボタ<br />

ンをクリックします。<br />

4.5.2 反 転<br />

パスやコンポーネントを、 基 準 点 を 軸 として 垂 直 または 水 平 に 反 転 します。<br />

コーナーコンポーネントを 反 転 させると、 吸 着 先 のコーナーの 左 右 関 係 が<br />

入 れ 替 わります。<br />

4.5.3 双 方 向 適 用 可 能 な 変 形<br />

拡 大 縮 小 、 回 転 、 傾 斜 は、それぞれ 数 値 入 力 欄 の 左 右 にボタンがあります。<br />

これらは 互 いに 逆 方 向 に 作 用 するボタンです。これにより、 一 度 適 用 した<br />

変 形 を 逆 のボタンで 戻 すことができます。ただしグリッドが 有 効 になって<br />

いる 場 合 は(「7.5.1 グリッドの 間 隔 とグリッド 細 分 」、p.94)、 変 形 値 が<br />

四 捨 五 入 されるので 逆 作 用 ボタンを 押 しても 全 く 同 じ 状 態 には 戻 りません。<br />

拡 大 縮 小 ではx 方 向 、y 方 向 の 値 を 設 定 することができます。◆unlock◆ アイ<br />

コンをロック◆lock◆すると、y の 値 は 自 動 的 にx と 同 じになります。◆scale◆ ボタン<br />

を 押 すと、 設 定 値 どおりに 拡 大 します(100だったものを 設 定 値 20%で 拡<br />

大 すると120になります)。 一 方 、◆unscaleボタンを 押 した 場 合 は 設 定 値 どおりに<br />

縮 小 するわけではなく、 拡 大 ボタンの 逆 の 操 作 が 実 行 されます(120だっ<br />

たものを 設 定 値 20%で 縮 小 すると100となります)。これにより、 双 方 の<br />

ボタンで 拡 大 の 取 り 消 しとやり 直 しが 可 能 になるわけです。<br />

回 転 と 傾 斜 ボタンもどんな 選 択 対 象 にも 適 用 できます。ここでも 左 右<br />

のボタンは 互 いの 逆 の 働 きをします。<br />

4.5.4 整 列<br />

整 列 ボタンはパス( 一 部 のパス、あるいはすべてのパス)およびコンポー<br />

<strong>Glyphs</strong>ハンドブック2016 年 11 月 版<br />

51


ネントに 作 用 します。パスを 部 分 的 に 選 択 した 場 合 はアクティブなポイン<br />

トが 対 象 になります。なお、 整 列 は 基 準 点 ではなく 選 択 内 容 の 相 対 位 置 に<br />

基 づいて 機 能 します。<br />

特 定 のポイントを 整 列 させたい 場 合 は「パス > 選 択 ポイントを 整 列 」<br />

(shift+command+A)の 方 が 便 利 です。 詳 細 は「3.3 パスの 編 集 」<br />

(p.18)を 参 照 してください。<br />

4.5.5 ブーリアン 処 理<br />

セクション 最 下 部 には 複 数 パスの 合 体 ◆boolean、 切 り 抜 き◆boolean、 差 分 抽 出 ◆booleanという<br />

3つのブーリアン 処 理 が 用 意 されています。 合 体 と 差 分 抽 出 は 選 択 したパス<br />

に 作 用 しますが、 何 も 選 択 されていない 場 合 はすべてのパスに 作 用 します。<br />

切 り 抜 きは、 選 択 したパスが 他 のパスを 切 り 抜 きます。パスが 選 択 されて<br />

いない 場 合 は、 最 前 面 のパス 他 のすべてのパスを 切 り 抜 きます。また 切 り<br />

抜 き 処 理 では 結 果 を 安 定 化 させるため、 切 り 抜 かれるパスが 複 数 ある 場 合<br />

は 事 前 に 合 成 されます。<br />

左 から 右 の 順 :1. 2つの 重 なったパ<br />

スで、ブーリアン 処 理 をしていない<br />

状 態 。2. 合 体 の 結 果 。3. 切 り 抜 き<br />

の 結 果 。4. 差 分 抽 出 の 結 果 。<br />

<strong>Glyphs</strong>ハンドブック2016 年 11 月 版<br />

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5 フィルタ<br />

5.1 フィルタ<br />

フィルタはレイヤーに 適 用 される 画 像 処 理 の 機 能 です。グリフ 幅 を 変 える<br />

だけのものからアウトラインのラフ 処 理 をおこなうものまで、 様 々なもの<br />

があります。<br />

5.1.1 フィルタメニュー<br />

フィルタの 適 用 先 ( 対 象 )は 状 況 によって 異 なります。 編 集 ビューの 場 合 、<br />

何 も 選 択 していない 場 合 は 現 在 表 示 しているレイヤー 上 のすべてが、 選 択<br />

ツールでパスを 選 択 している 場 合 はそのパスが 対 象 となります。また、テ<br />

キストツールを 使 用 している 場 合 は 選 択 したグリフ( 複 数 選 択 も 可 能 )が<br />

対 象 となります。フォントビューの 場 合 は 選 択 したグリフ( 複 数 選 択 も 可<br />

能 )が 対 象 となります。<br />

フィルタは 現 在 表 示 されているレイヤーにのみ 作 用 し、 他 のレイヤー<br />

には 一 切 影 響 を 与 えません。グリフのすべてマスターに 適 用 させたい 場 合<br />

は 各 マスターを 順 に 選 び、それぞれにフィルタを 適 用 する 必 要 があります。<br />

5.1.2 カスタムパラメータとしてのフィルタ<br />

ほとんどのフィルタは、カスタムパラメータ 機 能 によりフォント 出 力 時 にイ<br />

ンスタンスに 対 して 自 動 的 に 適 用 することができます。カスタムパラメー<br />

タはフォント 情 報 (command + I)の「インスタンス」タブで 設 定 しま<br />

す(インスタンスを 設 けていない 場 合 はパラメータは 追 加 できません)。 手<br />

動 で 設 定 する 方 法 の 他 、 値 をコピー&ペーストする 簡 単 な 方 法 もあります。<br />

後 者 はダイアログが 表 示 されるフィルタのみで 可 能 です。<br />

手 動 で 設 定 する 場 合 、カスタムパラメータの「+ 」ボタンをクリック<br />

して 新 規 パラメータを 追 加 し、プロパティを「Filter」と 設 定 します。プロ<br />

パティを 追 加 した 時 点 では 値 の 欄 に「 新 規 値 」と 表 示 されています。ここ<br />

にセミコロン 区 切 りで「フィルタ 名 ; 値 1; 値 2…」などと 入 力 します。なお、<br />

フィルタによっては 引 数 名 が 必 要 なものもあります。その 場 合 は「フィル<br />

タ 名 ; 引 数 1の 名 称 : 値 1; 引 数 2の 名 称 : 値 2」という 形 式 で 設 定 します。 詳<br />

しくは5.2の 各 フィルタの 項 を 参 照 ください。<br />

特 定 のグリフにのみフィルタを 適 用 したい 場 合 は 末 尾 にincludeを 付<br />

け、コンマ 区 切 りでグリフ 名 を 列 挙 します。 逆 に 特 定 のグリフを 対 象 外 に<br />

したい 場 合 はexclude を 付 けます。 例 えば「<strong>Glyphs</strong>FilterOffsetCurve;<br />

5; 5; 1; 0.5; exclude:a,b,c」などのように 入 力 します(「パスをオフセッ<br />

ト、 横 5、 縦 5、 線 幅 を 与 える、 位 置 50%、a, b, c を 除 いたグリフに 適 用 」<br />

という 意 味 です)。セミコロン 後 などのスペースは 必 須 ではありませんが、<br />

入 力 した 方 が 視 認 性 が 向 上 するでしょう。<br />

<strong>Glyphs</strong>ハンドブック2016 年 11 月 版<br />

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ダイアログが 表 示 されるフィルタでは、ダイアログ 左 下 の ◆cog◆アイコン<br />

のメニューでカスタムパラメータ 用 の 値 をコピーすることができます。コ<br />

ピー 後 にフォント 情 報 のインスタンスタブを 開 いてカスタムパラメータの<br />

欄 の 空 白 部 分 をクリックし、ペーストすることでプロパティ「Filter」が<br />

追 加 され、 値 も 自 動 的 に 入 力 されます。 必 要 に 応 じてincludeやexclude<br />

を 追 加 設 定 してください。<br />

フィルタのカスタムパラメータは 複 数 設 定 することができます。 上 か<br />

ら 順 に 実 行 されます。 複 数 設 定 した 場 合 は 必 要 に 応 じてドラッグして 順 番<br />

を 入 れ 替 えてください。<br />

5.2 標 準 で 付 属 するフィルタ<br />

5.2.1 マスター 互 換 性 を 手 動 修 正<br />

「マスター 互 換 性 を 手 動 修 正 」はマスター 間 で 各 オブジェクトが 正 しく 対 応<br />

しているかどうかをグラフィカルインターフェイスで 確 認 し、 簡 単 に 修 正<br />

できるフィルタです。アウトラインやコンポーネントが 多 く 見 た 目 が 複 雑<br />

で「パス > 全 マスターのパス 方 向 を 修 正 (option + shift+ command+<br />

R)」で 期 待 通 りの 結 果 が 得 られないとき、あるいは「 表 示 > マスター 互 換<br />

性 を 表 示 (control + option + command + N)」では 互 換 性 を 確 認 しづら<br />

いときに 便 利 です。<br />

ダイアログでは、 行 がオブジェクトの 順 番 、 列 が 各 マスターを 示 しま<br />

す。パスは 青 、コンポーネントは 茶 色 で 表 示 されます。オブジェクトを 縦<br />

にドラッグすることで 順 番 を 変 更 することができます。 作 業 が 完 了 したら<br />

「 確 定 」ボタンを 押 してください。<br />

なお、ブレースレイヤー(12.7、p.146) 使 用 時 など、 複 数 の 補 間 設<br />

定 が 存 在 する 場 合 はダイアログを 区 切 る 灰 色 の 縦 線 が 表 示 されます。また、<br />

同 一 のグリフに 複 数 の 独 立 したデザインスペースがある 場 合 など、より 高<br />

度 なマスター 設 定 をおこなっている 場 合 などにも 表 示 されます。 例 えば 長<br />

体 のライトとボールド 間 で 補 間 すると 同 時 に 平 体 のライトとボールド 間 も<br />

補 間 するが 長 体 と 平 体 との 間 では 補 間 しない、などといったケースです。<br />

<strong>Glyphs</strong>ハンドブック2016 年 11 月 版<br />

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5.2.2 ハッチング<br />

「ハッチング」はアウトラインパスから 複 数 の 平 行 線 を 生 成 するフィルタで<br />

す。ダイアログでは 平 行 線 の 間 隔 、 角 度 、オフセット 幅 などを 設 定 するこ<br />

とができます。<br />

「 開 始 点 」では2つのテキストフィールドでハッチングのストロークを 開 始<br />

する 地 点 の 座 標 (x とy)を 設 定 します。<br />

「ステップ 幅 」ではストロークの 間 隔 をユニット 単 位 で 設 定 します。「 角<br />

度 」ではストロークの 角 度 を 設 定 します。「パスをオフセット」ではスト<br />

ロークを 太 らせる 幅 をユニット 単 位 で 設 定 します(たとえば40と 設 定 した<br />

場 合 は 中 心 軸 の 両 側 に40ずつ 太 くなり、 最 終 的 な 幅 は80となります)。な<br />

お、チェックボックスを 外 すと 直 線 の 開 いたパスを 得 られます。ハッチン<br />

グフィルタ 以 降 に 別 の 処 理 をする 場 合 はこちらの 方 が 便 利 なこともあるで<br />

しょう。<br />

「ハッチング」では、 基 本 的 には 背 景 レイヤー 上 のパスを 元 として、 通 常<br />

レイヤー 上 に 平 行 線 を 生 成 します。もしも 背 景 レイヤーが 空 だった 場 合 は、<br />

通 常 レイヤー 上 のパスから 平 行 線 が 生 成 されると 同 時 に 元 のパスは 背 景 に<br />

複 製 されます。 元 のパスが 破 棄 されず 背 景 に 保 管 されるため、いつでも 再<br />

利 用 が 可 能 です。<br />

なお、このフィルタはカスタムパラメータとして 利 用 することができ<br />

ます。 手 動 で 設 定 する 場 合 はカスタムパラメータのプロパティに「Filter」<br />

を 追 加 した 後 、 値 の 欄 に 以 下 のフォーマットで 入 力 してください(は 入<br />

力 時 には 除 外 ):<br />

HatchOutlineFilter;OriginX:;OriginY:;StepWidth:< 間<br />

隔 >;Angle:< 角 度 >;Offset:< 太 さ><br />

<strong>Glyphs</strong>ハンドブック2016 年 11 月 版<br />

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パスをオフセットを 使 用 しない 場 合 はOffsetの 値 を0とするかOffsetの 項<br />

目 を 省 きますが、 初 期 設 定 ではフォント 出 力 時 に 閉 じていないアウトライ<br />

ンは 消 去 されます。<br />

具 体 例 ( 開 始 点 X = -20、Y = 0、ステップ 幅 =8、 角 度 =25、パスを<br />

オフセット = 6の 場 合 ):HatchOutlineFilter;OriginX:-20;StepWidth<br />

:8;Angle:25;Offset:6<br />

ダイアログ 左 下 の ◆cog◆アイコンのメニューでカスタムパラメータ 用 の 値<br />

をコピーすることが 可 能 ですので、この 表 記 法 を 必 ずしも 覚 える 必 要 はあ<br />

りません。<br />

5.<strong>2.3</strong> パスをオフセット<br />

「パスをオフセット」はパスの 厚 みを 増 やしたり、また 逆 に 減 らすことので<br />

きるフィルタです。<br />

「 横 」と「 縦 」のテキストフィールドでは 水 平 方 向 と 垂 直 方 向 のオフセット<br />

値 を 設 定 します。◆lock◆ アイコンで 縦 横 の 値 を 同 じにすることもできます。な<br />

お、 正 の 値 では 外 側 に、 負 の 値 では 内 側 にオフセットします。ただしパス<br />

方 向 が 時 計 回 りの 場 合 は 正 の 値 では 内 側 に、 負 の 値 では 外 側 にオフセット<br />

します。<br />

「 線 幅 を 与 える」オプションがチェックされていない 場 合 、パスはその<br />

ままオフセットされます。「 線 幅 を 与 える」オプションをチェックすると、<br />

パスを 基 準 に 幅 を 持 ったストロークが 生 成 されます。<br />

Tip: 文 字 の 骨 格 の 中 心 線 だけを 描 き、<br />

「ストロークにする」を 利 用 して 肉<br />

付 けすることもできます。 例 えばサ<br />

ンセリフなデザインのアウトライン<br />

を 手 早 く 描 きたいときにとても 便 利<br />

です。<br />

「 線 幅 を 与 える」オプションをチェックした 場 合 は 元 のパスからの 位 置 も 指<br />

定 できます。「 位 置 」を50% と 設 定 している 場 合 は 元 のパスの 両 側 に 等 し<br />

く 肉 付 けされます。0%とするとストロークはパス 方 向 の 右 側 (パス 方 向 が<br />

反 時 計 回 りなら 外 側 、 時 計 回 りなら 内 側 )のみに 生 成 されます。100% で<br />

は 逆 に 左 側 のみに 作 られます。<br />

「 縦 メトリクスに 整 列 」オプションにチェックを 入 れると、 元 のパス<br />

がベースラインやx ハイトなどに 揃 っていた 場 合 は 生 成 後 のストロークも<br />

<strong>Glyphs</strong>ハンドブック2016 年 11 月 版<br />

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揃 った 状 態 になるように 調 整 されます。このオプションがオンの 場 合 、「 位<br />

置 」は50%に 固 定 されます。<br />

このフィルタはカスタムパラメータとして 利 用 することができます。 手 動<br />

で 設 定 する 場 合 はカスタムパラメータのプロパティに「Filter」を 追 加 し<br />

た 後 、 値 の 欄 に 以 下 のフォーマットで 入 力 してください:<br />

OffsetCurve;< 横 >;< 縦 >;< 線 幅 を 与 える>;< 位 置 / 縦 メトリクスに 整 列 ><br />

< 線 幅 を 与 える>は0でオフ、1でオンになります。 位 置 は%でなく0.0から<br />

1.0までの 小 数 で 入 力 する 必 要 があります。もし「 縦 メトリクスに 整 列 」を<br />

使 いたい 場 合 は「auto」と 入 力 します。<br />

具 体 例 :OffsetCurve;10;15;1;auto( 横 = 10、 縦 = 15、 線 幅 を 与 え<br />

る、 縦 メトリクスに 整 列 )。<br />

ダイアログ 左 下 の ◆cog◆アイコンのメニューでカスタムパラメータ 用 の 値<br />

をコピーすることも 可 能 です。<br />

5.2.4 重 なったパスを 合 体<br />

「 重 なったパスを 合 体 」は 選 択 されたパスの 重 なった 部 分 を 合 体 するフィル<br />

タです。 開 いたパスや 孤 立 したポイントは 除 去 します。このフィルタには<br />

ダイアログはありません。なお、 実 行 時 にパスが 選 択 されてない 場 合 は 編<br />

集 中 のグリフ 全 体 に 適 用 されます。<br />

このフィルタを 適 用 する 際 は、 事 前 にアウトライン 方 向 が 意 図 した 通<br />

りになっているか 確 認 してください(「3.3.12 パス 方 向 の 管 理 」、p.24)。<br />

最 終 的 にフォントを 出 力 する 際 は 必 ずパスが 合 体 されている 必 要 があ<br />

ります。このフィルタを 使 って 合 体 しない 場 合 、 出 力 時 のダイアログ 設 定<br />

で 自 動 的 に 適 用 させられますし、 初 期 状 態 ではそのように 設 定 されていま<br />

す (「 15.4 Type1、OpenType、TrueType」、 p.163)。<br />

Tip: 1 部 分 のみ 合 体 させたい 場 合 は<br />

ナイフツールで 該 当 箇 所 をまたいで<br />

切 り 離 してください。<br />

なお、 出 力 時 に 合 体 するタイミングを 制 御 したい 場 合 はカスタムパラ<br />

メータを 設 定 します(パスのオフセットの 実 行 後 にパスを 合 体 するなど)。<br />

フォント 情 報 のインスタンスタブにカスタムパラメータ 項 目 「Filter」を<br />

追 加 し、 値 を「RemoveOverlap」と 入 力 してください。<br />

5.2.5 ラフ<br />

「ラフ」はアウトラインを 大 量 の 小 さなセグメントに 分 割 し、 与 えられた 値<br />

に 従 ってポイントをランダムに 動 かすフィルタです。ダイアログでは「セ<br />

グメントのサイズ」、「 横 」および「 縦 」のブレの 最 大 値 、そして「 角 度 」<br />

<strong>Glyphs</strong>ハンドブック2016 年 11 月 版<br />

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を 設 定 することができます。 控 えめな 値 に 設 定 するとラフなテクスチャを<br />

適 用 したような 見 た 目 になるのでこのようなフィルタ 名 になりました。<br />

このフィルタはカスタムパラメータとして 利 用 することができます。その<br />

場 合 、まずはダイアログ 左 下 の◆cog◆アイコンのメニューでカスタムパラメー<br />

タ 用 の 値 をコピーします。 続 いてフォント 情 報 のインスタンスタブを 開 き、<br />

カスタムパラメータの 欄 の 空 白 部 分 をクリックします。ここにペーストす<br />

ることでカスタムパラメータ 項 目 「Filter」が 追 加 され、 値 も 自 動 的 に 入 力<br />

されます。これを 手 動 で 設 定 する 場 合 はカスタムパラメータ 項 目 「Filter」<br />

を 追 加 した 後 、 値 の 欄 に 以 下 のフォーマットで 入 力 してください:<br />

Roughenizer;;< 横 >;< 縦 >;< 角 度 ><br />

5.2.6 角 丸<br />

「 角 丸 」は 選 択 した 角 に 対 して 丸 みを 与 えるフィルタです。 何 も 選 択 しない<br />

状 態 で 適 用 すると 反 時 計 回 り( 黒 塗 り)のパスは 外 向 きの 角 だけが、 時 計<br />

回 り( 白 抜 き)のパスは 内 向 きの 角 だけが 丸 くなります。<br />

ダイアログの「 半 径 」で 角 の 丸 さを 指 定 します。「 視 覚 調 整 」をチェックす<br />

ると、 鋭 角 は 半 径 が 小 さく、 鈍 角 は 大 きくなるように 調 整 されて、より 自<br />

然 な 結 果 を 得 られます。<br />

左 から 右 : 元 の 形 、 通 常 の 角 丸 、 視<br />

覚 調 整 された 角 丸 。<br />

このフィルタはカスタムパラメータとして 利 用 することができます。 手 動<br />

で 設 定 する 場 合 はカスタムパラメータのプロパティに「Filter」を 追 加 し<br />

た 後 、 値 の 欄 に 以 下 のフォーマットで 入 力 してください:<br />

RoundCorner;< 半 径 >;< 視 覚 調 整 ><br />

< 半 径 > を 負 の 値 にすると 逆 向 きの 角 も 同 時 に 丸 くできます(ダイアログ<br />

では 負 の 値 を 入 力 できませんが、カスタムパラメーターでは 有 効 です)。<<br />

視 覚 調 整 > は0でオフ、1でオンとなります。ダイアログ 左 下 の◆cog◆アイコン<br />

のメニューでカスタムパラメータ 用 の 値 をコピーすることも 可 能 です。<br />

<strong>Glyphs</strong>ハンドブック2016 年 11 月 版<br />

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5.2.7 スマート 角 丸<br />

「スマート 角 丸 」は、すべての 角 をきれいな 丸 にするフィルタです。 例 えば<br />

角 ゴシックのデザインを 元 に 丸 ゴシック 書 体 を 作 りたい 場 合 、 各 アウトラ<br />

インの 先 端 に 適 用 しなければいけない 角 丸 半 径 は 線 の 太 さによって 異 なり<br />

ます。スマート 角 丸 は 正 しい 半 径 を 自 動 的 に 検 出 して 適 用 するフィルタで<br />

す。「 編 集 > フォント 情 報 」の「マスター」タブの「 垂 直 ステム」の 最 初<br />

の 値 を 読 み 取 って 使 用 するため、 事 前 に 設 定 しておくことが 必 要 です。<br />

通 常 、 理 論 的 ( 数 学 的 )にステムの 端 を 丸 くすると 適 用 前 より 短 くなっ<br />

たように 感 じられてしまいますが、このフィルタでは 視 覚 的 な 長 さが 同 じ<br />

になるように 丸 の 先 端 を 少 し 突 き 出 すよう 補 正 します。このフィルタには<br />

ダイアログはありません。<br />

「スマート 角 丸 」フィルタをカスタムパラメータとして 利 用 する 場 合<br />

は、カスタムパラメータのプロパティに「Filter」を 追 加 した 後 、 値 の 欄<br />

に「RoundedFont」と 入 力 します。フィルタの 通 常 利 用 時 と 同 様 に「 垂<br />

直 ステム」が 設 定 されている 必 要 がありますが、「RoundedFont;」と 入 力 することでフォント 情 報 を 無 視 し、こちらの 値 を 使 用 するこ<br />

とができます。<br />

5.2.8 変 形<br />

「 変 形 」フィルタには「 変 形 」、「 背 景 とブレンド」、「メトリクス」という3<br />

つのタブがあります。<br />

「 変 形 」タブではパスやコンポーネントを 水 平 や 垂 直 方 向 に 移 動 、 拡 大<br />

縮 小 、 傾 斜 させることができます。 拡 大 縮 小 および 傾 斜 の 基 準 点 はキャッ<br />

プハイト、キャップハイトの½、x ハイト、x ハイトの½、ベースラインか<br />

ら 選 ぶことができます。 普 通 に 傾 斜 させたい 場 合 は「 傾 斜 」を、 傾 斜 した<br />

際 に 起 こる 線 幅 の 差 を 補 正 した 傾 斜 結 果 を 得 たい 場 合 は「 視 覚 的 傾 斜 」を<br />

選 んでください( 設 定 可 能 な 値 は-40°から40°まで)。「 視 覚 的 傾 斜 」オプ<br />

ションを 利 用 するには「 編 集 > フォント 情 報 」の「マスター」タブにて 垂<br />

直 ステムと 水 平 ステムを 正 しく 設 定 しておく 必 要 があります。<br />

<strong>Glyphs</strong>ハンドブック2016 年 11 月 版<br />

59


「 背 景 とブレンド」タブでは、スライダーを 使 って 背 景 とのブレンド( 補<br />

間 )を 行 うことができます。 線 の 長 さなど、パス 形 状 の 実 験 をする 際 に 便<br />

利 です。 背 景 には 互 換 性 のあるアウトラインが 配 置 されている 必 要 があり<br />

ます(「レイヤー> 選 択 パスを 背 景 レイヤーへ」(command + J)により 現<br />

在 のパスを 背 景 に 複 製 すると 手 早 く 準 備 することができます)。<br />

「メトリクス」タブでは、 選 択 したグリフの 字 幅 やサイドベアリングを 一 度<br />

に 変 更 することができます。「 相 対 的 」オプションにチェックを 入 れると、<br />

入 力 値 は 現 在 の 値 との 差 として 扱 われます。<br />

「 変 形 」フィルタのカスタムパラメータには「 変 形 」タブと「メトリクス」<br />

タブ 用 の2つのカスタムパラメータ 用 のフォーマットが 用 意 されています。<br />

以 下 は「 変 形 」タブのものです:<br />

Transformations;OffsetX:< 横 移 動 量 >;OffsetY:< 縦 移 動 量 >;<br />

ScaleX:< 横 の 拡 大 縮 小 率 >;ScaleY:< 縦 の 拡 大 縮 小 率 >;Slant:< 傾 斜<br />

角 度 >;Origin:< 基 準 点 の 種 類 ><br />

横 移 動 量 、 縦 移 動 量 の 単 位 はユニットです。<br />

横 の 拡 大 縮 小 率 、 縦 の 拡 大 縮 小 率 の 単 位 は 小 数 ではなくパーセントで<br />

す( 設 定 値 100だと 変 化 なし)。<br />

基 準 点 の 種 類 はメニューの 項 目 の 順 番 に 従 って0から4までを 入 力 しま<br />

す(0:キャップハイト、1:キャップハイトの½、2:x ハイト、3:x ハ<br />

イトの½、4:ベースライン)。<br />

<strong>Glyphs</strong>ハンドブック2016 年 11 月 版<br />

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視 覚 的 傾 斜 の 有 無 は0で「なし」、1で「あり」です。<br />

「メトリクス」のカスタムパラメータのフォーマットは 以 下 のように<br />

なっています:<br />

Transformations;LSB:< 左 サイドベアリング 値 >;RSB:< 右 サイドベ<br />

アリング 値 >;Width:;ScaleX:< 横 拡 大 率 >;ScaleY:<<br />

縦 拡 大 率 >;Slant:< 傾 斜 角 >;SlantCorrection:< 視 覚 的 傾 斜 の 有 無 >;<br />

サイドベアリングとレイヤー 幅 は + か-を 付 けると 相 対 値 、 何 も 付 いてい<br />

ない 場 合 は 絶 対 値 とみなされます。<br />

5.3 サードパーティー 製 のフィルタ<br />

Tip: 以 下 のサイトでサードパー<br />

ティー 製 のフィルタのいくつかを 閲<br />

覧 できます:<br />

glyphsapp.com/extend<br />

追 加 のフィルタをインストールすることで<strong>Glyphs</strong> の 機 能 を 拡 張 すること<br />

ができます。.glyphsfilterの 拡 張 子 を 持 ったファイルをダブルクリックす<br />

ると、<strong>Glyphs</strong> は 自 動 的 にフィルタを 適 切 なフォルダにインストールしま<br />

す。その 後 、 再 起 動 すると「フィルタ」メニューに 追 加 されたフィルタ 項<br />

目 が 表 示 されるようになります。サードパーティーのフィルタに 関 しては<br />

それぞれに 付 属 する 説 明 を 参 照 してください。<br />

フィルタは~/Library/Application Support/<strong>Glyphs</strong>/Pluginsに 格<br />

納 されます。アンインストールの 際 には 同 フォルダーを 開 いて 任 意 のフィ<br />

ルタを 削 除 してください。なお、「<strong>Glyphs</strong> > 環 境 設 定 」の「アドオン > プ<br />

ラグイン」でプラグインを 選 び、 右 クリックで 現 れる「Finderに 表 示 」を<br />

選 択 することで 素 早 くアクセスすることができます。<br />

「ウインドウ > プラグインマネージャー」から 呼 び 出 すプラグインマネー<br />

ジャーで、 様 々な 外 部 製 プラグインをインストール、 更 新 、 削 除 すること<br />

ができます。 詳 細 は「16.2 プラグイン」(p.172)を 参 照 してください。<br />

<strong>Glyphs</strong>ハンドブック2016 年 11 月 版<br />

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6 フォントビュー<br />

6.1 グリフの 表 示<br />

メインウインドウのフォントビューは、フォント 内 のグリフセットを 一 覧<br />

表 示 し、 管 理 するエリアです。 複 数 のタブが 開 かれている 場 合 、 最 も 左 の<br />

タブをクリックするかoption + command + 1でフォントビューに 移 動 す<br />

ることができます。フォントビューにはグリッドビューとリストビューの<br />

2つがあります。<br />

6.1.1 グリッド 表 示<br />

Unicode 値 とはUnicodeの 汎 用 の<br />

文 字 コードの 値 です。コードポイン<br />

トまたは 符 号 位 置 とも 呼 ばれます。<br />

通 常 は 先 頭 に「U+」を 付 けて 表 記<br />

します。フォントビューに 表 示 され<br />

るUnicode 値 は「U+」が 省 略 され<br />

ます。<br />

フォントビューをグリッド 表 示 に 切 り 替 えるには、ウインドウ 左 上 にある<br />

フォント 情 報 ◆fontinfの 隣 のボタンにある2つのボタンのうち 左 側 ◆gridvieをクリック<br />

します。<br />

フォントビューの 右 下 にあるスライダーでは 表 示 されるグリフのサイズを<br />

変 更 できます。 表 示 サイズが 大 きいときにはグリフのアウトライン 形 状 と<br />

名 前 、Unicode 値 が 表 示 されます。 縮 小 されるに 従 って 文 字 情 報 は 省 略 さ<br />

れます。<br />

グリフセルには 他 にも 様 々な 情 報 が 表 示 されます。 右 上 に 表 示 される<br />

黄 色 の 警 告 アイコンは、グリフに 設 定 されたメトリクスキーの 値 が 反 映 さ<br />

れていない 状 態 を 表 します。 詳 細 は「9.1.2 メトリクスキー」(p.114)を 参<br />

照 してください。グリフに 色 が 設 定 してある 場 合 は、その 通 りの 色 で 表 示<br />

されます。 未 保 存 の 変 更 内 容 があるグリフは 薄 い 灰 色 でマークされ、ファ<br />

<strong>Glyphs</strong>ハンドブック2016 年 11 月 版<br />

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イルを 保 存 すると 消 えます。 左 上 に 表 示 される 赤 い3 角 形 は、マルチプル<br />

マスターの 互 換 性 が 取 れていないレイヤーがあり、 補 間 に 失 敗 することを<br />

表 します。アウトラインの 互 換 性 の 詳 細 については「12.4 互 換 性 の 修 正 」<br />

(p.141)を 参 照 してください。<br />

6.1.2 リスト 表 示<br />

フォントビューをリスト 表 示 に 切 り 替 えるには、ウインドウ 左 上 のフォン<br />

ト 情 報 ◆fontinfの 隣 にある2つのボタンのうち 右 側 ◆listvieをクリックします。<br />

リスト 表 示 では、それぞれの 列 がグリフのプロパティを 表 しています。 各<br />

列 のヘッダー( 項 目 名 部 分 )をクリックすると、そのプロパティの 順 で 整<br />

列 し、もう 一 度 クリックすると 逆 順 になります(ヘッダー 右 側 に▲が 表 示<br />

されていると 昇 順 、▼だと 降 順 )。ヘッダーを 左 右 にドラッグすると 列 の 順<br />

番 を 変 更 できます。なお、ヘッダーを 右 クリックまたはcontrol + クリッ<br />

クするとコンテクストメニューが 表 示 され、 以 下 の 各 項 目 を 表 示 するか 否<br />

かをチェックマークにより 設 定 することができます。<br />

・ 実 物 :Unicode 値 のあるグリフの 場 合 、その 形 状 がサンプルとして 表<br />

示 されます。<br />

・ 文 字 体 系 :グリフの 属 する 文 字 体 系 が 表 示 されます( 例 :latin、greek、<br />

arabic)<br />

・カテゴリ/サブカテゴリ:カテゴリは 文 字 (letter)、 数 字 ( number)、<br />

記 号 (symbol)など、サブカテゴリは 大 文 字 (Uppercase)、 小 文<br />

字 (Lowercase)などが 表 示 されます。<br />

・グリフ 幅 / 左 サイドベアリング/ 右 サイドベアリング:それぞれの 横<br />

<strong>Glyphs</strong>ハンドブック2016 年 11 月 版<br />

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方 向 のメトリクス 値 が 表 示 されます。<br />

・ 左 グループ/ 右 グループ:それぞれ 左 と 右 のカーニンググループ 名 が<br />

表 示 されます。<br />

・メモ:それぞれのグリフについてのメモが 表 示 されます。この 内 容 は<br />

検 索 フィールドから 検 索 することも 可 能 です。<br />

・コンポーネント:コンポーネントグリフのコンポーネント 構 成 が 表 示<br />

されます。コンポーネントのグリフ 名 を 書 き 換 えて 構 成 を 変 更 するこ<br />

とができます。<br />

・ 前 回 の 変 更 : 最 後 にグリフが 編 集 された 日 時 が 表 示 されます。<br />

・グリフ 縦 幅 :グリフの 縦 方 向 のメトリクスが 表 示 されます。<br />

6.1.3 グリフの 検 索<br />

フォントビューでは、ウインドウ 左 のサイドバーにあるカテゴリ、 文 字 体<br />

系 、フィルタなどのいずれを 選 択 している 場 合 でも 特 定 のグリフを 検 索 し<br />

て 絞 り 込 み 表 示 できます。グリフを 検 索 するにはウインドウ 右 下 にある 検<br />

索 フィールド(command + F)を 使 用 します。 詳 細 は「6.5.1 検 索 ボック<br />

ス 」( p.72)を 参 照 してください。<br />

目 的 のグリフが 見 つからない 場 合 、 何 らかのカテゴリーを 選 択 している<br />

のが 原 因 かもしれません。その 場 合 、サイドバー 最 上 部 の「すべて」を 選<br />

択 してください。 検 索 フィールドに 何 らかの 文 字 列 が 入 力 されており、ま<br />

だ 検 索 中 の 可 能 性 もあります。その 場 合 はフィールドを 空 にしてください。<br />

6.2 グリフセットの 管 理<br />

6.2.1 新 しいグリフの 生 成<br />

フォントに 新 しいグリフを 追 加 する 方 法 はいくつかあります。<br />

・「グリフ > 新 規 グリフ」(option + shift+command + N)を 実 行 、ま<br />

たはフォントビュー 下 の「+ 」ボタンをクリックすることで 新 規 グリ<br />

フを 追 加 できます。 追 加 した 時 点 ではグリフ 名 が「newGlyph」( 2つ<br />

目 以 降 は「newGlyph.001」「 newGlyph.002」……)となっており、<br />

「グリフを 追 加 」は 編 集 ビューでも<br />

使 用 できます。この 場 合 、 新 しいグ<br />

リフは 現 在 のグリフの 左 に 追 加 され<br />

ます。<br />

グリフ 名 をクリックして 名 称 を 変 えることができます。<br />

・グリフを 複 製 する 場 合 は、 複 製 したいグリフを 選 択 して「フォント ><br />

複 製 」( command + D)を 実 行 します。グリフ 名 は 重 複 してはいけな<br />

いので、 新 しいグリフ 名 は 元 のグリフ 名 の 末 尾 に「.001」「 .002」と<br />

いうように 番 号 が 振 られたものになります。<br />

・「グリフ > グリフを 追 加 …」(command + shift+G)を 実 行 すると、<br />

ダイアログが 現 れます。ここに 任 意 の 文 字 ( 例 :あ)を 入 力 し、「 生<br />

成 」ボタンをクリックすることでグリフを 生 成 することができます。ス<br />

ペースや 改 行 でグリフ 名 を 区 切 ることで 一 度 に 複 数 を 生 成 することが<br />

可 能 です( 例 :あ い う え お )。 Unicodeのある 範 囲 を 一 括 で 追 加 し<br />

<strong>Glyphs</strong>ハンドブック2016 年 11 月 版<br />

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たい 場 合 は、 半 角 コロン 区 切 りで 最 初 のグリフと 最 後 のグリフを 入 力<br />

してください( 例 :uniE000:uniE0FF)。または 文 字 をそのまま 入 力<br />

することもできます( 例 :Ä:ñ あ:け)。コンポーネントグリフを 生 成<br />

する 際 、グリフ 追 加 ダイアログに 任 意 のレシピを 入 力 すると、<strong>Glyphs</strong><br />

標 準 のレシピではなく 入 力 したレシピを 優 先 します。コンポーネント<br />

のレシピについては「8.3.1 コーナーコンポーネント」(p.109)を 参<br />

照 してください。なお、いずれの 方 法 でもフォント 内 にすでに 存 在 す<br />

るグリフを 重 複 して 生 成 することはできません。 生 成 しようとした 場<br />

合 はダイアログで 警 告 されます。<br />

・「ウインドウ > グリフ 情 報 」でウインドウを 開 き、グリフを 選 択 して<br />

「フォントに 追 加 」ボタンをクリックすることでもグリフを 追 加 できま<br />

す。 複 数 のグリフを 選 択 して 追 加 することも 可 能 です。<br />

<strong>Glyphs</strong>が 認 識 する 全 グリフ 名 のリ<br />

ストは「ウインドウ > グリフ 情 報 」<br />

で 確 認 することができます。<br />

・フォントビュー 左 にあるサイドバーの 項 目 には 数 字 のバッジが 付 いたも<br />

のがあり、グリフ 総 数 と 生 成 されたグリフ 数 が 表 示 されています( 例 :<br />

0/10)。バッジの 付 いた 項 目 を 右 クリックすると、まだ 生 成 されていな<br />

いグリフがすべて 表 示 されます。 任 意 のグリフを 選 び(command+A<br />

ですべてを 選 択 することもできます)、「 生 成 」ボタンをクリックする<br />

ことでグリフを 追 加 することができます。<br />

6.2.2 ファイル 間 のグリフのコピー<br />

フォントビューでは 任 意 のグリフ( 複 数 も 可 )を 選 択 してコピーし、 他 の<br />

ファイルにペーストすることができます。コンポーネントグリフをペース<br />

<strong>Glyphs</strong>ハンドブック2016 年 11 月 版<br />

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トすると、ペースト 先 のファイルのグリフ 情 報 と 再 リンクされます。なお、<br />

ペースト 先 のファイルに 同 名 のグリフが 既 に 存 在 する 場 合 、 上 書 きを 避 ける<br />

ため3 桁 の 数 字 が 末 尾 に 追 加 されます( 例 :A.001、A.002、A.003… … )。<br />

もし 元 から 存 在 するグリフを 上 書 きペーストしたい 場 合 は「 特 殊 な<br />

ペースト(option を 押 しながら「 編 集 > ペースト」、またはoption+<br />

command + V)」でダイアログを 表 示 し、ペースト 方 法 を 設 定 した 上 で 実<br />

行 してください。<br />

・「グリフを 同 じ 名 前 で 上 書 き」では、クリップボードにあるグリフと 同<br />

名 のグリフを 上 書 きペーストします。 同 名 のグリフがなければ、 同 名<br />

のグリフを 新 たに 設 けた 上 でそこにペーストします。<br />

・「 選 択 したグリフを 上 書 き」では、ペースト 先 で 選 択 しているグリフを<br />

上 書 きペーストします(ペースト 先 のグリフ 名 は 保 持 され、それ 以 外<br />

のデータが 置 き 換 えられます)。なお、クリップボードのグリフ 数 と<br />

ペースト 先 の 選 択 グリフ 数 が 異 なる 場 合 、 余 分 にコピーされたグリフ、<br />

または 余 分 に 選 択 されたペースト 先 グリフについては 無 視 されます。<br />

ダイアログの 下 部 では、コピーしたデータのうち 何 をペーストするかを 選<br />

択 します。<br />

・「すべてのデータ」はパス、アンカー、コンポーネント、レイヤー、グ<br />

リフとレイヤーの 属 性 、メトリクスを 置 き 換 えます。<br />

・「 現 在 のレイヤーの 中 身 」は「すべてのデータ」と 似 ていますが、 現 在<br />

選 択 されているレイヤーのみ 置 き 換 えられます。<br />

・「カーニンググループ」は 左 および 右 のカーニンググループを 置 き 換 え<br />

ます。 別 のフォントからグループを 移 植 したい 場 合 に 便 利 です。<br />

・「メトリクスキー」はサイドベアリングやグリフ 幅 のキーを 置 き 換<br />

えます。ペースト 後 には「グリフ > メトリクスを 更 新 (control +<br />

command + M)」する 必 要 があります。メトリクスキーの 詳 細 は<br />

「9.1.2 メトリクスキー」(p.114)を 参 照 してください。<br />

・「 左 サイドベアリング」「グリフ 幅 」「 右 サイドベアリング」はグリフの<br />

メトリクス 情 報 を 置 き 換 えます。なお、グリフ 幅 と 右 サイドベアリン<br />

グを 同 時 に 選 んだ 場 合 はサイドベアリング 情 報 が 優 先 されます。<br />

<strong>Glyphs</strong>ハンドブック2016 年 11 月 版<br />

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6.<strong>2.3</strong> グリフの 削 除<br />

フォントビューや 編 集 ビューで 選 択 したグリフは「フォント > グリフを 削<br />

除 」( command + delete)で 削 除 することができます。フォントビュー<br />

ではウインドウの 左 下 の「–」ボタンをクリックすることでも 削 除 できます。<br />

どちらの 方 法 でも 確 認 のためダイアログが 表 示 されます。<br />

6.3 グリフのプロパティ<br />

ウインドウ 左 下 の◆cog◆の 隣 の◆glyphprボタンをクリックするとグリフプロパティ<br />

の 表 示 / 非 表 示 を 切 り 換 えることができます。プロパティを 編 集 する 際 は、<br />

単 体 または 複 数 のグリフを 選 択 した 上 でおこないます。なお、プロパティ<br />

のいくつかはコンテクストメニューから 編 集 することもできます。<br />

フォントビューのリスト 表 示 ではグリフプロパティの 各 項 目 がリスト 内 に<br />

もコラム 表 示 されており、ここで 編 集 することができます。プロパティの<br />

中 にはリスト 表 示 でのみ 表 示 されるものもあります。リスト 表 示 では 各 コ<br />

ラムの 情 報 を 昇 順 または 降 順 で 表 示 できますし、コラムのタイトル 部 分 を<br />

右 クリックすることで 各 項 目 の 表 示 の 有 無 を 選 択 することもできます。<br />

<strong>Glyphs</strong>ハンドブック2016 年 11 月 版<br />

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6.3.1 グリフ 名<br />

グリフ 名 は、グリフが1つだけ 選 択 されているときに 編 集 することができ<br />

ます。 複 数 選 択 したグリフの 名 前 を 一 度 に 変 更 したい 場 合 は「 編 集 > 検 索<br />

> 検 索 と 置 換 …」(shift+command + F)を 使 用 します。 詳 細 は「6.4.3<br />

グリフ 名 の 一 括 変 更 」(p.70)を 参 照 してください。<br />

6.3.2 字 幅 とサイドベアリング<br />

グリフの 字 幅 や 左 右 のサイドベアリングを 編 集 することができます。 複 数<br />

のグリフについて 一 度 に 編 集 することも 可 能 です。 字 幅 の 変 更 は 左 側 が 基<br />

準 であり、 変 更 すると 右 サイドベアリングが 変 化 します。<br />

6.3.3 カーニンググループ<br />

カーニンググループを 編 集 できます。 複 数 のグリフについて 一 度 に 編 集 す<br />

ることも 可 能 です。 詳 細 は「9 スペーシングとカーニング」(p.113)を 参<br />

照 してください。<br />

6.3.4 フォント 出 力 時 に 含 める<br />

チェックを 外 すと、そのグリフは 出 力 されません。デザインのバリエーショ<br />

ンやセリフなどのパーツをグリフ 単 位 で 保 管 している 時 など、 不 要 なグリ<br />

フをフォント 出 力 時 に 除 外 したいときに 有 効 です。なお、 新 規 で 追 加 され<br />

たグリフは 名 前 がアンダースコア(_)で 始 まる 場 合 を 除 いて 初 期 状 態 では<br />

出 力 される 設 定 になっています。<br />

6.3.5 カラーラベル<br />

より 簡 便 なソートやフィルタリングのため、もしくは 見 た 目 の 整 理 のため<br />

に、グリフに10 色 のカラーラベルを 付 けられます。この 色 は 出 力 される<br />

フォントには 全 く 影 響 を 及 ぼしません。<br />

optionキーを 押 しながらカラーラベルのボタンをクリックすることで、<br />

グリフではなく 現 在 表 示 中 のレイヤーにラベルを 設 定 できます。この 場 合 、<br />

グリフに 設 定 した 色 は 左 半 分 、 特 定 レイヤーに 設 定 した 色 は 右 半 分 に 表 示<br />

されます。 詳 細 は「3.6.4 グリフとレイヤーの 色 」(p.33)を 参 照 してく<br />

ださい。<br />

左 から 右 :グリフのラベルをオレン<br />

ジに 設 定 した 状 態 (a)、グリフの<br />

ラベルをオレンジ、レイヤーのラベ<br />

ルをピンクに 設 定 した 状 態 (b)、<br />

レイヤーのラベルをピンクに 設 定 し<br />

た 状 態 (c)、ラベルが 一 切 ない 状 態<br />

(d)。<br />

6.3.6 Unicode<br />

Unicode 値 はグリフ 名 に 紐 付 いて 定 められており、グリフ 名 を 変 えずに<br />

<strong>Glyphs</strong>ハンドブック2016 年 11 月 版<br />

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Unicode 値 を 変 更 することはできません。そのためUnicode 値 は 表 示 専<br />

用 となっています。しかしフォント 情 報 の「その 他 の 設 定 」タブにて「 標<br />

準 外 のグリフ 名 を 使 用 」が 有 効 になっている 場 合 はUnicode 値 を 手 動 で 設<br />

定 することができます。<br />

Unicodeのプライベート 領 域 (PUA)のグリフに 関 しては 自 由 に 命 名<br />

することができます。まずは 新 規 グリフのグリフ 名 にUnicode 値 をそのま<br />

ま 入 力 し(4 桁 の 場 合 は「uniXXXX」、 5 桁 の 場 合 は「uXXXXX」とい<br />

う 形 式 で 入 力 )、そのグリフのUnicode 値 が 定 まった 後 にグリフ 名 を 任 意<br />

に 変 更 するのが 良 いでしょう。ただし 通 常 の 命 名 規 則 はここでも 適 用 され<br />

ま す (「 6.6.2 グリフの 命 名 」、p.78)。すでにデータベースに 存 在 するグ<br />

リフ 名 と 重 複 しないよう 注 意 してください。もし 既 存 の 名 前 を 設 定 した 場<br />

合 は、そのグリフのUnicode 値 になります。 重 複 を 避 けるには「ウインド<br />

ウ > グリフ 情 報 」でグリフ 名 を 検 索 して 確 認 してください。なお、グリフ<br />

名 を 変 更 せずUnicode 値 を 強 制 的 に 変 更 したい 場 合 は「 編 集 > 選 択 内 容<br />

のプロパティを 編 集 」を 選 択 します。 詳 細 は「17.4.2 ファイルごとグリフ<br />

データの 変 更 」(p.210)を 参 照 してください。<br />

6.3.7 メモ(リスト 表 示 )<br />

各 グリフにはメモを 書 くことができます。メモの 編 集 ・ 閲 覧 はリスト 表 示<br />

のみで 可 能 です。メモはフォントビューの 検 索 フィールドで 検 索 できます<br />

(ただし 検 索 対 象 となるのは 英 数 字 のみです)。<br />

6.3.8 コンポーネント(リスト 表 示 )<br />

各 グリフに 使 われているコンポーネントを 確 認 することができます。また、<br />

項 目 を 直 接 編 集 することで 使 用 コンポーネントを 変 更 することができます<br />

( 例 :Amacron のコンポーネント 構 成 「A, macron」を「A, macron.<br />

case」に 変 更 )。<br />

6.3.9 リスト 表 示 での 表 示 専 用 の 項 目<br />

以 下 のプロパティはリスト 表 示 でのみで 表 示 されます。これらの 項 目 は 編<br />

集 不 可 であり、グリフをソートするのに 便 利 です:<br />

・「 ID」はフォントのグリフの 順 番 に 対 応 しています。これを 変 更 す<br />

るにはフォント 情 報 の「フォント」タブでカスタムパラメータの<br />

「glyphOrder」を 編 集 してください。 詳 細 は「6.5.7 glyphOrder カ<br />

スタムパラメータ」(p.75)を 参 照 してください。<br />

・「 実 物 」はUnicode 値 のある 文 字 をOSXシステムの 標 準 フォントで 表<br />

示 します。<br />

・「 文 字 体 系 」は 各 グリフの 属 する 文 字 で( 例 :Latin、Greek、Cyrillic)、<br />

グリフ 名 によって 決 まります。<br />

・「カテゴリ」( 例 :Letter、Number)と「サブカテゴリ」( 例 :<br />

<strong>Glyphs</strong>ハンドブック2016 年 11 月 版<br />

69


Uppercase)はグリフ 名 によって 決 まります。<br />

・「 前 回 の 更 新 」は 最 後 にグリフに 変 更 を 加 えた 日 時 です。<br />

6.4 複 数 グリフの 処 理<br />

6.4.1 グリフの 選 択<br />

複 数 グリフを 選 択 するために、さまざまな 方 法 が 用 意 されています。 表 示 中<br />

のグリフをすべて 選 択 するには「 編 集 > すべてを 選 択 (command + A)」、<br />

解 除 するには「 編 集 > すべてを 選 択 解 除 (option + command + A)」 を<br />

実 行 します。 選 択 中 のグリフと 選 択 外 のグリフを 逆 転 したい 場 合 は「 編 集<br />

> 選 択 範 囲 を 反 転 (option + shift+command + I)」を 実 行 します。ま<br />

たFinderでのファイル 選 択 と 同 様 、グリフ 選 択 後 にcommandを 押 しな<br />

がら 別 のグリフをクリックするとグリフを 追 加 選 択 、shiftを 押 しながらク<br />

リックだと 範 囲 選 択 が 可 能 です。<br />

6.4.2 レイヤーコマンドとフィルタ<br />

アクティブなレイヤーで 選 択 している 複 数 のグリフに 対 して、 以 下 の 処 理<br />

を 一 括 で 行 うことができます:<br />

・グリフ > グリフを 複 製 (command + D)<br />

・グリフ > グリフ 情 報 を 更 新<br />

・グリフ > コンポーネントグリフを 生 成 (opt + shift+cmd + C)<br />

・グリフ > コンポーネントを 分 解 (shift+command + D)<br />

・グリフ > 画 像 を 追 加 …(「6.7 画 像 」、p.80)<br />

・グリフ > メトリクス 情 報 を 更 新 (control + command + M)、 全 マ ス<br />

ターのメトリクス 情 報 を 更 新 (control + option + command + M)<br />

・グリフ > アンカーを 設 置 (command + U)、アンカーをリセット<br />

(option+command + U)<br />

・パス > 選 択 内 容 を 背 景 レイヤーに 複 製 (command + J)、 選 択 内 容<br />

を 背 景 レイヤーに 追 加 (option + command + J)、 背 景 レイヤー<br />

を 消 去 、 背 景 レイヤーを 割 り 当 てる…、 背 景 レイヤーと 入 れ 替 え<br />

(control+command + J)<br />

・パス > パス 方 向 を 修 正 (shift+command + R)、 全 マスターのパス<br />

方 向 を 修 正 (option + shift+command + R)<br />

・パス > 座 標 を 整 数 にする<br />

・パス > パスをクリーニング(option + shift+command + T)<br />

・パス > 極 点 を 追 加<br />

6.4.3 グリフ 名 の 一 括 変 更<br />

「 編 集 > 検 索 > 検 索 と 置 換 」(shift+command + F)では 複 数 のグリフ<br />

の 名 前 を 一 括 変 更 できます。<br />

<strong>Glyphs</strong>ハンドブック2016 年 11 月 版<br />

70


「 検 索 」フィールドを 空 にして「 置 換 」フィールドだけに 文 字 列 を 入 力<br />

すると、 選 択 グリフの 末 尾 に 置 き 換 え 文 字 列 が 追 加 されます。<br />

「 正 規 表 現 」チェックボックスをオンにすると、 検 索 フィールドと 置 き 換 え<br />

フィールドの 両 方 で 正 規 表 現 が 使 えます。 正 規 表 現 のパターンが 無 効 であ<br />

る 場 合 は 赤 で 表 示 されます。<br />

例 えばグリフ 名 に 沢 山 のサフィックス( 拡 張 子 )が 付 いていて、その 中 の<br />

「.alt」を 末 尾 に 移 動 させたいとします。その 場 合 、 検 索 フィールドに「(\.<br />

alt)(\..*)」、 置 き 換 えフィールドに「\2\1」と 入 力 します。 正 規 表 現 では<br />

「\.」は 文 字 どおりのピリオドで、「.*」は 数 も 内 容 も 不 明 の、どんなパター<br />

ンにもマッチする 文 字 列 です。「\1」は 括 弧 で 囲 まれた 最 初 のパターンを 表<br />

し 、「 \2」は2つ 目 です。 他 の 具 体 例 は「6.5.1 検 索 ボックス」(p.72)を<br />

参 照 してください。<br />

6.4.4 フィルタ<br />

付 属 の 全 フィルタ、およびサードパーティー 製 フィルタのほとんどは 複 数<br />

のグリフに 一 括 適 用 できます。 前 者 に 関 しては「5 フィルタ」(p.53)を、<br />

後 者 に 関 してはそれぞれ 付 属 の 説 明 を 参 照 してください。<br />

6.4.5 パレット 操 作<br />

パレット(option + command + P)からは 複 数 のグリフに 対 して 反 転 、 拡<br />

大 縮 小 、 回 転 、 傾 斜 の 変 形 処 理 を 一 括 適 用 することができます。 変 形 の 基<br />

準 点 は 設 定 した 位 置 が 使 用 されます。<br />

<strong>Glyphs</strong>ハンドブック2016 年 11 月 版<br />

71


ブーリアン 処 理 も 複 数 のグリフに 一 括 適 用 できます。ただし 処 理 結 果<br />

が 予 想 しづらいため、 複 数 グリフに 適 用 した 場 合 は 処 理 後 によく 確 認 して<br />

ください。<br />

6.5 絞 り 込 みとソート<br />

6.5.1 検 索 ボックス<br />

ウインドウ 右 下 の 検 索 ボックス(command + F)は、フォントビューに 表<br />

示 されるグリフを 素 早 く 絞 り 込 むのに 便 利 です。 虫 眼 鏡 アイコンをクリッ<br />

クすると 以 下 のオプションを 選 ぶことができます。<br />

・すべて:グリフ 名 、unicode、メモのすべてが 検 索 対 象 となります。<br />

・グリフ 名 :グリフ 名 だけが 検 索 対 象 となります。<br />

・unicode:unicode 値 だけが 検 索 対 象 となります。<br />

・メモ:メモだけが 検 索 対 象 となります。<br />

・ 大 文 字 / 小 文 字 を 区 別 : 有 効 にすると、その 名 の 通 り 検 索 内 容 の 大 文<br />

字 と 小 文 字 が 区 別 されるようになります。<br />

・ 正 規 表 現 : 検 索 内 容 が 正 規 表 現 パターンとして 処 理 されます。なお、<br />

「 正 規 表 現 」オプションではグリフ 名 だけが 検 索 対 象 となります。<br />

正 規 表 現 を 使 用 すると 曖 昧 で 広 義 な 表 現 での 検 索 が 可 能 になります。 例 えば<br />

「[Lldt]caron(\.. + )*」と 検 索 すると、Lcaron、lcaron、dcaron、tcaron<br />

と、それらのオルタネートまでマッチできます。 正 規 表 現 に 関 しては 他 の<br />

ウェブサイトなどの 参 照 を 推 奨 しますが、ここでも 例 をいくつか 紹 介 しま<br />

す。<br />

・[abc] a、b、c のいずれか<br />

・[^abc] a、b、c 以 外 のいずれか<br />

・. アルファベット、 数 字 、 記 号 のどれでも<br />

・\d 数 字<br />

・\. ピリオド<br />

・a? 0 個 または1 個 のa(a が1 個 存 在 するかもしれないが、 無 くても<br />

マッチする)<br />

・a + 1 個 以 上 のa(a、aa、aaa、aaaa…)<br />

・a* 0 個 以 上 のa(a が1 個 以 上 存 在 するかもしれないが、 無 くてもマッ<br />

チする)<br />

・a{3} 3 連 続 のa(aaa)<br />

・a{2,5} 2 連 続 から5 連 続 のa(aa、aaa、aaaa、aaaaa)<br />

・a.* a から 始 まるグリフ 名 すべて<br />

・.*a a で 終 わるグリフ 名 すべて<br />

・. + -. + ハイフンが 途 中 に 含 まれているグリフ 名 すべて<br />

・. + \.. + ピリオドが 途 中 に 含 まれているグリフ 名 すべて<br />

・. + \d 数 字 で 終 わるグリフ 名 すべて<br />

<strong>Glyphs</strong>ハンドブック2016 年 11 月 版<br />

72


・[^\d]*\d{3} ちょうど 数 字 3 桁 で 終 わり、それ 以 前 のどこにも 数 字 が<br />

ないグリフ 名<br />

6.5.2 カテゴリ<br />

カテゴリは<strong>Glyphs</strong> が 定 めているグリフのサブセットのみを 表 示 するオプ<br />

ションで、フォントビューの 左 側 上 部 に 表 示 されます。カテゴリーをクリッ<br />

クして 選 択 すると、フォントビューではそのサブセットのみが 表 示 されま<br />

す。 各 カテゴリの 隣 にある3 角 形 をクリックするとサブカテゴリにアクセ<br />

スできます。commandを 押 しながらクリックすると 複 数 のカテゴリを 選<br />

択 することが 可 能 です。 例 えば「 大 文 字 」のサブカテゴリを 選 んだ 後 、「 小<br />

文 字 」を command+ クリックするとフォントビューに 大 文 字 と 小 文 字 の<br />

両 方 が 表 示 されます。<br />

カテゴリを 選 択 した 後 、command + クリックでフィルタの 項 目 を 選<br />

ぶと 絞 り 込 み 表 示 ができます。 例 えば「 大 文 字 」のサブカテゴリを 選 んだ<br />

後 、「 mac roman」command + クリックすると、フォントビューには<br />

mac roman のセットに 入 っている 大 文 字 のみが 表 示 されます。<br />

これらの 表 示 を 解 除 してすべてのグリフを 表 示 したい 時 は、 最 上 部 に<br />

ある「すべて」をクリックしてください。<br />

6.5.3 文 字 体 系<br />

文 字 体 系 はカテゴリの 下 に 表 示 されます。ある 文 字 体 系 に 属 するグリフの<br />

みを 表 示 させたい 場 合 は、 文 字 体 系 名 (ラテン、キリル、ギリシャなど)<br />

をクリックしてください。 文 字 体 系 名 の 隣 にある3 角 形 をクリックすると、<br />

より 細 かなサブセットを 選 択 することができます。ここでもcommand+<br />

クリックでサブセットを 複 数 選 択 できます。<br />

<strong>Glyphs</strong>ハンドブック2016 年 11 月 版<br />

73


6.5.4 スマートフィルタ<br />

より 特 殊 な 条 件 で 表 示 させたい 場 合 は、ウインドウ 左 下 にある ◆cog◆ボタンを<br />

クリックし「スマートフィルタを 追 加 」を 選 んでください。スマートフィ<br />

ルタはiTuneのスマートプレイリストのようなもので、 以 下 の 項 目 を 用 い<br />

て 絞 り 込 み 条 件 を 自 由 に 設 定 することができます:<br />

・グリフ 名 : 任 意 のグリフ 名 (グリフ 名 に 特 定 の 文 字 列 を 含 むかなど)<br />

・アウトラインの 数 : 最 初 のマスターにあるベジェ 曲 線 のアウトライン<br />

の 数<br />

・ 文 字 体 系 : 欧 文 、アラビア 文 字 などの 文 字 体 系<br />

・カテゴリとサブカテゴリ:グリフ 情 報 データベースに 基 づいた、グリ<br />

フのカテゴリ<br />

・マスターの 互 換 性 :マスターが 補 間 可 能 な 状 態 か 否 か<br />

・ 出 力 フォントに 含 まれる: 出 力 フォントに 含 まれるか 否 か<br />

・Unicode 値 :Unicode 値 が 設 定 されているか 否 か<br />

・コンポーネントを 含 む: 最 初 のマスター 内 にコンポーネントが 配 置 さ<br />

れているか 否 か<br />

・ヒンティングされている: 手 動 のヒンティングが 施 されているか 否 か<br />

・アンカーが 設 置 されている:グリフ 内 にアンカーが 存 在 するか 否 か<br />

・ 特 殊 なレイヤーを 含 む:ブラケットレイヤーまたはブレースレイヤー<br />

があるか 否 か<br />

・カスタムのグリフ 情 報 を 含 む:デフォルトのグリフ 情 報 データベース<br />

に 手 動 の 変 更 が 加 えられているか 否 か( 編 集 > 選 択 内 容 のプロパティ<br />

を 編 集 )<br />

・この 名 前 のコンポーネントを 使 用 : 任 意 のグリフ 名 のコンポーネント<br />

が 最 初 のマスターに 配 置 されているか 否 か<br />

・メトリクスキーがある:グリフのメトリクスにキー( 例 :「=n + 10」<br />

<strong>Glyphs</strong>ハンドブック2016 年 11 月 版<br />

74


など)が 指 定 されているか 否 か<br />

・メトリクスキーが 未 アップデート:グリフに 設 定 されたメトリクスキー<br />

の 値 が 反 映 されているか 否 か<br />

・カーニンググループに 属 する:カーニンググループに 属 する 否 か<br />

・カラーラベル:カラーラベルの 設 定 の 有 無 、または 設 定 色<br />

・ 注 釈 を 含 む: 注 釈 ツール(A)で 設 置 する 注 釈 がグリフ 内 に 存 在 する<br />

か 否 か<br />

「+」ボタンをクリックすることで 条 件 を 追 加 できます。 初 期 状 態 ではAND<br />

検 索 ( 絞 り 込 み)となっています。option キーを 押 しながらボタンをク<br />

リックするとOR 検 索 が 設 定 でき、 入 れ 子 状 態 にすることもできます。<br />

フィルタ 名 をダブルクリックすると 再 度 ダイアログが 表 示 され、 設 定<br />

内 容 を 編 集 することができます。<br />

6.5.5 リストフィルタ<br />

ウインドウ 左 下 の◆cog◆ ボタンから「リストフィルタを 追 加 」を 選 択 すると<br />

ユーザー 独 自 のグリフのリストを 追 加 できます。 表 示 されるダイアログに、<br />

1 行 につき1グリフでグリフ 名 を 入 力 してください。 通 常 、リストフィルタ<br />

を 追 加 する 時 にフォントビューで 選 択 していたグリフは 自 動 でリストに 追<br />

加 されます。 設 定 後 、リストフィルタを 選 ぶとリストに 入 力 した 順 番 にグ<br />

リフが 表 示 されます。<br />

フィルタ 名 をダブルクリックすると 再 度 ダイアログが 表 示 され、 設 定<br />

内 容 を 編 集 することができます。<br />

6.5.6 フィルタの 管 理<br />

フィルタはcommandキーを 押 しながら 複 数 選 択 して 同 時 に 適 用 すること<br />

ができます。<br />

◆cog◆ボタンの「フィルタを 編 集 」メニューを 選 ぶと、 選 択 中 のフィルタ<br />

を 編 集 できます。またフィルタをダブルクリックすることでも 編 集 するこ<br />

とが 可 能 です。フィルタを 削 除 したい 場 合 は 歯 車 ボタンの「フィルタを 削<br />

除 」を 選 んでください。<br />

フィルタはドラッグすることで 任 意 の 順 番 に 変 更 することができます。<br />

またフィルタをフォルダにまとめて 管 理 することもできます。フォルダを<br />

追 加 するには◆cog◆ボタンから「フォルダを 追 加 」を 選 択 してください。<br />

フィルタやフォルダの 名 前 だけを 編 集 したい 場 合 は、 選 択 した 状 態 で<br />

returnキーを 押 してください。<br />

6.5.7 glyphOrder カスタムパラメータ<br />

カテゴリとフィルタの 情 報 は 最 終 的 に 出 力 されるフォントのグリフ 順 には<br />

影 響 を 与 えません(リストフィルタでは 表 示 する 順 番 をコントロールでき<br />

ますが、これは 出 力 されるフォントのグリフ 順 を 制 御 するものではありま<br />

<strong>Glyphs</strong>ハンドブック2016 年 11 月 版<br />

75


せん)。 出 力 されるフォントのグリフ 順 を 制 御 するには、フォント 情 報 の<br />

「フォント」タブで「glyphOrder」カスタムパラメータを 追 加 し、1 行 に<br />

つき1グリフでグリフ 名 を 入 力 してリストを 定 義 します。<strong>Glyphs</strong>がこのカ<br />

スタムパラメータを 検 知 すると、フォントビューにおける 表 示 順 もこれに<br />

従 うようになります(リストフィルタを 適 用 しない 場 合 )。<br />

環 境 設 定 の「 読 み 込 み 元 のファイルのグリフ 名 を 保 持 」がオンになっ<br />

た 状 態 でOTF やTTFフォントを 開 くと、<strong>Glyphs</strong>はフォント 内 のグリフ 順<br />

を 維 持 するため、 自 動 的 にこのカスタムパラメータを 追 加 します「2.1.2<br />

ユーザー 設 定 」(p.11)。<br />

6.6 グリフ 名 とUnicode<br />

6.6.1 グリフ 情 報 のデータベース<br />

<strong>Glyphs</strong>は 以 下 に 示 す 独 自 のグリフ 情 報 のデータベースを 内 包 しています。<br />

・ 人 間 が 読 みやすい<strong>Glyphs</strong> 独 自 の 標 準 グリフ 名 ( 英 語 版 ではNice name)<br />

・ 製 品 用 のグリフ 名 (フォント 出 力 時 に 適 用 されるグリフ 名 )<br />

・Unicode 値 ( 存 在 しない 場 合 もあります)<br />

・ 使 用 が 想 定 されるコンポーネント<br />

・ 配 置 が 必 要 と 思 われるアンカー<br />

・グリフと 関 連 するアクセント( 主 にアンカー 選 択 時 の 仮 表 示 用 )<br />

・グリフの 属 する 文 字 体 系<br />

Adobe Glyph Listの 詳 細 は 以 下 の<br />

ページをご 覧 ください:<br />

github.com/adobe-type-tools/<br />

agl-aglfn<br />

・カテゴリとサブカテゴリ( 文 字 、 大 文 字 / 小 文 字 、 約 物 など)<br />

「 標 準 グリフ 名 (Nice name)」には 独 自 の 命 名 規 則 があり、おおむねAdobe<br />

Glyph List(AGL)の 仕 様 に 沿 っています。しかしAGL ではすべてが 人 間<br />

にとって 読 みやすい 名 前 になっているわけではなく、 例 えば「uni042F」<br />

や「afii10049」などといった 覚 えにくいグリフ 名 も 混 じっています。そ<br />

こで<strong>Glyphs</strong> ではより 分 かりやすくするために、 文 字 体 系 を 示 す 文 字 を 末<br />

尾 に 加 えたグリフ 名 を 使 用 することにしています( 文 字 体 系 はUnicodeの<br />

規 格 に 則 ったものです)。 例 えば「CYRILLIC CAPITAL LETTER A」( キ<br />

リル 文 字 のA)は<strong>Glyphs</strong>では「A-cy」としています。なお、この 情 報 の<br />

データベースはアプリケーションのパッケージ 内 のXML ファイルに 保 存<br />

されています。<strong>Glyphs</strong>のApplication Supportフォルダに 同 じ 規 則 で 書<br />

かれたXML を 追 加 することにより、このグリフ 情 報 を 拡 張 または 強 制 変<br />

更 することも 可 能 です。 詳 細 は 補 足 資 料 「17.4.1 グローバルなグリフデー<br />

タの 変 更 」(p.208)を 参 照 してください。XML ファイルを 追 加 、 保 存 し<br />

た 後 は<strong>Glyphs</strong> を 再 起 動 すると 変 更 内 容 が 反 映 されます。グリフ 情 報 の 概<br />

要 を 知 るには「ウインドウ > グリフ 情 報 」メニューを 選 んでください。<br />

<strong>Glyphs</strong>ハンドブック2016 年 11 月 版<br />

76


また、XMLを 変 更 しなくても、その<strong>Glyphs</strong>ファイルに 限 ってグリフ 情 報<br />

を 強 制 変 更 することが 可 能 です。グリフを 選 んで「 編 集 > 選 択 内 容 のプロ<br />

パティを 編 集 」(option + command + I)でダイアログで 表 示 し、グリフ<br />

名 を 変 更 してください(グリフ 名 を 変 更 するとUnicode 値 も 変 更 あるい<br />

は 削 除 されますので、あらためて 元 のUnicode 値 を 入 力 します)。このメ<br />

ニューは 複 数 のグリフ 情 報 を 使 い 分 ける 必 要 がある 場 合 に 便 利 です。 詳 細<br />

は 補 足 資 料 「17.4.2 ファイルごとグリフデータの 変 更 」(p.210)を 参 照 し<br />

てください。<br />

ピリオド 付 きサフィックス( 拡 張 子 )のついたグリフは、 最 初 のピリオド<br />

までのグリフ 名 の 情 報 を 自 動 的 に 受 け 継 ぎます。 例 えば「X」と「X.alt」<br />

はどちらも 欧 文 の 大 文 字 X として 認 識 され、コンポーネントの 自 動 整 列 や<br />

「グリフ > アンカーを 自 動 設 置 」したときの 必 要 なアンカーに 関 する 情 報<br />

も 共 有 されます。もしピリオドをつけずに「Xalternate」と 命 名 すると、<br />

X と 関 連 したグリフだとは 認 識 されません。<strong>Glyphs</strong> によるグリフのオル<br />

タネートやバックアップ、 複 製 などの 正 しい 管 理 を 望 む 場 合 は、 必 ず 最 初<br />

のピリオドまでのグリフ 名 が 一 致 するようにしてください。<br />

<strong>Glyphs</strong>ハンドブック2016 年 11 月 版<br />

77


6.6.2 グリフの 命 名<br />

グリフ 名 はグリッド 表 示 では 各 グリフの 下 、またリスト 表 示 では 初 期 状 態<br />

で 左 から3 番 目 の 列 に 表 示 されます。<br />

グリフ 名 をクリックすると 名 前 を 変 更 することができます。なお「ä」<br />

あるいは「uni00E4」などと 入 力 した 場 合 、<strong>Glyphs</strong> は 自 動 的 に 標 準 グリ<br />

フ 名 の「adieresis」に 変 更 します。<br />

また、<strong>Glyphs</strong>はグリフ 名 を 元 に 自 動 的 にUnicode 値 、カテゴリとサ<br />

ブカテゴリ、 文 字 体 系 の 情 報 を 適 用 します。グリフによってはOpenType<br />

フィーチャーのコーディングも 自 動 的 に 準 備 されます( 適 用 するためには<br />

「フォント 情 報 > フィーチャー」の「 自 動 」ボタンをクリックする 必 要 が<br />

あります。 詳 細 は「7.4 フィーチャー」(p.91)を 参 照 してください)。<br />

グリフ 名 の 入 力 には3 種 類 の 方 式 があります。<br />

・ 標 準 グリフ 名 。 例 「Ia-cy」<br />

・「 uni」または「u」で 始 まる16 進 法 のUnicode 値 。 例 「uni042F」<br />

「u10120」<br />

・ 文 字 を 直 接 入 力 。 例 「Я」「あ」<br />

グリフ 名 の 自 動 変 更 はファイル 単 位 でオフにすることができます。「ファ<br />

イル > フォント 情 報 > その 他 の 設 定 」で「 標 準 外 のグリフ 名 を 使 用 」に<br />

チェックしてください。この 場 合 、コンポーネント 生 成 やOpenTypeフィー<br />

チャーなどの 自 動 生 成 も 同 時 にオフになります。<br />

Unicode 値 を 入 力 する 場 合 は「uni」で 始 まる16 進 法 の4 桁 のコード、<br />

例 えば「uniE002」などを 入 力 してください。 基 本 多 言 語 面 (BMP, Basic<br />

Multilingual Pane) 以 外 のUnicode 値 に 関 しては「u」で 始 まる5 桁 ま<br />

たは6 桁 のコード、 例 えば「u10015」などを 入 力 してください。<br />

グリフ 名 は 必 ずA ~Zまたはa ~zで 始 まる 必 要 があります。 他 に 使<br />

える 文 字 は 数 字 (0~9)、アンダースコア(_)、ピリオド(.)、ハイフン<br />

(-)のみです。スペースなどその 他 の 文 字 は 使 えません。 使 用 禁 止 文 字 を<br />

グリフ 名 に 使 おうとすると 警 告 ダイアログが 表 示 されます。このルールの<br />

唯 一 の 例 外 のグリフ 名 は「.notdef」です。またアンダースコアでグリフ<br />

名 を 始 めることも 可 能 ではありますが「 出 力 時 に 含 める」オプションが 初<br />

期 状 態 でオフになります。<br />

あるグリフのバリエーションのグリフを 作 りたい 場 合 は、 末 尾 にピリ<br />

オドで 始 まるサフィックス( 拡 張 子 )を 追 加 してください。 例 えばnのス<br />

モールキャップを 作 りたい 場 合 は「n.sc」、 上 付 きの5を 作 りたい 場 合 は<br />

「five.sups」と 名 付 けます。サフィックスのなかには<strong>Glyphs</strong> が 自 動 的 に<br />

認 識 してOpenTypeフィーチャーのコードを 自 動 で 生 成 するものもありま<br />

す。 本 ハンドブックの「17 章 補 足 資 料 」に、 標 準 でサポートされている<br />

サフィックスのリストがあります。<br />

複 数 のサフィックスを 使 い、OpenTypeフィーチャーの 自 動 生 成 を 高<br />

度 に 制 御 することもできます。たとえばnのスモールキャップのスタイリ<br />

<strong>Glyphs</strong>ハンドブック2016 年 11 月 版<br />

78


スティックオルタネートを 作 りたい 場 合 、 通 常 スモールキャップは 先 に 発<br />

動 されるため、n.sc.ss01とします(n.ss01.scだとnの 異 体 字 のスモール<br />

キャップとなり、 意 味 が 異 なります)。<br />

ハイフンはグリフが 属 する 文 字 体 系 を 示 すために 使 用 します。 例 えば<br />

「alef-ar」はアラビア 文 字 のアレフ、「alef-hb」はヘブライ 文 字 のアレフ<br />

です。 平 仮 名 の「た」の 場 合 は「ta-hira」とします。リガチャーを 命 名<br />

するには、それぞれのグリフ 名 をアンダースコアで 繋 げます。 例 えば「ffl」<br />

のリガチャであれば「f_f_l」とします。なお、 文 字 グループはグリフ 名 の<br />

最 後 に 一 度 だけ 表 記 します(アラビア 文 字 のラム + アレフのリガチャーは<br />

「lam_alef-ar」であり「lam-ar_alef-ar」ではありません)。バリエー<br />

ションのサフィックスも 末 尾 に 一 度 だけ 表 記 します。サフィックスはリガ<br />

チャーのグリフ 全 体 に 影 響 します。 例 えば、ラムの 語 頭 形 「lam-ar.init」<br />

とアレフの 語 中 形 「alef-ar.medi」のリガチャーは「lam_alef-ar.init」<br />

とします。「l_a.sc」はスモールキャップの「LA」リガチャーとなります<br />

(l だけが 小 文 字 にはなるわけではありません)。<br />

フォントビューで 任 意 のグリフを 選 択 し、コンテクストメニューから「グ<br />

リフ 名 をコピー」を 選 ぶと、グリフ 名 をクリップボードにコピーできます。<br />

コピーするグリフの 書 式 には4 種 類 あります:<br />

・スペース 区 切 り:グリフ 名 はスペースで 区 切 られます( 例 :a adieresis<br />

b c)。 OpenTypeフィーチャーのコードを 書 くときに 重 宝 します。<br />

・コンマ 区 切 り:グリフ 名 はコンマとスペースで 区 切 られます( 例 :a,<br />

adieresis, b, c)。これはカスタムパラメータ 用 のリストをペーストす<br />

る 時 に 便 利 です。また 英 語 として 自 然 な 書 式 なので 他 の 人 とのやりと<br />

りにも 便 利 でしょう。<br />

・スラッシュ 区 切 り:グリフ 名 の 前 にスラッシュが 付 きます( 例 :/a/<br />

adieresis/aacute/b/c)。これはサンプルテキストを 作 るとき、 特 に<br />

Unicode 値 のないグリフのサンプルグリフを 作 るときに 便 利 です。 編<br />

集 ビューにテキストをペーストするとき、<strong>Glyphs</strong> はスラッシュ 付 き<br />

のグリフ 名 をグリフそのものとして 処 理 します。<br />

<strong>Glyphs</strong>ハンドブック2016 年 11 月 版<br />

79


・Python 用 リスト:Python のリスト 形 式 のグリフ 名 がコピーされま<br />

す( 例 :[ "a", "adieresis", "aacute", "b", "c" ])。スクリプトを 書 く<br />

ときに 便 利 です。<br />

6.6.3 グリフ 名 の 変 更<br />

グリフ 名 を 変 更 するには、 名 前 をクリックして 編 集 可 能 になったら 新 しい<br />

名 前 を 入 力 します。 繰 り 返 しになりますが、ピリオドより 前 の 部 分 を 書 き<br />

換 えると、そのグリフの 付 帯 情 報 まで 変 更 されます。つまりUnicode 値 、<br />

カテゴリ、サブカテゴリ、 文 字 体 系 、デフォルトのアンカーやアクセント<br />

の 状 態 が 変 わるということです。<br />

グリフ 名 の 検 索 と 置 き 換 え、また 多 数 のグリフの 名 称 変 更 に 関 しては<br />

「6.4.3 グリフ 名 の 一 括 変 更 」(p.70)を 参 照 してください。<br />

6.6.4 CID マッピング<br />

CJK 系 ( 中 日 韓 、 漢 字 圏 )のOpenType フォントは、グリフ 名 ではなく<br />

CID(character identifier) 番 号 を 使 ってグリフにアクセスする 技 術 を 用<br />

いています。<strong>Glyphs</strong>は 標 準 グリフ 名 (Nice name)をCID 番 号 と 関 連 付<br />

けるためのマッピングファイルを 内 蔵 しています。そのマッピングファイ<br />

ルに 含 まれないグリフは、フォント 出 力 時 に 末 尾 に 追 加 されますが、ROS<br />

の 種 類 によっては 不 正 な 結 果 になるので 注 意 してください。ROS の 選 択 方<br />

法 についての 詳 細 は 補 足 資 料 の「17.3 カスタムパラメータ」(p.184)の<br />

該 当 するカスタムパラメータの 記 述 を 参 照 してください。<br />

6.7 画 像<br />

6.7.1 画 像 の 追 加<br />

フォントビューでも 編 集 ビューと 同 様 、 表 示 中 のレイヤーの 各 グリフに 画<br />

像 をドラッグ& ドロップして 画 像 を 追 加 できます。 画 像 を 一 括 追 加 する<br />

には「フォント > 画 像 を 追 加 …」を 選 び、 複 数 の 画 像 を 選 択 してくださ<br />

い。 各 画 像 のファイル 名 がグリフ 名 と 一 致 していれば<strong>Glyphs</strong> は 自 動 的 に<br />

適 切 なグリフに 画 像 を 配 置 します。 例 えばntilde.png はntilde のグリフ<br />

に、iacute.pdf はiacute のグリフに 配 置 されます。なお、ファイル 名 が<br />

グリフ 名 と 一 致 しない 場 合 は、あらかじめフォントビューで 選 択 しておい<br />

たグリフに 順 番 に 配 置 します。<br />

6.7.2 画 像 の 表 意<br />

編 集 ビューと 同 様 、フォントビューでの 画 像 の 表 示 は「 表 示 > 画 像 を 表<br />

示 」で 設 定 します。チェックした 場 合 、そのグリフにパスが 描 かれている<br />

か 否 かに 関 わらず 画 像 が 表 示 されます。チェックを 外 した 場 合 、パスが 描<br />

かれていると 画 像 は 表 示 されません(パスが 描 かれていなければ 画 像 は 表<br />

<strong>Glyphs</strong>ハンドブック2016 年 11 月 版<br />

80


示 されます)。<br />

その 他 の 画 像 の 操 作 についての 詳 細 は「3.11 画 像 」(p.41)を 参 照<br />

してください。<br />

<strong>Glyphs</strong>ハンドブック2016 年 11 月 版<br />

81


7 フォント 情 報<br />

フォント 情 報 を 開 くには「ファイル > フォント 情 報 」(command + I)を<br />

選 ぶか、メインウインドウ 左 上 の「i」ボタンを 押 してください。<br />

7.1 フォント<br />

「フォント」タブはフォント 全 体 に 適 用 される 情 報 を 格 納 しています。<br />

7.1.1 ファミリー 名<br />

フォントメニューに 表 示 されるファミリー 名 です。 同 一 のファミリー 名 を<br />

持 つフォントはグループ 化 され、サブメニューで 選 択 できるようになりま<br />

す。ファミリー 名 にスペースは 使 用 できますが、ASCII 以 外 の 文 字 を 使 う<br />

とフォントの 出 力 に 成 功 しない 可 能 性 があります。 欧 文 と 数 字 、 簡 単 な 記<br />

号 のみにすべきでしょう。 和 名 を 付 けたい 場 合 など、 特 別 な 文 字 をファミ<br />

リー 名 に 使 うにはlocalizedFamilyNameカスタムパラメータの 利 用 を 検<br />

討 してください。<br />

Name IDはOTF およびTTFフォン<br />

トに 内 蔵 されたOpenType<br />

Naming Tableを 指 します。 細 かい<br />

仕 様 については 以 下 のページを 参 照<br />

してください:<br />

www.microsoft.com/<br />

typography/otspec/name.htm<br />

<strong>Glyphs</strong> はファミリー 名 をもとに 出 力 フォントのファイル 名 および<br />

OpenType のName IDの1(Font Family)、3(Unique font identifier)、<br />

4(Full font name)、6(PostScript name)を 設 定 します。CFFベースの<br />

OpenTypeフォントではCFFテーブルのFontNameとFullNameもファ<br />

ミリー 名 を 使 って 設 定 されます。なお、インスタンスタブでfamilyName<br />

カスタムパラメータを 設 定 している 場 合 はそちらが 優 先 され、ここで 定 め<br />

たファミリー 名 は 無 視 されます。<br />

7.1.2 ユニット 数 (UPM)<br />

全 角 あたりのユニット 数 (Units per eM)のことで、1000が 標 準 的 な 値<br />

です。UPM を 上 げることでデザインのディテールをより 細 かく 表 現 する<br />

ことができるようになります。OpenType は16~16,384UPM に 対 応 し<br />

ていますが、 実 際 は5,000を 超 えるとInDesignやIllustratorで 問 題 が 起<br />

こる 可 能 性 があります。また、 他 のアプリケーションでも3,000を 超 える<br />

と 問 題 が 出 やすいという 報 告 があります。なお、±32,768を 超 えたところ<br />

Tip: フォント 情 報 の「その 他 の 設 定 」<br />

でグリッドのユニット 間 隔 が1( 小<br />

数 座 標 が 無 効 )と 設 定 されたまま、<br />

この 方 法 で 拡 大 縮 小 を 行 うと、 座 標<br />

値 の 端 数 が 四 捨 五 入 されて 劣 化 が 生<br />

じる 可 能 性 があります。 劣 化 を 防 ぐ<br />

ために、Scale to UPMパラメータ<br />

をインスタンスに 追 加 し、フォント<br />

出 力 時 のみに 適 用 させる 方 がいいか<br />

もしれません。<br />

にポイントを 置 いてはいけません。これらを 考 えると、 高 い 精 度 を 求 める<br />

場 合 はユニット 数 の 設 定 値 を 大 きくするのではなく、フォント 情 報 の「そ<br />

の 他 の 設 定 」でグリッドのユニット 間 隔 を0に 設 定 する 方 がいいでしょう<br />

( 小 数 座 標 が 有 効 になります)。 詳 細 は「7.5.1 グリッドの 間 隔 とグリッド<br />

細 分 」(p.94)を 参 照 してください。<br />

テキストフィールドの 右 にある ◆scaleupアイコンを 押 し、ダイアログでUPM<br />

の 数 値 を 変 更 すると、フォント 全 体 のグリフやメトリクスなどの 数 値 を 拡<br />

大 縮 小 することができます。UPM 設 定 を1000で 保 持 したままフォントの<br />

グラフィックデータを 拡 大 したいのであれば、まずUPMを1000より 小 さ<br />

<strong>Glyphs</strong>ハンドブック2016 年 11 月 版<br />

82


い 値 に 設 定 し、その 後 に◆scaleupをクリックして 拡 大 縮 小 ダイアログに1000と<br />

入 力 してください。2つの 値 の 比 率 が 拡 大 率 となります(たとえばUPMを<br />

500と 設 定 した 後 、 拡 大 縮 小 ダイアログに1000と 入 力 すると2 倍 に 拡 大 さ<br />

れます)。 同 様 に、 縮 小 したい 場 合 はUPM を1000より 大 きい 値 に 設 定 し<br />

た 後 、 拡 大 縮 小 ダイアログに1000と 入 力 します。<br />

7.1.3 デザイナーとデザイナーのURL<br />

ここにはデザイナーの 名 前 とURL を 入 力 します(http:// やftp:// などの<br />

プロトコル 含 む)。<br />

例 :<br />

デザイナー:Jessica Doe<br />

デザイナーのURL:http://www.example.com<br />

これらの 値 はOpenType のName ID の9と12に 相 当 します。テキスト<br />

フィールドの 右 にある◆jumplin をクリックするとリンク 先 がウェブブラウザで<br />

開 かれ、URLが 正 しいかどうかを 確 認 することができます。なお、これら<br />

のフィールドには 日 本 語 を 使 うこともできますが、 基 本 的 には 英 語 または<br />

ローマ 字 の 情 報 を 入 力 することをお 勧 めします( 日 本 語 による 情 報 はカス<br />

タムパラメータのlocalizedDesignerNameに 入 力 します)。<br />

7.1.4 製 造 者 と 製 造 者 のURL<br />

ここには 製 造 者 または 販 売 元 の 名 前 とURLを 入 力 します(http://やftp://<br />

などのプロトコル 含 む)。 名 前 には 日 本 語 を 使 うこともできます。<br />

例 :<br />

製 造 者 :Super Font Store<br />

製 造 者 のURL:http://www.example.com<br />

これらの 値 はOpenType のName ID の8と11に 相 当 します。テキスト<br />

フィールドの 右 にある◆jumplin をクリックするとリンク 先 がウェブブラウザで<br />

開 かれ、URLが 正 しいかどうかを 確 認 することができます。<br />

7.1.5 著 作 権<br />

著 作 権 の 情 報 を 入 力 します。デザイナーの 名 前 が 先 に 入 力 されている 場 合 、<br />

テキストフィールドの 右 の ◆auto◆をクリックして 自 動 で 生 成 することもできま<br />

す。この 値 はName ID 0に 相 当 します。<br />

7.1.6 バージョン<br />

フォントのバージョン 情 報 を 入 力 します。この 内 容 を 元 に<strong>Glyphs</strong> はバー<br />

ジョン 情 報 (Name ID 5)を 生 成 します。 出 力 されたフォントファイルで<br />

は、<strong>Glyphs</strong>が 内 部 で 使 用 するmakeotfやttfautohintのバージョンも 付<br />

記 されます( 例 :Version 1.010;PS 001.010;hotconv 1.0.70;makeotf.<br />

lib2.5.58329)。これらの 追 加 情 報 を 外 して 完 全 に 手 動 でバージョン 表 記<br />

<strong>Glyphs</strong>ハンドブック2016 年 11 月 版<br />

83


をしたい 場 合 はversionStringカスタムパラメータを 使 用 します。カスタ<br />

ムパラメータのリストについては 補 足 資 料 の「17.3 カスタムパラメータ」<br />

(p.184)を 参 照 してください。<br />

この 自 動 追 加 情 報 はフォントのレンダリングエンジンにとっては 有 意<br />

な 情 報 になり 得 ます。 例 えば 古 いバージョンAFDKOのmakeotfでは 欠 陥<br />

のあるGSUB テーブルを 出 力 するケースが 知 られています。InDesign は<br />

これらフォントのバージョン 情 報 を 認 識 し、 適 切 に 対 処 します。makeotf<br />

のバージョン 情 報 を 外 すときは、このことに 留 意 してください。<br />

7.1.7 日 付<br />

Headテーブルについての 詳 細 は 以<br />

下 を 参 照 してください:<br />

www.microsoft.com/<br />

typography/otspec/head.htm<br />

フォントの 作 成 日 を 入 力 します。◆auto◆をクリックして 現 在 の 日 時 を 自 動 で 入<br />

力 することもできます。この 日 付 がOpenType Font Headerテーブル、 別<br />

名 head テーブルの 作 成 日 、 修 正 日 として 記 録 されます。<br />

7.1.8 カスタムパラメータ<br />

カスタムパラメータには、より 細 かい 設 定 を 記 述 することができます。パ<br />

ラメータを 追 加 するには◆pluscirボタンをクリックして 新 規 値 を 追 加 し、 右 側 の<br />

◆propert からプロパティを 選 択 するかテキストフィールドにプロパティ 名 を 直 接<br />

入 力 します。 続 いて 値 を 設 定 します。プロパティの 種 類 によってテキスト<br />

フィールドに 直 接 入 力 するか、 値 の 欄 をクリックして 表 示 されるダイアロ<br />

グで 値 を 設 定 します。 作 成 したパラメータはコピーし、 他 の<strong>Glyphs</strong> ファ<br />

イルにペーストすることもできます。なお、フォントタブのカスタムパラ<br />

メータでは<strong>Glyphs</strong>の 標 準 挙 動 をオーバーライドすることができますが、マ<br />

スターやインスタンスに 重 複 するパラメータがあればそちらにオーバーラ<br />

イドされます(インスタンスのカスタムパラメータが 最 優 先 されます)。<br />

フォントに 適 用 できるカスタムパラメータ 名 はプロパティ 右 の ◆propert ボタ<br />

ンをクリックして 表 示 されるリストで 確 認 できます。 各 カスタムパラメー<br />

タの 詳 細 については 補 足 資 料 の「17.3 カスタムパラメータ」(p.184)を 参 照<br />

してください。<br />

7.2 マスター<br />

マスターのセットアップ 方 法 の 詳 細<br />

は 以 下 を 参 照 してください( 英 語 ):<br />

glyphsapp.com/tutorials/<br />

multiple-masters-part-1-<br />

setting-up-masters<br />

( 日 本 語 、 動 画 ):youtube.com/<br />

watch?v=mgLV7rA8s6Y<br />

「マスター」タブでは、マルチプルマスターで 使 われるマスターに 関 する 設<br />

定 を 行 います。 詳 細 は「12 マルチプルマスター」(p.139)を 参 照 してく<br />

ださい。マルチプルマスター 機 能 を 利 用 しない 場 合 でも、フォント 全 体 に<br />

関 わる 設 定 として 使 われます(フォント 出 力 時 、 最 終 的 に 得 たいインスタ<br />

ンスについては 後 述 する「インスタンス」タブで 設 定 します)。<br />

「マスター」タブで 左 下 の + ボタンをクリックすると、 以 下 の3 種 類 の<br />

オプションが 表 示 されます。<br />

・ 空 のマスターを 追 加 : 何 の 情 報 も 持 たない 初 期 状 態 のマスターが 追 加<br />

されます( 例 :ウエイト100、 字 幅 100、カスタム0)。すべてのグリ<br />

<strong>Glyphs</strong>ハンドブック2016 年 11 月 版<br />

84


フは 空 になっています。<br />

・ 他 のフォントから 追 加 : 同 時 に 開 いている<strong>Glyphs</strong>ファイルのマスター<br />

を 選 択 するダイアログが 表 示 されます。マスターを 選 ぶと 現 在 のフォ<br />

ントファイルに 追 加 されます。すべてのグリフは 読 み 込 み 元 のフォン<br />

トに 入 っていた 内 容 がそのまま 引 き 継 がれ、 読 み 込 み 元 に 存 在 してい<br />

なかったグリフは 空 になります。<br />

Tip: optionを 押 しながらマスター<br />

をドラッグ 移 動 すると、マスターを<br />

手 早 く 複 製 することができます。<br />

・ 選 択 中 のマスターを 複 製 : 現 在 選 択 されているマスターと 全 く 同 一 の<br />

内 容 のマスターが 追 加 されます。すべてのグリフは 読 み 込 み 元 のマス<br />

ターと 同 じ 内 容 になります。<br />

複 数 のマスターを 設 定 すると、ドラッグで 順 番 を 変 えられるようになります。<br />

最 上 位 のマスターはグリフレベルのヒンティングにとって 特 に 重 要 な 意 味<br />

があります。 詳 細 は「10.4 グリフレベルの 手 動 ヒンティング」(p.126)と<br />

「11.3 手 動 インストラクション」(p.131)を 参 照 してください。また、ス<br />

マートフィルタのパラメータには 最 上 部 のマスターしか 認 識 しないものも<br />

あります。 詳 細 は「6.5.4 スマートフィルタ」(p.74)を 参 照 してくださ<br />

い。 各 マスターのすべての 値 は 補 間 されますが、 同 数 揃 っている 必 要 があ<br />

り、 並 んでいる 順 番 も 一 致 しなければいけません。<br />

マスターをshift+ クリックまたはcommand + クリックで 追 加 選 択<br />

することで、 同 時 に 複 数 のマスターを 編 集 することができます。<br />

7.2.1 プロポーション:ウエイトとグリフ 幅<br />

ポップアップメニューで 選 択 するウエイトとグリフ 幅 の 項 目 はツールバー<br />

左 側 のnのアイコン、そしてパレット(command + option + P)に 表 示<br />

されるレイヤー 名 に 反 映 されます。また、 両 項 目 の 右 のフィールドに 入 力<br />

した 値 はインスタンスで 設 定 する 補 間 値 の 基 準 となります。<br />

最 終 的 に 出 力 されるフォントやその 補 間 値 は「インスタンス」タブで 設<br />

定 します。もしマスターの 内 容 をそのまま 出 力 したい 場 合 ( 何 も 補 間 しな<br />

い 場 合 )は、インスタンスの 補 間 値 をマスターと 同 一 にしてください。 詳<br />

細 は「12.2 マスターのセットアップ」(p.140)を 参 照 してください。<br />

7.2.2 メトリクス<br />

ここではフォントの 縦 方 向 のメトリクス(ハイト 設 定 )を 行 います:<br />

・アセンダー: 欧 文 小 文 字 の 最 高 点 (b d f h k l þ などの 上 端 。 発 音 記<br />

号 は 除 く)<br />

<strong>Glyphs</strong>ハンドブック2016 年 11 月 版<br />

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・キャップハイト: 大 文 字 の 高 さ(オーバーシュートや 発 音 記 号 は 除 く)<br />

・x ハイト: 小 文 字 の 高 さ(オーバーシュートや 発 音 記 号 は 除 く)<br />

・ディセンダー: 欧 文 小 文 字 の 最 低 点 (g j p q の 下 端 )<br />

これらは「 表 示 > メトリクスを 表 示 」が 有 効 になっていると 編 集 ビュー<br />

でのガイドラインとして 全 グリフに 表 示 されます。 値 を 決 めるときはオー<br />

バーシュート(o の 上 端 など、 視 覚 調 整 のためにはみ 出 す 部 分 )は 考 慮 し<br />

ません。 例 えばxハイトの 候 補 が490、496、502であれば、ベースライン<br />

に 最 も 近 い 値 、すなわち490を 採 用 すべきでしょう。<br />

アセンダーとディセンダーは 編 集 ビューでの 行 送 り 量 にも 影 響 します。<br />

これらの 値 を 変 えることなく 行 送 り 量 を 変 更 したい 場 合 は、フォントタブ<br />

でEditView Line Heightカスタムパラメータを 使 用 してください。<br />

<strong>Glyphs</strong> はこれらのメトリクスの 値 からOS/2とhhea テーブルを 算<br />

出 します。もしアセンダーとディセンダーを 全 マスターで 統 一 していれば、<br />

フォント 使 用 時 にウエイトを 変 えただけで 行 送 りが 変 わってしまう 現 象 を<br />

避 けることができます。<br />

smallCapHeightカスタムパラメータが 設 定 されていると、スモール<br />

キャップグリフの 表 示 時 にはx ハイトではなくこちらが 表 示 されます。イ<br />

ンド 系 文 字 、ヘブライ 文 字 、アラビア 文 字 ではshoulderHeightを 使 うと、<br />

同 様 に 専 用 のハイトが 表 示 されます。<br />

また 縦 メトリクス 情 報 を 正 しく 入 力 しておけば、<strong>Glyphs</strong> はアライン<br />

メントゾーンを 自 動 算 出 することができます。アラインメントゾーンの 詳<br />

細 は「7.2.4 アラインメントゾーン」(p.87)を 参 照 してください。<br />

イタリック 角 度 は<strong>Glyphs</strong> の 様 々な 場 面 に 影 響 します。イタリック 角<br />

度 を 参 照 する 機 能 は、メトリクス 表 示 時 のボディの 傾 斜 角 、アンカーの2<br />

点 間 整 列 、 計 測 ツールなどでのx 方 向 の 数 値 調 整 、サイドベアリング 計 算<br />

などです。<br />

7.<strong>2.3</strong> ステム<br />

垂 直 ステム、 水 平 ステムに 適 切 な 値 を 入 力 しておくと、これを 基 準 にオー<br />

トヒンターがステムを 探 して 自 動 的 にヒンティングを 施 します。マルチプ<br />

ルマスターのファイルの 場 合 はステムが 同 じ 数 、 同 じ 順 番 で 設 定 されてい<br />

ることを 必 ず 確 認 してください。これが 不 適 切 な 場 合 は 補 間 されたイン<br />

スタンスにおけるステム 設 定 が 意 図 しないものになります。 詳 細 は「10<br />

<strong>Glyphs</strong>ハンドブック2016 年 11 月 版<br />

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PostScriptヒンティング」(p.121)を 参 照 してください。<br />

7.2.4 アラインメントゾーン<br />

アラインメントゾーンは、 低 解 像 度 でフォントが 表 示 される 場 合 に 些 細 な<br />

高 低 差 が 強 調 されないよう 整 列 させるために 存 在 します。アラインメント<br />

ゾーンの 設 定 はフォントが 出 力 される 際 のオートヒンティング 処 理 に 重 要<br />

な 役 割 を 果 たします。アラインメントゾーンは 低 解 像 度 表 示 時 に 整 列 すべ<br />

きディテールを 包 含 している 必 要 があります。 詳 細 は「10 PostScript ヒ<br />

ンティング」(p.121)を 参 照 してください。<br />

縦 メトリクス 情 報 を 入 力 した 後 は、◆auto◆ をクリックすると 自 動 でアラ<br />

インメントゾーンが 算 出 されます。 自 動 算 出 機 能 では、まずメトリクス 情<br />

報 からそれぞれのゾーンの 基 準 の 高 さを 決 めます。smallCapHeight や<br />

shoulderHeightのカスタムパラメータが 存 在 する 場 合 は、それも 参 照 さ<br />

れます。その 後 、 特 定 のグリフの 形 状 をもとにゾーンの 幅 を 決 定 します:<br />

・アセンダーでは、f の 上 端 + 1ユニットをゾーンの 上 端 とします。<br />

・ 大 文 字 では、O の 上 端 + 1ユニットをゾーンの 上 端 とします。<br />

・スモールキャップでは、o.sc(o のスモールキャップ)の 上 端 + 1ユ<br />

ニットをゾーンの 上 端 とします。<br />

・x ハイトでは、o の 上 端 + 1ユニットをゾーンの 上 端 とします。<br />

・ベースラインでは 常 に-15をゾーンの 下 端 とします。<br />

・ディセンダーではgの 下 端 -1をゾーンの 下 端 とします。<br />

計 測 に 用 いられるグリフが 存 在 しない 場 合 は、 上 向 きゾーンを16、 下 向<br />

きゾーンを-16、ベースラインゾーンを-15と 設 定 します。 重 要 度 の 高 い<br />

文 字 がきちんとアラインメントゾーン 内 に 収 まっているかどうかは 十 分 に<br />

チェックしてください。<br />

7.2.5 カスタムパラメータ<br />

マスター 用 のカスタムパラメータは、◆pluscir ボタンをクリックして 追 加 する<br />

ことができます。パラメータはコピーおよびペーストすることも 可 能 です。<br />

すべてのマスターに 同 一 のパラメータと 値 があれば、それは 補 間 されます<br />

( 例 : 全 マスターにsmallCapHeightが 入 力 されている 場 合 )。マスターの<br />

パラメータはフォントタブの 設 定 やパラメータより 優 先 されますが、イン<br />

スタンスに 重 複 するパラメータがある 場 合 はそちらがさらに 優 先 されます。<br />

<strong>Glyphs</strong>ハンドブック2016 年 11 月 版<br />

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「17.3 カスタムパラメータ」(p.184)には 各 カスタムパラメータの 詳<br />

細 や 値 のサンプルが 載 っています。<br />

7.3 インスタンス<br />

インスタンスはフォント 出 力 時 に 実 際 に 生 成 されるフォントです。インス<br />

タンスを 追 加 するには「インスタンス」タブでウインドウ 左 下 にある + ボ<br />

タンをクリックし、 以 下 のオプションから 任 意 のものを 選 択 します:<br />

・ 新 規 インスタンスを 追 加 :Regularと 名 前 の 付 いたインスタンスを 追<br />

加 します。 追 加 した 時 点 の 補 間 値 はウエイト100、 字 幅 100、カスタ<br />

ム 軸 0です。<br />

・ 全 マスターをインスタンスとして 追 加 :フォントに 含 まれている 各 マ<br />

スターと 同 名 で 同 じ 補 間 値 のインスタンスをすべて 追 加 します。<br />

なお、インスタンスを 選 択 した 状 態 で-ボタンをクリックするとインスタ<br />

ンスは 削 除 されます。<br />

shift+ クリックまたはcommand + クリックで 追 加 選 択 し、 同 時 に<br />

複 数 のインスタンスを 編 集 することができます。 順 番 を 変 更 する 場 合 はイ<br />

ンスタンスを 上 下 にドラッグします。ただし、ここでの 表 示 順 は 出 力 され<br />

るフォントには 一 切 影 響 しません。<br />

7.3.1 アクティブ<br />

「アクティブ」のチェックボックスは、そのインスタンスをフォント 出 力 時<br />

に 生 成 するか 否 かを 設 定 するものです。アクティブでないインスタンスも<br />

サイドバーに 表 示 され、プレビューでも 選 択 できますが、 出 力 時 には 無 視<br />

されます。<br />

7.3.2 スタイル 名<br />

ここに 入 力 するスタイル 名 はInDesignなどフォントを 使 用 するアプリケー<br />

ションのフォントメニューにそのまま 表 示 されることになります( 例 :Bold<br />

CondensedやLight Italic)。スペースは 使 用 できますが、ASCII 以 外 の 文<br />

字 を 使 うとフォントの 出 力 に 成 功 しない 可 能 性 があります。 和 名 を 付 けたい<br />

場 合 など、 特 別 な 文 字 をファミリー 名 に 使 うにはlocalizedFamilyName<br />

カスタムパラメータの 利 用 を 検 討 してください。カスタムパラメータの 詳<br />

細 は「17 補 足 資 料 」(p.174)を 参 照 してください。<br />

環 境 によっては 長 いスタイル 名 を 嫌 うものもあるため、スタイル 名 は 短<br />

い 方 が 安 全 です。Microsoft Windowsはファミリー 名 とスタイル 名 が 合 計<br />

20 文 字 を 超 えると 不 正 なフォントと 認 識 する 可 能 性 があります。このよう<br />

な 場 合 、スタイル 名 には 省 略 した 名 称 を 入 力 し、preferredFamilyName<br />

とpreferredSubfamilyNameカスタムパラメータにフルネームを 入 力 す<br />

ることを 検 討 してください。 詳 細 は「17.3 カスタムパラメータ」(p.184)<br />

を 参 照 してください。<br />

<strong>Glyphs</strong>ハンドブック2016 年 11 月 版<br />

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7.3.3 ウエイトとグリフ 幅<br />

「ウエイト」と「グリフ 幅 」のドロップダウンメニューでは、ウエイトとグ<br />

リフ 幅 のクラスを 選 択 することができます。これらの 値 はアプリケーショ<br />

ンがフォントのリストを 適 切 な 順 番 で 並 べるために 使 われたり、フォント<br />

の 自 動 選 択 、あるいはウェブページのスタイルシートでフォントを 指 定 す<br />

る 場 面 などで 使 われます。<br />

ウエイトのメニュー 項 目 には 値 (ドロップダウンメニューの 右 に 示 される 数<br />

値 )が 同 じものがあります。たとえばThin、ExtraLight、UltraLightは<br />

どれも 値 が250になっています。このような 場 合 、weightClassカスタム<br />

パラメータを 使 って、より 詳 細 に 定 義 する 必 要 があります。 詳 細 は「17.3<br />

カスタムパラメータ」(p.184)を 参 照 してください。<br />

Microsoft 製 アプリケーションの 中 には、ウエイトクラスの 値 が250<br />

を 下 回 ると 強 制 的 に 機 械 的 ボールドを 適 用 するものがあります。また、 多<br />

くのブラウザーはウエイトクラスの 最 初 の 桁 しか 参 照 しません。<br />

ウエイトとグリフ 幅 のクラスはどちらもAdobe アプリケーションの<br />

フォントメニューの 表 示 順 に 影 響 します。まず 同 じグリフ 幅 がグループ 化<br />

され、 次 にウエイト 順 に 並 べられることになります。<br />

例<br />

• Condensed Light<br />

• Condensed Regular<br />

• Condensed Bold<br />

• Light<br />

• Regular<br />

• Bold<br />

• Extended Light<br />

• Extended Regular<br />

• Extended Bold<br />

<strong>Glyphs</strong>ハンドブック2016 年 11 月 版<br />

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7.3.4 スタイルリンク<br />

スタイルリンクでは 同 じファミリー( 同 じファミリー 名 を 持 ったフォン<br />

ト)の 他 のインスタンスにレギュラー、イタリック、ボールド、ボールド<br />

イタリックの 関 係 を 紐 付 けることができます。アプリケーションによって<br />

は 太 字 や 斜 体 のボタン、あるいはキーボードショートカットなどを 使 って<br />

フォントを 指 定 するものがありますが、これは 自 動 でフォントを 判 断 する<br />

機 能 ではありません。この 機 能 を 使 用 するためにはデザイナーがあらかじ<br />

め 紐 付 けを 設 定 しておく 必 要 があります。フォント 同 士 を 紐 付 けるには 元<br />

となるインスタンス 名 を 入 力 し、ボールドまたはイタリック、または 両 方<br />

のチェックボックスをクリックします。<br />

Adobe アプリケーションはフォントスタイルのメニューにファミリー 内<br />

の 全 フォント(ファミリー 名 が 共 通 しているすべてのフォント)を 表 示<br />

し、shift+command + I でイタリックのリンクが 設 定 されているフォン<br />

ト、shift+command + B でボールドのリンクが 設 定 されているフォント<br />

を 呼 び 出 すようになっています。<br />

テキストエディットなどのMac アプリケーションではcommand+I<br />

とcommand + B が、それぞれイタリックとボールドのショートカットに<br />

なっています。<br />

Microsoft Windowsのアプリケーションは1つのフォントファミリー<br />

につき4つまでのスタイルしかサポートしません(Regular, Italic, Bold,<br />

Bold Italic)。これらは 例 えばOffice のツールバーのIボタンやBボタンを<br />

クリック(またはCtrl + I とCtrl + B)することでアクセスできます。もし<br />

スタイルリンクが 設 定 されていない 場 合 はフォントメニューに 個 別 のファ<br />

ミリーとして 表 示 されてしまいます。この 場 合 、アプリケーションによっ<br />

ては 擬 似 ボールドや 擬 似 傾 斜 が 使 われてしまう 可 能 性 があります。そのよ<br />

うな 状 況 を 鑑 みて、 以 下 の 手 法 をお 勧 めします。<br />

・Bold、Italic、Bold Italicは 必 ずRegularとリンクさせる。 他 のフォ<br />

ント 同 士 でボールドのリンクを 作 らない。あるグリフ 幅 クラスの 中 で、<br />

常 にこの4フォントの 対 応 関 係 を 作 り、それ 以 外 にボールドのリンク<br />

を 貼 らない。<br />

・ 他 の Italicは 同 じウエイトのローマン( 正 立 体 )とリンクさせる。 例 え<br />

ばMedium ItalicはMediumとリンクさせる。その 際 、ファミリー<br />

名 は 必 ず 同 じにする。<br />

デザイナーによってはLight とSemibold をリンクしようと 考 えるかもし<br />

れません。しかしその 場 合 、 特 にWindowsアプリケーションではLightし<br />

かフォントメニューには 表 示 されず、Semibold の 存 在 がユーザーに 分 か<br />

<strong>Glyphs</strong>ハンドブック2016 年 11 月 版<br />

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らないということには 留 意 すべきです。Bボタンを 押 せばSemiboldにアク<br />

セスできますが、その 仕 組 みはユーザーには 分 かりにくいかもしれません。<br />

それでもLight とSemibold をリンクさせたいのであれば、Semibold の<br />

インスタンスのスタイルリンク 部 分 に「ボールド」のチェックを 入 れ、テ<br />

キストフィールドには 対 応 させたいインスタンスである「Light」と 入 力<br />

します。さらにSemibold Italic がLight 用 のボールドイタリックになる<br />

ように 設 定 すべきでしょう。<br />

7.3.5 補 間<br />

ウエイトとグリフ 幅 、そしてカスタム 軸 の 補 間 値 は、あるマスターと 別 のマ<br />

スターとの 間 に 設 定 されます。 詳 細 は「12 マルチプルマスター」(p.139)<br />

を 参 照 してください。<br />

7.3.6 カスタムパラメータ<br />

インスタンスのパラメータを 使 うと、 同 じリソース(フォントやマスター)<br />

からでも 異 なるバージョン( 著 作 権 情 報 、UPM、ファミリー 名 など)の<br />

フォントを 生 成 することができます。インスタンスのパラメータはマスター<br />

やフォントのパラメータよりも 優 先 されます。<br />

「17.3 カスタムパラメータ」(p.184)には 各 カスタムパラメータの 詳<br />

細 や 値 のサンプルが 載 っています。<br />

7.3.7 インスタンスプレビュー<br />

インスタンスタブの 下 部 には、インスタンスのサンプルテキスト「Aang126」<br />

が 表 示 されます。もし 他 のテキストを 表 示 させたい 場 合 はInstance<br />

Previewカスタムパラメータを 追 加 し、テキストを 入 力 してください。<br />

7.4 フィーチャー<br />

7.4.1 OpenType フィーチャーコード<br />

フォント 情 報 の「フィーチャー」タブではOpenTypeフィーチャーのうち<br />

全 インスタンスに 一 律 で 適 用 するものについて 設 定 を 行 います。 個 々のイ<br />

ンスタンスごとに 数 値 を 調 整 する 必 要 のある「カーニング」(kern)フィー<br />

チャーなど、 位 置 調 整 系 (GPOS)フィーチャーについては、このタブに<br />

は 表 示 されません。<br />

フィーチャータブではOpenType クラス、OpenType フィーチャー、<br />

先 頭 (prefix)を 任 意 に 追 加 できます。クラスとはスペースや 改 行 で 区<br />

切 られたグリフ 名 の 集 合 で、フィーチャーはAFDKO 構 文 に 則 ったフィー<br />

チャーコードになります。 先 頭 とは、 後 ほど 再 利 用 を 予 定 しているルック<br />

アップの 定 義 など、 実 のコード 部 分 の 外 部 に 記 述 しておく 内 容 です。また<br />

フィーチャーを 自 動 生 成 した 場 合 、フィーチャーに 関 わる 言 語 システム<br />

<strong>Glyphs</strong>ハンドブック2016 年 11 月 版<br />

91


(LanguageSystems)は 自 動 的 に 先 頭 に 記 述 されます。<br />

7.4.2 フィーチャーコードの 自 動 生 成<br />

一 般 的 なフィーチャーについては、ウインドウ 左 下 にある「 自 動 」ボタン<br />

を 押 すことで<strong>Glyphs</strong> が 自 動 的 に 生 成 して 順 番 を 整 理 します。このフィー<br />

チャー 生 成 機 能 は 特 定 のグリフ 名 や、そのサフィックス( 拡 張 子 )に 反 応<br />

します。 例 えば「.sc」というサフィックスで 終 わるグリフは「スモール<br />

キャップ」(smcp)と「 大 文 字 からスモールキャップ」(c2sc)に 使 われる<br />

ようにフィーチャーが 生 成 されます。また、 基 本 的 なルールとしてフィー<br />

チャー 名 を 末 尾 に 付 けると 該 当 するフィーチャーが 自 動 生 成 されます。 例 え<br />

ばx.ss01というグリフがあれば 自 動 的 に「デザインのセット01」( ss01)<br />

フィーチャーが 生 成 されます。すべてのサフィックスについては「17.1<br />

フィーチャー 自 動 生 成 」(p.174)を 参 照 してください。<br />

フィーチャーやクラスによっては 半 自 動 で 生 成 できるものもあります。<br />

ウインドウ 左 下 の+ボタンをクリックして 表 示 されるメニューにあるAll<br />

クラス、AllLetters クラス、Capital Spacing フィーチャーがそれです。<br />

All クラスは 現 在 のフォント 内 のすべてのグリフのクラス、AllLetters は<br />

現 在 のフォント 内 のグリフのうち 文 字 カテゴリに 分 類 されるグリフのクラ<br />

スです。Capital Spacingとはオールキャップ 組 みの 際 にスペーシング 増<br />

加 するためのフィーチャーです(cpsp)。 cpspフィーチャーを 追 加 すると<br />

Uppercaseという 大 文 字 だけのクラスも 自 動 的 に 追 加 されます。<br />

使 用 が 廃 止 された「 数 学 用 ギリシャ 文 字 」(mgrk)フィーチャーも<br />

自 動 生 成 可 能 ですが、+ ボタンのメニューからはあえて 除 外 されています。<br />

追 加 したい 場 合 、「フィーチャー」を 選 択 して「xxxx」を「mgrk」に 変<br />

更 し、「OpenTypeフィーチャーを 自 動 生 成 」をチェックします。<br />

7.4.3 フィーチャーコードの 手 動 編 集<br />

Adobe FDKのフィーチャーの 構 文<br />

は 以 下 のページにて 詳 細 に 解 説 され<br />

ています:<br />

www.adobe.com/devnet/<br />

opentype/afdko/topic_feature_<br />

file_syntax.html<br />

既 存 のフィーチャーを 手 動 で 編 集 する 場 合 は「OpenType フィーチャー<br />

を 自 動 生 成 」のチェックを 外 します。 手 動 で 新 規 フィーチャーを 追 加 する<br />

場 合 は、ウインドウ 左 下 の+ボタンをクリックし、 表 示 されるメニューで<br />

「フィーチャー」を 選 択 します。 先 頭 とクラスの 追 加 手 順 も 同 様 です。フィー<br />

チャー 名 、クラス 名 、 先 頭 名 を 編 集 する 場 合 は、 左 側 のリストに 表 示 され<br />

ている 名 称 ( 追 加 時 点 ではxxxxと 表 示 されています)をクリックします。<br />

右 側 のエリアにはコードを 記 述 します。なお、<strong>Glyphs</strong>はAdobe FDKの 構<br />

文 を 使 用 します。「コンパイル」ボタンをクリックするとフィーチャーはコ<br />

ンパイルされ、 編 集 ビューでテストできるようになります。<br />

すべてのフィーチャーとクラスはフィーチャータブに 記 されたまま、<br />

フィーチャーファイルに 書 き 出 されます。 唯 一 の 例 外 はカーニング(kern)<br />

フィーチャーで、これは<strong>Glyphs</strong> が 書 き 出 すkern フィーチャーの 末 尾 に<br />

ルックアップとして 追 加 統 合 されるようになっています。 詳 細 は「9.2.8<br />

<strong>Glyphs</strong>ハンドブック2016 年 11 月 版<br />

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kernフィーチャー 手 動 追 加 」(p.120)を 参 照 してください。<br />

<strong>Glyphs</strong>はフィーチャーコードの 識 別 性 向 上 のため、 構 文 に 則 ってコー<br />

ドを 着 色 します。またAFDKOで 使 われるキーワード(substitute、ignore、<br />

lookup など)は、 入 力 中 にesc またはF5キーを 押 すことで 残 りを 自 動 入<br />

力 することができます。もし 複 数 の 候 補 が 存 在 する 場 合 、 変 換 候 補 が 単 語<br />

の 下 に 表 示 されます。 上 下 キーで 任 意 の 候 補 を 選 択 し、returnキーで 決 定<br />

します。<br />

先 頭 、クラス、フィーチャーを 削 除 するには、 削 除 したい 項 目 を 左<br />

のサイドバーで 選 択 し、– ボタンをクリックするかdelete キーを 押 します。<br />

フィーチャーをOpenTypeフォント 出 力 時 に 含 めたくないが 残 しておきた<br />

いという 場 合 、 項 目 を 選 んでウインドウ 上 部 にある「 無 効 」にチェックを<br />

入 れると、 無 効 化 することができます。<br />

ウインドウ 右 側 下 部 はメモ 用 のエリアです。「デザインのセット」<br />

(Stylistic Sets、ss01~ ss20)フィーチャーでは、この 欄 で 各 フィー<br />

チャーに 名 前 を 設 定 することができます。 下 図 のように「Name:」に 続 い<br />

て 何 のためのセットなのか 名 前 や 説 明 を 書 いてください。もしくはAdobe<br />

FDK 構 文 に 従 ったfeatureNamesルックアップも 受 け 付 けられます:<br />

featureNames {<br />

name "text" ;<br />

};<br />

プラットフォーム、 文 字 、 言 語 の<br />

IDについてはAdobeのnameテー<br />

ブルの 仕 様 を 参 照 してください:<br />

partners.adobe.com/public/<br />

developer/opentype/index_<br />

name.html<br />

featureNamesのブロックではそれぞれのプラットフォーム、 文 字 、 言 語 に<br />

合 わせて 複 数 の 名 前 を 登 録 できます。platformID、scriptID、languageID<br />

はデフォルトでよければ 空 にしても 構 いません(platformID = 3 Microsoft、<br />

scriptID=1 Latin、languageID=0x409 American English)。この<br />

ハンドブックの 執 筆 時 点 では、デザインのセットの 名 前 はOS X 10.11 El<br />

Capitan 以 降 でCocoaテキストエンジンを 使 うアプリケーションとAdobe<br />

Creative Cloud 17のみです。<br />

Remove Featuresカスタムパラメータを 使 えば、インスタンスごとに 特 定<br />

<strong>Glyphs</strong>ハンドブック2016 年 11 月 版<br />

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のフィーチャーをオフに 設 定 することもできます。またReplace Feature<br />

を 使 えばフィーチャーの 内 容 を 変 更 することができます。 各 パラメータの<br />

詳 細 は「17.3 カスタムパラメータ」(p.184)を 参 照 してください。<br />

7.5 その 他 の 設 定<br />

7.5.1 グリッドの 間 隔 とグリッド 細 分<br />

一 般 的 な 認 識 とは 裏 腹 に、 実 は 小 数<br />

単 位 の 座 標 をPostscript<br />

OpenTypeフォントに 書 き 出 すこと<br />

が 可 能 です。<br />

この 値 はオンカーブポイント、オフカーブポイントの 座 標 に 影 響 します。<br />

標 準 値 は1です。0にすると 座 標 に 小 数 を 含 めることができるようになり、<br />

Illustratorの「ピクセルグリッドに 整 合 」オプションがオフの 時 のように<br />

自 由 な 位 置 に 動 かせます。ハッチングのフィルタをかける 際 や 細 かい 絵 柄<br />

のフォントを 作 る 際 、またグリフを 拡 大 縮 小 する 際 の 劣 化 を 最 小 限 に 止 め<br />

たい 時 など、 高 精 細 なディテールを 保 持 したいときに 有 効 です。 逆 に、こ<br />

の 値 を 高 めにするとピクセルフォントを 作 る 際 に 便 利 です。<br />

すべてのツールや 処 理 結 果 は 最 終 的 にグリッドに 整 列 します。グリッ<br />

ドの 間 隔 の 設 定 に 関 わらず、「パス > ポイントをグリッドに 整 列 」を 選 ぶ<br />

ことで、すべてのポイントの 座 標 を 強 制 的 にグリッドに 揃 えることができ<br />

ます。<br />

「グリッド 細 分 」オプションは、グリッドの 間 隔 は 大 きくても、その 途<br />

中 の 段 階 を 細 かくグリッドとして 表 示 して 欲 しいときに 有 効 です。この 値<br />

は 上 記 のユニット 間 隔 を 細 分 化 するマス 目 の 数 を 表 します。 例 えばグリッ<br />

ドの 間 隔 を100、グリッド 細 分 を5とした 場 合 、1つのマスの 大 きさは20ユ<br />

ニットとなります。グリッドの 間 隔 を1にしてグリッド 細 分 を10にすると<br />

小 数 点 第 1 位 までの 小 数 を 使 えるようになります。<br />

7.5.2 標 準 外 のグリフ 名 を 使 用<br />

このオプションをオンにすると、<strong>Glyphs</strong> が 自 動 的 に 標 準 グリフ 名 (Nice<br />

name)へ 変 更 するのを 止 めることができます。 特 殊 なワークフローで 作<br />

業 する 場 合 は、これが 必 要 になるかもしれません。なお、 環 境 設 定 のユー<br />

ザー 設 定 で「 読 み 込 み 元 のファイルのグリフ 名 を 保 持 」(2.1.2、p.11)<br />

がオンになっている 場 合 、 既 存 のフォントやUFOファイルを 初 めて 開 いた<br />

ときは、 自 動 的 にそのファイルにおける「 標 準 外 のグリフ 名 を 使 用 」オプ<br />

ションがオンになります。<br />

編 集 中 にこのオプションをオフにしても 即 座 にグリフ 名 がNice name<br />

に 変 わるわけではありません。Nice nameに 自 動 変 更 するには、「グリフ ><br />

グリフ 情 報 を 更 新 」を 選 んでください。 注 意 :この 際 にOpenTypeフィー<br />

チャーまでは 変 更 されないので、 食 い 違 いが 生 じる 可 能 性 があります。<br />

「 標 準 外 のグリフ 名 を 使 用 」オプションがチェックされているときに 限<br />

り、 各 グリフのUnicode 値 を 自 由 に 変 更 することができます。それ 以 外 の<br />

場 合 は、<strong>Glyphs</strong>はグリフ 名 から 自 動 的 にUnicode 値 を 割 り 当 てます。<br />

<strong>Glyphs</strong>ハンドブック2016 年 11 月 版<br />

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この 部 分 についてはやや 分 かりにくいかと 思 いますが、「 環 境 設 定 ><br />

ユーザー 設 定 」にある「 読 み 込 み 元 のファイルのグリフ 名 を 保 持 」オプショ<br />

ンは<strong>Glyphs</strong> 形 式 以 外 のファイルを 開 く 際 の 挙 動 を 決 めるためのオプショ<br />

ンであり、<strong>Glyphs</strong> で 始 めから 作 られたファイルに 影 響 を 与 えるものでは<br />

ありません。<br />

7.5.3 コンポーネント 自 動 整 列 を 解 除<br />

このオプションをオンにするとコンポーネントの 自 動 整 列 が 解 除 され、コ<br />

ンポーネントを 使 用 しているグリフのサイドベアリングなどが 自 動 で 更 新<br />

されなくなります。 個 々のグリフでコンポーネントが 勝 手 に 動 いてしまう<br />

のを 防 ぎたい 場 合 は、コンポーネントを 選 択 してコンテクストメニューか<br />

ら 自 動 整 列 をオンにしてください。 環 境 設 定 で「 読 み 込 んだファイルでは<br />

コンポーネントの 自 動 設 定 を 解 除 」オプションがオンになっていると、 新<br />

しく 読 み 込 んだフォントについては 初 期 状 態 でコンポーネントの 自 動 整 列<br />

が 解 除 されています。 詳 細 は「2.1.2 ユーザー 設 定 」(p.11)を 参 照 して<br />

ください。<br />

7.5.4 オルタネートを 元 のグリフの 横 に 並 べる<br />

このオプションをオンにすると、フォントビュー 内 でサフィックスが 付 い<br />

ているグリフは 元 のグリフのすぐ 隣 に 表 示 されるようになります。 例 えば<br />

h.ss16、h.alt、h.loclENG は 通 常 だと 文 字 カテゴリの 最 後 に 並 びますが、<br />

「オルタネートを 元 のグリフの 横 に 並 べる」がチェックされた 状 態 ではすべ<br />

てhの 横 に 並 びます。<br />

7.6 メモ<br />

7.6.1 フォント 全 体 用 メモ<br />

メモタブに 記 述 する 内 容 は<strong>Glyphs</strong>ファイル 内 でのみ 閲 覧 可 能 で、フォント<br />

出 力 には 一 切 影 響 を 及 ぼしません。メモの 内 容 はフォントタブのnote カス<br />

タムパラメータと 同 価 です。 詳 細 は「17.3 カスタムパラメータ」(p.184)<br />

の 当 該 項 目 を 参 照 してください。<br />

テキストはMarkdown 記 法 を 採 用 しており、それに 従 ってボールド、<br />

イタリック、ハイパーリンク、コード、タイトルなどの 見 た 目 を 整 えるこ<br />

とができます。<br />

<strong>Glyphs</strong>ハンドブック2016 年 11 月 版<br />

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<strong>Glyphs</strong>ハンドブック2016 年 11 月 版<br />

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8 図 形 の 再 利 用<br />

8.1 コンポーネント<br />

コンポーネントは 同 じアウトラインを 複 数 のグリフで 効 率 よく 使 い 回 すこ<br />

とのできる 機 能 で、 主 な 目 的 は 発 音 記 号 付 きのグリフを 作 ることにありま<br />

す( 例 :A からÄ Ă Á À Â Å)。コンポーネントの 参 照 元 となるグリフは<br />

ベースグリフと 呼 ばれ、コンポーネントから 構 成 されるグリフはコンポー<br />

ネントグリフ(またはコンパウンドグリフ、コンポジットグリフ)と 呼 ば<br />

れます。コンポーネントはベースグリフと 常 に 同 期 しているため、ベース<br />

グリフを 変 更 すればすべてのコンポーネントグリフに 即 座 に 反 映 されます。<br />

なお、 編 集 ビューでコンポーネントは 灰 色 で 表 示 されます。<br />

CFF はコンポーネントをサポートしていないため、OpenType/CFF<br />

フォントを 書 き 出 す 場 合 、コンポーネントは 分 解 されて 普 通 のアウトライン<br />

に 変 換 されます。TrueTypeベースのフォントを 書 き 出 す 場 合 、コンポー<br />

ネントは 保 持 されますが 他 のアウトラインとのオーバーラップがあるグリ<br />

フでは 分 解 されます。ただし、Keep Overlapping Componentsカスタ<br />

ムパラメータが 設 定 されていれば、それらのグリフでもコンポーネントの<br />

まま 出 力 されます。 詳 細 は「17.3 カスタムパラメータ」(p.184)を 参 照<br />

してください。<br />

8.1.1 コンポーネントグリフの 生 成<br />

グリフにコンポーネントを 自 動 的 に 生 成 するためには、あらかじめベー<br />

スグリフを 用 意 しておきます。たとえばAacute(Á)にコンポーネン<br />

トを 生 成 する 際 はベースグリフのA とacutecomb が 必 要 です。その 上<br />

でAacute のグリフを 選 び、「フォント > コンポーネントグリフを 生 成 」<br />

(option+shift+command + C)を 実 行 すると、<strong>Glyphs</strong> は 内 蔵 データ<br />

ベースを 参 照 して 必 要 なコンポーネントであるAとacutecomb のアウト<br />

ラインを 呼 び 出 し、 両 者 をコンポーネントとして 配 置 します( 後 述 のレシ<br />

ピでコンポーネントを 使 わないグリフでは 何 も 起 こりません)。<br />

もしも 既 にAacute にアウトラインを 作 成 していたとしても「フォン<br />

ト > コンポーネントグリフを 生 成 」(option + shift+command + C)を<br />

実 行 すればアウトラインを 消 去 した 上 で、A とacutecomb のアウトライ<br />

ンをコンポーネントとして 使 用 するよう 再 構 築 されます。<br />

ベースグリフにアウトラインが 存 在 しない 場 合 、コンポーネントグリ<br />

フの 編 集 ビューには「empty base glyph」のマークが 表 示 されます。<br />

複 数 のグリフが 選 択 されている 場 合 、<br />

同 じコマンドで 選 択 されているグリ<br />

フすべてに 同 一 のコンポーネントを<br />

配 置 することができます。<br />

コンポーネントを 手 動 で 追 加 するには、 編 集 ビューで「フォント > コ<br />

ンポーネントを 追 加 」(shift+command + C)を 実 行 、あるいは 右 クリッ<br />

クで 表 示 されるメニューで「コンポーネントを 追 加 」を 選 択 し、ダイアロ<br />

グで 任 意 のグリフを 選 択 して 配 置 します(ダイアログ 上 部 の 検 索 欄 にグリ<br />

<strong>Glyphs</strong>ハンドブック2016 年 11 月 版<br />

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フ 名 を 入 力 して 検 索 することも 可 能 です)。<br />

8.1.2 パスをコンポーネントに 変 換<br />

ベースグリフがまだ 存 在 していない 場 合 、 現 在 選 択 中 のパスを「グリフ ><br />

選 択 パスをコンポーネント 化 」またはコンテクストメニューから「 選 択 パ<br />

スをコンポーネント 化 」を 選 ぶことで、パスをコンポーネントへ 変 換 でき<br />

ます。 現 れたダイアログでは 新 しいコンポーネントにつける 名 前 を 決 定 し<br />

ます。Aacute(Á)などコンポーネントグリフとなるべきグリフ 上 のパス<br />

を 選 択 していた 場 合 、<strong>Glyphs</strong> は 内 蔵 のデータベースを 元 に、 新 しいコン<br />

ポーネントにふさわしいと 思 われる 名 前 を 提 案 します。<br />

名 前 を 決 めると、その 名 前 の 新 しいグリフがフォントに 追 加 され、そのコ<br />

ンポーネントが 配 置 されます。マルチプルマスターのファイルでは、 他 の<br />

マスターでも 該 当 するアウトラインが 自 動 的 に 置 き 換 えられます(ただし<br />

アウトラインの 互 換 性 が 取 れている 場 合 に 限 ります)。この 機 能 は 例 えばi<br />

をidotless とdotaccentcombから 再 構 成 したい 場 合 などに 便 利 です。<br />

8.1.3 レシピ<br />

レシピとは<strong>Glyphs</strong> に 内 蔵 されているコンポーネントグリフ 生 成 のため<br />

のコンポーネントのリストで、 例 えばAdieresis(Ä)のレシピはA と<br />

dieresiscombです。<br />

新 規 にコンポーネントグリフを 作 成 する 際 、 標 準 のレシピを 無 視 した<br />

ベースグリフを 使 用 したい 場 合 は「フォント > グリフを 追 加 …」のダイ<br />

アログで 等 号 (= )を 使 って 任 意 のレシピを 以 下 の 例 のように 記 述 します<br />

( 左 辺 をベースグリフ、 右 辺 をコンポーネントグリフとします)。なお、+<br />

ボタンでグリフを 追 加 した 場 合 はレシピを 記 述 できません。<br />

・A=a( 左 辺 は 文 字 グリフ 単 独 )→ 複 製 レシピです。 新 規 作 成 したaに<br />

A がコンポーネントとして 配 置 されます。<br />

・x + dieresiscomb=xdieresis( 左 辺 は 文 字 グリフ + 発 音 記 号 グリフ)<br />

→ 発 音 記 号 レシピです。 新 規 作 成 したxdieresisにxとdieresiscomb<br />

(2 点 アクセント)がコンポーネントとして 配 置 され、 発 音 記 号 付 きの<br />

文 字 になります。なお、アンカーが 両 グリフに 設 置 されている 場 合 は、<br />

<strong>Glyphs</strong>ハンドブック2016 年 11 月 版<br />

98


アンカー 位 置 が 採 用 されます。<br />

・s.sc + s.sc=germandbls.sc( 左 辺 は 文 字 グリフ + 文 字 グリフ)リガ<br />

チャーレシピです。 新 規 作 成 したgermandbls.scに2つのs.scがコン<br />

ポーネントとして 配 置 され、リガチャー(ドイツ 語 用 エスツェットの<br />

スモールキャップ)になります。<br />

8.1.4 コンポーネントの 編 集<br />

編 集 ビューではコンポーネントをクリックして 選 択 することができます。<br />

選 択 後 、tab キーで 次 のコンポーネントに 移 動 します。 同 様 にshift+tab<br />

で 前 のコンポーネントに 移 動 します。 選 択 ツールでドラッグ 選 択 する 際<br />

はoption キーを 押 しながらコンポーネントを 囲 むようにドラッグします<br />

(optionキーを 押 さないとアウトラインしか 選 択 できません)。<br />

コンポーネントを 選 択 すると 情 報 パネルが 右 側 に 拡 張 されてコンポーネ<br />

ントの 情 報 (ベースグリフ 名 、 相 対 位 置 、 拡 大 率 、 回 転 角 )が 表 示 されま<br />

す。この 数 値 を 変 更 するとコンポーネントの 形 状 が 変 わります。また、パ<br />

レットでもコンポーネントを 変 形 したり 鏡 像 反 転 したりできます。<br />

発 音 記 号 のコンポーネントを 垂 直 方 向 に 鏡 像 反 転 すると、コンポーネント<br />

の 吸 着 先 がtop アンカーからbottom アンカー、またはその 逆 に 変 更 され<br />

ます。これは 例 えば 下 付 き 用 発 音 記 号 を 上 付 きのために 再 利 用 する 際 に 便<br />

利 です。その 典 型 例 はgcommaaccent(ģ)です。commaaccent は 本<br />

来 下 付 きですが、 小 文 字 のgcommaaccent に 関 しては 上 付 きにしなけれ<br />

ばいけません。この 場 合 、g のためだけにcommaabovecombを 作 るより<br />

もcommaaccentcombを 水 平 リフレクトおよび 垂 直 リフレクトするだけ<br />

で 済 むことになります。<br />

コンポーネントの 自 動 整 列 がオンになっているとコンポーネントは 移 動<br />

できません。コンポーネントを 選 択 し、 右 クリックで 表 示 されるメニュー<br />

で「 自 動 整 列 を 無 効 化 」を 選 択 することでマウスや 矢 印 キーでコンポーネ<br />

ントを 移 動 できる 状 態 になります。shift キー + 矢 印 キーで10ユニット 単<br />

位 、commandキー + 矢 印 キーで100ユニット 単 位 の 移 動 が 可 能 です。ま<br />

た、optionキーを 押 しながらコンポーネントをドラッグすると 複 製 するこ<br />

とができます。delete またはbackspace キーを 押 すとコンポーネントを<br />

削 除 できます。<br />

なお、ベースグリフのアウトラインを 編 集 する 場 合 は、コンポーネン<br />

トをダブルクリックするか 右 側 情 報 パネルの 右 端 にある◆jumplin ボタンを 押 し<br />

ます。コンポーネントグリフの 左 隣 にベースグリフが 表 示 され、 編 集 する<br />

ことができます。<br />

<strong>Glyphs</strong>ハンドブック2016 年 11 月 版<br />

99


ベースグリフの 参 照 元 を 変 更 するには、 情 報 パネル 右 側 のグリフ 名 を<br />

クリックしてダイアログを 表 示 し、 目 的 のグリフを 選 択 します(たとえば<br />

ベースグリフをacutecombからdieresiscombに 変 更 する 場 合 )。<br />

8.1.5 ベースグリフとコンポーネントグリフとの 関 係<br />

編 集 ビューでコンポーネントをダブルクリックするか、コンポーネントを<br />

選 択 してから 右 側 情 報 パネルの 右 端 にある ◆jumplinボタンを 押 すと、ベースグリ<br />

フが 編 集 可 能 な 状 態 になります。<br />

コンポーネントの 代 わりに 警 告 マークが 表 示 されている 場 合 がありま<br />

す。これはベースグリフに 問 題 があることを 示 しています。 警 告 マークに<br />

は3 種 類 あります。<br />

・no base glyph:ベースグリフが 存 在 しない 場 合 に 表 示 されます。ダ<br />

ブルクリックするとベースグリフがフォントに 追 加 され、 編 集 可 能 な<br />

状 態 になります。<br />

・empty base glyph:ベースグリフは 存 在 するもののアウトラインが<br />

ない 場 合 に 表 示 されます。ダブルクリックすると 編 集 可 能 な 状 態 にな<br />

ります。<br />

・bad reference:コンポーネントの 参 照 先 に 問 題 がある 場 合 に 表 示 さ<br />

れます。 例 えばベースグリフが 現 在 のグリフをコンポーネントとして<br />

おり、 参 照 関 係 が 循 環 してしまっている 場 合 などです。<br />

あるグリフが 他 のどのグリフでコンポーネントとして 使 われているかを 調<br />

べたい 場 合 は、 編 集 ビューでコンテクストメニューを 開 き「このグリフを<br />

コンポーネントとして 使 用 する 全 グリフを 表 示 」を 選 びます(コンポーネ<br />

ントとして 使 われていない 場 合 、コンテクストメニューに 同 項 目 は 表 示 さ<br />

れません)。するとそのグリフをベースグリフとして 使 用 している 全 グリフ<br />

が 表 示 されます。また、コンポーネントグリフ 側 でコンポーネントを 選 択<br />

して(あるいはコンポーネントの 上 で)コンテクストメニューの 同 項 目 を<br />

選 んだ 場 合 もこのコマンドは 有 効 で、 同 じコンポーネントが 配 置 されてい<br />

る 他 のグリフが 現 在 のグリフの 後 に 表 示 されます。<br />

8.1.6 アンカー<br />

発 音 記 号 を 含 むコンポーネントグリフでは、 発 音 記 号 の 位 置 は 文 字 グリフ<br />

と 発 音 記 号 グリフそれぞれのアンカーの 位 置 で 決 まります。 上 付 き 発 音 記<br />

号 については、まず 文 字 のベースグリフ 内 に「top」という 名 前 のアンカー<br />

が 必 要 で、 次 に 発 音 記 号 のベースグリフにはアンダースコア 付 きの 同 名 の<br />

<strong>Glyphs</strong>ハンドブック2016 年 11 月 版<br />

100


アンカー「_top」が 必 要 です。コンポーネントグリフの 方 では、これら2<br />

つのアンカーの 名 前 と 位 置 に 基 づいて 発 音 記 号 のコンポーネントの 位 置 が<br />

定 まります。<br />

多 くのグリフでは<strong>Glyphs</strong> 内 のデータベースで 必 要 なアンカーが 定 めら<br />

れています。これらのアンカーを 追 加 するには 任 意 のグリフを 選 択 し、「フォ<br />

ント > アンカーを 自 動 設 置 」(command + U)を 実 行 してください。option<br />

キーを 押 しながらだと「アンカーをリセット」(option + command+U)<br />

になり、 既 存 のアンカーが 一 度 すべて 削 除 されて 規 定 のアンカーが 自 動 で<br />

再 設 置 されます。なお、これらの 操 作 は 複 数 のグリフを 選 択 した 状 態 でも<br />

実 行 することが 可 能 です。 自 動 で 設 置 されるアンカーはおおよそ 適 切 と 思<br />

われる 位 置 に 配 置 されます。また、イタリック 角 度 が 設 定 されている 場 合<br />

はその 角 度 に 合 わせて 配 置 位 置 が 調 整 されます。<br />

独 自 のアンカーを 追 加 するには 編 集 ビューにおいて 右 クリックで 表 示 さ<br />

れるコンテクストメニューから「アンカーを 追 加 」を 選 んでください。す<br />

ると「new anchor」という 名 称 のアンカーが 配 置 されますので、ASCII<br />

文 字 で 名 前 を 決 定 します(スペースは 使 えません)。なお、アンカー 名 を 確<br />

定 した 後 でも、アンカーを 選 択 してreturn キーを 押 すかダブルクリック<br />

するとアンカー 名 を 変 更 できる 状 態 になります。<br />

new anchor<br />

編 集 ビューにおいて 文 字 のベースグリフ 内 のアンカーを 選 択 すると、その<br />

グリフに 通 常 付 帯 するすべての 発 音 記 号 がプレビュー 表 示 されます。また<br />

編 集 ビューで 文 字 のベースグリフと 発 音 記 号 のベースグリフを 表 示 してい<br />

る 時 、 発 音 記 号 のアンカーをクリックすると、すべての 文 字 グリフにその<br />

発 音 記 号 がプレビューされます。<br />

アンカーはクリックして 選 択 することができます。なお、 複 数 のアン<br />

カーのうちの1つが 選 択 されている 場 合 、tab キーまたはshift+tab キー<br />

を 押 すことで 前 後 のアンカーを 選 択 することができます。なお、 選 択 した<br />

アンカーはdelete またはbackspaceキーで 削 除 できます。<br />

アンカーはドラッグまたは 矢 印 キーで 移 動 することができます。 矢 印<br />

キーの 場 合 、shiftを 押 しながらだと10ユニット 単 位 、commandを 押 し<br />

ながらでは100ユニット 単 位 の 移 動 となります。アンカーと 他 の2つのポイ<br />

ント(オンカーブまたはオフカーブ)の 合 計 3つを 選 択 して「パス > 選 択<br />

したポイントを 整 列 」を 選 ぶと、アンカーをその2 点 の 中 心 に 揃 えること<br />

ができます。ここでもフォント 情 報 にイタリック 角 度 がある 場 合 は 傾 斜 角<br />

が 計 算 に 含 められます。<br />

時 として「top」アンカーだけでは 不 十 分 な 場 合 があります( 例 :リ<br />

ガチャーの 各 文 字 に 必 要 な 場 合 、 組 み 合 わせに 応 じて 位 置 の 微 調 整 が 必 要<br />

な 場 合 、ベトナム 語 用 の 二 重 の 発 音 記 号 など 吸 着 位 置 を 大 きく 変 更 しなけ<br />

<strong>Glyphs</strong>ハンドブック2016 年 11 月 版<br />

101


ればいけない 場 合 )。このように 同 名 のアンカーのバリエーションを 作 りた<br />

い 場 合 は、アンダースコアを 使 ったサフィックスで 命 名 してください。サ<br />

フィックスの 内 容 は 自 由 です( 例 :top_1、top_2のように 番 号 で 管 理 する、<br />

top_viet、top_acute のように 名 前 で 管 理 する)。このように 複 数 のバリ<br />

エーションを 作 った 場 合 、コンポーネントグリフで 発 音 記 号 のコンポーネ<br />

ントを 選 択 し、 情 報 パネルにある◆anchor◆のアイコンから 吸 着 先 のアイコンを 選<br />

ぶことができます。なお、このアイコンは 吸 着 候 補 が 複 数 ある 場 合 にのみ<br />

表 示 されます。<br />

Tip: 「 編 集 > 全 てを 選 択 」<br />

(command+A)を 実 行 するとすべ<br />

てのアウトラインを 選 択 しますが、<br />

アンカーやコンポーネントは 選 択 さ<br />

れません。もう 一 度 実 行 すると<br />

(command+Aを2 回 )、すべての<br />

アンカーとコンポーネントも 選 択 さ<br />

れます。<br />

標 準 で 自 動 設 置 されるアンカーの 内 容 を 変 更 したい 場 合 や 仮 表 示 されるア<br />

ンカーの 内 容 を 変 更 したい 場 合 は「17.4.1 グローバルなグリフデータの 変<br />

更 」( p.208)を 参 照 してください。<br />

8.1.7 自 動 整 列<br />

フォント 情 報 の「コンポーネントの 自 動 整 列 を 解 除 」(7.5.3、p.95)がオ<br />

フになっている 場 合 、コンポーネントのみで 構 成 されたグリフでは 各 コン<br />

ポーネントが 自 動 整 列 します。 自 動 整 列 とは、ベースグリフとアンカーの<br />

情 報 に 基 づいてコンポーネントの 位 置 とグリフの 幅 が 自 動 的 に 同 期 、 固 定<br />

されるということです。すべてのコンポーネントには 自 動 整 列 の 有 無 が 内<br />

部 情 報 として 保 持 されています。<br />

文 字 グリフ1つだけで 構 成 されている 場 合 :ベースグリフのカテゴリが<br />

「 文 字 」、グリフ 幅 ありの 発 音 記 号 、または 分 母 や 化 学 用 下 付 きなどの 小 さ<br />

な 数 字 であれば、コンポーネントの 位 置 とサイドベアリングはベースグリ<br />

フと 同 じになります。<br />

文 字 グリフ + 発 音 記 号 グリフで 構 成 されている 場 合 : 最 初 のコンポー<br />

ネントのカテゴリが「 文 字 」で、それ 以 降 のコンポーネントのカテゴリが<br />

「 発 音 記 号 」の 場 合 、コンポーネントの 位 置 とサイドベアリングはベースグ<br />

リフと 同 じになります。また、 発 音 記 号 の 位 置 はアンカーによって 自 動 的<br />

に 定 められ、 字 幅 は 無 視 されます。この 際 、 位 置 調 整 の 基 となるグリフに<br />

は 名 前 付 きアンカー( 例 : 上 付 き 発 音 記 号 用 には 伝 統 的 にtop と 名 付 ける)、<br />

発 音 記 号 側 にはアンダースコアから 始 まる 同 名 のアンカーが 必 要 になりま<br />

す( 例 :_top)。<br />

文 字 グリフ + 文 字 グリフで 構 成 されている 場 合 : 使 われているベース<br />

グリフの 位 置 情 報 に 基 づき、 自 動 的 にリガチャーが 構 成 されます。 字 幅 は<br />

すべてのベースグリフの 合 計 になり、カーニングが 設 定 されている 場 合 は<br />

それも 加 味 されます。 例 えば、one.numr( 分 子 用 の1)、 fraction( 分 数<br />

用 スラッシュ)、two.dnom( 分 母 用 の2)を 使 ってonehalf(½)を 作 る<br />

場 合 、それぞれのグリフがタイプされた 状 態 と 同 一 の 体 裁 になるわけです。<br />

<strong>Glyphs</strong>ハンドブック2016 年 11 月 版<br />

102


なお、 発 音 記 号 のコンポーネントがある 場 合 、 位 置 はアンカーによって 自<br />

動 的 に 定 められ、 字 幅 は 無 視 されます。<br />

また、exitアンカーとentryアンカーを 使 って 位 置 調 整 をすることも<br />

できます。 開 始 元 となるグリフの 終 端 ( 出 口 側 )にexit、それに 続 くグリ<br />

フの 始 端 ( 入 口 側 )にentryアンカーを 配 置 すると、それらのコンポーネ<br />

ントを 使 って 作 られたグリフは 位 置 関 係 がアンカーで 定 められ、またサイ<br />

ドベアリングは 最 初 のグリフと 最 後 のグリフから 採 用 されます。<br />

発 音 記 号 用 のアンカーはマーク 吸 着 フィーチャー(markとmkmk)の<br />

自 動 生 成 に 使 われます。アラビア 文 字 など 自 動 で 線 が 繋 がる 文 字 では、exit<br />

とentryアンカーは 連 綿 位 置 調 整 フィーチャー(curs)の 自 動 生 成 に 使 わ<br />

れます。これら 位 置 調 整 系 (GPOS)フィーチャーの 自 動 生 成 を 避 けて 純 粋<br />

にデザインのためだけにアンカーを 使 用 したい 場 合 、 文 字 以 外 のASCII 記<br />

号 をアンカー 名 の 最 初 に 付 けます( 例 :#top、_#top、#exit、#entry)。<br />

コンポーネントの 自 動 整 列 が 有 効 の 場 合 、 自 動 的 にメトリクス 情 報 を<br />

使 うことになりますので、メトリクスキーとの 併 用 は 基 本 的 にできません<br />

が、 例 外 が1つあります。= +または = - を 使 って、 自 動 整 列 グリフにサイ<br />

ドベアリングを 足 し 算 または 引 き 算 での 加 減 をすることができます( 例 :<br />

=+30)。 詳 細 は 「 9.1.3 メトリクスキーと 自 動 整 列 」(p.115)を 参 照 して<br />

ください。<br />

数 字 など、グリフのカテゴリによっては 初 期 状 態 では 自 動 整 列 しないよ<br />

うになっています。これは 数 字 グリフは 等 幅 やプロポーショナルなど、ス<br />

ペーシングの 異 なる 異 体 字 を 作 るためにコンポーネントを 利 用 する 機 会 が<br />

多 いため、 初 めから 整 列 がオフになっている 方 が 便 利 だからです。コンテ<br />

クストメニューから 強 制 的 に 自 動 整 列 させることができます。<br />

また、コンポーネントグリフ 内 にアウトラインが 存 在 すると 自 動 整 列<br />

は 機 能 しません。アウトラインが 削 除 されると、その 瞬 間 から 自 動 整 列 は<br />

復 活 します。コンポーネントの 自 動 整 列 を 強 制 で 解 除 するには、コンポー<br />

ネント 上 で 右 クリックまたはcontrol + クリックすることで 表 示 されるコ<br />

ンテクストメニューから「 自 動 整 列 を 無 効 化 」を 選 びます。<br />

文 字 グリフ + 発 音 記 号 グリフのコンポーネントグリフの 場 合 、 文 字 コ<br />

ンポーネントの 自 動 整 列 だけ 解 除 すると、そちらは 自 由 に 動 かせて 字 幅 も<br />

変 更 できるようになり、 発 音 記 号 コンポーネントはそれに 追 従 します。 発<br />

音 記 号 コンポーネントの 自 動 整 列 だけ 解 除 した 場 合 は、 発 音 記 号 コンポー<br />

ネントだけが 自 由 に 動 かせるようになります。<br />

コンポーネントの 自 動 整 列 を 有 効 化 するには、コンポーネント 上 で 右<br />

クリックまたはcontrol + クリックすることで 表 示 されるコンテクストメ<br />

ニューから「 自 動 整 列 を 有 効 化 」を 選 びます。 元 の 状 態 ( 自 動 整 列 の 無 効<br />

化 を 実 行 する 前 の 状 態 )に 戻 すには、コンポーネントグリフ 内 に 存 在 する<br />

すべてのコンポーネントの 自 動 整 列 が 有 効 化 される 必 要 があります。<br />

フォント 全 体 でコンポーネントの 自 動 整 列 を 無 効 化 したい 場 合 は、フォ<br />

<strong>Glyphs</strong>ハンドブック2016 年 11 月 版<br />

103


ント 情 報 の「その 他 の 設 定 」で「コンポーネント 自 動 整 列 を 解 除 」を 有 効<br />

にしてください。なお「コンポーネント 自 動 整 列 を 解 除 」を 有 効 にしてコ<br />

ンポーネントを 移 動 した 後 、「コンポーネント 自 動 整 列 を 解 除 」を 無 効 にし<br />

た 場 合 、そのコンポーネントの 移 動 はキャンセルされ、 自 動 整 列 しますの<br />

で 注 意 が 必 要 です。<br />

8.1.8 コンポーネントのロック<br />

コンポーネント 上 で 右 クリックまたはcontrol + クリックすることで 表 示 さ<br />

れるコンテクストメニューから「コンポーネントをロック」を 選 ぶと、そ<br />

のコンポーネントの 位 置 が 完 全 に 固 定 されます( 個 々のコンポーネントに<br />

対 して 個 別 に 設 定 します)。 移 動 も 選 択 もできないため 不 慮 の 変 更 を 避 ける<br />

ことができます。 特 に 自 動 整 列 が 通 常 無 視 されるコンポーネントにおいて<br />

便 利 です。ロックを 解 除 するには、 同 様 にロックされたコンポーネント 上<br />

でコンテクストメニューを 表 示 して「コンポーネントをロック 解 除 」を 選<br />

択 します。<br />

8.1.9 コンポーネントの 分 解<br />

「フォント > コンポーネントを 分 解 」(shift+command + D)を 実 行 する<br />

と、 現 レイヤーの 全 コンポーネントがアウトラインに 分 解 され、 編 集 でき<br />

る 状 態 になります。 入 れ 子 になっているコンポーネント(コンポーネント<br />

のコンポーネントのコンポーネントなど)も 分 解 されます。<br />

特 定 のコンポーネントのみを 分 解 したい 場 合 は、そのコンポーネント<br />

上 で 右 クリック(またはcontol + クリック)でコンテクストメニューを 表<br />

示 して「 分 解 」を 実 行 します。この 場 合 、 入 れ 子 になっているコンポーネ<br />

ントについてはベースグリフを 一 段 階 だけ 遡 ります。さらに 奥 の 階 層 まで<br />

アウトラインに 分 解 したい 場 合 は、 階 層 の 分 だけ 重 ねて 分 解 を 実 行 する 必<br />

要 があります。<br />

8.1.10 パスとコンポーネントの 混 合<br />

レイヤーにアウトラインとコンポーネントが 混 在 している 場 合 、コンポー<br />

ネントの 自 動 整 列 は 無 効 化 されます。そのため、 発 音 記 号 付 きのグリフな<br />

どでアウトラインを 併 用 している 場 合 、 予 期 せずコンポーネントを 動 かし<br />

てしまったり、メトリクスの 同 期 を 忘 れてしまうことがあるかもしれませ<br />

ん。このような 事 態 を 避 けるためにも、 特 別 な 理 由 がなければコンポーネ<br />

ントのみでグリフを 構 成 したほうがいいでしょう。<br />

レイヤーにアウトラインとコンポーネントが 混 在 している 場 合 、アウ<br />

トラインをドラッグするとコンポーネント 内 のポイントにスナップします。<br />

またアウトラインの1ポイントとコンポーネントが 選 択 された 状 態 で「パ<br />

ス > 選 択 したポイントを 整 列 」を 実 行 すると、そのポイントを 基 準 として<br />

コンポーネントが 移 動 します。 基 準 は 原 点 (x = 0、y = 0の 地 点 )ですが、<br />

<strong>Glyphs</strong>ハンドブック2016 年 11 月 版<br />

104


originという 名 前 のアンカーがあればそこが 基 準 になります。コンポーネ<br />

ントを 使 ってセリフを 作 るときには、この 手 法 を 使 うと 便 利 です。<br />

8.1.11 コンポーネントのネスティング( 入 れ 子 )<br />

<strong>Glyphs</strong>ではコンポーネントを 入 れ 子 にすることが 可 能 です。 例 えば2つの<br />

dotaccentcomb をコンポーネントとしてdieresiscomb のグリフを 作 成<br />

し、それを 使 ってadieresis(ä)などの 発 音 記 号 付 き 文 字 を 作 ることがで<br />

きます。<br />

入 れ 子 になったコンポーネントは、アンカーの 情 報 を 大 元 のベースグ<br />

リフから 引 き 継 ぎます。 発 音 記 号 を 組 み 合 わせる 際 なども、 特 に 新 しいア<br />

ンカーを 設 置 する 必 要 はありません。 例 えばoslashacute(アキュート 付<br />

きø)を 作 る 場 合 、oslash がoとslashlongcomb をコンポーネントして<br />

いるのであれば、acute の 位 置 合 わせにはo のアンカーが 再 利 用 されると<br />

いうことです。そのためoslashにあらためてアンカーを 設 置 する 必 要 はあ<br />

りません。アンカーを 設 置 した 場 合 は、そちらが 優 先 して 使 われます。<br />

8.1.12 優 先 される 発 音 記 号 のグリフ 名<br />

発 音 記 号 のコンポーネントグリフを 生 成 する 際 、<strong>Glyphs</strong> は 文 字 グリフと<br />

同 じサフィックスを 優 先 します。 例 えばadieresiscomb.sc(Ä のスモー<br />

ルキャップ)を 生 成 する 場 合 、dieresiscomb.sc(スモールキャップ 専 用<br />

にデザイン 調 整 されたdieresiscomb)がフォント 内 に 存 在 する 場 合 、 通<br />

常 のdieresiscomb(スモールキャップ 用 ではないもの)ではなくそちら<br />

を 優 先 して 使 います。<br />

大 文 字 用 の 発 音 記 号 には.caseのサフィックスが 使 われます( 例 :Ö を<br />

生 成 する 際 、dieresiscomb.caseがあればdieresiscombではなく 前 者 が<br />

使 われます)。<br />

i やjの 発 音 記 号 付 きグリフでは、 通 常 ドットが 外 されます。このため、<br />

合 成 用 にidotless(ドット 無 しi)とjdotless(ドット 無 しj)を 必 ず 用 意<br />

しておいてください。また、i とjの 発 音 記 号 付 き 文 字 グリフでは、その 字<br />

幅 の 狭 さゆえに 発 音 記 号 が 隣 り 合 う 文 字 とぶつかってしまうことがありま<br />

す。それを 避 けるために 幅 の 狭 い 発 音 記 号 を 用 意 しておくことがあります。<br />

<strong>Glyphs</strong> はこれを 理 解 しており、「.i」または「.narrow」というサフィッ<br />

クスの 付 いた 発 音 記 号 が 存 在 すれば、それをiとj 専 用 のものと 判 断 して 優<br />

先 的 に 使 用 します。また 狭 いバージョンの 発 音 記 号 グリフはOpenTypeに<br />

よるccmp(ダイナミック 合 成 )のフィーチャーにも 自 動 的 に 使 用 される<br />

ようになります。<br />

8.1.13 アンダースコアで 始 まるグリフ 名 のコンポーネント<br />

部 品 用 コンポーネントなど、 出 力 時 に 含 めたくないグリフの 名 前 はアン<br />

ダースコアで 開 始 することをお 勧 めします( 例 :_serifBottomLeft や_<br />

<strong>Glyphs</strong>ハンドブック2016 年 11 月 版<br />

105


A.ogonek)。こうするとスマートフィルタ(6.5.4、p.74)を 設 定 しやす<br />

くなったり、グリフ 名 で 検 索 (6.1.3、p.64)する 効 率 がよくなります。<br />

なお、アンダースコアで 始 まるグリフを 追 加 すると「 出 力 時 に 含 む」<br />

が 初 期 状 態 でオフになります。<br />

8.2 スマートコンポーネント<br />

スマートコンポーネントは 東 アジアの 文 字 向 けに 開 発 された 機 能 です。も<br />

ちろん 他 の 言 語 でも、 文 字 のパーツを 調 整 しながら 繰 り 返 し 再 利 用 する 場<br />

面 で 効 率 が 大 幅 に 上 がる 便 利 な 機 能 です。<br />

漢 字 やハングル、チベット 文 字 などでは 似 た 形 状 の 構 成 要 素 が 繰 り 返<br />

し 用 いられます。ただ、そのサイズやプロポーションは 完 全 に 同 じではな<br />

くグリフごとに 調 整 が 必 要 です。このような 需 要 に 応 えるため、スマート<br />

コンポーネントではグリフ 単 位 での 小 規 模 なマルチプルマスターを 使 いま<br />

す。スマートコンポーネントを 駆 使 するにはマルチプルマスターへの 理 解<br />

が 必 要 なので、 先 に「12 マルチプルマスター」(p.139)を 読 むことをお<br />

勧 めします。<br />

8.2.1 スマートグリフの 設 定<br />

スマートグリフは 複 数 の 補 間 用 レイヤーによって 構 成 されます。スマー<br />

トグリフをスマートコンポーネントとして 別 のグリフに 配 置 すると、スラ<br />

イダや 数 値 入 力 によって 補 間 された 形 状 に 調 整 することができます。ハン<br />

グルの 部 首 に 指 定 されているグリフは、 初 期 状 態 でスマートグリフとして<br />

使 用 できます。それ 以 外 の 場 合 、 名 前 に_part.というプレフィックスが 付<br />

いたグリフ( 例 :_part.001、_part.arch)であればスマートグリフと 認<br />

識 されます。<br />

スマートグリフにはアウトライン 互 換 の 取 れた 複 数 のレイヤーが 必 要<br />

です。 各 レイヤーにはWide、Deep、Narrowなど 管 理 しやすい 名 前 をつ<br />

けると 良 いでしょう( 日 本 語 の 入 力 も 可 能 です)。<br />

次 に 右 クリックで 表 示 されるコンテクストメニューから「スマートグ<br />

リフ 設 定 」を 選 択 して(またはoption + command + I で)ダイアログを<br />

表 示 します。「プロパティ」タブでは「+ 」で 補 間 軸 を 追 加 した 後 、「 名 前 」<br />

テキストフィールドに 軸 の 名 称 を 入 力 し( 日 本 語 の 入 力 も 可 能 です)、「 最<br />

小 値 」「 最 大 値 」 欄 で 値 の 範 囲 を 設 定 します。 例 えばディセンダーが 調 整<br />

可 能 なスマートグリフでは、 名 前 をdecender、 最 低 値 を-200、 最 高 値 を<br />

0にするなど 分 かりやすく 設 定 すると 良 いでしょう。h、m、n などのショ<br />

ルダーの 幅 を 調 整 したい 場 合 は 最 小 値 を0、 最 大 値 を100にするといいかも<br />

しれません。また、アセンダーの 高 さを 調 整 する 場 合 であれば 最 低 値 をx<br />

ハイト、 最 大 値 をアセンダーハイトにするなど、 実 際 の 値 を 用 いると 良 い<br />

でしょう。なお、「プロパティ」タブで 設 定 した 軸 は 作 業 中 のスマートグリ<br />

フのみで 有 効 です。<br />

<strong>Glyphs</strong>ハンドブック2016 年 11 月 版<br />

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「レイヤー」タブでは、 各 レイヤーのアウトラインの 形 状 と、 先 に 設 定 した<br />

軸 の 値 の 対 応 関 係 を 設 定 します(フォント 情 報 のマスター 設 定 で 軸 と 数 値<br />

を 設 定 するのと 同 じような 要 領 です)。 左 側 の 枠 でレイヤーを 選 択 した 後 、<br />

右 側 の 枠 で 各 軸 の 値 を 設 定 します(プルダウンメニューに 先 に 設 定 した 最<br />

低 値 か 最 大 値 が 表 示 されますのでいずれか 一 方 を 選 択 します)。 全 レイヤー<br />

に 対 して、すべての 軸 に 関 する 設 定 をおこなってください。このグリフを<br />

スマートコンポーネントとして 使 用 すると、その 形 は「プロパティ」タブ<br />

で 設 定 した 軸 に 沿 って「レイヤー」タブで 設 定 したレイヤーの 間 を 補 間 し<br />

ます。<br />

例 えば 幅 と 高 さの2 軸 があり、いずれも 最 小 値 0、 最 大 値 600というケース<br />

を 考 えてみましょう。この 場 合 であればレイヤーAは 幅 600/ 高 さ600と 設<br />

定 、レイヤーB は 幅 0/ 高 さ600と 設 定 、レイヤーC は 幅 600/ 高 さ0、レイ<br />

<strong>Glyphs</strong>ハンドブック2016 年 11 月 版<br />

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ヤーDは 幅 0/ 高 さ0と 設 定 すると 良 いでしょう。ただし2 軸 補 間 の 場 合 、ど<br />

れか1つの 頂 点 は 欠 けていても 自 動 で 補 うことができますので3レイヤー 構<br />

成 でも 機 能 します(3 軸 の 場 合 、 最 低 必 要 なレイヤー 数 は4です)。ただし<br />

自 動 補 間 した 場 合 とデザインスペースの 各 頂 点 のレイヤーをちゃんと 用 意<br />

した 場 合 では 結 果 が 異 なりますので、 確 実 に 形 状 をコントロールしたい 場<br />

合 はなるべく 多 くの 最 小 値 / 最 大 値 のパターンのレイヤーを 作 るようにし<br />

ましょう。<br />

軸 に「Width」と「Height」と 名 付 けた 場 合 、スマートコンポーネン<br />

トのバウンディングボックスでサイズ 変 更 する 際 に、 通 常 の 変 形 方 式 では<br />

なく 補 間 を 使 った 拡 大 縮 小 が 可 能 になります。これは 上 記 の 通 り 正 確 に 軸<br />

を 命 名 した 場 合 のみ 使 用 できる 機 能 です( 例 : 全 小 文 字 のheightや 全 大 文<br />

字 のWIDTHでは 無 効 です)。バウンディングボックスを 使 用 するには、「 表<br />

示 > バウンディングボックスを 表 示 」(option + shift+command+B)<br />

を 選 択 します。<br />

8.2.2 スマートコンポーネントの 追 加<br />

スマートコンポーネントを 他 のグリフに 追 加 する 手 順 は「8.1.1 コンポー<br />

ネントグリフの 生 成 」(p.97)と 同 じで、 右 クリックで 表 示 されるコンテ<br />

クストメニューから「コンポーネントを 追 加 」(shift+command+C)<br />

を 選 択 します。 違 いはスマートグリフ( 漢 字 やハングルの 部 首 、または_<br />

part.で 始 まるグリフ)を 選 ぶという 点 だけです。_partのグリフであれば<br />

ダイアログにアンダースコアを 入 力 するだけですぐにスマートグリフを 絞<br />

り 込 むことができます。<br />

8.<strong>2.3</strong> スマートコンポーネントの 補 間<br />

スマートコンポーネントが 配 置 されたグリフで、コンポーネント 上 でコン<br />

テクストメニューを 表 示 して「スマートコンポーネント 補 間 」(option+<br />

command+I)を 選 択 します。 表 示 されたダイアログでスライダーを 動 か<br />

したり 数 字 を 入 力 するとコンポーネントを 補 間 することができます。<br />

テキストフィールドには 最 低 値 未 満 の 値 または 最 大 値 より 大 きい 値 を 入 力<br />

し、 補 外 することも 可 能 です。<br />

テキストフィールドでは 矢 印 キーの 上 下 で 数 字 の 増 減 を、shiftキーを<br />

<strong>Glyphs</strong>ハンドブック2016 年 11 月 版<br />

108


押 しながらで10 単 位 の 増 減 をすることができます。<br />

8.2.4 自 動 整 列 用 アンカー<br />

コンポーネントグリフ 内 に 複 数 のコンポーネントがある 場 合 、アンカーが<br />

埋 め 込 まれていればその 位 置 情 報 を 使 って 自 動 整 列 させることができます。<br />

例 えばベースグリフにconnect という 名 前 のアンカーがあり、 追 従 する<br />

ベースグリフに_connect という 名 前 のアンカーがあれば、そこを 起 点 に<br />

後 者 のコンポーネントは 吸 着 します。このコンポーネントにもconnectア<br />

ンカーがあれば、 次 のコンポーネントはやはりそこに 吸 着 します。スマー<br />

トグリフでは 通 常 のマルチプルマスターと 同 様 にアンカーの 互 換 性 も 取 ら<br />

なければいけないため、このテクニックを 使 用 する 際 はすべてのレイヤー<br />

に 同 数 かつ 同 名 のアンカーが 存 在 することを 確 認 してください。<br />

8.3 コーナーとキャップコンポーネント<br />

8.3.1 コーナーコンポーネント<br />

コーナーコンポーネントは 主 にセリフを 作 るために 用 意 された 機 能 です。 開<br />

いたアウトラインのコンポーネントであり、 他 のアウトラインの 角 に 吸 着<br />

しスムースに 接 続 します。<br />

Tip: 凹 んだセリフのコーナーコン<br />

ポーネントにleftとrightアンカー<br />

の 両 方 を 配 置 すると、フレックスヒ<br />

ントが 自 動 生 成 されます。<br />

コーナーコンポーネントのベースグリフは、 名 前 が_corner.で 始 まる<br />

必 要 があります( 例 :_corner.leftSerif)。このグリフに、 原 点 を 基 準 に 開<br />

いたパスを 描 きます。なお、originと 名 の 付 いたアンカーを 配 置 した 場 合<br />

は、そこが 原 点 として 機 能 します。 始 点 は 必 ず 垂 直 、 終 点 は 必 ず 水 平 にな<br />

るようにパスを 作 成 してください。また、どちらかの 点 ( 通 常 は 始 点 )の<br />

横 位 置 が 原 点 またはoriginアンカーと 揃 うように 作 図 してください。left<br />

やrightアンカーを 追 加 すると、 吸 着 先 のパスに 合 わせたコンポーネントの<br />

変 形 具 合 を 制 御 できます。V など 斜 めのステムに 垂 直 ステム 用 のコーナー<br />

コンポーネントを 吸 着 させたい 場 合 に 便 利 です( 詳 細 は 後 述 )。<br />

left<br />

origin<br />

パスの 方 向 は、 吸 着 先 のパスの 方 向 と 一 致 していなければいけません。つ<br />

まりステムの 左 下 の 角 に 吸 着 するセリフを 作 るのであればパスが 上 から 開<br />

<strong>Glyphs</strong>ハンドブック2016 年 11 月 版<br />

109


始 している 必 要 があります。パスの 方 向 を 変 更 する 必 要 がある 場 合 はパス<br />

を 選 択 し、コンテクストメニューから「 選 択 パスの 方 向 を 逆 転 」を 実 行 し<br />

てください。<br />

コーナーコンポーネントを 利 用 するには、コンポーネントを 吸 着 させ<br />

たいパスのポイントを1つ 選 択 した 状 態 で 右 クリックで 表 示 されるコンテ<br />

クストメニューの「コーナーコンポーネントを 追 加 」でダイアログを 表 示<br />

し、コンポーネントを 選 択 します。コーナーコンポーネントが 追 加 される<br />

とコンポーネントの 開 始 点 と 終 点 が 選 択 したポイントに 揃 うように 吸 着 し<br />

ます。 吸 着 先 の 角 が 直 角 になっていない 場 合 、 自 動 的 に 末 端 の 角 度 が 調 整<br />

されます。<br />

コーナーコンポーネントを 削 除 したい 場 合 は 灰 色 の●を 選 択 してdelete ま<br />

たはbackspaceキーを 押 します。また、コンポーネントを 選 択 した 状 態 で<br />

「 編 集 > コピー」(command + C)を 実 行 し、 他 のオンカーブポイントを<br />

1つ 選 択 した 上 で「 編 集 > ペースト」(command + V)を 実 行 するとコー<br />

ナーコンポーネントをペーストすることができます。<br />

●をクリックして 選 択 すると、 情 報 パネルが 右 側 に 拡 張 され、コーナー<br />

コンポーネントの 詳 細 が 現 れます。ここでパネル 右 端 の◆jumplinをクリックする<br />

とコンポーネントのベースグリフが 表 示 され、 編 集 できる 状 態 になります。<br />

コンポーネント 名 をクリックするとダイアログが 表 示 され、コーナーコン<br />

ポーネントを 選 択 し 直 すことができます。また 水 平 方 向 と 垂 直 横 行 の 拡 大<br />

率 や、 変 形 サイドを 選 択 できます。 変 形 サイドとは、 吸 着 先 のパスの 変 形<br />

に 合 わせてコンポーネントのどちら 側 を 湾 曲 させるかを 選 択 するものです。<br />

・◆alignle:コーナーコンポーネントの 開 始 側 が 湾 曲 し、 終 了 側 は 固 定 されま<br />

す。ステムの 左 下 や 右 上 のセリフにはこのオプションが 最 適 でしょう。<br />

・◆alignri:コーナーコンポーネントの 終 了 側 が 湾 曲 し、 開 始 側 は 固 定 されま<br />

す。ステムの 右 下 や 左 上 のセリフにはこのオプションが 最 適 でしょう。<br />

・◆alignce:コーナーコンポーネントのどちら 側 も 回 転 湾 曲 します。インクト<br />

ラップ( 墨 取 り)のデザインにスマートコンポーネントを 使 用 すると<br />

きなど、どちらの 角 度 も 参 照 したい 場 合 に 有 効 です。<br />

吸 着 先 パスへのコンポーネントの 位 置 や 角 度 は、 多 くの 場 合 、left、right、<br />

origin アンカーの 存 在 、パスの 方 向 、および 変 形 基 準 によって 定 まりま<br />

す。これらのパラメータを 使 って、 例 えば 斜 めのステムに 吸 着 した 場 合 の<br />

セリフの 長 さを 制 御 できます。そのためには、スマートコンポーネント 内<br />

でoriginアンカーの 真 上 にleftまたはrightアンカーを 配 置 しておくこと<br />

が 大 切 です。 左 下 および 右 上 の 角 に 吸 着 させる 場 合 はleft、 逆 の 場 合 には<br />

right アンカーを 配 置 してください。 両 方 順 応 または 凹 型 セリフの 場 合 は<br />

<strong>Glyphs</strong>ハンドブック2016 年 11 月 版<br />

110


Tip:コーナーコンポーネントを 反<br />

転 する 最 も 早 い 方 法 は、ウインドウ<br />

右 のパレットの 変 形 オプションから<br />

反 転 ボタンをクリックすることです。<br />

両 方 配 置 します。これらのアンカーとoriginアンカーの 距 離 に 応 じてセリ<br />

フの 長 さが 変 化 します。originアンカーから 上 に 離 すと、 鋭 角 コーナーに<br />

吸 着 したセリフは 短 くなり、 鈍 角 コーナーに 吸 着 している 場 合 は 長 くなり<br />

ます。originアンカーに 近 づけると 逆 の 効 果 が 得 られます。カーブのない<br />

スラブセリフの 場 合 、 水 平 と 垂 直 セグメントの 交 点 とちょうど 同 じ 位 置 に<br />

これらのアンカーが 必 要 になります。<br />

コーナーコンポーネントは 反 転 して 逆 サイドの 角 にも 使 用 できます。つ<br />

まり 水 平 拡 大 率 を-100%にするとコンポーネントは 反 転 され、 左 用 のコン<br />

ポーネントを 右 側 のコーナーにも 再 利 用 できます。<br />

コーナーコンポーネントをすべて 分 解 してアウトラインを 得 たい 場 合 、<br />

「フィルタ > 重 なったパスを 合 体 」(shift+command + O)を 選 択 しま<br />

す。コーナーコンポーネントを 個 別 に 分 解 したい 場 合 、コーナーコンポー<br />

ネントを 選 択 してコンテクストメニューから「コーナーコンポーネントを<br />

分 解 」を 選 択 します。<br />

8.3.2 キャップコンポーネント<br />

キャップコンポーネントはステムの 先 端 にセリフを 付 けたりスワッシュを<br />

付 けたりするために 用 意 された 機 能 です。コーナーコンポーネントとほぼ<br />

同 じですが、1ポイントではなく2ポイントに 吸 着 します。<br />

キャップコンポーネントとなるグリフは、 名 前 が_cap.で 始 まる 必 要 が<br />

あります( 例 :_cap.headSerif)。このグリフに、 原 点 を 基 準 に 開 いたパ<br />

スを 描 きます。なお、originと 名 の 付 いたアンカーを 配 置 した 場 合 は、そ<br />

こが 原 点 として 機 能 します。 左 側 の 端 点 は 横 位 置 が 原 点 またはoriginアン<br />

カーと 揃 うように 作 図 してください。また、パスの 下 端 はベースラインに<br />

揃 うように 作 図 します。パスの 方 向 を 変 更 する 必 要 がある 場 合 はパスを 選<br />

択 し、コンテクストメニューから「 選 択 パスの 方 向 を 逆 転 」を 実 行 してく<br />

ださい。<br />

origin<br />

キャップコンポーネントを 利 用 するには、コンポーネントグリフ 上 の 連 続<br />

する2つのポイントを 選 択 した 状 態 で 右 クリックで 表 示 されるコンテクスト<br />

メニューの「キャップコンポーネントを 追 加 」でダイアログを 表 示 し、コ<br />

<strong>Glyphs</strong>ハンドブック2016 年 11 月 版<br />

111


ンポーネントを 選 択 します。キャップコンポーネントが 追 加 されるとコン<br />

ポーネントの 開 始 点 と 終 点 が 選 択 したポイントに 揃 うように 吸 着 します。 適<br />

切 な 状 態 で 吸 着 させるためには、キャップコンポーネントの 開 いたパスの<br />

幅 と、 配 置 先 のステムの 幅 が 一 致 しているのが 理 想 です。<br />

キャップコンポーネントの 存 在 を 示 す 灰 色 の●をクリックして 選 択 す<br />

ると、 右 側 情 報 パネルで 水 平 方 向 と 垂 直 横 行 の 拡 大 率 を 変 更 することがで<br />

きます。また、「フィット」を 選 択 すればステムに 合 わせてコンポーネント<br />

が 自 動 的 に 変 形 します(この 際 、 水 平 拡 大 率 は 変 更 不 可 となります)。 右 側<br />

情 報 パネルでは 整 列 基 準 を 変 えることもできます。 左 基 準 または 右 基 準 に<br />

すると、コンポーネントの 吸 着 先 もそれに 応 じて 変 化 します。また、left<br />

とrightのアンカーがキャップコンポーネントにあれば、それらのアンカー<br />

の 原 点 (またはoriginアンカーのy 座 標 )からの 垂 直 距 離 と、 開 始 点 およ<br />

び 終 点 の 水 平 距 離 が 参 照 され、どのようにパスが 湾 曲 するかを 決 定 します。<br />

別 の 言 い 方 をすれば、leftアンカーとrightアンカーはそれぞれ 配 置 先 の2<br />

つのポイントの 想 定 位 置 を 示 したものです。この 効 果 は 特 に 傾 いたステム<br />

において 顕 著 です。<br />

右 側 情 報 パネルに 表 示 されているコンポーネント 名 をクリックするとダイ<br />

アログが 表 示 され、キャップコンポーネントを 選 択 し 直 すことができます。<br />

また、 右 側 情 報 パネル 右 端 の◆jumplin をクリックするとコンポーネントのベー<br />

スグリフが 表 示 され、 編 集 できる 状 態 になります。<br />

灰 色 の●を 選 択 して「 編 集 > コピー」(command + C)を 実 行 し、 他 の<br />

連 続 する2つのポイントを 選 択 した 上 で「 編 集 > ペースト」(command+V)<br />

を 実 行 するキャップコンポーネントをペーストすることができます。また、<br />

灰 色 の●を 選 択 してdelete またはbackspace キーを 押 すとキャップコン<br />

ポーネントを 削 除 できます。<br />

コーナーコンポーネントをすべて 分 解 してアウトラインを 得 たい 場 合 、<br />

「フィルタ > 重 なったパスを 合 体 」(shift+command + D)を 選 択 しま<br />

す。コーナーコンポーネントを 個 別 に 分 解 したい 場 合 、コーナーコンポー<br />

ネントを 選 択 してコンテクストメニューから「キャップコンポーネントを<br />

分 解 」を 選 択 します。<br />

<strong>Glyphs</strong>ハンドブック2016 年 11 月 版<br />

112


9 スペーシングとカーニング<br />

9.1 スペーシング<br />

左 右 のサイドベアリング 値 は 英 語 版<br />

ではleft sidebearingとright<br />

sidebearingの 略 としてLSB、RSB<br />

と 表 記 しています。 日 本 語 版 では 左<br />

サイドベアリング、 右 サイドベアリ<br />

ング、または 省 略 表 記 として 左 SB、<br />

右 SBとします。<br />

スペーシングとはテキストの 均 一 なリズムを 生 み 出 すためにサイドベアリ<br />

ングを 調 整 する 作 業 のことです。スペーシングには 特 に 決 まったルールは<br />

ありません。しかし 等 幅 フォントなどの 例 外 を 除 けば、 形 が 似 たグリフで<br />

はサイドベアリングも 近 い 値 になるべきです。 例 えば 通 常 D の 左 側 はHと<br />

同 じ、 右 側 はOのようなサイドベアリング 値 にすべきです。<br />

編 集 ビューでは、 高 さや 幅 の 情 報 を 確 認 できるボディの 表 示 / 非 表 示<br />

を「 表 示 > メトリクスを 表 示 」(shift+command + M)で 切 り 替 えられ<br />

ます(テキストツール、てのひらツールの 場 合 を 除 き、 初 期 状 態 では 表 示<br />

されています)。<br />

9.1.1 スペーシングのショートカット<br />

左 側 にあるcontrolキーで 左 サイド<br />

ベアリング、 右 側 にあるcommand<br />

キーで 右 サイドベアリングを 調 整 す<br />

る、と 覚 えると 良 いでしょう。<br />

テキストモード(T)では、キーボードショートカットで 現 在 のレイヤー<br />

のサイドベアリングを 調 整 することができます。control キーを 押 したま<br />

ま 右 や 左 の 矢 印 キーを 押 すと 左 サイドベアリング 値 を 増 減 することができ、<br />

commad キーと 矢 印 キーで 同 様 に 右 サイドベアリング 値 を 増 減 できます<br />

(これに 伴 いグリフ 幅 も 増 減 します)。なお、shiftキーも 押 したまま 操 作 す<br />

ると10 単 位 での 調 整 が 可 能 です。controlキーとcommandキーの 両 方 を<br />

押 しながら 右 の 矢 印 キーを 押 した 場 合 は 左 サイドベアリング 値 が 増 加 、 右<br />

サイドベアリング 値 が 減 少 し、 実 質 的 にグリフが 右 方 向 に 移 動 することに<br />

なります(グリフ 幅 は 保 たれます)。 左 の 矢 印 キーだと 逆 方 向 への 移 動 とな<br />

ります。<br />

なお、 左 サイドベアリングを 調 整 するショートカット(controlキー +<br />

左 右 矢 印 キー)は、OSX 標 準 の「 左 ( 右 )の 操 作 スペースへ 移 動 」ショー<br />

トカットと 競 合 しています。これはシステム 環 境 設 定 で 変 更 または 無 効 化<br />

できます。<br />

<strong>Glyphs</strong>ハンドブック2016 年 11 月 版<br />

113


9.1.2 メトリクスキー<br />

メトリクス 同 士 を 関 連 付 けるため、 数 字 の 代 わりにメトリクスキーと 呼 ば<br />

れる 情 報 を 入 力 することもできます。 参 照 したいグリフ(ベースグリフ)<br />

の 名 前 を 任 意 のグリフのサイドベアリングまたはグリフ 幅 のフィールドに<br />

入 力 すると、サイドベアリングやグリフ 幅 の 値 がベースグリフと 同 一 にな<br />

ります( 例 えば、b やpの 右 サイドベアリングにoと 入 力 する)。メトリク<br />

スキーは 左 サイドベアリング、 右 サイドベアリング、グリフ 幅 のうち2 項<br />

目 まで 入 力 することができます。<br />

メトリクスキーは 常 時 自 動 的 に 更 新 されるわけではないことに 注 意 し<br />

てください。ベースグリフのサイドベアリングやグリフ 幅 の 値 が 変 更 され<br />

た 場 合 、「フォント > メトリクス 情 報 を 更 新 」(control + command + M)<br />

を 実 行 、もしくは「フォント > 全 マスターのメトリクス 情 報 を 更 新 」<br />

(control+shift+command + M)を 実 行 することでリンクされたグリ<br />

フのサイドベアリングやグリフ 幅 の 値 も 更 新 されます( 更 新 されていない<br />

場 合 、フォントビューでは 各 グリフに 黄 色 い 警 告 マークが 表 示 されます)。<br />

なお、 編 集 ビューの 情 報 パネルでは、 数 値 が 最 新 でない 項 目 は 赤 い 文 字 で<br />

表 示 され、 横 に ◆auto◆マークが 表 示 されます。このアイコンをクリックするか、<br />

いったん 入 力 欄 をクリックした 後 に 他 の 場 所 をクリックすることでも 値 が<br />

更 新 されます。<br />

フォントビューでは、メトリクスキーの 更 新 が 反 映 されていないグリフの<br />

右 上 に 黄 色 の 警 告 アイコンが 表 示 されます。マルチプルマスター 環 境 では、<br />

どれか1つでもインスタンス 生 成 に 関 わるレイヤーが 未 同 期 であれば 警 告<br />

アイコンが 出 ます。<br />

m<br />

006D<br />

サイドベアリング 入 力 欄 には 単 純 な 計 算 式 を 記 述 することもできます。こ<br />

の 場 合 、 計 算 式 は 等 号 (=)で 始 まる 必 要 があります。 例 えば「=n+10」<br />

はnのグリフのサイドベアリング 値 に10を 足 した 値 にするということです。<br />

同 様 に「= n-10」ならn のグリフのサイドベアリング 値 から10を 引 いた<br />

値 になります。「= g/2」はg のグリフのサイドベアリング 値 を2で 割 った<br />

<strong>Glyphs</strong>ハンドブック2016 年 11 月 版<br />

114


値 、「 = v*2」はv のグリフのサイドベアリング 値 を2 倍 した 値 になります。<br />

なお、「=n」は 単 純 に「n」と 入 力 した 場 合 と 同 じです。また「=20」な<br />

どとした 場 合 、 必 ずその 数 値 になるように 指 定 できます(グリフを 編 集 し<br />

てサイドベアリング 量 が 変 化 した 場 合 、 情 報 パネルには 赤 い 文 字 で 警 告 が<br />

示 されます)。これは 等 幅 フォントなどのようにグリフ 幅 を 固 定 したい 場 合 、<br />

またはストロークが 繋 がるスクリプト 書 体 などサイドベアリングを 固 定 さ<br />

せたい 場 合 に 便 利 です。<br />

等 号 を 二 重 (= =)にするとキーの 有 効 範 囲 が 現 在 のマスターのみに<br />

限 定 されます。これはマルチプルマスターのフォントにおいて 特 定 のマス<br />

ターで 違 うキーを 使 いたい 場 合 に 便 利 です。<br />

垂 直 棒 の 記 号 (|、 日 本 語 キーボードではshift+¥、US キーボードで<br />

はshift+\)を 使 うと 逆 側 のサイドベアリングを 参 照 することができます。<br />

例 えばu の 左 サイドベアリング 値 をn の 右 サイドベアリング 値 と 同 じ 値 に<br />

したい 場 合 、u の 左 サイドベアリング 値 入 力 欄 に「=|n」と 入 力 します。<br />

9.1.3 メトリクスキーと 自 動 整 列<br />

コンポーネントの 自 動 整 列 が 有 効 になっているグリフでさらにサイドベアリ<br />

ングを 調 整 したい 場 合 は、 等 号 とプラスまたはマイナス 記 号 (ハイフン)<br />

を 使 って 値 を 入 力 します( 例 := +20、= -10)。こうすることで 自 動 整 列<br />

の 結 果 からスペーシングを 加 減 できます。<br />

これは 横 方 向 のスペーシングの 調 整 をしたいがコンポーネントの 自 動<br />

整 列 は 解 除 したくない、という 際 に 便 利 です。その 典 型 的 な 例 は 欧 文 の<br />

dcaron(ď)やlcaron(ľ)など、 文 字 の 横 に 発 音 記 号 が 付 くためにサイ<br />

ドベアリングの 追 加 が 必 要 なグリフです。<br />

9.2 カーニング<br />

多 くのグリフは 調 整 することなく 並 べても 特 に 問 題 なく 見 えますが、 並 び<br />

方 の 組 み 合 わせによっては 微 調 整 が 必 要 になります。 特 に 大 きなスペース<br />

が 空 いてしまうVA、LW、T と 小 文 字 などは 調 整 が 必 要 な 組 み 合 わせの 典<br />

型 です。これらサイドベアリングだけでは 解 決 できない 個 別 のケースを 調<br />

整 する 作 業 がカーニングです。カーニングはスペースを 詰 めるだけでなく<br />

広 げるためにも 使 われます。<br />

9.2.1 カーニングの 方 法<br />

カーニングの 設 定 値 「カーニングペア」を 設 定 するには、まず 編 集 ビュー<br />

でテキストツール(T)に 切 り 替 えて、カーニングしたい 文 字 列 を 入 力 し<br />

ます。 次 に 調 整 する2つのグリフの 中 間 にカーソルを 置 き、 情 報 パネル 左<br />

端 ・ 上 段 の 入 力 欄 (「カーニング」と 表 示 されている 部 分 )に、この2つの<br />

グリフのカーニング 値 を 入 力 します。 値 をマイナスにすると 文 字 間 が 詰 ま<br />

ります。<br />

<strong>Glyphs</strong>ハンドブック2016 年 11 月 版<br />

115


メトリクスの 調 整 と 同 様 、 左 側 にあ<br />

るcontrolキーで 左 側 のカーニング<br />

値 、 右 側 にあるcommandキーで<br />

右 側 のカーニング 値 を 調 整 する、と<br />

覚 えると 良 いでしょう。<br />

メトリクス 調 整 と 同 じように、キーボードショートカットを 使 ってカー<br />

ニング 値 を 調 整 することもできます。option + control + 左 右 の 矢 印<br />

キーで 現 在 の 文 字 (カーソルの 右 にある 文 字 )の 左 側 のカーニング 値 、<br />

option+command + 左 右 の 矢 印 キーで 現 在 の 文 字 の 右 側 のカーニング 値<br />

が 増 減 します( 右 側 のカーニング 値 は、 現 在 の 文 字 の 次 にも 文 字 が 入 力 さ<br />

れている 時 のみ 調 整 することができます)。shiftキーも 押 して 操 作 すると<br />

10 単 位 での 調 整 が 可 能 です。<br />

9.2.2 カーニンググループ<br />

形 状 が 似 ているグリフには 同 じカーニング 値 を 適 用 するのが 理 にかなって<br />

います。カーニンググループはこれらを 一 括 設 定 する 機 能 です。カーニン<br />

グ 値 が 単 独 のグリフだけでなく、グループ 内 のすべてのグリフにも 共 通 で<br />

適 用 されるため、 手 動 で 設 定 するカーニング 値 の 数 を 大 幅 に 減 らすことが<br />

できます。たとえばAとAの 発 音 記 号 付 き 文 字 を 同 じグループにまとめて<br />

おけば、AT 間 のカーニングはÁT、ÄT、ÅT などにも 自 動 で 適 用 されます。<br />

<strong>Glyphs</strong> では、カーニンググループはグリフの 値 の1つとして 編 集 さ<br />

れます。カーニンググループの 設 定 欄 は、 編 集 ビューでは 情 報 パネルの 左<br />

右 ・ 下 段 に 存 在 します(「グループ」と 表 示 されている 部 分 )。また、フォ<br />

ントビューのリストモードでは「 左 グループ」「 右 グループ」と 表 示 されて<br />

いる 列 で 設 定 することができます。こちらのほうが 各 グリフの 設 定 状 況 が<br />

把 握 しやすく 効 率 的 に 作 業 できるでしょう。<br />

Tip: カーニングのグループを 自 動<br />

で 設 定 してくれる「Set Kerning<br />

Groups」スクリプトが 以 下 のサイ<br />

トからダウンロードできます:<br />

github.com/schriftgestalt/<br />

<strong>Glyphs</strong>-Scripts<br />

例 えばOの 左 側 のカーニング 値 を 使 い 回 したいすべてのグリフ(C、Ccedilla、<br />

G、Odieresis、そしてO 自 身 )の 左 グループ 入 力 欄 に 共 通 のグループ 名<br />

( 例 :O)を 入 力 します。どのグリフにもなるべく 左 グループと 右 グループ<br />

を 設 定 してください(たとえグリフが1 個 しか 含 まれないグループでも 作<br />

成 するのが 理 想 です。これはOpenTypeのkernフィーチャーをより 効 率<br />

的 に 生 成 するためです)。<br />

編 集 ビューでテキストツールを 選 択 してカーソルを 文 字 間 に 置 くと、 情<br />

報 パネルにはカーソルの 右 側 にあるグリフの 情 報 (グリフ 名 、グループの<br />

ロック、グループ 名 )、 情 報 パネルの 左 隣 の 小 さな 情 報 パネルにはカーソル<br />

の 左 側 にあるグリフの 情 報 が 表 示 されます。<br />

<strong>Glyphs</strong>ハンドブック2016 年 11 月 版<br />

116


情 報 パネルにある ◆lock◆を 解 除 して 違 うペア 値 を 入 力 することで、グルー<br />

プカーニングに 例 外 を 作 ることもできます。 例 えばo とöは 同 じカーニン<br />

ググループにしておきたいところですが、To とTö では 違 うカーニング 値<br />

が 必 要 になる 場 合 があります(アクセントがT のバーと 接 触 してしまう 可<br />

能 性 があるため)。この 場 合 、Tö の 間 にカーソルを 置 き、 情 報 パネル(ö の<br />

側 )の 錠 前 を 解 除 ◆unlock◆した 上 で 左 カーニング 値 を 変 更 します。なお、ロック<br />

◆lock◆すると 例 外 値 は 破 棄 され、グループ 値 に 従 う 状 態 に 戻 ります。 例 外 値 は<br />

グループと 単 独 グリフの 組 み 合 わせにすることもできます。たとえばTö の<br />

ペアに 設 定 した 例 外 値 はoグループの 中 でöにのみ 適 用 されるので、ö の 錠<br />

前 マークは 解 かれている ◆unlock◆ことになります。しかしこの 例 外 値 はどんなT<br />

にも 適 用 されるべきなので(Ťö やȚö など)、T 側 の 錠 前 はロック◆lock◆された<br />

ままにします。このようにペア 内 での 両 者 のロックの 有 無 により、「グルー<br />

プ 対 単 独 」、「 単 独 対 グループ」、そして「 単 独 対 単 独 」の 例 外 を 作 ることが<br />

できるのです。<br />

グリフに 割 り 当 てたカーニンググループの 名 称 を 変 更 したい 場 合 は、<br />

カーニングウインドウで 既 存 のグループ 名 で 登 録 したペアを 探 し、そのグ<br />

ループ 名 をダブルクリックして 後 のグループ 名 を 書 き 換 えます(@ はグ<br />

ループであることを 示 すための 便 宜 上 の 記 号 であり、ユーザーが 入 力 する<br />

必 要 はありません)。 入 力 内 容 を 確 定 するとグループ 名 の 変 更 をどこまで<br />

反 映 させるか 確 認 のダイアログが 出 ますので、 同 名 のすべてのペアおよび<br />

カーニンググループ 名 に 反 映 させるか、 当 該 のペアのみに 反 映 させるかを<br />

選 択 してください。<br />

当 該 のペアのみに 反 映 する 場 合 、カーニンググループ 名 は 変 更 されず、<br />

編 集 を 加 えたペアのみが 新 しいグループに 移 ります。 例 えば@d という 右<br />

グループが 小 文 字 d の 右 側 のグループであるとして、その 中 にはdcaron<br />

(ď)も 含 まれるとします。このグループを@h( 小 文 字 h やl の 左 側 グルー<br />

プ)と dcaron 基 準 でカーニングすると、 他 のdhペアは 大 きく 開 いてしま<br />

うことになります。このような 場 合 、まずはdcaron の 右 側 グループを 新<br />

しく@dcaron とします。その 後 に@d-@h ペアを@dcaron-@h ペアに<br />

変 更 し、 入 力 後 に 現 れるダイアログで「このペアのみ」を 選 択 てください。<br />

既 存 のグループ 名 を 変 更 する 場 合 には、 入 力 する 場 所 に 注 意 を 払 う 必<br />

要 があります。フォントビューや 編 集 ビューの 情 報 パネルのグループ 名 を<br />

書 き 換 える 場 合 、そのグループ 名 は 新 規 グループの 作 成 と 解 釈 され、 既 存<br />

グループの 改 名 にはならないからです。この 場 合 、 改 名 後 には、 既 存 のグ<br />

ループ 名 で 施 していたカーニングペアまでは 変 更 されません。グループ 名<br />

と 関 連 するペアをすべて 変 更 したい 場 合 のであれば、カーニングウインド<br />

ウから 行 いましょう。<br />

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117


9.<strong>2.3</strong> カーニングペアの 確 認<br />

カーニングウインドウ(「ウインドウ > カーニング」)にはすべてのカーニ<br />

ングペアの 一 覧 が、ペアの 先 ( 左 側 )のグリフまたはグループの 順 に 表 示<br />

されています。3 角 が 付 いているのが 先 ( 左 側 )のグリフまたはグループ、<br />

3 角 をクリックして 展 開 することで 表 示 されるのが 後 ( 右 側 )のグリフま<br />

たはグループです。グループはアットマーク 付 き( 例 :@latin_cap_A)<br />

で、 青 い 文 字 色 で 表 示 されます。 単 独 のグリフはベージュです。<br />

カーニングウインドウでペアをクリックすると 編 集 ビューにそのペア<br />

が 表 示 されます。カーニング 値 を 表 示 、 編 集 するときは 必 ずウインドウ 右<br />

下 のカーニングボタンがオン◆kerned◆ またはサイドベアリング 固 定 ◆kernloc になっ<br />

ていることを 確 認 してください(◆kernoff はカーニングが 効 いていない 状 態 で<br />

す。 状 態 を 切 り 替 えるにはこのボタンをクリックします)。カーニングウイ<br />

ンドウで 選 択 中 のペアがグループを 含 んでいる 場 合 は、ウインドウ 右 下 の<br />

◆cog◆メニューから「すべてのグリフを 表 示 」を 選 ぶと 起 こり 得 るすべてのペ<br />

アが 編 集 ビューに 表 示 されます。<br />

「 表 示 > メトリクスを 表 示 」がオンの 状 態 では、テキストツール 選 択<br />

時 にカーニング 状 態 がカラーで 表 示 されます( 詰 めは 水 色 、 空 けが 黄 色 )。<br />

「 表 示 > 補 助 線 を 表 示 」をオフにすると、カーニングカラーは 下 端 にのみ<br />

表 示 されます。 詳 細 は「3.9 計 測 」(p.36)を 参 照 してください。<br />

. . . . . . . . . . . .<br />

9.2.4 カーニングペアの 削 除<br />

カーニングウインドウでカーニングペアを 選 択 し、ウインドウ 左 下 の「-」<br />

ボタンをクリックすると、 選 択 中 のカーニングペアをすべて 削 除 します。 編<br />

集 ビューでは、 情 報 パネルのカーニングペア 欄 を 空 欄 にすることでも 削 除<br />

できます。<br />

<strong>Glyphs</strong>ハンドブック2016 年 11 月 版<br />

118


9.2.5 カーニングペアのコピー<br />

カーニングペアを 他 のマスターやフォントにコピーしたい 場 合 、「ウイン<br />

ドウ > カーニング」(option + command + K)でカーニングウインドウ<br />

を 表 示 し、コピーしたいペアを 選 択 します。すべてのペアをコピーしたい<br />

場 合 はカーニングウインドウがアクティブな 時 に「 編 集 > すべてを 選 択 」<br />

(command+A)を 選 んですべてのペアをコピー(command + C)した<br />

後 、 目 的 のマスターのカーニングウインドウにペースト(command+V)<br />

します。もし 重 複 がある 場 合 は 対 処 を 促 すダイアログが 表 示 されます。<br />

9.2.6 カーニングのクリーンアップ<br />

グリフを 消 去 した 場 合 、あるいはフォントを 他 からインポートした 場 合 は、<br />

ペアを 構 成 するグリフやグループが 存 在 しないために 無 効 なカーニングペ<br />

アが 発 生 することがあります。これらを 取 り 除 くには、カーニングウイン<br />

ドウの 右 下 の◆cog◆ボタンから「 親 字 不 在 のペアを 消 去 」を 選 んでください。<br />

9.2.7 カーニングの 圧 縮<br />

単 独 のカーニングペアを 設 定 した 後 でカーニンググループを 設 定 するとし<br />

た 場 合 、その 時 点 で 当 該 ペアはまだグループカーニングに 属 していません。<br />

カーニングウインドウ 右 下 の ◆cog◆ボタンから「なるべくグループ 化 」を 選 択<br />

することでグループカーニングに 変 換 することができます。この 機 能 は 単<br />

独 グリフに 設 定 したペアを 可 能 な 限 りグループ 用 ペアに 変 換 する 機 能 です。<br />

グループ 化 機 能 は 例 外 値 をキープしますが、グループ 値 と 同 一 になってい<br />

る 例 外 値 (ロックを 外 したが 値 はグループ 値 と 同 じもの)は 削 除 されます。<br />

一 度 で 全 ペアの 処 理 が 完 了 するとは 限 りませんので、 念 のため2 度 実 行 し<br />

てください。<br />

例 えば、Ť-m 間 のペアがフォント 内 にあるとしましょう。それぞれ@<br />

T という 右 グループと@n という 左 グループに 属 していますが、Ťm はお<br />

互 いグループではなく 単 独 グリフ 同 士 のペアになっているとします。「なる<br />

べくグループ 化 」を 一 度 選 択 すると、ペアは@Tグループと 単 独 小 文 字 m<br />

のペアに 変 化 します。Tm、Ťm、Țm などはすべてカーニングが 適 用 され<br />

ますが、m に 対 してのみ 反 映 されるため、@n に 入 っているはずのn やr<br />

などのグリフには 適 用 されません(Tn はカーニングされないまま)。なる<br />

べくグループ 化 をもう 一 度 実 行 すると、ペアの 後 半 のグリフもグループ 化<br />

<strong>Glyphs</strong>ハンドブック2016 年 11 月 版<br />

119


されるため、@T 内 のどのグリフも@n 内 のどのグリフともカーニングさ<br />

れるようになります。またTñ に 別 の 値 のカーニングペアを 設 定 していた<br />

場 合 、そのペアは 例 外 値 として 残 され、@T-@n の 標 準 値 とは 違 って 表 示<br />

されます。<br />

9.2.8 kern フィーチャー 手 動 追 加<br />

ここまでの 作 業 で 設 定 したカーニング 値 から、フォント 出 力 時 に 自 動 的 に<br />

OpenType のkern フィーチャーが 生 成 されます。これに 加 えてフォント<br />

情 報 (command + I)ウインドウのフィーチャータブではkern フィー<br />

チャーを 手 動 で 追 加 することができます。ここに 書 いたカーニング 値 は<br />

「kernCustom」という 独 立 したルックアップとして 出 力 時 にkernフィー<br />

チャーの 末 尾 に 自 動 的 に 追 加 されます。ただし、ここに 書 くフィーチャー<br />

はファミリー 全 体 で 共 有 となるため、 通 常 のカーニングと 違 って 数 値 の 補<br />

間 はされません。<br />

Tip: ここでカーニンググループを<br />

使 用 したい 場 合 、グループ 名 の 前 に<br />

@MMK_L_(ペアの 左 側 の 場 合 )<br />

または@MMK_R_(ペアの 右 側 の<br />

場 合 )を 付 けてコードを 書 きます。<br />

例 えばL'Aのトリオをグループ 化 し<br />

たい 場 合 、 以 下 のようなコードにな<br />

ります:@MMK_L_L' -50<br />

quoteright' 60 @MMK_R_A;<br />

これはL 右 側 のグループ 名 が「L」、<br />

A 左 側 のグループ 名 が「A」と 仮 定<br />

した 場 合 の 内 容 です。<strong>Glyphs</strong> 内 部<br />

では 実 際 のカーニンググループ 名 は<br />

このように 長 いのですが、その 前 半<br />

は 必 要 時 以 外 はユーザーから 見 えな<br />

いようになっています。<br />

この 手 動 追 加 の 機 能 が 便 利 になる 局 面 は、たとえば3 文 字 が 関 連 するな<br />

ど、 広 範 囲 の 前 後 関 係 に 依 存 するカーニング 値 を 記 述 したい 場 合 です。た<br />

とえばf、スペース、T の 組 み 合 わせ(f T)などではfとTの 頭 が 近 寄 りす<br />

ぎてスペースが 視 認 し 辛 くなり、 少 し 開 けた 方 がいい 場 合 があります。ま<br />

たLとアポストロフィ(L’)のペアをきつく 詰 めた 一 方 で、’A もきつく 詰<br />

めている 場 合 、フランス 語 などで 起 こるL’Amerique などの 文 字 列 ではL<br />

とAがくっついてしまう 場 合 があります。このような 場 合 には 以 下 のよう<br />

に 記 述 します。<br />

pos f' 60 space [T V W];<br />

pos L' -50 quoteright’ 60 A;<br />

最 初 の 例 では「f」の 後 に「スペース」「T、W、V のいずれか」の3グリフ<br />

が 続 く 時 のみカーニング 値 + 60が 設 けられます(カーニングが 設 定 される<br />

のは'でマークされたグリフの 直 後 、つまりこの 例 ではfとスペースの 間 で<br />

す )。 2つ 目 のL’A では、L とquoteright の 間 は-50、quoteright とAの<br />

間 は60に 設 定 され、 結 果 としてquoteright は 左 に 押 し 込 まれてLA 間 に<br />

スペースが 少 し 追 加 されます。これはL’A という3グリフが 並 んだときにの<br />

み 発 動 し、L’O やl’A などでは 発 動 しません。<br />

<strong>Glyphs</strong>ハンドブック2016 年 11 月 版<br />

120


10 PostScriptヒンティング<br />

10.1 ヒンティング<br />

PostScript ヒンティングは 低 解 像 度 下 でのPostScript フォントの 見 た 目<br />

を 改 善 する 技 術 のことで、CFFベースのOpenTypeフォント( 拡 張 子 は 通<br />

常 .otf)に 対 して 設 定 することができます。<br />

フォントをデジタル 画 面 上 でピクセルに 落 とし 込 む 役 割 はラスタライ<br />

ザーというソフトウェアが 担 います。PostScriptフォントでは、フォント<br />

単 体 があらゆる 機 能 を 担 うことは 困 難 だと 考 え、ピクセル 化 の 作 業 につい<br />

てはラスタライザーが 独 自 に 判 断 することになっています。しかしフォン<br />

トにその 判 断 の 補 助 となる 情 報 (ヒント)を 埋 め 込 むことで、ラスタライ<br />

ズの 結 果 を 改 善 することができます。<br />

ヒンティング 情 報 のほとんどは、グリフのどの 部 分 が 重 要 であるか、 逆<br />

にどの 部 分 を 小 サイズ 時 に 犠 牲 にしてよいかを 定 義 するものです。これを<br />

実 現 するために2 種 類 のヒントが 存 在 します。まずはフォント 全 体 に 適 用<br />

されるヒントで、「フォントレベルのヒント」や「フォント 全 体 のヒント」<br />

などと 呼 ばれます。フォントのステム 値 やアラインメントゾーンがその 例<br />

です。2つ 目 は 各 グリフに 埋 め 込 まれ、アウトラインを 変 形 させてピクセ<br />

ルのグリッド 上 に 載 せるための 情 報 で、「グリフレベルのヒント」などと 呼<br />

ばれます。グリフレベルのヒントにはステムヒントやゴーストヒントがあ<br />

ります。<br />

もっとも 効 率 がよい 方 法 はフォントレベルのヒント 関 連 情 報 をしっか<br />

り 定 義 し、その 後 グリフレベルのヒンティングはオートヒンティングに 任<br />

せることです。<br />

ヒンティングは、フォント 内 のステム 幅 が 規 則 的 であるなど、 一 貫 し<br />

たデザインがある 場 合 にのみ 有 効 です。 手 書 き 風 や 絵 文 字 、 装 飾 用 ボー<br />

ダー、ラフなテクスチャのあるフォントのようにアウトラインがきわめて<br />

イレギュラーになる 場 合 、ヒンティングは 役 に 立 ちません。また 高 解 像 度<br />

のディスプレイやMac OSX、iOSなどヒンティング 情 報 が 無 視 される 環 境<br />

では、ヒンティングはファイルサイズの 無 駄 にしかなりません。このよう<br />

な 場 合 、ヒンティング 情 報 を 付 加 しないことをお 勧 めします。<br />

PostScript ヒンティングの 目 標 は 低 解 像 度 下 で 一 貫 性 の 高 いシャー<br />

プな 文 字 を 表 示 するということを 忘 れないでください。つまりラスタライ<br />

ザーは 与 えられたサイズ 内 でアウトラインを 変 形 させ、ピクセルグリッド<br />

上 に 表 示 させます。また 別 の 言 い 方 をすれば、ヒンティングの 仕 事 とは 形<br />

を 守 ることではなく、その 真 逆 であるということです。もしいかなる 場 合<br />

でもアウトラインの 変 形 を 望 まない 場 合 ( 例 えばストロークが 連 綿 するス<br />

クリプト 書 体 など)、ヒンティング 機 能 は 使 用 しない 方 が 得 策 でしょう。<br />

<strong>Glyphs</strong>ハンドブック2016 年 11 月 版<br />

121


10.2 フォント 全 体 のヒンティング<br />

グリフレベルのヒントを 設 定 する 前 に、フォント 全 体 で 使 用 されるいくつ<br />

かのパラメータを 設 定 する 必 要 があります。これらフォントレベルでのヒ<br />

ンティング 情 報 は 通 称 「PostScriptプライベートディクショナリー」に 保<br />

管 されます。 詳 しくは 以 下 をご 覧 ください( 英 語 ):<br />

typophile.com/files/hinting.pdf<br />

partners.adobe.com/public/developer/en/font/T1_SPEC.PDF<br />

( 特 に35~45ページ)<br />

vimeo.com/38364880<br />

10.2.1 スタンダードステム<br />

ステム 幅 とはフォントの 文 字 の 線 幅 のことです。 垂 直 ステムとは 文 字 の 縦 線<br />

の 幅 です( 例 : 大 文 字 I の 太 さ、O の 左 右 のカーブの 太 さなど)。また、 水<br />

平 ステムとは 文 字 の 横 線 の 幅 です( 例 :セリフの 厚 さ、A H f t のクロス<br />

バーの 太 さ、O の 上 下 のカーブの 太 さなど)。<br />

そして 最 後 に、スタンダードステムです。これはステム 幅 の 平 均 のこと<br />

で、フォント 内 の 様 々なステム 幅 のうち 最 も 代 表 的 な 値 のことです。オー<br />

トヒンティングのアルゴリズムがステムを 認 識 し 適 正 なヒントを 施 すには、<br />

まずスタンダードステムを 適 切 に 設 定 することが 重 要 です。そうすること<br />

でラスタライザーはピクセルへのレンダリング、 特 に 様 々なステムの 太 さ<br />

を 低 解 像 度 下 で 整 える 処 理 を 最 適 化 できます。<br />

スタンダードステムの 値 はフォント 情 報 の「マスター」タブの 垂 直 ス<br />

テムと 水 平 ステムの 欄 に 入 力 します。 代 表 的 な 値 だけを、なるべく 件 数 を<br />

絞 って 設 定 してください。 値 はフォント 情 報 の「マスター」タブの 垂 直 ス<br />

テムと 水 平 ステムの 欄 に 入 力 します。もし 非 常 に 近 い 値 がある 場 合 は、そ<br />

の2つの 平 均 値 に 統 合 するのがよいでしょう。ステムの 太 さを 素 早 く 測 る<br />

には、ステム 上 の2つのポイントを 選 択 し、 情 報 パネルでその 選 択 範 囲 の<br />

幅 を 確 認 するか、ものさしツール(「3.9 計 測 」、p.36)に 切 り 替 えます。<br />

例 えばフォント 内 の 垂 直 ステム 幅 を 計 測 した 結 果 68、71、72、74、<br />

75、82、83、85となっている 場 合 は、70 台 前 半 と80 台 前 半 に 山 があるた<br />

め、それぞれの 平 均 の72と83あたりを 選 ぶのがよいでしょう(このような<br />

場 合 、たいてい68~75は 小 文 字 、82~85は 大 文 字 のステム 幅 だと 想 像 で<br />

きます)。スタンダードステムの 値 を1つだけにすると、フォント 内 のすべ<br />

てのステムは 小 ピクセルサイズ 下 では 同 じ 太 さに 見 えるようになります。<br />

理 論 上 は 垂 直 ステム 欄 と 水 平 ステム 欄 でそれぞれ12 個 までスタンダー<br />

ドステムを 設 定 できます。しかし、なるべく 代 表 的 な 値 に 絞 っていくと、ス<br />

テム 値 は1 個 か2 個 に 収 束 するはずです。2 個 の 場 合 は 大 文 字 と 小 文 字 の 垂<br />

直 ステムだったり、 水 平 ステムの 場 合 はセリフとそれ 以 外 の 水 平 線 などで<br />

す。2つ 目 や3つ 目 のステム 値 を 入 力 する 場 合 は、サイズによってはステム<br />

幅 に 差 が 出 る 可 能 性 があることを 留 意 しておきましょう。 例 えば70と80の<br />

<strong>Glyphs</strong>ハンドブック2016 年 11 月 版<br />

122


2つの 垂 直 ステムがある 場 合 、フォントサイズによっては 最 初 のステムが2<br />

ピクセルで 表 示 され、 後 者 のステムが3ピクセルで 表 示 される 可 能 性 があ<br />

ります。ステム 数 を 欲 張 ると 表 示 結 果 がばらつく 可 能 性 があるのです。<br />

それぞれのステム 幅 のフィールドに 入 力 する 最 初 の 値 は 最 も 重 要 です。<br />

ここにはフォント 内 で 最 も 代 表 的 なステム 幅 、 例 えば 小 文 字 のステム 幅 を 入<br />

力 しましょう。 入 力 されたステム 幅 はヒンティング 以 外 にも「 変 形 」フィ<br />

ルタの「 視 覚 的 傾 斜 」や「スマート 角 丸 」フィルタなど、 他 の 機 能 にも 使<br />

われることになります。2つ 目 以 降 のステム 値 はヒンティングのみに 使 用 さ<br />

れます。 水 平 ステムの 値 はTrueTypeヒンティングにも 使 用 されます。 詳<br />

細 は「11.3 手 動 インストラクション」(p.131)を 参 照 してください。<br />

マルチプルマスターのファイルではステム 値 は 補 間 されるため、 同 じ<br />

個 数 のステム 値 を 各 マスターに 入 力 し、その 順 番 も 必 ず 揃 えてください。<br />

10.2.2 アラインメントゾーン<br />

フォントの 欧 文 が 非 常 に 少 ないピクセル 数 で 表 示 されているとき、x ハイ<br />

ト 付 近 のアウトラインは 同 じ 高 さに 整 列 (つまり 同 じ 高 さのピクセル 数 で<br />

表 示 )されるべきです。これはf h kのアセンダやg p yのディセンダ、ま<br />

た 大 文 字 の 高 さでも 同 様 です。また 当 然 ながら、 低 解 像 度 下 では 欧 文 のす<br />

べての 文 字 のベースラインが 揃 うべきです。<br />

しかし 通 常 の 書 体 デザインではこれらの 文 字 のアウトラインはぴった<br />

り 揃 っているわけではありません。 例 えば、 小 文 字 のo の 下 は 視 覚 調 整 の<br />

ためにベースラインよりもやや 下 にはみ 出 すようデザインしますが、 小 文<br />

字 のn は 完 全 にベースライン 上 に 揃 えるようデザインするのが 普 通 でしょ<br />

う。また 大 文 字 A のアペックス( 頂 点 )は 大 文 字 H の 高 さより 少 し 高 めに<br />

しないと、 背 が 低 く 見 えてしまいます。これら 標 準 の 高 さをはみ 出 る 部 分<br />

はよく「オーバーシュート」と 呼 ばれ、その 度 合 いは 大 抵 10から15ユニッ<br />

ト 程 度 でしょう。<br />

アラインメントゾーンとはラスタライザーに 伝 えるオーバーシュート<br />

の 情 報 のことです。 小 サイズではオーバーシュートが 再 現 される 必 要 はあ<br />

りません。このため 低 解 像 度 下 ではアラインメントゾーン 内 に 存 在 するア<br />

ウトラインは 縦 方 向 に 圧 縮 され、ゾーンの 目 標 位 置 に 整 列 されます。<br />

アラインメントゾーンは2つの 値 から 構 成 されています。1つは 開 始 位<br />

置 、もう1つはサイズです。 開 始 位 置 とはxハイトやアセンダなど、ゾーン<br />

の 基 準 となるy 位 置 のことです。 開 始 位 置 はオーバーシュートが 整 列 する<br />

目 標 の 高 さとなるので、 時 として「フラット・エッジ」と 呼 ばれることが<br />

あります。サイズはオーバーシュートの 最 大 値 です。もしオーバーシュー<br />

トが 目 標 の 高 さ(x ハイトやキャップハイト、アセンダー)を 上 に 越 える 場<br />

合 は、サイズの 値 は 正 でなければいけません。このようなゾーンを「トッ<br />

プゾーン」と 呼 びます。もし 逆 にオーバーシュートが 目 標 の 高 さ(ベース<br />

ラインやディセンダー)を 下 に 越 える 場 合 、サイズは 負 の 値 でなければな<br />

<strong>Glyphs</strong>ハンドブック2016 年 11 月 版<br />

123


らず、そのようなゾーンは「ボトムゾーン」と 呼 ばれます。<br />

典 型 的 なアラインメントゾーンの 設<br />

定 :アセンダー、キャップハイト、<br />

xハイトに 正 の 値 であるトップゾーン、<br />

ベースラインとディセンダーに 負 の<br />

値 であるボトムゾーン。<br />

正 確 に 言 えば、アラインメントゾー<br />

ンの 最 大 値 はblueScale 値 の 制 約 を<br />

受 けていて( 以 下 を 参 照 )、240 ÷<br />

(240 × blueScale - 0.98) 以 上 の<br />

ゾーン 幅 を 設 定 してはいけません。<br />

アラインメントゾーンのサイズは 小 さければ 小 さいほどよいので、「 安 全<br />

策 として」 無 駄 に 大 きく 設 定 したりはしないでください。いかなる 場 合 で<br />

も、 最 大 値 は25ユニットです。トップゾーンは5つまで、ボトムゾーンは<br />

6つまで 設 定 できます。ゾーン 同 士 は 重 なってはならず、 最 低 1ユニットの<br />

間 隔 が 必 要 です(より 広 いことが 望 まれます)。ベースラインのゾーンのサ<br />

イズは0に 設 定 してはいけません。<br />

「フォント 情 報 > その 他 の 設 定 」の「グリッドのユニット 間 隔 」を 標<br />

準 以 外 の 値 (つまり1 以 外 )に 設 定 すると、 座 標 が 四 捨 五 入 されて 整 数 値<br />

化 するので(「7.5.1 グリッドの 間 隔 とグリッド 細 分 」、p.94)、アライメ<br />

ントゾーンも 対 策 として 上 下 方 向 に1ユニットずつ 拡 張 する 必 要 がありま<br />

す。つまり 開 始 位 置 を1ユニット 広 げ、ゾーンサイズは2ユニット 広 げます。<br />

ベースラインのゾーンだけは 開 始 位 置 を 必 ず0にしなくてはいけません(サ<br />

イズは1 広 げます)。<br />

10.<strong>2.3</strong> カスタムパラメータ<br />

アラインメントゾーンとステムの 他 にも、フォント 全 体 のプライベート<br />

ディクショナリーにはヒンティングに 関 する 値 が 各 種 あります。blueScale、<br />

blueShift、そしてFamily Alignment Zonesです。<strong>Glyphs</strong>ではこれら<br />

の 値 をカスタムパラメータとして 設 定 できます。これらのパラメータの 詳<br />

細 を 知 りたい 場 合 は「17.3 カスタムパラメータ」(p.184)を 参 照 してく<br />

ださい。<br />

10.3 オートヒンティング<br />

アラインメントゾーンとスタンダードステムの2つのフォント 全 体 のパラ<br />

メータが 適 切 に 設 定 されれば、フォント 出 力 ダイアログの「すべてのグリ<br />

フをオートヒント」オプションをオンにしてオートヒンティングのアルゴ<br />

リズムに 作 業 を 任 せることができます。またAutohint カスタムパラメー<br />

タにより 強 制 発 動 させることができます(フォント 出 力 ダイアログでオー<br />

トヒントをしない 設 定 にしてても、このパラメータがあるインスタンスは<br />

オートヒントが 実 行 されます)。<br />

<strong>Glyphs</strong>ハンドブック2016 年 11 月 版<br />

124


Adobe のアプリケーションでヒンティング 結 果 をテストしましょう。<br />

テストのテキストを 打 って、 少 ないピクセルで 表 示 されるようにズームア<br />

ウトします「3.12.7 Adobe アプリケーションでのプレビュー」(p.46)。<br />

次 にシステム 環 境 設 定 の「アクセシビリティ」にあるズーム 機 能 を 使 って、<br />

そのテキストを 拡 大 してヒンティングの 結 果 を 確 認 しましょう。 必 要 に 応<br />

じてフォント 情 報 から 設 定 を 変 更 したり、 特 に 問 題 のあるグリフを 手 動 で<br />

ヒンティングして 再 出 力 、 確 認 する 作 業 を 繰 り 返 します。 手 動 のヒンティ<br />

ングに 関 しては「10.4 グリフレベルの 手 動 ヒンティング」(p.126)を 参<br />

照 してください。<br />

10.3.1 フレックス・ヒント<br />

もしフォントに 緩 やかに 凹 んだセリフやステムがある 場 合 、オートヒンター<br />

は 自 動 的 にフレックス・ヒントと 呼 ばれるヒントを 付 加 し、 浅 いカーブを<br />

低 解 像 度 下 で 平 坦 にしてくれます。フレックス・ヒントはフォント 出 力 時<br />

に 自 動 で 追 加 され、 手 動 で 追 加 することはできません。これが 設 定 される<br />

には 以 下 の 条 件 を 満 たしていなければいけません。<br />

まずblueShiftの 値 が、これらのディテール + 1ユニットの 値 に 指 定 され<br />

ていること。 例 えば 凹 型 のセリフのへこみが5ユニットであれば、blueShift<br />

は6 以 上 にすべきです。<br />

2つ 目 に、アウトラインの 条 件 がいくつかあります。 凹 み 曲 線 の 形 状<br />

は3つのオンカーブポイントから 構 成 される2つのセグメントでなければい<br />

けません。2つのセグメント 形 状 は 対 称 である 必 要 はありません。 縦 方 向<br />

の 場 合 、1つめと3つめのポイントは 同 じx 座 標 (Optima のIのようなス<br />

テム 形 状 の 上 端 と 下 端 のポイントが 同 じx 座 標 )、または 横 方 向 の 場 合 はy<br />

座 標 (PalatinoのTのようなセリフの 右 端 と 左 端 が 同 じy 座 標 )に 並 んで<br />

いる 必 要 があります。 最 大 4 本 あるハンドルは 完 全 に 垂 直 や 水 平 になって<br />

いる 必 要 はありませんが、3つのオンカーブポイントは 極 点 でなければい<br />

けません。 曲 線 の 深 さの 限 界 は20ユニットです。<br />

最 後 に 曲 線 のセリフの 場 合 、3つのポイントがアラインメントゾーン<br />

に 確 実 に 収 まっているのが 理 想 的 です。 最 高 の 結 果 を 得 るには、2 番 目 の<br />

ポイント( 中 心 )をフラット・エッジ、つまりゾーンの 目 標 の 高 さにぴっ<br />

たりと 乗 せましょう。そして 両 端 のポイントはアラインメントゾーン 内 に<br />

フレックス・ヒント:ポイント1と<br />

3は 全 く 同 じ 高 さに 揃 っていてアラ<br />

インメントゾーンの 内 側 にあり、ポ<br />

イント2はゾーンのフラット・エッ<br />

ジに 乗 っている 必 要 があります。ハ<br />

ンドルは1~3 番 までのポイントの<br />

空 間 を 超 えてはいけません(1~3<br />

番 のポイントはいずれも 極 点 でなけ<br />

ればいけません)。<br />

存 在 している 必 要 があります。つまり 下 図 のように 曲 線 状 のセリフがベー<br />

スラインにある 場 合 、 両 端 のポイントは 曲 線 の 深 さの 分 だけベースライン<br />

から 下 のボトムゾーンに 存 在 している 状 態 だということです。<br />

1 2 3<br />

ベースライン<br />

ゾーン<br />

<strong>Glyphs</strong>ハンドブック2016 年 11 月 版<br />

125


10.4 グリフレベルの 手 動 ヒンティング<br />

<strong>Glyphs</strong>のPostScriptヒンティングでは 自 動 と 手 動 のヒントを 共 存 させら<br />

れるようになっています。そのため、 手 動 でヒントを 設 定 する 前 にオート<br />

ヒンティングで 可 能 な 限 り 品 質 を 上 げておくことをお 勧 めします。 低 解 像<br />

度 下 でうまく 表 示 されないグリフにのみ 手 動 調 整 を 行 いましょう。<br />

手 動 ヒンティングと 自 動 ヒンティングは、1つのグリフに 共 存 するこ<br />

とはできません。 手 動 ヒンティングが 施 されたグリフには 自 動 ヒンティン<br />

グが 施 されず、 出 力 時 に 手 動 ヒンティングデータがそのまま 採 用 されます。<br />

つまり 手 動 ヒンティングを 行 う 場 合 は、そのグリフの 面 倒 を 最 後 まで 見 な<br />

ければいけません。<br />

グリフ 単 位 で 手 動 で 施 せるヒントには「ステムヒント」と「ゴースト<br />

ヒント」の2 種 類 があります。ステムヒントは 垂 直 または 水 平 のステム、ま<br />

たはセリフやクロスバーを 明 示 するのに 使 います。ゴーストヒントはサン<br />

セリフのステムのようにセリフがなく、 水 平 ヒントが 施 せない 場 合 にアウ<br />

トラインの 上 端 、 下 端 を 明 示 するのに 使 います。<br />

アラインメントゾーンと 同 様 、 水 平 ヒントはx ハイトやアセンダーな<br />

どの 垂 直 方 向 の 整 列 に 重 要 なものです。 低 解 像 度 下 では、ラスタライザー<br />

は 水 平 ヒントが 施 されてアラインメントゾーンに 存 在 する 部 分 すべてを 整<br />

列 するよう 試 みます。 水 平 ヒントの 上 端 もしくは 下 端 は、ポイントが 揃 う<br />

べき 高 さ (x ハイトやキャップハイト、アセンダー)と 一 致 している 必 要<br />

があります。ヒント 同 士 が 重 なってはいけないため、 離 れたステムも1つ<br />

のヒントが 面 倒 を 見 るようになっています( 例 :m の2つのショルダー)。<br />

大 文 字 B の 右 側 の 縦 ステムや 数 字 の8の 縦 ステムなどは2つのステム<br />

ヒントを 設 置 する 必 要 があるでしょうが、これらはオーバーラップするこ<br />

とが 多 いでしょう。PostScript ヒンティングでは 厳 密 に 言 えばオーバー<br />

ラップは 許 されていませんが、 重 なっても 不 具 合 は 生 じません。この 場 合 、<br />

<strong>Glyphs</strong> は 自 動 的 にヒントリプレースメントという 情 報 を 仕 込 み、それぞ<br />

れのステムが 描 画 されるときに 不 要 な 方 のヒントを 自 動 的 に 解 除 するよう<br />

にします。そのため、ステムヒントのオーバーラップは 気 にしなくてよい<br />

のです。<br />

マルチプルマスターでは、 最 初 のマスター(フォント 情 報 の 最 も 上 に<br />

あるマスター)にあるヒントだけが 使 用 され、 他 のマスターに 流 用 されま<br />

す。この 場 合 、 手 動 で 置 かれたヒントは 必 ずポイントとリンクされている<br />

ようにしてください。さもないと<strong>Glyphs</strong> はどのようにヒントを 補 間 すれ<br />

ばよいか 分 からなくなります(「10.4.1 ステムヒント」、p.126)。<br />

10.4.1 ステムヒント<br />

ステムヒントをグリフに 追 加 するには、 右 クリックしてコンテクストメ<br />

ニューから「 水 平 ヒントを 追 加 」または「 垂 直 ヒントを 追 加 」を 選 んでく<br />

ださい。2つの 数 字 が 書 かれたバッジの 付 いた 灰 色 のバーが 現 れます。 最<br />

<strong>Glyphs</strong>ハンドブック2016 年 11 月 版<br />

126


初 の 数 字 はヒントの 基 準 点 、2つ 目 はヒントの 幅 を 表 しています。<br />

2つのポイントが 選 択 された 状 態 でヒントを 追 加 すると、そのヒント<br />

はポイントに 自 動 的 にリンクされます。このように2つのポイントをペア<br />

にしてリンクしたヒントを 追 加 する 方 法 は、 複 数 のペアを 選 択 している 場<br />

合 でも( 別 々のアウトライン 上 にペアが 存 在 する 限 り) 有 効 です。 最 適 な<br />

結 果 を 得 るためには、ヒントは 常 に 極 点 にリンクさせてください( 詳 細 は<br />

「3.3.13 極 点 と 変 曲 点 」(p.25)を 参 照 )。<br />

垂 直 ステム( 緑 )と 水 平 ステム( 黄<br />

色 )の 指 定 結 果 。<br />

ヒントを 選 択 するには 数 字 バッジをクリックしてください。shiftを 押 しな<br />

がらで 複 数 選 択 することもできます。ヒントが1つだけ 選 択 されている 場 合 、<br />

灰 色 の 情 報 パネル(「 表 示 > 情 報 を 表 示 」またはshift+command+I)<br />

にて 数 値 を 編 集 できます。また、tab キーとshift+tab キーで 次 のヒント、<br />

前 のヒントに 選 択 を 移 動 することができます。<br />

高 さ140、 幅 40と 書 かれた 数 字 バッ<br />

ジのある 水 平 ヒント。<br />

ヒントをグラフィカルに 編 集 する 場 合 、ヒントの 端 にある 青 いマークをド<br />

ラッグしてください。 青 の 丸 は 基 準 点 を、3 角 は 幅 と 方 向 を 表 します。な<br />

お、マークをポイントの 上 にドラッグすると、<strong>Glyphs</strong>はそのポイントの 座<br />

標 に 自 動 的 にリンクします。リンクした 状 態 でポイントを 動 かすと、ヒン<br />

トも 自 動 的 に 追 従 します。ヒントを 削 除 するには、ヒントを 選 んでdelete<br />

またはbackspaceキーを 押 してください。<br />

<strong>Glyphs</strong>ハンドブック2016 年 11 月 版<br />

127


ヒントの 青 い 丸 と 三 角 がポイントと<br />

リンクした 状 態 。ステムヒントの 幅<br />

はすべて 正 の 値 でなければいけませ<br />

ん。つまり 水 平 ヒントの 場 合 は 三 角<br />

が 丸 の 右 側 、 垂 直 ヒントの 場 合 は 上<br />

側 になければいけません。<br />

出 力 されるOTF では、すべてのPostScript ステムヒントは 正 、つまり0<br />

より 大 きい 幅 でなければいけません。もし 誤 って 負 の 値 で 追 加 された 場 合 、<br />

<strong>Glyphs</strong>は 出 力 時 にすべて 正 になるように 修 正 します。<br />

10.4.2 ゴーストヒント<br />

アウトラインの 上 端 と 下 端 を 垂 直 方 向 のメトリクスに 整 列 させたくても 水<br />

平 ヒントを 指 定 できない 場 合 には、ゴーストヒントが 使 えます。 例 えばサ<br />

ンセリフの 大 文 字 のIです。I の 上 端 はキャップハイトに、 下 端 はベースラ<br />

インに 揃 わなければいけません。セリフ 付 きのデザインであればセリフに<br />

水 平 ステムを 与 えれば 済 むことですが、サンセリフでは 水 平 ステムを 与 え<br />

られるような 目 立 った 特 徴 がありません。この 場 合 、I の 上 端 に 上 端 ゴース<br />

トヒントを、 下 端 に 下 端 ゴーストヒントを 追 加 します。<br />

通 常 のステムに 加 えて、ゴーストヒ<br />

ント( 青 )を 追 加 した 状 態 。<br />

ゴーストヒントを 追 加 するにはポイントを1つだけ 選 択 してコンテクスト<br />

メニューから「 水 平 ヒントを 追 加 」を 選 択 します。もしくは 水 平 ヒントの<br />

バッジを 選 択 した 状 態 で 右 クリックし、コンテクストメニューから「ゴー<br />

ストヒントに 変 換 」を 選 びます。ゴーストヒントのバッジには 基 準 と 方 向<br />

<strong>Glyphs</strong>ハンドブック2016 年 11 月 版<br />

128


のみが 表 示 されます。 下 向 きの 矢 印 が 下 端 ゴーストヒント、 上 向 きの 矢 印<br />

が 上 端 ゴーストヒントであることを 表 します。 青 い 丸 をポイントにドラッ<br />

グすることで、そのポイントにリンクさせることができます。 上 端 、 下 端<br />

を 切 り 替 える 場 合 は、 灰 色 の 情 報 パネルの「 上 」または「 下 」アイコンを<br />

クリックしてください。<br />

y 座 標 100に 配 置 された 上 端 ゴース<br />

トヒントと、50に 配 置 された 下 端<br />

ゴーストヒント。<br />

10.4.3 マルチプルマスターのヒンティング<br />

マルチプルマスターのフォントでは、 最 初 のマスターにのみヒンティングを<br />

行 ってください。ヒントがポイントにリンクされていてパスも 完 全 に 互 換<br />

していれば、フォント 出 力 の 際 にヒント 情 報 は 他 のマスターの 対 応 するポ<br />

イントに 自 動 的 に 適 用 されます。 最 初 のマスターとはフォント 情 報 の「マ<br />

スター」タブ 内 で 最 上 位 に 位 置 するフォント(またはフォントウインドウ<br />

で 左 端 のアイコンのマスター)のことです。<br />

他 のマスターに 施 した 手 動 ヒントは 使 用 されませんが、 最 初 のマス<br />

ターに 手 動 ヒントがなければ 他 のマスターのヒントが 採 用 されます。デザ<br />

インによっては 手 動 ヒントが 施 されたマスターを 最 上 位 にドラッグした 方<br />

がよいかもしれません。 例 えば 最 初 のマスターが 非 常 に 細 いウエイトの 場<br />

合 、 目 的 のポイントを 選 択 して 手 動 のヒンティングを 施 す 作 業 はやりづら<br />

いかもしれません。このような 場 合 、Regular またはBold マスターを 最<br />

上 位 にした 方 がよいでしょう。<br />

ブラケットレイヤーまたは 逆 ブラケットレイヤーを 使 用 してする 場 合<br />

(「 4.4.2 特 別 なレイヤー」、p.50)、 最 初 のマスター 以 外 にもヒンティング<br />

を 施 さなければいけません。この 場 合 、そのデザイン 軸 の 最 初 のレイヤー<br />

を 手 動 でヒンティングしなければいけません。<br />

<strong>Glyphs</strong>ハンドブック2016 年 11 月 版<br />

129


11 TrueTypeヒンティング<br />

11.1 インストラクション<br />

TrueTypeフォントではかなり 正 確 に 各 サイズでのアウトラインの 変 化 を<br />

制 御 できます。この 作 業 はよくヒンティングと 呼 ばれます。 本 書 でもヒン<br />

ティングと 特 に 区 別 は 付 けませんが、 正 確 にはインストラクションと 呼 ば<br />

れるものです。レンダリングの 際 、ピクセルがアウトラインの 内 側 にあれ<br />

ばそのピクセルは 黒 、 外 側 にあれば 白 になります。インストラクションと<br />

は、 低 解 像 度 なフォントサイズで 表 示 品 質 を 向 上 させるために、アウトラ<br />

インそのものをサイズに 合 わせて 変 形 させる 技 術 です。そのためどのよう<br />

な 種 類 のインストラクションでも、ピクセルの 位 置 に 合 わせてアウトライ<br />

ンのポイントを 操 作 するという 点 で 共 通 しています。PostScriptヒンティ<br />

ングではステムの 存 在 などだけを 教 えてあとはラスタライザーの 性 能 に 頼<br />

るためピクセル 化 はラスタライザーの 作 業 になりますが、TrueTypeのイ<br />

ストラクションではデザイナーが 自 ら 詳 細 に 挙 動 を 設 定 するため、ラスタ<br />

ライザーに 高 度 な 処 理 機 能 は 必 要 とされません。ただしTrueTypeフォン<br />

トのレンダリング 結 果 はOS ごと、アプリケーションによって 多 少 の 差 は<br />

生 じます( 同 じWindowsでもバージョンが 違 えば 結 果 は 異 なります)。<br />

インストラクションを 施 すと、TrueTypeベースフォントの 低 解 像 度<br />

下 でのレンダリング 結 果 が 向 上 します。TrueType ベースフォントとは、<br />

TrueType 形 式 のOpenType( 拡 張 子 .ttfまたは.otf)、 EOT Web フォン<br />

ト(.eot)、 TrueTypeベースのWOFFフォント(.woff またはwoff2)で<br />

す。PostScriptのそれと 同 様 、ヒンティングの 目 標 はグリフ 形 状 をそのま<br />

ま 表 示 するのではなく、ピクセルグリッドに 合 わせて 適 用 させることにあ<br />

ります。これは 低 解 像 度 下 ではかなり 激 しい 変 形 になることがあります。<br />

TrueType フォントは2 次 ベジェ 曲 線 を 使 っているため、カーブを 描<br />

画 する 計 算 式 も 描 画 方 向 も 違 います。しかし<strong>Glyphs</strong> のインターフェイス<br />

ではPostScript 方 式 の3 次 ベジェ 曲 線 しか 扱 いません。TrueTypeに 出 力<br />

する 際 、パスは 自 動 的 にTrueType 用 のものに 変 換 されますが、この 際 に<br />

は 手 動 で 施 されたインストラクションも 含 まれます。<br />

TTFAutohintの 詳 細 については 公<br />

式 Webサイトを 参 照 してください:<br />

freetype.org/ttfautohint<br />

11.2 オートヒンティング<br />

<strong>Glyphs</strong>はWerner Lamberg 開 発 によるオープンソースのTTFAutohint<br />

というオートヒンティングツールを 使 い、TrueTypeインストラクションを 自<br />

動 でフォント 出 力 時 に 施 します。それぞれのインスタンスに「TTFAutohint<br />

Options」カスタムパラメータを 加 えることでオートヒンティングのオプ<br />

ションを 設 定 できます。 各 パラメータの 詳 細 は「17.3 カスタムパラメー<br />

タ 」( p.184)を 参 照 してください。<br />

<strong>Glyphs</strong>ハンドブック2016 年 11 月 版<br />

130


11.2.1 手 動 または 自 動 のインストラクション<br />

これはグリフによっては 任 意 のグリ<br />

フに 手 動 ヒントを 仕 込 むことができ<br />

るPostScriptのワークフローとは<br />

対 照 的 です。<br />

TrueTypeインストラクションはフォントのかなり 深 い 部 分 まで 関 わって<br />

くるため、TTFAutohint とTrueType の 手 動 インストラクションツール<br />

(ショートカットI)は 互 換 性 がありません。つまりフォント 全 体 のインス<br />

トラクションを 手 動 または 自 動 で 行 わねばならず、 両 方 の 混 在 はできない<br />

ということです。TTFAutohint を 使 用 すると 手 動 のインストラクション<br />

はすべて 無 視 されます。<br />

11.3 手 動 インストラクション<br />

<strong>Glyphs</strong>は4 種 類 のTrueTypeインストラクションを 用 意 しています。 整 列 、<br />

ステム、 補 間 、そして 斜 め 線 です。これらのインストラクションを 挿 入 す<br />

るにはまずTrueType インストラクションツール(ショートカットI)に<br />

切 り 替 え、 特 定 の 数 のポイントを 選 択 し、コンテクストメニューから 任 意<br />

のインストラクションを 選 びます。コンテクストメニューは 右 クリックま<br />

たはcontrol+ クリックで、ポイント 上 に 限 らず 編 集 ビュー 内 のどこから<br />

でも 呼 び 出 せます。<br />

どのようなポイントを 選 択 しているかに 関 わらず、コンテクストメ<br />

ニューには 常 に「オートヒント」と「ヒントを 全 削 除 」のメニュー 項 目 が<br />

表 示 されます。「オートヒント」は 現 在 のグリフに 適 切 と 思 われるインスト<br />

ラクションを 施 します。ヒントを 全 削 除 を 選 ぶと、 現 在 のグリフのインス<br />

トラクションをすべて 削 除 します。これはすべてのインストラクションを<br />

選 択 して(command + A)、 backspaceまたはdelete キーを 押 しても 同<br />

じ 結 果 が 得 られます。インストラクションの 影 響 で 位 置 が 動 くポイントは<br />

「 編 集 済 み」、 動 かないポイントは「 未 編 集 」と 呼 びます。<br />

マルチプルマスター 環 境 では、 最 初 のマスターに 施 したインストラク<br />

ションのみが 採 用 されます。またすべてのマスターの 互 換 性 が 取 れている<br />

ことを 前 提 として、そのインストラクションは 全 インスタンスに 適 用 され<br />

ます。<br />

オーバーラップしているアウトラインは 合 成 する 必 要 はなくそのまま<br />

にしておいて 構 いませんし、オーバーラップしている 部 分 にインストラク<br />

ションを 施 しても 構 いません。 出 力 時 に 重 なったアウトラインが 除 去 され<br />

る 際 、TrueTypeインストラクションは 自 動 的 に 位 置 を 変 えて、 合 成 後 の<br />

ポイントに 移 動 します。ただしこれは 合 成 前 のポイントが 合 成 後 のそれと<br />

それなりに 近 いことが 条 件 ですので、 狙 い 通 りにインストラクションを 機<br />

能 させるには 合 成 前 のポイントを 合 成 後 の 仮 想 ポイントに 近 づけるか、ア<br />

ウトラインを 合 成 してしまう 必 要 があります。<br />

手 動 でグリフのインストラクションを 施 す 際 、まずは 縦 方 向 の 整 列 、つ<br />

まりベースラインやx ハイト 上 の 整 列 に 注 力 しましょう。それが 完 了 した<br />

ら 縦 方 向 のステム 幅 、すなわちセリフの 太 さやH t f のクロスバーの 太 さ、<br />

E の 上 下 カウンターの 高 さなどの 細 かい 内 容 に 移 るようにしましょう。<br />

<strong>Glyphs</strong>ハンドブック2016 年 11 月 版<br />

131


Microsoft のClearType などに 代 表 される 現 代 のサブピクセルレン<br />

ダリングでは、 横 方 向 のレンダリングを 自 動 的 に 処 理 するため、 横 方 向 に<br />

関 するインストラクション( 垂 直 ステムの 幅 など)は 無 視 してください。<br />

TrueTypeインストラクションツールでも、 設 置 するのは 前 述 した 縦 方 向<br />

に 関 するインストラクション、すなわち 水 平 ステムなどに 限 られています。<br />

11.3.1 水 平 ステムとゾーン<br />

TrueTypeインストラクションは「フォント 情 報 > マスター」のアライン<br />

メントゾーンと 水 平 ステムの 情 報 を 利 用 します。 詳 細 は「10.2 フォント 全<br />

体 のヒンティング」(p.122)を 参 照 してください。<br />

TrueTypeではPostScriptと 比 べてより 多 くのステムをサポートして<br />

います。TrueType 専 用 に 水 平 ステムを 設 定 したい 場 合 は、メニューバー<br />

「ファイル > フォント 情 報 」のマスターにカスタムパラメータ「TTFStems」<br />

を 追 加 します。 値 をクリックしてオプションを 表 示 し、◆cog◆ メニューで<br />

PostScript 用 ステムをインポートするか、または 新 しいステムを 追 加 して<br />

任 意 の 名 前 を 設 定 します。マルチプルマスター 環 境 では、 必 ずTTFStems<br />

カスタムパラメータも 互 換 するようにしてください。つまりすべてのマス<br />

ターで 同 数 かつ 同 名 のステムが 登 録 されている 必 要 があります。パラメー<br />

タは 他 のマスターにコピー&ペーストすることができます。<br />

スタンダードなステムの 値 を 定 義 する 作 業 はPostScriptヒンティング<br />

におけるステムの 定 義 の 仕 方 と 非 常 に 似 ていますが、TrueTypeではステ<br />

ムの 数 を 増 やしたほうが 安 全 です。 稀 にしか 登 場 しない 水 平 ステムを 登 録<br />

することもできます。これはステムヒントの 段 階 で 名 前 の 付 いた 専 用 のス<br />

テムを 適 用 できるからです。ただし、 登 録 するのは 太 さの 差 が 明 瞭 なステ<br />

ムのみにするのが 理 想 です。 幅 の 違 うスタンダードステムは、その 太 さが<br />

わずかな 違 いでもあっても、 表 示 サイズによって1ピクセル 違 う 太 さで 表<br />

示 されることがあります。 新 たに 水 平 ステムを 追 加 する 場 合 は 十 分 に 太 さ<br />

の 違 いがあるものに 限 るべきでしょう。この 違 いがむしろあなたのデザイ<br />

ンで 重 要 な 場 合 は、それぞれにステムを 設 置 して 区 別 を 付 けるようにして<br />

ください。<br />

<strong>Glyphs</strong>ハンドブック2016 年 11 月 版<br />

132


11.3.2 ラスタライザープレビュー<br />

Tip: インストラクションが 施 され<br />

たアウトラインとピクセルプレ<br />

ビューの 結 果 を 他 のインスタンスで<br />

確 認 したい 場 合 、ウインドウ 下 のプ<br />

レビューから 他 のインスタンスを 選<br />

択 します。<br />

TrueTypeインストラクションツールでグリフを 編 集 している 時 は、アウ<br />

トラインの 背 景 に 赤 い 別 のアウトラインが 表 示 されます。これはインストラ<br />

クションが 施 されたアウトラインの 変 形 後 の 結 果 であり、その 内 容 はイン<br />

ストラクションの 内 容 、フォントサイズ、そして 想 定 するラスタライザー<br />

によって 変 化 します。ラスタライザーはグレイスケール、GDI ClearType、<br />

DirectWrite の3つから 選 択 できます。また、それに 加 えてピクセルプレ<br />

ビューが 背 景 に 表 示 されます。 実 際 のレンダリングの 結 果 はフォント 表 示<br />

環 境 によって 大 きく 変 化 するため、ピクセルプレビューはあくまで 参 考 程<br />

度 のものと 考 えてください。<br />

グレイスケールレンダリングでは4 倍 オーバーサンプリングの 結 果 を 表<br />

示 します。つまり1つのピクセルを 表 示 するために4×4 = 16 分 割 したサブピ<br />

4×4のグレイスケール( 左 )、8×1<br />

のClearType( 中 )、5×5の<br />

DirectWrite( 右 )<br />

クセルで 計 算 しているということです。それぞれのサブピクセルの 中 心 が<br />

アウトラインの 黒 側 か 白 側 に 入 っているかを 確 認 し、その 個 数 によって16<br />

段 階 のグレースケールからピクセル 色 を 決 定 しています。 主 にWindows<br />

XPで 使 われているGDI Cleartypeは8×1のオーバーサンプリングを 使 用 し<br />

ます。つまり 水 平 方 向 は8 分 割 し、 垂 直 方 向 には 分 割 しません。Windows<br />

7 以 降 で 使 われているDirectWriteは5 倍 (5×5)のオーバーサンプリング<br />

を 使 用 しています。<br />

これらのモードを 切 り 替 えると、アウトラインのピクセルグリッドの 吸<br />

着 具 合 に 違 いがあるのがわかります。インストラクションのあるポイントは、<br />

グレイスケールでは4×4 分 割 されたサブピクセルに 吸 着 し、DirectWrite<br />

では5×5のサブピクセルに 吸 着 するのに 対 し、ClearType では1ピクセル<br />

ごとに 吸 着 します。<br />

情 報 パネル(shift+command + I)では、レンダリングモードを 切<br />

り 替 えることができます。その 左 隣 のサイズ 変 更 フィールドではPPM で<br />

フォントサイズを 変 更 できます。<br />

Windows ではデフォルトで 画 面 解 像 度 が96ppi と 設 定 されています。<br />

実 際 のPPMサイズを 計 算 するには、Windows 内 のポイントサイズに4/3<br />

を 掛 けてください。 例 えば 目 的 のサイズが12ポイントとすれば、Windows<br />

では12÷3×4 = 16ピクセルで 表 示 されます。Windows 画 面 上 のピクセル<br />

サイズをポイントに 逆 算 したい 場 合 は¾を 掛 けます。 例 えば20ピクセルは<br />

Windows 内 部 では20×3÷4 = 15ポイントです。<br />

11.3.3 アンカー<br />

Tip: TrueTypeインストラクション<br />

のショートカットはQWERTY 配 列<br />

キーボードのAからGに 並 んでいま<br />

す。ヒンティングツール 使 用 時 はこ<br />

れらのショートカットが 優 先 されま<br />

すので、A を 押 しても 注 釈 ツールに<br />

は 切 り 替 わりません。<br />

アンカーインストラクションを 追 加 するには、ポイントを1つ 選 択 し(なる<br />

べくアラインメントゾーン 内 のもの)、 右 クリックまたはcontrol + クリッ<br />

クでコンテクストメニューを 呼 び 出 して「アンカー」を 選 択 してください<br />

(ショートカットA)。そのポイントはステムや 補 間 など 他 のインストラク<br />

ションの 影 響 を 受 けないようにしなければいけません。<br />

<strong>Glyphs</strong>ハンドブック2016 年 11 月 版<br />

133


アンカーインストラクションはポイントを 直 近 のピクセルの 端 に 吸 着<br />

させます。その 方 向 は 上 または 下 を 向 いた 小 さい 青 3 角 形 で 表 示 されます。<br />

アンカーの 方 向 を 変 更 するには、バッジをクリックして 選 択 し、 情 報 パネ<br />

ルに 現 れるアイコンをクリックしてください。◆hintnea は 必 ず 直 近 のピクセルの<br />

端 に 吸 着 ( 初 期 状 態 )、◆hinttopは 必 ずピクセルの 上 端 に 吸 着 、◆hintbotは 必 ずピクセル<br />

の 下 端 に 吸 着 、◆hintfreは 吸 着 しません。<br />

上 端 のセリフと 下 端 のセリフでは、<br />

1つのアンカーインストラクション<br />

で 同 じ 高 さの 他 のセリフがすべてピ<br />

クセルグリッドに 吸 着 します。<br />

<br />

||<br />

<br />

もしポイントがステムヒントの 基 準 点 となる 場 合 、<strong>Glyphs</strong> はそこに 自 動<br />

的 に(かつ 不 可 視 の)アンカーインストラクションを 挿 入 しますので、 手<br />

動 で 挿 入 する 必 要 はありません。<br />

11.3.4 整 列<br />

整 列 インストラクションを 追 加 するには 編 集 済 みポイントと 未 編 集 のポイ<br />

ントを1つずつ 選 択 し、コンテクストメニューから「 整 列 」を 選 択 します<br />

(F)。 整 列 インストラクションは 未 編 集 ポイントを 編 集 ポイントに 追 従 さ<br />

せ、 編 集 ポイントと 同 量 動 くようにするものです。<br />

整 列 インストラクションを2つの 未 編 集 ポイントに 適 用 させると、 最 初<br />

の 方 のポイントには 自 動 的 に(かつ 不 可 視 の)アンカーインストラクショ<br />

ンが 挿 入 されます。 通 常 はアラインメントゾーン 内 にある 方 のポイントが<br />

基 準 点 になります。 整 列 の 基 準 を 反 転 するにはコンテクストメニューから<br />

「 反 転 」を 選 択 します。<br />

整 列 インストラクションは、ステムヒントで 発 生 するポイントの 移 動<br />

を 他 のポイントでも 繰 り 返 したいときに 便 利 です。 例 えばローマン 書 体 の<br />

左 側 のセリフにステムヒントを 施 したあとは 右 側 のセリフにも 同 様 にステ<br />

ムヒントを 施 すのではなく、 左 側 のセリフの 編 集 済 みポイントと 右 側 のセ<br />

リフの 未 編 集 ポイントを 整 列 させます。<br />

11.3.5 ステム<br />

2つまたは4つのポイントを 選 択 し、コンテクストメニューから「ステム」<br />

<strong>Glyphs</strong>ハンドブック2016 年 11 月 版<br />

134


を 選 択 します(S)。 青 い 丸 がインストラクションの 基 準 点 を 表 し、3 角 が<br />

Tip: 上 端 吸 着 と 下 端 吸 着 の2つのオ<br />

プションは 直 近 吸 着 と 違 ってサブピ<br />

クセルではなくピクセルに 整 列 しま<br />

す。そのため、オーバーサンプリン<br />

グを 使 用 するレンダリングでは 結 果<br />

が 荒 くなります。これらはXPの<br />

GDIレンダリング 向 けのオプション<br />

です。<br />

移 動 対 象 のポイントを 表 します。 基 準 点 には 自 動 的 に 不 可 視 のアンカーイ<br />

ンストラクションが 挿 入 されます。ただし 基 準 点 がすでに 他 のTrueType<br />

ヒント、 例 えば 補 間 などによって 編 集 済 みの 場 合 はそちらが 優 先 されます。<br />

ステム(またはリンク)とは2つのポイント 間 の 距 離 を 制 御 するための<br />

ものです。ステムの 基 準 点 の 座 標 は 自 動 のアンカーまたは 任 意 に 挿 入 され<br />

た 他 のインストラクションによってまず 位 置 が 固 定 され、その 後 に2つ 目<br />

のポイントの 位 置 が 決 まります。 最 初 のポイントの 固 定 基 準 は 直 近 のオー<br />

バーサンプリンググリッド(サブピクセルグリッド)、またはアラインメン<br />

トゾーン 内 のポイントかアンカー 付 きのポイントであればピクセルグリッ<br />

ドです。ステムの 吸 着 方 針 を 変 更 するには 灰 色 のバッジをクリックし、 情<br />

報 パネルに 現 れるアイコンのいずれかをクリックします。◆hintnea は 必 ず 直 近 の<br />

グリッドの 端 に 吸 着 ( 初 期 状 態 )、◆hinttopは 必 ずピクセルの 上 端 に 吸 着 、◆hintbotは 必<br />

ずピクセルの 下 端 に 吸 着 、◆hintfreは 吸 着 しません。<br />

基 準 点 と 対 象 点 との 距 離 はフォント 情 報 のマスターのTTFStemsカス<br />

タムパラメータで 設 定 する 水 平 ステムによって 決 まります。パラメータの<br />

設 定 方 法 については「17 補 足 資 料 」(p.174)を 参 照 してください。イン<br />

ストラクションが 参 照 するステムを 変 更 するには、バッジをクリックして<br />

情 報 パネルから 他 の 任 意 のステムを 選 択 します。「ステムなし」を 選 択 する<br />

と、それぞれのポイントを 直 近 のピクセルの 端 に 単 純 に 吸 着 させるように<br />

できます。つまりステムなし 設 定 のヒントは 整 列 インストラクションと 同<br />

様 の 扱 いになります。<br />

小 文 字 o の 上 端 と 下 端 のステムにヒ<br />

ントが 配 置 された 状 態 。 下 端 ステム<br />

が 選 択 され、 情 報 パネルでTTF 用<br />

||<br />

ステムが 選 択 されています。<br />

||<br />

ステムヒントを 右 クリックまたはcontrol + クリックして「 反 転 」を 選 択 す<br />

ると、インストラクションの 方 向 が 逆 転 します。ステムインストラクショ<br />

ンの 基 準 点 は、できるだけアラインメントゾーン 内 のポイントまたは 近 い<br />

<strong>Glyphs</strong>ハンドブック2016 年 11 月 版<br />

135


ポイントに 設 定 することをお 勧 めします。セリフはステムのインストラク<br />

ションと 同 一 視 して 扱 うこともできます。<br />

大 文 字 A では、クロスバーの 両 端 の<br />

2つのステムヒントのおかげで 斜 め<br />

ステムの 角 度 が 維 持 されています。<br />

<br />

|| || <br />

クロスバーが 斜 めのアウトラインと 交 差 する 場 合 、フォント 出 力 後 はクロ<br />

スバーが 低 解 像 度 下 で 整 列 したときに 斜 め 線 の 角 度 がずれる 危 険 性 があり<br />

ますが、 水 平 ステムが 手 動 で 施 されている 部 分 に 関 しては<strong>Glyphs</strong> は 斜 め<br />

線 の 傾 きを 保 とうとします。 例 えば 大 文 字 のAやイタリック 大 文 字 のHで<br />

は、 両 端 に 手 動 インストラクションを 施 すと 斜 め 線 の 傾 きがクロスバー 周<br />

辺 で 崩 れないようになります。これは 大 文 字 A やイタリックの 大 文 字 H な<br />

どで 効 果 を 発 揮 します。<br />

11.3.6 トリプルヒント<br />

トリプルヒントを 追 加 するには、3つのステムヒントを 選 択 し( 追 加 選 択<br />

はバッジをshift+ クリック)、コンテクストメニューから「トリプルヒン<br />

ト」を 選 択 します。トリプルヒントとは 選 択 したステムの 幅 を 連 携 して 必<br />

要 に 応 じて 減 量 させるための 機 能 です。3つのステムを 収 めるための 縦 方 向<br />

のピクセルの 数 が 足 りないときに 効 果 を 表 します。すなわちカウンタース<br />

ペースの 保 持 を 優 先 させるためにTTFStemsで 定 められたステムの 幅 から<br />

通 常 算 出 されるピクセル 数 よりも 細 い 幅 のステムで 描 画 されるなどのケー<br />

スです。これは 小 文 字 のaやe、 大 文 字 のBやEなど、 縦 方 向 にステムが3<br />

つある 複 雑 な 文 字 に 対 して 便 利 です。<br />

11.3.7 補 間<br />

補 間 インストラクションを 追 加 するには、3つのポイントを 選 択 してコン<br />

テクストメニューから「 補 間 」を 選 択 します(G)。 選 択 し た 3 点 のうち2 点<br />

が 編 集 済 みである 必 要 があります。<br />

補 間 インストラクションは2つの 編 集 済 みポイントとの 位 置 関 係 に 合<br />

わせて3つ 目 のポイントの 位 置 を 調 整 します。これにより、インストラク<br />

ション 適 用 時 に3つのポイントの 位 置 関 係 が 守 られるようになります。こ<br />

<strong>Glyphs</strong>ハンドブック2016 年 11 月 版<br />

136


れは 縦 に3 重 の 構 造 がある 文 字 、 例 えばB E G K Rの 中 間 のバーの 高 さの<br />

バランスを 取 りたいときに 便 利 です。<br />

この 小 文 字 k の 例 では、 垂 直 ステム<br />

と 斜 めステムとの 交 点 の 位 置 を 補 間<br />

ヒントにより 定 めるように 設 定 して<br />

います。 基 準 となるのは 下 端 の 整 列<br />

ポイントと、アーム 上 端 のアンカー<br />

インストラクションポイントです。<br />

<br />

<br />

} <br />

11.3.8 斜 線<br />

サブピクセルレンダリングでは 赤 青 緑 のサブピクセルの 色 を 個 々に 制 御 す<br />

ることにより、 縦 ステムの 表 示 精 度 を3 倍 に 引 き 上 げることができますが、<br />

横 ステムの 太 さは1ピクセル 単 位 のままです。そのため、 斜 め 方 向 のステ<br />

ムは 水 平 ステムと 比 べて 最 大 3 分 の2ピクセル 細 すぎるか 太 すぎるように 表<br />

示 されることがあります。 斜 線 インストラクションでは、 指 定 の 水 平 ステ<br />

ムに 太 さの 変 化 を 合 わせようと 調 整 が 行 われ、 斜 めステムと 水 平 ステムの<br />

相 対 的 な 太 さの 関 係 が 守 られるようになります。 斜 線 インストラクション<br />

を 適 用 するには4つのポイントを 選 択 してコンテクストメニューから「 斜 め<br />

ステム」を 選 択 し、 情 報 パネルから 任 意 の 水 平 ステム 幅 を 指 定 します。<br />

||<br />

||<br />

<br />

<br />

<br />

このヒントは 斜 めステムが 特 徴 的 なグリフ、 例 えばk v w x y z などに 効<br />

果 的 です。<br />

<strong>Glyphs</strong>ハンドブック2016 年 11 月 版<br />

137


11.3.9 未 編 集 ポイントの 自 動 補 間<br />

残 された 未 編 集 ポイントの 位 置 は、 他 の 編 集 済 みのポイントから 自 動 的 に 補<br />

間 計 算 されます。この 自 動 補 間 は、 編 集 済 みポイントの 位 置 調 整 が 終 わっ<br />

た 後 に 実 行 されます。そのためグリフ 内 のすべてのポイントをヒンティン<br />

グしなくても 意 図 した 結 果 が 得 られるようになっています。まずは 上 端 と<br />

下 端 から 始 め、 徐 々に 内 側 に 作 業 を 移 していくようにしましょう。<br />

<strong>Glyphs</strong>ハンドブック2016 年 11 月 版<br />

138


12 マルチプルマスター<br />

12.1 概 要<br />

<strong>Glyphs</strong> ファイルは、 同 じファミリーの 複 数 スタイルをそれぞれ 個 別 のマ<br />

スターとして1つのファイルにまとめることができます。ここで 両 極 のスタ<br />

イル( 例 :LightとBold)をマスターにして、その 中 間 のスタイルを「イ<br />

ンスタンス」で 定 義 すると、2つのマスターから 自 動 的 にそのスタイルを<br />

補 間 生 成 できるようになります。この 状 態 を「マルチプルマスター 環 境 」<br />

と 呼 びます。<br />

少 ない 数 のマスターから 多 数 のイン<br />

スタンスを 補 間 、 生 成 することがで<br />

きます。この 図 では、ウエイトの 補<br />

間 軸 にある2つのマスター(Light<br />

とBold)をベースに、Thinから<br />

Heavyまでの7つのウエイトを 補 間<br />

生 成 しています。<br />

Thin<br />

Light<br />

Regular<br />

Medium<br />

Semibold<br />

Bold<br />

Heavy<br />

Tip: ローマンとイタリックは 形 が<br />

あまりにも 違 い 補 間 はできないため、<br />

同 じファイルに 格 納 するのは 避 ける<br />

方 が 賢 明 です。 詳 細 は「12.6 複 数<br />

ファイル 間 でのファミリーの 一 貫 性<br />

の 確 保 」(p.XXX)を 参 照 してくだ<br />

さい。<br />

補 間 生 成 をするには「 補 間 軸 」の 設 定 が 必 要 です。 補 間 軸 とはマスターと<br />

マスターを 結 ぶ 直 線 であり、この 直 線 上 に2つ 以 上 のマスターを 配 置 する<br />

ことでインスタンスの 補 間 生 成 が 行 われます。 補 間 軸 として 最 も 代 表 的 な<br />

のがウエイト( 例 :Light からBold)とグリフ 幅 ( 例 :Condensed から<br />

Extend)で、この2つはデフォルトで 用 意 されています。この 他 にも、 線<br />

幅 のコントラスト、セリフの 太 さ、アセンダーやディセンダーの 長 さなど、<br />

さまざまな 補 間 を 自 由 に 設 定 できるカスタム 軸 があります。<br />

マスター 同 士 の 関 係 性 は 字 幅 とウエイト、カスタムの3 軸 の 値 によっ<br />

て 定 義 されます。これらの 軸 を 組 み 合 わせることでデザインスペース(デ<br />

ザインの 補 間 範 囲 )は 直 線 だけでなく2 次 元 、3 次 元 にもなり 得 ます。また<br />

インスタンスをデザインスペース 外 に 設 置 する、 補 外 と 呼 ばれる 処 理 も 可<br />

能 です。しかし 現 実 的 には 補 間 範 囲 外 では 形 の 破 壊 が 起 こりやすく、マス<br />

ターをかなり 慎 重 に 設 計 する 必 要 があるのであまりお 勧 めしません。<br />

マスターレイヤーはそれぞれ 独 立 しています。つまり 各 レイヤーのポ<br />

イントやアンカーが 自 動 的 にリンクされるわけではなく、あるマスターを<br />

編 集 している 時 に 他 のマスターが 勝 手 に 変 更 されることはありません。し<br />

かし 最 終 的 に 補 間 をする 際 にはマスターが 正 しく 互 換 している 必 要 があり<br />

ます。 互 換 とはすべてのポイント、アンカー、そしてコンポーネントの 順<br />

<strong>Glyphs</strong>ハンドブック2016 年 11 月 版<br />

139


番 や 構 造 が 他 のマスターでも 共 通 している 状 態 です。 非 互 換 のマスターが<br />

あると 補 間 に 失 敗 し、 出 力 されたフォントのグリフが 空 白 になります。<br />

12.2 マスターのセットアップ<br />

マスターを 追 加 するには、メニューバー「ファイル > フォント 情 報 」の<br />

「マスター」タブを 表 示 し、 左 下 の+ボタンをクリックします。 詳 細 は「7.2<br />

マスター」(p.84)を 参 照 してください。「ウエイト」「グリフ 幅 」「カス<br />

タム」に 数 値 を 入 力 することで 軸 を 決 めます。 同 時 にデザインスペースも<br />

定 義 されます。<br />

ウエイト 軸 の 数 値 には、 小 文 字 n のステムの 太 さのような 値 を 使 用 するこ<br />

とをお 勧 めします。こうすることでインスタンスのステム 幅 を 決 定 しやす<br />

くなります。 次 にウエイトのポップアップメニューからマスター 名 を 選 び<br />

ます。この 名 前 は 標 準 で 用 意 されているもので、レイヤーなどに 表 示 され<br />

るマスター 名 と、メインウインドウのツールバーアイコンにのみ 影 響 する<br />

ものです。フォントの 書 き 出 しには 影 響 しません。 最 終 的 なフォントのス<br />

タイル 名 はフォント 情 報 の「インスタンス」タブで 定 義 します。<br />

もし 直 線 的 な 補 間 ではなく2 軸 、3 軸 の 補 間 もしたい 場 合 、「グリフ 幅 」<br />

や「カスタム」 軸 を 使 います。カスタム 軸 では 任 意 のマスター 名 を 定 義 で<br />

きます。マスター 名 はウエイト、 字 幅 、カスタム 軸 で 定 めた 名 前 から 作 ら<br />

れます。<br />

各 マスターの 軸 の 数 値 には 十 分 注 意 してください。 数 値 が 全 く 同 じの<br />

マスターがあるとインスタンスの 補 間 に 失 敗 してしまいます。<br />

マスターはドラッグすることで 順 番 を 変 更 できます。マスターの 順 番 は<br />

補 間 に 影 響 を 与 えませんが、 最 初 のマスターはヒンティング、カラーフォ<br />

<strong>Glyphs</strong>ハンドブック2016 年 11 月 版<br />

140


ントやマルチレイヤーフォントなどの 作 成 で 非 常 に 大 きな 影 響 を 与 えます。<br />

どれを 最 初 のマスターにするかは 慎 重 に 選 択 してください。<br />

1<strong>2.3</strong> インスタンスのセットアップ<br />

マスターに 数 値 を 与 えてデザインスペースを 確 立 したあとは、 各 インスタ<br />

ンスの 数 値 を 決 定 します。もしマスタータブで 定 めた 最 小 値 と 最 大 値 の 範<br />

囲 内 (デザインスペースの 内 側 )でインスタンスを 作 る 場 合 、そのインス<br />

タンスは「 補 間 」により 生 成 されます。マスターの 値 の 範 囲 を 超 えた 数 値<br />

を 入 力 すると 補 外 になります。インスタンスを 管 理 するにはフォント 情 報<br />

の「インスタンス」タブを 開 きます。 詳 細 は「7.3 インスタンス」(p.88)<br />

を 参 照 してください。<br />

インスタンスのスタイル 名 を 他 と 重 複 しないように 入 力 してください。 重<br />

複 があると 出 力 時 に 片 方 が 上 書 き 削 除 されます。 続 いてウエイト、グリフ<br />

幅 、カスタムの 軸 の 数 値 を 決 定 してください。これらの 数 字 はマスタータ<br />

ブで 入 力 した 各 軸 の 値 と 関 係 しています。<br />

12.4 互 換 性 の 修 正<br />

<strong>Glyphs</strong> のマルチプルマスターは、 自 動 でアウトラインの 互 換 性 を 確 保 し<br />

ようとはしません。これは 手 動 により 設 定 ・ 修 正 する 必 要 があります。 非<br />

互 換 のグリフはフォントビューの 各 グリフの 左 上 に 赤 い3 角 形 で 表 示 され、<br />

編 集 ビューでは 上 に 赤 いストライプで 表 示 されます。<br />

<strong>Glyphs</strong>ハンドブック2016 年 11 月 版<br />

141


この 例 では 大 文 字 のEがフォント<br />

ビューで 非 互 換 と 表 示 されています。<br />

グリフ 左 上 にある 赤 い3 角 形 がそれ<br />

を 示 しています。<br />

D E F<br />

フォント 制 作 中 はパスを 非 互 換 のまま 編 集 できますが、 最 終 的 に 補 間 をす<br />

る 際 には 互 換 性 のある 状 態 にしないといけません。パスの 方 向 、ポイント<br />

の 数 と 構 造 が、どのマスターでも 完 全 に 一 致 していなければならないとい<br />

うことです。<br />

編 集 ビュー 内 では、 非 互 換 のグリフ<br />

では 上 部 に 赤 いストライプがグリフ<br />

幅 いっぱいに 表 示 されます。<br />

「 表 示 > マスター 互 換 性 を 表 示 」(control + option + command + N)を<br />

選 ぶと、 各 マスターに 互 換 性 があるかどうかを 編 集 ビューで 確 認 できます。<br />

各 マスターのアウトラインが 斜 めに 並 び、 閉 じたパスにはレイヤー 内 の 順 番<br />

に 合 わせて 色 と 数 字 が 付 けられます。また、パスの 開 始 点 は 他 のマスター<br />

の 対 応 する 開 始 点 と 相 互 に 直 線 で 結 ばれます。さらに、アンカーの 対 応 関<br />

係 は 点 線 で 表 示 されます。もし 対 応 するパスやアンカーが 他 のマスターに<br />

ない 場 合 は、これらの 線 が 原 点 に 向 かって 伸 びていきます。なお、 選 択 中<br />

のポイントは 他 のマスターと 青 い 直 線 で 結 ばれて 表 示 されます。<br />

コンポーネントは 市 松 模 様 のパターンになり、レイヤー 内 の 順 番 に 合 わせ<br />

て 色 と 数 字 が 付 けられます。コンポーネントを 選 択 すると、 対 応 するコン<br />

ポーネントの 中 心 同 士 が 青 い 線 で 結 ばれます。コンポーネントが 足 りない<br />

<strong>Glyphs</strong>ハンドブック2016 年 11 月 版<br />

142


場 合 、 青 い 線 は 原 点 に 向 かって 伸 びていきます。<br />

アウトラインの 各 セグメントは 他 のマスターと 比 較 され、その 対 応 状 態 に<br />

よって 色 が 付 けられます。 赤 い 線 は 補 間 不 可 能 という 意 味 です。これは 多<br />

くの 場 合 、 曲 線 セグメントと 直 線 セグメントが 対 応 させられていることが<br />

原 因 です。 緑 の 線 は 問 題 なく 補 間 可 能 な 部 分 です。 黄 色 は 補 間 可 能 ではあ<br />

りますが、セグメントの 角 度 が 大 きく 変 わるため 注 意 が 必 要 かもしれない<br />

という 意 味 です( 例 : 垂 直 から 斜 めに 変 化 、 右 向 きの 斜 めから 左 向 きに 変<br />

化 するなど)。アウトラインの 他 の 部 分 がすべて 緑 色 であれば、 黄 色 の 線 は<br />

特 に 問 題 ないケースも 少 なくありません。しかし 黄 色 の 線 は 開 始 点 の 位 置<br />

に 問 題 がある 場 合 もあり、 思 わしくない 補 間 結 果 が 生 じるかもしれません。<br />

これは 特 に 長 方 形 のパスによく 起 こりますので 注 意 して 確 認 してください。<br />

左 のステムは 緑 色 で 表 示 され 補 間 に<br />

は 問 題 ありませんが、 上 段 と 中 段 の<br />

セリフはマスター 間 で 順 番 が 入 れ 替<br />

わってしまっており、セグメントが<br />

赤 と 黄 色 で 表 示 されています。<br />

補 間 生 成 で 使 用 する 各 マスターは、すべてのパス、ポイント、コンポーネ<br />

ント、アンカーが 互 換 していなければいけません。 逆 に 言 えば、 補 間 に 関<br />

わらないマスターの 互 換 性 は 気 にする 必 要 がありませんし<strong>Glyphs</strong> も 警 告<br />

を 出 しません。<br />

もしパスが 互 換 していない 場 合 、まずは「パス > パス 方 向 を 修 正 」<br />

(shift+command+R)、またはoptionを 押 しながら「パス > 全 マスター<br />

のパス 方 向 を 修 正 」(option + shift+command + R)を 実 行 してみると<br />

よいでしょう。<strong>Glyphs</strong> はパスの 順 番 を 整 理 し、 開 始 点 を 設 定 し 直 し、パ<br />

ス 方 向 を 修 正 しようと 試 みます。もしポイントの 数 がすべてのマスターで<br />

同 じでない 場 合 、ペンツール(P)でポイントをパス 上 に 追 加 したり、 選<br />

択 ツール(V)でポイントを 選 択 して 削 除 したりします。<br />

<strong>Glyphs</strong>ハンドブック2016 年 11 月 版<br />

143


コンポーネントグリフを 標 準 レシピから 再 生 成 したい 場 合 は「グリフ<br />

> コンポーネントグリフを 生 成 」(option + shift+command + C)を 実 行<br />

します。もし 標 準 以 外 のコンポーネントを 使 っている 場 合 は、コンポーネ<br />

ントをすべて 選 択 し 他 のマスターにコピー&ペーストします。 詳 細 は「8.1<br />

コンポーネント」(p.97)を 参 照 してください。<br />

パスやコンポーネントの 順 番 を 変 更 するには、「フィルタ > マスター<br />

互 換 性 を 手 動 修 正 」を 実 行 し、 表 示 されるウインドウ 内 でドラッグして 並<br />

び 替 えてください。 詳 細 は「5.2.1 マスター 互 換 性 を 手 動 修 正 」(p.54)<br />

を 参 照 してください。 開 始 点 を 手 動 で 設 定 するには 任 意 のポイント 上 でコ<br />

ンテクストメニューを 表 示 して「 開 始 点 の 設 定 」を 選 択 します。<br />

アンカーの 不 一 致 が 起 きている 場 合 は、「グリフ > アンカーを 自 動 設<br />

置 」( command + U)を 実 行 し、 標 準 で 設 置 されるべきアンカーをすべ<br />

て 設 置 してみましょう。option を 押 しながらで「グリフ > アンカーをリ<br />

セット」(option + command + U)を 実 行 すると、 現 在 置 かれているア<br />

ンカーが 全 削 除 され、 標 準 で 設 置 されるべきアンカーが 設 置 されます。<br />

マスター 互 換 性 は 他 の 表 示 方 法 でも 確 認 できます。「 環 境 設 定 ... > ユー<br />

ザー 設 定 」の「マスター 互 換 性 をずらし 表 示 」のチェックをOFF にすると<br />

表 示 方 法 が 変 わります。このモードではパスとコンポーネントは 色 付 けさ<br />

れませんが、 数 字 は 開 始 点 の 位 置 に 表 示 されます。さらに 各 マスターの 位<br />

置 が 斜 めに 並 ばず 元 の 位 置 に 揃 うので、デザインの 細 かな 差 を 比 較 しやす<br />

くなります。<br />

12.5 マスターレイヤーの 比 較<br />

マルチプルマスター 環 境 では、 各 マスターレイヤーの 表 示 を 頻 繁 に 切 り 替<br />

えて 比 較 することになります。その 際 、ツールバーにあるマスターのアイ<br />

コンをクリックするか、command + 1、command + 2…のようにマス<br />

ターの 番 号 に 対 応 するショートカットを 利 用 すると 表 示 の 切 り 替 えが 素 早<br />

くできます。この 操 作 では 全 グリフの 表 示 が 切 り 替 わります。<br />

<strong>Glyphs</strong>ハンドブック2016 年 11 月 版<br />

144


「ウインドウ > パレット」(option + command + P)で 表 示 されるパレッ<br />

トのレイヤーリストでは、テキストツールなどで 選 択 したグリフの 全 レイ<br />

ヤーが 表 示 されます。マスターレイヤーは 太 字 で 表 示 されます。 任 意 のレ<br />

イヤーをマウスクリックでリスト 選 択 すると、 該 当 グリフはそのレイヤー<br />

で 表 示 されます。 複 数 のグリフが 選 択 された 状 態 でマスターレイヤーをマ<br />

ウスクリックすると、そのマスターで 表 示 されます。これは 各 マスターを<br />

隣 同 士 に 並 べて 比 較 したいときに 便 利 です。<br />

すべてのマスターレイヤーを 隣 同 士 に 並 べたい 場 合 は、「 編 集 > すべての<br />

マスターを 表 示 」を 実 行 します。このモードではブレースレイヤーやブラ<br />

ケットレイヤーを 表 示 しません。<br />

レイヤーリストの 目 玉 アイコンをクリックすると、そのレイヤーのア<br />

ウトラインが 灰 色 で 表 示 されます。<br />

12.6 複 数 ファイル 間 でのファミリーの 一 貫 性 の 確 保<br />

フォントファミリーを 複 数 の<strong>Glyphs</strong> ファイルまで 拡 充 するときは( 例 :<br />

ローマンのマルチプルマスターとイタリックのマルチプルマスター)、フォ<br />

ント 情 報 の「フォント」タブにあるファミリー 名 を 完 全 に 一 致 させてくだ<br />

さい。この 箇 所 のファミリー 名 を 変 更 したくない 場 合 、カスタムパラメー<br />

タ「familyName」を 設 定 すれば、フォント 書 き 出 し 時 にファミリー 名 を<br />

変 更 できます。この 設 定 はインスタンス 単 位 でも 可 能 です。 詳 細 は「17.3<br />

カスタムパラメータ」(p.184)を 参 照 してください。イタリック 体 はつね<br />

に 対 応 するウエイトのローマン( 正 立 体 )と「インスタンス」タブでスタ<br />

<strong>Glyphs</strong>ハンドブック2016 年 11 月 版<br />

145


イルリンクしておかなければいけませんが、ボールドイタリックはこの 限<br />

りではありません。 詳 細 は「7.3.4 スタイルリンク」(p.90)を 参 照 して<br />

ください。<br />

ファイル 間 でグリフの 状 況 とメトリクスを 確 認 するには、 該 当 する 複<br />

数 のファイルを 開 いて、「 編 集 > フォントを 比 較 ...」を 選 んでください。グ<br />

リフ 数 、 互 いに 不 足 しているグリフ、 左 右 サイドベアリング、そしてグリ<br />

フ 幅 をマスター 別 にまとめた 表 が 表 示 されます。 不 足 しているグリフを 補<br />

いたい 場 合 は 表 からグリフ 名 をコピーし、メニューバー「フォント > グリ<br />

フを 追 加 ...」で 表 示 されるダイアログにペーストしてください。<br />

12.7 ブレースレイヤー<br />

レイヤー 名 にブレース( 波 括 弧 { } )が 含 まれていて、その 括 弧 内 にマル<br />

チプルマスターの 補 間 値 が 記 されている 場 合 、このレイヤーは「ブレース<br />

レイヤー」と 呼 ばれ 特 殊 な 扱 いを 受 けます。ブレースレイヤー 内 にあるパ<br />

ス、コンポーネント、アンカーの 内 容 はそのグリフの 中 間 マスターとして<br />

機 能 します。レイヤー 名 のブレース 内 にはウエイト 軸 を 使 った1つの 数 字 だ<br />

けでなく、 字 幅 やカスタム 軸 まで 使 った3つの 数 字 まで 入 力 できます(こ<br />

の 際 、 数 字 はコンマ 区 切 りで 入 力 してください)。ブレースレイヤーは 補 間<br />

の 途 中 のデザインを 微 調 整 するのに 便 利 で、 特 にe やsなど 構 造 が 複 雑 な<br />

グリフに 効 果 を 発 揮 します。<br />

上 :ブレースレイヤーなし。<br />

下 : 中 間 にブレースレイヤーあり。<br />

クロスバーの 太 さの 変 化 に 注 目 して<br />

ください。 上 の 行 のサンプルでは 直<br />

線 的 な 補 間 のため、 中 間 のウエイト<br />

でクロスバーの 太 さが 足 りません。<br />

このような 場 合 にクロスバーの 太 さ<br />

が 調 整 されたブレースレイヤーが 便<br />

利 です。<br />

ブレースレイヤーを 追 加 するには、パレットのレイヤーのリストからマス<br />

ターレイヤーを 複 製 します。デザインスペースの 軸 がウエイトのみの 場 合<br />

は 例 えば{100}と 入 力 し、それ 以 外 にも 軸 がある 場 合 は{100, 90}、{100,<br />

90, 80} などと 入 力 してください。 括 弧 内 のそれぞれの 数 字 はマルチプル<br />

マスターのウエイト、 字 幅 、カスタム 軸 の 補 間 値 に 対 応 しています。 名 前<br />

を 正 しく 設 定 した 後 は◆cog◆ボタンメニューから「 再 補 間 」を 選 びます。 次 に<br />

補 間 して 得 られたブレースレイヤーのアウトラインを 編 集 します。ウイン<br />

ドウ 下 のプレビューでインスタンスを 表 示 させている 場 合 、 編 集 した 結 果<br />

はすぐに 反 映 されます。<br />

12.8 ブラケットレイヤー<br />

ブラケットレイヤーとはレイヤーの 名 前 がマスター 名 で 始 まり、スペース<br />

<strong>Glyphs</strong>ハンドブック2016 年 11 月 版<br />

146


とブラケット( 角 括 弧 [ ])が 続 き、その 括 弧 内 に 数 字 が1つだけ 記 されてい<br />

るレイヤーのことで、ブレースレイヤーと 同 様 に 特 殊 な 挙 動 をします。ブ<br />

ラケットレイヤーは、 括 弧 内 に 記 された 補 間 値 からマスターと 入 れ 替 わり<br />

ます。 例 えばBold [130]という 名 前 のレイヤーがあると、ウエイトの 補 間<br />

値 が130 以 上 の 場 合 はそのレイヤーがマスターとして 機 能 するようになり<br />

ます。ブラケットレイヤーによるデザイン 変 更 は 一 度 とは 限 らず、 複 数 レ<br />

イヤーを 与 えて 複 数 回 変 更 することもできます。 複 数 のマスターを 同 時 に<br />

切 り 替 えることもできます( 例 :Light [100]とBold [100])。 補 間 軸 が2<br />

つあるマスターでは、コンマ 区 切 りで2つ 目 の 軸 の 補 間 値 を 入 力 できます<br />

( 例 :Bold [100,300] レイヤーはウエイト 値 が100、 字 幅 値 が300を 超 え<br />

たときに 使 用 されます。)<br />

ブラケットレイヤーは 細 いウエイトと 太 いウエイトで 全 く 構 造 の 異 な<br />

るデザインを 両 立 させたいときに 便 利 な 機 能 です。これの 一 般 的 な 例 はド<br />

ル 記 号 の 縦 棒 です。ウエイトが 太 くなるほど 縦 棒 を 収 めるのが 難 しくなっ<br />

てくるため、 多 くのデザイナーは 太 い 方 のウエイトで 縦 棒 の 貫 通 をやめて<br />

上 下 に 付 けるだけのデザインに 切 り 替 えます。この 場 合 、 貫 通 している 方<br />

のデザインをLightとBold の 両 方 のマスターに 格 納 し、 途 切 れている 方 の<br />

デザインをそれぞれLight [100]、Bold [100] のようにレイヤー 名 を 設 定<br />

して 用 意 します。<br />

$$$$$$$<br />

また 他 の 方 法 として、 独 立 したオルタネートのグリフを 用 意 し、フォント<br />

出 力 時 に 入 れ 替 えることもできます( 例 :dollarとdollar.bold)。オルタ<br />

ネートグリフをインスタンスのRename <strong>Glyphs</strong>カスタムパラメータで 名<br />

前 を 上 書 き 変 更 し、 他 のインスタンスではRemove <strong>Glyphs</strong>カスタムパラ<br />

メータを 使 ってオルタネートの 方 を 削 除 します。 例 えばボールド 用 にのみ 使<br />

うdollarのデザインdollar.boldを、ボールドのインスタンスにRename<br />

<strong>Glyphs</strong>でdollarに 改 名 します。 他 のインスタンスではRemove <strong>Glyphs</strong><br />

でdollar.bold をフォントから 削 除 するように 設 定 します。この 方 法 だと<br />

すべてのデザイン 変 更 がグリフとしてフォントビューに 現 れて 見 落 としを<br />

防 げるため、こちらを 好 むデザイナーもいます。<br />

12.9 開 いたブラケットレイヤー<br />

角 括 弧 の 向 きがどちらも 同 じになっているブラケットレイヤー( 例 :Bold<br />

]100])はまた 別 の 種 類 のブラケットレイヤーです。これは 通 常 のブラケッ<br />

トレイヤーととても 似 た 働 きをしますが、 影 響 範 囲 が 入 れ 替 わり、 括 弧 内<br />

<strong>Glyphs</strong>ハンドブック2016 年 11 月 版<br />

147


の 補 間 値 「までは」そのレイヤーがマスターとして 使 用 されます。このレ<br />

イヤーの 利 点 は、フォントビューで 常 に 正 しいマスターが 表 示 できること<br />

です(Lightでは 縦 棒 の 繋 がったバージョンのdollar、Bold では 途 切 れた<br />

バージョンが 表 示 できる)。<br />

<strong>Glyphs</strong>ハンドブック2016 年 11 月 版<br />

148


13 カラーフォント<br />

<strong>Glyphs</strong>はカラーフォントの 効 率 的 な 編 集 、プレビュー、 出 力 をサポートし<br />

ています。 対 応 しているカラーフォントは「 伝 統 的 な 手 法 の 複 数 レイヤー<br />

フォント」「Microsoft 方 式 のCPALとCOLR テーブルを 使 ったフォント」<br />

「Apple 方 式 のsbixテーブルを 使 ったフォント」「Mozilla/Adobe 方 式 の<br />

SVG テーブルを 使 ったフォント」の4 種 類 です。どの 方 式 でも、 従 属 レイ<br />

ヤーにグラフィック 要 素 を 配 置 する 点 で 共 通 しています。<br />

13.1 複 数 レイヤーでの 作 業<br />

13.1.1 全 レイヤー 選 択 ツール<br />

複 数 レイヤーのベクトルデータを 編 集 するには、 全 レイヤー 選 択 ツールが<br />

便 利 です。これは 選 択 ツール(V)と 同 様 の 働 きをしますが、 表 示 中 のすべ<br />

てのレイヤーを 編 集 できる 点 が 違 います。 全 レイヤー 選 択 ツールと 通 常 の<br />

選 択 ツールは 選 択 ツールボタンを 押 したままにしてポップアップメニュー<br />

を 表 示 するか、shift+V キーで 切 り 替 えられます。<br />

13.1.2 メトリクスの 同 期<br />

カラーフォントでは、 様 々な 内 容 の 異 なるすべてのレイヤー 間 でグリフ 幅 だ<br />

けでなくカーニングも 統 一 されてなければいけません。すべてのマスター<br />

とカラーレイヤーを 最 初 のマスターのメトリクスと 同 期 させるには、フォ<br />

ント 情 報 の「マスター」タブでLink Metrics With First Masterカスタ<br />

ムパラメータを 設 定 してください。<br />

13.1.3 カラーフォントの 出 力<br />

すべてのカラーフォントは 普 通 のOpenType フォントです。これらは<br />

<strong>Glyphs</strong>が 出 力 するどの 形 式 のOpenTypeフォントでも 機 能 します(OTF/<br />

CFF、TTF、WOFF、WOFF2、EOT)。しかし、カラーフォントが 表 示 され<br />

るのは、それに 対 応 している 環 境 のみです。 例 えば、 複 数 レイヤーフォン<br />

トは、DTP ソフトのように 複 数 のテキストを 重 ねて 配 置 可 能 なアプリケー<br />

ションでしか 使 用 できません。そのためこの 形 式 はテキストエディットや<br />

Microsoft Wordなどで 利 用 しても、 望 むような 表 示 はかなり 困 難 だった<br />

り、まったく 不 可 能 だったりします。<br />

13.2 複 数 レイヤーフォント<br />

複 数 レイヤーのカラーフォントは、 単 純 にレイヤーごとに 別 々に 出 力 した 複<br />

数 のフォントで 構 成 されていて、 各 フォントをアプリケーション 上 でぴっ<br />

たり 重 ね、 文 字 を 着 色 して 使 うものです。そのため、 使 用 を 想 定 するアプ<br />

リケーションはテキストの 重 ね 表 示 に 対 応 している 必 要 があります。<br />

<strong>Glyphs</strong>ハンドブック2016 年 11 月 版<br />

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13.2.1 マスターのカスタム 名 とプレビュー 色<br />

まずは 必 要 な 色 数 の 分 だけ、「ファイル > フォント 情 報 」でマスターを 追<br />

加 してください。マスターの 名 前 は、カスタム 欄 のテキストフィールドに<br />

文 字 入 力 することで 任 意 に 設 定 できます。また、カスタム 欄 の 数 値 につい<br />

ては、 各 マスターに 固 有 の 値 を 与 える 必 要 があります。 例 えば 最 初 のマス<br />

ターのカスタム 名 がFront で 値 が1、 次 がSide で 値 が2といった 具 合 です。<br />

マスターにプレビュー 色 を 設 定 するには、 各 マスターのカスタムパラ<br />

メータにMaster Color を 追 加 します。 値 の 箇 所 をクリックするとカラー<br />

ピッカーが 表 示 されるので、そこで 色 を 設 定 してください。この 色 は<strong>Glyphs</strong><br />

内 のプレビュー 色 のためだけに 使 われ、 出 力 されるフォントには 一 切 影 響<br />

を 与 えません。<br />

13.2.2 すべてのマスター 用 のインスタンス<br />

各 色 のレイヤーをフォントファイルとして 出 力 するには、フォント 情 報 の<br />

「インスタンス」タブで 左 下 の+ボタンをクリックし、「 全 マスターをイン<br />

スタンスとして 追 加 」を 選 択 してください。<strong>Glyphs</strong> はマスターと 同 名 で<br />

同 じ 補 間 値 のインスタンスを 追 加 します。<br />

13.<strong>2.3</strong> 複 数 レイヤーフォントのプレビューと 使 用<br />

通 常 のマルチプルマスターファイルと 同 様 、 各 マスターへの 切 り 替 えはア<br />

イコンまたはキーボードショートカットで 行 います。 複 数 のマスターを 編<br />

集 ビューで 同 時 にプレビューするには、テキストツール(T)に 切 り 替 え<br />

るかスペースバーを 一 時 的 に 押 したままにしてください。パレットのレイ<br />

ヤーのセクション(の 目 玉 アイコン)で 非 表 示 にされていなければ、 各 マ<br />

スターのオブジェクトはMaster Color カスタムパラメータで 設 定 された<br />

色 で 表 示 されます。レイヤーの 表 示 状 態 の 切 り 替 えについての 詳 細 は「4.4<br />

レイヤー」(p.49)を 参 照 してください。<br />

複 数 レイヤーフォントのユーザーはAdobe Illustratorなどを 利 用 す<br />

るであろうことに 留 意 してください。Illustratorでは、テキストボックス<br />

からのベースラインの 距 離 はフォント 内 の 小 文 字 のd の 高 さで 決 まります。<br />

別 の 言 い 方 をすると、 小 文 字 のd の 最 高 点 がテキストボックスの 上 端 に 整<br />

列 するようになっています。すべてのカラーレイヤーの 小 文 字 のd が 完 全<br />

に 統 一 されるというのはデザイン 上 可 能 性 が 低 いため、Illustratorでは 複<br />

数 のレイヤーの 位 置 を 合 わせるのがとても 困 難 になるでしょう。この 問 題<br />

を 回 避 するには、Illustratorのユーザーに「 書 式 > エリア 内 文 字 オプショ<br />

ン… > オフセット」で「1 行 目 のベースライン」を「 仮 想 ボディの 高 さ」<br />

または「 固 定 」に 切 り 替 えるようお 願 いするとよいでしょう。またすべて<br />

のレイヤーの 小 文 字 d の 同 じ 位 置 ( 他 のすべてのパスよりも 高 い 位 置 )に<br />

微 小 なサイズのパス(1×1ユニットの 正 方 形 など)を 描 く 方 法 もあります。<br />

<strong>Glyphs</strong>ハンドブック2016 年 11 月 版<br />

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複 数 レイヤーフォントをAdobe<br />

Illustrator( 欧 米 版 )の 初 期 状 態 の<br />

ベースラインオフセットで 表 示 した<br />

場 合 ( 上 )と、「 仮 想 ボディの 高 さ」<br />

に 変 更 した 場 合 ( 下 )。<br />

layered<br />

layered<br />

13.3 Microsoftカラーフォント<br />

Microsoft 方 式 のカラーフォントは、CPAL(color palette)とCOLR<br />

(color)の2つのテーブルが 追 加 されたフォントです。CPAL テーブルは<br />

フォントで 使 用 される 色 のリストで、COLR テーブルはどのアウトライン<br />

にどの 色 が 適 用 されるのかを 記 述 します。このテーブルを 利 用 できるのは<br />

Windows 8.1 以 降 で、さらにアプリケーション 側 でも 対 応 している 必 要<br />

があります。<br />

13.3.1 CPAL テーブル<br />

カラーパレットを 設 定 するには、フォント 情 報 の「マスター」タブでColor<br />

Palettes カスタムパラメータを 追 加 します。 値 の 箇 所 をクリックしてカ<br />

ラーパレット 設 定 ダイアログを 呼 び 出 してください。1 行 につき1 色 、1 列<br />

につき1パレットが 設 定 できます。 表 の 左 端 の 列 には0から 始 まるカラーイ<br />

ンデックスが 表 示 されています。<br />

ダイアログ 内 では + ボタンをクリックして 新 しい 色 を 追 加 、-ボタン<br />

で 色 を 削 除 します。 色 を 編 集 するには 色 をクリックして 選 択 し、もう 一 度<br />

クリックするか、またはダブルクリックします。するとシステム 標 準 のカ<br />

ラーピッカーが 現 れますので、 任 意 の 色 を 選 んでください。<br />

◆cog◆ボタンではパレットを 追 加 または 削 除 できます。 追 加 のパレットは<br />

暗 い 背 景 用 など、カラーバリエーションを 追 加 したいときに 便 利 になるか<br />

もしれません。しかし<strong>Glyphs</strong> は 最 初 のパレットしかプレビューできませ<br />

んし、この 間 ハンドブックの 執 筆 段 階 では2つ 目 以 降 のパレットにアクセ<br />

ス 可 能 なソフトウェアの 存 在 は 知 られていません。<br />

色 の 設 定 が 終 わったらOK ボタンを 押 して 決 定 します。するとパレッ<br />

トがフォントに 追 加 されます。<br />

<strong>Glyphs</strong>ハンドブック2016 年 11 月 版<br />

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13.3.2 カラーレイヤーの 作 成<br />

カラーパレットで 決 定 した 色 を 適 用 するには、「Color 数 字 」の 書 式 で 従 属<br />

レイヤーを 追 加 します( 例 :3 色 目 のレイヤーはColor 2)。このように 命<br />

名 されたレイヤーには 右 にカラーマーカーが 現 れます。 従 属 レイヤーとカ<br />

ラーパレットの 対 応 を 変 更 するには、レイヤー 名 を 入 力 し 直 すか、カラー<br />

マーカーをクリックして 表 示 される 一 覧 から 選 択 します。<br />

13.4 Appleカラーフォント<br />

Appleのカラーフォントは 複 数 の 異 なるサイズのビットマップ 画 像 を 保 管 す<br />

るsbixというテーブルを 採 用 しています。sbixテーブルは 現 在 OS X 10.7<br />

以 降 またはiOSでのみサポートされています。sbixの 機 能 のなかにはOSX<br />

10.9 以 降 またはiOS7 以 降 でのみ 動 作 するものもあります。 現 在 、sbixテー<br />

ブルを 抱 えたフォントはAdobe アプリケーションやWindowsでは 表 示 で<br />

きません。sbixについての 技 術 的 な 詳 細 は 以 下 のページで 参 照 できます:<br />

developer.apple.com/fonts/TrueType-Reference-Manual/<br />

RM06/Chap6sbix.html<br />

<strong>Glyphs</strong>ハンドブック2016 年 11 月 版<br />

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13.4.1 ビットマップ 画 像 ファイル<br />

<strong>Glyphs</strong> は 画 像 編 集 ソフトではないため、 画 像 ファイル 自 体 はプレビュー、<br />

Pixelmator、またはPhotoshopなど 他 のアプリケーションで 用 意 してく<br />

ださい。また<strong>Glyphs</strong>ファイル 内 には 相 対 パスのみが 保 存 されることに 注 意<br />

してください。そのため 画 像 ファイルは<strong>Glyphs</strong> ファイルとなるべく 近 い<br />

階 層 に 保 存 することをお 勧 めします。またリンク 切 れを 防 ぐため、<strong>Glyphs</strong><br />

ファイルを 移 動 する 際 は 必 ず 画 像 ファイルまたはフォルダも 同 時 に 移 動 す<br />

るようにしてください。<br />

画 像 ファイル 形 式 は、PNG、JPEG、TIFF がサポートされています。<br />

PNGの 透 過 もサポートされています。 仕 様 によればPDF もサポートされて<br />

いるはずですが、このハンドブックの 執 筆 時 点 ではPDF 入 りのカラーフォ<br />

ントを 実 際 に 表 示 できるアプリケーションの 存 在 は 知 られていません。<br />

画 像 ファイルは1つだけでも 可 能 ですが、フォントサイズごとに 最 適<br />

化 した 複 数 の 画 像 ファイルを 扱 うこともできます( 例 :24ピクセル 用 、48<br />

ピクセル 用 、512ピクセル 用 )。この 場 合 は、フォント 内 のすべてのグリフ<br />

に 対 して 各 サイズ 用 の 画 像 をすべて 用 意 してください。このフォントを 使<br />

用 できるアプリケーションは、 文 字 サイズに 合 わせて 自 動 的 に 適 切 な 画 像<br />

を 表 示 します。<br />

13.4.2 画 像 サイズごとのレイヤー<br />

画 像 ファイルをグリフに 配 置 するには、 従 属 レイヤーを 追 加 し、レイヤー<br />

名 を「iColor サイズの 数 字 」にしてください( 例 :48ピクセル 用 画 像 の<br />

レイヤー 名 はiColor 48、512ピクセル 用 はiColor 512)。そして、 各 レイ<br />

ヤーにFinderから 画 像 をドラッグ&ドロップします。また、メニューバー<br />

「グリフ > 画 像 を 追 加 」で 表 示 されるダイアログでも 配 置 できます。<br />

画 像 が 配 置 されればiColorレイヤーは 完 成 です。 画 像 のグリフ 内 での<br />

位 置 や 拡 大 率 は 一 切 無 視 されますので、 原 点 の 近 くあたりにでも 置 いてお<br />

けば 十 分 です。 画 像 が 表 示 される 際 には、 目 標 のピクセルサイズに 合 わせ<br />

て 拡 大 縮 小 され、 画 像 の 位 置 はベースラインから15%ほど 下 に 移 動 されま<br />

す。グリフ 幅 は 画 像 サイズではなく、グリフに 設 定 した 数 値 の 方 が 使 われ<br />

ます。マスターレイヤーには 通 常 のアウトラインを 格 納 できます。アウト<br />

ラインは 通 常 、 拡 大 縮 小 後 の 画 像 の 上 に 重 ねて 表 示 されます。<br />

sbix 用 の 画 像 を 含 むグリフは、 必 ずiColorレイヤーがすべて 一 致 する<br />

ようにしてください。 例 えば、iColor 64、iColor 256、iColor 512の3<br />

つのレイヤーをあるグリフで 使 用 することにしたら、 他 のカラーグリフも<br />

すべて 同 じ 数 のiColorレイヤーで、 数 字 も 同 じになるようにしなければい<br />

けません(そして 画 像 も 配 置 されている 必 要 があります)。<br />

13.4.3 Apple カラーフォントの 使 用<br />

sbixテーブルはOpenTypeフォントならどの 種 類 にも(OTF、TTF、WOFF、<br />

<strong>Glyphs</strong>ハンドブック2016 年 11 月 版<br />

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WOFF2、EOT) 格 納 できる 仕 様 なのですが、 現 時 点 ではMac OSX 10.10<br />

以 降 のSafari とSafari 上 でサポートされているフォント(OTF、TTF、<br />

WOFF)でのみ 使 用 できます。それ 以 前 のSafari では、マシンにインス<br />

トールされたOTF またはTTF フォントでしか 使 えません。ただしインス<br />

トールさえされていれば、テキストエディットなどブラウザ 以 外 のCore<br />

Textエンジンを 使 用 したアプリケーションでも 使 用 できます。<br />

13.5 SVG カラーフォント<br />

SVG カラーフォントはSVG 形 式 のWeb フォント( 拡 張 子 が.svg また<br />

は.svgzのフォント)とは 別 物 です。 後 者 は<strong>Glyphs</strong>ではサポートしていませ<br />

ん。SVG カラーフォントは、SVG テーブルにSVG を 埋 め 込 んだOpenType<br />

フォントであり、OpenType 内 のSVG テーブルを 使 用 することでその 機<br />

能 を 実 現 しています。Mozilla が 標 準 のカラーフォント 規 格 として 提 唱<br />

仕 様 はこちらで 参 照 してください:<br />

w3.org/community/<br />

svgopentype/<br />

し、Adobe がサポートを 表 明 しているため、「SVG 内 蔵 OpenType」や<br />

「Mozilla/Adobe 式 カラーフォント」と 呼 ばれることもあります。<br />

SVG カラーフォントが 他 の 方 式 と 違 うのはアニメーションをサポート<br />

している 点 です。 現 時 点 ではFirefox 26 以 降 のバージョンでのみSVG カ<br />

ラーフォントがサポートされています。<br />

13.5.1 SVG ファイル<br />

SVG ファイルは 別 のアプリケーションで 作 成 してください。<strong>Glyphs</strong> ファ<br />

イルに 配 置 すると、SVG 内 の1ピクセルまたは1ポイントが1ユニットに 相<br />

当 するよう 自 動 的 に 拡 大 縮 小 されます。SVG ファイルの 寸 法 は、エラー 回<br />

避 とフォントファイルのサイズ 抑 制 ため、 適 切 なものにしておきましょう。<br />

配 置 後 も 寸 法 はUPM( 通 常 1000)やフォントのデザインとして 決 めた 高<br />

さ( 例 :キャップハイト)を 超 えないようにしてください。<br />

13.5.2 SVG レイヤー<br />

SVG ファイルを<strong>Glyphs</strong> ファイルに 配 置 するには、 従 属 レイヤーを 追 加 し、<br />

レイヤー 名 を「svg」にしてください。そのレイヤーにFinder からSVG<br />

ファイルをドラッグ&ドロップします。また、メニューバー「グリフ > 画<br />

像 を 追 加 」で 表 示 されるダイアログでも 配 置 することが 可 能 です。 配 置 する<br />

とユニット 単 位 に 合 わせて 自 動 的 に 拡 大 縮 小 されます。サイズを 調 整 する<br />

には、 情 報 パネルで 数 値 を 変 更 するか、バウンディングボックスをドラッ<br />

グします。 位 置 の 移 動 も 可 能 です。<br />

13.5.3 SVG カラーフォントの 使 用<br />

「svg」レイヤーを 含 むグリフができたら( 数 は 不 問 )、なるべくWOFF ま<br />

たはFireFox 用 にWOFF2 形 式 のOpenTypeを 出 力 してください。<strong>Glyphs</strong><br />

は 配 置 されたSVG ファイルに 合 わせたSVG テーブルをフォントに 追 加 し<br />

<strong>Glyphs</strong>ハンドブック2016 年 11 月 版<br />

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ます。 移 動 や 拡 大 縮 小 がされたSVG には「transform」 属 性 が 追 加 され、<br />

そこに 変 形 情 報 が 格 納 されます。<br />

アニメーションSVG も 格 納 できますが、たとえ 単 純 なアニメーション<br />

であってもCPUに 非 常 に 大 きな 負 荷 をかけますので 注 意 してください。<br />

<strong>Glyphs</strong>ハンドブック2016 年 11 月 版<br />

155


14 エラー 対 処<br />

14.1 グリフ 名<br />

フォント 出 力 時 に 起 きるエラーの 原 因 で 最 も 多 いのがグリフ 名 の 不 備 です。<br />

すべてのグリフ 名 が 以 下 の 条 件 を 満 たしていることを 確 認 してください。<br />

・A ~Z、a ~z、 数 字 、アンダースコア(_)、ハイフン(-)、ピリオド<br />

のみを 使 っている。<br />

・ 文 字 で 始 まる(A ~Z、a ~z)。ただし.notdefと.nullだけは 例 外 。ス<br />

マートコンポーネントなどアンダースコアで 始 まるグリフは 出 力 時 に<br />

含 まれない 限 りは 問 題 ない。<br />

・ 空 白 文 字 (スペース、タブ、 改 行 )を 使 っていない。 特 にグリフ 名 の<br />

末 尾 にある 場 合 は 見 落 としやすいので 注 意 。<br />

・ASCII 文 字 以 外 (á è ß ü や 平 仮 名 、 漢 字 など)を 使 っていない。<br />

これらを 満 たさない 場 合 はフォント 出 力 時 に、グリフ 名 に 関 するエラー<br />

メッセージが、その 詳 細 とともに 表 示 されます( 例 :グリフ 名 にスペース<br />

は 使 えません)。このようなエラーメッセージはフォント 情 報 の「フィー<br />

チャー」タブでOpenTypeフィーチャーのコードをコンパイルするときに<br />

も 表 示 されます。<br />

スペースなど 禁 止 されている 文 字 を 使 っているグリフを 探 したい 場 合<br />

は、フォントビュー 右 下 の 検 索 フィールド(command + F)でそれらの<br />

文 字 を 検 索 してください。<br />

14.2 フォント 名<br />

エラー 内 容 がPOSIXパ ス( 例 :/Users/ユーザー 名 /Library/Application<br />

Support/<strong>Glyphs</strong>/Temp/フォント 名 /FontMenuNameDB)で 記 述 され<br />

た「FontMenuNameDB」というファイルに 言 及 している 場 合 、フォン<br />

ト 名 やスタイル 名 に 問 題 があるのかもしれません。ここではスペースを 使<br />

えますが、 非 ASCII 文 字 は 使 えません。<br />

ASCII 文 字 以 外 を 使 う 場 合 は、localizedFontName カスタムパ<br />

ラメータを 設 定 してください。 詳 細 は「17.3 カスタムパラメータ」<br />

(p.184)を 参 照 してください。スタイル 名 に 非 ASCII 文 字 を 使 う 場 合 は<br />

localizedStyleNameカスタムパラメータを 設 定 します。<br />

<strong>Glyphs</strong>ハンドブック2016 年 11 月 版<br />

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Tip: もし 二 つの 異 なるコードポイ<br />

ントから 一 つのグリフにアクセスし<br />

たい 場 合 は、 単 純 に 二 つグリフを 用<br />

意 したほうがベターです。<br />

14.3 Unicode 値 の 重 複<br />

既 存 のフォントには 間 違 って 同 じUnicode 値 を 持 った 複 数 のグリフが 存<br />

在 する 場 合 があります。このようにダブルエンコーディングされたフォン<br />

トを 読 み 込 む 際 、<strong>Glyphs</strong> は 警 告 を 出 します。すべてのグリフを 選 択 して<br />

「フォント > グリフ 情 報 を 更 新 」を 選 ぶと 多 くの 場 合 は 解 消 できます。<br />

また 逆 に、 単 体 のグリフが2つのUnicode 値 を 持 っているフォントを<br />

読 み 込 む 場 合 は、<strong>Glyphs</strong> はグリフ 名 から 判 別 して 自 動 的 にこれを 解 消 し<br />

ます。この 問 題 は 特 にギリシャ 文 字 の 大 文 字 デルタΔとオメガΩによく 起 こ<br />

ります。ΔはU + 3094(グリフ 名 Delta)であるべきですが、 数 学 のラプ<br />

ラス 作 用 素 の 記 号 U + 2206(グリフ 名 increment)になっていることが<br />

あります。ΩはU + 03A9(グリフ 名 Omega)であるべきですが、オーム<br />

の 記 号 U + 2126(グリフ 名 Ohm)が 割 り 当 てられている 場 合 があります。<br />

14.4 OpenTypeのフィーチャーコード<br />

フォント 書 き 出 し 時 にOpenTypeフィーチャー 関 連 のエラーが 発 生 した 場<br />

合 、もし 作 業 中 のフォントのOpenType フィーチャーが 完 全 に 自 動 生 成<br />

機 能 のみで 作 られていれば、フォント 情 報 の「フィーチャー」タブの「 自<br />

動 」と「コンパイル」ボタンをクリックすることで 再 生 成 して 解 消 するこ<br />

とができます。<br />

<strong>Glyphs</strong>はFDK でのコンパイルで 起 きたエラーをできるだけエラーダ<br />

イアログとして 表 示 します。また 具 体 的 にどのフィーチャーのどの 行 で 問<br />

題 が 起 きたのかもできるだけ 報 告 します。この 場 合 、エラーダイアログに<br />

は「 表 示 」ボタンが 現 れます。これをクリックすると、<strong>Glyphs</strong> は 即 座 に<br />

問 題 のある 行 に 案 内 します。 例 えば 以 下 のようなエラーが 起 きる 可 能 性 が<br />

あります:<br />

「Contextual substitution clause must have a replacement<br />

rule or direct lookup reference.」この 場 合 、おそらくグリフ 置 き 換 え<br />

(GSUB) 系 のフィーチャーでby を 書 くのを 忘 れたかスペルミスしたのだ<br />

と 考 えられます。<br />

「DFLT script tag may be used only with the dflt language<br />

tag.」これは 文 字 タグ(script tag)を 先 に 書 くのを 忘 れて 言 語 タグ<br />

(language tag)を 書 いてしまったのでしょう。 例 えば、「language DEU;」<br />

と 書 く 前 に「script latn;」と 書 いておく 必 要 があります(ドイツ 語 であ<br />

ることを 宣 言 する 前 にラテンアルファベットであることを 宣 言 しなければ<br />

いけません。1つの 言 語 が 違 う 文 字 で 書 かれることもあるからです)。<br />

「“Feature” statement allowed only in ‘aalt’ feature.」これはお<br />

そらくフィーチャーコードをプレフィックスの 部 分 に 書 き、それを 適 切 に<br />

閉 じるのを 忘 れているに 違 いありません。<br />

「Glyph xxxx not in font.」 存 在 しないグリフをフィーチャー 内 で<br />

使 った 場 合 に 表 示 され。エラーメッセージではどのグリフが 存 在 しないの<br />

<strong>Glyphs</strong>ハンドブック2016 年 11 月 版<br />

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かをが 示 されています。おそらくグリフ 名 を 間 違 えたか、フィーチャー 編<br />

集 時 に 存 在 していたグリフを 消 したか 改 名 した、もしくは 始 めからそのよ<br />

うなグリフを 作 っていなかったのでしょう。 自 動 生 成 されたフィーチャー<br />

が 最 新 でないことも 原 因 になり 得 ます。このような 場 合 、フォント 情 報 の<br />

「フィーチャー」タブのコンパイルボタンの 左 隣 にある「 自 動 」ボタンをク<br />

リックすることで 解 決 できます。<br />

異 なる 文 字 体 系 同 士 のカーニングペ<br />

ア( 例 : 欧 文 とキリル 文 字 のペア)<br />

は、このエラーを 回 避 するためフォ<br />

ント 出 力 時 に 無 視 されます。<br />

「GPOS feature ‘kern’ causes overflow of offset to a subtable.」<br />

GPOS のkern フィーチャーが 複 雑 すぎてグリフのポジショニングのテー<br />

ブルが 膨 大 になるとこのエラーが 表 示 されます。OpenTypeのテーブルの<br />

最 大 容 量 は64KB です。カーニングをクリーンアップしたりグループ 化 す<br />

ると 解 消 するかもしれません。「ウインドウ > カーニング」で 表 示 される<br />

カーニングペアで 設 定 を 確 認 してください。また5ユニット 以 下 のカーニ<br />

ングはほとんど 意 味 がないため 削 除 してよいでしょう。 異 なる 文 字 体 系 同<br />

士 のカーニングも 不 要 ですので、 例 えば 欧 文 とキリル 文 字 のカーニングペ<br />

アなどがあれば 削 除 してください。 他 にはUse Extension Kerningカス<br />

タムパラメータを 使 って 拡 張 カーニングを 使 い、 上 限 を 無 視 するという 方<br />

法 もあります。「17.3 カスタムパラメータ」(p.184)には 各 カスタムパラ<br />

メータの 詳 細 や 値 のサンプルが 載 っています。<br />

「Invalid token.」クラス 名 がスペースで 始 まっているか、または<br />

フィーチャー 内 でクラスを 使 っている 際 に@とクラス 名 との 間 にスペース<br />

が 入 っていると 考 えられます。またはフィーチャーのどこかに 非 ASCII 文<br />

字 が 使 われている 可 能 性 があります。フィーチャーのコメント 欄 にも 使 用<br />

文 字 制 限 は 当 てはまります。<br />

「Lookup type different from previous rules in this lookup<br />

block.」kernなどグリフ 位 置 調 整 (GPOS) 系 のフィーチャーで 前 後 関 係<br />

に 依 存 するものとそうでないものを 混 ぜたのだと 考 えられます。<br />

「MakeOTF error. GPOS feature “xxxx” causes overflow of<br />

offset to a subtable.」 挙 げられたフィーチャーの 位 置 調 整 ルールが 多 す<br />

ぎます。もしこれがkern フィーチャーの 場 合 、カーニングが 多 すぎると<br />

いうことです。カーニンググループより 多 く 使 用 し、ペアをグループ 化 し、<br />

例 外 を 減 らし、また 最 終 手 段 としてUse Extension Kerningカスタムパ<br />

ラメータを 使 うことで 解 決 を 図 りましょう。<br />

「MakeOTF error. GSUB feature “xxxx” causes overflow of<br />

offset to a subtable.」 挙 げられたフィーチャーの 置 き 換 えルールが 多 す<br />

ぎます。ルックアップを 使 用 し、 繰 り 返 しになっている 置 き 換 えルールを<br />

極 力 まとめることでコードを 短 くしましょう。<br />

「makeotf<strong>Glyphs</strong>.」 最 も 可 能 性 の 高 い 原 因 はグリフ 名 に 使 用 禁 止 文<br />

字 が 使 われているを 使 うことです。 多 くの 場 合 、ダイアログ 内 に 詳 細 な 情<br />

報 が 表 示 されるはずです。<br />

「makeotf<strong>Glyphs</strong> [FATAL] line too long.」おそらくグリフ 名 が 長<br />

<strong>Glyphs</strong>ハンドブック2016 年 11 月 版<br />

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すぎるのが 原 因 です。グリフ 名 に 使 える 字 数 の 上 限 は122 文 字 です。<br />

「not in range -32767 .. 32767 (text was “…”).」 少 なくとも1 個<br />

のポイント、ハンドル、またはアンカーが 範 囲 外 にあります。これらの 座 標<br />

はすべてx、yともに±32767 以 内 に 収 まってなければいけません。<strong>Glyphs</strong><br />

のファイルをテキストエディターで 開 き、「e + 」という 文 字 列 を 検 索 して<br />

ください。こうすることで 指 数 で 表 記 された 部 分 ( 異 常 に 大 きな 数 値 )、 例<br />

えば「-9.22337e + 18」などを 探 し 当 てて、どのグリフに 修 正 が 必 要 なの<br />

かが 確 認 できます。もしこれで 何 も 見 つからない 場 合 は、エラーメッセー<br />

ジのブラケット 内 に 表 示 されている 数 字 で 検 索 してみてください。<br />

「Positioning values are allowed only in the marked glyph<br />

sequence, or after the final glyph node when only one glyph<br />

node is marked.」kernフィーチャーの 前 後 関 係 依 存 カーニングの 構 文<br />

は 他 と 違 うため 細 心 の 注 意 が 必 要 です。 少 なくとも1つのグリフが 垂 直 の<br />

マヌケ 引 用 符 (')でマークされ、そのグリフの 次 に 数 値 が 来 る 必 要 があり<br />

ます。 他 のポジショニングの 構 文 のように 数 字 が 最 後 に 来 るのではありま<br />

せん。<br />

「Premature end of input.」フィーチャーで 使 用 される 記 号 がグリ<br />

フ 名 に 使 われているために 混 乱 が 起 きていると 考 えられます。フォント 内<br />

に 等 号 (=)、アットマーク(@)、ブラケット([ ])を 使 ったグリフがな<br />

いか 探 し、 見 つかった 場 合 には 改 名 してください。<br />

「Target glyph class in rule doesn’t have the same number of<br />

elements as the replacement class.」クラス 対 クラスの 置 き 換 えで、 元<br />

と 先 のクラスのグリフ 数 が 一 致 していないというエラーです。このエラー<br />

ダイアログは 問 題 のある 行 に 直 接 案 内 します。 置 き 換 えに 使 われるクラス<br />

のグリフ 数 と 順 番 を 確 実 に 一 致 させてください。<br />

「Syntax error.」フィーチャーのコードがAFDKOの 構 文 に 従 ってい<br />

ないエラーです。これにはいくつかの 原 因 があります。<br />

・ 非 ASCII 文 字 をコードに 使 用 している。<br />

・フィーチャー 名 がルールに 準 拠 していない。4 文 字 のASCII の 小 文 字<br />

と 数 字 のみで、スペースやその 他 記 号 は 一 切 使 ってはいけません。<br />

・フィーチャーの 命 令 (sub、pos、by)などを 打 ち 間 違 えた。<br />

・コードの 各 行 の 終 わりのセミコロンを 忘 れた。この 場 合 、エラーメッ<br />

セージには「missing “;”」とも 書 かれています。<br />

・ポジショニング 関 連 のフィーチャーに 数 値 を 入 れ 忘 れた。この 場 合 、エ<br />

ラーメッセージには「missing NUM」とも 書 かれています。<br />

14.5 アウトライン<br />

フォント 書 き 出 し 時 にエラーが 表 示 されなくても、アウトラインが 欠 損 し<br />

ていたり、アウトラインが 消 えて 空 白 のグリフになってしまったりする 場<br />

合 があります。<br />

<strong>Glyphs</strong>ハンドブック2016 年 11 月 版<br />

159


14.5.1 開 いたパス<br />

出 力 するときに「 重 なったパスを 合 体 」オプションが 入 っている 場 合 、ア<br />

ウトラインが 一 周 して 閉 じていないものは 削 除 され、 出 力 されたフォント<br />

には 含 まれません。もしフォントファイルの 中 に 空 白 のグリフがある 場 合<br />

は、 正 しくパスが 閉 じられているかを 確 認 しましょう。<br />

開 いたパスをそのまま 出 力 したい 場 合 (カスタムパラメータでフォン<br />

ト 出 力 時 に 自 動 的 にパスをオフセットする 時 など)は、「 重 なったパスを 合<br />

体 」オプションを 無 効 にしておきましょう。<br />

14.5.2 不 正 なパスの 方 向<br />

アウトラインは 必 ず 反 時 計 回 りに 描 かれていなければいけません。ただしカウ<br />

ンター、つまり 抜 きの 形 のアウトラインは 逆 方 向 の 時 計 回 りにする 必 要 があ<br />

ります。この 方 向 が 正 確 でないと、パスが 閉 じていても 正 常 に 表 示 されません。<br />

アウトラインの 方 向 を 逆 転 させるには、パスを 選 択 して「パス > パス 方 向<br />

を 逆 転 」を 選 びます。すべてのパスを 逆 転 させるにはコンテクストメニュー<br />

「すべてのパス 方 向 を 逆 転 」を 選 択 します。 修 正 を<strong>Glyphs</strong> に 任 せるには、<br />

グリフを 選 択 して「グリフ > パス 方 向 を 修 正 」(shift+command+R)<br />

を 選 びます。フォント 全 体 に 適 用 するには、optionを 押 しながら「グリフ<br />

> 全 マスターのパス 方 向 を 修 正 」(option + shift+command + R)を 選<br />

びます。<br />

14.5.3 重 なり 合 った 同 一 のパス<br />

形 が 同 じで 方 向 の 違 うパスが 重 なり 合 っていると、 出 力 時 に 互 いを 消 去 し<br />

あう 可 能 性 があります。パスをダブルクリックで 選 択 してbackspaceまた<br />

はdelete キーで 消 去 してください。 何 も 変 化 がないように 見 えるかもしれ<br />

ませんが、それは 全 く 同 じアウトラインが2つ 重 なっていたということで<br />

すので、 問 題 は 解 決 されています。<br />

14.5.4 アウトラインの 非 互 換<br />

アウトラインの 互 換 性 が 取 れていなくてもフォントの 出 力 が 中 止 すること<br />

はありません。 非 互 換 のグリフは 単 純 に 空 白 となって 出 力 されます。「 以 下<br />

のグリフは 非 互 換 であり、アウトラインは 含 まれなくなります」というエ<br />

ラーが 出 ても、フォントはとりあえず 出 力 されます。 非 互 換 のアウトライ<br />

ンの 修 正 方 法 については「12.4 互 換 性 の 修 正 」(p.141)を 参 照 してくだ<br />

さい。<br />

<strong>Glyphs</strong>ハンドブック2016 年 11 月 版<br />

160


15 読 み 込 みと 書 き 出 し<br />

15.1 ベクトルベースの 描 画 アプリケーション<br />

Tip: Illustratorで 正 しいサイズに<br />

するには、<strong>Glyphs</strong> 側 でボディの 高<br />

さに 合 わせた 長 方 形 を 描 き、それを<br />

Illustratorにコピー&ペーストして、<br />

その 長 方 形 の 高 さに 収 まるように 拡<br />

大 縮 小 するのが 簡 単 です。<br />

15.1.1 Adobe Illustrator<br />

Illustrator で の1pt は <strong>Glyphs</strong> での1ユニットに 相 当 します。つまり<br />

Illustratorにある100pt 四 方 の 正 方 形 を<strong>Glyphs</strong>にペーストすると100ユ<br />

ニット 四 方 になります。またはIllustratorのアートボードの 高 さを 書 体 の<br />

UPMに 合 わせて 設 定 しましょう(1000UPMの 場 合 はアートボードの 高 さ<br />

を1000ptとします)。アセンダーとディセンダーの 両 方 がアートボード 内<br />

に 収 まるよう 注 意 してください。ページの 原 点 をベースライン 上 の 左 端 に<br />

設 定 すると、<strong>Glyphs</strong> にアウトラインをペーストした 時 に 正 しい 位 置 に 配<br />

置 されます。Illustrator CS4までのバージョンでは、 定 規 の 左 上 の 角 をド<br />

ラッグして 現 れる 照 準 を 任 意 の 位 置 にドロップすると、そこがページの 原<br />

点 になります。CS5 以 降 はアートボードオプションで 原 点 を 設 定 できます。<br />

15.1.2 Sketch<br />

Sketch からアウトラインを 読 み 込 む 場 合 は、アウトラインの 線 幅 を1ptに<br />

設 定 し、 塗 りは 解 除 してください。こうすることで<strong>Glyphs</strong> で 二 重 のアウ<br />

トラインの 発 生 を 回 避 できます。<br />

15.1.3 パスのコピーペースト<br />

上 記 のアプリケーションでコピーしたアウトラインをペーストする 際 は、コ<br />

ピー 元 のアウトラインの 座 標 位 置 によって、グリフ 内 に 収 まらない 可 能 性<br />

がある 旨 のダイアログが 現 れることがあります。「 位 置 を 修 正 」ボタンをク<br />

リックすると、ペーストされたアウトラインが 原 点 (0, 0)に 揃 うように<br />

移 動 されます。<br />

<strong>Glyphs</strong>ハンドブック2016 年 11 月 版<br />

161


15.2 FontLab Studio<br />

15.2.1 FontLab から<strong>Glyphs</strong>へ<br />

FontLabから<strong>Glyphs</strong> 形 式 のファイルを 書 き 出 す、FontLab 用 のPython<br />

スクリプトがあります。 以 下 のアドレスに 行 き、<strong>Glyphs</strong> Export.pyをダ<br />

ウンロードしてください。<br />

github.com/schriftgestalt/<strong>Glyphs</strong>-Scripts/<br />

インストールするには、「~/Library/Application Support/FontLab/<br />

Studio 5/Macros/」のフォルダに 行 き(Finderのメニューバー「 移 動 ><br />

フォルダへ 移 動 」で 上 記 のパスをコピー&ペーストすると 簡 単 にアクセスで<br />

きます)、Macrosのフォルダーにスクリプトを 入 れてください。FontLab<br />

を 再 起 動 すれば、マクロのツールバーから 使 えるようになります。<br />

15.2.2 <strong>Glyphs</strong> からFontLabへ<br />

FontLabで<strong>Glyphs</strong> 形 式 のファイルを 読 み 込 む、FontLab 用 のPythonス<br />

クリプトがあります。 上 記 のGithubリポジトリに 行 き、<strong>Glyphs</strong> Import.<br />

py をダウンロードしてMacrosフォルダに 入 れてください。<br />

FontLabに 存 在 しない 機 能 を 使 っている<strong>Glyphs</strong>ファイルを 読 み 込 む<br />

場 合 は、 結 果 が 同 じにならないかもしれません。 例 えばFontLabではコン<br />

ポーネントを 入 れ 子 にすることができないため、それらは 分 解 されます。<br />

15.3 Unified Font Object<br />

15.3.1 UFO 形 式 でファイル 保 存<br />

<strong>Glyphs</strong>はUFOファイルをネイティブに 読 み 書 きすることができます。UFO<br />

形 式 で 保 存 するには、「ファイル > 別 名 で 保 存 …」を 選 び、 保 存 ダイアロ<br />

グのフォーマットメニューで「Unified Font Object」を 指 定 します。た<br />

だし、<strong>Glyphs</strong>の 全 機 能 がUFOでサポートされているわけではありません。<br />

<strong>Glyphs</strong> 固 有 の 機 能 を 使 ったファイルをUFO 形 式 で 保 存 しようとすると、サ<br />

ポートされていない 機 能 が 抜 け 落 ちる 旨 の 警 告 メッセージが 表 示 されます。<br />

15.3.2 UFO 形 式 でファイル 書 き 出 し<br />

安 全 のため、<strong>Glyphs</strong>ファイルを 基 本 の 保 存 フォーマットとしておき、UFO<br />

は 必 要 に 応 じて 出 力 するのが 良 いでしょう。 別 名 で 保 存 する 以 外 にも、「ファ<br />

イル > 書 き 出 し…」でUFO 形 式 を 選 択 できます( 別 名 で 保 存 した 場 合 と<br />

結 果 は 同 一 です)。UFO はマルチプルマスターをサポートしていないので、<br />

各 マスターを 個 別 のUFOファイルとして 保 存 したい 場 合 はこちらから 行 う<br />

必 要 があります。<br />

<strong>Glyphs</strong>ハンドブック2016 年 11 月 版<br />

162


15.3.3 UFO ファイルの 読 み 込 み<br />

UFO ファイルを 読 み 込 む 際 、<strong>Glyphs</strong> は 可 能 な 限 りアプリケーション 標 準<br />

のデザイン 用 グリフ 名 に 変 換 し、コンポーネントグリフを 自 動 整 列 しよう<br />

とします。この 動 作 を 阻 止 したい 場 合 は、「<strong>Glyphs</strong> > 環 境 設 定 > ユーザー<br />

設 定 」で「 読 み 込 み 元 のファイルのグリフ 名 を 保 持 」と「 読 み 込 んだファ<br />

イルではコンポーネントの 自 動 整 列 を 解 除 」のチェックをONにします。こ<br />

れらの 設 定 はアプリケーションのデフォルト 動 作 となります。 環 境 設 定 を<br />

変 えず、 読 み 込 んだ 後 でファイル 単 位 に 設 定 変 更 をしたい 場 合 は、フォン<br />

ト 情 報 の「その 他 の 設 定 」で「 標 準 外 のグリフ 名 を 使 用 」と「コンポーネ<br />

ントの 自 動 整 列 を 解 除 」のチェックをON にします。<br />

15.4 Type1、OpenType、TrueType<br />

既 存 フォントの 扱 いの 詳 細 について<br />

は、 以 下 のブログ 記 事 をご 覧 くださ<br />

い( 英 語 ):<br />

glyphsapp.com/blog/<br />

importing-existing-fonts<br />

15.4.1 既 存 のフォントを 開 く<br />

<strong>Glyphs</strong> は 既 存 のType1、OTF、TTC、TTF フォントを 開 くことはできま<br />

すが、すべての 情 報 をリバースエンジニアリングできるわけではありませ<br />

ん。 例 えば、OTF フォントを<strong>Glyphs</strong> で 開 いて 書 き 出 すと、 元 とは 異 なる<br />

フォントファイルが 書 き 出 されます。ヒンティングやその 他 のOpenType<br />

テーブル 内 のメタデータも 破 棄 されます。オリジナルの<strong>Glyphs</strong>ファイルを<br />

消 失 してフォントファイルを 開 く 事 態 にならないよう、 必 ず<strong>Glyphs</strong> ファ<br />

イルの 複 製 を 保 管 して 作 業 するようにしてください。<br />

15.4.2 OpenType/CFF フォントの 出 力<br />

「ファイル > 出 力 …」を 選 ぶと 出 力 ダイアログが 表 示 されます。レイアウ<br />

トソフトやワープロソフトで 使 用 できるOpenTypeフォントを 出 力 するに<br />

は、OTF を 選 んでください。OpenType/CFFフォント(.otf)を 出 力 する<br />

場 合 、「TrueTypeとして 出 力 」オプションはOFF にしてください。<br />

<strong>Glyphs</strong>ハンドブック2016 年 11 月 版<br />

163


「 重 なったパスを 合 体 」オプションは、 同 名 のフィルタを 出 力 時 に 適 用 す<br />

るものです。「4.4 重 なったパスを 合 体 」で 詳 細 をご 覧 ください。 製 品 版 の<br />

CFF 形 式 フォントでは、 重 なったアウトラインは 必 ず 合 体 されていなけれ<br />

ばいけませんので、テスト 用 に 出 力 する 場 合 、すでに 合 体 を 済 ませている<br />

場 合 、あるいはカスタムパラメータで 合 体 のタイミングを 変 更 したい 場 合<br />

以 外 はチェックをON のままにしてください。<br />

「すべてのグリフをオートヒント」は、まだ 手 動 のヒンティングが 施<br />

されていないグリフにAFDKO のオートヒンティングを 適 用 します。この<br />

オプションが 正 常 に 動 作 するには、ステム 幅 とアラインメントゾーンが 適<br />

切 に 設 定 されていなければいけません( 第 10 章 PostScript ヒンティング<br />

p.XXX)。ヒンティングを 施 したくない 場 合 、またはテストのために 出 力<br />

時 間 を 短 縮 したい 場 合 はチェックをOFF にしてください。<br />

「 出 力 先 」オプションではフォントの 出 力 先 を 指 定 できます。このチェッ<br />

クをOFF にした 場 合 は 保 存 ダイアログが 毎 回 表 示 されます。もし 同 名 の<br />

フォントが 既 に 存 在 する 場 合 は、 警 告 なく 自 動 的 に 以 前 のものが 削 除 され<br />

ますので 注 意 してください。Adobe のFonts フォルダを 出 力 先 に 指 定 する<br />

と 便 利 です(「3.12.7 Adobeアプリケーションでのプレビュー」、p.46)。<br />

15.4.3 OpenType/TT フォントの 出 力<br />

TrueType 形 式 のOpenTypeフォント(.ttf)を 書 き 出 すには、「ファイル<br />

> 出 力 …」で 表 示 されるダイアログ(command + E)で「OTF」タブを<br />

選 択 し、「TrueType として 出 力 」のチェックをON にします。<br />

「 重 なったパスを 合 体 」オプションと「 出 力 先 」オプションはCFF 形<br />

式 で 出 力 するときと 同 様 に 機 能 します。 詳 細 は「15.4.2 OpenType/CFF<br />

フォントの 出 力 」(p.XXX)を 参 照 してください。<br />

「すべてのグリフをオートヒント」を 有 効 にすると、オートヒンティン<br />

グにWerner Lamberg 作 のttfautohintアルゴリズムを 使 用 します。この<br />

<strong>Glyphs</strong>ハンドブック2016 年 11 月 版<br />

164


オプションは 手 動 で 設 定 したTrueTypeヒンティングを 無 視 します。オート<br />

ヒンティングのオプションは、インスタンスの「TTFAutohint Options」<br />

カスタムパラメータを 追 加 することで 設 定 できます。カスタムパラメータ<br />

で 設 定 できる 内 容 については「17.3 カスタムパラメータ」(p.184)を 参<br />

照 してください。もし 手 動 のヒンティングを 使 いたい 場 合 は(「11.3 手 動<br />

インストラクション」、p.131)、オートヒントのチェックをOFF にするか、<br />

オートヒントを 無 効 にしたいインスタンスのAutohint カスタムパラメー<br />

タをチェックを 外 した 状 態 で 追 加 します。Autohint のカスタムパラメー<br />

タの 詳 細 は「17.3 カスタムパラメータ」(p.184)を 参 照 してください。<br />

出 力 されたTrueTypeフォントでは、ファイルサイズを 節 約 するため<br />

コンポーネントが 維 持 されます。ただしコンポーネントが 他 のコンポーネ<br />

ントやアウトラインと 重 なっている 場 合 は 分 解 されます( 例 :Ccedilla、<br />

Lslash、Tbar)。ワークフローによっては、アウトライン 同 士 の 重 なりは<br />

合 体 させたくても、 上 記 のグリフのようなパスとコンポーネント、または<br />

コンポーネント 同 士 の 重 なりはそのままにしておきたい 場 合 があるでしょ<br />

う。その 場 合 は 他 のアプリケーションでの 後 処 理 を 行 う 必 要 があります。<br />

そのような 重 なりを 実 現 したい 場 合 はインスタンスのKeep Overlapping<br />

Components カスタムパラメータを 有 効 にする 必 要 があります。Keep<br />

Overlapping Componentsの 詳 細 は「17.3 カスタムパラメータ」(p.184)<br />

を 参 照 してください。<br />

15.5 Web フォント<br />

15.5.1 WOFF、WOFF2、EOT フォントの 出 力<br />

OpenTypeフォントをWeb 用 に 書 き 出 す 場 合 は、「ファイル > 出 力 ...」で<br />

表 示 されるダイアログ(command + E)で「Web フォント」を 選 択 します。<br />

<strong>Glyphs</strong>ではWOFF、WOFF2(Web Open Font Format)、そして 古 い<br />

バージョンのInternet Explorer 用 にTrueType 形 式 のEOT(Embedded<br />

OpenType)をサポートしています。<br />

右 側 のチェックボックスで、 必 要 なフォーマットを 一 度 にすべて 出<br />

力 することができます。インスタンスのWebfont Format カスタムパラ<br />

メータがあると、そちらが 優 先 されてここでのチェック 項 目 は 無 視 されま<br />

す。Webfont Formatの 詳 細 は「17.3 カスタムパラメータ」(p.184)を<br />

参 照 してください。<br />

<strong>Glyphs</strong>ハンドブック2016 年 11 月 版<br />

165


左 にあるOpenType/CFF と TrueType のラジオボタンはWOFF と<br />

WOFF2 形 式 のOpenType に 影 響 を 与 えます。EOT ファイルは 常 に<br />

TrueTypeのため 影 響 はありません。<br />

オートヒントのオプションは、CFF ベースのWOFF に 対 しては<br />

PostScript のオートヒンティングを、TrueType ベースのWOFF または<br />

EOT に 対 してはttfautohintを 実 行 します。インスタンスにAutohintカ<br />

スタムパラメータがある 場 合 、そちらの 設 定 が 優 先 されます。Autohint<br />

の 詳 細 は「17.3 カスタムパラメータ」(p.184)のカスタムパラメータの<br />

リストを 参 照 してください。<br />

「 出 力 先 」オプションはOTF を 出 力 するときと 同 様 の 働 きをします。 詳<br />

細 は「15.4.2 OpenType/CFFフォントの 出 力 」(p.163)を 参 照 してくだ<br />

さい。<br />

15.6 メトリクス<br />

15.6.1 メトリクスデータの 読 み 込 み<br />

選 択 したグリフに 対 し 外 部 のファイルからカーニングデータを 読 み 込 むこ<br />

とができます。「ファイル > 読 み 込 み > メトリクス」を 選 んで 表 示 される<br />

ダイアログで、.glyphs、.metrics、そして.ufo のいずれかの 形 式 のファ<br />

イルを 選 びます。 続 いて 現 れるダイアログでは、UFOファイルを 選 択 した<br />

場 合 はカーニンググループ(またはクラス)の 設 定 とカーニングペアを 読<br />

み 込 むことができ、<strong>Glyphs</strong> 形 式 のファイルからはカーニンググループの<br />

み 読 み 込 めます。Metrics ファイルからはサイドベアリングやグリフ 幅 を<br />

読 み 込 むこともできます。 選 んだファイル 形 式 によって 現 れるダイアログ<br />

は 違 います。<br />

<strong>Glyphs</strong>ハンドブック2016 年 11 月 版<br />

166


カーニンググループやカーニングペアを 読 み 込 む 前 には、 先 にグリフが 選<br />

択 されていなければいけません。もし 読 み 込 むファイルの 内 容 をフォント<br />

内 のすべてのグリフに 対 して 適 用 したい 場 合 は、 読 み 込 みコマンドの 実 行<br />

前 にすべてのグリフを 選 択 してください。<br />

Metrics ファイルからメトリクスを 読 み 込 む 際 、 選 択 していないグリ<br />

フで 勝 手 にメトリクスが 変 わってしまうのを 防 ぐため、 変 更 が 生 じるコン<br />

ポーネントグリフの 自 動 整 列 を 強 制 的 に 無 効 化 します。<br />

カーニングペアを 他 の<strong>Glyphs</strong> ファイルや 他 のマスターから 読 み 込 み<br />

たい 場 合 は、まずそのファイルを 開 き、コピー 元 のマスターに 切 り 替 えて<br />

「ウインドウ > カーニング」(option + command + K)を 開 きます。カー<br />

ニングウインドウ 内 でコピーしたいペアを 選 択 するかcommand + A です<br />

べてを 選 択 し、command + Cでコピーします。 続 いてペースト 先 のファイ<br />

ルとマスターを 開 き、カーニングウインドウにペースト(command+V)<br />

します。カーニングの 上 書 きが 起 こる 場 合 にはダイアログが 表 示 されます。<br />

15.6.2 メトリクスデータの 出 力<br />

サイドベアリングとカーニングのデータを 出 力 したい 場 合 は「ファイル ><br />

出 力 …」で 表 示 されるダイアログ(command + E)で「メトリクス」タ<br />

ブを 選 択 します。「 次 …」をクリックして 保 存 先 を 選 び、 表 示 されたダイ<br />

アログで、MetricsファイルかAFMファイルを 選 択 します。<br />

<strong>Glyphs</strong>ハンドブック2016 年 11 月 版<br />

167


Metrics ファイルは<strong>Glyphs</strong> の 使 用 するメトリクスファイル 形 式 でフォ<br />

ントのスペーシングやカーニング 情 報 をすべて 内 蔵 しています。 拡 張 子<br />

は.metrics です。Metrics ファイルの 読 み 込 みは「ファイル > 読 み 込 み<br />

> メトリクス…」から 行 います。<br />

AFMファイルはAdobe Font Metricsと 呼 ばれるフォーマットで、 他<br />

のフォントエディターでも 使 用 できます。しかしAFM フォーマットは 旧<br />

式 であり、<strong>Glyphs</strong> で 使 用 するメトリクス 情 報 のすべてを 記 述 できるわけ<br />

ではありません。 例 えばメトリクスキーやグループカーニングの 情 報 は 破<br />

棄 されてしまいます。<br />

15.7 プロジェクト<br />

プロジェクトとは.glyphsファイルから 出 力 されるインスタンスの 集 まりで<br />

すが、インスタンスの 設 定 を.glyphs ファイルに 保 存 するのではなく、 別<br />

の「プロジェクト」と 呼 ばれるファイルに 保 存 します。これは 元 の.glyphs<br />

ファイルに 変 更 を 加 えることなくインスタンスを 管 理 するためのもので、 別<br />

バージョンのフォントを 作 る 際 に 便 利 です。プロジェクトファイルの 拡 張<br />

子 は.glyphsprojectです。<br />

15.7.1 プロジェクトのセットアップ<br />

<strong>Glyphs</strong>プロジェクトを 作 るには、「ファイル > 新 規 プロジェクト」を 選 び<br />

ます。 通 常 の.glyphsファイルのように 保 存 できます。<br />

読 み 込 み 元 の<strong>Glyphs</strong>ファイルを 開<br />

く 必 要 はありません。ディスク 上 に<br />

保 存 さえされていれば 大 丈 夫 です。<br />

プロジェクトファイルと.glyphs ファイルをリンクさせるには、 右<br />

上 の「 選 択 」ボタンをクリックして.glyphs ファイルを 選 択 します。<br />

.glyphsprojectファイルには、リンク 元 の.glyphsファイルの 場 所 が 保 存<br />

されます。.glyphs ファイルとのリンクが 完 了 すると、そのファイルで 設<br />

定 されていたインスタンスが 左 のサイドバーに 読 み 込 まれます。<br />

<strong>Glyphs</strong>ハンドブック2016 年 11 月 版<br />

168


インスタンスはドラッグ&ドロップで 順 番 を 変 更 できます。また、option<br />

キーを 押 しながらドラッグすると、そのインスタンスを 複 製 できます。コ<br />

ピー&ペーストでも 複 製 可 能 です。+ ボタンでは 新 規 インスタンスを 追 加 、<br />

-ボタンでは 削 除 することができます。.glyphsファイルにあったインスタ<br />

ンスの 状 態 にリセットしたい 場 合 は◆auto◆ボタンをクリックしてください。◆cog◆<br />

ボタンをクリックするとインスタンスのスタイル 名 、ウエイト、 字 幅 、ス<br />

タイルリンク、 補 間 値 、 出 力 設 定 を 変 更 できます。<br />

カスタムパラメータは、 任 意 のインスタンスを 選 択 しウインドウ 右 側 で 編<br />

集 できます。フォント 情 報 の「インスタンス」タブのカスタムパラメータ<br />

欄 と 同 様 の 感 覚 で 使 うことができます。カスタムパラメータについての 詳<br />

細 は「7.3.6 カスタムパラメータ」(p.91)を 参 照 してください。カスタ<br />

ムパラメータのリストを 確 認 したい 場 合 は「17.3 カスタムパラメータ」<br />

(p.184)を 参 照 してください。<br />

インスタンス 出 力 の 際 に 元 の<br />

.glyphsファイルが 開 いている 必 要<br />

はありません。<br />

15.7.2 プロジェクトの 出 力<br />

プロジェクト 内 のすべてのインスタンスを 出 力 するには、まず<br />

.glyphsprojectファイルが 保 存 してあり、リンクされている.glyphsファ<br />

<strong>Glyphs</strong>ハンドブック2016 年 11 月 版<br />

169


イルが 間 違 いなくウインドウに 表 示 されている 通 りの 場 所 に 保 存 されてい<br />

ることを 確 認 してください。そしてウインドウ 下 の「 出 力 」エリアでファ<br />

イルパスを 選 択 し、 表 示 されるダイアログでインスタンスの 出 力 先 を 選 択<br />

します。その 後 、 右 下 の「 出 力 」ボタンをクリックして、 出 力 指 定 されて<br />

いるすべてのインスタンスを 生 成 します。<br />

<strong>Glyphs</strong>ハンドブック2016 年 11 月 版<br />

170


16 機 能 拡 張<br />

ユーザーは 各 種 のプログラミング 言 語 を 利 用 して、<strong>Glyphs</strong> が 標 準 で 実 装<br />

していない 機 能 を 作 成 したり、 他 のユーザーの 作 成 した 機 能 を 追 加 するこ<br />

とができます。<strong>Glyphs</strong> はPython、Objective-C、Swift、AppleScript<br />

に 対 応 しています。<br />

16.1 スクリプト<br />

Python スクリプトとは、Python というプログラミング 言 語 で 記 述 さ<br />

れ .py という 拡 張 子 の 付 いたファイルで、<strong>Glyphs</strong> での 作 業 を 自 動 化 す<br />

るのに 使 われます。Python スクリプトを 利 用 するには「~/Library/<br />

Application Support/<strong>Glyphs</strong>/Scripts」フォルダに.py ファイルをイ<br />

ンストールします。このフォルダへは「スクリプト > Scripts フォルダを<br />

開 く」(command+shift+Y)で 簡 単 にアクセスできます。なお、この<br />

フォルダ 内 にさらにフォルダを 追 加 してファイルを 整 理 することも 可 能 で<br />

す。.py ファイルを 追 加 したら、Optionを 押 しながらメニューバー「スク<br />

リプト > スクリプトメニューを 更 新 」(option + shift+command+Y)<br />

を 選 択 してください。スクリプトがメニューに 表 示 され、 使 用 可 能 になり<br />

ます。<br />

<strong>Glyphs</strong> のPython スクリプトのコードは、メニューに 表 示 される 名 前 の<br />

表 記 で 始 まっている 必 要 があります。<br />

#MenuTitle: Rotate <strong>Glyphs</strong><br />

「__doc__」で 始 まる 文 字 列 は、スクリプトメニューにカーソルを 置 くと 表<br />

示 されるツールチップの 文 章 を 書 くところです。スクリプトの 説 明 を 書 く<br />

と 良 いでしょう。<br />

__doc__ = "This script rotates selected glyphs."<br />

<strong>Glyphs</strong> 公 式 サイトには<strong>Glyphs</strong>でのPythonプログラミングAPIの 詳 細 な<br />

説 明 があります( 英 語 )。<br />

docu.glyphsapp.com<br />

初 心 者 の 方 は、 三 編 に 分 かれたチュートリアルが<strong>Glyphs</strong>のWeb サイトに<br />

ありますので、そちらを 参 照 するとよいでしょう( 英 語 )。<br />

glyphsapp.com/tutorials/articles/tag:scripting<br />

また<strong>Glyphs</strong> 用 サードパーティー 製 のスクリプトもGitHub 上 で 多 く 公 開<br />

されています。<strong>Glyphs</strong> のサイトでもその 中 からいくつかを 厳 選 して 紹 介<br />

しています。<br />

glyphsapp.com/extend<br />

<strong>Glyphs</strong>ハンドブック2016 年 11 月 版<br />

171


16.2 プラグイン<br />

16.2.1 プラグインの 手 動 インストール<br />

プラグインはダブルクリック、または<strong>Glyphs</strong> のアプリケーションアイコ<br />

ンにドラッグ&ドロップすることで、 自 動 的 に「~/Library/Application<br />

Support/<strong>Glyphs</strong>/Plugins」フォルダにインストールされます。またエイ<br />

リアスをインストールすることもできます。アンインストールしたい 場 合 は<br />

フォルダから 外 してください。このフォルダに 素 早 くアクセスする 方 法 は2<br />

つあります。1. 「スクリプト > Scriptsフォルダを 開 く」を 選 び、Scripts<br />

フォルダの 隣 にあるPlugins フォルダを 選 ぶ。2. 環 境 設 定 「アドオン ><br />

プラグイン」から 既 にインストールされているプラグインを 選 択 し、 右 ク<br />

リックで「Finderに 表 示 」を 選 ぶ。<br />

<strong>Glyphs</strong> にインストールできるプラグインには 様 々な 種 類 があります。<br />

これはファイルの 拡 張 子 で 判 別 できます。<br />

・リポーター( 拡 張 子 .glyphsReporter): 表 示 メニューにオプション<br />

を 追 加 し、 編 集 ビューに 表 示 する 情 報 を 追 加 します。<br />

・フィルタ( 拡 張 子 .glyphsFilter): 選 択 したグリフに 視 覚 的 な 処 理 を<br />

するフィルタを 追 加 します。ダイアログが 出 るものも、ないものもあ<br />

ります。カスタムパラメータに 対 応 しているものもあります。 詳 細 は<br />

プラグインに 付 属 の 資 料 を 参 照 してください。<br />

・ファイルフォーマット( 拡 張 子 .glyphsFileFormat):ファイルを 開<br />

く 際 、フォントを 出 力 する 際 のファイル 形 式 の 選 択 肢 を 追 加 します。<br />

・パレット( 拡 張 子 .glyphsPalette):パレットに 機 能 を 追 加 します。<br />

・ツール( 拡 張 子 .glyphsTool):ツールバーにツールを 追 加 します。<br />

・ 一 般 ( 拡 張 子 .glyphsPlugin): 上 記 以 外 の 機 能 を 追 加 します。<br />

16.2.2 プラグインマネージャー<br />

プラグインをインターネット 上 で 探 したり 手 動 でインストールする 手 間 が<br />

煩 わしいという 場 合 には、「ウインドウ > プラグインマネージャー」をお<br />

勧 めします。このウインドウでは、マネージャーが 登 録 しているプラグイ<br />

ンを 検 索 したり、 説 明 を 読 んだり、リンクされているウェブサイトに 行 く<br />

ことができます。プラグインの 説 明 に 画 像 が 含 まれている 場 合 、クリック<br />

すると 原 寸 表 示 されます。<br />

プラグインマネージャーを 使 用 するにはXCode のgit プラグインをイ<br />

ンストールする 必 要 があり、 初 めて 開 く 際 にはインストールダイアログが<br />

表 示 されます。インストール 後 は<strong>Glyphs</strong>を 再 起 動 するとプラグインマネー<br />

ジャーを 使 用 できるようになります。<br />

<strong>Glyphs</strong>ハンドブック2016 年 11 月 版<br />

172


プラグインはアプリケーション 開 始<br />

時 にのみ 読 み 込 まれるため、プラグ<br />

インのインストールやアンインス<br />

トール 後 は<strong>Glyphs</strong>を 再 起 動 する 必<br />

要 があります。<br />

ここからインストールするには、インストールボタンを 押 します。アンイン<br />

ストールするには 削 除 ボタンを 押 します。ウインドウ 左 上 で「インストー<br />

ル 済 み」ボタンを 押 すと、マシン 内 にインストールされたプラグインのみ<br />

が 表 示 されます。<br />

自 作 したプラグインを<strong>Glyphs</strong> のプラグインマネージャーに 表 示 させ<br />

たい 場 合 は、GitHubのプラグインリストにpullリクエストを 送 ってくだ<br />

さい。 詳 細 は<strong>Glyphs</strong>SDKのreadme ファイルに 記 されています。<br />

16.3 SDK<br />

<strong>Glyphs</strong>SDK はオープンソースの<strong>Glyphs</strong> 用 ソフトウェア 開 発 キットです。<br />

これは<strong>Glyphs</strong> ユーザーコミュニティ 内 におけるプラグイン、スクリプ<br />

ト、.glyphsファイルを 処 理 する 独 立 したアプリケーションなどの 開 発 を 触<br />

発 するために 作 られたものです。SDKにはスクリプトAPIの 資 料 、.glyphs<br />

ファイルの 仕 様 、プラグイン 開 発 のためのテンプレートを 用 意 しています<br />

(Xcode のObjectiveC 用 とPyObjC bridge を 使 ったPython 用 の 両 方 が<br />

用 意 されています)。SDK は 以 下 のGitHub リポジトリからダウンロード<br />

してください:<br />

github.com/schriftgestalt/<strong>Glyphs</strong>SDK<br />

<strong>Glyphs</strong>ハンドブック2016 年 11 月 版<br />

173


17 補 足 資 料<br />

17.1 フィーチャー 自 動 生 成<br />

<strong>Glyphs</strong> には 自 動 でOpenType フィーチャーを 生 成 する 機 能 があります。<br />

この 自 動 生 成 を 利 用 するには、 使 用 されるグリフを 特 定 の 命 名 規 則 に 合 わ<br />

せておく 必 要 があります。<br />

aalt All Alternates すべてのオルタネートにアクセスするためのフィーチャー<br />

です。<strong>Glyphs</strong> はGSUB(グリフ 置 換 系 )の 各 種 フィー<br />

チャーを 認 識 して 自 動 でaaltを 生 成 します。ユーザーが<br />

意 図 的 にグリフ 名 で 自 動 生 成 させることはできません。<br />

liga<br />

Standard<br />

Ligatures<br />

通 常 のリガチャー( 合 字 )です。フォントを 使 用 するアプ<br />

リケーションでは、 通 常 はデフォルトで 有 効 になってい<br />

て、ユーザーが 無 効 にすることもできます。リガチャー<br />

用 のグリフ 名 は、その 基 になるグリフ 名 をアンダースコ<br />

ア(_)で 繋 げて 書 いてください。 欧 文 以 外 で「-cy」や<br />

「-hira」など 末 尾 に 文 字 識 別 子 が 付 いているグリフをリ<br />

ガチャーにする 場 合 、 識 別 子 は 末 尾 に 一 度 明 記 するだけ<br />

で 十 分 です。よくあるリガチャー(f_f_i、f_f_l、f_f、fi、<br />

fl、lu_lakkhangyao-thai、ru_lakkhangyao-thaiな<br />

ど)は 自 動 的 にligaフィーチャーに 登 録 され、 他 はすべ<br />

てdligに 登 録 されます。また 任 意 のリガチャーグリフを<br />

dligではなく 強 制 的 かつ 自 動 的 にligaフィーチャーに 登<br />

録 してほしい 場 合 はグリフ 名 の 末 尾 に「.liga」を 付 けて<br />

ください。 例 :f_b.liga、yi_yi-cy.liga<br />

dlig<br />

Discretionary<br />

Ligatures<br />

任 意 のリガチャーです。フォントを 使 用 するアプリケー<br />

ションでliga は 全 グリフへ 一 律 に 適 用 されますが、dlig<br />

はデフォルトで 無 効 になっており、ユーザーが 任 意 の 箇<br />

所 で 個 別 に 有 効 にして 適 用 します。 一 般 にdligにはliga<br />

よりも 装 飾 度 の 強 いもの、 重 要 度 の 低 いものを 含 めます。<br />

グリフ 名 は、その 基 になるグリフ 名 をアンダースコア<br />

(_)で 繋 げて 書 いてください。 例 :s_t、f_odieresis<br />

hlig<br />

Historical<br />

Ligatures<br />

古 典 的 な 文 字 のリガチャーで、longs( 長 いs)のリガ<br />

チャーが 典 型 的 な 用 途 です。 自 動 でフィーチャーを 生 成<br />

させたい 場 合 はグリフ 名 の 末 尾 に.hligまたは.histを 追<br />

加 してください。<br />

<strong>Glyphs</strong>ハンドブック2016 年 11 月 版<br />

174


lig<br />

Required<br />

Ligatures<br />

フォントを 使 用 するアプリケーションでは 常 に 有 効 であり、<br />

ユーザーが 無 効 化 の 選 択 をできない 強 制 発 動 リガチャー<br />

です。 基 本 的 にはアラビア 文 字 のlamとalifなど、ルール<br />

上 絶 対 に 合 字 にならないといけないものに 対 して 使 用 され<br />

ます。グリフ 名 の 末 尾 に「.rlig」を 付 けてください。また<br />

以 下 のグリフ 名 に 対 しては 自 動 的 にrlig フィーチャーが<br />

生 成 されます:lam_alef-ar、lam_alefHamzaabovear、lam_alefHamzabelow-ar、lam_alefMadda-ar、<br />

lam_alef-ar.fina、lam_alefHamzaabove-ar.fina、<br />

lam_alefHamzabelow-ar.fina、lam_alefMaddaar.fina、lam_alefWasla-ar、lam_alefWasla-ar.<br />

fina<br />

c2scとsmcpの 両 方 のスモール<br />

キャップを 作 った 場 合 、「c2sc」 系<br />

列 は「A.c2sc」などのように 大 文<br />

字 と、「smcp」は「a.smcp」など<br />

のように 小 文 字 と 対 応 させてくださ<br />

い。<br />

c2sc<br />

Capitals to<br />

Small Capitals<br />

大 文 字 をスモールキャップにするフィーチャーです。<br />

Adobe アプリケーションでは「すべてスモールキャッ<br />

プス」を 選 ぶことでsmcp フィーチャーと 共 にアクセス<br />

できます。グリフ 名 の 末 尾 に「.sc」、「 .smcp」、または<br />

「.c2sc」を 付 けてください。<br />

smcp Small Capitals<br />

小 文 字 をスモールキャップに 変 換 するフィーチャーです。<br />

グリフ 名 の 末 尾 に「.sc」、「 .smcp」、または「.c2sc」を<br />

付 けてください。<br />

c2pc<br />

Capitals to<br />

Petite Capitals<br />

大 文 字 をプチキャップにするフィーチャーです。グリフ<br />

名 の 末 尾 に「.pc」、「 .c2pc」、または「.pcap」を 付 けて<br />

ください。<br />

pcap Petite Caps<br />

通 常 スモールキャップでは 小 文 字 よりハイトを 上 げますが、<br />

プチキャップという 小 文 字 と 高 さが 完 全 に 揃 った 大 文 字<br />

も 存 在 し、これには 専 用 のpcapフィーチャーを 使 います。<br />

グリフ 名 の 末 尾 に「.pc」、「 .c2pc」、または「.pcap」を<br />

付 けてください。<br />

sups Superscript<br />

上 付 き 文 字 です。グリフ 名 の 末 尾 に「.sups」を 付 けて<br />

ください。 数 字 に 限 ってはピリオドなしの「superior」<br />

をつける 方 法 も 可 能 です。 例 :onesuperior<br />

subs Subscript<br />

下 付 き 文 字 です。グリフ 名 の 末 尾 に「.subs」を 付 けて<br />

ください。 数 字 に 限 っては「inferior」も 許 可 されます。<br />

<strong>Glyphs</strong>ハンドブック2016 年 11 月 版<br />

175


もし 製 作 中 のフォントファイルで 特<br />

に 下 付 きと 化 学 用 下 付 きの 区 別 をつ<br />

けない 場 合 は、 単 純 に「.subs」の<br />

グリフだけを 作 っておけば、subs<br />

sinf<br />

Scientific<br />

Subscript<br />

汎 用 の 下 付 き 文 字 とは 別 に 用 意 された 科 学 用 途 の 下 付 き<br />

文 字 です。グリフ 名 の 末 尾 に「.sinf」または「.subs」<br />

を 付 けてください。<br />

とsinfの 両 方 のフィーチャーが 自<br />

動 的 に 生 成 されます。<br />

afrc<br />

Alternate<br />

Fractions<br />

afrcフィーチャーはfrac フィーチャー( 後 述 )とは 違 い、<br />

数 学 で 使 用 されるような 水 平 分 割 の 分 数 を 表 示 するため<br />

のものです。 始 めから 定 義 された 組 み 合 わせのみサポー<br />

トし、frac とは 違 ってどのような 数 字 の 組 み 合 わせにも<br />

対 応 しているわけではありません。このフィーチャーを<br />

サポートするには 以 下 の 分 数 グリフをフォント 内 に 用 意<br />

してください:<br />

oneovertwo、zerooverthree、oneoverthree、<br />

twooverthree、oneoverfour、threeoverfour、<br />

oneoverfive、twooverfive、threeoverfive、<br />

fouroverfive、oneoversix、fiveoversix、<br />

oneoverseven、twooverseven、threeoverseven、<br />

fouroverseven、fiveoverseven、sixoverseven、<br />

oneovereight、threeovereight、fiveovereight、<br />

sevenovereight、oneovernine、twoovernine、<br />

fourovernine、fiveovernine、sevenovernine、<br />

eightovernine、oneoverten、threeoverten、<br />

sevenoverten、nineoverten、oneovereleven、<br />

twoovereleven、threeovereleven、fourovereleven、<br />

fiveovereleven、sixovereleven、sevenovereleven、<br />

eightovereleven、nineovereleven、tenovereleven、<br />

oneovertwelve、fiveovertwelve、sevenovertwelve、<br />

elevenovertwelve、oneoveronehundred<br />

frac Fractions 斜 めのスラッシュで 区 切 られた 分 数 にするフィーチャーで<br />

す。.numrと.dnomの 付 いたグリフ、そしてfraction<br />

( 分 数 用 スラッシュのグリフ)を 組 み 合 わせて 自 動 生<br />

成 します。もしこれらが 存 在 しない 場 合 、onehalf、<br />

onequarter、threequartersなど 始 めから 結 合 されて<br />

いる 分 数 がフィーチャーに 使 用 されます。<br />

dnom Denominators<br />

分 数 の 分 母 用 数 字 です。グリフ 名 の 末 尾 に「.dnom」を<br />

付 けてください。<br />

numr Numerators<br />

分 数 の 分 子 用 数 字 です。グリフ 名 の 末 尾 に「.numr」を<br />

付 けてください。<br />

<strong>Glyphs</strong>ハンドブック2016 年 11 月 版<br />

176


onum Oldstyle<br />

Numerals<br />

(Oldstyle<br />

Figures)<br />

オールドスタイル 数 字 です。オールドスタイル 数 字 と<br />

は、 小 文 字 の 高 さに 合 っていて(スモールキャップと 同<br />

様 、 実 際 は 小 文 字 より 少 し 高 め)、かつ 数 字 によってはア<br />

センダーやディセンダーのあるデザインのものです。プ<br />

ロポーショナルのオールドスタイルにはグリフ 名 の 末 尾<br />

に「.osf」を、 等 幅 のものには「.tosf」を 付 けてくださ<br />

い。 通 貨 記 号 など、 数 字 以 外 のグリフにも 適 用 できます。<br />

Tip: デフォルトの 数 字 となるグリ<br />

フには「.lf」、「 .tf」、「 .osf」、「 .tosf」<br />

などを 付 加 しないでください。<br />

<strong>Glyphs</strong>は 他 にあるグリフの 名 前 や<br />

幅 の 情 報 から、デフォルトの 数 字 が<br />

どのタイプなのかを 判 別 し、 自 動 で<br />

フィーチャーを 生 成 します。<br />

tnum Tabular<br />

Numerals<br />

(Tabular<br />

Figures)<br />

pnum Proportional<br />

Numerals<br />

(Proportional<br />

Figures)<br />

等 幅 (tabular)な 数 字 です。 等 幅 のライニング 数 字 に<br />

はグリフ 名 の 末 尾 に「.tf」を、 等 幅 のオールドスタイル<br />

数 字 には「.tosf」を 付 けてください。 通 貨 記 号 など、 数<br />

字 以 外 のグリフにも 適 用 できます。<br />

字 幅 がそれぞれ 異 なるプロポーショナルな 数 字 で、tnum<br />

の 対 となるフィーチャーです。プロポーショナルのオー<br />

ルドスタイルにはグリフ 名 の 末 尾 に「.osf」を、プロポー<br />

ショナルのライニング 数 字 には「.lf」を 付 けてください。<br />

通 貨 記 号 など、 数 字 以 外 のグリフにも 適 用 できます。<br />

lnum Lining<br />

Numerals<br />

(Lining<br />

Figures)<br />

高 さの 揃 った 数 字 はライニング 数 字 と 呼 ばれ、オールド<br />

スタイル 数 字 とは 対 となります。プロポーショナルのラ<br />

イニング 数 字 にはグリフ 名 の 末 尾 に「.lf」を、 等 幅 のラ<br />

イニング 数 字 には「.tf」を 付 けてください。 通 貨 記 号 な<br />

ど、 数 字 以 外 のグリフにも 適 用 できます。<br />

ordn Ordinals<br />

序 数 です。numero(№)、ordfeminine(ª)、<br />

ordmasculine(º)がフォントに 含 まれていると 自 動<br />

で 生 成 されます。<br />

mgrk Mathematical<br />

Greek<br />

特 定 のギリシャ 文 字 (Delta、Omega、Pi、Sigma、<br />

alpha、mu、phi、epsilonLunateSymbol、<br />

epsilonLunateReversedSymbol)に 対 して、 数 学<br />

用 のオルタネート(increment、Ohm、product、<br />

summation、proportional、micro、phiSymbol、<br />

element、containsasmemberSmall)を 呼 び 出 すた<br />

めのフィーチャーです。このフィーチャーは 現 在 は 使 用<br />

が 推 奨 されていないため<strong>Glyphs</strong>は 自 動 では 追 加 しませ<br />

んが、ユーザーが 手 動 で 追 加 すればフィーチャーの 更 新<br />

は 自 動 で 行 います。<br />

<strong>Glyphs</strong>ハンドブック2016 年 11 月 版<br />

177


ornm Ornaments<br />

オーナメント( 花 形 装 飾 )を 使 用 するためのフィーチャー<br />

です。 大 文 字 A―Z と 小 文 字 a―z に「.ornm」のついた<br />

オルタネートを 用 意 してください。また「bullet」グリ<br />

フが 必 ずフォント 内 に 存 在 するようにしてください。<br />

hist<br />

Historical<br />

Forms<br />

歴 史 的 な 形 のオルタネートです。 典 型 的 な 例 は 小 文 字 の<br />

s を 長 いs(ſ )に 切 り 替 えるという 用 法 です。グリフ 名<br />

の 末 尾 に「.hist」を 付 けてください。<br />

case<br />

cpsp<br />

Uppercase オールキャップでの 文 字 組 専 用 に 位 置 や 大 きさが 調 整 さ<br />

Forms れた 大 文 字 専 用 オルタネートグリフです。よくある 例 は<br />

大 文 字 の 中 心 の 高 さに 揃 ったハイフン(-)や 括 弧 (( ))、<br />

発 音 記 号 などです。Adobe アプリケーションではフォン<br />

トパネルから「オールキャップす」を 選 ぶことでアクセ<br />

スできます。グリフ 名 の 末 尾 に「.case」を 付 けてくださ<br />

い。また「.lf」の 付 いた 数 字 (ライニング 数 字 )もここ<br />

で 使 われます。<br />

Capital Spacing 大 文 字 のスペーシングを 調 整 するためのフィーチャーです。<br />

オールキャップ 組 みでは 字 間 を 少 し 広 めに 組 む 方 がよい<br />

のですが、このスペーシングを 始 めからフォントに 組 み<br />

込 んでおくことができます。Adobe アプリケーションで<br />

はフォントパネルなどから「すべて 大 文 字 」を 選 ぶこと<br />

でアクセスできます。フォント 情 報 の「フィーチャー」<br />

タブで + ボタンをクリックし、Capital Spacingを 選 ぶ<br />

と 追 加 されます。<br />

こちらで 言 語 タグの 一 覧 を 確 認 でき<br />

ます:<br />

microsoft.com/typography/<br />

otspec/languagetags.htm<br />

フォントの 各 言 語 対 応 についてさら<br />

に 詳 細 を 知 りたい 場 合 は 以 下 のペー<br />

ジにアクセスしてください( 英 語 ):<br />

glyphsapp.com/tutorials/tag/<br />

languages<br />

locl<br />

Localised Forms このフィーチャーは 特 定 の 言 語 でより 望 ましい 結 果 を 得<br />

るために 存 在 します。Adobe アプリケーションではテ<br />

キストブロックの 言 語 を 指 定 すると、locl フィーチャー<br />

の 当 該 言 語 のコードが 実 行 されます。グリフ 名 の 末 尾<br />

に「.loclXXX」を 付 けてください。XXX の 部 分 には<br />

OpenType の 言 語 タグが 入 ります( 例 :.loclENG で 英<br />

語 用 、.loclSVE でスウェーデン 語 用 )。 他 にも 初 期 状 態<br />

で 自 動 的 にフィーチャーを 生 成 するグリフがあります:<br />

・トルコ 語 、アゼルバイジャン 語 、クリミア・タター<br />

ル 語 、カザフ 語 、タタール 語 (それぞれ 言 語 タグは<br />

TRK、AZE、CRT、KAZ、TAT)ではドットのあるi<br />

とないıの 区 別 があり、 大 文 字 との 対 応 が 他 の 言 語 とは<br />

違 います( 上 記 言 語 ではi →İとı→I、 英 語 ではi →I)。<br />

正 しい 表 示 にはi と 見 た 目 が 同 じオルタネートとlocl<br />

<strong>Glyphs</strong>ハンドブック2016 年 11 月 版<br />

178


フィーチャーが 必 要 です。フォント 内 にidotaccent、<br />

i.TRKまたはi.loclTRKがあると(グリフのデザインは<br />

小 文 字 i と 同 一 )、 上 記 言 語 の 小 文 字 i のフィーチャー<br />

が 自 動 的 に 生 成 されます。<br />

・Scommaccent、Tcommaaccent、scommaaccent、<br />

tcommaaccentが 存 在 すると、ルーマニア 語 、モルド<br />

ヴァ 語 (ROM、MOL)の 選 択 時 にScedilla、Tcedilla、<br />

scedilla、tcedillaは 前 者 4つに 置 き 換 えられます。こ<br />

れら2つの 言 語 のためにセディーユ 付 きのS/s とT/tに<br />

Unicode 符 号 が 与 えられましたが、 正 しくはコンマ<br />

アクセント( 別 称 コンマビロー) 付 きであることが 判<br />

明 したため、 後 にそちらも 符 号 化 した 経 緯 があります。<br />

セディーユ 付 きSとTはUnicodeへの 追 加 以 来 、ある<br />

程 度 普 及 してしまっていますが、 現 在 は 上 記 2 言 語 で<br />

は 可 能 な 限 りコンマアクセント 付 きのS とTを 使 うこ<br />

とが 推 奨 されています。 上 記 のグリフがフォント 内 に<br />

存 在 すると、 必 要 なコードが 自 動 で 生 成 されます。<br />

・カタルーニャ 語 (CAT)では periodcenteredが2 連 続<br />

のlの 発 音 を 区 別 するスペリングに 使 われます( 例 :<br />

cella とcel·la の 発 音 はそれぞれセーヤとセッラ、 後<br />

者 のl·l は ella geminada と 呼 ばれます)。ただし<br />

periodcentered をそのまま 使 用 すると 位 置 が 低 すぎ<br />

るのでl の 中 央 揃 いに 見 えるように 高 さを 変 更 し、ス<br />

ペーシングも 空 きすぎて1 単 語 に 見 えなくなるのでキツ<br />

めにします。 大 文 字 では 最 初 のLのカウンターの 中 に 浮<br />

くような 状 態 になります。これを 実 現 する 方 法 は3つあ<br />

ります。まずはカタルーニャ 語 専 用 のperiodcentered.<br />

loclCAT と periodcentered.loclCAT.case を 用 意<br />

することで、これとL、l がフォント 内 に 存 在 する<br />

と 必 要 なコードが 自 動 で 生 成 されます。2つめはL_<br />

periodcentered_L.loclCAT と l_periodcentered_<br />

l.loclCAT という 始 めから 合 字 のように 作 ったグリフ<br />

があると、これもコードが 自 動 で 生 成 されます。3つ<br />

めはUnicodeに 登 録 されているLdot とldotがフォン<br />

ト 内 に 存 在 すると、 同 じく 必 要 なコードが 自 動 で 生 成<br />

されます。3つ 目 の 方 法 についてですが、Ldot とldot<br />

は 現 在 使 用 が 推 奨 されていませんので、 先 の2つのい<br />

ずれかを 採 用 するのが 望 ましいものの、 条 件 を 満 たし<br />

ていない 場 合 には3つ 目 のコードが 最 終 手 段 として 生<br />

成 されます。<br />

<strong>Glyphs</strong>ハンドブック2016 年 11 月 版<br />

179


・オランダ 語 (NLD)ではIJ とij は2 重 母 音 ですが、し<br />

ばしば1 文 字 とみなされることがあります。またオラ<br />

ンダ 語 では 母 音 にアキュート 記 号 を 付 けることで 発 音<br />

を 強 調 することができ、ij を 強 調 したい 場 合 は 両 方 に<br />

アキュートをつけるのが 望 ましいのですが、Unicode<br />

にはアキュート 付 きのjが 存 在 せず、 通 常 はíjになって<br />

しまいます。Iacute_J.loclNLD とiacute_j.loclNLD、<br />

またはJacute とjacute があると、オランダ 語 のij の<br />

アクセント 付 きオルタネートのフィーチャーが 自 動 生<br />

成 されます。Iacute、iacute、J、そしてjがフォント<br />

に 含 まれていることも 生 成 の 条 件 です。<br />

・ウルドゥー 語 で 使 用 される 数 字 はペルシャ 語 用 数 字 を<br />

ベースにしていますが(ペルシャ 語 用 数 字 はアラビア 文<br />

字 用 の 数 字 とは 別 です)、4、6、7などのいくつかの 数<br />

字 ではウルドゥー 語 専 用 のデザインのオルタネートに<br />

切 り 替 えるのが 理 想 です。グリフ 名 の 末 尾 に.loclURD<br />

の 付 いたペルシャ 語 用 数 字 があると、ウルドゥー 語 用<br />

に 必 要 なコードが 自 動 で 生 成 されます。またアラビア<br />

文 字 用 の6はウルドゥー 語 で 受 け 入 れられているため、<br />

six-ar があればウルドゥー 語 でも 再 利 用 されるよう<br />

コードが 生 成 されます(いずれかのケースで 対 応 すれ<br />

ば 十 分 です)。<br />

cv01–<br />

cv99<br />

Character<br />

Variants<br />

文 字 のバリエーションで、 最 大 99 個 まで 作 れます。グリ<br />

フ 名 の 末 尾 に「.cv01」から「.cv99」を 付 けてください。<br />

ss01–<br />

ss20<br />

Stylistic Set<br />

デザインの 見 た 目 を 切 り 替 えるセットで、 最 大 20セッ<br />

トまで 作 れます。 現 状 、Adobe アプリケーションでは<br />

InDesign でしか 利 用 できません(テキストエディット<br />

やPages などOSX 標 準 のタイポグラフィパネルを 使 用<br />

できるアプリケーションは 利 用 できます)。グリフ 名 の<br />

末 尾 に「.ss01」から「.ss20」を 付 けてください。なお、<br />

フィーチャー 設 定 下 部 のメモ 欄 に「Name:」で 始 まる 分<br />

かりやすい 名 前 をつけておくと、<strong>Glyphs</strong> はそれをセッ<br />

トの 名 前 として 自 動 的 に 設 定 します。もしくはメモ 欄 に<br />

featureNamesのAFDKOコードを 書 いても 有 効 です。<br />

<strong>Glyphs</strong>ハンドブック2016 年 11 月 版<br />

180


salt<br />

Stylistic<br />

Alternates<br />

デザインの 見 た 目 を 切 り 替 えるフィーチャーです。Adobe<br />

系 列 のアプリケーションでは、InDesign ではss01~<br />

ss20が 使 われる 代 わりにIllustrator とPhotoshop で<br />

はsalt が 使 われます。デフォルトでは、<strong>Glyphs</strong>はss01<br />

フィーチャーをsalt にも 記 述 します。<br />

swsh Swashes<br />

スワッシュのオルタネートです。グリフ 名 の 末 尾 に<br />

「.swsh」を 付 けてください。<br />

titl Titling タイトル 用 のオルタネートです。グリフ 名 の 末 尾 に「.titl」<br />

を 付 けてください。<br />

init Initial Forms 語 頭 形 のオルタネートです。 特 にアラビア 文 字 など、 単<br />

語 内 の 位 置 によって 字 形 が 変 化 する 文 字 によく 使 われま<br />

す。グリフ 名 の 末 尾 に「.init」を 付 けてください。<br />

medi Medial Forms<br />

語 中 形 のオルタネートです。グリフ 名 の 末 尾 に「.medi」<br />

を 付 けてください。<br />

med2 Medial<br />

Forms 2<br />

語 中 形 のオルタネート2です。シリア 文 字 でのみ 使 用 さ<br />

れます。グリフ 名 の 末 尾 に「.med2」を 付 けてください。<br />

fina Final Forms 語 尾 形 のオルタネートです。グリフ 名 の 末 尾 に「.fina」<br />

を 付 けてください。<br />

fin2 Final Forms 2 語 尾 形 のオルタネート2です。シリア 文 字 でのみ 使 用 さ<br />

れます。グリフ 名 の 末 尾 に「.fin2」を 付 けてください。<br />

fin3 Final Forms 3 語 尾 形 のオルタネート3です。シリア 文 字 でのみ 使 用 さ<br />

れます。グリフ 名 の 末 尾 に「.fin3」を 付 けてください。<br />

hwid Half Widths<br />

半 角 グリフ 幅 のオルタネートです。グリフ 名 の 末 尾 に<br />

「.half」を 付 けてください。<br />

vrt2<br />

Vertical<br />

Alternates and<br />

Rotation<br />

縦 書 き 時 に 表 示 される 回 転 字 形 のオルタネートです。グリ<br />

フ 名 の 末 尾 に「.vertical」、「 .vert」または「Vertical」<br />

を 付 けてください。<br />

<strong>Glyphs</strong>ハンドブック2016 年 11 月 版<br />

181


akhn Akhands<br />

アカンドと 呼 ばれる 子 音 同 士 の 合 字 で、デヴァナーガリー<br />

文 字 では 最 優 先 されるフィーチャーです。デヴァナーガ<br />

リー 文 字 のk-deva、j-deva、ssa-deva、nya-deva、そ<br />

してk_ssa-deva、j_nya-devaがあると 生 成 されます。<br />

blwf Below Base<br />

Forms<br />

本 体 の 子 音 の 下 に 連 なる 子 音 のオルタネートです。デ<br />

ヴァナーガリー 文 字 ではra-deva、halant-deva、そし<br />

てrashtrasign-devaがあると 生 成 されます。<br />

cjct<br />

Conjunct Forms デヴァナーガリー 文 字 や 他 のインド 系 文 字 の 結 合 文 字 が<br />

あると 生 成 されます。<br />

half Half Forms デヴァナーガリー 文 字 や 他 のインド 系 文 字 のグリフ 名<br />

の 末 尾 が「Halfform」になっているハーフフォームか<br />

halantがあると 生 成 されます。<br />

nukt Nukta Forms<br />

デヴァナーガリー 文 字 や 他 のインド 系 文 字 でグリフ 名 の<br />

末 尾 がNuktaになっているヌクター 付 きリガチャ、それ<br />

に 対 応 するヌクター 無 しのグリフがあると 生 成 されます。<br />

rkrf Rakar Forms デヴァナーガリー 文 字 や 他 のインド 系 文 字 でラカールの<br />

リガチャ、それに 対 応 する 独 立 したグリフとhalant が<br />

あると 生 成 されます。<br />

rphf Reph Forms デヴァナーガリー 文 字 のra-deva、halant-deva、rephdeva、または<br />

他 のインド 系 文 字 で 同 様 の 働 きをする 文 字<br />

があると 生 成 されます。<br />

ccmp Glyph<br />

Composition<br />

and<br />

Decomposition<br />

様 々な 文 字 の 合 体 や 分 解 処 理 がccmp の 自 動 生 成 で 行 わ<br />

れます。 例 えばフォント 内 にi、j、idotless、jdotless、<br />

そして 合 成 用 発 音 記 号 あると、i やjの 後 に 発 音 記 号 が 続<br />

いた 場 合 に 欧 文 用 のルックアップが 呼 び 出 され、 発 音 記<br />

号 が 配 置 できるようにドットがないグリフに 置 き 換 えら<br />

れます。<br />

<strong>Glyphs</strong>ハンドブック2016 年 11 月 版<br />

182


mark Mark to Base<br />

Positioning<br />

基 底 文 字 のグリフの 指 定 した 位 置 に 結 合 文 字 のグリフを<br />

配 置 するフィーチャーです。まず、 基 底 文 字 のグリフに<br />

top やbottom などのアンカーを 追 加 してください。そ<br />

して 結 合 文 字 のグリフ(acutecombなど)にもアンカー<br />

を 追 加 し、その 名 前 の 先 頭 にアンダースコアを 付 けてく<br />

ださい(acutecomb などの 上 付 き 用 発 音 記 号 には_top<br />

アンカーを 追 加 )。こうすることで、フォント 使 用 時 に<br />

基 底 文 字 の 上 下 へ 任 意 の 結 合 文 字 を 配 置 できます。 結 合<br />

文 字 のグリフはフォント 出 力 時 に 自 動 的 にグリフ 幅 が0<br />

に 変 更 されます。mark フィーチャーはフォント 情 報 の<br />

「フィーチャー」タブには 追 加 されず、フォント 出 力 時 に<br />

<strong>Glyphs</strong> 側 で 自 動 的 に 追 加 されます。<br />

mkmk Mark to Mark<br />

Positioning<br />

結 合 文 字 のグリフの 指 定 した 位 置 に 結 合 文 字 のグリフを<br />

配 置 するフィーチャーです。mark フィーチャー 用 のア<br />

ンダースコア 付 きアンカーだけでなく、アンダースコア<br />

なしのアンカーも 追 加 してください(「グリフ > アンカー<br />

を 自 動 設 置 (command + U)」を 実 行 すれば 自 動 で 配 置<br />

されます)。 例 えばacutecombの 上 に、 他 の 基 底 文 字 と<br />

同 様 にtop アンカーを 追 加 します。こうすることで、フォ<br />

ント 使 用 時 に 基 底 文 字 へ 複 数 の 結 合 文 字 を 配 置 できます。<br />

結 合 文 字 のグリフはフォント 出 力 時 に 自 動 的 にグリフ 幅<br />

が0に 変 更 されます。mkmkフィーチャーはフォント 情<br />

報 の「フィーチャー」には 追 加 されず、フォント 出 力 時<br />

に<strong>Glyphs</strong> 側 で 自 動 的 に 追 加 されます。<br />

<strong>Glyphs</strong>ハンドブック2016 年 11 月 版<br />

183


17.2 クラス 自 動 生 成<br />

OpenTypeクラスの 中 には 条 件 次 第 で 自 動 的 に 追 加 、 更 新 できるクラスが<br />

あります。<br />

All<br />

フォント 内 のすべてのグリフのクラスです。 必 要 に 応 じてユー<br />

ザーが 追 加 する 必 要 がありますが、 一 度 追 加 されれば 更 新 は<br />

自 動 で 行 うことができます。<br />

AllLetters フォント 内 で 文 字 カテゴリに 分 類 されるすべてのグリフのク<br />

ラスです。 必 要 に 応 じてユーザーが 追 加 する 必 要 があります<br />

が、 一 度 追 加 されれば 更 新 は 自 動 で 行 うことができます。<br />

ArabicLetters フォント 内 で 文 字 カテゴリかつアラビア 文 字 に 分 類 されるす<br />

べてのグリフのクラスです。<br />

DevaHalfForms デヴァナーガリー 文 字 のハーフフォーム 字 形 のクラスです。<br />

Uppercase フォント 内 で 文 字 カテゴリかつ 大 文 字 サブカテゴリに 属 するす<br />

べてのグリフのクラスです。 大 文 字 がフォント 内 にありcpsp<br />

フィーチャーが 追 加 されている 場 合 に 自 動 で 追 加 されます。<br />

この 項 で 鍵 括 弧 「」で 記 されている<br />

内 容 は、 特 に 明 記 されていない 限 り<br />

はすべてMicrosoft OpenType 仕<br />

様 書 からの 引 用 です:<br />

microsoft.com/typography/<br />

otspec/<br />

UFO3フォント 情 報 のプロパティは<br />

以 下 のページに 記 されています:<br />

unifiedfontobject.org/versions/<br />

ufo3/<br />

17.3 カスタムパラメータ<br />

カスタムパラメータはプロパティと 値 の2つで 構 成 されています。この 補 足<br />

資 料 では、プロパティを 太 字 で 示 し、 続 いて 値 のタイプを 斜 体 で 表 記 、そ<br />

してパラメータの 機 能 を 説 明 します。<br />

フォント 情 報 のフォント、マスター、およびインスタンスのタブの「カ<br />

スタムパラメータ」 欄 では、 有 効 なカスタムパラメータが 黒 で、 無 効 なも<br />

のは 灰 色 で 表 示 されます。カスタムパラメータを 無 効 にするには 存 在 しな<br />

いプロパティ 名 に 変 更 するのが 最 も 手 っ 取 り 早 いでしょう( 名 前 の 頭 にx<br />

を 追 加 するなど)。<br />

キャメルケース( 大 文 字 と 小 文 字 の 組 み 合 わせでスペースを 入 れないス<br />

ペリング。 例 えばredFishやRedFishはキャメルケースですがRed Fishや<br />

redfishは 違 います)で 記 されたカスタムパラメータ 名 はUFOの 仕 様 に 記 載<br />

されており、フォント 情 報 の 変 更 にかかわるものです。<strong>Glyphs</strong> 独 自 のもの<br />

はスペースを 使 用 し 語 頭 が 大 文 字 になっており、 大 抵 これらはフォント 内 の<br />

他 のデータを 変 更 するものです(フィルタを 実 行 するなど)。UFOパラメー<br />

タの 名 前 は2012 年 3 月 に 発 行 されたUFO3 仕 様 の 命 名 法 に 則 っています。<br />

<strong>Glyphs</strong>ではパラメータ 名 を 短 縮 することができ、 可 能 な 場 合 、 名 前 の 前 半 部<br />

分 を 省 略 することができます。 例 えば「openTypeNameDescription」の 代<br />

わりに「description」と 記 すこともできますし、「postscriptBlueScale」<br />

の 代 わりに「blueScale」と 記 すこともできます。 省 略 した 名 前 とフルネー<br />

ムは 混 ぜて 使 うことも 可 能 です。<br />

値 のタイプはブーリアン( 真 か 偽 、 有 効 か 無 効 などの2 択 )、 小 数 、 整<br />

数 、 自 然 数 ( 正 の 整 数 )、 文 字 列 、カラーパレット、 設 定 、リスト(たいて<br />

いの 場 合 は1 行 につき1 項 目 )のいずれかです。<br />

<strong>Glyphs</strong>ハンドブック2016 年 11 月 版<br />

184


Autohint ブーリアン フォント 出 力 ダイアログのオートヒント 設 定 の 内 容 に<br />

関 わらず 強 制 的 にオートヒントを 実 行 または 無 視 します。<br />

blueScale 小 数<br />

BlueScale 値 です。これはType 1/CFFのBlueScaleに 対 応<br />

しています。オーバーシュートの 押 し 込 みが 解 除 される(オーバーシュー<br />

トが1ピクセル 分 表 示 され 始 める)フォントサイズを 制 御 するプロパティ<br />

であり、(300dpi でのポイントサイズ-0.49)÷240という 計 算 式 で 算 出 で<br />

きます。 例 えば300dpi の10ポイント 以 降 でオーバーシュートを 可 視 化 さ<br />

せる 場 合 は0.039625です。もし 値 を 独 自 に 設 定 しない 場 合 は、blueScale<br />

はデフォルト 値 である0.037を 使 用 し、これは300dpi における9.37ポイ<br />

ントまたは39ピクセルに 相 当 します。その 場 合 、オーバーシュートはフォ<br />

ントサイズが40ピクセルからはオーバーシュートが 再 現 されるようになる<br />

ということです。また300dpi のレーザープリンタでも9.37ポイントまで<br />

は 押 し 潰 しが 発 生 します。blueScale の 最 大 値 はフォントのアラインメン<br />

トゾーンのサイズによります。300dpi における 最 大 のポイントサイズの<br />

計 算 式 は0.49 + 240÷ フォント 内 の 最 大 のアラインメントゾーンのサイズ<br />

であり、これは2.04 + 1000÷フォント 内 の 最 大 のアラインメントゾーンの<br />

サイズで 算 出 されるppm(ピクセル 単 位 のフォントサイズ)に 対 応 してい<br />

ます。( 最 大 のポイントサイズ-0.49)×( 最 大 のアラインメントゾーンのサ<br />

イズ)は240 未 満 でなければいけません。<br />

例 えば、もしあなたのフォント 内 のの 最 大 のゾーン 幅 が21ユニットで<br />

ある 場 合 、2.04 + 1000÷21 = 49.659なので、 最 大 49ppm(pixels per<br />

eM、ピクセル 数 で 表 現 されるフォントサイズ)まではオーバーシュー<br />

トが 押 し 込 まれるのが 合 理 的 でしょう。300dpi でそれに 対 応 するサイ<br />

ズは0.49 + 240÷21 = 11.919ポイントになり、つまりblueScale の 値 は<br />

(11.919-0.49)÷240 = 0.04762を 超 えてはいけません。<br />

blueShift 整 数 または 小 数 BlueShift の 値 です。これはType 1/CFF の<br />

BlueShift に 対 応 しています。blueScale で 設 定 されたフォントサイズよ<br />

り 細 かなオーバーシュートの 表 示 を 制 御 する 値 で、 初 期 値 は7です。アラ<br />

インメントゾーン 内 のオーバーシュートは 以 下 の 条 件 を 満 たした 時 に 表 示<br />

されます。(a)オーバーシュートのはみ 出 し 具 合 がBlueShift 以 上 である<br />

場 合 。( b)BlueShift よりオーバーシュート 量 が 小 さいが、0.5ピクセル<br />

よりは 大 きい 場 合 。 例 えばblueScale により32ppm までオーバーシュー<br />

ト 不 可 視 になっておりblueShift が6で、アラインメントゾーンのサイズ<br />

が12ユニットのケースを 考 えましょう。C やOのような 文 字 は12ユニット<br />

に 到 達 していますが、それとは 別 にHなどのセリフ 形 状 が 平 坦 ではなく 緩<br />

やかな 凹 型 で、そのオーバーシュート 量 は5ユニットであるとします。0~<br />

32ppmまではベースラインは 完 全 に 真 っ 平 らに 表 示 されます。33ppmか<br />

らはC やOのオーバーシュートが 表 示 されるようになります。しかし 先 に<br />

挙 げた5ユニットの 小 さなオーバーシュートは、100ppm になるまで 半 ピ<br />

クセルに 満 たないため 平 らなままとなります。<br />

<strong>Glyphs</strong>ハンドブック2016 年 11 月 版<br />

185


CJK Grid 整 数 日 中 韓 の 文 字 ( 漢 字 や 仮 名 、ハングルなど)を 編 集 中 に 表 示 さ<br />

れる 点 線 のグリッドの 線 の 本 数 です。CJK Grid HorizontalとCJK Grid<br />

Vertical を 使 うと 縦 と 横 で 違 う 分 割 率 を 適 用 できます。CJK Grid カスタ<br />

ムパラメータがない 場 合 、グリッドは 表 示 されません。またCJK Guideと<br />

同 様 、 文 字 種 専 用 のグリッドを 設 定 できます。<br />

CJK Grid Horizontal 整 数 日 中 韓 の 文 字 を 編 集 中 に 表 示 される 点 線 のグ<br />

リッドの 縦 線 の 数 です( 水 平 方 向 の 分 割 回 数 )。またCJK Guideと 同 様 、 文<br />

字 種 専 用 のグリッドを 設 定 できます。<br />

CJK Grid Vertical 整 数<br />

日 中 韓 の 文 字 を 編 集 中 に 表 示 される 点 線 のグリッド<br />

の 横 線 の 数 です( 垂 直 方 向 の 分 割 回 数 )。またCJK Guide と 同 様 、 文 字 種<br />

専 用 のグリッドを 設 定 できます。<br />

CJK Guide 小 数 または 文 字 列<br />

日 中 韓 の 文 字 を 編 集 中 に 表 示 される 補 助 の 正 方<br />

形 のサイズをパーセントで 指 定 します。( 例 :10% 小 さい 正 方 形 は10)。 た<br />

だし 両 端 からそれぞれ10% 引 くので、 正 方 形 の 幅 および 高 さは 合 計 20% 小<br />

さくなります。このパラメータがない 場 合 は 表 示 されません。 使 用 を 想 定<br />

した 文 字 の 名 前 を 付 記 すると、その 文 字 にのみ 現 れます( 例 :kana:5とす<br />

ると、 片 仮 名 および 平 仮 名 にのみ5% 引 きの 正 方 形 が 現 れ、 漢 字 など 他 の<br />

文 字 には 現 れません)。 平 仮 名 はhira、 片 仮 名 はkata、 両 方 はkana、 漢<br />

字 はhan、ハングルはhangulとなっています。 文 字 によってサイズの 違<br />

う 正 方 形 を 表 示 させたい 場 合 は、その 分 だけCJK Guideカスタムパラメー<br />

タを 追 加 してください。<br />

codePageRanges リスト OS/2テーブルのulCodePageRange1とulCode­<br />

PageRange2を 設 定 します。「このフィールドはフォントファイルが 含 む<br />

コードページをプラットフォーム3、エンコーディングID 1(Microsoft<br />

プラットフォーム) 向 けに 知 らせるためのものです。ここに 記 されるすべ<br />

てのコードページはしっかり 機 能 している 前 提 となります。それぞれの<br />

ページは 独 立 したフラッグであり、どのように 組 み 合 わせても 構 いません。<br />

しっかり 機 能 している、とはフォントデザイナー 側 の 解 釈 に 任 されますが、<br />

コードページ 内 の 文 字 は 確 実 に 表 示 されることが 期 待 されます。」<br />

Color Palette カラーパレット<br />

Microsoft 式 のOpenTypeのCPALテーブル<br />

を 出 力 します( 詳 細 は「13.3 Microsoft カラーフォント」(p.151)を 参<br />

照 してください)。このパラメータがあると、<strong>Glyphs</strong>のフォントビュー 内<br />

でカラーグリフが 表 示 されるようになります。<br />

compatibleFullName 文 字 列 互 換 用 フルネームです( 旧 Mac OS 専 用 。OS<br />

X および 他 のOSでは 使 われません)。OpenTypeのnameテーブルID 18<br />

に 相 当 します。もしこれが 設 定 されていない 場 合 、ID 18は 各 インスタンス<br />

のファミリー 名 とスタイル 名 を 用 いて 自 動 的 に 生 成 されます。「Macintosh<br />

では、このメニュー 名 はFONDリソースを 用 いて 構 築 されます。これは 通<br />

常 Full Nameと 一 致 します。もしFull Nameと 違 うフォント 名 を 表 示 さ<br />

せたい 場 合 は、ID 18に 任 意 のCompatible Full Nameを 設 定 することが<br />

<strong>Glyphs</strong>ハンドブック2016 年 11 月 版<br />

186


できます。」<br />

Compatible Name Table ブーリアン<br />

旧 式 のネームテーブルを 出 力 するよう<br />

指 定 します。Macのアプリケーションのなかにはこのテーブルが 入 っている<br />

ことを 想 定 しているものがあります( 例 :Quark XPress、FontExplorer)。<br />

copyright 文 字 列 著 作 権 表 記 です。フォント 情 報 の「フォント」タブの 著 作<br />

権 表 記 は 無 視 され、こちらが 優 先 されます。これはOpenType のname<br />

テーブルID 0に 相 当 します。<br />

description 文 字 列 フォントの 説 明 です。OpenType のname テーブルID<br />

10に 相 当 します。「タイプフェイスの 説 明 です。 更 新 履 歴 、 推 奨 用 途 、 開<br />

発 の 経 緯 、フォントの 特 徴 などを 記 述 できます。」<br />

DisableAllAutomaticBehaviour ブーリアン これが 有 効 の 場 合 、フォン<br />

ト 出 力 時 に 実 行 されるすべての 自 動 処 理 が 発 動 しなくなります。これには<br />

非 スペーシンググリフの 字 幅 ゼロ 調 整 、OpenType フィーチャーの 更 新 、<br />

グリフ 名 の 製 品 用 名 への 変 更 があります。 特 殊 なフォント 製 品 化 のワーク<br />

フローが 関 わる 場 合 にのみ 使 用 するようにしてください。<br />

Disable autohinting for glyphs 文 字 列 リスト<br />

グリフ 名 のリストです。こ<br />

のパラメータに 挙 げられたグリフにはPostScriptのオートヒンティングが<br />

省 略 されます(TrueType オートヒントはグリフごとに 省 略 できません)。<br />

装 飾 度 の 強 いオーナメントなど、フォント 内 の 特 定 のグリフのみヒンティ<br />

ングを 省 きたいときに 有 効 です。<br />

Disable Last Change ブーリアン .glyphs ファイルに 前 回 更 新 日 の 情 報 を<br />

保 存 するのを 防 止 します。SVNやGit などのバージョンコントロールシス<br />

テムの 使 用 時 、 無 意 味 なファイル 内 容 の 更 新 が 起 きてしまうのを 避 けるの<br />

に 有 効 です。<br />

Disable Masters 文 字 列 リスト マスター 名 のリストです。 挙 げられた 名 前<br />

のマスターを 無 効 化 し、 残 りのマスターから 補 間 を 試 みます。これは3つ<br />

以 上 のマスターがあるファイルで、 任 意 のマスターをファイルから 取 り 除<br />

いても 良 好 な 補 間 結 果 が 得 られるかどうかを 試 す 実 験 用 に 使 われます。<br />

Disable Subroutines ブーリアン<br />

これが 有 効 の 場 合 、フォント 出 力 時 にアウ<br />

トラインの 自 動 処 理 が 無 効 になります。フォントのアウトラインが 複 雑 で<br />

ポイント 数 が 多 く 出 力 ができない 場 合 、またはグリフ 数 がとても 多 いフォ<br />

ントをテスト 目 的 で 出 力 するときに 使 います。 例 えば 日 中 韓 ( 漢 字 圏 )の<br />

フォントを 出 力 するときに 毎 回 コンパイルに 時 間 がかかりすぎる 場 合 に 使<br />

用 してください。<br />

Don’t use Production Names ブーリアン<br />

通 常 <strong>Glyphs</strong>は 内 部 のグリフ 名<br />

のデータベースを 元 に、 出 力 するフォントに 格 納 されるグリフの 名 前 をデ<br />

ザイン 時 のものから、 技 術 的 な 要 件 を 満 たした 製 品 用 名 に 変 更 します。こ<br />

のカスタムパラメータが 有 効 になっていると、グリフ 名 の 変 更 処 理 が 省 略<br />

されます。ただしOS X 10.4のテキストエンジンなど、アプリケーショ<br />

ンやシステムによってはAGL(Adobe Glyph List)に 準 拠 したグリフ 名<br />

<strong>Glyphs</strong>ハンドブック2016 年 11 月 版<br />

187


を 想 定 したものがあります。これはフォント 情 報 の「その 他 」で 定 義 する<br />

「 標 準 外 のグリフ 名 を 使 用 」と 同 じで、 独 自 の 命 名 規 則 をそのまま 最 終 的 な<br />

フォントに 適 用 させたいユーザーに 向 けた 機 能 です。<br />

EditView Line Height 整 数 編 集 ビューでのフォントの 行 の 高 さを 指 定 し<br />

ます。 制 作 中 のフォントの 縦 メトリクスがイレギュラーであるか、その 他<br />

の 何 らかの 理 由 で 初 期 状 態 の 行 間 を 変 更 したい 場 合 に 使 用 します。 出 力 す<br />

るフォントの 情 報 には 一 切 影 響 を 与 えません。<br />

Export <strong>Glyphs</strong> 文 字 列 リスト グリフ 名 のリストです。ここに 挙 げられたグ<br />

リフは、フォントファイル 内 の「 出 力 時 に 含 める」 設 定 を 一 切 無 視 して 必<br />

ず 出 力 されるようになります。<br />

Export Path 文 字 列 フォント 出 力 先 のフォルダの 位 置 をPOSIX 形 式 のファ<br />

イルパスで 明 記 してください。<br />

Family Alignment Zones リスト ファミリー 内 でのオーバーシュートの 差<br />

を 抑 え、 低 解 像 度 下 でより 一 貫 性 の 高 いフォントの 表 示 結 果 を 出 すための<br />

パラメータです。ファミリー 内 の 最 も 重 要 なフォント( 例 えばRegular)<br />

のアラインメントゾーン( 例 えばベースライン、x- ハイト、キャップハイ<br />

ト)をここに 記 しておくと 良 いでしょう。するとラスタライザは、 各 フォ<br />

ントのハイトとファミリー・アラインメントゾーンとの 差 が1ピクセル 以<br />

内 のときは、すべてのフォントの 高 さを 揃 えようと 試 みます。このメカニ<br />

ズムが 機 能 するには、ファミリー・アラインメントゾーンが 各 マスターの<br />

アラインメントゾーンと 数 が 一 致 しており、 互 換 性 がある 必 要 があります。<br />

上 :ファミリー・アラインメント 設<br />

定 なし。:ファミリー・アラインメ<br />

ント 設 定 あり。<br />

familyName 文 字 列 ファミリー 名 です。フォント 情 報 のファミリー 名 は 無<br />

視 され、こちらが 優 先 されます(「7.1.1 ファミリー 名 」(p.XXX)を 参 照 )。<br />

OpenTypeのnameテーブルID 1とID 4に 対 応 します。ID 3、4、6を 生<br />

成 するのに 使 われます。<br />

fileName 文 字 列 既 に 出 力 済 みのフォントがあって、これから 出 力 するフォ<br />

ントの 情 報 を 変 更 することなく、かつ 出 力 済 みのフォントの 上 書 きも 避 け<br />

てフォント 出 力 したい 場 合 に、ファイル 名 をここで 変 更 しておく 機 能 です。<br />

あるいはフォントファイル 内 に 同 一 名 のインスタンスが 複 数 ある 場 合 、フォ<br />

ント 出 力 時 には 片 方 が 上 書 きされてしまいますが、ここで 名 前 を 指 定 して<br />

おくことで 回 避 することができます。OTF ファイルの、「.otf」 拡 張 子 を 除<br />

く 名 前 を 入 力 します。<br />

Filter 文 字 列 <strong>Glyphs</strong> のフィルタをフォント 出 力 時 に 使 用 する 機 能 で、コン<br />

ポーネントグリフの 分 解 後 に 実 行 されます。 以 下 が 使 用 可 能 なフィルタ 値<br />

<strong>Glyphs</strong>ハンドブック2016 年 11 月 版<br />

188


Tip: 角 丸 フィルタで 内 向 きの 角 に<br />

角 丸 を 適 用 させたい 場 合 は、< 半 径 ><br />

を 負 の 数 にします。<br />

です。 手 入 力 を 必 要 としない 便 利 な 追 加 方 法 も 用 意 されています。「フィル<br />

タ」メニューから 実 行 するダイアログ 内 の 左 下 には ◆cog◆アイコンがあり、そ<br />

こからフィルタのプロパティ 名 と 設 定 値 をクリップボードへコピーできま<br />

す。これを「インスタンス」タブのカスタムパラメータでペーストすると、<br />

プロパティと 値 を 追 加 できます。<br />

・ 極 点 を 追 加 :AddExtremes<br />

・ハッチング:HatchOutlineFilter; OriginX:; OriginY:; StepWidth:; Angle:< 角 度 >; Offset:< 線 幅 ><br />

・パスをオフセット:OffsetCurve;< 横 >;< 縦 >;< ストロークを 作 る>;<<br />

ポジション/ 自 動 ><br />

・ 重 なったパスを 合 体 :RemoveOverlap<br />

・ラフ:Roughenizer; ; < 横 >; < 縦 >; < 角 度 ><br />

・ 角 丸 :RoundCorner;< 半 径 >;< 視 覚 調 整 ><br />

・スマート 角 丸 :RoundedFont; <br />

・ 変 形 :Transformations; LSB:< 左 サイド>; RSB:< 右 サイド>;<br />

Width:< グリフ 幅 >; ScaleX:< 横 拡 大 率 >; ScaleY:< 縦 拡 大 率 >;<br />

Slant:< 傾 斜 角 >; SlantCorrection:< 視 覚 的 傾 斜 >; OffsetX:< 横 移<br />

動 量 >; OffsetY:< 縦 移 動 量 >; Origin:< 基 準 点 ><br />

< >で 記 された 値 の 部 分 には、< >は 取 り 除 いて 数 字 だけを 入 力 してくださ<br />

い。< ストロークを 作 る>、< 視 覚 調 整 >、< 視 覚 的 傾 斜 > のブーリアン 値<br />

には1( 発 動 )または0( 無 効 )を 入 力 します。パスをオフセットの には0.0から1.0までの 小 数 を 入 力 します(1.0が100%を 意<br />

味 します)。またはauto と 入 力 すると 自 動 ストロークになります。スマー<br />

ト 角 丸 フィルタのは 入 力 しなくても 構 いません。 変 形 フィルタ<br />

の< 基 準 点 > は0から4までの5つのオプションがあり、「フィルタ > 変 形 」<br />

の 基 準 点 の 内 容 と 一 致 しています。キャップハイト(0)、キャップハイト<br />

の½(1)、 x ハイト(2)、 x ハイトの½(3)、ベースライン(4)。また 変<br />

形 フィルタの 左 サイドベアリング、 右 サイドベアリング、グリフ 幅 は 入 力<br />

値 の 分 だけ 増 減 させたい 場 合 は + または- を 付 け( 例 :LSB:+20; RSB:-<br />

10)、 入 力 値 にしたい 場 合 は = を 付 けます( 例 :Width:=500)。<br />

フィルタを 特 定 のグリフにのみ 適 用 させたい 場 合 、 末 尾 にinclude:ま<br />

たはexclude:を 追 加 し、コンマ 区 切 りまたはスペース 区 切 りのグリフ 名 を<br />

入 力 します。<br />

例 :<br />

RoundCorner;10;1;include:A,B,C(A B Cのみ 角 丸 フィルタを 適 用 )<br />

RemoveOverlap;exclude:a b c(a b c 以 外 のすべてのグリフのパス<br />

を 合 体 )<br />

サードパーティー 製 フィルタのカスタムパラメータを 使 用 したい 場 合 、 表 記<br />

法 についてはそれぞれの 説 明 を 参 照 してください。 特 にincludeとexclude<br />

はサポートされていない 場 合 があります。<br />

<strong>Glyphs</strong>ハンドブック2016 年 11 月 版<br />

189


埋 め 込 みタイプはアプリケーション<br />

に 対 して 使 用 範 囲 を 提 案 するだけの<br />

もので、フォントの 保 護 メカニズム<br />

ではありません。fsTypeを 無 視 す<br />

るアプリケーションもあります。<br />

fsType 数 字 リスト 埋 め 込 みタイプを 表 すビット 数 のリストであり、OpenType<br />

OS/2 table fsTypeフィールドに 対 応 しています。ビット 数 はOpenType<br />

OS/2 仕 様 書 に 記 載 されています。「 埋 め 込 みタイプの 表 記 です。フォント<br />

の 埋 め 込 みのライセンス 権 利 を 表 します。 埋 め 込 み 可 能 なフォントは 書 類<br />

の 内 部 に 保 存 することができます。 目 的 のフォントがインストールされて<br />

いないマシン( 遠 隔 システム)でフォントが 埋 め 込 まれた 書 類 を 開 いた 場<br />

合 、 埋 め 込 み 機 能 を 理 解 するシステムまたはアプリケーションによって 一<br />

時 的 (または 場 合 によっては 恒 久 的 )にフォントが 読 み 込 まれます。 埋 め<br />

込 みライセンス 権 利 の 有 無 はフォントベンダーによって 決 定 されます。<br />

OpenType フォント 埋 め 込 みDLL 仕 様 書 とDLL リリースノートは<br />

OpenTypeフォントの 埋 め 込 みと 読 み 込 み 機 能 をサポートするためのAPI<br />

について 説 明 しています。 埋 め 込 みDLL や 他 の 方 法 を 使 ってフォント 埋 め<br />

込 みをサポートするアプリケーションは、 埋 め 込 みを 許 可 されていないフォ<br />

ントを 埋 め 込 んではいけません。さらに、フォントを 一 時 的 に 読 み 込 むア<br />

プリケーション( 以 下 のプレビュー& 印 刷 、 編 集 用 の 埋 め 込 みを 参 照 )は、<br />

埋 め 込 まれた 書 類 が 閉 じられた 時 点 で 即 座 にフォントを 削 除 しなければい<br />

けません。」<br />

設 定 の 候 補 は 以 下 の 通 りです。<br />

・Not set( 未 設 定 ):「 未 設 定 になっているフォントは、 書 類 への 埋 め<br />

込 みとアプリケーションを 通 して 遠 隔 システムに 恒 久 的 にインストー<br />

ルすることが 許 可 されます。 遠 隔 システムのユーザーは、 元 のフォン<br />

トの 購 入 者 と 同 一 の 権 利 、 義 務 、そしてライセンスを 得 ることになり、<br />

同 じユーザーライセンス 契 約 、 著 作 権 、デザイン 特 許 、そして 商 標 を<br />

受 け 継 ぎます。」<br />

・Forbidden( 禁 止 ):「 埋 め 込 みライセンス 規 制 あり。この 設 定 になっ<br />

ているフォントは 法 的 な 所 有 者 の 許 可 なしにはいかなる 方 法 でも 加 工 、<br />

埋 め 込 み、 受 け 渡 ししてはいけません。 注 意 :このオプションが 機 能 す<br />

るには、これ 以 外 の 埋 め 込 みレベルが 設 定 されていてはいけません。」<br />

・Preview & Print( 表 示 と 印 刷 のみ):「この 設 定 になっている 場 合 は<br />

フォントの 埋 め 込 みが 可 能 で、 遠 隔 システムに 一 時 的 に 読 み 込 まれ、 読<br />

み 込 み 専 用 の 書 類 の 表 示 と 印 刷 が 可 能 になります。 書 類 の 編 集 はでき<br />

ません。」<br />

・Editable( 編 集 可 ):「この 設 定 になっている 場 合 は、フォントは 書 類<br />

に 埋 め 込 み 可 能 ですが、 遠 隔 システムに 読 み 込 まれるのは 一 時 的 です。<br />

表 示 と 印 刷 の 設 定 とは 違 って、このフォントを 埋 め 込 まれた 書 類 は 編<br />

集 でき、 変 更 内 容 を 保 存 することもできます。」<br />

・Subsetting forbidden(サブセット 禁 止 ):「この 設 定 になっている 場<br />

合 は、フォントはサブセット( 文 字 セットの 分 割 )が 禁 止 であり、 埋<br />

め 込 み 時 には 必 ずフォンと 全 体 が 含 まれます。 他 の 埋 め 込 み 制 限 も 適<br />

用 されます。」<br />

<strong>Glyphs</strong>ハンドブック2016 年 11 月 版<br />

190


GASP Table 設 定 TrueType フォントのgasp テーブル(grid-fitting and<br />

scan-conversion procedure)を 設 定 するためのパラメータです。 望 まし<br />

いレンダリング 挙 動 が 変 化 する2つのPPMの 閾 値 を 制 御 します。gaspテー<br />

ブルはグレイスケールとClearTypeサブピクセルレンダリング 両 方 におい<br />

て 推 奨 されるレンダリング 情 報 を 保 有 します。ただしレンダラーによって<br />

はこの 情 報 を 一 切 無 視 することがあります。「このテーブルは 書 体 がグレイ<br />

スケール 表 示 可 能 なデバイスで 表 示 される 際 に 望 ましいラスタライズのテ<br />

クニックを 記 す 情 報 を 含 んでいます。またこのテーブルは 白 黒 2 階 調 デバイ<br />

スでとても 大 きい 場 合 と 小 さい 場 合 にパフォーマンスを 改 善 するためにヒ<br />

ンティングを 無 効 化 するのにも 使 えます。」 標 準 の 閾 値 は8PPM と20PPM<br />

です。 閾 値 は2つ 設 定 するため3つのゾーンが 存 在 し、それぞれに 以 下 のプ<br />

ロパティを 与 えられます:<br />

・ヒンティングなし& 対 称 : 最 初 の 閾 値 に 達 するまではピクセルグリッ<br />

ドに 合 わせた 変 形 は 行 われず、 可 能 な 場 合 アンチエイリアスが 有 効 化<br />

されます。「グレイスケール 表 示 可 能 なデバイスでは 極 小 サイズのフォ<br />

ントはヒンティングを 使 わずグレイスケールのみで 表 示 するのが 最 適<br />

です。」<br />

・ヒンティング& 非 対 称 :2つの 閾 値 の 間 のサイズでは、ラスタライザー<br />

はグレイスケール 表 示 を 抑 え、ピクセルグリッドに 合 わせてアウトラ<br />

インを 変 形 するようになります。「 中 間 のサイズでは、 通 常 はヒンティ<br />

ングと 白 黒 2 階 調 の 組 み 合 わせのレンダリングが 最 も 見 た 目 が 良 くな<br />

ります。」ClearType では 縦 方 向 にはアウトラインの 変 形 が 起 きます<br />

が 横 方 向 にはサブピクセルレンダリングが 適 用 されます。この 縦 横 の<br />

挙 動 の 違 いが「 非 対 称 」と 呼 ばれる 理 由 です。<br />

・ヒンティング& 対 称 :2つ 目 の 閾 値 以 降 は、ラスタライザーはアウトラ<br />

インの 変 形 とグレイスケール 表 示 の 両 方 を 行 うようにプログラムされ<br />

ています。「 大 きいサイズでは、 通 常 はヒンティングとグレイスケール<br />

の 併 用 が 最 良 な 結 果 になります。」ClearType ラスタライザーは 縦 方<br />

向 にはグレイスケールのアンチエイリアス、 横 方 向 にはサブピクセル<br />

レンダリングを 適 用 します。これが 対 象 と 呼 ばれる 理 由 です。「デジタ<br />

ル 画 面 上 で 大 きいサイズで 表 示 する 場 合 、( 略 )Windowsフォントレ<br />

ンダラーに 追 加 された 新 機 能 によりスムースで 明 瞭 な 結 果 が 得 られま<br />

す 」( Now Read this: The Microsoft Cleartype Font Collection,<br />

Microsoft, 2004, p.14)<br />

glyphOrder 文 字 列 リスト グリフの 並 び 順 です。<strong>Glyphs</strong> 内 のグリフID 番 号 、<br />

出 力 されたフォントのグリフIDの 両 方 に 反 映 されます。グリフ 名 を1 行 に1<br />

つずつ 記 入 して 設 定 します。リストフィルタの 内 容 をそのままコピー&す<br />

ることもできます。ここにリストされていないグリフは 末 尾 に<strong>Glyphs</strong> の<br />

標 準 の 並 び 順 で 表 示 されます。<br />

Grid Spacing 小 数 出 力 するフォントのポイントの 座 標 の 精 度 をユニット 数<br />

<strong>Glyphs</strong>ハンドブック2016 年 11 月 版<br />

191


で 設 定 します。これはフォント 情 報 の「グリッドのユニット 間 隔 」を「グ<br />

リッド 細 分 」で 割 った 値 になります。0.0に 設 定 すればインスタンスのポイ<br />

ントの 座 標 が 小 数 になり、 精 度 が 最 大 になります。0.01に 設 定 すると 精 度<br />

を 無 制 限 ではなく1/100ユニットに 制 限 できます。こうすることで 無 駄 に<br />

長 い 小 数 座 標 を 短 縮 することができます。このパラメータの 主 な 目 的 はと<br />

ても 細 いフォントの 補 間 において 微 細 な 差 を 残 すため、 整 数 のユニット 間<br />

隔 を 避 けることにあります。<br />

Has WWS Names ブーリアン<br />

OS/2テーブルのfsSelectionの8ビット 目 の<br />

情 報 を 設 定 します。OpenType 仕 様 書 によれば、このビットは「フォント<br />

がWWS(ウエイト/ 字 幅 / 傾 斜 )の 表 記 方 式 に 則 ったnameテーブルを 内<br />

包 しており、name ID 21および22を 必 要 としないことを 意 味 します。」<br />

このパラメータはウエイト/ 字 幅 / 傾 斜 の 順 にフォントのスタイル 名 を 設 定<br />

している 時 にのみ 有 効 です。<br />

hheaAscender 整 数 アセンダー 値 です。OpenType の hhea テーブル<br />

(horizontal header)のAscender フィールドに 相 当 します。「タイポ<br />

グラフィ 的 なアセンダー(ベースラインから 一 番 高 いアセンダーまでの 高<br />

さ)の 値 です。」<br />

hheaDescender 整 数<br />

ディセンダー 値 です。OpenTypeのhheaテーブルの<br />

Descender フィールドに 相 当 し、 負 の 数 で 表 記 します。「タイポグラフィ<br />

的 なディセンダー(ベースラインから 一 番 低 いディセンダーまでの 高 さ)<br />

の 値 です。」<br />

hheaLineGap 整 数<br />

行 間 の 値 、つまりディセンダーと 次 行 のアセンダーとの<br />

隙 間 の 値 です。OpenType のhhea テーブルのLineGap フィールドに 相<br />

当 します。「タイポグラフィ 的 な 行 間 の 値 です。」<br />

InterpolationWeightY 整 数<br />

縦 の 補 間 値 です。これを 設 定 すると 各 ポイント<br />

のX 座 標 とY 座 標 の 補 間 値 を 意 図 的 に 違 うものに 設 定 することができ、パ<br />

ラメータにはY 軸 の 補 間 値 を 入 力 します。これを 発 動 させるには、インス<br />

タンスの 補 間 値 と 違 う 値 が 入 っていなければいけません。ただし 斜 め 方 向<br />

の 線 は 形 が 崩 れやすいので 注 意 してください。InterpolationWeightYの<br />

値 はウエイトの 補 間 値 からあまり 差 を 大 きくしないことをお 勧 めします。<br />

例 えば、ウエイト20と100のマスターがあるとして、ウエイト 補 間 値<br />

50のインスタンスがあるケースで、 水 平 方 向 の 線 が 細 すぎて 見 えるとしま<br />

す。 補 間 値 60ではちょうどいいのですが、それでは 縦 線 も 同 時 に 太 ってし<br />

まい、 縦 線 が 太 くなりすぎます。このような 場 合 に 補 間 値 は50にしておき、<br />

InterpolationWeightY を60に 設 定 すれば 理 想 の 結 果 が 得 られます。 横<br />

方 向 ( 縦 線 の 幅 )は 補 間 値 50、 縦 方 向 ( 横 線 の 幅 )は 補 間 値 60として 補 間 、<br />

出 力 されます。<br />

isFixedPitch ブーリアン<br />

postテーブルのisFixedPitchフラグを 設 定 します。<br />

これはフォントが 等 幅 かどうかを 明 示 するもので、ラスタライザーはすべ<br />

ての 文 字 の 幅 を 同 じピクセル 数 で 表 示 するようになります。<br />

<strong>Glyphs</strong>ハンドブック2016 年 11 月 版<br />

192


CFFとpostテーブルではイタリッ<br />

ク 角 度 は90°から 反 時 計 回 りで 表 記<br />

されます。<strong>Glyphs</strong>は 入 力 値 を 自 動<br />

的 に 解 釈 して 最 適 な 値 を 適 用 します。<br />

italicAngle 整 数 または 小 数 イタリックの 角 度 です。90° から 反 時 計 回 りの<br />

傾 斜 角 を 設 定 します。このパラメータを 設 定 するとフォント 情 報 の「マス<br />

ター」タブのイタリック 角 度 の 情 報 は 無 視 され、こちらが 優 先 されます。こ<br />

れが 便 利 になる 状 況 は、たとえば 少 し 傾 斜 のあるローマン 書 体 をデザインす<br />

るときです。「マスター」タブで 傾 斜 角 を 入 力 するとデザイン 時 に 楽 ですが、<br />

OS Xはイタリック 角 度 が0でない 場 合 は 即 座 にイタリックであると 判 断 す<br />

るため、フォント 出 力 時 にこのカスタムパラメータを 使 って 強 制 的 に0に<br />

戻 すことができます。このパラメータの 存 在 はCFF のItalicAngle、post<br />

テーブルのitalicAngle、OS/2の 上 付 き 文 字 とした 付 き 文 字 の 横 方 向 のオフ<br />

セット 値 、そしてhheaテーブルのcaretSlopeRiseおよびcaretSlopeRun<br />

に 影 響 を 与 えます。<br />

Keep <strong>Glyphs</strong> リスト 出 力 するフォントに 含 めるグリフのリストです。ここ<br />

に 含 まれないグリフはすべて 削 除 され、カーニングとOpenType フィー<br />

チャーも 自 動 で 更 新 されます。Remove <strong>Glyphs</strong>カスタムパラメータと 逆<br />

の 働 きをします。Web フォント 用 のサブセット 版 フォントを 作 る 時 などに<br />

便 利 です。Rmove <strong>Glyphs</strong>とKeep <strong>Glyphs</strong>は 互 いに 排 他 的 な 関 係 にあり、<br />

共 存 はできません。<br />

Keep Overlapping Components ブーリアン Ccedilla(Ç)コンポーネ<br />

ントを 使 ったグリフに 複 数 のコンポーネント 同 士 やコンポーネントとアウ<br />

トラインとの 重 なりがあった 場 合 には 通 常 コンポーネントを 分 解 しますが、<br />

このパラメータが 有 効 になっているとスキップします。 他 アプリケーショ<br />

ンで 追 加 処 理 することをを 想 定 したTrueTypeフォントを 出 力 する 場 合 な<br />

どに 便 利 です。<br />

license 文 字 列<br />

ライセンス 情 報 です。OpenTypeのnameテーブルID 13に<br />

相 当 します。「フォントが 法 的 にどのような 使 用 が 許 可 されているかの 記 述 、<br />

または 具 体 的 な 合 法 使 用 例 の 記 述 です。このフィールドは 法 律 的 な 言 葉 遣<br />

いを 避 け、 分 かりやすく 書 かれていなければいけません。」<br />

licenseURL 文 字 列 ライセンスのURL です。OpenType のname テーブル<br />

ID14に 相 当 します。「より 詳 細 なライセンス 情 報 が 確 認 できるURLで す 。」<br />

必 ず 通 信 プロトコルから 始 まるようにしてください( 典 型 的 な 例 はhttp://)。<br />

Link Metrics With First Master ブーリアン<br />

これが 有 効 の 場 合 、サイド<br />

ベアリングとカーニングをすべてのマスターとカラーレイヤーにおいて 最<br />

初 のマスターの 値 に 同 期 します。こうすることで、スペーシングとカーニ<br />

ング 作 業 は 最 初 のマスターのみに 行 うだけで 済 みます。 各 レイヤーの 字 幅<br />

が 一 致 している 必 要 のある 複 数 レイヤー 構 成 のカラーフォントをデザイン<br />

する 場 合 に 便 利 です。<br />

Local Interpolation 文 字 列<br />

指 定 したグリフに 異 なる 補 間 値 を 適 用 します。<br />

フォーマットは; < 字 幅 値 >; < カスタム 値 >; include: です。 最 初 の3つの 値 は 補 間 値 で、 最 後 は 適 用 させる<br />

グリフ 名 のリストです。1 軸 のみ 使 用 しているファイルでは、 値 は1つだ<br />

<strong>Glyphs</strong>ハンドブック2016 年 11 月 版<br />

193


けで 十 分 です。 例 えば「120; include: a, g, s」とすると、a g s の3グリ<br />

フにウエイト 値 120で 補 間 し、 他 のグリフはインスタンスの 設 定 値 通 りに<br />

補 間 されます。<br />

localizedDesigner 文 字 列 英 語 以 外 のシステム 言 語 を 使 用 時 に 表 示 される<br />

非 ASCII 文 字 を 使 用 したデザイナー 名 です(name ID 9)。 値 をダブルク<br />

リックして 言 語 を 選 び、 名 前 を 入 力 します。 複 数 の 言 語 に 対 応 させたい 場<br />

合 はその 数 だけlocalizedDesignerカスタムパラメータを 追 加 します。<br />

localizedFamilyName 文 字 列 英 語 以 外 のシステム 言 語 を 使 用 時 に 表 示 さ<br />

れる 非 ASCII 文 字 を 使 用 したフォントファミリー 名 です。 値 をダブルク<br />

リックして 言 語 を 選 び、 名 前 を 入 力 します。 複 数 の 言 語 に 対 応 させたい 場<br />

合 はその 数 だけlocalizedFamilyNameカスタムパラメータを 追 加 します。<br />

name テーブルID1とID4 用 にエンコードされたローカライズ 名 を 自 動 生<br />

成 します。<br />

localizedStyleMapFamilyName 文 字 列 英 語 以 外 のシステム 言 語 を 使 用<br />

時 に 表 示 されるStyleMapFamilyName です。 詳 細 はそちらのカスタム<br />

パラメータの 記 述 を 参 照 してください。<br />

localizedStyleName 文 字 列 英 語 以 外 のシステム 言 語 を 使 用 時 に 表 示 され<br />

る 非 ASCII 文 字 を 使 用 したフォントスタイル 名 です。 例 えば 英 語 のBold を<br />

Apple Font Toolsは 以 下 のWeb サ<br />

イトからダウンロードできます:<br />

developer.apple.com/fonts<br />

ドイツ 語 ではFett、フランス 語 ではGrasにできます。<br />

Make morx table ブーリアン AAT テーブルのmorx(extended glyph<br />

metamorphosis)をフォント 出 力 時 に 追 加 します。フォント 情 報 の「フィー<br />

チャー」タブに「more」というフィーチャーを 作 りMIF(metamorphosis<br />

input file) 形 式 のコードを 書 いてください。このカスタムパラメータを<br />

機 能 させるには、Apple Font Toolsのftxenhancerというコマンドライ<br />

ンツールがインストールされている 必 要 があります。 詳 細 はApple Font<br />

Tools に 付 属 の 資 料 を 参 照 してください。<br />

AFDKOはこちらからダウンロード<br />

できます:<br />

adobe.com/devnet/opentype/<br />

afdko<br />

makeOTF Argument 文 字 列 セミコロン 区 切 りのmakeotf ターミナル 引<br />

数 です( 例 :-ns;-dcs;-ni’) 使 用 できる 引 数 の 詳 細 についてはAFDKOの<br />

MakeOTFユーザーガイドを 参 照 してください。<br />

Master Background Color カラー マスターの 背 景 色 を 設 定 します。 当 該<br />

マスターが 編 集 ビューで 選 択 された 状 態 で、 背 景 が 標 準 の 白 ではなく 指 定<br />

した 色 になります。<br />

Master Color カラー 複 数 レイヤーのカラーフォント 用 のカスタムパラメー<br />

タです。 詳 細 は「13.2 複 数 レイヤーフォント」(p.149)を 参 照 してくだ<br />

さい。<br />

Master Name 文 字 列<br />

カスタムのマスター 名 です。<strong>Glyphs</strong>が 標 準 で 用 意 し<br />

ている 名 前 の 組 み 合 わせを 避 けたいときに 便 利 です。<br />

Name Table Entry 文 字 列<br />

OpenTypeのnameテーブルのカスタム 表 記 で<br />

す。 表 記 法 は 以 下 の3つのいずれかです( は 表 記 の 一 部 ではないので 取<br />

り 除 いてください)。<br />

<strong>Glyphs</strong>ハンドブック2016 年 11 月 版<br />

194


・< 名 前 ID>; < 名 前 ><br />

・< 名 前 ID> ; < 名 前 ><br />

・< 名 前 ID> < 言 語 ID>;<br />

< 名 前 ><br />

ここで 使 用 できる 値 のリストは<br />

OpenTypeのnameテーブルの 仕<br />

様 を 参 照 してください:<br />

www.microsoft.com/<br />

typography/otspec/name.htm<br />

プラットフォームID の 指 定 がない 場 合 は3として 扱 われ、またエンコー<br />

ディングID がない 場 合 は1(Unicode)、 言 語 ID がない 場 合 は0x0049<br />

(Windows English)として 扱 われます。プラットフォームID が1と 指<br />

定 された 場 合 のみ、エンコーディングID と 言 語 ID は0(Mac Roman と<br />

Mac English)と 解 釈 されます。<br />

ネームIDは1 2 3 5 6 以 外 でならどのような 値 でも 構 いません。プラッ<br />

トフォームID は1(Mac)または3(Windows)です。 任 意 表 記 のエン<br />

コーディングIDと 言 語 IDは、プラットフォームID 次 第 でWindowsまた<br />

はMac のそれを 表 します。これらは0~65536までの 値 で、8 進 数 、10 進<br />

数 、16 進 数 のいずれかで 入 力 します。AFDKO の 構 文 仕 様 によれば「10<br />

進 数 の 場 合 は0 以 外 の 数 字 から 始 まる 必 要 があり、8 進 数 は0で 始 まる 表 記 、<br />

16 進 数 は0xで 始 まり、A-F またはa-f を 使 用 」することが 要 求 されます。<br />

note 文 字 列<br />

フォントに 関 する 任 意 の 内 容 のメモです。これは 出 力 フォントに<br />

含 まれる 情 報 ではなく、.glyphs ファイルにのみ 残 ります。このカスタム<br />

パラメータとフォント 情 報 のメモ 欄 は 繋 がっています。<br />

openTypeHheaAscender hheaAscenderと 同 様<br />

openTypeHheaDescender hheaDescenderと 同 様<br />

openTypeHheaLineGap hheaLineGapと 同 様<br />

openTypeNameCompatibleFullName compatibleFullNameと 同 様<br />

openTypeNameDescription descriptionと 同 様<br />

openTypeNameLicense licenseと 同 様<br />

openTypeNameLicenseURL licenseURLと 同 様<br />

openTypeNamePreferredFamilyName preferredFamilyNameと 同 様<br />

openTypeNamePreferredSubfamilyName<br />

preferredSubfamilyNameと 同 様<br />

openTypeNameSampleText sampleTextと 同 様<br />

openTypeNameWWSFamilyName WWSFamilyNameと 同 様<br />

openTypeNameWWSSubfamilyName WWSSubfamilyNameと 同 様<br />

openTypeOS2Panose panoseと 同 様<br />

openTypeOS2Type fsTypeと 同 様<br />

openTypeOS2TypoAscender typoAscenderと 同 様<br />

openTypeOS2TypoDescender typoDescenderと 同 様<br />

openTypeOS2TypoLineGap typoLineGapと 同 様<br />

openTypeOS2UnicodeRanges unicodeRangesと 同 様<br />

openTypeOS2VendorID vendorIDと 同 様<br />

openTypeOS2WeightClass weightClassと 同 様<br />

<strong>Glyphs</strong>ハンドブック2016 年 11 月 版<br />

195


openTypeOS2WidthClass widthClassと 同 様<br />

openTypeOS2WinAscent winAscentと 同 様<br />

openTypeOS2WinDescent winDescentと 同 様<br />

openTypeVheaVertTypoAscender vheaVertTypoAscenderと 同 様<br />

openTypeVheaVertTypoDescender vheaVertTypoDescenderと 同 様<br />

openTypeVheaVertTypoLineGap vheaVertTypoLineGapと 同 様<br />

Optical Size 文 字 列 最 適 サイズを 定 義 するOpenTypeのsizeフィーチャー<br />

と、サイズを 基 にしてMacおよびWindows 用 にエンコードされたメニュー<br />

項 目 名 を 生 成 します。 値 にはセミコロン 区 切 りの5つの 項 目 が 必 要 です。<br />

・デザインサイズ: 理 想 のフォントサイズ×10<br />

・サブファミリー 識 別 子 : 任 意 の 整 数 。 識 別 子 が 同 じの 別 フォントは、ア<br />

プリケーションがサポートしている 場 合 は 最 適 サイズのサブメニュー<br />

にグループ 化 できます。<br />

・ 許 容 サイズ 最 小 値 :フォントが 使 われる 想 定 サイズの 範 囲 の 最 小 値 を、<br />

デザインサイズの 時 と 同 様 に10 倍 の 値 を 入 力 します( 値 そのものは 含<br />

まれず、 値 より 大 きい 数 字 が 許 容 範 囲 に 含 まれます)。<br />

・ 許 容 サイズ 最 大 値 :フォントが 使 われる 想 定 サイズの 範 囲 の 最 小 値 を<br />

やはり10 掛 けで 入 力 します( 最 大 値 は 範 囲 に 含 まれます)。<br />

・サイズのメニュー 名 :インスタンスのフォントメニュー 名 です( 例 :<br />

Display、Subhead、Small、Caption)。<br />

例 えば「120; 1; 79; 140; Twelve」と 入 力 すれば、12ポイントを 最 も 理<br />

想 のフォントサイズとし、8ポイントから14ポイントまでを 想 定 使 用 範 囲<br />

とする「Twelve」という 理 想 サイズ 名 のsize フィーチャーを 生 成 します。<br />

他 に1をサブファミリー 識 別 子 とするフォントはグループとしてまとめら<br />

れます( 例 :Twelve Italic)。<br />

panose 数 字 リスト<br />

Panoseの 設 定 をするための10 個 の 自 然 数 のリストで、 値<br />

をクリックするとダイアログが 現 れて 各 カテゴリの 設 定 をすることができ<br />

ます。これはOpenType のOS/2テーブルのPanose フィールドに 対 応 し<br />

ます。「この10バイトの 数 字 列 は 書 体 の 見 た 目 を 記 述 するために 使 われま<br />

す。これで 記 述 されたフォントの 性 格 は、 他 の 見 た 目 の 近 いフォントと 関<br />

連 させるのに 使 われます。( 中 略 )Panose 値 は 現 在 Monotype Imaging<br />

の 保 有 している『グレイ・ブック』に 載 っています。PANOSE では 各 個<br />

16までのバリエーションを 記 述 できる 数 字 が10あります。Windows は<br />

フォントマッパー 内 でファミリーのタイプを 定 義 するためにbFamilyType、<br />

bSerifStyle、そしてbProportionを 使 用 します。 等 幅 フォントを 定 義 す<br />

る 際 にもbProportionが 使 われます。もしフォントが 絵 記 号 フォントであ<br />

る 場 合 、PANOSEの 最 初 のバイト(bFamilyType)は “pictorial” に 設<br />

定 されていなければいけません。」<br />

postscriptBlueScale blueScaleと 同 様<br />

postscriptBlueShift blueShiftと 同 様<br />

<strong>Glyphs</strong>ハンドブック2016 年 11 月 版<br />

196


postscriptFontName 文 字 列<br />

Type 1/CFFのFontNameフィールドに 使 わ<br />

れる 名 前 です。 許 可 されている 文 字 はASCII 文 字 のみで、スペースの 使 用<br />

は 禁 止 されています( 例 :MyFont-BoldCndIt)。<br />

「FontNameの 構 成 要 素 は 通 常 ファミリー 名 ( 正 確 に 言 えばFamily­<br />

Name に 使 われる 文 字 列 )、その 次 にハイフン、そしてスタイル 名 を<br />

FullNameと 同 様 の 順 番 で 記 します。 最 初 期 のPostScriptインタプリター<br />

やOS のファイルシステムと 互 換 性 を 保 つため、Adobe はFontName に<br />

使 用 できる 文 字 数 を29 文 字 に 制 限 しています。 他 のPostScript 言 語 の 名<br />

称 と 同 様 、FontNameにはスペースは 使 用 できず、ASCII 文 字 のみ 使 用 で<br />

きます。29 文 字 制 限 に 対 応 するために 名 称 の 省 略 が 必 要 な 場 合 、その 省 略<br />

名 はファミリー 全 体 で 使 用 されなければいけません。」(Adobe Technote<br />

Adobe Technote #5088:<br />

partners.adobe.com/public/<br />

developer/en/font/5088.<br />

FontNames.pdf<br />

#5088)<br />

Adobe はスタイル 名 の 省 略 表 記 に 以 下 を 推 奨 しています:Bd=Bold、<br />

Bk = Book、Blk = Black、Cm = Compressed、Cn = Condensed、<br />

Ct=Compact、Dm=Demi、DS = Display、Ex = Extended、Hv = Heavy、<br />

Ic = Inclined、It=Italic、Ks = Kursiv、Lt = Light、Md = Medium、<br />

Nd = Nord、Nr=Narrow、Obl = Oblique、Po = Poster、Rg=Regular、<br />

Sl = Slanted、Su = Super、Th = Thin、Up=Upright。さらに 省 略 するた<br />

めには 以 下 の 表 記 がおすすめです:Dm=Demi、Sm = Semi、Ult = Ultra、<br />

X = Extra<br />

postscriptFullName 文 字 列<br />

Type 1/CFF のFullNameフィールドに 使 わ<br />

れる 名 前 です。これはユーザーが 目 にする 理 想 のフォントの 名 前 で、スペー<br />

スの 使 用 が 許 可 されています( 例 :My Font Bold Condensed Italic)。<br />

システムの 中 には「ファミリーのグループ 化 とフォントの 整 列 のため<br />

にファミリー 名 とFullNameを 比 較 」します。そのため、ファミリー 名 は<br />

「FullName の 当 該 部 分 と 一 致 している 必 要 があり、フォントメニューに<br />

表 示 されても 問 題 ない 内 容 である 必 要 があります。あるデザインから 派 生<br />

したすべてのフォントは 同 じFamilyName を 共 有 している 必 要 がありま<br />

す。( 中 略 )FullNameはFamilyNameのコピーで 始 まり、スタイル 名 を<br />

追 加 して 完 成 します。その 順 番 は 一 般 的 に 以 下 の 通 りです:ウエイト、 字<br />

幅 、 傾 斜 (イタリックか 否 か)、 最 適 サイズ」(Adobe Technote #5088)<br />

postscriptIsFixedPitch isFixedPitchと 同 様<br />

postscriptUnderlinePosition underlinePositionと 同 様<br />

postscriptUnderlineThickness underlineThicknessと 同 様<br />

Post Table Type 整 数 インスタンスに 組 み 込 まれるpostテーブルのバージョ<br />

ンで、 通 常 はTTFだと2、CFFだと3になります。<br />

preferredFamilyName 文 字 列 推 奨 されるファミリー 名 です。これは<br />

OpenTypeのnameテーブルID 16に 相 当 します。「 歴 史 的 な 理 由 で、フォ<br />

ントファミリーは 最 大 4つまでのスタイルでしか 構 成 できませんでしたが<br />

( 日 本 語 版 注 : 典 型 的 にはレギュラー、イタリック、ボールド、ボールドイ<br />

<strong>Glyphs</strong>ハンドブック2016 年 11 月 版<br />

197


タリック)、デザイナーは4つより 多 いスタイルを1つのファミリーに 含 め<br />

たがるかもしれません。Preferred Familyを 使 えば4フォント 構 成 より 大<br />

きいファミリーの 構 築 が 可 能 になります。このIDは、ID 1の 内 容 と 違 う 場<br />

合 にのみ 必 要 です。」ID 1とはフォント 情 報 で 設 定 するファミリー 名 です。<br />

preferredSubfamilyName 文 字 列 推 奨 されるサブファミリー 名 です。こ<br />

れはOpenType の name テーブルID 17に 相 当 します。「Preferred<br />

Subfamily はID 2より 更 に 詳 細 なサブファミリーの 構 成 を 可 能 にします。<br />

このIDは、ID 2の 内 容 と 違 う 場 合 にのみ 必 要 で、Preferred Familyも 必<br />

ず 存 在 していなければいけません。」<br />

PreFilter 文 字 列 Filter と 同 様 の 機 能 ですが、コンポーネントの 分 解 やアウ<br />

トラインの 合 成 以 前 に 実 行 されます。 使 用 できるフィルタの 内 容 に 関 して<br />

はFilterカスタムパラメータの 説 明 を 参 照 してください。<br />

Preview Ascender 小 数<br />

マスター 用 のパラメータで、ベースラインからフォ<br />

ントプレビューの 上 端 までの 確 保 したい 幅 をユニット 数 で 指 定 します。 編<br />

集 ビュー 下 部 のプレビューパネルで 文 字 の 上 部 が 収 まっていない 場 合 に 使<br />

用 します。 初 期 値 は1000です。<br />

Preview Descender 小 数<br />

Preview Ascenderと 同 様 の 機 能 ですがディセン<br />

ダーに 作 用 し、プレビューパネルのディセンダー 以 下 の 幅 を 確 保 するため<br />

に 使 います。このカスタムパラメータがない 場 合 はフォント 情 報 に 入 力 す<br />

るディセンダー 値 を 使 用 しますが、winAscent カスタムパラメータの 値<br />

があればそちらが 優 先 されます。<br />

Reencode <strong>Glyphs</strong> リスト<br />

コンマ 区 切 りの「グリフ 名 = Unicode 値 」のリス<br />

トを 入 力 します( 例 :「smiley = E100, logo=E101」)。 各 グリフはフォ<br />

ント 出 力 時 に、その 新 しいUnicode 値 が 割 り 振 られます。もしUnicode<br />

値 がすでに 他 のグリフに 割 り 振 られている 場 合 は、カスタムパラメータに<br />

ある 方 のグリフが 優 先 され、 元 のグリフはUnicode 値 を 失 いますが、 製 品<br />

用 名 への 変 換 は 行 われます。もしUnicode 値 が 書 かれていない 場 合 、その<br />

グリフはUnicode 値 を 失 うようになっています( 例 :「f_f_i = , f_f_j=」<br />

と 記 された 場 合 、f_f_iとf_f_jのUnicode 値 は 削 除 されます)。<br />

Remove Classes リスト 値 に 記 されているOpenType クラスを 削 除 しま<br />

す。フォントのサブセット 化 が 理 由 でグリフをRemove <strong>Glyphs</strong> やKeep<br />

Glypjsカスタムパラメータで 削 除 する 場 合 、 手 動 で 書 かれたクラスは 自 動<br />

で 更 新 されないので、それらのクラスを 削 除 するのに 便 利 です。 自 動 生 成<br />

されるクラスに 関 しては 特 に 手 動 で 指 定 しなくてもクラスから 自 動 で 削 除<br />

されます。<br />

Remove Features 文 字 列<br />

値 に 記 されているOpenTypeフィーチャーを 削 除<br />

します。グリフ 名 の 拡 張 子 のせいで 不 要 なフィーチャーが 自 動 生 成 されてし<br />

まう 場 合 や、 特 定 のインスタンスで 特 定 のフィーチャーを 除 去 したい 場 合<br />

に 便 利 です。ちなみに 自 動 生 成 されるフィーチャーに 関 しては、Remove<br />

<strong>Glyphs</strong> やKeep Glypjs カスタムパラメータが 原 因 でフィーチャー 内 に 関<br />

<strong>Glyphs</strong>ハンドブック2016 年 11 月 版<br />

198


与 するはずのグリフがすべて 消 えている 場 合 はフォント 出 力 時 に 自 動 で 削<br />

除 されます。<br />

Remove <strong>Glyphs</strong> 文 字 列<br />

値 に 記 されているグリフを 出 力 するフォントから 削<br />

除 します。 自 動 生 成 されたOpenType フィーチャーはグリフの 削 除 を 認<br />

識 し 自 動 更 新 します。 例 えばスモールキャップのグリフをすべて 削 除 する<br />

と、smcpとc2scフィーチャーは 自 動 的 に 削 除 されます。サブセットされ<br />

たフォントを 出 力 する 場 合 に 便 利 です。<br />

Remove post names for webfonts ブーリアン Web フォントの 出 力 用 に、<br />

ファイルサイズ 削 減 のためにグリフ 名 を 削 除 します。<br />

Rename <strong>Glyphs</strong> 文 字 列<br />

値 に 記 されているグリフの 名 称 を 変 更 します。コン<br />

マ 区 切 りの、「 変 更 前 = 変 更 後 」のグリフ 名 のリストを 認 識 します( 例 :<br />

e.bold = e, g.alt = g)。 同 名 のグリフがすでに 存 在 する 場 合 は 名 前 が 入 れ 替<br />

えられます。その 既 存 のグリフがコンポーネントとして 使 用 されている 場<br />

合 は 新 しいグリフがまずコンポーネントとして 配 置 されてから 必 要 に 応 じ<br />

てフィーチャーの 書 き 換 えやアウトライン 分 解 が 始 まります。また「 出 力<br />

時 に 含 める」オプションの 状 態 も 入 れ 替 わりますので、これらを 確 実 に 制<br />

御 するには、この 現 象 を 考 慮 して 各 グリフの 出 力 状 態 をしっかり 確 認 する<br />

か、Export <strong>Glyphs</strong>カスタムパラメータを 使 用 します。<br />

Replace Class 文 字 列<br />

OpenTypeクラスのコードを 独 自 のコードに 置 き 換 え<br />

ます。 値 の 先 頭 には@なしのクラス 名 で、その 次 にセミコロン、そしてク<br />

ラスのコードが 続 くようにします。 当 該 のクラスが 既 に 存 在 している 場 合<br />

にのみ 実 行 されます。これは 手 動 でクラスを 設 定 するときにのみ 必 要 です。<br />

自 動 に 設 定 されているクラスは 特 に 何 もしなくても 自 動 で 更 新 されます。<br />

Replace Feature 文 字 列 OpenType フィーチャーのコードを 独 自 のコード<br />

に 置 き 換 えます。 値 の 先 頭 には4 文 字 のフィーチャー 名 で、その 次 にセミ<br />

コロン、そしてクラスのコードが 続 くようにします。 当 該 のクラスがすで<br />

に 存 在 している 場 合 にのみ 実 行 されます。これは 手 動 でクラスを 設 定 する<br />

ときにのみ 必 要 です。<br />

ROS 文 字 列 グリフのマッピング 表 (cmap)のある 特 殊 なフォントには<br />

Adobe,Identity,0のROS(Registry, Ordering, Supplement)を 使 え<br />

ます。 公 開 されている 汎 用 のROS は 以 下 の 通 りです:<br />

Adobe-CNS1-6<br />

Adobe-GB1-5<br />

Adobe-Japan1-6<br />

Adobe-Korea1-2<br />

Adobe-Identity-0<br />

Adobe-Identity-0を 使 用 する 場 合 、GSUB テーブルはフォント 情 報 の<br />

「フィーチャー」タブの 内 容 から 生 成 されます。それ 以 外 の 場 合 はAdobe<br />

から 提 供 されたGSUBリーソースが 使 用 されます。<br />

sampleText 文 字 列 サンプルテキストです。OpenType のname テーブル<br />

<strong>Glyphs</strong>ハンドブック2016 年 11 月 版<br />

199


ID 19に 相 当 します。「これはフォント 名 でもいいですし、デザイナーが<br />

フォントの 見 本 として 最 適 だと 考 えるどんな 文 章 でも 結 構 です。」このサン<br />

プルテキストは 例 えばApple のFont Book でフォントが 選 択 された 時 の<br />

サンプルとして 表 示 されます。<br />

Save as Truetype ブーリアン<br />

有 効 になっている 場 合 、フォント 出 力 ダイア<br />

ログの 設 定 を 無 視 して 強 制 的 にTrueTypeとして 出 力 されます。<br />

Scale to UPM 整 数 入 力 されたUPM 値 に 合 わせてフォント 全 体 を 縮 小 します。<br />

例 えば2048UPM(または16から16,364までの2の 累 乗 数 )のTrueType<br />

フォントを 出 力 したい 時 、もしくはデザイン 時 のUPMが1000 以 外 の 場 合<br />

に 有 効 です。<br />

shoulderHeight 整 数<br />

アラビア 文 字 、ヘブライ 文 字 、インド 文 字 用 の 縦 メト<br />

リクス 値 です。xハイトでないメトリクス 線 が 必 要 な 文 字 に 新 たな 線 を 表<br />

示 させるためのものです。<br />

smallCapHeight 整 数 スモールキャップの 高 さです。スモールキャップ 用<br />

のアラインメントゾーン 生 成 アルゴリズムは、この 値 を 優 先 します。また<br />

編 集 ビューでスモールキャップのグリフを 表 示 中 はx- ハイトではなく、こ<br />

の 値 のハイトが 表 示 されます。<br />

styleMapFamilyName 文 字 列 ボールド、イタリック、ボールドイタリッ<br />

クとのスタイルマッピングに 使 われるためのファミリー 名 です。これを 用<br />

いて 大 きなフォントファミリー 内 にサブファミリーを 作 ることもできます。<br />

「4つまでのフォントが 同 じFont Family 名 を 共 有 でき、スタイルリンク<br />

のグループを 構 成 することができます。」<strong>Glyphs</strong>はフォント 情 報 のインス<br />

タンスタブにあるスタイルリンキングのスタイル 名 を 使 用 して 各 スタイル<br />

をリンクさせます。<br />

trademark 文 字 列<br />

商 標 の 記 述 です。OpenTypeのnameテーブルID 7に 相<br />

当 します。Microsoftによると、「ここにはフォントについてのあらゆる 類<br />

の 商 標 事 項 や 情 報 が 入 ります。これらの 情 報 は 法 律 的 なアドバイスを 得 た<br />

上 で 書 かれるべきです。これは 著 作 権 とは 明 確 に 別 のものです。」<br />

TrueType Curve Error 小 数<br />

TrueType 変 換 時 のカーブのずれの 許 容 値 を<br />

ユニットで 指 定 します。 特 に 指 定 がない 場 合 は0.6です。この 値 が 大 きく<br />

なるほどエラーがより 許 容 されるようになり、TrueTypeコンバーターは<br />

カーブの 再 構 成 により 少 ないポイントを 使 用 するようになります。そのた<br />

め 二 次 ベジェ 曲 線 データを 保 存 するglyfテーブルが 小 さくなり、ファイル<br />

サイズの 節 約 になります。つまりアウトライン 品 質 とファイルサイズのバ<br />

ランスを 調 整 するためのカスタムパラメータです。<br />

TTFAutohint binary path 文 字 列 既 にコンパイルされたTTFAutohint<br />

のバイナリーファイルのファイルパスです。アプリケーション 標 準 の<br />

TTFAutohint ではなく 古 いバージョンを 使 う 必 要 があるときや、より 新<br />

しいバージョンを 使 いたいときに 便 利 です。<br />

TTFAutohint control instructions 文 字 列<br />

TTFAutohintのインストラ<br />

<strong>Glyphs</strong>ハンドブック2016 年 11 月 版<br />

200


クションを 制 御 するために 使 されます。コントロールコードは 別 のアプリ<br />

ケーションで 書 いてパラメータに 後 でペーストするのをお 勧 めします。イ<br />

ンストラクションの 構 文 は 以 下 のいずれかです:<br />

• < グリフ 名 > left <br />

• < グリフ 名 > right <br />

• < グリフ 名 > nodir <br />

• touch xshift yshift @ <br />

• point xshift yshift @ <br />

の 値 は 任 意 表 記 で、 省 略 した 場 合 は0と 見 なされます。touch<br />

とpoint インストラクションでは、 片 方 のみ、または 両 方 のシフトを 指 定<br />

できます。との 値 は0.0~1.0の 範 囲 内 で 設 定 します。<br />

は 複 数 のグリフ 名 も 可 で、デザイン 用 名 ではなく 製 品 用 名 でなければいけ<br />

ません。は 単 体 のピクセルサイズ、ハイフンで 指 定 したサイズ 範 囲 、<br />

またはコンマ 区 切 りで 指 定 したサイズのリストです。ハッシュ 記 号 (#)<br />

で 始 まる 行 はコメントと 解 釈 され、 実 行 されません。インストラクション<br />

の 各 単 語 は 最 初 の1 文 字 に 省 略 しても 受 付 けられます( 例 :rightの 代 わり<br />

にr)。<br />

ttfautohintについての 詳 細 は 以 下<br />

のサイトを 参 照 してください:<br />

freetype.org/ttfautohint/doc/<br />

ttfautohint.html このカスタム<br />

パラメータでの 引 用 はすべて<br />

ttfautohintからのものです。<br />

TTFAurohint Options 文 字 列 TrueType オートヒンティングツール<br />

「ttfautohint」のコマンドラインオプションです。 値 をクリックして 現 れ<br />

るダイアログで 設 定 してください:<br />

・Hint Set Range:インストラクションが 最 適 化 されるPPM 範 囲 です。<br />

範 囲 を 広 げるとファイルサイズが 肥 大 化 する 可 能 性 があります。<br />

・Default Script:「 OpenTypeフィーチャーのための 標 準 の 文 字 体 系<br />

です。」<br />

・Fallback Script:「グリフの 文 字 体 系 が 自 動 で 認 識 されない 場 合 に 使<br />

われる 標 準 の 文 字 体 系 です。」<br />

・Hinting Limit:「ヒンティングが 解 除 される」PPMサイズです。 標<br />

準 は200ピクセルで、Hint Set Range の 最 大 値 より 大 きくなければ<br />

いけません。Hint Set Range 最 大 値 からHinting Limitまでのヒン<br />

ティングは 前 者 の 最 大 値 のものが 使 われ 続 けます。<br />

・x-Height Increase Limit:この 値 以 下 6PPMまではxハイトが 切 り<br />

上 げされます。 標 準 値 は14PPMです。「 通 常 ttfautohintはxハイト<br />

をピクセルグリッドに 合 わせて 変 形 しますが、 概 ね 切 り 上 げるように<br />

します。( 中 略 ) 小 サイズの 文 字 の 視 認 性 を 向 上 させたい 場 合 は 値 を 上<br />

げてください。」 値 を0にするとxハイトの 切 り 上 げを 無 効 化 します。<br />

コントロールファイルの 構 文 の 詳 細<br />

は、TTFAutohintの 公 式 文 書 を 参<br />

照 してください:<br />

freetype.org/ttfautohint<br />

・x-Height Snapping Exceptions:「 x ハイトのピクセルグリッドへ<br />

の 整 列 を 解 除 したいPPMの 値 または 値 の 範 囲 をコンマ 区 切 りで 収 録 し<br />

たリストです。」 例 えば「8, 10-13, 16」だと、フォントのサイズが8、<br />

10、11、12、13、16ピクセルのときにxハイトの 整 列 が 起 きないよ<br />

うになります。 範 囲 を 指 定 する 際 はハイフンを 使 います。<br />

<strong>Glyphs</strong>ハンドブック2016 年 11 月 版<br />

201


・Windows Compatibility:「このオプションは 擬 似 ブルーゾーンを<br />

usWinAscentとusWinDescent(OS/2テーブルから 認 識 )の2か 所<br />

に 挿 入 します。この 目 的 は、Windows ではこの 範 囲 外 のすべてのア<br />

ウトラインはカットされてしまうためヒンティングされたグリフをな<br />

るべくこの 範 囲 内 に 収 めることにあります。」もしWindowsでアウト<br />

ラインのカットが 起 こるようであれば 使 用 してください。<br />

・Pre-Hinting:「 与 えられたフォントに 始 めから 存 在 するTrueType<br />

ヒンティングが、オートヒンティング 処 理 前 に 適 用 すべきかどうかの<br />

設 定 です。( 中 略 ) 日 中 韓 のフォントなどでもし 既 存 のヒンティングが<br />

出 力 解 像 度 と 関 係 なしにサブグリフを 移 動 または 拡 大 縮 小 してしまう<br />

場 合 に 使 用 してください。」<br />

・Hint Composites:「 初 期 状 態 ではコンポーネントグリフないのコン<br />

ポーネントは 別 にヒンティングされます。このオプションが 有 効 になっ<br />

ていると、コンポーネントグリフが 直 接 ヒンティングされます(コン<br />

ポーネントの 元 のグリフのヒントを 継 承 しません)。このオプション<br />

を 使 うとバイトコードのサイズを 肥 大 化 させることになりますがヒン<br />

ティング 結 果 が 向 上 するかもしれません。」<br />

・Symbol Font:「サポートされている 文 字 体 系 でサンプルとなるグリ<br />

フがフォント 内 に 存 在 しないためにttfautohint が 通 常 ヒンティン<br />

グを 拒 むであろうフォントを 強 制 でヒンティングします。 参 照 用 グリ<br />

フが 見 当 たらない 文 字 体 系 に 関 してはステム 値 を 読 み 込 めないため、<br />

ttfautohintはデフォルトのステム 値 を 使 います。 記 号 、ディングバッ<br />

トフォントや 数 学 記 号 用 にこのオプションを 使 用 しますが(たいてい<br />

はFallback Scriptと 併 用 )、 小 サイズでのヒンティング 品 質 はあまり<br />

よくないかもしれません。」<br />

・Dehint:すべてのTrueType ヒンティングを 無 効 化 し、 他 のすべて<br />

のオプションを 無 視 します。テスト 目 的 にのみ 使 用 してください。<br />

・Add Autohint Info:「 ttfautohintのバージョンとコマンドライン<br />

情 報 を、フォントのネームテーブルのバージョン 情 報 (ID 5)に 付 記<br />

します。」<br />

・Strong Stems:ステムの 表 示 結 果 を 最 適 化 させたいレンダリング 環<br />

境 を 選 択 します。「なるべくステムが 白 黒 はっきり 表 示 させるため、ス<br />

テムの 幅 と 位 置 をなるべく 整 数 に 落 とし 込 み 強 力 にアウトラインを 変<br />

形 させます。」 最 適 化 できるレンダリング 環 境 は 以 下 の 通 りです:グレ<br />

イスケール(Android)、 GDI ClearType(Win XPなどが 採 用 する<br />

v.36およびv.37のラスタライザー)、DirectWrite ClearType(IE9<br />

以 降 やWin 7 以 降 で 採 用 されているv.38 以 降 のラスタライザー)<br />

TTFStems リスト TrueType 専 用 の 水 平 ステムリストです。それぞれの 水 平<br />

ステムに 対 して 名 前 と 平 均 値 を 決 めることができます。 値 を 編 集 する 際 は、<br />

ダイアログシートが 表 示 されます。◆cog◆メニューからステムを 追 加 、 削 除 ま<br />

<strong>Glyphs</strong>ハンドブック2016 年 11 月 版<br />

202


たはフォント 情 報 のステム 欄 に 入 力 したPostScriptステム 情 報 を 読 み 込 む<br />

ことができます。<br />

typoAscender 整 数 アセンダーの 値 です。OpenType のOS/2テーブルの<br />

sTypoAscender フィールドに 相 当 します。「フォントのタイポグラフィ<br />

的 なアセンダーの 値 です。hhea テーブルのAscender の 値 はApple によ<br />

り 大 きく 異 なる 方 式 で 定 義 されており、 同 じではないことに 注 意 してくだ<br />

さい。( 中 略 )sTypoAscender の 主 な 目 的 はunitsPerEm の 値 と 共 に 使<br />

用 され、タイポグラフィ 的 に 正 しい 行 間 スペーシングを 決 定 することです。<br />

これの 目 的 はMacintosh やWindows など 各 々のシステムに 特 化 して 後<br />

方 互 換 性 を 確 保 しなければならないメトリクス 情 報 の 制 限 を 解 放 し、 最 適<br />

な 設 定 をアプリケーションに 使 わせることにあります。これらの 新 しいメ<br />

トリクスと 各 文 字 のデザイン 幅 を 組 み 合 わせれば、どんなアプリケーショ<br />

ンでも 正 しく、そして 一 貫 性 のある 書 類 作 成 が 可 能 になります。これらの<br />

メトリクスはWindowsのAPIからアクセスされます。Macintoshアプリ<br />

ケーションはOS/2テーブルからこのデータを 抽 出 するためにsfnt リソー<br />

スにアクセスして 解 析 する 必 要 があります。<br />

縦 組 み(と 横 組 み)に 使 われるCJK( 中 日 韓 、 漢 字 圏 )フォントに 関<br />

しては、sTypoAscender 値 はem-box( 全 角 の 正 方 形 )の 上 端 の 高 さで<br />

ある 必 要 があります。 例 えば、もし 漢 字 の 全 角 が 座 標 0, -120から1000,<br />

880で 出 来 るとすれば(つまり1000×1000ユニットの 正 方 形 が120ユニッ<br />

ト 下 にはみ 出 ている 場 合 は)、sTypoAscenderは880に 設 定 されなければ<br />

いけません。これに 従 わない 場 合 、 縦 書 き 時 のレイアウト 結 果 が 不 正 確 に<br />

なるでしょう。」<br />

typoDescender 整 数<br />

ディセンダーの 値 です。OpenTypeのOS/2テーブルの<br />

sTypoDescender フィールドに 相 当 します。「フォントのタイポグラフィ<br />

的 なディセンダーの 値 です。hheaテーブルのDescenderの 値 はApple に<br />

より 大 きく 異 なる 方 式 で 定 義 されており、 同 じではないことに 注 意 してく<br />

ださい。 欧 文 ベースの 書 体 のsTypoDescender 値 を 決 定 するのに 適 した<br />

ソースはAFMファイルに 記 されているDescender 値 です。CJKフォント<br />

に 関 しては 以 下 をご 覧 ください。<br />

sTypoDescenderの 主 な 目 的 はunitsPerEmの 値 と 共 に 使 用 され、タ<br />

イポグラフィ 的 に 正 しい 行 間 スペーシングを 決 定 することです。これの 目<br />

的 はMacintosh やWindows など 各 々のシステムに 特 化 して 後 方 互 換 性<br />

を 確 保 しなければならないメトリクス 情 報 の 制 限 を 解 放 し、 最 適 の 設 定 を<br />

アプリケーションに 使 わせることにあります。これらの 新 しいメトリクス<br />

と 各 文 字 のデザイン 幅 を 組 み 合 わせれば、どんなアプリケーションでも 正<br />

しく、そして 一 貫 性 のある 書 類 作 成 が 可 能 になります。これらのメトリク<br />

スはWindowsのAPIからアクセスされます。Macintoshアプリケーショ<br />

ンはOS/2テーブルからこのデータを 抽 出 するためにsfnt リソースにアク<br />

セスして 解 析 する 必 要 があります(ただし 現 時 点 ではApple はOS/2テー<br />

<strong>Glyphs</strong>ハンドブック2016 年 11 月 版<br />

203


ブルを 参 照 していません)。<br />

縦 組 み(と 横 組 み)に 使 われるCJK( 中 国 、 日 本 、 韓 国 )フォントに<br />

関 しては、sTypoDescender 値 はem-box( 全 角 の 正 方 形 )の 下 端 の 高 さ<br />

である 必 要 があります。 例 えば、もし 漢 字 の 全 角 が 座 標 0, -120から1000,<br />

880で 出 来 るとすれば(つまり1000×1000ユニットの 正 方 形 が120ユニッ<br />

ト 下 にはみ 出 ている 場 合 は)、sTypoDescenderは-120に 設 定 されなけれ<br />

ばいけません。これに 従 わない 場 合 、 縦 書 き 時 のレイアウト 結 果 が 不 正 確<br />

になるでしょう。」<br />

typoLineGap 整 数<br />

フォント 製 作 者 の 推 奨 する 行 間 の 値 です。OpenTypeの<br />

OS/2テーブルのsTypoLineGapフィールドに 相 当 します。「フォントのタ<br />

イポグラフィ 的 な 行 間 の 値 です。hheaテーブルのLineGapの 値 はApple<br />

により 大 きく 異 なる 方 式 で 定 義 されており、 同 じではないことに 注 意 して<br />

ください。<br />

sTypoLineGapの 主 な 目 的 はunitsPerEmの 値 と 共 に 使 用 され、タイ<br />

ポグラフィ 的 に 正 しい 行 間 スペーシングを 決 定 することです。 典 型 的 な 値<br />

は 平 均 してUPM の7~10% です。これの 目 的 はMacintosh やWindows<br />

など 各 々のシステムに 特 化 して 後 方 互 換 性 を 確 保 しなければならないメト<br />

リクス 情 報 の 制 限 を 解 放 し、 最 適 の 設 定 をアプリケーションに 使 わせるこ<br />

とにあります。これらの 新 しいメトリクスと 各 文 字 のデザイン 幅 を 組 み 合<br />

わせれば、どんなアプリケーションでも 正 しく、そして 一 貫 性 のある 書 類<br />

作 成 が 可 能 になります。」<br />

underlinePosition 整 数 または 小 数 アンダーラインが 挿 入 される 高 さの 値<br />

で、ベースラインからアンダーラインの 上 端 までの 距 離 を 負 の 数 で 入 力 し<br />

ます。Type1/CFF/post テーブルのUnderlinePosition フィールドに 相<br />

当 します。 初 期 値 は-100です。<br />

underlineThickness 自 然 数 アンダーラインの 太 さの 値 です。Type1/CFF/<br />

post テーブルのUnderlineThickness フィールドに 相 当 します。 初 期 値<br />

は50です。<br />

unicodeRanges 文 字 列 リスト フォントがサポートしているUnicode<br />

範 囲 のリストです。OpenType OS/2テーブルのulUnicodeRange1、<br />

ulUnicodeRange2、ulUnicodeRange3、ulUnicodeRange4に 相 当 し<br />

ます。 通 常 は<strong>Glyphs</strong>が 自 動 で 設 定 しますが、これを 強 制 的 に 設 定 したい 場<br />

合 に 使 用 します。<strong>Glyphs</strong>は 検 索 フィールドを 提 供 しており、 製 作 中 のフォ<br />

ントの 正 しいサポート 範 囲 をすぐに 見 つけられるように 設 計 されています。<br />

例 えば 欧 文 をすべてカバーしているという 表 記 にしたい 場 合 は、「latin」<br />

と 検 索 して 該 当 する 検 索 結 果 にすべてチェックを 入 れてください。<br />

uniqueID 自 然 数 PostScript 言 語 レベル1のUniqueIDです。PostScriptプ<br />

ライベートディクショナリーに 保 存 される 任 意 のIDで、0~16777215ま<br />

での 整 数 です。PostScript Type1 仕 様 書 より:「これの 第 一 の 目 的 はフォ<br />

ントプログラムにより 生 成 され、キャッシュされたビットマップに 固 有 の<br />

<strong>Glyphs</strong>ハンドブック2016 年 11 月 版<br />

204


識 別 番 号 を 振 ることです。UniqueIDを 与 えることでPostScriptインター<br />

プリターが 他 のタスクのためにビットマップをキャッシュできるようにな<br />

ります。」これは 既 に 廃 止 されていますが、CJKフォントではまだ 使 用 され<br />

ています。Adobe は、 特 に CJKフォント 以 外 では 使 用 を 控 えるよう 促 して<br />

います。このパラメータの 効 果 を 把 握 しており、 必 要 としている 場 合 だけ<br />

使 用 してください。<br />

unitsPerEm 自 然 数 全 角 あたりのユニット 数 (UPM)です 。PostScript 形 式<br />

のOpenTypeフォントの 初 期 値 は1000で、TrueType 形 式 のOpenType<br />

フォントの 初 期 値 は16~16,384の 範 囲 内 の2の 累 乗 ( 普 通 は2048)です。<br />

出 力 されるフォントはこの 値 のUPM に 変 換 されます。 小 さい 値 を 設 定 す<br />

るとフォントは 大 きく 表 示 されるようになり、 真 逆 の 現 象 も 起 きます。こ<br />

のカスタムパラメータはUPM 値 を 変 更 するのみでフォントそのものを 拡<br />

大 縮 小 するのではありません。UPM 変 更 と 共 に 拡 大 縮 小 をしたい 場 合 は、<br />

Scale to UPMカスタムパラメータを 参 照 してください。<br />

Update Features ブーリアン 自 動 更 新 がオンになっているOpenType<br />

フィーチャー 強 制 的 に 更 新 します。フォントのエンジニアリングの 段 階 な<br />

どグリフセットが 頻 繁 に 変 わる 場 合 や、フィーチャーの 自 動 追 加 を 避 けた<br />

いときに 便 利 です。<br />

Use Extension Kerning ブーリアン<br />

これが 有 効 だと、kernフィーチャー<br />

にGSUB またはGPOS 拡 張 ルックアップタイプのルックアップが 追 加 され<br />

フォントにより 多 くのカーニングペアを 保 存 できるようになります。フォ<br />

ント 出 力 時 にoffset overflow error が 出 た 場 合 はカーニングペア、 特 に<br />

例 外 ペアが 多 すぎるため、 通 常 はペア 数 を 減 らさなければいけないのです<br />

が、これをやりたくない 場 合 にUse Extension Kerningを 使 います。 最<br />

近 のOffice やデザインアプリケーションはすべて 拡 張 カーニングをサポー<br />

トしていますが、 古 いソフトウェアではカーニングデータが 非 互 換 になる<br />

可 能 性 があります。<br />

Use Line Breaks ブーリアン これが 有 効 の 場 合 、.glyphs ファイルに 保 存<br />

されるOpenType フィーチャーコード 内 の 改 行 はエスケープされません<br />

(\012で 置 き 換 えられます)。バージョンコントロールツールを 使 用 したい<br />

ときに 便 利 です。<br />

Use Typo Metrics ブーリアン これが 有 効 だとフォントを 使 用 するアプリ<br />

ケーション( 特 に2006 以 降 のMS Office)はフォントの 縦 メトリクスに<br />

winAscentとwinDescentの 代 わりにtypoAscender、typeDescender、<br />

typoLineGap を 優 先 使 用 するようになります。 初 期 状 態 では 無 効 です。<br />

OS/2テーブルのfsSelectionフィールドのビット7(don’ t use Win line<br />

metrics)に 相 当 します。MakeOTF ユーザーガイドによれば、このビッ<br />

トは「Microsoftがすべてのフォントの 挙 動 を 変 更 したときにドキュメン<br />

トのリフローがなるべく 減 るように」 追 加 されました。<br />

vendorID 文 字 列 フォントのベンダーを 表 す4 文 字 の 識 別 コードです。Open ­<br />

<strong>Glyphs</strong>ハンドブック2016 年 11 月 版<br />

205


Microsoftは 登 録 済 みのベンダー<br />

IDのリストを 公 開 しています:<br />

microsoft.com/typography/<br />

links/vendorlist.aspx<br />

Type OS/2テーブルのachVendIDフィールドに 相 当 します。もし 未 設 定<br />

の 場 合 、<strong>Glyphs</strong>は「UKWN」( unknown)をベンダーIDとして 使 用 し<br />

ます。「フォントのベンダーを 表 す4 文 字 の 識 別 コードです。これはデザイ<br />

ンの 著 作 権 者 のことではありません。これはフォントをマーケティングま<br />

た 流 通 させる、いわゆる 販 売 元 のことです。たとえばITC Zapf Dingbats<br />

が 将 来 的 に6つのベンダーから 販 売 されることも 考 えられます( 既 にそう<br />

なっているかもしれませんが)。また 各 ベンダーが 独 自 の 利 点 を 持 っている<br />

ことも 考 えられます(より 豊 富 なカーニング、フォント 別 の 丁 寧 なデザイ<br />

ン、 手 作 業 のヒンティングなど)。これを 使 ってベンダーごとにフォントを<br />

識 別 し、より 劣 悪 な 可 能 性 のあるフォントを 避 けるために 使 われます。ベ<br />

ンダーIDの 入 力 は 必 須 ではありません。」<br />

versionString 文 字 列 バージョン 番 号 です。「Version X.XXX」という 書<br />

式 で 書 き、X には 数 字 を 入 れます( 後 半 は 必 ず3 桁 )。<strong>Glyphs</strong>は 標 準 状 態 で<br />

はname テーブルのName ID 5に、フォント 情 報 に 入 力 されているバー<br />

ジョンからバージョン 番 号 を 生 成 しますが、このカスタムパラメータはそ<br />

れを 上 書 きします。<br />

vheaVertTypoAscender 整 数<br />

縦 組 み 用 のアセンダーの 値 です。OpenType<br />

のvhea テーブルのvertTypoAscenderフィールドに 該 当 します。<br />

vheaVertTypoDescender 整 数<br />

縦 組 み 用 のディセンダーの 値 です。Open­<br />

Typeのvhea テーブルのvertTypoDescenderフィールドに 該 当 します。<br />

vheaVertTypoLineGap 整 数 縦 組 み 用 のアセンダーの 値 です。OpenType<br />

のvhea テーブルのvertTypoLineGapフィールドに 該 当 します。<br />

Webfont Formats リスト フォント 出 力 ダイアログの 設 定 内 容 に 関 わらず、<br />

ここに 記 載 されているフォーマットのWeb フォントが 出 力 されます。1 行<br />

につき「EOT」、「 WOFF」、「 WOFF2」のうち1フォーマットを 記 載 します。<br />

Webfont Only ブーリアン<br />

これが 有 効 だと、デスクトップ 用 途 で 必 要 な 情 報<br />

をフォントファイルから 削 除 します。こうすることで、ダウンロードされ<br />

たWeb フォントをデスクトップ 用 に 変 換 してWindows やMac にインス<br />

トールし、ローカルに 使 用 するのを 難 しくすることができます。このパラ<br />

メータは、ブラウザ 上 では 機 能 するものの 厳 密 には 破 損 したフォントを 意<br />

図 的 に 生 成 するためのものです。<br />

weightClass 自 然 数<br />

ウエイトクラスの 値 です。OpenType OS/2テーブルの<br />

usWeightClassフィールドに 相 当 します。「 見 た 目 のウエイト( 線 の 黒 さ、<br />

または 太 さ)の 記 述 です。」このパラメータが 設 定 されている 場 合 、フォン<br />

ト 情 報 のインスタンスタブの「ウエイト」ポップアップメニューの 値 は 無<br />

視 され、こちらが 優 先 されます。<br />

値 説 明<br />

100 Thin<br />

200 Extra-light (Ultra-light)<br />

300 Light<br />

<strong>Glyphs</strong>ハンドブック2016 年 11 月 版<br />

206


400 Normal (Regular)<br />

500 Medium<br />

600 Semi-bold (Demi-bold)<br />

700 Bold<br />

800 Extra-bold (Ultra-bold)<br />

900 Black (Heavy)<br />

アプリケーションの 中 にはこの 値 を 使 ってフォントメニュー 内 でサブファ<br />

ミリーを 整 理 するものもあります。ただしこの 数 字 のもたらす 効 果 には 大<br />

きな 振 り 幅 があります。Microsoftの 古 いレンダラーの 中 には、ウエイト<br />

クラスが250 未 満 の 書 体 を 機 械 的 に 太 くするバグを 抱 えているものがあり<br />

ます。また100の 位 しか 参 照 せず、 例 えば400と425の 区 別 を 付 けないエ<br />

ANSIとはWindowsの8ビットエン<br />

コーディング1252のことで、 西 欧<br />

言 語 を 主 にカバーする 文 字 セットで<br />

す。 詳 細 は 以 下 のウェブサイトをご<br />

覧 ください:<br />

msdn.microsoft.com/en-us/<br />

library/cc195054.aspx<br />

ンジンもあります。ウエイトクラスを 全 く 参 照 しない 環 境 もあります。<br />

widthClass 整 数 字 幅 クラスの 値 です。 値 は1~9のいずれかです。OpenType<br />

OS/2テーブルのusWidthClassフィールドに 相 当 します。<br />

アプリケーションの 中 にはこの 値 を 使 ってフォントメニュー 内 でサブ<br />

ファミリーを 整 理 するものもあります。これが 入 力 されている 場 合 、フォ<br />

ント 情 報 のインスタンスタブの「 字 幅 」ポップアップメニューの 値 は 無 視<br />

され、こちらが 優 先 されます。<br />

値 説 明 字 幅 のパーセンテージ<br />

1 Ultra-condensed 50%<br />

2 Extra-condensed 62.5%<br />

3 Condensed 75%<br />

4 Semi-condensed 87.5%<br />

5 Medium (normal) 100%<br />

6 Semi-expanded 112.5%<br />

7 Expanded 125%<br />

8 Extra-expanded 150%<br />

9 Ultra-expanded 200%<br />

「フォントデザイナーによって 決 められた、グリフの 通 常 の 比 率 ( 字 幅 と 高<br />

さの 比 率 )の 相 関 的 な 変 化 の 記 述 です。フォント 内 のすべての 文 字 は 違 う<br />

比 率 を 持 ち 得 ますが、ノーマルな 字 幅 のフォントの 文 字 の 字 幅 は1としま<br />

す( 訳 注 :100%)。 字 幅 の 違 う 新 しいフォントスタイル( 手 作 業 か 自 動 生<br />

成 かに 関 わらず)が 作 られる 場 合 、ノーマルなフォントと 比 べて 字 幅 の 比<br />

率 は 大 きく、または 小 さくなります。このパラメータはそれを 表 現 するた<br />

めのものです。」<br />

winAscent 自 然 数 Windows で 用 いられるフォント 内 の 最 高 点 の 値 です。<br />

winAscent は 大 文 字 とそのアクセントが 収 まる 高 さでないといけません。<br />

OpenType OS/2テーブルのusWinAscentフィールドに 相 当 します。<br />

「usWinAscentは、Windows ANSI 文 字 セットですべてのグリフの<br />

yMax と 解 釈 されます。usWinAscent はWindows のフォントの 高 さと<br />

<strong>Glyphs</strong>ハンドブック2016 年 11 月 版<br />

207


行 間 の 初 期 値 を 決 定 するために 使 われます。platform 3 encoding 0フォ<br />

ントに 関 しては、yMax と 同 じ 値 になります。Windows はこの 値 より 高<br />

い 位 置 にあるアウトラインのビットマップをすべて 非 表 示 にします。」<br />

winDescent 整 数 Windows で 用 いられるフォント 内 の 最 低 点 の 値 です。<br />

winDescentはg p q y 等 のディセンダを 含 めた 高 さでないといけません。<br />

OpenType OS/2テーブルのusWinDescentフィールドに 相 当 します。<br />

「usWinDescent は、Windows ANSI 文 字 セットですべてのグリフ<br />

の-yMin と 解 釈 されます。usWinDescent はWindows のフォントの 高<br />

さと 行 間 の 初 期 値 を 決 定 するために 使 われます。platform 3 encoding 0<br />

フォントに 関 しては、-yMinと 同 じ 値 になります。Windowsはこの 値 よ<br />

り 低 い 位 置 にあるアウトラインのビットマップをすべて 非 表 示 にします。」<br />

Write Kern Table ブーリアン<br />

フォントの 出 力 時 、OpenTypeのGPOSテー<br />

ブルに 加 えて 旧 式 のkernテーブルを 追 加 します。グループカーニングは 分<br />

解 され、 起 こりうるすべての 組 み 合 わせが 格 納 されます。そのため、テー<br />

ブルのオーバーフローを 回 避 するためにこのカスタムパラメータを 使 用 す<br />

る 前 にフォントをサブセット 化 する 必 要 があるでしょう。<br />

WWSFamilyName 文 字 列 WWS ファミリー 名 です。WWS は「Weight<br />

Width Slope(ウエイト、 字 幅 、 傾 斜 角 )」のことです。OpenTypeのネー<br />

ムテーブルID 21に 相 当 します。「ID16とID17がWWSに 従 っていない 場<br />

合 に 使 われるWWS 形 式 ファミリー 名 です(つまりID 17がウエイト、 字 幅 、<br />

傾 斜 角 以 外 の 属 性 も 使 っている 場 合 )。もしfsSelectionフィールドの8ビッ<br />

ト 目 が 設 定 されている 場 合 はWWSFamilyNameは 必 要 がなく、 記 述 する<br />

べきではありません。 逆 に、もしこのIDが 設 定 されている 場 合 は8ビット<br />

目 が 設 定 されていてはいけません( 詳 細 はOS/2 fsSelectionフィールドを<br />

確 認 してください)。( 中 略 )ネームID 21の 例 :“Minion Pro Caption”<br />

と“Minion Pro Display”(この 場 合 、ID 16は “Minion Pro” で す )。」<br />

WWSSubfamilyName 文 字 列<br />

WWSサブファミリー 名 です。OpenTypeの<br />

ネームテーブルID 22に 相 当 します。「ID 21と 併 用 される、ID 16と17が<br />

WWSに 従 っていない 場 合 に 使 われるWWS 形 式 サブファミリー 名 です(ウ<br />

エイト、 字 幅 、そして 傾 斜 角 しか 記 述 しません)。ID 21と 同 様 、fsSelection<br />

フィールドの8ビット 目 と 共 存 はできません。( 中 略 )ネームID 22の 例 :<br />

“Semibold Italic”、“Bold Condensed”(ID 17には “Semibold Italic<br />

Caption” や“Bold Condensed Display” など、WWS 以 外 の 属 性 も 記<br />

述 可 能 です)。」<br />

17.4 グリフの 各 種 属 性 データ<br />

17.4.1 グローバルなグリフデータの 変 更<br />

<strong>Glyphs</strong> はグリフデータ(グリフの 各 種 属 性 )をGlyphData.xml ファイ<br />

ルとして 保 持 しており、これがデフォルト 設 定 としてグローバルに 機 能 し<br />

<strong>Glyphs</strong>ハンドブック2016 年 11 月 版<br />

208


ます。ユーザーはこのファイルを 独 自 に 書 き 替 えることで、グリフの 各 種<br />

属 性 を 変 更 できます。<br />

オリジナルのGlyphData.xml ファイルは<strong>Glyphs</strong>.app のアプリケー<br />

ションパッケージ 内 にあります(<strong>Glyphs</strong>.app/Contents/Frameworks/<br />

<strong>Glyphs</strong>Core.framework/Versions/A/Resources/GlyphData.xml)。<br />

各 種 属 性 を 変 更 したい 場 合 はこのGlyphData.xml ファイルを 複 製 し、<br />

「Application Support/<strong>Glyphs</strong>/Info」フォルダーに 置 いて 編 集 してくだ<br />

さい(Info フォルダーにアクセスするには<strong>Glyphs</strong> のメニューバー「スク<br />

リプト > Scripts フォルダを 開 く」を 選 択 し、 表 示 されたScripts フォル<br />

ダの 上 の 階 層 へ 移 動 するのが 簡 単 です。そこにInfoフォルダが 存 在 しない<br />

場 合 は 新 規 作 成 してください)。オリジナルのファイルを 直 接 編 集 するのは<br />

避 けてください。<br />

オリジナルのGlyphData.xml とInfo フォルダー 内 のGlyphData.<br />

xml が 存 在 する 場 合 、<strong>Glyphs</strong> はまずオリジナルのGlyphData.xml を 読<br />

み 込 み、その 後 、Infoフォルダー 内 のGlyphData.xmlを 読 み 込 んで 設 定<br />

を 上 書 きします。したがってオリジナルのGlyphData.xml ファイルは 編<br />

集 する 必 要 がありません(いつでも 初 期 設 定 に 戻 せるよう 編 集 は 避 けるべ<br />

きです)。<br />

カスタムのGlyphData.xml には、 全 グリフが 記 述 されている 必 要 は<br />

ありません。ユーザーの 変 更 したいグリフだけで 十 分 です。 書 き 替 える 予<br />

定 のない 部 分 は 削 除 して 構 いません。 書 き 替 えた 後 はアプリケーションを<br />

再 起 動 する 必 要 があります。<br />

XML にはロングタグであるglyphData 要 素 が1つ 存 在 している 必 要<br />

があります。glyphDataの 開 始 タグから 終 了 タグの 間 に 任 意 の 数 のglyph<br />

要 素 を 記 述 します。glyph 要 素 には 最 低 でも 以 下 の3つの 属 性 が 必 要 です。<br />

・name:<strong>Glyphs</strong> 内 で 使 われるグリフ 名<br />

・category:グリフのカテゴリ 名 。フォントビューまたは「ウインドウ<br />

> グリフ 情 報 」に 表 示 されます。letterやdigit などがその 例 です。<br />

3つ 目 の 属 性 は 以 下 のリストから 任 意 のものを 入 力 します( 複 数 可 )。<br />

・accents:グリフのアンカー 選 択 時 などに 現 れる 半 透 明 の 発 音 記 号 の<br />

リスト。 複 数 ある 場 合 はコンマ 区 切 りで 入 力 します。<br />

・altNames:グリフ 名 の 別 名 。<strong>Glyphs</strong>が 旧 バージョンで 使 っていた 古<br />

いグリフ 名 などが 入 ります。メニューバー「グリフ > グリフ 情 報 を 更<br />

新 」を 実 行 すると、この 別 名 がname 属 性 のグリフ 名 に 変 換 され、 各<br />

種 属 性 も 更 新 されます。 複 数 ある 場 合 はコンマ 区 切 りで 入 力 します。<br />

・anchors:「グリフ > アンカーを 自 動 設 置 」(command + U)を 実 行<br />

したときに 設 置 されるアンカーの 名 前 のリスト。 複 数 ある 場 合 はコン<br />

マ 区 切 りで 入 力 します。<br />

・decompose: 複 数 のコンポーネントで 構 成 するグリフのレシピ。コ<br />

ンポーネントのグリフ 名 を 正 しい 順 番 で 入 力 します( 例 : 文 字 グリフ<br />

<strong>Glyphs</strong>ハンドブック2016 年 11 月 版<br />

209


の 後 に 発 音 記 号 グリフ)。 複 数 ある 場 合 はコンマ 区 切 りで 入 力 します。<br />

・description:グリフの 説 明 。 通 常 はUnicodeの 文 字 情 報 を 使 用 して<br />

います。<br />

・production: 出 力 されるフォントファイル 内 に 格 納 される 製 品 用 の<br />

グリフ 名 。<br />

・script:グリフの 属 する 文 字 体 系 。arabic、latin、greekなどです。<br />

・sortName:フォントビューでのグリフの 並 び 順 。 例 :d1はdのすぐ<br />

後 に 並 びます。<br />

・sortNameKeep:sortName と 似 ていますが、フォント 情 報 の「オ<br />

ルタネートを 元 のグリフの 横 に 並 べる」が 有 効 な 場 合 に 使 われます。<br />

・subCategory:カテゴリの 中 のさらに 細 かい 分 類 。 例 えばletterカテ<br />

ゴリにはuppercaseとlowercaseがあります。<br />

・unicode:Unicode 値 。4 桁 または5 桁 の16 進 数 で 入 力 します。<br />

17.4.2 ファイルごとグリフデータの 変 更<br />

グリフの 属 性 を 特 定 の.glyphs ファイル 内 でのみ 変 更 したい 場 合 、 複 数 の<br />

解 決 法 があります。1つ 目 は.glyphs ファイルと 近 い 階 層 にGlyphData.<br />

xml を 配 置 する 方 法 です。.glyphs ファイルと 同 階 層 、.glyphs ファイル<br />

と 同 階 層 に 作 られたInfoフォルダーの 中 、または.glyphsファイルの1つ<br />

上 の 階 層 に 置 いた 場 合 に 認 識 されます。このため 複 数 の.glyphs ファイル<br />

が1つのGlyphData.xml を 共 有 できます。 他 のデザイナーにファイルを<br />

送 る 際 は、このxmlファイルも 併 せて 送 るようにしましょう。<br />

2つ 目 は.glyphs 内 で 特 定 のグリフのみを 変 更 する 方 法 です。フォ<br />

ントビューでグリフを 選 択 し、「 編 集 > 選 択 内 容 のプロパティを 編 集 」<br />

(option + command + I)を 実 行 します。 現 れたダイアログで 変 更 したい<br />

フィールドのチェックボックスを 有 効 にして、データを 変 更 します。グリ<br />

フを1つだけ 選 択 した 場 合 、グリフ 名 、Unicode 値 、 製 品 用 名 、 文 字 体 系 、<br />

カテゴリ、サブカテゴリを 変 更 できます。グリフを 複 数 選 択 した 場 合 、 文<br />

字 体 系 、カテゴリ、サブカテゴリを 一 括 変 更 できます。<br />

<strong>Glyphs</strong>ハンドブック2016 年 11 月 版<br />

210


17.5 キーボードショートカットの 変 更<br />

ツールバー 上 のショートカットはターミナルのコマンドで 変 更 できます。<br />

Finderの「アプリケーション/ユーティリティ」フォルダ 内 の「ターミナ<br />

ル.app」を 起 動 し、 以 下 のように 入 力 し、returnキーで 実 行 します:<br />

defaults write com.GeorgSeifert.<strong>Glyphs</strong>2 ""<br />

ショートカットをデフォルトに 戻 すには 以 下 のように 入 力 し、returnキー<br />

で 実 行 します:<br />

defaults delete com.GeorgSeifert.<strong>Glyphs</strong>2 <br />

変 更 内 容 は 即 座 に 反 映 されるので、<strong>Glyphs</strong> を 再 起 動 させる 必 要 はありま<br />

せん。< キー>には 使 いたいキーを 小 文 字 で 入 力 します。< ツール>には 以<br />

下 のいずれかを 入 力 します:<br />

・AnnotationTool.Hotkey<br />

・DrawTool.Hotkey<br />

・HandTool.Hotkey<br />

・MeasurementTool.Hotkey<br />

・OtherPathsTool.Hotkey<br />

・PrimitivesTool.Hotkey<br />

・SelectTool.Hotkey<br />

( 注 釈 ツール、 標 準 :a)<br />

(ペンツール、p)<br />

( 手 のひらツール、h)<br />

( 計 測 ツール、l)<br />

(ナイフ/ 消 しゴムツール、e)<br />

( 幾 何 図 形 ツール、f)<br />

( 選 択 ツール、v)<br />

・SelectAllLayersTool.Hotkey ( 全 レイヤー 選 択 ツール、v)<br />

・TextTool.Hotkey<br />

(テキストツール、t)<br />

・RotateTool.Hotkey<br />

( 回 転 ツール、r)<br />

・ScaleTool.Hotkey<br />

( 拡 大 縮 小 ツール、s)<br />

・TrueTypeTool.Hotkey (TrueTypeヒンティングツール、i)<br />

・ZoomTool.Hotkey<br />

(ズームツール、z)<br />

hotkey ID はインターフェイスのツール 名 と 一 致 しています。 唯 一 の 例<br />

外 は1つにまとめられているナイフと 消 しゴムツールです。 例 : 注 釈 ツー<br />

ルのショートカット( 初 期 状 態 ではA)をQ に 変 更 したい 場 合 、ターミナ<br />

ルに 以 下 のように1 行 で 入 力 し、return キーで 実 行 します( 使 用 したい<br />

キーを 小 文 字 で 入 力 してください):<br />

defaults write com.GeorgSeifert.<strong>Glyphs</strong>2 AnnotationTool.<br />

Hotkey "q"<br />

使 用 したいキーを 小 文 字 で 入 力 してください。return キーで 実 行 します。<br />

これでqを 押 すと 注 釈 ツールに 変 更 するようになりました。もし 初 期 状 態<br />

に 戻 すには、 再 びターミナルに 以 下 のように1 行 で 入 力 、 再 びreturnキー<br />

で 実 行 します:<br />

defaults delete com.GeorgSeifert.<strong>Glyphs</strong>2 AnnotationTool.<br />

Hotkey<br />

これでショートカットはAに 戻 ります。<br />

<strong>Glyphs</strong>ハンドブック2016 年 11 月 版<br />

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