物質・材料研究機共用基盤部門強磁場共用ステーション 2008 年度 ...

独立行政法人 

物質・材料研究機 

共用基盤部門強磁場共用ステーション 

2008 年度成果報告書 

独立行政法人物質・材料研究機構 NIMS ナノテクノロジー拠点 

極限環境領域 NMR ファシリティー 

2008 年度成果報告書 ( 委託事業および自主事業 )

ご挨拶 

この冊子は独立行政法人物質・材料研究機構共用基盤部門および NIMS ナノテクノロジー拠点 

の強磁場共用ステーション( 国際通称 Tsukuba Magnet Laboratory)で行った 2008 年度の研究の 

成果をまとめたものです。物材機構の強磁場施設には世界で2 番の定常強磁場が発生できるハイ 

ブリッドマグネットを有しており、独法化以前の組織である金属材料技術研究所時代の平成 10 

年度から共同研究に供してきました。平成 17 年度に着手したハイブリッドマグネットシステム 

の改良計画のうち、19-20 年度には冷却水システムと超伝導マグネット冷却システムの改造を行 

いました。すなわち、1100 トンの大型水槽の大部分を本来の目的である冷熱貯蓄に使用し、冷 

凍機運転が均一化できるように改良しました。この改良では熱交換器を導入したのですが、予め 

心配した熱効率の減少はなく、むしろ効率は大幅に上昇しました。また、マグネットの冷却用の 

ヘリウム冷凍機を適正サイズに小型化することで電力消費量を大幅に減少し、年間 710 トン以上 

の二酸化炭素排出削減が見込まれています。この事業には環境省の補助金が一部で使われていま 

す。15 MW 水冷マグネット電源の改良も順次行っていますが、17 年度にフィルタ部を MOS-FET 

ドロッパーへ交換し大幅に磁場変動とリップルを抑制することに成功しています。19-21 年度に 

は制御部に最新技術を取り入れ大幅な省力化を目指しています。 

また、強磁場共用ステーションには固体高分解能用の 930 MHz(21.8T の磁場における水素核 

の共鳴周波数 )の NMR 装置を含め 500 MHz、400 MHz、270 MHz 装置などが設置されています。 

これらはナノ領域の構造評価に活用されることから、「国際ナノテクノロジーネットワーク拠点」 

の支援事業に提供されています。このほか、当ステーションには希釈冷凍機のついた物性研究用 

の 20T マグネットが2 台と 18 T 汎用マグネット及び内径 10 cm の室温空間で 10 T 及び 12 T の 

無冷媒マグネットなどがあり共同利用に供されています。最後に、ユーザー各位の一層のご支援 

と強磁場研究の進展を期待しております。 

強磁場共用ステーション長 

木戸義勇

目次 

独立行政法人物質・材料研究機構共用基盤部門強磁場共用ステーション 

2008 年度成果報告書 

低次元磁性体 Cu 3 Mo 2 O 9 の強磁場磁化過程 II 1 

Magnetization curve at high magnetic field in the low-dimensional magnet Cu 3 Mo 2 O 9 II 

上智大学・理工黒江晴彦、浜崎智彰、関根智幸 

物質・材料研究機構長谷正司、北澤英明 

KFe 2 As 2 単結晶の電気抵抗と臨界磁場測定 3 

Resistivity and upper critical field in KFe 2 As 2 single crystals 

物質・材料研究機構寺嶋太一、木俣基、薩川秀隆、硲香織、原田淳之、宇治進也 

神戸大播磨尚朝 

BaNi 2 P 2 の dHvA 測定 5 

dHvA measurements on BaNi 2 P 2 

物質・材料研究機構 

産業技術総合研究所 


寺嶋太一、木俣基、薩川秀隆、硲香織、原田淳之、今井基晴、宇治進也 

鬼頭聖、伊豫彰、永崎洋 

有機伝導体 -(BETS) 2 FeCl 4 における磁場誘起超伝導の面垂直磁場効果 7 

Effect of perpendicular field on field-induced superconductivity in organic conductor -(BETS) 2 FeCl 4 


A 、筑波大数理物質 

B C 

A,B 

、日大理宇治進也、木俣基 

A 、薩川秀隆 

硲香織 

A,B 、寺嶋太一 

A 、周彪 

C 、小林速男 

C C 

、小林昭子 

A 、原田淳之 

A 、 

(EDT-DSDTFVSDS) 2 MBr 4 の巨大磁気抵抗 9 

Giant negative magnetoresistance of (EDT-DSDTFVSDS) 2 MBr 4 


大阪府立大院理 

薩川秀隆、木俣基、原田淳之、硲香織、寺嶋太一、宇治進也 

邵向鋒、林寿樹、杉本豊成 

磁性有機導体 (Me-3,5-DIP)[Ni(dmit) 2 ] 2 の面内磁場下における特異な磁気抵抗 11 

Anomalous magnetoresistance of magnetic organic conductor (Me-3,5-DIP)[Ni(dmit) 2 ] 2 under in-plane magnetic field 

筑波大数理物質 A 、物質・材料研究機構 B 、埼玉大理 

C 、理研 D 、CREST * 

硲香織 AB 、山口尚秀 

B 、木俣基 

B 、 

原田淳之 

B 、薩川秀隆 

B 、寺嶋太一 

B 、宇治進也 

AB 、高坂洋介 

CD 、山本浩史 

D* CD* 

、加藤礼三 

鉄フタロシアニン伝導体の巨大磁気抵抗と磁気トルク 13 

Giant Magnetoresistance and Magnetic Torque of Fe-Phthalocyanine Conductor 

物材機構 

1 , 筑波大 

2 , 熊本大理 

3 , 東大物性研 

4 5 

, 北大理 

宇治進也 

1,2 , 松田真生 

3 , 田島裕之 

4 , 内藤俊雄 

5 5 

, 稲辺保 

木俣基 

1 , 薩川秀隆 

1 , 山口尚秀 

1 , 寺島太一 

1 , 

不整合格子系有機超伝導体 (MDT-TS)(AuI 2 ) 0.441 の反強磁性状態 15 

Antiferromagnetic state of the incommensurate organic superconductor (MDT-TS)(AuI 2 ) 0.441 

東京工業大学川本正、坂東祥匡、森健彦 

物質・材料研究機構鴻池孝子、山口尚秀、寺島太一、宇治進也 

広島大学瀧宮和男、大坪徹夫

磁場誘起スピン密度波における傾斜磁場効果の検証 –レベッド魔法角の場合 – 17 

Field-Induced Spin Density Waves transitions and Lebed resonance –A Competition between two dimensional effects 

青山学院大学理工、物材機構 

a b 

、兵庫県立大学 

山田順一 

b 、三井敏之 

小林夏野、木俣基 

a 、薩川秀隆 

a 、宇治進也 

a 、寺嶋太一 

a 、 

二次元三角格子を持つスピンギャップ物質 YbAl 3 C 3 の強磁場磁化過程 19 

High field magnetization process of the spin gap system YbAl 3 C 3 with the two-dimensional triangular lattice 

埼玉大学大学院理工学研究科小坂昌史、加藤慶顕、小檜山卓也 

物質・材料研究機構鈴木博之 

ZnO2 次元電子系における強磁場輸送特性 21 

High magnetic field transport measurements in ZnO two-dimensional electron systems 

物質・材料研究機構今中康貴、高増正 

産業総合技術研究所反保衆志、柴田肇、仁木栄 

重い電子系化合物 URu 2 Si 2 の強磁場下輸送係数測定 23 

Transport measurements of a heavy fermion compound URu 2 Si 2 under high magnetic field 

京大院理 

1 、物材機構 

2 、東北大金研 

3 、原子力機構 

4 5 

、阪大院理 

宍戸寛明 

1* 、橋本顕一郎 

1 、芝内孝禎 

1 、高増正 

2 、竹端寛治 

2 、今中康貴 

2 、佐々木孝彦 

3 、大泉元 

3 、 

小林典男 

3 , 、芳賀芳範 

4 、松田達磨 

4 、大貫惇睦 

4,5 1 

、松田祐司 

非磁性半導体 black SmS の磁場による金属化 25 

Magnetic field induced metallization of nonmagnetic semiconducting phase of SmS 

名大院理井村敬一郎、出口和彦、佐藤憲昭 

東大物性研松林和幸 

物質・材料研究機構鈴木博之、高増正、今中康貴、竹端寛治 

層状マンガン酸化物単結晶の磁場誘起ステップ転移の外場効果 27 

Effect of external parameters on magnetic-field induced steplike transition of bilayered manganite single-crystal 

岩手大・工大和義昭、村野由、松川倫明 

東北大・金研小山佳一、小林典男 

物質・材料研究機構二森茂樹 

パリ南大学 R.Suryanarayanan、A.Revcolevschi 

微小 Al 超伝導ディスクにおける過剰抵抗の試料サイズ効果 29 

Sample size dependence of excess resistance near the superconducting transition of a mesoscopic Al disk 


A B 

、筑波大数理物質 

薩川秀隆 

A 、硲香織 

A,B 、小玉恒太 


A A,B 

、宇治進也 

原田淳之 

A 、榎本健悟 

A 、矢ヶ部太郎 

A 、木俣基 

A 、 

磁場印加中加熱による熱分解炭素の作製と磁性 31 

Preparation of pyrolytic carbon by heating under magnetic field and its magnetic properties 

埼玉大学大学院理工学研究科神島謙二 

4f 電子系化合物における NMAD スピングラス現象に関する研究 33 

NMAD Spin Glass Behavior in 4f Electronic Compounds 

東北大・金研李徳新 

物質・材料研究機構二森茂樹

光化学反応の磁場効果と光化学反応機構研究への応用 36 

Study of the Magnetic Field Effects on Photochemical Reactions and its Application on Reaction Dynamics 

of Photochemical Reactions 

埼玉大学大学院理工学研究科神戸正雄、田中深雪、矢後友暁、若狭雅信 

物質・材料研究機構高増正 

低銅比銅安定化 Nb 3 Al 線材の特性 39 

Characteristics of Cu Stabilized Nb 3 Al Strands with Low Cu Ratio 

物質・材料研究機構菊池章弘 

日立電線株式会社中川和彦、田中和英 

株式会社ヒキフネ小林道雄 

フェルミ国立加速器研究所 R. Yamada, E. Barzi, M. Lamm, D. Turrioni, A. Zlobin 

高エネルギー加速器研究機構土屋清澄、中本建志、佐々木憲一、山本明 

低損失型の Nb 3 Al 線材の開発 41 

Development of low-AC-loss Nb 3 Al conductors 

物質・材料研究機構伴野信哉、竹内孝夫 

日立電線 ( 株 ) 田中和英、中川和彦 

ジェリーロール法 Nb 3 Al 線材における箔厚の影響 43 

Effect of the Jelly-Roll layer thickness on the properties of Nb 3 Al wires 

高エネルギー加速器研究機構土屋清澄、寺島昭男、山本明 

物質・材料研究機構竹内孝夫、伴野信哉、菊池章弘、飯嶋安男、二森茂樹 

上智大学福田嵩大、竹中康記、高尾智明 

日立電線田川浩平、中川和彦、田中和英 

ジェリーロール法 Nb 3 Sn 線材の開発 45 

Development of Jelly-Roll processed Nb 3 Sn superconducting wires. 

日立電線 ( 株 ) 大圃一実、木村守男、中川和彦 

( 株 ) 日立製作所高橋雅也、岡田道哉 

東海大学・工学部太刀川恭治 

物質・材料研究機構竹内孝夫 

新製法による Nb 3 Sn 超伝導線材の強磁場特性 47 

High-Field Performance of Nb 3 Sn Superconductors Prepared by a New Process 

東海大学工学部太刀川恭治、佐々木弘樹、山口真弘、林裕貴、中田光栄 


Nb 3 Sn 超伝導素線の Ic-B-T- 特性の測定と解析 50 

The measurement and analysis on the Ic-B-T- characteristics of Nb 3 Sn superconducting wire 

古河電気工業株式会社杉本昌弘、片山功多、八木澤進、坪内宏和 

物質・材料研究機構佐藤明男、伊藤喜久男、木吉司 

RHQT-Nb 3 Al 線材開発における線径柔軟性について 53 

Wire-diameter variety of RHQT Nb 3 Al conductor 

日立電線田川浩平、田中和英、中川和彦 

物質・材料研究機構竹内孝夫、北口仁、伴野信哉、飯嶋安男、菊池章弘

16wt%Sn ブロンズを用いた Nb 3 Sn 線材の Jc のフィラメント径依存性 55 

Filament diameter dependence of Jc of Nb 3 Sn superconducting wires prepared with 16wt%Sn bronze. 

JASTEC 村上幸伸、安中弘行 *1 、林征治 

物質・材料研究機構松本真治、浅野稔久、伊藤喜久男、木吉司 

ITER CS 用 Nb 3 Sn 超伝導素線の軸方向歪印加時における臨界電流特性の測定 57 

Measurement of critical current characteristics in Nb 3 Sn strand subjected to axial-strain for ITER central solenoid 

日本原子力研究開発機構辺見努、長谷隆司、布谷嘉彦、宇野康弘、奥野清 

物質・材料研究機構伊藤喜久男 

Nb-Zr 合金超伝導線材の新しい作製方法 59 

New Fabrication Process of Superconducting Nb-Zr Alloy Wire 

足利工業大学斎藤栄 

物質・材料研究機構竹内孝夫、伴野信哉 

内部拡散法によって作製した MgB 2 線材の超伝導特性 61 

The development of MgB 2 wires by internal diffusion process 

物質・材料研究機構松本明善、戸叶一正、熊倉浩明 

高 Ga 濃度 Cu-Ga 化合物を用いた V 3 Ga 超伝導線材における Mg 添加効果 63 

Effect of Mg addition on the superconducting properties of the V 3 Ga multifilamentary wires using high Ga content 

Cu-Ga/V precursor 

自然科学研究機構核融合科学研究所菱沼良光、西村新 

物質・材料研究機構菊池章弘、飯嶋安男、竹内孝夫 

( 株 ) 大阪合金工業所谷口博康、朝永満男 

YBCO コイルの製作と評価 65 

Construction and test of YBCO coils 

物質・材料研究機構 Uglietti Davide、崔世鎔、松本真治、木吉司 

HTS テープ線材の磁場遮蔽 67 

Magnetic field shielding by HTS tape conductors 

物質・材料研究機構松本真治、内田公、木吉司 

押し出しを利用した Cu 安定化 V-Ti 合金線材の超伝導特性 69 

Trial manufacture of RHQT Nb 3 Al cable-in-conduit conductor 

物質・材料研究機構竹内孝夫、瀧川博幸、伴野信哉 

徳島大学中川正規、井上廉 

Gd 系高温超電導線材の臨界電流の磁界特性 71 

Critical current characteristics of GdBCO coated conductor in magnetic field 

九州電力株式会社岡元洋 

物質・材料研究機構二森茂樹 , 伊藤喜久男 

株式会社フジクラ齊藤隆 

超電導工学研究所町敬人 , 塩原融 

Bi-2212 線材臨界電流の強磁場中温度依存性 73 

Critical current density of Bi-2212 wires at various temperatures and high magnetic fields 

日本原子力研究開発機構礒野高明、奥野清 

物質・材料研究機構伊藤喜久男

ブロンズで補強した Bi-2223 テープ線材の高磁場中臨界電流 75 

Critical current of Bi-2223 tape wire reinforced by bronze in high magnetic field 

( 株 ) 神戸製鋼所財津享司、濱田衛 

( 独 ) 日本原子力研究開発機構長谷隆司 

物質・材料研究機構崔世鎔、木吉司 

強磁場による [Cu(bpy) 2 (BF 4 ) 2 (bpy)] のゲート圧制御 77 

Control of Gate Pressure of [Cu(bpy) 2 (BF 4 ) 2 (bpy)] by High Magnetic Fields 

信州大学理学部橋川輝一 , 浜崎亜富 , 尾関寿美男 

物質・材料研究機構阿部晴雄 

ヘリカルシリカの磁場による構造制御 79 

Structural Control of Helical Silica due to the Magnetic Fields 

信州大学理学部久保田佳那 , 浜崎亜富 , 尾関寿美男 


Cu 母相中における bccFe-Co 粒子のバリアント選択に及ぼす外部磁場効果 81 

Effects of magnetic field on variant selection of bcc Fe-Co particles in a Cu matrix 

東京工業大学大学院総合理工学研究科島隆一郎、菅野千晴、藤居俊之、尾中晋、加藤雅治 

物質・材料研究機構大塚秀幸 

熱酸化法による Co フェライト薄膜の作製と磁気・伝導特性 83 

Magnetic and transport properties of Co ferrite thins film fabricated by a thermal oxidation. 

物資・材料研究機構高橋有紀子、介川裕章、三谷誠司、猪俣浩一郎、宝野和博 

東北大学関剛斎、高梨弘毅 

強磁場によるブロック共重合体ラメラ状ミクロ相分離構造の垂直配向化を目指した試み 85 

Trial of Perpendicular Orientation of Lamellar Microdomains in Films of All-Amorphous Block Copolymers 

by High Magnetic Fields 

京都工芸繊維大学安井章文、櫻井伸一 

物質・材料研究機構木吉司 

首都大学東京山登正文 

京都大学木村史子、木村恒久 

自己組織化らせん状共役系高分子の超階層構造 

― 液晶性ポリメタフェニレン誘導体の磁場配向 87 

Hierarchical structures of self-assembled helical conjugated polymers—Magnetically forced alignment of 

liquid crystalline poly(meta-phenylene) derivatives 

京都大学高分子化学専攻須田清、吉田淳、赤木和夫 


導電性高分子の磁場電解合成 89 

Magnetoelectrochemical synthesis of conducting polymers 

筑波大数理物質科学研究科物質工学系後藤博正 

物質・材料研究機構二森茂樹

垂直磁場中における銅電析反応の電流応答 91 

Electrolytic Current of Copper Electrodeposition in Perpendicular Magneticdeno Field 

早稲田大学高等研究所杉山敦史 

埼玉県産業技術総合センター森本良一 

物質・材料研究機構山内悠輔 

東北大学金属材料研究所茂木巖 

早稲田大学理工学術院逢坂哲彌 

職業能力開発総合大学校青柿良一 

タンパク質結晶成長における対流の効果に関する理論的考察 93 

The role of solutal convection in protein crystal growth -A new dimensionless number to evaluate the effects 

of convection on protein crystal growth- 

物質・材料研究機構若山信子 

蘭州交通大学王良璧 

西安交通大学陶文せん 

磁場中 DNA 電気泳動におけるローレンツ力効果 95 

Lorentz Force Effects on DNA Electrophoresis under the Magnetic Fields 

横国大院工小澤瞬 , 黒坂大希 , 山本勲 


強磁場環境が哺乳動物の生殖細胞に及ぼす影響 97 

- 母マウスへの靜磁場暴露が初期胚から着床後の胎児に及ぼす影響 - 

Effect of High magnetic Field on Mammalian Gametes; the Effects of 12T Static Magnetic Fields from the After Fertilized to 

the Implantation Stage in Vivo Treated Mouse Fetuses 

東邦大学岡田詔子、黒田優、横藤田純子、小田哲子、五十嵐宏明 

医薬基盤研究所羽鳥真功、山海直 


強磁場の生体影響に関する研究 99 

The study of biological effect of strong static magnetic field 

財団法人鉄道総合技術研究所池畑政輝、吉江幸子 

物質・材料研究機構廣田憲之、竹村太郎、箕輪貴司、花方信孝


極限環境領域 NMR ファシリティー 2008 年度成果報告書 ( 委託事業および自主事業 ) 

改良したハイブリッド磁石を用いた強磁場 NMR 101 

High-Field NMR with a Newly Designed Hybrid Magnet 

物質・材料研究機構端健二郎、清水禎、藤戸輝昭、後藤敦、大木忍、浅野稔久、二森茂樹 

光ポンピング法を用いた核スピン偏極器の開発 VII 103 

Development of a nuclear spin polarizer with the optical pumping method: VII 

1 

物質・材料研究機構、 2 科学技術振興機構さきがけ 

後藤敦 

1,2 、清水禎 

1 , 端健二郎 

1 , 大木忍 

1 1 

, 瀧澤智恵子 

カリウムを吸着した SOD 型ソダライトの NMR 特性 105 

NMR Property of Sodalite Loaded with Potassium 

群馬高専五十嵐睦夫 

大阪大学大学院理学研究科中野岳仁 , 花澤宏文 , 野末泰夫 

物質・材料研究機構清水禎 , 後藤敦 , 端健二郎 

絹モデルペプチドの分子内・分子間水素結合に関する高磁場 

1 H 固体 NMR と 

経験的 

1 1 

H 化学シフト計算を用いた研究 

A Study of Intra- and Inter-molecular Hydrogen Bonds in Silk Model Peptides with High-Field Solid State 1 H NMR 

and Empirical 1 H Chemical Shift Calculation 

農工大工鈴木悠、高橋塁、山内一夫、朝倉哲郎 

シェフィールド大マイク・ウィリアムソン 

物質・材料研究機構清水禎、丹所正孝 

10 B および 11 B 高分解能 NMR によるボロンドープダイヤモンドの研究 111 

10 B and 11 B High-resolution NMR studies on boron-doped diamond 

京都大学・理竹腰清乃理 

ロシア科学アカデミー E.A.Ekimov,V.A.Sidorov 

物質・材料研究機構村上美和、清水禎、丹所正孝、高野義彦、石井聡 

109 

2 H, 13 C NMR による液晶 6BA の分子配向および分子ダイナミクスの研究 113 

2 H and 13 C NMR Studies of Molecular Orientation and Dynamics in Liquid Crystal 6BA 

1 

金沢大学大学院自然科学研究科物質科学専攻、 2 物質・材料研究機構ナノ計測センター強磁場 NMRグループ 

水野元博 

1 、鈴木陽 

1,2 、村上美和 

2 , 丹所正孝 

2 2 

、清水禎 

強磁場固体高分解能 NMRによるモリブデン化合物の局所構造の研究 115 

A Study of Local Structure of Molybdenum Compounds by High-Field High-Resolution NMR in Solids 

自然科学研究機構分子科学研究所飯島隆広、西村勝之 

東京工業大学山瀬利博 

27 Al-NMR による脱水ゼオライトにおける異常スピン-スピン緩和の研究 117 

Anomalous property of the spin–spin relaxation of 27 Al NMR in dehydrated zeolite A 

a 

群馬高専、 b 産業技術総合研究所、 c 物質・材料研究機構、 d 大阪大学 

五十嵐睦夫 

a 、小平哲也 

b 、清水禎 

c 、後藤敦 

c 、端健二郎 

c 、中野岳仁 

d d 

、野末泰夫

アラニントリペプチドとオリゴマーの高磁場 

1 H-MAS および 15 N 交差分極 -MAS-NMR による 

研究 : 反平行および平行 βシート構造と 2 つの結晶学的に独立な分子の峻別 119 

High-Field 1 H MAS and 15 N CP-MAS NMR Studies of Alanine Tripeptides and Oligomers: Distinction of Antiparallel and 

Parallel β-Sheet Structures and Two Crystallographically Independent Molecules 

a 

東京農工大学、 b 物質・材料研究機構 

鈴木優 

a 、山内一夫 

a 、朝倉哲夫 

a 、丹所正孝 

b b 

、清水禎 

生体分子の固体酸素 17 核 NMR 研究 121 

A Solid-state 17 O NMR Study in Biological Compounds 

a 

理研ゲノム科学総合研究センター、 b 物質・材料研究機構 

山田和彦 

a 、山崎俊夫 

a 、清水禎 

b b 

、大木忍 

Analysis of 11 B NMR Powder Lineshape of MgB 2 in the Normal Phase 123 

a 

京都大学、 b 物質・材料研究機構 

山路俊樹 

a 、竹腰清乃理 

a b 

、清水禎 

Study of YbAl 3 C 3 in High Magnetic Field 125 

a 

神戸大学、 b 物質・材料研究機構、 c 埼玉大学 

清水禎 

b 、後藤敦 

b 、大木忍 

b 、加藤慶顕 

c c 

、小阪昌史 

冨澤智 

a 、水戸毅 

a 、和田信二 

a 、端健二郎 

b 、 

低 -k 絶縁体用自己組織化ポーラスシリカの Si-O-Si 骨格ネットワークの結合性に対する前駆体溶 

液中の有機アルコキシシラン濃度依存性 127 

Skeletal Si–O–Si network connectivity of self-assembled porous silica for low-k dielectrics depending on organoalkoxysilane 

concentration in precursor solutions 

a Advanced Semiconductor Research Center, National Institute of Advanced Industrial Science and Technology 

b National Institute for Materials Science 

Syozo Takada a , Nobuhiro Hata a and Kikuko Hayamizu , Miwa Murakami b , Kenzo Deguchi b , Shinobu Ohki b , 

Masataka Tansho b , and Tadashi Shimizu b 

常磁性物質内における分子運動のマジック角回転 

2 H-NMR スペクトルによる研究 131 

Molecular Dynamics in Paramagnetic Materials as Studied by Magic-Angle Spinning 2 H NMR Spectra 

a 

金沢大学、 b 物質・材料研究機構 

水野元博 

a , 鈴木陽 

a 、丹所正孝 

b b 

、清水禎 

930MHz 固体 NMR によるオレフィン重合用触媒の構造解析 133 

Ti-NMR in Zigler-Natta Catalyst by High-Field Solid-State NMR 

a 

東邦チタニウム、 b 物質・材料研究機構 

齋藤雅由 

a 、藤田孝 


b b 

、出口健三

独立行政法人 

物質・材料研究機 

共用基盤部門強磁場共用ステーション 

2008 年度成果報告書

低次元磁性体 Cu 3 Mo 2 O 9 の強磁場磁化過程 II 

Magnetization curve at high magnetic field in the low-dimensional magnet Cu 3 Mo 2 O 9 II 

上智大学・理工黒江晴彦、浜崎智彰、関根智幸 

Haruhiko Kuroe, Tomoaki Hamasaki, and Tomoyuki Sekine 

Dept. Phys., Sophia Univ. 

物質・材料研究機構長谷正司、北澤英明 

Masashi Hase and Hideaki Kitazawa 

National Institute for Materials Science 

Abstract: 

We report the magnetization curve under magnetic fields up to 30 T at low temperatures in Cu 3 Mo 2 O 9 single crystal. 

This material shows successive phase transitions to an antiferromagnetic phase at T N = 7.9 K and a weak ferromagnetic phase 

at T c ~ 2.5 K in low magnetic fields. With increasing magnetic field below T N , a rapid increase of magnetization is observed 

at 19.3 T for H//a and 17.5 T for H//c, respectively. On the other hand, it is not observed for H//b, which denies the spin flop 

transition, because the easy axis is almost pararell to the b axis. These rapid increases disappear above T N . The magnetic 

moments are canted towards the ac plane by the Dzyaloshinskii-Moriya interaction in the WF phase. Consequently, these rapid 

increases of magnetization at high magnetic fields are interpreted by a sudden rotation of the WF moment about the b axis. 

Keywords: Magnetization, low-dimensional magnet, Cu 3 Mo 2 O 9 , Dzyaloshinskii-Moriya interaction 

E-mail: kuroe@sophia.ac.jp 

1. はじめに 

Cu 3 Mo 2 O 9 は結晶学的な b 軸方向に延びた、結晶学 

的に非等価な三種類の Cu 2+ イオンから形成された擬 

一次元スピン鎖を持つ[1]。一本の磁性鎖を抜き出すと、 

図 1(a) に示すように Cu1 スピンの作る、DM 相互作 

用に伴う擬一次元反強磁性スピン鎖は Cu2 および 

Cu3 の作るスピンダイマーと相互作用している。これ 

らの磁性鎖が単位胞の中に、図 1(b) の様に並んでいる。 

図 1(c) に示すように b 軸方向に隣接した二つの 

Cu1 イオンには Dzyaloshinskii-Moriya (DM) 相互作用 

が働き、その Dzyaloshinskii ベクトル (D ベクトル) 

は図 1(b), (c) の様に交番化する。各々の磁性鎖では b 

軸方向の反強磁性秩序の位相の違いによって、図 1(b), 

(c) での case 1, case 2 の様な異なる向きの弱強磁性 

的なモーメント成分 (WF モーメント)を生じ得る。 

Cu 3 Mo 2 O 9 は T N = 7.9 K で反強磁性転移を起こし、約 

2.5 K 以下で弱強磁性的な性質を持った新しい相に転 

移する[1]。これらの逐次相転移は、鎖間相互作用や磁 

場印加による WF モーメントの配向と熱揺らぎとが 

競合して起こると考えられる。 

中性子非弾性散乱測定より求めた分散関係から、 

Cu1 スピン鎖の鎖内方向の交換相互作用の大きさ [ 図 

1(a) の J 4 ]、Cu2-Cu3 ダイマー間に働く交換相互作用 

の大きさ [ 図 1(a) の J 3 ]、Cu1 スピン鎖と Cu2-Cu3 ダ 

イマー間に働く相互作用の大きさを明らかにし、この 

系では Cu1 スピン鎖の作る spinon 励起と Cu2-Cu3 ダ 

イマーの作る triplon 励起が結合している事を明らか 

にした[2]。 

2. 実験方法 

NIMS のハイブリッド・マグネットを用いて、 

30 T までの引き抜き法による強磁場磁化過程測 

定を行った。クライオスタット内の三個の試料ス 

ペースに、結晶軸を Laue 写真で特定した 

Cu 3 Mo 2 O 9 単結晶試料を取り付けた。測定は T c と 

T N を考慮して、2.0, 4.6, 6.0, 10.4 K で行った。 

 

 

Fig1:Schematic drawing of Cu 3 Mo 2 O 9 . 

- 1 -

4.6 K 以下での温調はクライオスタット内部のヘリウ 

ム圧力の調整で行い、4.6 K 以上での温調はクライオ 

スタット内部のヒーターに流す電流を調整することで 

行った。温度はクライオスタット内部に設置した 

CERNOX 温度計を用いて測定した。 

3. 実験結果と考察 

図 2 には磁場 H を結晶の a, b, c 軸に平行に印加し 

た場合の昇磁場での磁化過程の温度変化を示す。今後 

x 軸方向に磁場をかけた場合の磁化を M x (H) とし、一 

般的な場合には添え字を省略する。2 T 以上では M(H) 

に磁気ヒステリシスは観測されなかった。 

弱磁場から順にデータを説明する。M a (H) では 0 T 

と 0.1 T の間に、M c (H) では 0.3 T と 0.8 T の間に WF 

モーメントの配向秩序による磁化の上昇が観測される。 

一方、M b (H) は 0 T 付近では直線的な磁場変化をする。 

これらの結果の詳細は文献 [1]で報告されている。T N 

以下での M a (19.3 T) と M c (17.5 T) に、磁場の上昇に伴 

う急激な磁化の上昇が観測された。この変化は M b (H) 

については観測されなかった。この変化は T N 以下で 

のみ観測されていて、T c 以下でも同様な M(H) の急 

激な上昇が同様の磁場で観測されている。すなわち反 

強磁性長距離秩序の形成に関係した現象であることが 

示唆される。しかしながら T N 以下では Cu1 のスピ 

ンはほぼ b 軸方向を向いているので、この現象は一般 

的なスピン・フリップとは考えられない。 

磁化の急激な上昇の原因を考察する。先ずは図 1(b) 

に示した磁気構造をとるスピン系の詳細を見る。印加 

磁場も含めて考えると、Cu1 スピンは D ベクトルに 

垂直な面内で結晶の b 軸方向から僅かに傾いた方向 

を向く。これは二つの Cu1 スピンを直交させようと 

する DM 相互作用と、反平行にそろえようとする交 

換相互作用 J 4 と、印加磁場の競合による。Cu1 スピ 

ンの回転方向は二種類あり、一つは Cu1 スピンの b 軸 

方向からのキャント角、もう一つは b 軸方向に隣 

接した二つの Cu1 スピンが含まれる平面の法線ベク 

トルが a 軸からなす角である。 

a 軸方向の磁場を印加する。僅かな磁場で b 軸方向 

の反強磁性秩序の位相の配向が起こり、0.1 T で WF 

モーメントが揃った方向を向く[1]。さらに磁場を印加 

すると Cu1 スピンは印加磁場の方向に向こうとする。 

19.3 T 以下の弱磁場領域ではが変化せずにだ 

けが変化して、ある磁場で不連続にとが変化す 

る。D ベクトルは結晶構造で決まり、その方向も大き 

さも磁歪の効果を除いて磁場によらないと考えると、 

の不連続な変化は実効的な DM 相互作用の減少を 

伴う。そのためにエネルギーの利得を稼ぐためにはキ 

ャント角も同時に不連続に上昇しなければいけな 

い。それは WF モーメントの不連続に上昇、すなわち 

M a (H) の急激な上昇として観測されるだろう。これが 

M a (19.3 T) と M c (17.5 T) で観測されていると考えられ 

る。H//b の場合にはスピンは D ベクトルに垂直な平面 

内で回転するため、このモデルでは、M b (H) では急激な 

上昇は期待されない。これは実験結果と矛盾しない。 

この議論が成立するためにはスピン方向が D ベク 

トルに垂直な面に束縛された場合 (ピンされた状態 ) 

を想定する必要がる。そのため、ピン止めの機構の考 

察が不可欠である。現在我々はどの様な条件でスピン 

がピン止めされるかを、数値計算の助けをかりて探索 

している。 

4. まとめ 

Cu 3 Mo 2 O 9 の強磁場磁化測定を行い、反強磁性相で 

異方性を伴う磁化の急激な上昇を観測した。これは一 

般的なスピン・フリップによる磁化の変化とは違うも 

のであり、この物質特有のものである事がわかった。 

参考文献 

[1] T. Hamasaki et al., Phys. Rev. B, 77 (2008) 134419, 

浜崎智彰博士論文 (2009). 

[2] H. Kuroe et al. submitted to Phys. Rev. Lett. 

Fig.2:High magnetic-field magnetization curves in Cu 3 Mo 2 O 9 . 

- 2 -

KFe 2 As 2 単結晶の電気抵抗と臨界磁場測定 

Resistivity and upper critical field in KFe 2 As 2 single crystals 

物質・材料研究機構寺嶋太一、木俣基、薩川秀隆、硲香織、原田淳之、宇治進也 

Taichi Terashima, Motoi Kimata, Hidetaka Satsukawa, Atsushi Harada, Kaori Hazama, Shinya Uji 



Hisatomo Harima 

Kobe University 

Institute of Physics, Chinese Academy of Sciences Gen-Fu Chen, Jian-Lin Luo, Nan-Lin Wang 

Abstract: 

We have performed resistivity measurements on KFe 2 As 2 single crystals down to T = 0.3 K and in magnetic fields up to 

17.5 T. The in-plane resistivity vs. T curve has a convex shape down to ∼ 50 K and shows a T 2 dependence below ∼ 45 K. 

The ratio of the c-axis to in-plane resistivities is ∼ 10 at room temperature and ∼ 40 at 4.2 K. The superconducting upper 

critical field B c2 (T ) has been determined from the resistivity data: B ab c2 (0) = 4.47 T and B c c2 (0) = 1.25 T. The anisotropy 

parameter Γ = B ab c2 /B c c2 increases with T and is 6.8 at T = T c . The strong curvature of the B ab c2(T) curve indicates the 

existence of strong spin paramagnetic effects. 

Keywords: iron pnictide superconductor, resistivity, upper critical field, anisotropy 

E-mail: TERASHIMA.Taichi@nims.go.jp 


東工大細野グループによる LaFeAsO 1-x F x における T c 

= 26 K の超伝導の発見以来、鉄系超伝導体は盛んに研 

究されている。 

Ba 1-x K x Fe 2 As 2 は、x = 0 で T N = 140 K の反強磁性金属 

であるが、ドーピング x と共に T N が低下し超伝導が出 

現する。T c は、x = 0.4 で最高の T c = 38 K を取り、更に 

x が増加すると低下するが、x = 1 でも T c = 3.8 K( 多結 

晶の場合 )の超伝導体である。x = 0.4 から 1 まで T c 

や格子定数は連続的に変化するため、x =0.4 と 1 の化 

合物を比較検討することは、何が高い T c に重要なのか 

を知る上で価値あることである。そこで、本研究では 

x = 1 の KFe 2 As 2 について電気抵抗の測定と上部臨界磁 

場の決定を行った。 

図 2(a)に ab 面内および c 軸方向の上部臨界磁場 B c2 

とその比の温度変化を示す。B c2 は実線で示すように 

WHH 理論でよくフィットできる。は最低温で 3.5 ぐ 

らいであるが、温度と共に大きくなる。(b)には B c2 の 

磁場方位依存性を示した。実線は GL の式によるフィ 

ットである。 

これらのデータを解析、検討した結果、以下のよう 

な知見を得た。 

(i) 電気抵抗の異方性は室温で 10 程度、ヘリウム温度で 

40 程度。 

(ii)B c2 の異方性は T c で 6.8。これは最適ドープの 

AFe 2 As 2 (A = Ca, Sr, Ba)の場合の 2~3 に比べてかなり大 

きいが、電気抵抗の異方性からは妥当である。 

(iii)ab 面内の B c2 に顕著な常磁性効果が見られる。 


KFe 2 As 2 の高品質単結晶は中国の Institute of Physics, 

Chinese Academy of Sciences において、フラックス法で 

合成された。電気抵抗は4 端子法により測定した。磁 

場の発生には、強磁場共用ステーションの超伝導磁石 

を使用した。 


図 1に、面内電気抵抗の温度変化を示す。室温から 50 

K ぐらいまで上向きに凸の特徴的な温度変化を示す。 

残留抵抗比は 87 と大きい。超伝導転移温度は T c = 2.79 

K で多結晶より低い。 

Fig.1 Temperature dependence of the in-plane 

resistivity ρ ab of KFe 2 As 2 . The inset shows a 

superconducting transition. 

- 3 -

Fig.2 (a)Upper critical field B c2 for B // ab and B // c, and 

anisotropy parameter Γ=B ab c2/B c c2. The solid curves are 

fits by the WHH theory. (b)Angular dependence of B c2 at 

T = 0.3 K. The solid curve is a fit by a GL formula. 

4. まとめ 

KFe 2 As 2 について電気抵抗の測定と上部臨界磁場の 

決定を行った。なお、この成果は T. Terashima et al., 

J. Phys. Soc. Jpn. 78, 063702 (2009)に発表した。 

- 4 -

BaNi 2 P 2 の dHvA 測定 

dHvA measurements on BaNi 2 P 2 

物質・材料研究機構寺嶋太一、木俣基、薩川秀隆、硲香織、原田淳之、今井基晴、宇治進也 

Taichi Terashima, Motoi Kimata, Hidetaka Satsukawa, Atsushi Harada, Kaori Hazama, Motoharu Imai, Shinya Uji 


産業技術総合研究所鬼頭聖、伊豫彰、永崎洋 

Hijiri Kito, Akira Iyo, Hiroshi Eisaki 

Advanced Industrial Science and Technology 


Hisatomo Harima 

Kobe University 

Abstract: 

We have performed measurements of the de Haas-van Alphen (dHvA) oscillation and a band structure calculation for the 

pnictide superconductor BaNi 2 P 2 , which is isostructural to BaFe 2 As 2 , the mother compound of the iron-pnictide high-T c 

superconductor (Ba 1-x K x )Fe 2 As 2 . Six dHvA-frequency branches with frequencies up to ∼ 8 kT were observed, and they are 

in excellent agreement with results of the band-structure calculation. The determined Fermi surface is large, enclosing about 

one electron and hole per formula unit, and three-dimensional. This is in contrast to the small two-dimensional Fermi surface 

expected for the iron-pnictide high-T c superconductors. The mass enhancement is about two. 

Keywords: Fermi surface, BaNi 2 P 2 , de Haas-van Alphen effect, electronic structure, pnictide superconductor 

E-mail: TERASHIMA.Taichi@nims.go.jp 


東工大細野グループによる LaFeAsO 1-x F x における T c 

= 26 K の超伝導の発見以来、鉄系超伝導体は盛んに研 

究されている。 

表題の物質 BaNi 2 P 2 は BaFe 2 As 2 と同型で T c ~ 3K の 

超伝導体であり、Ni 化合物と Fe 化合物の電子状態の 

比較に適当な化合物である。そこで BaNi 2 P 2 単結晶の 

dHvA 測定とバンド計算を行い、その電子状態につい 

て研究した。 

これらのデータを解析、検討した結果、以下のよう 

な知見を得た。 

(i) 通常の LDA 近似のバンド計算で極めて正確にフェ 

ルミ面が計算できる。これは、Fe 系の場合フェルミレ 

ベル近傍の電子状態が異常に As の位置に敏感で様々 

な問題が生じるのと対照的である。 

(ii)フェルミ面は大きく3 次元的である。これは小さく 

2 次元的な Fe 系のフェルミ面と対照的である。 

(iii) 質量増強 (1+)は 2 倍程度である。 


BaNi 2 P 2 の高品質単結晶は産総研において、高圧法で 

合成された。dHvA 振動はトルク法により測定した。 

磁場の発生には、強磁場共用ステーションのハイブリ 

ッドマグネット、水冷銅磁石、超伝導磁石を使用した。 


図 1 上図に、ハイブリッドマグネットによる 36 T ま 

での測定データの例を示す。強磁場側 ( 図の左側 )で 

低磁場では見えない高い周波数の短い周期の振動が現 

れているのがわかる。また、下図には振動のフーリエ 

変換を示した。複数の周波数が含まれていることがわ 

かる。 

結果をまとめたのが図 2である。様々な磁場方位で 

観測された dHvA 周波数をバンド計算の予測と比較し 

ている。実験と計算の一致は良い。また、図右にはバ 

ンド計算によるフェルミ面を示した。 

Fig.1 (upper) dHvA torque oscillation in BaNi 2 P 2 

and (lower) its Fourier transform (in inverse field). 

- 5 -

Fig.2 (a) Angular dependence of the experimental dHvA frequencies compared with the calculated ones. For the 

calculated band-25 frequencies, the second harmonics are also shown. (b) Calculated Fermi surface of BaNi 2 P 2 . 

Some of the possible dHvA orbits are indicated. Points of symmetry (solid circles) and lines of symmetry (open 

circles) in the Brillouin zone are explained in the top left figure. 

4. まとめ 

BaNi 2 P 2 単結晶の dHvA 測定とバンド計算を行い、そ 

の電子状態について研究した。なお、この成果は T. 

Terashima et al., J. Phys. Soc. Jpn. 78, 033706 (2009)に発 

表した。 

- 6 -

有機伝導体 -(BETS) 2 FeCl 4 における磁場誘起超伝導の面垂直磁場効果 

Effect of perpendicular field on field-induced superconductivity in organic conductor -(BETS) 2 FeCl 4 

A,B 

宇治進也、木俣基 


周彪 

C 、小林速男 

A 、原田淳之 

C C 

、小林昭子 

A 、筑波大数理物質 

A 、硲香織 

A,B A 

、寺嶋太一 

B C 

、日大理 


Shinya UJI A,B , Motoi KIMATA A , Hidetaka SATSUKAWA A , Atsushi HARADA A ,Kaori HAZAMA A,B ,Taichi TERASHIMA A , 

B. Zhow C , H. Kobayashi C , and A. Kobayashi C 

A National Institute for Materials Science 

B Graduate School of Pure and Applied Science, University of Tsukuba 

C Nihon University 

Abstract: 

In order to investigate the effect of the perpendicular magnetic field on the field-induced superconductivity of 

-(BETS) 2 FeCl 4 , we have measured the interlayer resistance in a wide field and temperature range, using a resistive and 

hybrid magnet. We determined the field angle dependence of the superconducting critical temperature (B c ) and the 

Fulde-Ferrell-Larkin-Ovchinnikov (FFLO) state transition. We found that a kink structure in B c appears as a function of the 

field angle, and the FFLO state is stabilized only in a very limited angle region. 

Keywords: Organic conductor, FFLO sate, Superconducting transition 

E-mail: uji.shinya@nims.go.jp 


2 次元有機伝導体 -(BETS) 2 FeCl 4 は、BETS(ビスエ 

チレンジチオテトラセレナフルバレン) 分子が結晶の 

ac 面に配列しており、伝導面を形成している。この 

系で、磁場を伝導面 (ac 面 )に平行にかけると 10T 

で絶縁相から金属相 (M)に転移した後、約 15T から 

42T の磁場範囲で超伝導 (S)を示す。FeCl 4 は一価の 

負イオンであり、BETS 分子面の間に入り込んだ構造 

となっている。Fe イオンは三価の負イオンで局在 3d 

電子を5つ持ち、そのため、S=5/2 の大きな磁気モ 

ーメントをもつことになる。この 3d 電子の磁気モ 

ーメントが、交換相互作用を通して、BETS 分子面 

の伝導電子に大きな内部磁場をつくる。この内部磁 

場が、この系で発現する磁場誘起超伝導の原因とな 

っている。 

この磁場誘起超伝導体は、クリーンリミットにあ 

り、さらに軌道効果が強く抑制されている。そのた 

め、この S 相において、超伝導秩序変数が空間的に 

変調した構造を持つ超伝導、Fulde-Ferrell-Larkin- 

Ovchinnikov (FFLO) 状態が実現している可能性が指 

摘されてきた。磁場が正確に伝導面と並行な時、抵 

抗の磁場依存性に極小が出現する( 図 1 左 )が、こ 

の現象は FFLO 状態が安定化していると仮定するこ 

とで理解できる。 

抵抗の極小の理由は、特定の磁場で FFLO 状態にあ 

る超伝導秩序パラメーターの変調構造の周期と、絶 

縁層を貫くボルテックスの間隔が簡単な整数比に成 

るため、ボルテックスには強いピン留めが働く( 抵 

抗の極小 )ためである。本来、FFLO 状態は軌道効果 

が強く抑制されていないと出現しない。そのため、 

磁場方位を伝導面から垂直方向に傾けると、軌道効 

果が顕著に働くため、FFLO 状態は急激に抑制される 

はずである。この点を調べるため、低温強磁場領域 

で電気抵抗測定を行った。 


2 次元有機伝導体 -(BETS) 2 FeCl 4 単結晶の伝導面 

にカーボンペーストで電極を付け、ロックインアン 

プで電気抵抗測定を行った。試料はヘリウム4クラ 

イオスタットにヘリウム3ジャケットを挿入し、0.6K 

までの低温まで測定した。また、試料を磁場中で回 

転し、磁場方位依存性を精密に測定した。水冷銅マ 

グネット、及びハイブリッドマグネットを利用した。 


図 1には、T=1K で伝導面に垂直に電流を流した時 

の抵抗の磁場の方位依存性である。磁場が伝導面に 

成功に入った時 (B//c, =0 o ) 超伝導が出現する様子 

が見れる。 

- 7 -

=2 o 度の時には、抵抗の磁場変化に特徴的な極小が 

見られない。さらに磁場を傾け、=3 o の時には、も 

うゼロ抵抗は検出できない。このように、軌道効果 

によって、まず抵抗の極小が消え、さらに超伝導自 

体が消滅する様子が分かる。 

Fig. 1 Interlayer resistance as a function of the 

magnetic field angle for T=1 K. 

Fig. 3 Critical field and resistance minimum field as a 

function of field angles for T=1 K. 

図 3には、超伝導臨界磁場と抵抗に極小が出現す 

る磁場を、磁場の方位の関数としてプロットしたも 

のである。この図から、FFLO 状態が

(EDT-DSDTFVSDS) 2 MBr 4 の巨大磁気抵抗 

Giant negative magnetoresistance of (EDT-DSDTFVSDS) 2 MBr 4 

物質・材料研究機構薩川秀隆、木俣基、原田淳之、硲香織、寺嶋太一、宇治進也 

Hidetaka Satsukawa, Motoi Kimata, Atsushi Harada, Kaori Hazama, Taichi Terashima, Shinya Uji 


大阪府立大院理邵向鋒、林寿樹、杉本豊成 

Shao Xinagfeng, Toshiki Hayashi, Toyonari Sugimoto 

Osaka Prefecture University 

Abstract: 

We performed magnetoresistance (MR) and magnetic torque measurements of (EDT-DSDTFVSDS) 2 MBr 4 (M=Fe, Ga) 

to investigate the mechanism of negative magnetoresistance under low temperature. The magnetic field dependence of the 

interlayer resistance for the FeBr 4 salt at 30 mK shows an anomaly at 1.8 T, which corresponds to the spin flop transition. A 

striking feature is giant negative magnetoresistance at 30 mK, whose change amounts to three orders of magnitude. The 

observation of the hysteresis loop up to 8 T suggests that the 3d spins are in the antiferromagnetic state, and then in 

magnetically aligned paramagnetic state at higher fields. The saturation behavior in the resistance above 10 T, where the 3d 

spins are probably fully aligned along the field, shows that the -d interaction plays a crucial role in the giant negative 

magnetoresistance: the -d interaction causes a strong magnetic scattering in the electron transport below 10 T. 

Keywords: molecular conductor, -d interaction, negative magnetoresistance 

E-mail: SATSUKAWA.Hidetaka@nims.go.jp 


(EDT-DSDTFVSDS) 2 MBr 4 は、EDT-DSDTFVSDS と略 

称される有機分子 (Fig. 1)と磁性陰イオン FeBr - 4 、もし 

くは非磁性陰イオン GaBr - 4 が 2:1 で組成した電荷移動 

錯体である。ドナー分子 EDT-DSDTFVSDS は左右非対 

称な分子で、分子構造から、強い-d 相互作用を持ち、 

d-d 相互作用が弱いことが予想される。実際の計算か 

ら得られた-d 相互作用 (J -d )、d-d 相互作用の強さ(J d-d ) 

は、それぞれ、15.2 K、0.2 K である。FeBr 4 塩は、13.2 

K で、GaBr 4 塩は 13.8 K 付近で金属 - 半導体転移を起 

こすことが知られている。この半導体転移のメカニズ 

ムはまだ明らかになっていないが、この塩は、3/4 filled 

塩であること、また、EDT-DSDTFVSDS 分子の二量体 

化が観測されていないことから、電荷整列によるもの 

であると考えられる。さらに低温では、比熱測定から 

3.3 K で 3d スピンが反強磁性転移を起こすこと、磁化 

測定では、磁場容易軸が c 軸で、1.8 T 付近でスピンフ 

ロップ転移を観測した。また、4.2 K から 0.7 K までの 

磁気抵抗が測定されており、巨大な負の磁気抵抗が報 

告されている。我々は、この巨大な負の磁気抵抗のメ 

カニズムを調べるため、より強磁場、低温で磁気抵抗 

と磁気トルク測定を行った。 


(EDT-DSDTFVSDS) 2 FeBr 4 、GaBr 4 塩の単結晶試料は、 

通常の電気分解法で得られている。電気抵抗測定は、 

ロックイン増幅器を用いた四端子法で測定している。4 

本の 10m の金線を、b 軸方向 ( 伝導方向 )に沿って 

取り付けた。測定は、希釈冷凍機を用いて、30 mK か 

ら 300 K の温度域で測定した。マイクロカンチレバー 

(SII PRC400)を用いた磁気トルクの角度、磁場依存性 

は、1.5 K で測定している。外部磁場は、最大 17.5 T 

まで印加した。 


図 2 に FeBr 4 塩の磁気抵抗の結果を示す。外部磁場は、 

磁化容易軸である c 軸方向に印加している。T~30 mK 

では 3 桁以上減少する巨大な負の磁気抵抗を観測した。 

1.8 T 付近で、磁気抵抗に異常が見られた。この磁場で 

スピンフロップ転移が観測されていることから、この 

Fig.1 molecular structure of EDT-DSDTFVSDS 

Fig.2 The magnetoresistance of FeBr 4 salt. 

- 9 -

異常は、スピンフロップによって磁気散乱が一時的に 

増加したため起こった以上であると考える。また、8T 

以下の磁場域では、ヒステリシスを観測した。さらに 

高磁場の 10T 以上から磁気抵抗の飽和が見られた。図 

3 に FeBr 4 塩の磁気トルクの磁場依存性を示す。その結 

果、H//c 付近での磁場依存性では、1.8 T 付近に不連続 

な異常を観測した。この振る舞いは、-(BETS) 2 FeCl 4 

塩でも観測されており、スピンフロップ転移による異 

常である。また、10 T 以上では、磁気トルクの飽和が 

見えられた。このことから、1.8 T 以下では反強磁性状 

態、1.8 T

磁性有機導体 (Me-3,5-DIP)[Ni(dmit) 2 ] 2 の面内磁場下における 

特異な磁気抵抗 

Anomalous magnetoresistance of magnetic organic conductor (Me-3,5-DIP)[Ni(dmit) 2 ] 2 under in-plane magnetic field 

筑波大数理物質 

A , 物質・材料研究機構 

B , 埼玉大理 

C , 理研 

D ,CREST * 

硲香織 

AB , 山口尚秀 

B , 木俣基 

B , 原田淳之 

B , 薩川秀隆 

B , 寺嶋太一 

B , 宇治進也 

AB , 

高坂洋介 

CD , 山本浩史 

D* CD* 

, 加藤礼三 

Institute of Materials Science, University of Tsukuba A 

NIMS B , Saitama University C , RIKEN D , CREST* 

K. Hazama AB , T. Yamaguchi B , M. Kimata B , A. Harada B , T. Satsukawa B , T. Terashima B ,S. Uji AB , 

Y. Kosaka C *, H. M. Yamamoto D *, R. Kato CD * 

Abstract: 

Magnetic organic conductor (Me-3,5-DIP)[Ni(dmit) 2 ] 2 is composed of insulating Me-3,5-DIP cations and two kinds of 

Ni(dmit) 2 anion layers, Layer I and II. This salt shows paramagnetism arising from the localized π spins in Layer I and 

two-dimensional metallic conduction due to the itinerant π electrons in Layer II. To investigate transport properties under 

field, we measured magnetoresistance under in-plane field. We have also performed magnetic torque measurement to 

examine the magnetic properties. Under in-plane field, inter-plane resistance shows a sharp minimum and slow oscillatory 

behavior. The origin of anomalous resistance is an open question. 

Keywords: Magnetic organic conductor, magnetic torque, magnetoresistance 

E-mail: HAZAMA.Kaori@nims.go.jp 


π-d 系磁性有機導体と呼ばれる物質群は、絶 

縁アニオン層に局在 d スピンを持ち、伝導カチ 

オン層のπ 電子との相互作用により、特異な物 

理現象が現れる系として注目されている [1] 。磁 

性有機導体 (Me-3,5-DIP)Ni[(dmit) 2 ] 2 は絶縁アニ 

オン( 陽イオン) 分子層 (Layer I)と金属アニオ 

ン分子層 (Layer II)の間に絶縁カチオン( 陰イオ 

ン) 分子層が挟まった積層構造をしており(Fig. 

1), 絶縁アニオン層に局在スピンが存在する [2] 。 

(Me-3,5-DIP)[Ni(dmit) 2 ] 2 は内部磁場により2つに分裂 

した二次元フェルミ面をもつことを明らかにした。磁 

場下での輸送特性をさらに調べるため、伝導層に平行 

な磁場下での電気抵抗の測定を行った。また, 磁性と 

伝導との関連性を調べるため、カンチレバーを用いた 

磁気トルクの測定を行った。 


20T 希釈冷凍機 / 超伝導マグネットおよび1 軸回転 

プローブを用いて、磁場下での抵抗測定およびカンチ 

レバーを用いた磁気トルク測定を行った。抵抗は、伝 

導面間方向 (c 軸方向 )に電流を流し、四端子法によ 

り測定した。結晶軸と磁場角度の関係を Fig.2 に示す。 

Fig.1 Crystal structure of (Me-3,5-DIP)Ni[(dmit) 2 ] 2 

これまでの磁性有機導体とは異なり局在 d スピンを持 

たず、アニオン層に局在 πスピンと伝導 π 電子が存在 

し、その相互作用により新規物理現象の発現が期待さ 

れている。Layer I は低温で反強磁性的相互作用を示し, 

Layer II は二次元金属的な伝導を示すが,どちらの特性 

に関しても Ni(dmit) 2 アニオンのπ 軌道に起因するも 

のであり,Me-3,5-DIP カチオンは磁性および伝導特性 

には関与しないと考えられている。我々はこれまでに、 

角度依存磁気抵抗振動および量子振動測定を行い、 

Fig. 2 Resistance in magnetic field parallel to the 

conduction layers. 

- 11 -


伝導層と平行な方向 (θ=90 °)に磁場をかけ, 

26mK で伝導面に垂直な方向の抵抗を測定した結果を 

Fig. 2 に示す。伝導方向と磁場方向が平行である場合、 

通常の二次元導体では抵抗に磁場依存性は表れないが、 

8T 付近で抵抗にするどい極小値が現れ、さらに高磁場 

でゆっくりとした振動が観測された。θ=90 °で最も 

抵抗の落ちが急激になり、θ=90 °から外れると極小 

となる抵抗値は増加し、極小値を示す磁場は高磁場側 

へシフトする傾向が見られた。26mK で測定した磁気 

トルクの結果を Fig. 3 に示す。全ての結果は、ゼロ磁 

場での測定結果を用いて重力による影響を補正してい 

る。抵抗が極小値を示す 8 T 付近でも磁気的な相転移 

を示すような結果は現れておらず、での抵抗の極小値 

は磁気的な転移によるものではないと考えられる。 

Fig. 4 The resistance vs. inverse of the magnetic field. 

4. まとめ 

伝導層に平行な磁場下では、伝導面間の抵抗が 9T 

付近でするどい極小値をもち、さらに高磁場でゆっく 

りとした振動を示す。9T で磁気トルクに異常はなく、 

抵抗の極小値は磁気的な転移によるものではないと考 

えられる。高磁場での抵抗の振動は、非常に小さいフ 

ェルミ面に由来する量子振動である可能性も考えられ 

るが、振動の起源を明らかにするためには研究の進展 

が必要である。 

参考文献 

[1] S. Uji, et al. Nature, 410 (2001) 908-910. 

[2] Y. Kosaka, et al. JACS, 129(11) 2007 3054-3055. 

Fig. 3 Magnetic torque as a function of the field 

angle at various magnetic fields. 

高磁場での振動を磁場の逆数でプロットした結果を 

Fig. 4 に示す。確認できる抵抗の山は少ないが、磁場 

の逆数で振動が周期的になっていることがわかる。す 

なわち、SdH 振動のような閉じたフェルミ面に由来す 

る量子振動である可能性が考えられるが、量子振動で 

あると仮定すると観測している断面積は第一ブリルア 

ンゾーンの 0.36%であり、極めて小さい面積である。 

また、量子振動は自由エネルギーの振動なので、磁気 

トルクにも振動が現れるはずであるが、抵抗が振動を 

示す磁場でも磁気トルクに振動は観測されていないた 

め、振動の起源は明らかでない。 

- 12 -

鉄フタロシアニン伝導体の巨大磁気抵抗と磁気トルク 

Giant Magnetoresistance and Magnetic Torque of Fe-Phthalocyanine Conductor 

物材機構 

1 , 筑波大 

2 , 熊本大理 

3 , 東大物性研 

4 5 

, 北大理 

木俣基 

1 , 薩川秀隆 

1 , 山口尚秀 

1 , 寺島太一 

1 , 宇治進也 

1,2 , 

松田真生 

3 , 田島裕之 

4 , 内藤俊雄 

5 5 

, 稲辺保 

Motoi Kimata 1 , Hidetaka Satsukawa 1 , Yamaguchi Takahide 1 , Taichi Terashima 1 , Shinya. Uji 1,2 , Masaki Matsuda 3 , 

Hiroyuki Tajima 4 , Toshio Naito 5 , Tamotsu Inabe 6 

1 National Institute for Materials Science (NIMS) 

2 Graduate School of Pure and Applied Sciences, University of Tsukuba 

3 Depertment of Chemistry, Graduate School of Science and Technology, Kumamoto University 

4 Institute for Solid State Physics, University of Tokyo 

5 Division of Chemistry, Graduate School of Science, Hokkaido University 

Abstract: 

Magnetoresistance (MR) and magnetic torque measurements are performed for a magnetic organic conductor 

TPP[Fe(Pc)(CN) 2 ] 2 . The results suggest that the large negative MR is associated with a magnetic transition. This magnetic 

transition is considered as a metamagnetic transition of the localized Fe moments, and the MR effect is qualitatively 

explained by an analogy with the double exchange interaction system. 

Keywords: Giant magnetoresistance, Magnetic organic conductor 

E-mail: KIMATA.Motoi@nims.go.jp 


物質中に存在する様々な自由度間の相互作用の解明 

は物性物理学における中心的問題である. 巨大磁気抵抗 

は磁性と伝導の相互作用に起因して現れる典型的な現 

象であり,その一つの舞台として磁性有機伝導体を挙げ 

る事ができる.ジシアノ鉄フタロシアニン伝導体の一つ 

である TPP[Fe(Pc)(CN) 2 ] 2 (TPP=tetraphenylphosphonium, 

Fe(Pc)(CN) 2 =dicyano-Fe-Phthalocyanine)は低温で大きな 

負の磁気抵抗を示すが,その起源は未だ完全には明ら 

かになっていない. 我々はこの巨大磁気抵抗の起源を 

明らかにする目的で 25T までの磁場中で磁気抵抗およ 

び磁気トルク測定を行った. 

TPP[Fe(Pc)(CN) 2 ] 2 は結晶の c 軸方向に鉄フタロシア 

ニン分子が積層した一次元伝導鎖を持ち, 伝導はフタ 

ロシアニン環上のπ 電子が担っている.また分子中心 

には Fe 3+ イオンに起因する局在磁気モーメントが存在 

し, 局在磁気モーメントとπ 電子との強い相互作用が 

期待される系である. 最近の磁化率と核磁気共鳴の測 

定によれば, 鉄の磁気モーメント間には反強磁性的な 

相互作用が存在し,12K で反強磁性磁気秩序すると考 

えられている. 


電気抵抗の測定は二端子を用い,c 軸方向の電気伝 

導度を測定した.また, 磁気トルク測定には市販のピ 

エゾ抵抗付きマイクロカンチレバーを用いた. 磁場は 

強磁場共用ステーションの 25T 水冷銅磁石を用いて印 

加した. 


図 1は様々な磁場方位における(a) 電気伝導度と(b) 

磁気トルクの磁場依存性である. 磁場は試料の ac 面内 

で回転させており,a 軸からの角度をθと定義してい 

る.θ=0˚の時 , 伝導度は 15T 付近から急激に上昇する. 

この伝導度の変化は 3 桁以上にも及ぶ非常に巨大な効 

果である.また, 磁気トルクにも同様の磁場で異常が 

観測され,この事は約 15T 付近に何らかの磁気転移が 

存在する事を示している. 磁場を a 軸から傾けていく 

と, 伝導度が急激に上昇する磁場 ,および磁気トルク 

の変化する磁場 ( 図中の矢印 )は次第に高磁場側にシ 

フトしていく. 従ってこの磁気抵抗効果は何らかの磁 

気転移によって引き起こされていると考えられる. 低 

温における Fe 磁気モーメントの反強磁性秩序を考慮 

すると,この磁気転移は強磁場中における反強磁性状 

態の不安定性に関与していると考えられる. 一般的な 

反強磁性体に磁場を印加した場合 , 磁気モーメントは 

反強磁性相関を保ったまま徐々に磁場方向を向き, 強 

磁場極限では磁気モーメントが完全に同一の方向を向 

く磁場誘起強磁性状態に達する.しかし本系では Fe 

磁気モーメントが非常に強い一軸異方性を持っている 

ため, 反強磁性状態からただちに磁場誘起強磁性状態 

への転移 (メタ磁性転移 )が起こると考えられる. 

一方 , 磁場中での電気伝導度の振る舞いは, 二重交 

換相互作用系と呼ばれるモデルと類似の考え方で定性 

的には理解する事ができる.このモデルでは同一格子 

点上での局在磁気モーメントと伝導電子の磁気的な結 

合が重要な役割を担う. 仮に隣接する格子点上の局在 

- 13 -

モーメントが反平行である場合 , 伝導電子が自身のス 

ピン状態を保ったまま隣接格子点へ跳び移ろうとする 

と,その状態は磁気的な結合エネルギーの分だけ不安 

定であり, 伝導は抑制される.しかし隣接格子点上の 

局在モーメントが平行である場合は, 伝導電子はスピ 

ン状態を保ったまま隣接格子点へ移動する事ができる 

ため伝導は阻害されない. 従って,もしこのような系 

において反強磁性状態にある局在モーメントを外部磁 

場によって平行にする事ができれば, 電気伝導度は磁 

場によって大きく増大すると考えられる. 今の場合 , 

局在 Fe 磁気モーメントとπ 電子の間には強い相互作 

用が期待されるため,Fe 磁気モーメントのメタ磁性転 

移に伴って伝導度が急激に増大することも考えられる. 

上記の考えを模式的に表した図が図 2 である. 

4. まとめ 

ジシアノ鉄フタロシアニン伝導体の一つのである 

TPP[Fe(Pc)(CN) 2 ] 2 において低温 (1.7K),25T までの磁 

場中において電気伝導度と磁気トルクを測定した.そ 

の結果 , 何らかの磁気転移を伴う巨大な磁気抵抗効果 

を観測した.12K 以下における Fe 磁気モーメントの反 

強磁性秩序と強い一軸異方性を考慮すると,この磁気 

転移は Fe 磁気モーメントのメタ磁性転移であると考 

えられる.またそれに伴う巨大磁気抵抗効果は二重交 

換相互作用モデルによって定性的には理解する事がで 

きる. 

Fig.1 The magnetic field dependence of the conductance (a) and the magnetic torque (b) for several field directions. The 

field was rotated in the ac-plane and is measured from the a-axis. 

Fig.2 The schematic pictures of the magnetic states of this material. (a)Antiferromagnetic ordered state. (b)Field-induced 

ferromagnetic state. 

- 14 -

不整合格子系有機超伝導体 (MDT-TS)(AuI 2 ) 0.441 の反強磁性状態 

Antiferromagnetic state of the incommensurate organic superconductor (MDT-TS)(AuI 2 ) 0.441 

東京工業大学川本正、坂東祥匡、森健彦 

Tadashi Kawamoto, Yoshimasa Bando, and Takehiko Mori 

Tokyo Institute of Technology 

物質・材料研究機構鴻池孝子、山口尚秀、寺島太一、宇治進也 

Takako Konoike, Yamaguchi Takahide, Taichi Terashima, and Shinya Uji 


広島大学瀧宮和男、大坪徹夫 

Kazuo Takimiya and Tetsuo Otsubo 

Hiroshima University 

Abstract: 

The magnetic properties of the incommensurate organic superconductor (MDT-TS)(AuI 2 ) 0.441 are investigated, where MDT-TS 

is 5H-2-(1,3-diselenol-2-ylidene)-1,3,4,6-tetrathiapentalene. The magnetic torque provides evidence of an antiferromagnetic 

ordering with a high Néel temperature (T N = 50 K) and a high spin-flop field ( 0 H sf = 6.9 T) at ambient pressure. The obtained 

antiferromagnetic parameters of the present compound are much larger than the other organic conductors. 

Keywords: incommensurate crystal, organic superconductor, antiferromagnetism, spin-flop 

E-mail: kawamoto@o.cc.titech.ac.jp 


瀧宮らによって開発された MDT-TSF 塩において、数多 

くの超伝導体が発見されている[1,2]。MDT-TSF における 

4 つの Se 原子の内 2 つを S 原子に置換した MDT-TS も、 

上述の超伝導体と同型の結晶構造である AuI 2 塩 (Fig. 1) 

を形成するが、これは低温で金属 — 絶縁体転移を示す[3]。 

スピン磁化率が 50 K 以下で異方的振る舞いを示すことか 

ら、常圧での基底状態は反強磁性絶縁体である。また、圧 

力下では超伝導相が現れる[4]。しかし、反強磁性状態に 

特徴的なスピンフロップ転移が 5 T の磁場下においても 

観測されていない。本物質のスピンフロップ転移を観測し 

て反強磁性秩序が基底状態であることを確定させるため 

に、磁気トルク測定を行った。 

Fig.1 (a) MDT-TS molecule and (b) donor arrangement 

projected along the molecular long axis. 


(MDT-TS)(AuI 2 ) 0.441 の単結晶試料は電解結晶成長法によ 

り作成した。単結晶を用いた磁気トルク測定は、大道らに 

よって考案された AFM 用マイクロカンチレバーを用いる 

方法を採用した[5]。宇治グループの 1 軸回転機構付き 

15-17 T 超伝導マグネットを用いてブリッジ回路によりカ 

ンチレバーの変位を測定した。 


磁気トルクの磁場依存性を Fig. 2 に示す。磁場が bc 面内 

にあるとき、磁気トルクはピークを示す。一方、磁場が ac 

面にあるときは、ピーク構造を示さない。ピークはスピン 

フロップ転移に起因するものであり、この物質が b 軸を磁 

化容易軸とする反強磁性秩序状態にあることを示す。これ 

はスピン磁化率の異方的振る舞いとも一致する。しかし、 

スピンフロップ転移以上の磁場において発現する強制強磁 

性状態への転移は、14.5 T においても観測されない。 

1 軸性反強磁性体における磁気トルクの振る舞いを記 

述する理論式から、特徴的なパラメータであるスピンフロ 

ップ磁場 ( 0 H sf = 6.9 T) と異方性エネルギー (K u = 1.4 X 

10 -1 J/mol) が得られる。 

様々な温度における磁気トルク曲線を Fig. 3 に示す。ス 

ピンフロップ磁場は温度の上昇に伴い大きくなる。また、 

スピンフロップのピークは温度上昇に伴い小さくなり、52 

K では完全に消失する。これはスピン磁化率の異方的な温 

度依存性から決めたネール温度 (T N = 50 K) とよく一致 

する。 

反強磁性秩序を示す最も T c の高い有機超伝導体 

’-(ET) 2 ICl 2 と(MDT-TS)(AuI 2 ) 0.441 の反強磁性パラメータと 

超伝導転移温度を Table 1 に示す[8,9]。MDT-TS 塩の反強 

磁性パラメータは極めて大きな値である。一方、超伝導転 

移温度は ET 塩の半分にも満たない。両者の構造上の大き 

な違いは、ET 塩では強い 2 量体形成によりエネルギーバ 

ンド充填率が 0.5 であり、MDT-TS 塩は不整合格子のため 

0.7794 である点である。電子相関がより強い系は ET 塩で 

ある。ET 塩に関しては、電子相関が強いほど T c が上昇す 

る傾向にあることが、有効質量の計算値と実験値の比較か 

ら示唆されている[10]。これは、ET 塩が MDT-TS 塩より 

高い T c を有することと矛盾しない。構造上のもう一つの 

- 15 -

大きな違いは不整合格子であるが、不整合格子ポテンシャ 

ルと超伝導発現の関係は未だ明らかではない。 

Table 1. Antiferromagnetic and superconducting parameters 

of organic superconductors. 

(MDT-TS)(AuI 2 ) 0.441 ’-(ET) 2 ICl 2 

T N (K) 50 22 

0 H sf (T) 6.9 1.1 

K u (J/mol) 1.4 X 10 -1 5.4 X 10 -3 

T max c (K) 4.9 13.4 

P (GPa) 1.27 8.2 

Band filling 0.7794(2) 0.5 

Ground state Antiferromagnetic 

insulator 

Antiferromagnetic 

Mott insulator 

4. まとめ 

不整合格子系有機超伝導体 (MDT-TS)(AuI 2 ) 0.441 の磁気ト 

ルク測定から、明瞭なスピンフロップ転移を観測した。こ 

の物質は高いネール温度 (T N = 50 K) と高いフロップ磁 

場 ( 0 H sf = 6.9 T) を有するが、超伝導転移温度は高くない。 

強相関電子系となる 1/2 充填率からずれたバンド充填率が、 

T c を低下させている可能性がある。 

なお、本研究成果は T. Kawamoto et al., Phys. Rev. B 77, 

224506 (2008)に掲載されている。 

Fig. 2 Magnetic torque curves at 1.7 K under various magnetic 

field directions of and , which are the angles tilted (a) from 

b to c and (b) from a to c axes, respectively. The red lines are 

the fitted results. 

5. 参考文献 

[1] K. Takimiya, Y. Kataoka, Y. Aso, T. Otsubo, H. Fukuoka, 

amd S. Yamanaka, Angew. Chem. Int. Ed. 40, 1122 (2001). 

[2] T. Kawamoto, T. Mori, K. Takimiya, Y. Kataoka, Y. Aso, 

and T. Otsubo, Phys. Rev. B 65, 140508(R) (2002). 

[3] K. Takimiya, M. Kodani, N. Niihara, Y. Aso, T. Otsubo, Y. 

Bando, T. Kawamoto, and T. Mori, Chem. Mater. 16, 5120 

(2004). 

[4] T. Kawamoto, Y. Bando, T. Mori, K. Takimiya, and T. 

Otsubo, Phys. Rev. B 71, 052501 (2005). 

[5] E. Ohmichi and T. Osada, Rev. Sci. Instrum. 73, 3022 

(2002). 

[6] K. Yosida, Prog. Theor. Phys. 6, 691 (1951). 

[7] T. Nagamiya, K. Yosida, and R. Kubo, Adv. Phys. 4, 1 

(1955). 

[8] N. Yoneyama, A. Miyazaki, T. Enoki, and G. Saito, Bull. 

Chem. Soc. Jpn. 72, 639 (1999). 

[9] H. Taniguchi, M. Miyashita, K. Uchiyama, K. Satoh, N. 

Mori, H. Okamoto, K. Miyagawa, K. Kanoda, M. Hedo, 

and Y. Uwatoko, J. Phys. Soc. Jpn. 72, 468 (2003). 

[10] T. Kawamoto and T. Mori, Phys. Rev. B 74, 212502 

(2006). 

Fig. 3 Magnetic torque curves at = 1.0º under various 

temperatures. 

- 16 -

磁場誘起スピン密度波における傾斜磁場効果の検証 

–レベッド魔法角の場合 – 

Field-Induced Spin Density Waves transitions and Lebed resonance –A Competition between two dimensional effects 

小林夏野、木俣基 

a 、薩川秀隆 

a 、宇治進也 

青山学院大学理工、物材機構 

a 、寺嶋太一 

a b 

、兵庫県立大学 

a 、山田順一 

b 、三井敏之 

Kaya Kobayashi, M. Kimata a , H. Satsukawa a , S. Uji a , T. Terashima a , J. Yamada b , T. Mitsui 

Aoyama Gakuin University, National Institute for Material Science a , Hyogo Prefecture University b 

Abstract: 

A typical quasi-one-dimensional (q1D) conductor, (TMTSF) 2 ClO 4 was measured in high magnetic field at low 

temperature for electrical transport and magneto torque. The material is known to show striking phenomena such as 

superconductivity, field induced spin density waves (FISDW), and angular dependent magnetoresistance oscillations 

(AMRO) at low temperatures. FISDW is interpreted as dimensional reduction by magnetic field, while Lebed resonance, one 

of the most fundamental phenomenon for q1D conductor's AMRO, is perceived as dimensional increase by magnetic field 

direction. We investigated the competence of these two phenomena and found that the effects are independent which is 

against theoretical prediction by several researchers. This is the first clear evidence that the FISDW has 3-dimensional 

character. 

Keywords: Quasi-one-dimensional conductors, Field-Induced Spin Density Waves, Lebed resonance, Organic conductors 

E-mail: kaya@phys.aoyama.ac.jp 


今回我々が研究対象とした有機導体 (TMTSF) 2 ClO 4 

は、代表的な擬 1 次元電子系物質であり、また初めて 

の常圧超伝導を示したことがよく知られている層状物 

質である 1 。伝導面内の強い異方性から擬 1 次元電子 

系であるとみなすことができ、傾斜磁場中で特異な磁 

場角度効果を示すことが知られている。また、層間方 

向に強磁場を印加すると、スピン密度波転移をするこ 

とが知られている。 

Lebed 共鳴 (Lebed resonance) 

先に述べた擬 1 次元導体でみられる磁場角度効果は 

主に 3 つ知られている。この3つのうち、レベッド共 

鳴 (Lebed resonance)は、磁場角度がある条件 ( 式 (2))を満 

たすときに、伝導度が共鳴的な増大を見せる効果であ 

る。一般的な伝導度の表式を実際の物質に近い異方的 

なバンド構造を仮定して計算してみると、式 (1)のよう 

に層間伝導度が求められている 2 。 

大することがわかる。また、層間方向の伝導の増 

大であることから伝導の 3 次元化と見ることもで 

き、もともとの擬 1 次元電子構造の次元変化と捉 

えられている。 

80 

Polar Angle [degree] 

60 

40 

z 

B 

 

x y 

p=1 

p=2 

20 

p=3 

(1) 

5 10 15 

Magnetic Field [T] 

軸は Figure 1 inset の通りにとり、x, y, z 方向の結 

晶格子定数はそれぞれ、a, b, c とする。p、qは任 

意の整数である。式 (1)から、式 (2)を満たす角度に 

磁場が印加されたときに層間伝導度が共鳴的に増 

(2) 

Fig.1 Dips in both angular sweeps and magnetic field 

sweeps are plotted on to the plane of polar angle θ and 

magnetic field. Lines are indicating the interlayer magnetic 

field at fixed values corresponding to the transition fields 

observedwhen magnetic field was applied perpendicular to 

the conducting layers. Straight lines indicate Lebed 

resonance positions, p=1, 2 and 3. All dips are indexed by 

those lines. 

- 17 -

磁場誘起スピン密度波 (Field Induced Spin Density 

Waves, FISDW) 

次に、磁場が伝導面に垂直な方向に印加された場合 

を考える。抵抗はある磁場において急激に増大し、磁 

場を増加させるにつれて同様の抵抗の大きな飛びが見 

られている。この現象は磁場誘起スピン密度波 (Field 

Induced Spin Density Waves: FISDW)と呼ばれており、ス 

ピン密度波転移によって常にフェルミ面がギャップ内 

に位置し、これが磁場に依存して切り替わるため観測 

されているような逐次転移をすると説明されている。 

また、この状態は 2 次元電子系で観察されている量子 

ホール効果の発現機構と非常に似ている。(TMTSF) 2 X 

系では伝導が擬 1 次元的でありながら、弱い相関関係 

を他の方向にも有しているため、唯一の 3 次元的量子 

ホール系であるとみなすこともできる。この現象の理 

論的説明はいわゆる”standard model” と呼ばれる、 

不完全にネスティングする歪んだ 2 次元的フェルミ面 

をもつ伝導層を考えたモデルによって説明されている。 

つまり、FISDW は伝導面内の電子構造の変化によって 

説明される異方的な 2 次元電子系の現象として理解さ 

れている。 


実験で用いた(TMTSF) 2 ClO 4 単結晶は電解法で得ら 

れた。層間方向 (Rzz) 測定試料、ホール配置 (Rxy) 試料、 

磁気トルク測定用のカンチレバーに付けた試料を同時 

にプローブに設置し、磁場中でプローブ先端部を回転 

して行った。電気伝導測定は4 端子法で行った。測定 

は 20T 希釈冷凍機超伝導マグネットにおいて行い、温 

度は 60 mK に設定して一定温度での磁場中回転実験を 

行った。ただし、冷却時には(TMTSF) 2 ClO 4 は、陰イオ 

ンが配列する T=24 K 付近における冷却を制御する必 

要があるため、0.01 K/min. の速度で冷却した。その結 

果、T=24 K 付近で陰イオン整列による抵抗のキンクが 

観測された。 

結局、平均場近似計算の理論から期待されたような 

FISDW 転移磁場の上昇 

3 や、高温 T= 1.5 K におけるよ 

うな転移磁場の減少 

4 も見られなかった。このことよ 

り、Lebed 共鳴による層間伝導の増大、面間伝導に寄 

与による電子構造の 3 次元性の増大は、FISDW 形成に 

寄与を与えないことがわかった。 

4. まとめ 

擬 1 次元導体を用いて傾斜磁場中の磁場誘起スピン 

密度波転移の推移を調べた。次元性が変化すると考え 

られている Lebed 共鳴角度において、転移磁場の変化 

は見られなかった。このことから、磁場誘起スピン密 

度波はこれまで考えられていたような 2 次元的な現象 

ではなく、3 次元的な現象であることを確認した。 

文献 

[1] T. Ishiguro, K. Yamaji, G. Saito, “Organic 

Superconductors”, Springer, Berlin (1998). 

[2] T. Osada, S. Kagoshima, N. Miura, Phys. Rev. Lett., 66, 

1525 (1991). 

[3] Y. Sun, K. Maki, Phys. Rev. B 49, 15356 (1994). 

[4] H. Nose, T. Osada, Synth. Metals 120, 1031 (2001). 


層間方向の伝導増大を大きな特徴とする Lebed 共鳴 

角において、伝導面内でスケールされる FISDW は、強 

く抑制されると予測できるので、その転移角度を一定磁 

場下の回転測定で調べた。具体的には、磁場強度を 5~ 

14 T までの範囲で固定し、磁場角度を変化させた測定 

を行った。それぞれの磁場強度に対して層間抵抗に現れ 

たディップの角度位置をプロットしたものが Figure 1 

である。ほぼすべてのディップがそれぞれの Lebed 共 

鳴と FISDW 転移に指数づけられることが分かる。 

- 18 -

二次元三角格子を持つスピンギャップ物質 YbAl 3 C 3 の強磁場磁化過程 

High field magnetization process of the spin gap system YbAl 3 C 3 with the two-dimensional triangular lattice 

埼玉大学大学院理工学研究科小坂昌史 , 加藤慶顕 , 小檜山卓也 

Masashi Kosaka, Yoshiaki Kato, Takuya Kobiyama 

Graduate School of Science and Engineering, Saitama University 

物質・材料研究機構鈴木博之 

Hiroyuki S. Suzuki 


Abstract: 

We have succeeded in growing single crystalline samples with a hexagonal prism shape. Magnetization measurements 

were performed on the hybrid magnet installed at NIMS. Metamagnetic behavior accompanied by dissolving spin gap was 

observed around H = 7T. 

Keywords: rare-earth intermetallic compound, geometrical frustration, spin-gap 

E-mail: kosaka@phy.saitama-u.ac.jp 


希土類金属間化合物 YbAl 3 C 3 は層状構造を持つ六方 

晶化合物であり、Yb 層間が約 8.6Å 離れていることか 

ら、Yb 原子は二次元三角格子を形成していると見なす 

ことができる。そのため、幾何学的なフラストレーシ 

ョンを内包しており、そのフラストレーションを背景 

としたスピンダイマー状態が低温で実現していると考 

えられている。その根拠としては、中性子非弾性散乱 

実験により観測されたスピンギャップが挙げられる。 

YbAl 3 C 3 は 80K に相転移を持っており、最近の放射光 

X 線回折実験から、微小な原子変位が存在することが 

明らかになった。この相転移に 4f 電子が関与している 

直接的な証拠は得られていないが、この微小な構造相 

転移が低温でのスピンダイマー形成に一役買っている 

と考えている。試料作成と強磁場磁化測定に関して、 

主幹研究員の鈴木博之氏との共同研究成果を報告する。 

炉にて作成した単結晶の写真を示す。得られた単結晶 

の形状に関しては(a)はプレート状、(b)は六角柱の針状 

という特徴がある。(b)での成長過程はアルゴンガスや 

Yb 蒸気を介した、気相反応によるウィスカー成長と考 

えられる。サイズはφ20μm×0.5mm 程度であり、挿 

入図は試料の電子顕微鏡写真である。両者は X 線回折 

実験ではほとんど区別がつかないものの、比熱に観測 

される 80K 付近の相転移が(a)の試料に関してはかな 

りブロードになり、転移温度も低下する傾向が得られ 

た。以下の実験では(b)の試料を使用している。 


YbAl 3 C 3 は蒸気圧が高い Yb 元素を含んでいるため、 

試料作成に困難が伴う。単結晶試料の作成を目指し、 

今回は下記に示す 2 種類の方法を試した。第一の方法 

は金属ルツボ密閉法により高周波加熱を用いて試料を 

作成するものである。金属ルツボはタングステンを用 

いた。第二はアルゴン封入した石英管内での固相反応 

により、電気炉にて作成する方法である。 

得られた試料を用いて X 線回折による構造解析、磁 

化、比熱、電気抵抗等の基礎物性測定を行った。さらに、 

小さい単結晶を集めて、物質・材料研究機構の 30T ハ 

イブリッドマグネットによる強磁場磁化測定を行った。 

3. 結果と考察 

図 1 に(a) 高周波炉により作成した単結晶と(b) 電気 

Fig.1 (a) Single crystals of YbAl 3 C 3 synthesized by a 

high frequency furnace. (b) Single crystal whiskers of 

YbAl 3 C 3 . The inset shows a scanning electron 

micrograph. 

- 19 -

図 2 の(a)に YbAl 3 C 3 の比熱と、格子比熱の寄与を求 

めるための LuAl 3 C 3 の比熱の温度変化を示す。80K 付 

近に相転移を示す比熱のピークが観測され、5K を頂点 

としたショットキー型の異常比熱が観測されている。 

挿入図は電気抵抗率の温度依存性を示しており、80K 

で急な減少が現れている。低温のショットキー比熱の 

原因は中性子非弾性散乱実験により観測した磁気励起 

から、Yb 原子のスピンダイマー形成によるものと考え 

ている。(b)に示したエントロピーからショットキー比 

熱で Rln2 が解放されており、基底状態はクラマース二 

重項であることがわかる。 

がり始め、早く飽和に達するように見える。これは、d 

電子系と f 電子系の交換相互作用の大きさの違いによ 

るものだと考えられる。 

Fig.3 Magnetization curve of YbAl 3 C 3 at 1.9 K in magnetic 

fields up to 28 T. 

4. まとめ 

微小なサイズながら、良質の単結晶育成に成功した。 

強磁場磁化測定からはスピンダイマー基底状態が磁場 

によって壊され、飽和に至る過程を観測することがで 

きた。 

Fig.2 (a) Temperature dependence of the specific heat of 

YbAl 3 C 3 (closed circles) and LuAl 3 C 3 (open circles). The 

inset shows the electrical resistivity as a function of 

temperature for the current along the c axis. (b) Temperature 

dependence of the magnetic entropy in YbAl 3 C 3 . 

図 3 にハイブリッドマグネットで測定した温度 1.9K 

での磁化過程を示す。7T 近傍の磁化の跳びはスピンダ 

イマーの基底状態が磁場によって壊れ、スピンギャッ 

プが消滅する際に現れるものであり、遷移金属酸化物 

のダイマー物質 (SrCu 2 (BO 3 ) 2 , (CuCl)LaNb 2 O 7 )などで 

も観測されている。30T 近傍までの測定で、Yb 原子当 

たり 1.5μ B 程度の磁化が出ており、飽和に向かってい 

ると考えられる。期待していた多段の転移は観測され 

なかったものの、ヒステリシスが存在することが明ら 

かになった。磁化の跳びの中央辺りで、ヒステリシス 

が閉じるのも興味深い結果である。関連する遷移金属 

酸化物の磁化過程と比較すると、低い磁場から立ち上 

- 20 -

ZnO2 次元電子系における強磁場輸送特性 

High magnetic field transport measurements in ZnO two-dimensional electron systems 

物質・材料研究機構今中康貴、高増正 

Y. Imanaka, T. Takamasu 


産業総合技術研究所反保衆志、柴田肇、仁木栄 

H. Tampo, H. Shibata, S. Niki 

Advanced Industrial Science and Technology 

Abstract: 

We have studied transport properties in ZnO two-dimensional electron systems under high magnetic fields up to 25T. 

Shubnikov de-Haas oscillation and quantum Hall plateau are observed clearly in high quality samples at integer filling factors. 

The carrier concentration and the Hall mobility of the samples are estimated more than 10 12 cm -2 and 5000cm 2 /Vs, 

respectively. The observation of the integer quantum Hall effect indicates to open new possibilities of wide gap oxide 

semiconductors. 

Keywords: ZnO, quantum Hall effect, transport, high magnetic field 

E-mail: IMANAKA.Yasutaka@nims.go.jp 


近年、省エネルギーや高速通信、地球環境保護の観 

点から Si ベースの物理的限界を超えた性能の要求が 

あり、さらなる性能向上を目指し SiC、GaN、ダイヤ 

モンド等のワイドギャップ半導体の研究が進められて 

いる。 

こうした中、環境に負荷の少ないワイドギャップ半 

導体である ZnO 系材料は、太陽電池用の透明電極や深 

紫外域の光学デバイスの材料としてのみならず、ヘテ 

ロ界面に形成される高濃度 2 次元電子ガス、大きな飽 

和電子速度、他の材料では利用できない安価なバルク 

基板等の利点により、高出力・高周波電子デバイスの 

材料としても期待されている。特に、積層構造による 

低濃度から超高濃度までの 2 次元電子ガス濃度の制御 

の実現は基礎的にも応用的にもインパクトが大きく、 

新たな展開が期待されている。 

これまで ZnO 系量子構造試料の輸送研究は、欠陥等 

の制御が難しいこともあり、試料作成自体があまり行 

われていなかったが、近年の著しい薄膜成長技術の進 

展により、量子ホール効果が観測可能な試料が得られ 

るようになってきた 1) 。ヘテロ界面の 2 次元電子は、 

変調ドーピング法によってではなく、自発分極やピエ 

ゾ分極等の分極効果により界面に生じることが分かっ 

ており、Mg 組成を変化させることで 10 13 cm -2 に迫る電 

子濃度が現在までのところ実現可能となっている。 

こうした高移動度 ZnO 系量子デバイスの基礎輸送 

特性を評価するためには、磁気輸送測定により磁気抵 

抗及びホール抵抗に現れるシュブニコフ振動やホール 

プラトーの観測を行うことが一般的であるが、電子濃 

度が極めて高いため、非常に高い磁場が必要となり、 

これまであまり行われていなかった。 

そこで今回、分子線エピタキシー法 (MBE 法 )にて成 

長された高品質 ZnMgO/ZnO ヘテロ構造試料において、 

量子ホール効果を観測するため、25T までの強磁場で 

の輸送測定を行った。 


ZnMgO/ZnO ヘテロ構造試料は、MBE 法により産業 

総合技術研究所太陽光発電センターにて作製された。 

試料は、サファイア基板上に ZnO 及び ZnMgO 層を成 

長しており、2 つの層の界面に分極による閉じ込めポ 

テンシャルが形成され、10 12 cm -2 を超える 2 次元電子 

系が生成されている 1, 2) 。 

強磁場輸送実験は 4 端子法により、物質・材料研究 

機構強磁場共用ステーションにある水冷型ビッター磁 

石を用いて 25T まで行った。またヘリウムクライオス 

タットを使用し、測定は 1.6K と 4.2K で行った。 


図 1 に 25T までの縦抵抗 (R xx )とホール抵抗 (R xy )の強 

磁場測定結果を示す。測定温度は 1.6K と 4.2K である。 

縦抵抗 (R xx )において5T を超える辺りから明瞭なシュ 

ブニコフドハース振動が偶数占有率で観測され、更に 

強磁場領域では奇数占有率での振動が明瞭になった。 

奇数占有率での抵抗の変化の大きさは、GaAs 等のこ 

れまで調べられてきた量子ホール系同様に低温になる 

につれ大きくなっている。 

一方、4 端子法での測定のため、完全に平らにはな 

っていないものの、ホール抵抗 (R xy )においても明瞭な 

量子ホールプラトーが観測された。 

- 21 -

次にシュブニコフドハース振動の極小値を、磁場 

の逆数に対してプロットしたものを図 2 に示す。2 

次元電子濃度をパラメーターに実測データをフィ 

ッティングした結果が実線であり、これより本試料 

の 2 次元電子濃度が 6.1×10 12 cm -2 であることが分 

かった。本実験で得られた 2 次元電子濃度は、低磁 

場領域でのホール効果の簡易測定結果 (5 × 

10 12 cm -2 )とも良い一致を示しており、本測定より 

更に高精度にキャリア濃度を見積もることができ 

た。特に低磁場領域で、文献 1 にあるように直線的 

な振る舞いから外れることがないことから、本試料 

においては電子濃度が高いにもかかわらず、その閉 

じ込め効果が大きいために、最低サブバンドにのみ 

電子が占有していることが明らかになった。 

更にZnOはバンドギャップエネルギーが 3eVを超え 

るワイドギャップ半導体であるため、今後その透明性 

に着目した透明半導体量子構造としての光学物性研究 

や応用展開も期待される。 

参考文献 

[1] A. Tsunezaki et. al., Science 315, 1388 (2007). 

[2] H. Tampo et. al., Appl. Phys. Lett. 93, 202104 (2008). 

Fig.2 Inverse magnetic field dependence of the 

minimum of the longitudinal resistance. The carrier 

concentration is estimated as n=6.1×10 12 cm -2 . 

Fig.1 Magnetic field dependence of R xx and R xy in a 

ZnMgO/ZnO heterostructure up to 25T. The red and blue 

data show the R xx and R xy data at 1.6K, respectively. 

Other data were measured at 4.2K. 

4. まとめ 

高移動度 ZnO2 次元電子系の磁気輸送測定を 25T ま 

での強磁場を用いて行った。結果、ワイドギャップ半 

導体 ZnO において量子ホール効果とシュブニコフド 

ハース振動を観測し、従来研究されてきた GaAs 2 次 

元電子系と比較しても極めて高い 2 次元電子濃度が 

ZnO ヘテロ構造で実現していることが明らかになった。 

高電子濃度 2 次元電子系はデバイス応用上も試料抵 

抗が小さくなるために非常に有用であり、基礎物性的 

にも量子ホール系の高電子濃度領域の輸送研究が他の 

系で実現不可能なため非常に興味深いと考えられる。 

- 22 -

重い電子系化合物 URu 2 Si 2 の強磁場下輸送係数測定 

Transport measurements of a heavy fermion compound URu 2 Si 2 under high magnetic field 

宍戸寛明 

1* , 橋本顕一郎 

1 , 芝内孝禎 

1 , 高増正 

2 , 竹端寛治 

2 , 今中康貴 

2 , 佐々木孝彦 

3 , 

大泉元 

3 , 小林典男 

3 , 芳賀芳範 

4 , 松田達磨 

4 , 大貫惇睦 

4,5 1 

, 松田祐司 

京大院理 

1 , 物材機構 

2 , 東北大金研 

3 , 原子力機構 

4 5 

, 阪大院理 

H. Shishido 1* , K. Hashimoto 1 , T. Shibauchi 1 , T. Takamasu 2 , K. Takehana 2 , Y. Imanaka 2 , T. Sasaki 3 , H. Oizumi 3 , 

N. Kobayashi 3 , Y. Haga 4 , T. D. Matsuda 4 , Y. Ônuki 4 and Y. Matsuda 1 

1 Department of Physics, Kyoto University 

2 National Institute for material Science 

3 Institute for Materials Research, Tohoku University 

4 Advanced Science Research Center, Japan Atomic Energy Agency 

5 

Graduate School of Science, Osaka University 

Abstract: 

To elucidate the underlying nature of the hidden order (HO) state in heavy-fermion compound URu 2 Si 2 , we measure 

electrical transport properties of ultraclean crystals in a high field/low temperature regime. Unlike previous studies, the 

present system with much less impurity scattering resolves a distinct anomaly of the Hall resistivity at H* = 22.5 T well 

below the destruction field of the HO phase ~ 35 T. In addition, a novel quantum oscillation appears above a magnetic field 

slightly below H*. These results indicate an abrupt reconstruction of the Fermi surface, which implies a possible phase 

transition well within the HO phase caused by a band-dependent destruction of the HO parameter. 

Keywords: heavy fermion, Hidden order, URu 2 Si 2 , SdH 

E-mail: Shishido@scphys.kyoto-u.ac.jp 


Ce や U を含む f 電子をもった化合物は f 軌道の大き 

な軌道角運動量に起因する大きな磁気モーメントを持 

つ.ところが低温では近藤効果により伝導電子と f 電 

子の混成が発達し,その磁気モーメントは遮蔽され伝 

導電子の有効質量が自由電子の 1000 倍にも達するよ 

うな重い電子状態が実現する. 重い電子状態は強相関 

電子系の典型例として盛んに研究されている. 

URu 2 Si 2 は ThCr 2 Si 2 型の正方晶の結晶構造を持つ重い 

電子系化合物であり,T h = 17.5 K で2 次相転移を示し 

た後 ,T c = 1.5 K で超伝導に転移する.T h での相転移で 

はエントロピーに大きなとびを伴う[1]にもかかわら 

ず, 対応する磁気モーメントは観測されていない[2]. 

この実験結果は単純な反強磁性秩序では説明できず, 

その秩序状態は「隠れた秩序」と呼ばれ,その秩序変 

数が何であるかは 20 年以上精力的に研究されてきた 

にもかかわらず未だに明らかにされていない. 隠れた 

秩序相は磁場に対し閉じた相図になっており, 絶対零 

度では 35 T 以上の磁場で消失する[3]. 


最近極めて純良な URu 2 Si 2 の単結晶が原子力機構先 

端研のグループにより作製された[4].その残留抵抗比 

( (T = 300 K)/(T = 0 K)) は 670 であり,これまでに用 

いられてきた試料よりも1 桁以上純良である.われわ 

れはこの超純良 URu 2 Si 2 単結晶を用いて,T = 0.1 K ま 

での低温 , 0 H = 27 T までの強磁場下で磁気抵抗 ,Hall 

効果の測定を行い, 隠れた秩序相について新たな知見 

を得た. 


図 1(a)に各温度での電気抵抗率 xx の磁場依存性を示 

す.URu 2 Si 2 は電子と正孔のキャリア数がほぼ等しい 

補償された金属であることを反映し, 低温での xx は 

ほぼ H 2 に比例して増大する.ところが H p = 16 T 以 

上あたりから H 2 の振る舞いから外れはじめ, さらに 

高磁場の H*= 22.5 T において再びその傾きが変化する. 

図 1(b)に示した Hall 抵抗 xy では H p 以上において減少 

し始め,H*において急峻なジャンプを示しす.H*にお 

ける異常は隠れた秩序相の奥深くに新たな相転移が 

存在することを強く示唆する.H*における異常は過 

去に報告されておらず, 今回超純良試料を用いて, 

xx (·cm) 

1000 

01] 

URu 2 Si 2 

H // [001] 

xy (·cm) 

500 

0 

0 

60 

40 

20 

0 

0 

200 

T = 4.1 K 

2.7 K 

2.4 K 

2.0 K 

1.7 K 

0.52 K 

0.24 K 

H p 

H* 

400 

0 H) 2 (T 2 ) 

H // [001] 

10 

0 H (T) 

T = 0.11 K 

0.52 K 

0.9 K 

1.27 K 

Fig.1 Field dependence of (a) the diagonal resistivity 

xx and (b) Hall resistivity xy at several temperatures. 

H p 

600 

H* 

20 

(a) 

(b) 

- 23 -

希釈冷凍機温度までの低温 ,27 T までの強磁場で輸送 

係数測定を行ったことにより初めて観測された. 

図 1(a), (b)からわかるように低温・高磁場領域では 

xx , xy ともに明瞭な量子振動が観測された. 次に 

Shubnikov-de Haas (SdH) 効果の結果について述べる. 

図 2(a)に SdH 振動の FFT を示す.ここで SdH 振動の 

振動数 F は磁場に垂直な方向の Fermi 面の極値断面積 

に比例する.また, 振幅の温度依存性からサイクロト 

ロン有効質量 m*を知ることが出来る. 我々は c 軸方向 

で 4 つのブランチ,,', を観測した.ブランチは 

F = 1300 T, m* = 2.7 m 0 (m 0 は電子の静止質量 )であり, 

過去の de Haas - van Alphen (dHvA) 効果の実験では観 

測されていない.これに対し, は振動数 , 有効質量 

ともに dHvA 効果の報告と良く一致する.’ブランチ 

に関してはその振動数は dHvA 効果測定で報告された 

と変わらないが, その有効質量は 27 m 0 と dHvA 効果 

で報告されている 8.2 m 0 よりもはるかに重い[7].SdH 

振動数の角度依存性を図 2(b)に示す.ブランチはほ 

とんど角度依存性がなく, 球状 Fermi 面であることが 

わかる.この結果は過去の dHvA 効果の結果と良く一 

致している.これに対してブランチは典型的な回転楕 

円型の角度依存性を示しており,c 軸方向に長い回転楕 

円体状の Fermi 面をしていることがわかる.その体積 

はの約 3 倍である.ブランチの起源について明らか 

にするため, 図 2(c)に示すように磁場範囲を区切って 

FFT を行った.ブランチは 16.7 – 19.4 T 以下の磁場範 

囲では観測されず,17.6 – 20.4 T 以上において現れて 

いる.これに対してブランチよりずっと有効質量の大 

きい, ブランチは図 2(c)に示したすべての磁場範囲 

で観測されている. 一般に有効質量の大きい振動ほ 

ど低磁場で速く減衰する.このことからブランチが 

FFT Amplitude (a.u.) 

0 

(a) 

(b) 

3 

' 

 

' + 

 

 

1000 

SdH Frequency (T) 

(c) 

H // [001] 

T = 110 mK 

FFT 17 - 24 T 

2000 

低磁場で観測されないのは磁場の減少に伴う振幅の減 

衰のためではなく, 本質的に高磁場でのみ存在する 

Fermi 面を見ているためだと考えられる. 

図 3 に今回の実験から得られた H-T 相図を示す. 隠 

れた秩序が完全に消失する 35 T よりもはるかに低い 

22.5 T において相転移もしくは非常に強いクロスオー 

バーが存在し, 隠れた秩序を低磁場相 (HO I)と高磁場 

相 (HO II)に分けている. 隠れた秩序相の内部での相転 

移の報告は過去になく, 超純良試料を用いた低温・強 

磁場下の測定において始めて観測に成功した.SdH 効 

果の結果と合わせて考えると H *において Fermi 面の 

再構成が起こり,HO II 相において・ブランチに対応 

する回転楕円体状の Fermi 面が現れたと考えられる. 

ただし, 球状の - Fermi 面は H * 前後でほとんど変化 

していない. 

H // [001] 

H* 

Fig.3 H-T phase diagram for H // c. 

4. まとめ 

我々は超純良試料を用いて低温・強磁場下の輸送係 

数と SdH 効果の測定を HO 相内部で行った.その結果 

から HO 相の内側に相転移もしくは強いクロスオーバ 

ーが存在し,これを境に Fermi 面の再構築が起こって 

いることを明らかとした. 一部の Fermi 面のみに H * 

を境とした再構成が起こっていることから,HO を特 

徴付けるギャップは少なくとも2 種類あり, 小さなギ 

ャップについては H *で, 大きなギャップについては 

HO 相が完全に消失する 35 T においてつぶれていると 

解釈できる.これは HO がバンド毎に異なるギャップ 

を持ったマルチバンドの秩序変数であることを示唆し 

ている. 

20.0 - 24.0 T 

SdH Frequency (kT) 

2 

1 

' 

 

 

 

18.8 - 22.2 T 

17.6 - 20.7 T 

16.7 - 19.4 T 

15.8 - 18.2 T 

15.0 - 17.1 T 

0 

0 30 60 90 0 1000 2000 

[001] [100] 

Field Angle (deg.) SdH Frequency (T) 

Fig.2 (a) FFT of the SdH oscillations in the field range 

17 – 24 T, (b) angular dependence of the SdH 

frequency and (c) FFT of the SdH oscillations in the 

several field interval. 

参考文献 

[1] T. T. M. Palstra et al., Phys. Rev. Lett. 55, 2727 (1985). 

[2] S. Takagi et al., J. Phys. Soc. Jpn. 76, 033708 (2007). 

[3] Y. S. Oh et al., Phys. Rev. Lett. 98, 016401 (2007). 

[4] Y. Haga, H. Sakai, and S. Kanbe, J. Phys. Soc. Jpn. 76, 

051012 (2007). 

[5] X. Du et al., Phys. Rev. Lett. 94, 166601 (2005). 

[6] Y. Kasahara et al., Phys. Rev. Lett. 99, 116402 (2007). 

[7] H. Ohkuni et al., Philo. Mag. B 79, 1045 (1999). 

- 24 -

非磁性半導体 black SmS の磁場による金属化 

Magnetic field induced metallization of nonmagnetic semiconducting phase of SmS 

名大院理井村敬一郎、出口和彦、佐藤憲昭 

K. Imura, K. Deguchi, N. K. Sato 

Nagoya University 

東大物性研松林和幸 

K. Matsubayashi 

ISSP The Univ. of Tokyo 

物質・材料研究機構鈴木博之、高増正、今中康貴、竹端寛治 

H. S. Suzuki, T. Takamasu, Y. Imanaka, K. Takehana 


Abstract: 

We measured the electrical resistivity and Hall coefficient of nonmagnetic semiconducting phase of SmS under pressure 

and in high magnetic field. We observed magnetic field induced metallization. The transport gap E g decreases with applying 

pressure and/or magnetic field. We argue that magnetic field plays a similar role to pressure in the transport gap. 

Keywords: SmS, metal insulator transition, high pressure, transport property 

E-mail: imura@mlab2.phys.nagoya-u.ac.jp, kensho@cc.nagoya-u.ac.jp 


SmS は、圧力誘起絶縁体・金属転移を示す典型物質 

として知られる [1]。低圧相 (P < Pc ~ 7 kbar)は black 

phase と呼ばれ、4f 6 (J = 0) で指定される非磁性半導体 

であると考えられている。電気抵抗から評価されるエ 

ネルギーギャップ E g は、常圧において 1000 K 程度で 

あり、加圧とともに減少することが知られている。高 

圧相 (golden phase, P > P c1 で発現 )への 1 次相転移 

(black – golden 相転移 )は、E g の消失と関わりがある 

と考えられている。black phase は単純な非磁性半導体 

であるとされながらも、Konczykowski らにより、( 不 

純物効果によるとされる) 巨大な負の磁気抵抗が観測 

されていた [2]。今回我々は、2つの外部パラメータ 

( 圧力と磁場 : 実験的に圧力は不連続にしか制御でき 

ないが、磁場は連続的制御が可能である。)を用いて、 

E g の変化を調べた。 

(a) 

(cm) 

10 -1 

7 

6 

5 

4 

3 

10 -2 2 

7 

6 

5 

4 

H = 0 T 

5 

10 

15 

SmS 

P = 4.5 kbar 


測定には、ブリッジマン法で育成した SmS 単結晶を 

用いた。圧力の発生には、外径 25φのピストンシリン 

ダー型の圧力セルを用いた。低温における発生圧力の 

評価には、Pb の超伝導転移温度の圧力依存性を用いた。 

輸送現象の測定には、直流 van der Pauw 法を用い、電 

気抵抗と Hall 効果の測定を同時に行った。磁場の発生 

にはハイブリッドマグネットを用い、一定磁場中での 

温度依存を測定した。また、15 T 超伝導マグネットを 

用い、低磁場における測定も合わせて行った。測定圧 

力は 4.5 kbar である。 

(b) 

R H 

(cm 3 /C) 

0.0 

-0.5 

-1.0 

-1.5 

H = 25 T 

20 

15 

10 

3 

-2.5 

0 20 40 60 80 100 0 20 40 60 80 100 

T (K) 

T (K) 

Fig.1 Temperature dependence of (a) electrical resistivity and (b) Hall coefficient at 4.5 kbar in 

selected magnetic field. 

10 -3 2 

20 

25 

- 25 - 

-2.0 

5 

SmS 

P = 4.5 kbar


Fig. 1 に、P = 4.5 kbar における電気抵抗と、ホール 

係数の温度依存性を示す。電気抵抗の降温にともなう 

増大は、磁場の印加とともに抑制され、25 T の強磁場 

中においては、金属的伝導に移行することが明らかと 

なった(Fig. 1(a))。この電気抵抗の減少は、ホール効果 

の結果から明らかなように、キャリア数の増加に起因 

するものである(Fig. 1(b) 参照 )。こうした負の磁気抵抗 

は、ストイキオメトリー( 不純物・欠損の量 )を制御 

した試料を用いても同様に見られることから、SmS の 

intrinsic な効果であると考えられる。Fig. 2 に、電気抵 

抗の温度依存から見積もられた、一定圧力下における 

エネルギーギャップ E g の磁場依存を示す。E g は圧力 

と磁場の、2つの外部パラメータによって制御されう 

ることが分かる。このことは、圧力と磁場は E g に対し 

て等価であることを意味する。磁場による E g の減少 

のメカニズムや black-golden 相転移との関わり、強磁 

場中での電子状態の解明が今後の課題である。 

E g (K) 

1200 

1000 

800 

600 

400 

200 

0 

0 

10 

H (T) 

SmS P (kbar) 

0.001 

0.8 

1.4 

2.2 

2.5 

3.4 

3.7 

4.5 

Fig.2 Magnetic field dependence of transport gap E g 

at selected pressure. 

20 

30 

4. まとめ 

SmS の低圧相 black phase におけるエネルギーギャッ 

プの圧力・磁場依存に着目し、高圧力・強磁場下にお 

ける輸送現象測定を行った。その結果、従来の「非磁 

性」半導体であると考えられていた black phase におい 

て、磁場の印加によってキャリアが増大し、金属化を 

示すことが明らかとなった。上記磁場効果は SmS の 

intrinsic な性質であると考えられる。また、E g に対す 

る圧力と磁場の効果は等価であるように見える。 

参考文献 

[1] A. Jayaraman, V. Narayanamurti, E.Bucher and R. G. 

Maines: Phys. Rev. Lett. 25 (1970) 1430. 

[2] M. Konczykowski, J. Morillo, J. Galibert, and J. P. 

Senateur, in Valence Instabilities, (North-Holland, 1982), 

p.447. 

- 26 -

層状マンガン酸化物単結晶の磁場誘起ステップ転移の外場効果 

Effect of external parameters on magnetic-field induced steplike transition of 

bilayered manganite single-crystal 

岩手大・工大和義昭、村野由、松川倫明 

Y. Yamato , Y. Murano , M.Matsukawa 

Faculty of Engineering, Iwate University 

東北大・金研小山佳一、小林典男 

K.Koyama, N. Kobayashi 

Institute for Materials Research, Tohoku University 


S.Nimori 


パリ南大学 R.Suryanarayanan、A.Revcolevschi 

National Institute for Materials Science DUniversité Paris-Sud, France 

Abstract: 

We report the effect of pressure and applied current on a magnetic-field induced lattice transformation of single 

crystalline (La 0.4 Pr 0.6 ) 1.2 Sr1. 8 Mn 2 O 7 bilayered manganite, for our understandings of the ultrasharp nature of the field-induced 

first-order transition from a paramagnetic insulator to a ferromagnetic metal phase. Application of the external parameters 

suppresses a steplike transformation and causes a broad change in the magnetostriction. A delocalization of carriers is 

promoted with the applied pressure and electric current, resulting in the suppressed steplike behavior. Our findings strongly 

support that the step phenomenon is closely related to the existence of localized carriers such as the short-range 

charge-ordered clusters. 

Keywords: bilayered manganite, colossal magnetoresistance, colossal electroresistance 

E-mail: matsukawa@iwate-u.ac.jp 


近年、磁場誘起のメタ磁性転移を示すマンガン酸化 

物系において、非常に鋭い磁化のステップが低温領域 

で報告されている。このステップ状の転移は、高温領 

域で観測されるブロードな転移とは定性的に異なる。 

この起源については、格子定数の異なる電荷整列反強 

磁性絶縁相と強磁性金属相の間のマルテンサイト変態 

によるものという解釈がなされている。しかし、2 相 

の格子定数の不整合による解釈のみでは、説明できな 

い点もある。 

我々は、このステップ状の強磁性金属転移の起源を 

探るために、磁場誘起型絶縁体・金属転移を示す層状 

マンガン酸化物単結晶の磁歪・磁化及び磁気抵抗のス 

テップ現象の研究を行っている。今年度は、ステップ 

状の転移を外部変数 ( 圧力と電流 )の関数として研究 

を実施した。また、電場誘起巨大抵抗変化、 

CER(Colossal Electroresistance) 効果の研究も行った。 


(La 1-z Pr z ) 1.2 Sr 1.8 Mn 2 O 7 試料は、南パリ大学で FZ 法 

により作製された良質単結晶であり、その寸法は 2.8 

×3.4mm 2 (ab 面 ) 及び 1.0 mm(c 軸 )である。z=0.6 の試料 

は低温においても常磁性絶縁相である。 

磁気抵抗及び磁歪の測定は、直流四端子法及び歪み 

ゲージ法により、東北大金研・強磁場センター及び物 

質・材料研究機構の超伝導マグネットを利用した。磁 

歪の圧力効果の測定は、CuBe( 外層 )と NiCrAl 合金 

( 内層 )からなる2 層式セルを用いて行った。 

3. 実験結果及び考察 

(La 0.4 Pr 0.6 ) 1.2 Sr 1.8 Mn 2 O 7 単結晶の低温での磁気歪み、 

磁化及び磁気抵抗の測定を実行した。磁場印加 (H//c 

軸 )とともに、5T 付近で磁場誘起型絶縁体・金属転移 

に伴う急激な c 軸方向の試料の収縮が観測される。こ 

のステップ状の変化は、高温領域 (10K 以上 )で観測 

される連続的な転移とは、本質的に異なる。転移幅は、 

数ミリテスラのオーダーであり、臨界磁場の 0.1% 以下 

である。次に、磁歪ステップの圧力効果の結果を図 1 

に示す。圧力印加により、ステップ状の振る舞いは抑 

えられ、高温側で観測されるブロードな変化に置き換 

わる。この結果は、圧力効果が強磁性相互作用を強め 

ることにより、ステップ状の変化を抑制したものと考 

えられる。また、磁場中冷却後に試料の強磁性転移は 

促進されるが、ステップ状の変化が抑制されるという 

以前の結果と一致している。 

- 27 -

Fig.1 c-axis magnetostriction under both ambient pressure 

and a hydrostatic pressure of 0.8GPa at 6K. 

Fig.3 ab-plane electroresistance (ER) and ER ratio as a 

function of the applied current. 

次に、外部変数を電流に設定し、一定電流を印加して 

磁歪の測定を行った。また、比較のために磁気抵抗効 

果の電流値依存性を測定した。図 2からわかるように、 

2mA 程度の電流値の場合には、ステップ状の鋭い変化 

は、ブロードな連続的な変化へ移行する。これに対応 

して、磁気抵抗の振る舞いも同様に変化する。ジュー 

ル発熱による試料発熱の影響は無視できる。 

4. まとめ 

磁場誘起型絶縁体・金属転移を示す層状マンガン酸 

化物 (La 0.4 Pr 0.6 ) 1.2 Sr 1.8 Mn 2 O 7 単結晶のステップ転移 

を外部変数 ( 圧力、電流 )の関数として研究した。圧 

力印加により、ステップ状の振る舞いは抑えられ、高 

温側で観測されるブロードな変化に置き換わる。同様 

な振る舞いが電流印加の場合も観測された。また、層 

状マンガン酸化物において、電場誘起巨大抵抗変化を 

初めて観測した。 

参考文献 

[1] R.Mahendiran, et al., Phys.Rev.Lett.89,286602(2002). 

[2] M.Matsukawa , et al. Phys.Rev.Lett.98,(2007) 267204. 

[3] Y.Yamato, et al.,Phys.Rev.B78,(2008) 132411. 

[4] Y. Yamato, M. Matsukawa, Y.Murano, R. Suryanarayanan, 

S. Nimori, M. Apostu, A. Revcolevschi, K. Koyama, N. 

Kobayashi, Applied Physics Letters 94,092507 (2009). 

Fig.2 c-axis magnetostriction as a function of the applied 

current at 4.3K (H||c). 

また、図 3に示すように零磁場での試料抵抗が低電流 

の場合に比べ 2mA の電流を印加すると 80% 程度減尐 

する。電流印加による電気抵抗の著しい低下は、CER 

効果としてマンガン酸化物では報告されている。この 

系の基底状態は、不均一な常磁性相であり、母物質の 

常磁性相に関する中性子回折実験から、短距離型の電 

荷整列 (CO)クラスターの存在が示唆されている。従っ 

て、常磁性相マトリックス中に分散している CO クラ 

スターが、電流印加により融解しキャリアが遍歴的に 

なったものと考えられる。 

- 28 -

微小 Al 超伝導ディスクにおける過剰抵抗の試料サイズ効果 

Sample size dependence of excess resistance near the superconducting transition of a mesoscopic Al disk 

原田淳之 

A 、榎本健悟 

A 、矢ヶ部太郎 

A 、木俣基 


A 、 

硲香織 

A,B 、小玉恒太 


A A,B 

、宇治進也 


A B 

、筑波大数理物質 

Atsushi HARADA A , Kengo ENOMOTO A , Taro YAKABE A , Motoi KIMATA A , Hidetaka SATSUKAWA A , 

Kaori HAZAMA A,B , Kouta KODAMA A,B , Taichi TERASHIMA A , and Shinya UJI A,B 

A National Institute for Materials Science, 

B 

Graduate School of Pure and Applied Sciences, University of Tsukuba 

Abstract: 

We report the size dependence of superconducting transition in mesoscopic Al disks with 1.0, 0.7, and 0.4 m in 

diameter performed by resistance measurements under magnetic field. All the samples show excess resistance peaks near H c2 , 

which are 3~ 6 times larger than normal state resistance R n , whereas there are no resistance peaks at H=0. We find that the 

resistance peak rapidly increases and becomes the largest at the magnetic field just below the transition of vorticity L: 0 → 1 

with no relation to the sample size. The resistance peak, which shows the presence of large energy dissipation, would be 

caused by characteristic vortex dynamics confined in the small geometries. 

Keywords: Superconducting transition, Excess resistance, Vortex states 

E-mail: HARADA.Atsushi@nims.go.jp 


超伝導性を特徴づけるコヒーレンス長、ロンドン侵入 

長と試料サイズが同程度になるメゾスコピック超伝導体 

(サブマイクロメータサイズ)では試料の形状・境界条件 

( 表面 )が超伝導状態に大きく影響を与え、バルクサイズ 

の試料とは異なったメゾスコピック系特有の現象が観測 

される[1]。その中でも興味深いものの一つとして超伝導 

転移温度近傍で観測される過剰な電気抵抗 ( 過剰抵抗 )が 

挙げられる。この過剰抵抗とは Tc 近傍でノーマル状態の 

抵抗値 (Rn)よりも電気抵抗が高くなる振る舞いで、メゾ 

スコピック系では微小細線の Al でノーマル抵抗の~1.2 

倍の過剰抵抗がゼロ磁場で最初に発見された[2]。これに 

対して近年ディスク形状の微小 Al でも過剰抵抗は観測 

されたが、それは磁場中でノーマル抵抗の~8 倍と極め 

て大きなものであった[3]。またこの巨大な過剰抵抗は Tc 

近傍というよりはかなり広い温度領域でノーマル抵抗よ 

りも高い過剰抵抗が実現している。従来の過剰抵抗は試 

料内の Tc の不均一に由来して生じる Phase Slip Center や 

超伝導 - 常伝導界面を基にした理論研究が行われている 

が、これらによる過剰抵抗は磁場中では抑制され、ゼロ 

磁場においても Tc 近傍で最大 ~1.3 倍の抵抗増大を説明 

するにすぎずディスク形状の微小 Al の巨大過剰抵抗を 

説明できない。何故ディスク形状の過剰抵抗は磁場中で 

顕著に強められるのかが興味深い。 

我々はディスク形状の微小 Al 試料で見られる臨界磁 

場近傍の巨大な過剰抵抗の起源について明らかにすべく、 

厚み 30nm で直径 1.0μm, 0.7μm, 0.4μm の 3 つの微小 

Al ディスクを作成し、過剰抵抗の試料サイズ依存性につ 

いて調べた。 

Fig. 1. SEM image of three aluminum samples. 


微小 Al 試料は、1SiO2 基盤上にレジスト( 日本ゼオ 

ン株式会社 :ZEP520A)を塗布、2 電子線リソグラフィ 

ー(Hitachi S4200 equipped with Tokyo Technology Beam 

Draw System)でレジストに描画、3 完成したレジスト 

パターンに高純度のアルミニウム(99.999%)を蒸着、4 

残ったレジストを専用溶剤で剥離 (リフトオフ工程 )、 

上記 1-4の工程によりディスク状の微小 Al 試料を作 

成する。Fig. 1 の SEM 画像で見られる様に、本研究で 

は厚み 30nm・端子幅 100nm で直径 1.0μm, 0.7μm, 0.4 

μm の 3 つの微小 Al ディスクを作成し、最低温度 

0.5K・最大印加磁場 1000 Oe の温度磁場領域で電気抵 

抗測定を行った。 


Fig. 2(a)-(c) で見られるように、ゼロ磁場では存在し 

ない過剰抵抗が磁場中で 3 つのサイズの試料共に明瞭 

に観測された。この幅広い超伝導転移に対して過剰抵 

抗が出始める温度を Tonset、ゼロ抵抗になる温度を 

Tzero、過剰抵抗が最大となる温度を Tpeak としてこれ 

ら Tonset、Tzero、Tpeak の磁場依存性についてまとめた 

- 29 -

Fig. 2. Temperature dependence of resistance at various magnetic fields for three size of Al disks with (a) 1.0μm, (b) 0.7μm, 

and (c) 0.4μm in diameter, respectively. Temperature versus magnetic field phase diagrams of three Al disks with (e) 1.0μm, 

(f) 0.7μm, and (g) 0.4μm in diameter, respectively. 

ものが Fig. 2(d)-(f)である。試料サイズに依存しない 

Tonset が端子部分に起因した超伝導転移で、試料サイズ 

に依存する Tzero はディスク部分がゼロ抵抗になる温 

度であると考えられる。Tzero はディスク部分の寄与が 

反映されていて、より小さな試料ほど高い臨界磁場を 

持っている。また Tzero は磁場に対して振動している 

がこれは試料内に磁束が1 本ずつ入っていくことに対 

応しており、より小さな試料ほど磁束が試料内に侵入 

するために必要な磁場が大きくなっている。一方、過 

剰抵抗が最大となる T peak は T onset に隣接する様に存在 

する。端子部分を含めた試料全体の超伝導が崩壊する 

直前に過剰抵抗は最も強められている。では過剰抵抗 

が現れる T zero と T onset の間の温度磁場領域では微小 Al 

試料は一体どのような状態になっているのか? これ 

が重要な問題となる。 

Fig. 3 は、Fig. 2(a)-(c) で示される各磁場の過剰抵抗 

の最大値 R peak をノーマル抵抗 R n で規格化した R peak /R n 

を磁場に対してプロットしたものである。図中にある 

点線は試料の渦度 (vorticity)の転移を示しており、L で 

記述される数の磁束が試料内に押し込められた状態に 

なっている。注目すべきは、L:0⇔1 の転移つまり微小 

Al ディスクに磁束がちょうど 1 本入る磁場値付近で、 

試料サイズに依存せず、劇的に増大し最も強められる 

ことがわかった。これは T zero と T onset の間の温度磁場領 

域で Al ディスクが依然超伝導状態であることを示唆 

し、過剰抵抗と微小 Al ディスク内の磁束との関連を指 

摘するものである。また我々はこの臨界磁場近傍の温 

度磁場領域で I-V 測定に rf 高周波電圧を印加すること 

によりシャピロステップを観測した。シャピロステッ 

プの観測は、ディスク内の磁束の出入りを rf 高周波電 

圧で制御している直接証拠であり、ディスクがその磁 

場温度領域で超伝導であることを明確に示している。 

Fig. 3. Magnetic field dependence of R peak /R n for three size of Al disks 

with (a) 1.0μm, (b) 0.7μm, and (c) 0.4μm in diameter, respectively. 

4. まとめ 

直径 1.0μm, 0.7μm, 0.4μm の 3 つの微小 Al ディス 

クの電気抵抗測定から試料サイズに依存した温度 - 磁 

場相図と過剰抵抗の結果が得られた。試料に 1 本の磁 

束が侵入し始める磁場領域 (Fig. 3 の L=0 と L=1 の転移 

磁場付近 )で過剰抵抗が、試料サイズに依存せず、最も 

強められることが明らかとなり、このことはディスク 

形状の微小 Al における巨大過剰抵抗と磁束の関連を 

指摘する。 

今後ディスク形状の径・厚み・端子幅を変化させた 

試料で過剰抵抗の出現状況を系統的に調べ、このディ 

スク形状の微小 Al で観測される過剰抵抗の発現機構 

を明らかにしていきたい。 

参考文献 

[1] V. V. Moshchalkov et al., Nature 373, 319 (1995). 

[2] P. Santhanam et al., PRL 66, 2254 (1991). 

[3] K. Enomoto et al., Physica E 29, 584 (2005). 

- 30 -

磁場印加中加熱による熱分解炭素の作製と磁性 

Preparation of pyrolytic carbon by heating under magnetic field and its magnetic properties 

埼玉大学大学院理工学研究科神島謙二 

Kenji Kamishima 


Abstract: 

It was reported that pyrolysis products from pure organic materials showed ferromagnetism and had spontaneous 

magnetization even at room temperature. They are considered to be carbonaceous but not completely graphitized. The 

samples were prepared by direct pyrolysis of triethylamine. The chemical liquid was placed at an edge of a quartz tube and 

frozen at liquid nitrogen temperature. The quartz tube was evacuated and the center of the tube was heated to a desired 

temperature of about 900ºC. When the central temperature became stable, the chemical was melt and introduced to the 

heating area. The chemical vapor pressure of about 1 bar and the heating temperature were kept for 30 minutes. After the 

pyrolysis, the tube was evacuated again and cooled down to room temperature. Pyrolysis carbonaceous product was obtained 

from the inside of the tube, using a nonmagnetic hard titanium-alloy (Ti-Al-V) rod. A ferromagnetic sample was magnetically 

separated from the product. We have found that the spontaneous magnetization of pyrolytic carbon is increased by annealing 

at about 400ºC under magnetic field. 

This enhancement by `annealing under magnetic field' motivated us to improve the synthesis method for a ferromagnetic 

carbon sample. We expected that the application of magnetic field `during pyrolysis' would increase the magnetization of 

ferromagnetic carbon. We employed a superconductive electromagnet with a large internal diameter of 150 mmf, and 

constructed a new electric furnace which can be put in the superconducting magnet. The electric furnace has 

vacuum-thermal-isolation and cooling-water jackets. The internal temperature (T in ) of the furnace can be increased up to 

around 900ºC. The vacuum-thermal-isolation jacket works well at T in

することにより自発磁化が増大することから、最初の 

熱分解の段階で磁場を印加しておくことにより、強磁 

性試料の収率および磁化値が向上することが期待され 

る。本研究では、熱分解合成系に超伝導磁石を組み合 

わせ、磁場が印加されている場合と印加されていない 

場合とで比較を試みた。 


図 1に示すとおり、内径 φ150 の超伝導磁石を利用 

し、その中に電気炉を設置した。電気炉は、管状炉の 

外に断熱真空層、さらにその外に冷却水ラインという 

3 重構造の設計になっている。炉内に石英反応管を設 

置し、真空排気、昇温、有機物の導入を行い、熱分解 

炭素の作製を行った。 

繰り返して作製していけなかったことが挙げられる。 

今後、さらに電気炉の改修を行い、安定稼働を実現し、 

作製条件の探索を行ってゆく予定である。 

参考文献 

[1] M. Tamura et al., Chem. Phys. Lett. 186 (1991) 401. 

[2] J. M. D. Coey et al., Nature 420 (2002) 156. 

[3] P. Esquinazi et al, Phys. Rev. Lett. 91 (2003) 227201. 

[4] A. A. Ovchinnikov et al., Synth. Met., 27 (1988) B615. 

[5] K. Murata et al., Synth. Met. 44 (1991) 357. 

[6] K. Murata et al., J. Chem. Soc., Chem. Commun. 

(1991) 1265. 

[7] K. Murata et al., J. Chem. Soc., Chem. Commun. 

(1992) 567. 

[8] K. Kamishima et al., J. Magn. Magn. Mater. 310 (2007) 

e346. 

Fig.1 磁場印加熱分解合成系 


トリエチルアミンを原料とし、磁場を印加しながら 

900℃で熱分解炭素を作製した。2 T の磁場を印加した 

場合、1.3 emu/g の強磁性試料が得られた。これは、従 

来の無磁場熱分解炭素の磁化値の 2 倍程度の値である。 

EPR 測定によると、無磁場熱分解炭素では常磁性ラジ 

カルスピン由来の鋭いピークが観測されたが、2 T の 

磁場中熱分解試料では常磁性ラジカルスピン由来の鋭 

いピークは観測されなかった。これより、磁場の影響 

で強磁性結合を起こしやすい構造が実現し、ラジカル 

スピン間で強磁性相互作用が発生し、常磁性ラジカル 

スピンの量が減少したものと推測される。 

4. まとめ 

磁場印加中熱分解実験を行い、磁場印加効果を確認 

した。また、これまで無磁場熱分解で作製した熱分解 

炭素では超えることの出来なかった 1 emu/g の壁を 

超えることができた。今後の課題として、電気炉の断 

熱真空が頻繁に破れて安定駆動できなかったために、 

- 32 -

B 

 

NMAD Spin Glass Behavior in 4f Electronic Compounds 

 

Dexin Li 

Institute for Materials Research, Tohoku University 

 

Shigeki Nimori 


Abstract: 

We present the results of ac and dc susceptibilities, high field magnetization, magnetic relaxation and electrical resistivity 

measurements for a ternary intermetallic compound Dy 2 AuSi 3 with a hexagonal phase dominant crystal structure derived from the 

AlB 2 -type. Both the ac and dc susceptibilities show a field and frequency dependent peak around T C ~12.5 K, while evident 

irreversible magnetism and long-time magnetic relaxation behavior can be observed below T C . These metastable magnetic properties 

suggest that an extended short-range ferromagnetic order occurs near T C , i.e. the formation of ferromagnetic cluster state. This is 

further confirmed by the magnetization and electrical resistivity measurements and by a dynamic analysis of the ac susceptibility data. 

According to the extended short-range ferromagnetic order model, ferromagnetic clusters in Dy 2 AuSi 3 could exist with larger 

geometric dimensions, interact magnetically with each other and result in the observed cluster glass behavior at low temperatures. 

Keywords: Dy 2 AuSi 3 , spin glass, susceptibility, irreversible magnetism, magnetic relaxation 

e-mail: dxli@imr.tohoku.ac.jp 

1. Introduction 

Many of the R 2 TX 3 compounds crystallize in 

an AlB 2 -derived hexagonal structure (space group 

P6/mmm), which consist of R and M-X layers 

alternating along the c-axis, and the possible 

crystallographic disorder within M-X positions. 

These intermetallics exhibit a variety of interesting 

magnetic properties such as ferromagnetic (FM) or 

antiferromagnetic (AFM) ordering, spin-glass (SG) 

behavior, and coexistence of SG state and 

long-range magnetic order. The formation of SG 

state in some R 2 MX 3 compounds was attributed to 

the statistical distribution of the non-magnetic 

atoms and the latent geometric frustration. Thus 

these compounds are also called non-magnetic 

atom disorder (NMAD) spin glass. We have 

prepared a polycrystalline Dy 2 AuSi 3 sample and 

undertaken a systemic measurement on its 

magnetic properties. Here, we present the detailed 

experimental results including ac susceptibility 

χ ac (T) at different frequencies (ω), high field 

magnetization M(H) up to 110 kOe, FC and ZFC dc 

susceptibility χ (=M(T)/H) in different applied 

fields H, magnetic relaxation and electrical 

resistivity ρ(T) on a well-annealed Dy 2 AuSi 3 

sample. 

2. Experimental 

The polycrystalline sample of Dy 2 AuSi 3 was 

prepared by melting stoichiometric amounts of the 

constituent materials in an electric arc furnace 

under argon atmosphere and annealed at 800 °C for 

one week in an evacuated quartz tube. 

X-ray-diffraction patterns reveal that the annealed 

sample seems to crystallize in a hexagonal phase 

dominant structure derived from AlB 2 -type with a 

small amount of a tetragonal impurity phase. The 

ac susceptibility, dc magnetization and magnetic 

relaxation were measured using a SQUID 

magnetometer. High-field magnetization 

experiments at 5 K were carried out using an 

Oxford Instruments VSM 12 T magnetometer in 

magnetic fields up to 110 kOe, and the absolute 

value of the magnetization was calibrated using the 

data measured by a SQUID. Electrical resistivity 

measurement was performed over temperature 

range 1.6-280 K using a standard four-terminal 

method. 

3. Results and Discussion 

Fig. 1 shows the temperature dependence of 

the ZFC susceptibility and inverse susceptibility 

of Dy 2 AuSi 3 measured in H=100 Oe and in the 

temperature range 2-300 K. The data above 25 K 

could be nicely fitted using a Curie-Weiss law, 

and the best fitting result yields the values of 

paramagnetic Curie temperature θp=−3.6 K and 

effective magnetic moment μ eff =10.63μ B /Dy. 

which is very close to the theoretical value 

+3 

expected for a free Dy ion (μeff=10.65μ BB) 

indicating the 4f electrons are almost localized 

- 33 -

B 

χ ZFC (emu/g) 

0.025 

0.020 

0.015 

0.010 

0.005 

H=0.1kOe 

0.000 

0 

0 50 100 150 200 250 300 

T (K) 

 

6000 

4500 

3000 

1500 

Fig. 1 Temperature dependence of the ZFC dc 

susceptibility and reciprocal susceptibility of Dy 2 AuSi 3 in 

H=100 Oe. 

within the Dy atoms. The small negative value of 

θp indicates the existence of AFM interactions in 

the sample. This feature is usually observed in 

typical AFM system and in some magnetic 

compounds with competitive FM and AFM 

exchange interactions such as in SG or cluster 

glass system. At low temperatures, the 

susceptibility curve shows a steep rise near 

T C =12.5 K followed by a sharp peak with the peak 

temperature T m =11 K indicating the occurrence of 

some kind of magnetic phase transition in the 

Dy 2 AuSi 3 sample. 

Fig. 2 shows the ZFC susceptibility measured 

in various applied fields around the transition 

temperature. For HT m ) for FM cluster or 

long-range FM ordering system. 

Thermodynamically, irreversible magnetism 

can be directly related to nonequilibrium 

characters of the low temperature magnetic states, 

and thus a remanence in hysteresis loop and long 

time magnetic relaxation effect are also expected 

at low temperatures for the Dy 2 AuSi 3 sample. Fig. 

3 shows the M-H curve measured at 5 K (

FM order system. In addition, the remanent 

magnetization shows a long time relaxation 

behavior below T C (not shown here), which can be 

been fitted very well using a logarithmic function, 

M t) 

= M − S ln( t + ) . 

( t 

0 0 

In order to explore the possible SG effect, 

we have measured the frequency dependence of 

the real and imaginary parts of the ac 

susceptibility around the transition temperature. 

The results at frequency range 0.1 Hz≤ω/2π≤1000 

Hz are illustrated in Fig. 4. It is clear from this 

figure that the in-phase component of the ac 

susceptibility, χ ac ', exhibits a pronounced 

maximum at a frequency dependent temperature 

T C (ω) very close to the inflection point of χ ZFC (T) 

curve shown in Fig. 2. The T C value is determined 

to be 12.36 K at ω/2π=0.1 Hz, which shifts to 

12.62 K at ω/2π=1000 Hz. The upward-shift of 

the peak position in χ ac '(T) curve with rising 

frequency is a typical feature of SG material, 

which can be considered as an important evidence 

for the existence of random spin freezing effect in 

our Dy 2 AuSi 3 sample 

[2] . However, using 

expression δT C =ΔT C /(T C Δlogω) the frequency 

shift rate of TC is estimated to be δT C =0.005. This 

value is much smaller than the δT f values 

(frequency shift rate of freezing temperature) 

reported for the typical 2:1:3 NMAD SG systems, 

but evidently larger than the δT m values 

(frequency shift rate of peak temperature in χ ac '(T) 

curve) reported for the “almost long rang 

ferromagnetic ordering” compound Nd 2 PtSi 3 

(δT f =0.002). In this sense, the Dy 2 AuSi 3 sample 

could be considered as a FM cluster glass system, 

which reveals both FM-like characters and 

SG-like behaviours. The presence of FM cluster 

glass effect in Dy 2 AuSi 3 is further confirmed by a 

dynamic analysis of the obtained T C (ω) data. We 

have fitted the T C (ω) data to the standard 

expression (critical slowing down), 

− zν 

τ = τ [( T − T ) / T ] 

max 0 f s s 

, and to the Vogel-Fulcher 

law, ω = ω 0 

exp[ −E a 

/ k 

B 

( T 

f 

−Tvf 

)] , respectively. 

Following Tholence, τ 0 = 1/ω 0 =10 

−13 s was kept 

fixed, the following parameters are obtained from 

the best fitting results: a static freezing 

temperature T S =12.3 K, a critical (dynamical) 

exponent zν =6.6, a Vogel-Fulcher temperature 

T 0 =11.7 K and an average activation energy 

E a ≈1.75 k B 

TB 

S. Note that zν is determined around 2 

for conventional phase transitions of long-range 

magnetic ordering systems, and around 10 for SG 

[2] 

transitions of typical 2:1:3 NMAD SG systems. 

The zν value obtained for Dy2AuSi 3 is also 

situated between them. 

On the other hand, another evidence of the 

presence of large FM cluster in the Dy 2 AuSi 3 

sample is given by the temperature dependence of 

electrical resistivity ρ(T) (not shown here), which 

manifests a sudden bent at T C and rapid decrease 

below T C due to the FM ordering within the large 

χ'ac ( emu/g ) 

χ"ac ( emu/g ) 

0.016 

0.012 

0.008 

0.004 

magnetic clusters. 

4. Conclusion 

To summarize, magnetic properties of ternary 

intermetallic compound Dy2AuSi 3 have been 

systematically studied by magnetic measurements. 

This compound shows a sharp peak in ac and dc 

susceptibility curves near a transition temperature 

T C =12.5 K. The upward-shift of the ac 

susceptibility peak with increasing frequency, the 

downward-shift of the dc susceptibility peak with 

increasing magnetic field, the long-time magnetic 

relaxation behavior and the clear irreversible 

magnetism below T C are observed. In addition, the 

magnetization measurement measured at 5 K shows 

a sharp increase at low fields, and electrical 

resistivity measurement reveals a sudden decrease 

at T C . These features suggest the metastable 

properties of the magnetic ground state for the 

Dy 2 AuSi 3 sample, and can be explained by using an 

extended short-range FM order model. According 

to this model, larger FM clusters could exist in the 

Dy 2 AuSi 3 sample and magnetic exchange 

interactions between the clusters occur at low 

temperature, which leads to the observed FM-like 

and SG-like features, i.e. FM cluster glass 

behaviors. This consequence is further confirmed 

by a dynamic analysis of the ac susceptibility data, 

which yields the values of frequency shift rate δT C 

and the dynamical critical exponent zν 

being typical for a magnetic cluster system. 

References 

0.0018 

0.0012 

0.0006 

0.0000 

11.0 11.5 12.0 12.5 13.0 13.5 14.0 

[1] T . V. Chandrasekhar Rao, P. Raj, Sk. 

Mohammad Yusur, L. Madhav Rao, A. 

Sathyamoorthy, V. C. Sahni, Philosophical 

Magazine B 74, 275 (1996). 

[2] J. A. Mydosh, Spin Glass: An Experimental 

Introduction (Taylar & Francis, London, 1993). 

 

 

1000Hz 

500Hz 

300Hz 

100Hz 

10Hz 

1Hz 

0.1Hz 

1000Hz 

500Hz 

300Hz 

100Hz 

10Hz 

1Hz 

0.1Hz 

T ( K ) 

Fig. 4 Temperature dependences of real (χ ac ') and 

imaginary (χ ac ") components of the ac susceptibility of 

Dy 2 AuSi 3 measured at various frequencies with an 

oscillating field of 5 Oe. 

- 35 -

光化学反応の磁場効果と光化学反応機構研究への応用 

Study of the Magnetic Field Effects on Photochemical Reactions and its Application 

on Reaction Dynamics of Photochemical Reactions. 

埼玉大学大学院理工学研究科神戸正雄、田中深雪、矢後友暁、若狭雅信 

Masao GOHDO, Miyuki TANAKA, Tomoaki YAGO, Masanobu WAKASA. 



Tadashi TAKAMASU 


Abstract: 

The magnetic filed effects (MFEs) on hydrogen abstraction reaction of thiobenzophenone with thiophenol in an ionic 

liquid (TMPA TFSA) and photo-Fries rearrangement reaction of 1-naphthyl acetate in n-hexane were investigated by a ns 

laser flash photolysis technique in the absence and presence of magnetic fields. In the case of former reaction, the observed 

MFEs on the relative yield of thiobenzophenone thioketyl radical were gradually decreased with increasing magnetic field up 

to 0.6 T, then became almost constant at higher magnetic fields up to 1.65 T. The MFEs observed were explained by the g 

mechanism. In the case of later reaction, the MFEs were quantitatively interpreted in terms of the hyperfine coupling 

mechanism and the g mechanism. A ns-laser flash photolysis apparatus with a superconducting magnet was newly 

constructed. The new apparatus enables us to study the MFEs under magnetic fields up to 7 T. 

Keywords: magnetic field effects, photochemistry, laser flash photolysis, reaction dynamics, reaction field. 

E-mail: mwakasa@chem.saitama-u.ac.jp 


溶液中の光化学反応に対する磁場効果の研究は、こ 

の 40 年程の間多くの関心が持たれ、実験、理論の両面 

から広く研究されスピン化学の一つの重要な領域とし 

て発展してきた[1-2]。光化学反応磁場効果の機構解明 

が進んだことで、磁場効果の解析により光化学反応中 

間体の動的挙動に関する情報を引き出すことが可能と 

なってきた。磁場効果の研究により、(1) 反応溶媒の局 

所構造や、(2) 反応中間体ラジカルの拡散過程に対する 

知見を得ることができる。磁場効果は、スピン変換過 

程が光反応で生じたラジカル対 (geminate radical pair) 

の再結合過程と拡散により溶媒中へ散逸する過程との 

競争することで引き起こされる。また、再結合過程に 

対するスピン禁制と三重項状態の磁場による Zeeman 

分裂も磁場効果に寄与する。スピン変換速度は外部磁 

場により制御できるので、ラジカル対の寿命や拡散速 

度との競争関係を外部磁場を変数として研究すること 

が可能となる。従って、磁場効果の観測可能な反応系 

ではラジカル対がプローブとなって局所的反応環境を 

反映した結果が得られる。他方、光化学反応の反応初 

期過程の中間体の動的錯体を研究することも可能であ 

り、磁場効果の観測によって動的錯体の存在を明らか 

にすることができる。 

我々はこれまでに磁場効果研究によりイオン液体の 

局所構造の存在と性質を明らかにしてきた[3-4]。本年 

度はプローブとして適した光化学反応を探索し、チオ 

ベンゾフェノン(TBP)の水素引抜反応に対する磁場効 

果を見出した。また、酢酸 -1-ナフチルの光フリース転 

移反応に対して磁場効果を見出した。これらの反応系 

の磁場効果をより高磁場まで精度よく測定するため、 

超伝導磁石 (~7 T)を用いたナノ秒過渡吸収測定装置を 

新たに構築することとした。 


(a) TBP のチオフェノール(PhSH)からの水素引き抜き 

反応をイオン液体 N,N,N-Trimethyl-N-propylammonium 

bis(trifluoromethanesulfonyl)amide (TMPA TFSA) 中、室温 

にて、ナノ秒過渡吸収法により磁場効果を検討した。 

ベンゾフェノンは光化学反応が広く知られているが、 

その類縁体である TBP は光化学反応が十分に研究され 

ていないため、TBP の光化学反応についても検討した。 

(b) 酢酸 -1-ナフチルの光フリース転移反応は励起一重 

項状態からの高速な反応として知られる。光励起によ 

る結合開裂で生じたラジカル対が再結合し、アセチル 

基が 2 位、4 位に再結合した転移生成物を与える。ま 

た、溶媒へ散逸したラジカルはナフトールを与える。 

反応中間体のナフチルラジカルをナノ秒過渡吸収法に 

より n-ヘキサン中、室温にて直接観測し磁場効果を検 

討した。 

(c) 超伝導磁石を用いたナノ秒過渡吸収測定装置を新 

たに構築した。 

- 36 -


(a) TBP と PhSH を光化学反応を PhSH 濃度依存性から 

検討し、TBP 励起三重項の減衰速度から水素引き抜き 

反応速度 1.5x10 7 M -1 s -1 を得た( 図 1)。過渡吸収スペク 

トル等との検討から予想される TBP と PhSH の光化学 

反応は(1) 光励起により生じた励起一重項 TBP が速や 

かに励起三重項状態へと失活し、(2) 励起三重項 TBP 

により PhSH の水素引き抜き反応が起こり、(3)チオベ 

ンゾフェノンチオケチルラジカルとフェニルチイルラ 

ジカルの三重項ラジカル対が生成するものと予想され 

る。380 nm においてチオベンゾフェノンチオケチルラ 

ジカルの相対ラジカル収量 R(B) (=[ 磁場 B でのラジカ 

ル収量 ] / [ 零磁場でのラジカル収量 ])の磁場依存性を 

調べた。R(B)は 0.6 T まで磁場の増加に従って減少し、 

以降ほぼ一定の値を示した。この磁場効果はラジカル 

対の等方的 g 値の差に基づくg 機構によるものと考え 

られる。 

(b) 酢酸 -1-ナフチルの光フリース転移反応について散 

逸ナフチルラジカルについて磁場効果を見出した。磁 

場効果は粘性の低い n-ヘキサン中 ( = 0.2942 cP, 293 K) 

で観測されたものであり、通常の拡散では磁場効果が 

観測されることは考えられない。ラジカルの超微細結 

合定数、等方的 g 値から見積もったスピン変換速度は 

1x10 8 s -1 (B = 0 T) 程度であり、n-ヘキサン中のラジカル 

対の寿命 ( 概算で 3x10 -10 s 程度 )よりも遥かに遅い。磁 

場効果が観測されたことから、ラジカル対は CT 錯体 

的な中間体構造を持っていることを暗示している。 

R(B)の磁場依存性から、観測された磁場効果は超微細 

結合機構とg 機構の重ね合わせと考えられる。 

(c) 超伝導磁石を用いたナノ秒過渡吸収測定装置の概 

要を図 2 に示す。外部磁場は 7 T までを印加すること 

ができる。励磁時間が電磁石等に比べて長いため、励 

起高強度の時間変化を無視できない。このため、測定 

時にレーザーパルスを 1 ショットごとに測定し、過渡 

吸収の高確度な測定を実現している。また、サンプル 

溶液をフローさせサンプルダメージのない状態で測定 

が可能である。測定感度は積算することで 0.0004 O.D. 

程度までを測定可能であり、精度のよい測定を行うこ 

とができる。 

6.0 

5.0 

k T‐T / s ‐1 x 10 6 

4.0 

3.0 

2.0 

1.0 

0.0 

0.00 0.05 0.10 0.15 0.20 

Concentration of Thiophenol / M 

Fig.1 Rate constants of T-T absorption of thiobenzophenone in the absence and the 

presence of thiophenol (0.005 – 0.2 mM) observed at 515 nm in TMPA TFSI. 

- 37 -

4. まとめ 

磁場効果研究による反応環境の局所構造を調べるプ 

ローブとして適した光化学反応の探索としてチオベン 

ゾフェノンのチオフェノールからの水素引き抜き反応 

について検討し、磁場効果を見出した。また、酢酸 -1- 

ナフチルの光フリース転移反応について、粘性の低い 

均一系溶媒の n-ヘキサン中で磁場効果を見出した。ま 

た、新規に 7 T までの磁場を印加して過渡吸収測定の 

できるナノ秒過渡吸収測定装置を開発した。今後は、 

開発したナノ秒過渡吸収測定装置を用いて高磁場領域 

までの磁場依存性を検討し、より詳細な磁場効果の機 

構研究を行い、光化学反応の反応環境 ( 反応場 )に関す 

る知見や、光化学反応の反応初期過程の中間体の動的 

挙動を研究していく。 

References 

[1] U.E. Steiner, T. Ulrich, Chem. Rev. 89 (1989) 51–147. 

[2] S. Nagakura, H. Hayashi, T. Azumi, "Dynamic Spin 

Chemistry", Kodansha-Wiley, Tokyo/New York, 1998. 

[2] A. Hamasaki, T. Yago, T. Takamasu, G. Kido, M. 

Wakasa, J. Phys. Chem. B, 112 (2008) 3375–3379. 

[3] A. Hamasaki, T. Yago, M. Wakasa, J. Phys. Chem. B, 

112 (2008) 14185–14192. 

Oscilloscope 

(LeCroy,WR6100A) 

(Dual 10 GS/s) 

Ext.Trig. 

Ch.2. 

Ch.3 

HV 

(SRS, PS325) 

PMT 

BPF 

Optical Fiber 

Bimor 

Pump 

Drain 

Synchronize Signal 

Shutter Trig. Timing via TCP/IP 

PC (Windows) 

Counter Board 

(via PCI Bus) 

10 to 1Hz Converter 

(Original Circuit) 

Delay Generator 

(SRS, DG535, 10Hz) 

Delay Generator 

(SRS, DG535) 

HV 

(SRS, PS310) 

PMT 

MC 

(SPG-120S) 

Ext.Trig. 

Lamp Trig 

Shutter Trig 

QSW 

PIN 

Nd:YAG laser 

(SP, GCR-130, ~7 ns FWHM) 

Optical Fiber 

Laser Energy 

Energy Meter 

(Gentec) 

SCM 

~7 T 

Sample 

Solution 

Trig. IN 

Xe Flash Lamp 

(XF-80) 

Fig.2 Schematic diagram of newly constructed nanosecond laser flash photolysis measurement system 

equipped with superconducting magnet (~7 T). Repetition frequency is 1 Hz. 

- 38 -

低銅比銅安定化 Nb 3 Al 線材の特性 

Characteristics of Cu Stabilized Nb 3 Al Strands with Low Cu Ratio 

物質・材料研究機構菊池章弘 

A. Kikuchi National Institute for Materials Science 

日立電線株式会社中川和彦 , 田中和英 

K. Nakagawa, K. Tanaka, K. Tagawa Hitachi Cable, Ltd. 

株式会社ヒキフネ小林道雄 

M. Kobayashi Hikifune, Co., Ltd. 

フェルミ国立加速器研究所 R. Yamada, E. Barzi, M. Lamm, D. Turrioni, A. Zlobin 

R. Yamada, E. Barzi, M. Lamm, D. Turrioni, A. Zlobin Fermi National Accelerator Laboratory 

高エネルギー加速器研究機構土屋清澄 , 中本建志 , 佐々木憲一 , 山本明 

K. Tsuchiya, T. Nakamoto, K. Sasaki, A. Yamamoto KEK, High Energy Accelerator Research Organization 

Abstract: 

Characteristics of recently developed F4-Nb 3 Al strand with low Cu ratio are described. The overall J c of the Nb 3 Al 

strand could be easily increased by decreasing of the Cu ratio. Although the quench of a pulse-like voltage generation is 

usually observed in superconducting unstable conductor, the F4 strand with a low Cu ratio of 0.61 exhibited an ordinary 

critical transition of gradual voltage generation. The F4 strand does not have magnetic instabilities at 4.2 K because of the 

tantalum interfilament matrix. The overall J c of the F4 strand achieved was 80-85 % of the RRP strand. In the large 

mechanical stress above 100 MPa, the overall J c of the F4 strand might be comparable to that of high J c RRP-Nb 3 Sn strands. 

The Rutherford cable with a high packing factor of 86.5 % has been fabricated using F4 strands. The small racetrack magnet, 

SR07, was also fabricated by a 14 m F4 cable. The quench current, I q , of SR07 were obtained 22.4 kA at 4.5 K and 25.2 kA at 

2.2 K. The tantalum matrix Nb 3 Al strands are promising for the application of super-cooled high-field magnets as well as 4.2 

K operation magnets. 

Keywords: Nb 3 Al strand, Cu stabilizer, Cu/non Cu ratio, Rutherford cable, non Cu Jc, Magnetization, Flux jump, Ta, Nb 

E-mail: KIKUCHI.Akihiro@nims.go.jp 

Table 1. Cu stabilized Nb 3 Al strand specification 


近年、連続イオンプレーティング及び高速電解めっ 

き技術の開発により、1km 級の長尺 RHQT 法 Nb 3 Al 

線材への安定化銅の複合が実用的なレベルで可能にな 

り、実用化の期待が益々高まっている。更なる non Cu 

Jc の向上が望まれるが、決定的な改善指針が明らかで 

なく、当面の基礎的研究が必要である。一方で、銅比 

を減らせば線材全体の Jc の向上は容易に得られる。磁 

石がクエンチした場合、そのエネルギーを磁石で吸収 

する場合には高い銅比は不可欠である。ただし、エネ 

ルギーが小さい場合や磁石本体以外で吸収できる場合 

には銅比を減らせる余地がでてくる。今回、低銅比の 

Nb 3 Al 線材を試作して、4.2 K における臨界電流及び低 

磁場での磁気的安定性について評価した。また、フェ 

ルミ研が保有するコンパクトなケーブリング装置を使 

用して 28 本撚りラザフォードケーブルも試作した。 

2. 線材の諸元 

Table 1 に、今回作製した F4 線材、及び過去に作製し 

た F1 線材の諸元を比較して示した。F1 線材の銅比が 1 

に対して、今回の F4 線材は 0.61 である。また、線材マ 

トリックスは、F1 線材が Nb であるのに対して、F4 線 

材は Ta を採用している。但し、安定化銅と隣接する外 

皮マトリックスは従来の Nb としている。さらに、フィ 

ラメント数は 144 本から 276 本に増加させ、フィラメン 

ト径は 50 ミクロンから 38 ミクロンに減少している。 

3. V-I 曲線 

今回の F4 線材は銅比が 0.61 と従来の F1 線材 (1.0) 

よりもかなり低いにもかかわらず、6 T 以下の低磁場 

でも、不安定化による急激な電圧上昇 (クエンチ)は 

Strand ID F1 F4 

Strand Dia. (with Cu) 1.03 mm 1.00 mm 

Strand Dia. (w/o Cu) 0.72 mm 0.78 mm 

Number of Jelly-Rolled (JR) Filament 144 276 

Physical JR Filament Dia. 50 m 35.8 m 

Cu/non-Cu ratio 1.0 0.61 

Interfilament Matrix Niobium Tantalum 

Central Core of JR Filament Niobium Tantalum 

Central Dummy Filament Niobium Tantalum 

Outermost Matrix Niobium Niobium 

Area Reduction (AR) 71.6 % 65.3 % 

Cu Ion Plating Velocity 120 m/h 120 m/h 

Cu Electroplating Velocity 2 m/h 7 m/h 

Fig.1 The voltage versus current curves at 4.2 K as a 

function of external fields for the F4-Nb 3 Al round strand 

with a low Cu ratio of 0.61.. 

発生せず、通常の超伝導 - 常伝導転移曲線が得られた。 

また、Fig. 2 は測定結果の一例である。 

- 39 -

4. 輸送臨界電流値 

F1 及び F4 線材はほぼ同じ外径 1.0 mm をもつ。4.2 K で 

外部磁場下における輸送臨界電流値を比較すると、F4 線 

材の方が 1 割程度に大きな輸送電流が得られた(Fig. 2)。 

6. ラザフォードケーブル 

Fg. 4(a)は銅比が 1 の F1 線材で試作した 27 本撚りケ 

ーブル、Fig.2(b)は銅比が 0.61 の F4 線材で試作した 28 

本撚りケーブルの断面写真である。銅比の小さい( 銅 

の厚みが薄い) 線材でもケーブル加工により銅が破れ 

るトラブルはなかった。 

Fig.2 Magnetic field dependence of I c at 4.2 K of 

F1 and F4 strands. 

5. 磁気的安定性 

Fig. 3 は F4 線材の磁化率の磁場依存性である。デー 

タはバランスコイル法により採取し、磁場は毎分 1 T 

の速度で変化させた。0~3 T の低磁場中での磁化率曲 

線において、フラックスジャンプや急激な変動はみら 

れない。F4 線材の超伝導フィラメント間は Ta マトリ 

ックスで分割しており、フィラメント結合は生じてい 

ない。また、F4 線材の外皮マトリックスは純 Nb を採 

用しており、つまりは大きな Nb のループで全フィラ 

メントが包み込まれた断面構成となっている。今回の 

結果では、大きな Nb ループが磁気的に不安定化させ 

る要因にならないことを示している。 

Fig.4 Cross-sections of (a) a 27 F1 strand rectangular 

Rutherford cable with a low packing factor 82.5 % and (b) 

a 28 F4 strand rectangular Rutherford cable with a high 

packing factor 86.5 %. 

7. 小型レーストラックコイルの励磁試験 

F4 線材を使用して作製したケーブルは、撚り線数が 1 

本増加した 28 本で、ケーブル充填率も 4% 増加してケ 

ーブル厚みが小さくなっている。従って、同じサイズの 

コイルでも巻き数が 1 ターン増加できた。これら各種の 

増加により、コイル臨界電流密度を増加させることがで 

きた。Fig. 5 に、今回の F4 ケーブルで作製したコイル 

(SR07) 及び前回の F1 ケーブルで作製したコイル(SR04) 

の試験結果を比較した。SR07 の 4.2 K におけるピーク 

磁場は約 9.1 T が得られ、SR04 より 1 T 以上も増加でき 

た。さらに、Ta をフィラメント間マトリックスとして 

採用したことによりフィラメント結合が抑制され、1.9 

K まで温度を下げるとさらに特性が改善し、ピーク磁場 

は約 10.2 T まで増加した。なお、線材マトリックスが 

全て Nb の SR04 では、1.9 K で磁気的不安定性が増長さ 

れ、コイル電流値は 4.2 K よりも低い。 

Fig.5 Short sample limits at 4.2 K for SR04 and SR07. The 

achieved quench current, I q , at 4.5 K and 2.2 K were plotted, 

respectively. 

Fig.3 The magnetization curves of F4 strand at 4.2 

K between (a) 0 T and 3 T and (b) 10 T and 13 T. 

8. まとめ 

本研究により、銅比を 0.61 まで低下させても磁気的 

不安定化は認められず、比較的容易に輸送臨界電流を増 

加でき、さらにコイル性能を向上できることがわかった。 

- 40 -

低損失型の Nb 3 Al 線材の開発 

Development of low-AC-loss Nb 3 Al conductors 

物質・材料研究機構伴野信哉、竹内孝夫 

N. Banno, T. Takeuchi , National Institute for Materials Science 

日立電線 ( 株 ) 田中和英、中川和彦 

K. Tanaka, K. Nakagawa , Hitachi Cable, Ltd. 

Abstract: 

In the ITER project, a strict AC loss criterion has been set for the strand as well as high critical current density. In order 

to reduce the AC loss, the filament diameter must be reduced under about 40 μm, but it was fairly difficult by using the 

conventional single stacking technique in the Nb 3 Al wires. Recently-developed "re-stack" technique enables us to further 

reduce the filament diameter by re-stacking the BCC-quenched wire with copper sheath. Recently, it has been successful to 

accomplish a filament diameter less than 15 μm. We report the critical current density and the magnetization property of the 

newly-developed Nb 3 Al wire. 

Keywords: Nb 3 Al, Re-stack technique, AC loss, Magnetization 

E-mail: banno.nobuya@nims.go.jp 


線材の低損失化は極めて重要で、速い磁場掃引が必 

要とされる核融合炉マグネットでは厳しい基準が設け 

られている。また、加速器マグネットにおいても、低 

磁界での磁気的不安定性が問題となっており、早期の 

解決が必要である。これらの解決には、根本的にフィ 

ラメント径の縮径化が不可欠であり、Nb 3 Al に限らず、 

Nb 3 Sn でさえフィラメントの縮径化に関して精力的な 

研究がなされている。 

Nb 3 Al 線材についていえば、これまでシングルスタ 

ックで作製されてきたが、この方法ではフィラメント 

径の縮径化は約 40 μm あたりがほぼ限界であり、核融 

合炉マグネットでの厳しい損失条件をクリアするのは 

きわめて難しい。幸いなことに、Nb 3 Al 線材の臨界電 

流密度は、フィラメント径の依存性がほとんどなく、 

内在的には高臨界電流密度を維持しながら、フィラメ 

ント径を縮径できる可能性を秘めており、フィラメン 

ト径の縮径さえクリアすれば、高い臨界電流密度と低 

い損失特性をかね揃えた、これまでにない強磁場線材 

の開発が期待できる。 

こうした背景の中、本研究では、Nb 3 Al 線材のフィ 

ラメント径をさらに小さくするための新しい線材化方 

法を考案した。この方法は「リスタック法」あるいは 

「ダブル・スタック法」などと呼ばれる方法で、急熱急 

冷処理した Nb-Al 過飽和固溶体線材を、再度マルチス 

タックして線材化する極めてシンプルな方法である。 

このとき、Nb-Al 過飽和固溶体線材は安定化材となる 

銅管と共に伸線されるため、銅メッキ等による安定化 

処理工程を省略化でき、低コスト化にも一役買うこと 

ができる。 

本報告では、この「リスタック法」Nb 3 Al 線材の性能 

がどのくらいのものなのか、将来的に核融合炉等への適 

用はあり得るのか、そういった点を中心にまとめたい。 


Fig. 1 に、「リスタック法」の概略図を示す。作製に 

おいて、組込み材となる過飽和固溶体線材の表面材に 

は、Nb の代わりに Ta を用いることが望ましい。それ 

は、Nb シースの場合には、急熱急冷処理の際、Nb 表 

面が冷媒となる液体金属 Ga とところどころに反応し 

て化合物相を形成するためである。この化合物相は、 

硬くて脆いため、伸線加工を阻害する。Ta は Nb に比 

べてさらに融点が高いため、Ga との反応が抑制され、 

急熱急冷処理後も表面は極めて平滑である。また、バ 

リア材としても Ta を使用することが望ましい。よく知 

られている通り、Nb は 9 K 以下で超伝導であり、低い 

磁場では超伝導性を示して、フィラメント間を磁気的 

に結合させてしまう。Ta も超伝導体ではあるが、その 

特性はきわめて低く、Nb のように低磁界で悪さをする 

ことはない。 

Fig.1 Schematic of the re-stack (RS) method. 

Fig. 2 は、今回試作したリスタック線材の断面写真 

である。この写真からもわかるように、フィラメント 

はサブバンドル内で、Ta バリアによってさらに分割さ 

- 41 -

れ、その径は約 14 μm と従来材の半分以下にまで低減 

されている。線材の諸元については Table 1 に示した。 

表中の ME490-RS はリスタック線材の ID であり、 

ME489 は比較に利用した従来材の ID である。 

Fig.2 (a) Cross-section of Nb 3 Al RS conductor (ME490-RS); (b) 

a close-up view. The Nb 3 Al filament diameter is about 14 µm. 

TABLE 1 Specifications of Developed Nb 3 Al Wire 

Fabrication No. ME490-RS ME489 (reference) 

Diameter (mm) 1.0 1.0 

Filament dia. (µm) 13.6 32 

Barrier material 1st: Ta, 2nd: Ta Ta 

Barrier thickness (µm) 1st: 1.7, 2nd: 14.0 7 

Number of filaments 1512 (=84 × 18) 276 

Outer sheath material Cu Nb & Cu 

Matrix ratio to 

filaments 

0.8 0.8 

Cu/non-Cu ratio 1 1 

(volume ratio) 

(Cu: 50%, Ta: 22%, ( Cu: 50%, Ta & Nb: 

SC: 28%) 

22%, SC: 28% 


Fig. 3 は、試作したリスタック Nb 3 Al 線材 

(ME490-RS)の臨界電流密度 (Non-Cu あたり)と n 

値の磁場依存性である。比較のために、従来材 (ME489) 

の臨界電流密度のデータも載せた。興味深いことに、 

リスタック線材の Jc 特性は、21 テスラ以下の磁場領 

域で、従来材の Jc 特性に比べて伸びる傾向があった。 

これは、急熱急冷後に銅を付与して強加工を施すため 

に、組織が微細化して、ピンニングサイトが増加した 

ためではないかと考えられる。Fig. 4 には、フィラメ 

ント内部の結晶組織の SEM 像を示した。大きな穴は、 

硝酸と硫酸の混合液により表面を化学腐食研磨した際 

できたエッチピットである。結晶組織には、200、300 

ナノメートルほどの間隔で粒界らしき境界が観察され 

ており、これらが高密度のピンニングサイトとして働 

いている可能性がある。 

Fig. 5 には、リスタック Nb 3 Al 線材の磁化損失と J c 

の特性を ITER 用 RRP Nb 3 Sn 線材と比較した。図中枠 

線で示した領域は、ITER プロジェクトにおいて示され 

た磁化損失、ならびに J c の目標値であり、リスタック 

法 Nb 3 Al 線材の特性は、磁化損失特性、J c 特性のいず 

れをも両立することが実証できた。 

AC loss (mJ/cm 3 ) non-Cu +/-3 T 

non-Cu J c 

(A/mm 2 ) 

1100 

1000 

900 

800 

700 

600 

500 

400 

n-value (ME490-RS) 

(Tap distance: 20 cm) 

300 

J c 

(1 V/cm criterion), 4.2 K 

200 (Tap distance: 1 cm) 

100 ME490-RS 

ME489 (typical Nb 3 

Al wire, 1.0) 

0 

14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 

Magnetic field (T) 

ME490-RS 

1.0 mm 

Cu/non-Cu ratio: 1.0 

Fig.3 Critical current density and n-value of RS Nb 3 Al 

conductor (ME490-RS) as a function of magnetic field, as 

compared with J c values of a typical Nb 3 Al conductor 

(ME489). 

7kV 

Nb 3 Al 

Grain boundary 

Ta 

1 m 

Ta 

Fig.4 FESEM images for the Nb 3 Al filament of the RS 

conductor (ME490-RS). 

1100 

1000 

900 

800 

700 

600 

500 

400 

300 

200 

EFDA TF strand 

minimum 

OI-ST (ITER-Type Nb 3 

Sn) 

MIT CS strand 

spec 

EFDA TF strand 

target 

100 

RS conductor 

4.2 K 

(ME490-RS) 

0 

600 700 800 900 1000 1100 1200 1300 1400 

non-Cu J c 

@ 12 T (A/mm 2 , 0.1 V/cm) 

Nb 3 

Al 

Fig.5 Hysteresis loss and non-Cu J c values for the RS Nb 3 Al 

conductor (ME490-RS) with low-loss billet design RRP Nb 3 Sn 

wires of OI-ST, with respect to the ITER target specifications. 

4. まとめ 

本研究により、リスタック法 Nb 3 Al 線材の高臨界電 

流密度特性と、低損失特性の両面を実証できた。 

- 42 -

ジェリーロール法 Nb 3 Al 線材における箔厚の影響 

Effect of the Jelly-Roll layer thickness on the properties of Nb 3 Al wires 

高エネルギー加速器研究機構土屋清澄、寺島昭男、山本明 

Kiyosumi Tsuchiya, Akio Terashima, Akira Yamamoto 

KEK, High Energy Accelerator Research Organization 

物質・材料研究機構竹内孝夫、伴野信哉、菊池章弘、飯嶋安男、二森茂樹 

Takao Takeuchi, Nobuya Banno, Akihiro Kikuchi, Yasuo Iijima, Shigeki Nimori 

National Institute for Material Science 

上智大学福田嵩大、竹中康記、高尾智明 

Takahiro Fukuda, Kouki Takenaka, Tomoaki Takao 

Sophia University 

日立電線田川浩平、中川和彦、田中和英 

Kohei Tagawa, Kazuhiko Nakagawa, Kazuhide Tanaka 

Hitachi Cable, Ltd. 

Abstract: 

We have been developing the rapid heating /quenching and transformation (RHQT) processed Nb 3 Al wires for the 

next-generation accelerator magnet that require the field around 15 T. In order to improve the Jc characteristics of the wire, test wires 

with different Al layer thickness in the jelly-roll shape filaments were manufactured, and the mechanical and electrical properties of 

the precursor wires were examined. The effects of the RHQ condition and the area reduction after RHQ treatment on the critical 

current density have also been investigated. 

Keywords: accelerator magnet, Nb 3 Al wire, critical current density, mechanical properties, n-value 

E-mail: kiyosumi.tsuchiya@kek.jp 

1.はじめに 

急熱急冷・変態 (RHQT) 法による Nb 3 Al 多芯線は耐歪み 

特性に優れ 1),2) 、かつ高磁場で高い電流密度が期待される 

ことから、加速器用高磁場マグネットの線材として魅力 

あるものである 3) 。然し乍ら、15T 級の超伝導マグネッ 

トを想定すると、更なる Jc 特性の向上が望まれ、各種製 

造パラメータの最適化が必要である。本研究では、前駆体 

線材の製造パラメータの一つとしてジェリーロール法で 

作られるフィラメント部の Nb と Al 箔の厚み(RHQ 処理 

前の厚み)に着目し、それが線材の RHQ 特性および超伝 

導特性にどのような影響を与えるかを調べたので、その結 

果について報告する。 


本研究に用いた3 種類の Nb matrix 線材 (M30-2,-3,-4)の主 

要パラメータを Table 1 に示す。これらの線材では、RHQ 処 

理時の Al 箔厚 (フィラメント内における Nb と Al の組成比 

は固定しているので、Al 厚が変われば、それに応じて Nb 厚 

も変わる)の影響を調べるため、線径、Matrix 比、フィラメ 

ント径など他の断面パラメータを極力そろえている。 

前駆体および RHQ 処理材では、その機械的特性お 

よび電気抵抗を調べた。引張試験はインストロン型の 

AUTOGRAPF AG-1(Shimadzu) を用いて行い、抵抗測 

定は4 端子法により行った。線材の臨界電流の測定に 

は、直径 ~45mm の G-10 製 Ic 測定ホールダーを用いた。 

各測定サンプルの表面にはめっき法により約 150 m 

厚の銅を付け、800℃x 10h の変態熱処理を行った。熱 

処理したサンプルは Ic 測定ホールダーに取り付けら 

れ、10~18 T の磁場領域で測定が行われた。 

Table 1. Wire parameters. 

Wire ID M30-2 M30-3 M30-4 

Wire diameter (mm) 1.0 1.0 1.0 

Matrix Nb Nb Nb 

Matrix Ratio 0.8 0.8 0.8 

Filament spacing (m) 4.4 4.4 4.4 

Number of filaments 294 294 294 

Filament diameter (m) 44 46 46 

Al thickness (nm) 150 200 250 

Twist pitch (mm) 32 32 32 

Ic 測定の電圧タップ間距離は 150 mm で、Ic は 3 

V(20V/m)の電圧が発生する電流値とした。 n 値は 

10~40 V/m の電圧領域で求めた。本測定における Ic 値 

のエラーは数 % 以下、n 値は~30% 程度である。 


前駆体の引張試験から求めた 0.2% 耐力は M30-2 で 1200 

MPa, M30-3 で 1070 MPa, M30-4 で 1000 MPa と Al 厚の増 

加とともに低下する傾向が見られた。また、これら前駆体 

の常温電気抵抗も 0.164, 0.155, 0.146 /m と低下した。こ 

れらの変化はフィラメント部の Nb, Al 箔の加工度と関係 

しているものと思われる。Fig. 1 は3 種類の線材の RHQ 

処理時の電流値と、電圧から求めた線材抵抗 ( 高温時の抵 

抗 )の関係を示す。ここにプロットした電流値は全て bcc 

相が出来るものである。また、図中に示した矢印は、その 

線材で高い Jc 値が得られた RHQ 電流値 (Fig. 2 参照 )を 

示す。フィラメント部の Al 厚が増すとともに( 線材抵抗は 

低下 )、RHQ 電流値が大きくなっていること、各線材で高 

- 43 -

Jc 値がえられる RHQ 電流値に対応する発熱パワーはほ 

ぼ同じ値 (9 kW/m) であることが分かった。また、前駆体 

線材の常温抵抗と RHQ 処理時の抵抗 (~2000 ℃) の比は 

約 1:38であることもわかった。 

して、Al 厚の増加とともに n 値は大きくなる傾向が見ら 

れる。一般に、高 Jc サンプルの n 値は大きい傾向にある 

ことを考えると、Al 厚が厚くなると生成される超電導体 

の質 ( 電流密度特性 )は悪くなるのではないかと思われる。 

Fig. 4 は Fig. 2 に示したサンプルの中で比較的高 Jc 値が得 

られたものに減面加工を施した時の Jc 値を示す。高い Jc 

値は減面率 (AR)が15〜40% の領域で得られ、その間で 

の AR 依存性は小さいこと、減面加工を施した場合には 

M30-2(Al 厚 150 nm) 線材が良い特性を示すことが分かった。 

Fig. 1. Resistivity of the wires during RHQ treatment as a 

function of the RHQ currents. The arrows indicate the 

optimum RHQ currents to obtain highest Jc for each wire. 

Fig 4. Non-copper Jc of the samples with various RHQ 

currents as a function of the area-reduction level. 

Fig. 2. Non-copper Jc of the samples with various RHQ 

currents. 

4.まとめ 

前駆体のフィラメントを構成する Nb, Al 箔厚を変えた 

Nb matrix 線材を試作し、その機械的特性や電気抵抗が Al 

箔厚によりどのように変わるかを調べた。また変態熱処理 

後の Jc 特性や減面加工が Jc 値に及ぼす効果を調べた。高 

電流密度を得るための最適 RHQ 条件は、Al 厚により抵 

抗値が変わっても、発熱パワーが同じところにあることが 

分かった。また、Al 厚の増加に伴いに n 値が大きくなる 

傾向があることも分かった。これは前駆体線材製造時の加 

工性と関係しているものと思われる。減面加工後に高い電 

流密度を得るためには、Al 厚は薄い方が良さそうである 

が、Al 厚を薄くすると伸線加工性が悪くなり、これが Jc 特 

性の向上を押さえているように思われる。 

Fig. 3. n-value of the samples with various RHQ currents. 

Fig. 2 は減面加工前の線材の Jc 値が Al 厚により、また 

RHQ 電流によりどのように変わるかを示したものであ 

る。最高 Jc 値は Al 厚によりあまり変わらこと、最適 RHQ 

電流の磁場依存性は Al 厚により変わることなどが見られ 

る。Fig. 3 は Fig. 2 のサンプルの n 値を示したものであ 

る。データのばらつき(エラー)は大きいものの、全体と 

参考文献 : 

[1] N. Banno et al., “Strain dependence of superconducting 

characteristics in technical Nb3Alsuperconductors,” 

Supercond. Sci. Technol., Vol. 18, p.284 (2005). 

[2] A. Kikuchi et al., “Cu stabilized Nb3Al strands for the high 

field accelerator magnet,” IEEE Trans. Appl. 

Superconductivity, Vol. 18, No. 2, p. 1026 (2008). 

[3] K. Tsuchiya et al., “Development of RHQT-processed 

Nb3Al wire for high-field accelerator magnet 

applications,” IEEE Trans. Appl. Superconductivity, Vol. 

18, No. 2,p. 1031 (2008). 

- 44 -

ジェリーロール法 Nb 3 Sn 線材の開発 

Development of Jelly-Roll processed Nb 3 Sn superconducting wires. 

日立電線 ( 株 ) 大圃一実、木村守男、中川和彦 

K. Ohata, M. Kimura, K. Nakagawa ; Hitachi Cable, Ltd. 

( 株 ) 日立製作所高橋雅也、岡田道哉 

M. Takahashi, M. Okada , Hitachi, Ltd. 

東海大学・工学部太刀川恭治 

K. Tachikawa ; Faculty of Engineering, Tokai University 


T. Takeuchi ; National Institute for Materials Science 

Abstract: 

We have investigated dependence of diameter of Jelly-Roll (JR) processed Nb 3 Sn wires on their superconducting 

properties. As a result of Jc measurement, it was found that non-Cu Jc increased with decrease in diameter of the wire. 

Non-Cu Jc at 20T, for instance, was 350A/mm 2 for the sample with 0.5mm in diameter, whereas it was 270A/mm 2 for 1mm 

sample. These results may be related to increase of grain boundary pinning, because grain size of Nb 3 Sn by SEM observation 

seems to be smaller in thin wires. It is expected that high Jc properties are possible in multi-filament wires which involving 

many thin Nb 3 Sn filaments. 

Keywords: Nb 3 Sn, Jelly-Roll, Jc 

E-mail: ohata.katsumi@hitachi-cable.co.jp 


ジェリーロール(JR) 法 Nb3Sn 線材は、20T を超える 

ような高磁界中でも高い臨界電流特性を示すことから、 

従来のブロンズ法に代わる高磁界マグネット用線材と 

して期待されている[1]。前年度の報告で、ジェリーロ 

ール層の Nb および Sn シート厚みを増すことにより、 

不連続な Nb 3 Sn の生成が抑制され、Jc の向上に効果的 

であることを確認したことなどを報告した[2]。本研究 

では、本構造の JR 線材を用いた多芯線材の作製を前 

提として、さらに細いフィラメントサイズでの特性を 

把握することを目的として、細径の単芯線を作製して、 

Jc の線径依存性などについて検討し、Nb 3 Sn の生成と 

Jc 特性への影響について調べた。 


試料は、昨年度作製した厚肉シートの JR 線材を使用し 

た。線材の仕様を Table 1 に示す。Sn-2%Ti 合金製のコア 

( 巻き芯 )の周りに、厚さ 0.6mm の Nb-1%Ta 合金層と、 

厚さ 0.27mm の Sn-2%Ti-5%Cu 合金層を合計 4 層重ね巻 

きして JR 層を形成し、さらにその外周に拡散バリアとし 

て Nb-5%Ta 合金シートを巻きつけ、Cu パイプに入れて 

複合材を作製した。これを直径 8mm に押出した後、線径 

φ1mm、φ0.5mm、φ0.3mm に伸線し、最後に 700℃× 

150hr で熱処理を行い、細径の線材試料を作製した。作製 

した試料は、18~25T の高磁場中での Jc 測定、SEM によ 

る Nb 3 Sn 層の組織観察、EDX による Nb 3 Sn 層の組成分析 

などを行い、線径との関係について調べた。 

Jelly- 

Roll 

layer 

Volume 

fraction 

Table 1 Specifications of Jelly-Roll wires. 

Items 

Specifications 

Core 

Sn-2%Ti (φ3mm) 

Sn layer 

Sn-2%Ti-5%Cu 

t0.27mm (0.09x3) 

Nb layer 

Nb-1%Ta 

t0.6mm (0.1x6) 

No. of layer 4 

Barrier Nb-5%Ta (t0.1mmx7) 

Sheath 

OFC 

(φ12.7/φ11.5mm) 

Sn 0.25 

Nb 0.57 

Cu 0.18 


(1) 線材断面 

Fig.1 に熱処理後の断面を示す。線径 1mm の試料 (a)の 

断面では層状の Nb 3 Sn 層が形成されている。一方、線 

径 0.5mm、0.3mm の試料 (b)(c)でも大きな差異は見られ 

ず、細径化した場合でも同様に層状の断面形状を維持 

していることがわかった。 

Nb 3 Sn 

200μm 100μm 50μm 

(a)φ1.0mm (b)φ0.5mm (c)φ0.3mm 

Fig.1 Cross-sectional views of Jelly-Roll wires heat-treated 

at 700℃ for 150hrs. 

- 45 -

(2) Jc-B 特性 

Fig.2 に non-Cu Jc の磁場依存性を示す。線径 1mm で 

は 20T で約 270A/mm 2 の Jc に対し、線径 0.5mm では 20T 

で約 350A/mm 2 、また線径 0.3mm は 18T のみであるが 

0.5mm と同等以上の Jc を示し、線径が小さくなるに従 

い non-Cu Jc が増加する傾向であることが確認された。 

non-Cu Jc (A/mm 2 ) 

1000 

800 

600 

400 

200 

0 

Conventional 

JR(φ1mm) 

Bronze-route 

φ0.3mm 

φ0.5mm 

φ1.0mm 

4.2K 

mono-core 

14 16 18 20 22 24 26 

Magnetic Field (T) 

Fig.2 Magnetic field dependence of non-Cu Jc of Jelly-Roll wires. 

Fig.3 に断面写真から求めた Nb 3 Sn フィラメントの 

断面積比と、これから算出した 18T の磁場におけるフ 

ィラメント Jc(Nb 3 Sn フィラメント断面積あたりの Jc) 

を示す。Nb 3 Sn の断面積比は線径によらず約 0.5 でほ 

とんど一定であり、フィラメント Jc が線径の減少と共 

に増加する傾向であった。すなわち、non-Cu Jc の増加 

は Nb3Sn の断面積の増加によるのではなく、Nb 3 Sn 自 

体の Jc の向上によると考えることができる。 

1600 

0.6 

1400 

0.5 

1200 

1000 

0.4 

800 

0.3 

600 

0.2 

400 

4.2K, 18T 

200 mono core 

0.1 

0 

0 

0.0 0.2 0.4 0.6 0.8 1.0 1.2 

diameter (mm) 

Fig.3 Diameter dependence of Nb 3 Sn volume fraction and 

filament Jc at 18T. 

filament Jc (A/mm 2 ) 

Nb 3 Sn volume fraction 

(3) 組成、組織 

Fig.4 は EDX により測定した JR 各層ごとの Nb/Sn 

組成比の分布を示す。線径により拡散距離が異なり、 

組成が変化することが考えられたが、各線径の線材と 

も層間の分布は均一で、Nb/Sn 組成比の値もほとんど同様 

の値を示し、線径による組成の違いは認められなかった。 

Nb/Sn ratio 

4.0 

3.5 

3.0 

2.5 

2.0 

Fig.5 に Nb 3 Sn フィラメント部分の破断面の SEM 像 

を示す。線径が小さい場合のほうが Nb 3 Sn 結晶粒が細 

かくなる傾向のように見えることから、線径減少によ 

り Nb 3 Sn 結晶粒径が微細化することで Nb 3 Sn の有効な 

磁束ピニング点と言われている結晶粒界が増加して Jc 

が向上したものと推定される。 

(a)φ1.0mm 

1 2 3 4 5 

Nb3Sn 

←Layer No. 

φ1.0mm 

φ0.5mm 

φ0.3mm 

0 1 2 3 4 5 6 

Nb 3 Sn layer No. 

Fig.4 Distributions of Nb 3 Sn atomic ratio. 

2μm 

(b) φ0.5mm (c) φ0.3mm 

Fig.5 SEM images of Nb 3 Sn layer of Jelly-Roll wire with 

various diameters. 

4. まとめ 

JR 法 Nb 3 Sn 線材の線径が減少するのに伴い、Jc 特性 

が向上する効果が認められ、線径 0.5mm において 20T 

で約 350A/mm 2 の non-Cu Jc が得られた。この原因は結 

晶粒径の微細化に関連するものと推定される。線径減 

少により Jc が向上する傾向から、フィラメント径の小 

さな多芯線材では Jc 特性の向上が図れる可能性があ 

ると考えられる。 

参考文献 

[1] K.Tachikawa, et al., IEEE Trans. Appl. Supercond., 15 

(2005) 3486. 

[2] 大圃ほか, TML Annual Report 2007, p51-52. 

- 46 -

新製法による Nb 3 Sn 超伝導線材の強磁場特性 

High-Field Performance of Nb 3 Sn Superconductors Prepared by a New Process 

東海大学工学部太刀川恭治、佐々木弘樹、山口真弘、林裕貴、中田光栄 

Kyoji Tachikawa, Hiroki Sasaki, Masahiro Yamaguchi, Yuuki Hayashi, Koei Nakata 

Faculty of Engineering, Tokai University 


Takao Takeuchi 


Abstract: 

Sn-Ta based alloys were prepared by the reaction among constituent metal powders at ~770℃ using a boat type 

crucible. A rod was prepared from the alloy, and encased in a Nb alloy sheath, which was drawn into a thin hexagonal 

elementary wire. The wires were bundled and encased in a Cu jacket after enveloping by a Nb barrier sheet. The resulting 

composite was hydrostatically extruded, and then drawn into a wire. Multirod (MR) wires composed from 19 and 37 Sn-Ta 

rods were fabricated, and heat treated to form Nb 3 Sn layers. The structure and high-field performance of the MR wires were 

investigated, and compared with those of Jelly Roll (JR) processed wires. The MR wires showed attractive high-field 

performance which is close to that of JR wires. The MR process is appreciably simpler than the JR process for fabricating 

multifilament wires. 

Keywords: superconductor, Nb 3 Sn, , Sn-Ta rod, multirod process, structure, high-field performance 

E-mail: tacsuper@keyaki.cc.u-tokai.ac.jp 


Sn-Ta 系粉末を 770℃ 付近で溶融拡散 (Melt Diffusion, 

MD)させるとボタン状合金がえられ、これを薄いシー 

トに圧延して Nb シートと重ね巻きするジェリーロー 

ル(JR) 法により作製した Nb 3 Sn 線材は、4.2K で 20T 以 

上の高磁界で使用可能な特性を示す。その主な原因は 

シート間の拡散反応により化学量論比に近い組成の 

Nb 3 Sn 層が生成されることによることを昨年度報告し 

た。本年度は新たに複数本の Sn-Ta 系合金ロッドから 

なる線材を作製し、その組織と高磁界特性を調べて JR 

法線材と比較した。ここでは今回の製法をマルチロッ 

ド(MR) 法とよぶ。 

長約 1.23mm の 6 角素線に加工した。この素線を日立 

電線 ( 株 ) 殿において、19 本または 37 本束ねて Nb シー 

トをバリアとして巻き、Cu 管に充填して静水圧押出と 

線引きにより MR 線材を作製した。これを 725-750℃ 

で熱処理して Nb 3 Sn 層を生成させた。図 1 に MR 法線 

材の作製プロセスを示した。線材断面の組織を光学顕 

微鏡と EPMA により観察し、Nb 3 Sn 層の組成を分析し 

た。線材の上部臨界磁界 B c2 及び臨界電流 I c を 4.2K、 

垂直磁界下で 4 端子法により測定した。I c は 1μV/cm 

の基準で測定し、線材の非銅部断面積で除して non-Cu 

J c をもとめた。 


Sn 粉末と Sn/Ta 原子比で 4/1 の Ta 粉末を混合し、舟 

(ボート) 型の透明石英ボートにいれ、~770℃で MD し 

てタイトに凝集した棒状の合金を得た。Ta 粒子の分散 

は Sn の機械的強度を高めて Nb との複合加工性を改善 

する。さらに Sn に対して 3~4at%の Ti を置換すると 

Sn-Ta 系合金の凝固性と加工性を改善するほか、Nb 3 Sn 

層厚を増して特性を高める。また、全体に対して~3wt% 

の Cu を添加すると、線材熱処理温度を 900℃から 750℃ 

以下に低下出来る。各粒子の粒度は-325mesh であり、 

粉末重量は 85gr であった。 

MR 法では、MD 後の断面約 10×13mm の合金を約 

8.5mm 角までプレス後 7mmφに削り出した。このロッ 

ドを外径 / 内径 10. 0/7.0mm の Nb-3.3at%Ta シースに挿 

入して溝ロールとカセットローラーダイスにより対辺 

h 

Hydrostatic Extrusion 

Wire Drawing 

Heat Treatment 

Fig.1 Fabrication procedure of MR processed wire. 

- 47 -

Cu 

Barrier 

Nb 3 Sn 

Cu Nb Sn 

Nb 3 Sn 

Sn-Ta 

Composition of Nb3Sn Layer 

in MR Processed Wire 

at% 1 2 3 

Nb 72.6 73.3 72.3 

Sn 23.0 22.6 22.7 

Ta 3.8 3.5 3.9 

Ti 0.6 0.6 1.1 

Cu 0.0 0.0 0.0 

500μm 

Fig.2 EPMA composition mapping on 

the cross-section of 37 core MR wire 

reacted at 750℃ for 100h. 

3.2 線材の高磁界特性 

図 4 に組成の異なる Sn-Ta 系シートを用いた JR 法線 

Sn-Ta 

1 

2 

3 

Nb 3 Sn 

Nb- 

3.3Ta 

10μm 

Composition of Nb3Sn Layer 

in JR Processed Wire 

at% On Sheath JR Part 

Nb 70.2 71.2 

Sn 24.8 25.8 

Ta 3.4 1.2 

Ti 0.1 0.4 

Cu 1.5 1.4 

Fig.3 BEI mapping and composition of Nb 3 Sn layer formed in 

the 37 core MR wire. Composition of Nb 3 Sn layer formed in the 

JR wire is also listed. 

3. 実験結果 

3.1 線材の組織 

図 2 に新しい 37 芯 MR 法線材断面の熱処理後の Cu, 

Nb, Sn の EPMA 組成マッピングを示した。線材は良好 

な断面構造を保って加工されており、各 Sn-Ta ロッド 

の周りに厚く Nb 3 Sn が生成されている。また Nb バリ 

アの厚さが十分であるため、表面の Cu への Sn の拡散 

はみられない。Sn-Ta ロッド部には Sn が残留するが、 

Nb も認められることから、MR 法線材でも昨年度報告 

した JR 法線材のように Nb と Sn の相互拡散により 

Nb 3 Sn 層が生成されると考えられる。 

図 3 に図 2 の Nb 3 Sn 層付近の拡大像および JR 法線 

材と比較した Nb 3 Sn 層組成の定量分析を示した。図 3 

では厚さ約 30μm の Nb 3 Sn 層が生成されている。しか 

し JR 法線材の Nb 3 Sn 層では Sn 量が化学量論比の 

~25at% 含まれるのに対して、MR 法線材の組成では 

~23at%とやや少なかった。JR 法線材における Sn の拡 

散は、薄く加工された Sn 基合金シートからこれに接 

した Nb シートへ平面的に拡散するが、MR 法線材で 

は内側に挿入された Sn 基合金ロッドから周囲の Nb シ 

ースへ放射状に拡散し、この相違により Sn 量に違い 

が生じる可能性があろう。しかし、MR 法線材の Nb 3 Sn 

層でも Sn の濃度勾配は殆どみられない。 

材及び芯数のことなる MR 法線材の 4.2K における B c2 

遷移を示した。JR 法では、on 27.3T, mid 26.9T, off 26.5T 

と、Nb 3 Sn 線材として最高の B c2 (4.2K)を示した。また、 

Sn/Ta 原子比 4/1 で、Ti 量を 4at%から 7at%に増して Cu 

量を 3wt%から 2wt%に減らすとやや高い B c2 遷移がえ 

られる。MR 法線材は Cu が被覆されているため B c2 遷 

移の信号が一桁小さく、また 37 芯線材の方が 19 芯線 

材より Nb バリアの面積が大きいため信号が小さい。 

MR 法線材の B c2 は on 27.0T, mid 26.5T, off 26.0T と JR 法 

線材よりわずかに低い値を示した。これに図 3 に示した 

Nb 3 Sn 層中の Sn 濃度の差が原因すると考えられる。 

図 5 には、1.54mmφ 及び 1.94mmφの 19 芯 MR 法線 

材の non-Cu J c - 磁界曲線を示した。芯径が異なっても 

non-Cu J c には殆ど差がみられない。また 725℃ 熱処理 

により 750℃ 熱処理の方が高磁界では大きい J c が得ら 

れる。これは Nb 3 Sn 層の厚さ( 面積比 )が増すことが主 

な原因と考えられる。図 5 から MR 法線材でも 4.2K, 

22T で約 120A/mm 2 , 20T で約 200A/mm 2 の non-Cu J c が 

えられた。 

表 1 に JR 法線材と 19 芯及び 37 芯 MR 法線材にお 

ける Nb 3 Sn 層の厚さ、non-Cu 部における Nb 3 Sn 層の面 

積比及び 4.2K で 20T と 22T における non-Cu J c 値を比 

較して示した。JR 法線材では MR 法線材に比べて約 2 

倍の厚さの Nb 3 Sn が生成される。しかし JR 法線材は 

Cu 被覆がなく、Nb-3.3Ta シースの厚さが MR 法線材 

の Nb バリア層の厚さに比べて格段に厚いため、Nb 3 Sn 

層の面積比に大差はなくなる。それでも JR 線材の方 

が MR 線材に比べて Nb 3 Sn の面積比が若干大きい。ま 

た 37 芯線材は 19 芯線材に比べて Nb バリアが厚いた 

めに面積比が小さくなった。Non-Cu J c 値は JR 法線材 

の方が MR 法線材より若干大きい。これは表 1 から 

主に Nb 3 Sn 層の面積比の差によるものと考えられる。 

- 48 -

Voltage for JR Wires (μV) 

70 

60 

50 

40 

30 

20 

10 

Sheet and Rod Composition 19 Rod 

: JR-1 4/1-3at%Ti+3wt%Cu 

: JR-2 4/1-7at%Ti+2wt%Cu 

JR-2 

: 19Rod 3/1-3at%Ti+2.5wt%Cu 

JR-1 

: 37Rod 4/1-3at%Ti+3wt%Cu 

37 Rod 

Heat Treatment :750℃×100h 

4.2K Current : 0.3A 

7 

6 

5 

4 

3 

2 

1 

Voltage for MR Wires (μV) 

0 

0 

25 25.5 26 26.5 27 27.5 28 


Fig.4 B c2 (4.2K) transition of different JR and MR 

processed Nb 3 Sn wires. 

Fig.5 non-Cu J c versus magnetic field curves of the 19 core MR wire 

at 4.2K. 

Table1 Thickness and areal fraction of Nb 3 Sn layer and non-Cu J c of JR and MR processed wires. 

Wire Specification 

Sheet / Rod Composition 

Average 

Thickness of 

Nb 3 Sn Layer 

(μm) 

Average Areal 

Fraction of 

Nb 3 Sn Layer in 

Non-Cu Area 

(%) 

20T 

Non-Cu Jc @ 4.2K 

(A/mm 2 ) 

JR 1.44φ 4/1-3Ti+3Cu 65 32 230 131 

19Rod 1.54φ 3/1-3Ti+2.5Cu 28 29 203 119 

37Rod 2.15φ 4/1-3Ti+3Cu 27 25 179 100 

22T 

今後 MR 法線材では、Sn-Ta 部に Nb 芯を挿入すること 

によって Nb 3 Sn 層面積比の増大と non-Cu J c の改善が 

えられると期待される。 

4. まとめ 

MD 法によりタイトに凝集した Sn-Ta 系ロッドが作 

製され、19 芯及び 37 芯 MR 線材が加工出来た。MR 

線材も JR 法に近い 26.5T( 中点 )の B c2 (4.2K)を示した。 

また高磁界で JR 法線材に近い non-Cu J c を示し、今後 

線材設計の改良によりさらに特性の向上が期待される。 

JR 法線材や MR 法線材は 20T 以上の高磁界で現用され 

ている Nb 3 Sn 線材より格段に優れた特性を示すが、そ 

の主な原因は高い B c2 によると考えられる。今回の MR 

法は JR 法に比べて多芯線材の作製が大幅に簡単な特 

長をもっている。 

終わりに線材の静水圧押出と線引をしていただいた 

日立電線 ( 株 )に甚大な謝意を表します。また 6 角素線 

の加工で御世話になった物材機構の瀧川博幸氏に御礼 

申し上げます。 

- 49 -

Nb 3 Sn 超伝導素線の Ic-B-T- 特性の測定と解析 

The measurement and analysis on the Ic-B-T- characteristics of 

Nb 3 Sn superconducting wire 

古河電気工業株式会社杉本昌弘 , 片山功多 , 八木澤進 , 坪内宏和 

Masahiro SUGIMOTO, Kota KATAYAMA, Susumu YAGISAWA, Hirokazu TSUBOUCHI 

Furukawa Electric Co., ltd 

物質・材料研究機構佐藤明男 , 伊藤喜久男 , 木吉司 

Akio SATO, Kikuo ITO, Tsukawa KIYOSHI 


Abstract: 

We investigated the Ic-B-T- characteristics on Nb 3 Sn superconducting wire. The trial measurement was carried out by 

using the Walters-Spring method in NIMS. Under the measurement with the transport current over around 80A, the sample 

temperature was gradually raised. However, their measured data were effectively analyzed by using the Durham Univ.’s 

fitting formula. The Ic value (4.2K, -0.25%) estimated by the Ic-B-T- characteristics was good agreement with Ic value 

measured by the other measurement system. 

Keywords: Nb 3 Sn,Ic-B-T- 

E-mail: masahiro@nikko.furukawa.co.jp 


Nb 3 Sn 超伝導素線の臨界電流 (Ic)は、磁場 (B)、温度 (T)、 

歪 ()の依存性が大きく、それらを総合的に把握するた 

めには、Ic-B-T- 特性を実測する必要がある。本研究に 

おいては、物質・材料研究機構殿保有の歪印加装置 

(Walters-Spring)を用いて、Nb 3 Sn 素線の Ic-B-T- 特 

性を測定し、データ解析を行った。 


Walters-Spring は日本原子力研究開発機構殿によっ 

て改良された形状のものを使用して実施した。 [1] 

Nb 3 Sn 超伝導素線を Walter-Spring の外周に沿って、両 

端に取り付けた銅電極までハンダ付けした。下部の銅 

電極を外側の SUS パイプに絶縁材を解して固定し、ク 

ライオスタット外部のモータを用いて、上部の銅電極 

と連結された軸棒を回転させることによって、超伝導 

素線の長手軸方向に歪 (-1.16%~+0.17%)を印加した。 

測定マンドレル全体を VTI と呼ばれる温度可変インサ 

ートデュワーに収めてヘリウム供給流量を加減すると 

ともに、上下銅電極と超伝導素線に沿って設けられた 

サンプルヒーターを用いて、超伝導線の温度調節 (4.2K 

~7.5K)を行った。18T マグネットを使用し、11T~14T 

の外部直流磁場を印加した。Walter-Spring の中央部に 

電圧タップ(タップ間距離 5cm、4 端子法 )と温度計 

を各 2 箇所設け、I-V 曲線と温度を測定した。通電電 

流のスイープ速度は 6A/min~18A/min とした。Ic は 0.1 

μV/cm の電界定義で決定した。歪ゲージは超伝導線の 

表面に接着剤で固定し、アクティブダミー法により軸 

方向の歪を測定した。 


3-1. 測定試料 

ブロンズ法によって製造した Nb 3 Sn 超伝導線を測定 

試料とした。Table 1 に主な諸元を示す。Walter-Spring 

を用いた本研究で得られた測定値の妥当性を確認する 

ために、13T、4.2K での Ic 測定を社内の装置を用いて 

実施した。具体的には、熱膨張率が Nb 3 Sn 素線と同じ 

Φ32 のチタン合金 (Ti6Al4V) 製の V 溝付き円筒のホル 

ダーで熱処理を施したものをサンプルとした。液体ヘ 

リウム中にて外部直流磁場 13Tを印加した状態で、圧 

縮方向の歪が素線に印加される方向に通電し、0.1μ 

V/m の電界定義にて Ic を決定した。この値は、冷却歪 

によって、-0.25%の軸圧縮歪が線材の印加された時の 

Ic 値 (4.2K)と同等であると考えられる。 

Table 1 Specifications of the Nb 3 Sn superconducting wire 

Diameter 

0.83 mm 

Twist pitch 

16 mm 

Cu ratio 1 

Ic (@13T,4.2K) 

213 A 

3-2. 測定結果 

Fig.1 に、I-V 曲線の測定例 ( 磁場 11T、温度 7.02K、 

歪 -0.52%)を示す。縦軸の電圧は、10 5 倍に増幅した値 

であるので、電圧タップ間距離が 5cm であることを考 

慮すると、50mV の電圧が発生した時の電流値が、0.1 

μV/cm の Ic 定義値に相当する。測定開始時の設定温 

度は 6.5K であったが、通電電流が 80A を越えるあた 

りからサンプル温度が徐々に上昇し、Ic 決定時の温度 

実測値は 7.02K となった。その他の測定においても、 

同様に通電電流が 80A を越えるあたりから温度上昇が 

顕著になることから、電極部からの発熱が影響してい 

るものと考えられる。 

Fig.2 に外部磁場 13T において測定した臨界電流 Ic 

と軸方向歪との関係を示す。ここでは、それらの実測 

値を、実測温度では無く設定温度で群分けして色分け 

しプロットしている。曲線は、実測した Ic、温度、歪、 

- 50 -

100 

80 

11T 7.02K -0.52% 

200 

150 

60 

40 

Ic = 116.2 A 

100 

20 

0 

0 20 40 60 80 100 120 140 

Transport current (A) 

Fig.1 An example of I-V curve measurements 

(B=11T,T=7.02K,=-0.52%) 

50 

T< 5K 

5K < T < 6K 

T > 6K 

0 

0 50 100 150 200 

Measured Ic (A) 

(a) Grouping on temperature 

200 

磁場を用いて Durham 大のスケーリング式によりフィ 

ッティングして求めたパラメータを用いた計算値であ 

る。通電電流が 80A を超えるあたりから、フィッティ 

ング曲線からのずれが大きくなっている。この理由は、 

測定温度が上昇したことの影響が顕著となり、130A を 

超える通電時には実態温度が最大 1K 近くまで上昇し 

たためである。 

一方、4.2K、-0.25%での Ic を Durham 大のスケーリ 

ング式で推定すると 212.5A となり、別途社内で測定し 

た値 213A に良く一致していることを確認した。これ 

は、今回の測定で得たフィッティング曲線が概ね妥当 

であることを示唆している。 

150 

100 

50 

0 

B=11T 

B=12T 

B=13T 

B=14T 

0 50 100 150 200 

Measured Ic (A) 

(b) Grouping on magnetic field 

300 

250 

200 

150 

100 

50 

Measuremnt temperature rise 

at transport current 

more than 80A 

212.5A 

-0.25% 13T 

0 

-1.2 -1 -0.8 -0.6 -0.4 -0.2 0 0.2 

Axial-Strain (%) 

7.5K 

4.2K 

5.5K 

6.5K 

Fig.2 Critical current as a function of axial-strain 

measured at 13 T 

Fig.3 Comparison between the measured Ic and the 

calculated by using the fitting parameters with the 

Durham Univ.’s formula 

3-3. 考察 

今回の測定においては、通電電流が 80A を超えるあ 

たりから、測定温度が上昇したことから、測定値が 

Durham 大のスケーリングパラメータを用いた計算値 

に対してどの程度ばらついているのかを調査した。 

Fig.3 に Durham 大のスケーリングパラメータを用いた 

計算値と実測値とを比較した結果を示す。実測温度に 

対する群分け(a)と磁場に対する群分け(b)を行い、いず 

れにおいても、臨界電流が 30A~80A の範囲内ではス 

ケーリングによる計算値は実測値と良く整合している。 

しかしながら、30A 未満の領域とサンプル温度が上昇 

した臨界電流 80A 以上の領域とでは違いが大きい。 

80A~100A の Ic における計算値と実測値の違いは 5~ 

10%であった。 

- 51 -

一方、同じ測定プローブを用いた奥井らの測定にお 

いては、小さな温度上昇でコントロールされている。 

[1] これは、測定時のサンプルの温度上昇を抑えるため 

の配慮 (ノウハウ)の違いと考えられる。従って、今 

後の測定においては、電極部の発熱に対する対処や、 

サンプル部位の熱掃け具合の改善、温度調整装置の設 

定の適正化等の工夫が必要であると思われる。 

4. まとめ 

物質・材料研究機構殿保有の歪印加装置 

(Walters-Spring)を使用して、Nb 3 Sn 素線の Ic-B-T- 

測定を実施した。得られたデータを Durham 大のスケ 

ーリング式を用いてフィッテングし、そのパラメータ 

を用いて 4.2K、-0.25%での Ic を計算したところ、別途 

社内で測定した値に良く一致することを確認した。し 

かしながら、通電電流が小さい領域と、サンプル温度 

上昇が発生した通電電流が大きい領域では、実測値と 

計算値の違いが大きいことが分かった。 

謝辞 

本研究における測定および解析を実施する際に、多 

大なる技術指導をいただきました日本原子力研究開発 

機構の辺見博士に感謝の意を示します。 

参考文献 

1) 奥井義男、辺見努、布谷嘉彦、伊藤喜久男 :“ITER 

用 Nb3Sn 超伝導素線の JcBT 特性の測定 ” TML 

Annual Report 2007,p43-44. 

- 52 -

RHQT-Nb 3 Al 線材開発における線径柔軟性について 

Wire-diameter variety of RHQT Nb 3 Al conductor 

日立電線田川浩平、田中和英、中川和彦 

TAGAWA Kohei, TANAKA Kazuhide, NAKAGAWA Kazuhiko 

Hitachi Cable 

物質・材料研究機構竹内孝夫 , 北口仁 , 伴野信哉 , 飯嶋安男 , 菊池章弘 

TAKEUCHI Takao,KITAGUCHI Hitoshi,BANNO Nobuya,IIJIMA Yasuo,KIKUCHI Akihiro 


Abstract: 

It is an Nb 3 Al superconducting wire with an excellent property because it was manufactured by rapid heat, quenched, 

and transformed process. For the NMR magnets, operating current are usually the same. So wire-diameter variety of RHQT 

Nb 3 Al conductor is important. In this report, we tried enlarge diameter of RHQT Nb 3 Al wire. 

Keywords: Wire-diameter variety, enlarge diameter 

E-mail: tagawa.kohei@hitachi-cable.co.jp 


急熱急冷・変態 (RHQT) 法 Nb 3 Al 線材は高磁界で 

の超電導特性や耐歪特性に優れていることから、高磁 

界マグネットをはじめ、中磁界で使用される加速器マ 

グネットなどへの適用開発が進められている。 

ところで RHQT-Nb 3 Al 線材を NMR 装置の内層マ 

グネットに適用するには、組合される中層や外層マグ 

ネットと一括励磁できることが望ましい。 

これまでの開発で km レベルの長尺化線材製作や *1 、 

一括励磁に必要な各種サイズの線材製作が可能なこと 

を確認してきた *2 。 

本報告では、各種サイズの線材製作に関する開発の 

うち、通電容量の増大を目的に、これまでの最大線径 

線材における急熱急冷処理条件の適正化と、それを用 

いた安定化銅クラッド加工について試作した結果につ 

いて報告する。 


RHQT-Nb 3 Al 線材は NIMS に設置されている大型 

RHQ 装置の場合、線径 φ1.35mm がこれまでの最大径 

だった。線材通電容量の増大の為に線材の太径化開発 

を進め、RHQ 処理時の張力等の条件設定により線径 φ 

1.52mm まで RHQ 処理の可能性が確認できた *2 。 

しかし、φ1.52mm 線材の RHQ 処理では、発生電圧 

の変動が大きく、安定した処理ができないため、通線 

条件を含めた RHQ 処理条件の見直しを行った。RHQ 

処理中の発生電圧の変動は、線径の太径化により、こ 

れまでの通線経路で線材を流すことが困難になったこ 

とが考えられた為、通線経路の変更を進めた。 

具体的には、冷却用ガリウム(Ga)バス中の通線リー 

ルの設置位置を、水平方向に移動可能とし、リール位 

置を変更しながら RHQ 処理時の発生電圧変動を比較 

した。このようにして発生電圧変動を最低に出来るリ 

ール位置を選定した。Table1 には試作線材の断面写真 

及び仕様を示す。 

上記のようにして RHQ 処理条件を最適化した線材 

は、クラッド法により安定化銅を複合化し、1.9x0.9mm 

平角線材を作製し、その後 800℃x10hr の変態熱処理を 

施して臨界電流測定を行った。 

Table 1. Specification of the wire 

Wire diameter (mm) 1.52 

Nb matrix ratio 0.80 

Filament diameter (μm) 100.5 

Number of filament 132 


線径 φ1.52mm の RHQ 処理時の発生電圧変動は従来 

の線径 (φ1.35mm) 時に比べて 3 倍以上大きな値だっ 

た。Fig.1 にはφ1.35mm 線材での RHQ 処理時の発生電 

圧、及び通電電流の変化を示し、同じく Fig.2 にはφ 

1.52mm 線材での結果を示す。 

RHQ 処理中の発生電圧変動は、通電加熱時の線材温 

度変化を来たすため、従来レベル以下に抑える必要が 

ある。 

Ga バス中の通線リール位置を変更して線材の通線 

経路の適正化を行った結果、発生電圧変動を約 1/3 以 

下の従来レベルに低減できる位置を選定でき、φ 

1.52mm 線材においても安定した処理を実現できるこ 

とがわかった。Fig.3 には通線リール位置を選定後のφ 

1.52mm 線材での発生電圧、及び通電電流の変化を示 

す。通線条件を最適化後の線材の 20T における臨界電 

流値はφ1.52mm 線材で 277A だった。ちなみにφ 

1.35mm 線材では 237A で、ほぼ線径倍の大容量化が可 

能になった。 

- 53 -

発 Voltage 生電圧 (V) (V) 

10 φ1.35mm 

0.025 

Voltage 

9.5 

0.024 

9 

0.023 

Heating Current 

8.5 

0.022 

8 

0.021 

20 40 60 80 100 

処理 Time(sec) 時間 (s) 

Heating 通電 Current 電流 (x10 (x10 4 A) A) 

1.35mm 線材を用いた 1.8x0.8mm サイズのクラッド線 

材と同等の特性を示し、線材の太径化が可能であるこ 

とが確認できた。 

本研究の一部は文部科学省科学技術振興費委託研究 

( 新方式 NMR 分析技術の開発 )、15 文科振第 332 号、 

16 文科振第 556 号、17 文科振第 212 号、18 文科振第 

457 号及び 19 文科振第 207 号の一環として行われた。 

Fig.1 Monitored heating current and voltage of RHQ treatment. 

φ1.52mm(past condition) 

Fig.4 Cross-sectional view of the Cu cladding wire (1.9x0.9mm) 

Voltage (V) 

Voltage 


Time(sec) 

Heating Current (x10 4 A) 

non Cu Jc (A/mm 2 ) 

250 

200 

150 

100 

50 

1.9x0.9mm 

(past condition) 

1.9x0.9mm 

(after improvement) 

1.8x0.8mm 

(conventional) 


φ1.52mm(after improvement) 

Voltage (V) 

Voltage 


Heating Current (x10 4 A) 

Time (sec) 


このようにして製作した Nb/(Nb-Al) 過飽和固溶体線 

材を用いて、安定化銅複合化のためのクラッド加工を 

実施し、従来サイズと同様に 1.9x0.9mm サイズの平角 

線材を製作した。Fig.4 にはクラッド線材の断面写真を 

示し、Fig.5 にはクラッド線材の Jc-B 特性を示す。本 

開発によるクラッド線材の特性は、従来サイズのφ 

0 

19 20 21 22 23 24 25 


Fig.5 non Cu Jc-Magnetic field curves of the Cu cladding wire 

4. まとめ 

NMR 装置の内層マグネットに適用するためには、 

通電容量の柔軟性が必要な為、線材大容量化を目的に 

線径の太径化開発を行った。これまでは RHQ 処理時 

の最大線径がφ1.35mm だったが、RHQ 処理時の通線 

経路、及び張力などの条件を最適化することにより、 

φ1.52mm までの太径化が可能であることが確認でき 

た。太径化線材の RHQ 処理時の発生電圧変動を従来 

線材と同じレベルに抑えることで、超電導特性を同等 

にすることが出来、大容量化を実現することが出来た。 

参考文献 

[1] K.Tagawa, et al.: IEEE Trans. on ASC, vol.16, 

No.2(2006), p.1168 

[2] 中川和彦他 , 2007 年度秋季低温工学・超電導学会 , 

1C-a12 

- 54 -

16wt%Sn ブロンズを用いた Nb 3 Sn 線材の Jc のフィラメント径依存性 

Filament diameter dependence of Jc of Nb 3 Sn superconducting wires prepared with 16wt%Sn bronze. 

JASTEC 村上幸伸、安中弘行 *1 、林征治 

Yukinobu Murakami , Hiroyuki Yasunaka *1 , Seiji Hayashi 

Japan Superconductor Technology Inc. 

*1 Sinko Research Co,.Ltd. 

物質・材料研究機構松本真治、浅野稔久、伊藤喜久男、木吉司 

Shinji Matsumoto , Toshihisa Asano , Kikuo Itoh , Tsukasa Kiyoshi 


Abstract: 

A round shaped Nb3Sn superconducting wire with 16wt%Sn bronze was manufactured and divided into 4 pieces having 

different diameter to investigate the filament diameter dependence of critical current density (Jc). The Jc-B properties of the 

samples prepared with several heat treatment conditions were measured in high magnetic field region by the 30T hybrid 

magnet in NIMS. As the results, the sample with filament diameter of 5μm showed the highest Jc. 

Keywords: Nb 3 Sn superconducting wire, critical current density, 16wt%Sn bronze, filament diameter 

E-mail: murakami.yukinobu@kobelco.com 


ブロンズ法 Nb 3 Sn 線材においては、ブロンズ中の Sn 

濃度を増加させることが臨界電流密度向上に有効であ 

り、現在では 16wt%Sn ブロンズを用いた Nb3Sn 線材が 

実用化されている 1) 2) 。また、ブロンズ法 Nb3Sn 線材に 

おいて、拡散熱処理を低温 + 高温の 2 段階で行うことに 

より、Jc が向上することが分かっており、筆者らは 

16wt%Sn ブロンズを用いた Nb3Sn 線材にこの 2 段階熱 

処理を適用することで、より高い Jc を実現してきた。 

これまでは、より実用的な平角線材において、熱処 

理条件の最適化を主眼に置き、調査を行ってきたが、 

今回フィラメント径をパラメータとした Jc の熱処理 

条件依存性について調査を行ったので、その結果につ 

いて報告する。 

試料はコイル状とし、4 端子法により得られた I-V 

曲線から 10μV/m の電界基準にて Ic を評価し、非銅 

部の断面積で Ic を除して nonCu Jc を求めた。なお、 

高磁場での Ic 測定は物質・材料研究機構の 30T ハイブ 

リッドマグネットを利用して行った。 


16wt%Sn ブロンズを用いた Nb3Sn 線材を作製し、 

最終フィラメント径がそれぞれ、6μm、5μm、4μm、 

3μm となるよう線材直径の異なる 4 種類のサンプル 

を作製した。今回作製したブロンズ法 Nb 3 Sn 線材の断 

面を Fig.1 に示す。また、4 種類のサンプル諸元を Table 

1 に示す。本来、フィラメント径をパラメータにする 

には、フィラメント数を変える事が望ましいが、サン 

プル作製を容易にするため、線径を変えることにより 

フィラメント径の異なるサンプルとした。 

はじめに、全てのサンプルに対して Table 2 に示す 

HT-1 の熱処理を行い、自社マグネットにて評価を実施 

した。その後、サンプル B および C に対して Table 2 

の HT-2 および HT-3 で示す 2 段階熱処理を行い、高磁 

場での Jc を評価した。 

Fig.1 Cross sectional view of the Nb3Sn wire 

Table 1 Specifications of the samples 

Cu to non Cu ratio 0.3 

Bronze matrix Cu-16wt%Sn-0.5wt%Ti 

Filament material 

Nb 

Number of filaments 27949 

Sample ID A B C D 

Wire diameter (mm) 2.15 1.81 1.41 1.09 

Filament diameter (μm) 6.0 5.0 4.0 3.0 

Table 2 Heat treatment condition of the samples 

Heat treatment conditions 

HT-1 

700℃×96h 

HT-2 

620℃×100h+720℃×50h 

HT-3 

550℃×150h+720℃×50h 

- 55 -


nonCu Jc(A/mm2) 

サンプル A~D に HT-1 の熱処理を行った時の 4.2K、 

18T における nonCu Jc を Fig.2 に示す。Fig.2 より、HT-1 

の熱処理条件では、5μm をピークにフィラメント径 

が細くなるほど nonCu Jc が低下していることが分かる。 

ブロンズ中 Sn 濃度が 15% 以下では、フィラメント径 

3~6μm の範囲では、フィラメント径が細くなるほど 

nonCu Jc は増加するが、ブロンズ中 Sn 濃度が 16%の 

場合、フィラメント径が細い時には Nb3Sn 結晶粒の粗 

大化が起こって nonCu Jc が低下したと考えられる。 

260 

240 

220 

200 

180 

160 

140 

(D) 

(C) 

(B) 

(A) 

120 

4.2K、18 T 

100 

2 3 4 5 6 7 

Filament diameter (μm) 

Fig.2 Filament diameter dependence of Jc at 4.2K, 18T 

for HT-1 heat treatment condition 

次にサンプル B、C に HT-2 および HT-3 の 2 段階熱処 

理を行った時の nonCu Jc の磁場依存性を Fig.3 に示す。 


Fig.3 より、サンプル B、C ともに、HT-2 の条件でよ 

り高い nonCu Jc を示しており、同じ熱処理条件で比較 

すると、フィラメント径の太いサンプル B の nonCu Jc 

が高くなっていることが分かる。特に、サンプル B に 

HT-2 の熱処理を行った場合、全磁場領域で高い nonCu 

Jc が得られている。 

Fig.3 の 18T における各サンプルの nonCu Jc をフィ 

ラメント径に対してプロットしたものが Fig.4 である。 

Fig.4 には比較のため、Fig.2 で示した HT-1 の結果も併 

せて示しているが、HT-3 の条件では、1 段階熱処理の 

HT-1 より nonCu Jc が低くなっており、2 段階熱処理の 

効果が得られていない。一方、HT-2 の条件では、2 段 

階熱処理により nonCu Jc の向上が見られるが、フィラ 

メント径に対する依存性は、1 段階熱処理の傾向を維 

持している。 

260 

240 

220 

200 

180 

160 

140 

120 

100 

(D) 

4.2K、18T 

(C) 

(B) 

(A) 

HT-1 

HT-2 

HT-3 

2 3 4 5 6 7 

Filament diameter (μm) 


350 

Sample B : HT-2 

300 

Sample B : HT-3 

Sample C : HT-2 

250 

Sample C : HT-3 

200 

150 

100 

50 

4.2K 

0 

15 17 19 21 23 25 

Magnetic field (T) 

Fig.3 nonCu Jc-B properties of the samples 

Fig.4 Comparison of filament diameter dependence of 

Jc with different heat treatment conditions. 

4. まとめ 

16wt%Sn ブロンズを用いた Nb3Sn 線材から、線径の 

異なる 4 種類のサンプルを作製し、nonCu Jc のフィラ 

メント径依存性を評価した。その結果、フィラメント 

径が 5μm の時に nonCu Jc は最大となった。しかしな 

がら、一般的にはフィラメント径が細くなるほど 

nonCu Jc は増加すると考えられており、熱処理条件の 

見直しや断面構成の見直しにより、nonCu Jc のフィラ 

メント径依存性は変化するものと思われる。 

参考文献 

[1] 村上幸伸ほか:“16wt%Sn ブロンズを用いた実用規 

模 Nb3Sn 線材の開発 ”TML Annual Report 2003, p.48-49. 

[2] 村上幸伸ほか:“16wt%Sn ブロンズを用いた平角 Nb 3 Sn 

線材の高磁界特性 ”TML Annual Report 2004, p.68-69. 

- 56 -

ITER CS 用 Nb 3 Sn 超伝導素線の軸方向歪印加時における 

臨界電流特性の測定 

Measurement of critical current characteristics in Nb 3 Sn strand subjected to axial-strain for ITER central solenoid 

日本原子力研究開発機構辺見努、長谷隆司、布谷嘉彦、宇野康弘、奥野清 

Tsutomu Hemmi, Takashi Hase, Yoshihiko Nunoya, Yasuhiro Uno, Kiyoshi Okuno 

Japan Atomic Energy Agency 


Kikuo Ito 


Abstract: 

Nb 3 Sn strands has been developed aiming at application to the conductor in ITER Central Solenoid (CS). A detailed 

description of critical current characteristics of the Nb 3 Sn strand may assist in predicting accurate conductor performance. 

Performance parameters of the Nb 3 Sn strand include 77 A at 12.7 T, 5.2 K and -0.74%. These performance parameters fulfill 

the requirements of the CS conductor of ITER. 

Keywords: ITER, Nb 3 Sn strand, CS, critical current, axial-strain 

E-mail: hemmi.tsutomu@jaea.go.jp 


国際熱核融合実験炉 (ITER)では、トロイダル磁場 

(TF)コイル及び中心ソレノイド(CS) 用に Nb 3 Sn 

超伝導導体を調達する。調達の一環として、超伝導素 

線の品質確認を目的に Nb 3 Sn 超伝導素線の磁場、温度 

及び歪をパラメータとした臨界電流特性 (JcBT 特性 ) 

の測定を実施している。これまでの共同研究より、日 

本原子力研究開発機構 ( 原子力機構 ) 及び物質・材料 

研究機構の2 箇所の装置で Nb 3 Sn 超伝導素線の JcBT 

特性を測定できることを確認し、測定の信頼性向上と 

効率化に貢献している。昨年度、ITER TF コイル用 

Nb 3 Sn 超伝導素線の JcBT 特性の測定を実施し、今年 

度は ITER CS 用超伝導素線の JcBT 特性の測定を行っ 

た。これより、ITER CS の設計基準である 12.7 T、5.2 

K 及び-0.74%における臨界電流が 70 A を超える性能を 

有すること確認した。 


ITER CS 用に開発したブロンズ法 Nb 3 Sn 超伝導素線 

の諸元を Table 1 に示す。超伝導素線は、軸方向歪を加 

えた状態で JcBT 特性を測定するため、ベリリウム銅 

製の治具にハンダ付けして測定装置に取り付けた。測 

定は、磁場 11 T、12 T 及び 13 T、温度 4.2 K から 9 K、 

歪 -0.8%から 0.45%の範囲で行った。臨界電流の基準電 

場は 0.1 V/cm とした。 

TABLE 1 Parameters of the Nb 3 Sn Strand for ITER CS 

Parameters 

Nb 3 Sn ITER CS 

Strand Diameter 

0.827 mm 

Filament Diameter 

3.3 m 

Number of filament 9481 

Strand matrix Cu-16wt%Sn-0.3wt%Ti 

Cu/non-Cu ratio 0.953 

Barrier 

Ta 

Non-Cu J c (4.2 K, 12 T) 929 A/mm 2 

n-value (4.2 K, 12 T) 38.0 


ITER CS 用 Nb 3 Sn 超伝導素線の 12 T 及び 13 T にお 

ける臨界電流密度の測定結果を Fig. 1 に示す。また、 

測定結果から超伝導線の初期歪は-0.357%と推定され 

る。図中の直線は Durham 大によって提案されたスケ 

ーリング式により求めた。 

導体性能の評価に使用するためには、任意の磁場、 

温度及び歪条件で超伝導素線の特性を求めることがで 

きるスケーリング式を求める必要がある。Nb 3 Sn 超伝 

導素線の臨界電流特性について、多くのグループから 

スケーリング式が提案されているが、Durham 大のグ 

ループによって提案されたスケーリング則が、最も多 

くのパラメータを持つことから、最も良い一致を示す 

ことが知られている。スケーリング式を以下に示す。 

- 57 -

Critical Current (A) 

I 

c 

2 

n3 

2 2 p1 

B, 

T, 

 

A 

T 

 

B T 

, 1 

t b 1 

b 

B 

c2 

i 

 

 

A0s 

 

i 

v 

T 

, 

B 0,0s 

 

1 

t 

T 

A 

i 

w 

c 

 

i 

Tc 

0 s 

i 

2 

s 

i 

 

1 

c2 

i 

c3 

t T Tc 

 

i 

 

b B B T 

, 

i 

c2 

a 

i 

c2 

 

c 

m 

i 

i 

u 

w 

1 

i 

i 

c2 

3 

i 

c 

(1) 

ここで、 i は臨界電流が最大となる点をゼロとする真 

歪、 a は印加歪、B は磁束密度及び T は温度である。 

他の係数はスケーリング則のパラメータである。スケ 

ーリングパラメータを Table 2 に示す。また、Nb 3 Sn 超 

伝導素線の n 値は以下の式より求められる。 

 

n B, 

T, 

 

i 

 

 

ln I 

 

c1 

ここで、E c1 は電場 0.1 V/cm、E c2 は電場 1.0 V/cm、 

I c1 及び I c2 は E c1 及び E c2 で定義した臨界電流である。 


300 

200 

100 

0 

300 

200 

100 

0 

12 T 

4.2 K 

5 K 

6 K 

7 K 

8 K 

9 K 

Fig.1 Measured Ic vs. strain curve of a Nb 3 Sn strand 

for ITER CS at various temperatures. The best-fitting 

curve is obtained by the scaling law. 

i 

4 

4 i 

lnEc 

1 

Ec2 

 

B, 

T, 

I B, 

T, 

 

i 

c2 

-1 -0.5 0 


13 T 

4.2 K 

5 K 

6 K 

7 K 

8 K 

9 K 

(a) 12 T 

-1 -0.5 0 


(b) 13 T 

i 

1000 

800 

600 

400 

200 

0 

1000 

800 

600 

400 

200 

0 

(2) 

non-Cu J C (A/mm 2 ) 

q 

non-Cu J C (A/mm 2 ) 

Table 2 Scaling parameters of Nb 3 Sn strand for ITER CS 

Parameters 0.1 V/cm 1.0 V/cm 

p 1.764 1.750 

q 3.763 3.781 

n 2.422 2.460 

v 1.665 1.747 

w 2.011 2.013 

u -0.03519 0.02058 

m (%) 0.3572 0.3572% 

A(0) 118.3 107.5 

T c (0) (K) 16.39 16.39 

B c2 (0, 0) (T) 32.4 32.4 

c2 -0.5748 -0.5706 

c3 -0.3199 -0.3165 

c4 -0.03212 -0.02963 

ITER では、CS 導体に用いられる Nb 3 Sn 超伝導素線 

は、12.7 T、5.2 K 及び-0.74%において臨界電流 70 A が 

要求されている。Fig. 2 に 12.7 T 及び 5.2 K における臨 

界電流特性を示す。これより、-0.74%での臨界電流が 

77.2 A を有することから、開発した Nb 3 Sn 超伝導素線 

が ITER の仕様を満足することが確認された。 


250 

200 

150 

100 

12.7 T, 5.2 K 

77.2 A 

70 A 

50 

-0.74% 

0 

-1 -0.5 0 


Fig. 2. Performance of the Nb 3 Sn strand in design conditions 

of the ITER CS conductor. 

4. まとめ 

昨年度の ITER TF コイル用超伝導素線の測定に引き 

続き、ITER CS 用超伝導素線の JcBT 特性の測定を実 

施した。測定結果から、ITER CS 用導体の仕様である 

12.7 T、5.2 K 及び-0.74%における臨界電流が 70 A を超 

える 77.2A を有すること確認した。また、測定結果か 

ら求めたスケーリング式のパラメータは、実機 CS コ 

イルの性能評価及びスイスの SULTAN 試験装置を用 

いて行われる実規模導体試験の実験結果の解析に使用 

される。 

- 58 -

Nb-Zr 合金超伝導線材の新しい作製方法 

New Fabrication Process of Superconducting Nb-Zr Alloy Wire 

足利工業大学斎藤栄 

Sakae SAITO 

Ashikaga Institute of Technology 

物質・材料研究機構竹内孝夫 , 伴野信哉 

Takao TAKEUCHI and Nobuya BANNO 


Abstract: 

This paper describes the experimental study on the new fabrication process of superconducting Nb-Zr alloy wire. This 

process is composed of some kinds of plastic workings to obtain the precursor wire with fine layers of components of alloy 

elements. The finally obtained composite wires are subjected to diffusive heat treatments of the precursor in order to convert 

to the alloy. 

Keywords: CCE-process , fabrication process, superconducting wire, Nb-Zr alloy 

E-mail: ssaito@ashitech.ac.jp 


ニオブとジルコニウムの合金 (Nb-Zr 合金 )は、現在、 

実用化されている超伝導線材の Nb-Ti 合金とほぼ似た 

特性を持っており、臨界温度 (Tc)の最高値は Nb-Ti 

系を上回っている。また、40%Nb-60%Zr 合金では 

28GPa の高圧下で、合金としては、最高の Tc=16.5K 

が観測されている。しかしながら、Nb-Zr 合金は、Nb-Ti 

合金に比べて加工性の問題 ( 安定化銅との複合加工性 

が悪い)や熱処理条件に関する問題 (α 相析出に高い 

温度で熱処理 →ピン止め部の密度減少 )があり、実用 

化に至ってない。これらの問題点は、従来の合金線材 

の作製方法 ( 鋳塊を塑性加工して線材化 )におけるも 

のである。しかし、溶解過程を経ない線材化方法があ 

るとした場合、状況は異なってくる。そのようなプロ 

セスは本質的に脆い金属間化合物超伝導材料の線材方 

法として何種類かが研究開発された。その一つにクラ 

ッドチップ押出し法 (CCE 法 ) 1) がある。CCE 法は 

Nb-Zr 複合体の線材化に対しても有効であると考えら 

れ、著者の研究室で検討されてきたが、幾つかの問題 

点が存在する 2) 。 

本研究ではこれまでの研究において指摘された問題 

を検討することを目的とした。即ち、Zr の加工性の悪 

さに起因した Nb-Zr 複合体の不均一変形問題を検討す 

ることである。具体的には、Zr の塑性流動特性を改善 

するべく、Nb-Zr 複合体作製段階で熱処理とその複合 

体の加工性の関係を検討ながら前駆体線材を作製する 

方法 (1 パス・1 ヒート)を検討した。また、得られた線 

材の超伝導特性の評価も行った。 


供試素材は、純度 99.86 %のニオブ(Nb) と純度 

99.20%のジルコニウム(Zr)である。本研究ではクラッ 

ド圧延工程における Zr 層の加工性を改善するため 1 

回圧延後、直ちに焼鈍を行う方法 (1 パス・1 ヒート) 

を検討することとした。実験工程の概略図を Fig.1 に 

示す。厚さ 0.5 mmの Nb 薄板と、厚さ 0.5 mmの Zr 薄板 

を用いてクラッド圧延 (8 パス程度 )した。この時、 

各圧延後、直ちに焼鈍 ( 真空度 5×10 -4 Torr 程度で、 

850℃で 1h)を行った。 

Fig.1 Fabrication process of Nb-Zr alloy wire by the CCE method. 

このようにして、厚さ 0.42 mmの Nb/Zr/Nb 積層薄板材 

を作製した。それを細片 (チップ) 化した後、銅容器 

( 内径 30 mm、外径 40 mm)に充填し、冷間押出し加工 

を行った。押し出された銅被覆 Nb/Zr 複合体棒を 920℃ 

で 1 時間の焼鈍処理した後、内部の Nb/Zr 複合体を直 

径 15.7 mmで長さ 32 mmに切削し、それを Nb 容器で被覆 

し、丹銅容器に充填したビレットを R=5 で再押出し加 

工した。それを約 3 mmの線材とした後、それらを用い 

- 59 -

て多芯化押出し加工した。押出し後の複合体棒はスエ 

ージ加工やローラーダイス引き抜き加工して、直径 1 

mmの長尺線材とした。得られた Nb/Zr 複合体線材 ( 前 

駆体線材 )を長さ 50 mm 程度に切断し、それらを透明石 

英管に入れて真空封入 (5×10 -5 torr)し、920℃で 0~20 

時間の各種条件で合金化熱処理した。得られた各種線 

材に銅メッキ処理し、標準的な 4 端子法で臨界温度 (Tc) 

と臨界電流 (Ic)を測定した。 


三層 (Nb/Zr/Nb)クラッド圧延板の断面を Fig.2 に示すが、 

Fig.2(a) は、従来の冷間圧延プロセスで作製した積層薄板 

である。クラッド圧延から最終の厚さまでの圧延工程で全 

く熱処理を行っていないため、Zr の変形能の悪さにより、 

均一変形されず、中央部の Zr 層が凹凸になっている。 

(a) 

(b) 

Zr 

Zr 

Nb 

Nb 

0.2mm 

Fig.2 Cross sections of Nb/Zr/Nb clad-seets rolled by (a); a 

conventional way and (b);the one-pass & one-heat way. 

本研究では、この点を改善すべく、「1 パス・1ヒート」 

処理を行った。その結果を Fig.2(b)に示すが、劇的に改 

善されていることが分かる。CCE 法では積層材の各厚 

さの比で化学組成を制御するので、本研究で得られたク 

ラッド材でその要求が満足されることになる。因みに、 

本研究での化学組成は Nb:72at% - Zr:28at% となった。 

このような積層薄板をチップ化し、実験方法で述べ 

た条件で押出し加工、および、その後の各種塑性加工 

により線材化を行った結果、最終的に直径 1 mmで長さ 

10mの Nb/Zr 複合体線材が得られた。その断面を Fig.3 

に示す。この線材を合金化 

熱処理した後、超伝導特性 

を測定した。その結果、臨 

界温度 (Tc) は、Table 1 に 

示すような値となった。合 

金加熱処理時間が 0 の場合 

は 7.17K と低く、処理時間 

が 3 時間以上になると、 Fig.3 Cross section of 

multifilamentary Nb-Zr alloy 

wire (1mm) 

Nb 

Nb 

10.8K とほぼ一定値となる。1 パス・1 ヒート処理で積 

層材を作製するときに多少合金化が生じているので、 

合金加熱処理時間が 0 であっても上記のような Tc を示 

すと考えられる。また、ニオブの Tc が 9K であること 

を考慮すると、既述の積層材作製時に合金化が多少、 

進行したと考えられる。従来の溶融過程を経た方法で 

作製された当該合金の Tc 値が約 10.5K である (3) ので、 

本研究で得られたこれらの値は本研究で検討した手法 

の有効性を示すものと考えられる。 

Table 1 Transition temperature (K) after heat-treatment 

合金化処理時間 (h) 0 3 10 20 

臨界温度 , Tc (K) 7.17 10.88 10.74 10.85 

Fig.4に臨界電流密度と外部磁場の関係 (Jc-B 特性 ) 

を示す。図中の点線は、クラッド圧延時の均一な層厚 

制御ができていない昨年度の結果であり、実線は本研 

究での結果である。両者を比較すると、1 パス・1 ヒー 

ト処理で層厚制御して作製した積層材を出発材料とし 

て CCE プロセスで作製した線材の方が 10 倍程度 Jc-B 

特性が向上していることがわかる。このことからも本 

研究で検討した手法が有効であると考えられる。 

電流密度 Jc(A/mm 2 ) 

本研究での熱処理 0h(M-1) 

昨年の研究での熱処理 0h(M-11) 

本研究での熱処理 0h(S-1) 

10000 

1000 

100 

10 

1 

本研究での熱処理 20h(M-4) 

昨年の研究での熱処理 20h(M-14) 

昨年の研究での熱処理 0h(S-3) 

0.1 

0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 

磁場 B(T) 

Fig.4 Jc versus B curves: the solid and dotted lines show the 

results of the present study and the previous ones, respectively. 

4. まとめ 

本研究は本来の CCE プロセスで Nb-Zr 超伝導合金線 

材の作製可能性を示したが、超伝導特性向上に関して 

は検討すべき項目が数多く残されている。例えば、化 

学組成や熱処理 ( 合金化と析出処理 )の最適化、ある 

いは、前駆体線材作製時や析出処理前の塑性変形量と 

超伝導特性の関係の検討、などである。それらの件に 

ついては今後の検討課題である。 

参考文献 

[1] S.Saito, S.keda, K.Ikeda and S.Hanada : J.Japan 

Inst.Metals 53 (1989) 458-463. 

[2] 白石剛 , 小倉優弥 : 足利工業大学 2008 年度卒業論文 

[3] 井原英雄 , 戸叶一正 : 超伝導材料 (1987) 東京 

大学出版会 

- 60 -

内部拡散法によって作製した MgB 2 線材の超伝導特性 

The development of MgB 2 wires by internal diffusion process 

物質・材料研究機構松本明善、戸叶一正、熊倉浩明 

Matsumoto, K. Togano, H. Kumakura 


Abstract: 

We found that the reaction between a Mg core and a B powder layer in an internal Mg diffusion (IMD)-processed wire 

can proceed rapidly even at a furnace temperature lower than the melting point of Mg (650 ◦C), resulting in the formation of 

a reacted layer with a fine composite structure and, hence, excellent in-field critical current properties. The multi-filamentary 

wire is composed of an outermost Cu–Ni sheath and seven filaments with a Ta sheath, a Mg core, and B + SiC powder filled 

in the space between the Ta sheath and the Mg core. Heat treatment at 645 ◦C for 1 h produced a reacted layer with dense 

composite structure along the inner wall of the Ta sheath and a hole at the center of each core. This reaction probably initiated 

from the heat generation at the B/Mg interface, resulting in a temperature rise of the Mg core and the occurrence of liquid Mg 

infiltration. The J c value at 4.2 K for the reacted layer exceeds 10 5 A/cm 2 at 9 T, which is the highest reported so far for MgB 2 

wire, including powder-in-tube (PIT)-processed wires. These results indicate that the IMD process can compete in terms of 

practical wire fabrication with the conventional PIT process. 

Keywords: MgB 2 , Diffusion process, J c , connectivity, H c2 

E-mail: MATSUMOTO.Akiyoshi@nims.go.jp 


MgB 2 超伝導体は 2001 年に日本で発見されて以来、 

基礎的な研究とともに、応用を目指した研究が盛んに 

行われてきている。特に上部臨界磁界 H c2 では、Nb 3 Sn 

超伝導体に匹敵する値が報告されている[1]。我々はこ 

れまでに未反応の混合粉末を金属管に詰め込み、熱処 

理によって MgB 2 を生成させる in-situ パウダー・イン・ 

チューブ(PIT) 法においてナノ SiC 粉末を添加すること 

によって高磁界下で高い臨界電流密度 (J c ) 特性を示 

す線材作製に成功している[2]。しかしながら、PIT 法 

による線材は高い充填密度を得ることが困難なため、 

高い H c2 を有しているにもかかわらず、低い J c しか得 

られていなかった。そこで本研究では高い充填密度が 

得られる拡散法を採用することによって従来にない高 

い特性を達成することを目指して線材開発を行った。 


拡散法による MgB 2 線材の作製手法は基本的には 

PIT 法に類似している(Fig.1)。PIT 法は原料粉末の全て 

を粉末で金属管に挿入するのに対して、拡散法はマグ 

ネシウム原料粉末の替わりに金属マグネシウムの棒を 

用いる事が特徴である[3,4]。従来マグネシウムは加工 

が困難であることが知られているが、硼素粉末で拘束 

されている状況下において加工が可能であることがわ 

かった。タンタル管にマグネシウム棒と硼素粉末ある 

いは高磁界特性向上のための SiC と硼素粉末の混合粉 

末を充填し、溝ロールおよびダイス等によって線引き 

加工を行った。その後、さらに7 芯の単芯線材を Cu-Ni 

合金に詰め込み、線引き加工によって最終的に 1.2mmφ 

まで加工を行った。その線材を I c 測定用に 4cm 程度に 

切断して熱処理を行った。熱処理条件は PIT 法とほぼ 

同条件でマグネシウム融点近傍の 645℃ 程度で行った。 

作製した線材は磁場中および温度可変で I c 測定を中心 

に行った。 

Fig.1 T c transition curve from magnetization 

measurements. T onset c is 28.2 K. 


Fig.2 に加工後の線材断面形状および熱処理後の断 

面形状についての結果を示す。約 1.2mmφまで断線も 

なく、マグネシウム棒もほぼ均一に加工されている事 

がわかった。熱処理後はちょうどマグネシウムロッド 

の部分が硼素側に拡散しており、マグネシウムがあっ 

た領域は空洞となっている事がわかる。線材中央部に 

大きな空洞ができている分、MgB 2 自身は非常に高密 

度に形成されていることが SEM 写真からわかってい 

る。Fig.2 は単芯線材の結果であるが、多芯線材におい 

ても同様に良好な加工および組織が得られていること 

を確認した。 

- 61 -

4. まとめ 

MgB 2 超伝導線材を従来の PIT 法とは異なる手法で 

ある拡散法を用いて作製を行った。硼素粉末に囲まれ 

た環境下において加工しにくいマグネシウムが目的線 

径まで良好に加工される事がわかった。また、J c -B-T 

特性の結果、従来の線材を凌駕する特性が得られてい 

る事がわかった。 

謝辞 

これらの研究の一部は科研費 (19560716)および科研 

費 (19560716)により実施された。 

Fig.2 Optical microimages of cross section in longtudinal 

direction 

Fig.3 に作製した多芯線材の J c の温度 - 磁場依存性の 

結果を示す。4.2K, 10T あるいは 20K, 5T において 

10 5 A/cm 2 級の値が得られることがわかった。これらの 

温度磁場依存性からほぼ全温度および全磁場領域で特 

性が向上していることがわかった。これらの値は薄膜 

の値に匹敵し[5]、高密度化によって高い J c が達成され 

たためと考えられる。 

参考文献 

[1] A. Matsumoto, H.Kumakura, H. Kitaguchi, B. J. 

Senkowicz, M. C. Jewell, E. E. Hellstrom, Y. Zhu, P. M. 

Voyles, and D. C. Larbalestier: Appl. Phys. Lett. 89 (2006) 

132508. 

[2]A. Matsumoto, H. Kumakura, H. Kitaguchi and H. 

Hatakeyama, Superconductor Science and Technology, 

17(2004) S319 

[3] K. Togano, A. Matsumoto, H. Kumakura, H. Wada, M. 

Kimura, Superconductor Science and Technology, 21(2008) 

095007 

[4] J. M. Hur, K. Togano, A. Matsumoto, H. Kumakura, H. 

Wada, M. Kimura, Superconductor Science and Technology, 

21(2008) 032001(1-4) 

[5] A. Matsumoto, Y. Kobayashi, K. Takahashi, H. 

Kumakura, H. Kitaguchi, Applied Physics Express1 

(2008) 021702 

Fig.3 J c -B curvs for the sample heated 645 o C for 1h 

measured at various temperatures in magnetic fields up to 

18 T. The I c values are also shown as the second Y 

axis(right-hand scale of the figure). 

- 62 -

高 Ga 濃度 Cu-Ga 化合物を用いた V 3 Ga 超伝導線材における Mg 添加効果 

Effect of Mg addition on the superconducting properties of the V 3 Ga multifilamentary 

wires using high Ga content Cu-Ga/V precursor 

自然科学研究機構核融合科学研究所菱沼良光、西村新 

Yoshimitsu Hishinuma, Arata Nishimura 

National Institute for Fusion Science 

物質・材料研究機構菊池章弘、飯嶋安男、竹内孝夫 

Akihiro Kikuchi, Yasuo Iijima, Takao Takeuchi 


( 株 ) 大阪合金工業所谷口博康、朝永満男 

Hiroyasu Taniguchi, Mitsuo Tomonaga 

Osaka Alloying Works Co. Ltd 

Abstract: 

V 3 Ga compound has a short radioactive decay time and it will be one of the candidate superconductors with both low 

activation and high field properties so called “Low activation superconducting materials”. However, it was also well known 

that J c -B properties of V 3 Ga wire are lower than that of Nb-based wires such as Nb 3 Sn and Nb 3 Al, so the enhancement of 

J c -B in V 3 Ga wire is required in order to be sufficient for advanced D-T fusion reactor. Many investigations of the effect of 

substitution and impurities for the further J c improvement of V 3 Ga wire via conventional diffusion process had been carried 

out. However, no significant J c improvement like the addition of Ti to Nb 3 Sn wire was observed. Recently, we succeeded in 

developing new V 3 Ga mono-cored and multifilametary wires, fabricated via the Powder In-Tube (PIT) process using the high 

Ga content compounds with the aim of the J c enhancement by the increase of V 3 Ga volume fraction. Consequently, we also 

carried out Mg addition to the V 3 Ga phase though a new PIT process for the further J c improvement. The small amount of 

Mg addition within 1.0 at% was improved H c2 to about 23.5 T. The Mg addition effect on the superconducting properties in 

the new PIT process is reported in this paper. 

Keywords: V 3 Ga, high Ga contet Cu-Ga compound, PIT process, Mg addition, multifilametary wire, superconducting property 

E-mail: hishinuma.yoshimitsu@nifs.ac.jp 


国際熱核融合実験炉 (ITER) 計画以降の核融合実証 

(DEMO) 炉や発電炉では、高磁場によって重水素 (D)とト 

リチウム(T)の核融合反応を閉じ込めを行う。真空容器 

内では核燃焼プラズマと供に 14MeV の高エネルギ- 中 

性子が生成し、減衰しながら各種ポ-トから透過や漏洩 

し、超伝導マグネットまで到達することが知られている。 

実証炉や発電炉では、14MeV 中性子の総発生量は運転 

時間に積算して増加し、中性子遮蔽材や超伝導マグネッ 

ト等の周辺機器の放射化が懸念される。放射化特性を考 

える上で長寿命の核種を有しない材料が第一義的であ 

り、Nb よりも遥かに短い半減期を有している V 基化合 

物超伝導線材が 1 つの候補材料であると考えられる。中 

でも V 3 Ga は臨界温度 (T c )や臨界磁界 (H c2 )が Nb 3 Sn とほ 

ぼ同等であるが、低い J c -B 特性であることが知られて 

おり、未だ最適化されていない材料である。 

我々は V 3 Ga 超伝導相の体積分率の増加による超伝導 

特性の改善を目的に高 Ga 濃度 Cu-Ga 化合物との複合加 

工法の開発に成功した。更なる J c -B 特性の向上を目的 

に V 3 Ga 相中への Mg 添加を検討した。これまでの過去 

のブロンズ法において様々な元素及び不純物添加によ 

る効果が検討されたが、Mg 添加以外に明確な J c 特性向 

上の知見が得られていない。そこで、製法が異なる V 3 Ga 

線材における Mg 添加効果について調査した。 


Mg 添加は高 Ga 濃度 Cu-Ga 化合物中に添加し、Cu-Ga 

化合物を溶解によって作製する際に 0.5、1.0、5.0at%に 

相当する Mg 金属粒を混入した。本研究では最も Hc2 

特性の良い Ga 濃度である Cu-50at%Ga 化合物への Mg 

添加を行った。得られた Mg 添加された Cu-Ga 化合物 

粉末を V 管 ( 外径 10mm、内径 6mm)に充填し、直径 1.0mm 

まで線材加工を行い、単芯線材を作製した。単芯線材を 

適当に切断し、19 本の単芯線材をそれぞれ再度 V 管に 

組み込み、直径 1.04mm まで加工することで 19 芯芯線 

材を作製した。作製した多芯線材を種々の条件で真空熱 

処理し、V 3 Ga 超伝導層を生成した。 

超伝導特性の評価は、大型ハイブリッドマグネットを 

用いて、直流 4 端子法による臨界磁界 (H c2 )と 4.2K 中で 

の臨界電流密度 (J c )とで行った。H c2 特性は 200 mA を通 

電しながら、磁場を変化させて電気抵抗 ( 超伝導 - 常伝導 

遷移 )を測定した。また、J c 特性は臨界電流 (I c ) 値を生成 

した V 3 Ga 相の断面積で除した値 (Layer J c )とした。また、 

Mg 添加 Cu-Ga 化合物や生成した V 3 Ga 相について SEM 

及び EPMA を使用した微細組織観察を行った。 


溶解にて作製した Mg 添加 Cu-Ga 化合物の組織観察 

した結果、添加した Mg は酸化されずに主にγ 相 

- 63 -

Fig.1 Effect of Mg addition on the J c -B properties of the V 3 Ga 

multifilamentary wires via Cu-50at%Ga/V PIT precursor 

(40at%Ga)に固溶する傾向が見られ、Mg 単体としては存 

在しないことが分かった。図 1 に Mg 添加 Cu-50at%Ga 

多芯線材における J c -B 特性の Mg 添加量依存性を示す。 

図中のプロットは各 Mg 添加量で最大の特性を示して 

いる。Mg 添加によって最適熱処理温度が高くなる傾向 

が見られた。J c -B 特性は明確な Mg 添加量依存性を示し 

ており、1.0at%で最大の特性を示した。最適熱処理温度 

の高温化及び J c -B 特性の Mg 添加量依存性はブロンズ 

法 V 3 Ga 線材でも確認されており、Mg 添加は J c 特性向 

上の方法の 1 つとして効果的であることが示唆された。 

図 2 に Kramer の式により推定した H c2 特性の Mg 添加 

量依存性を示す。従来のブロンズ法による H c2 は 20.5T 

程度であったが、高 Ga 濃度化合物による PIT 法線材で 

は 22T まで向上した。更に、H c2 特性は Mg 添加量によ 

る依存性が明瞭に示唆され、1at%Mg 添加で最大の 

23.8T の H c2 特性が得られた。この傾向は J c -B 特性でも 

見られており、高 Ga 濃度化合物による PIT 法における 

Mg 添加は有効な手法であることが分かった。 

次に、超伝導特性の変化と微細組織の関連について調 

査した一例として、EPMA による V 3 Ga 拡散相の元素マッ 

ピングと定量分析結果を図 3 に示す。生成した V3Ga 拡 

散相は厚さ 10µm の均質な V 3 Ga 相が生成したことが分か 

ったが、拡散相中の TAP 分光結晶による定量分析では 

Mg の明瞭なプロファイルが観察されなかった。今後は 

Mg の挙動における詳細な微細組織観察が必要である。 

Fig.2 The comparisons of Kramer plots in high magnetic field 

between the various amount of Mg addition V 3 Ga 

multifilamentary wires using Cu-50at%Ga. 

Fig.3 The element distributions and K a line profiles in 

diffusion layer of the Mg addition V 3 Ga multifilamentary 

wires using Cu-50at%Ga. 

4. まとめ 

高 Ga 濃度化合物による PIT 法における Mg 添加効果に 

ついて検討した結果、微量添加は超伝導特性を改善する 

ことが示唆されたが、Mg の挙動については更なる調査 

が必要である。 

謝辞 

本研究は NIFS 運営交付金 (UCFF005-2)、NIFS 共同 

研究 (KKMF003) 及び文部科学省原子力試験研究費か 

らの助成を受けて実施されたものである。 

- 64 -

YBCO コイルの製作と評価 

Construction and test of YBCO coils 

物質・材料研究機構 Uglietti Davide、崔世鎔、松本真治、木吉司 

Uglietti Davide, Choi Seyong, Shinji Matsumoto, Tsukasa Kiyoshi 


Abstract: 

REBCO coated conductors are available on longer and longer length from industrial manufacturers. While the excellent 

mechanical properties are limiting the coil current for large coils (diameter > 200 mm) in smaller coils (diameter 21 T) because of the 

remarkable superconducting and mechanical properties. 

The double pancake construction has been often used for 

winding insert coil using high T c superconducting tapes 

(Bi2212 [1], Bi2223 [2] and YBCO). In this work coils of 

various sizes (from 16 to 220 mm of inner diameter) have 

been fabricated by layer winding using coated conductor 

tape from SuperPower. 

2. Coil design 

The coil current is either limited by the mechanical 

properties or by the critical current density [3]. The 

superconducting critical current density and the mechanical 

critical current density (J cmec , as defined in [3]) at 500 MPa 

have been plotted in Fig.1. In large coils (>200 mm 

diameter) J cmec is limiting the coil current, while for small 

coils (

Fig.2 Coil 6X60. 

Fig.3 Magnetic field in the coil center and voltage drop 

as a function of the coil current for the coil 6X60. 

Table II Summary of the field generated by the small coils (inner diameter

HTS テープ線材の磁場遮蔽 

Magnetic field shielding by HTS tape conductors 

物質・材料研究機構松本真治 , 内田公、木吉司 

MATSUMOTO Shinji, UCHIDA Akira, KIYOSHI Tsukasa 


Abstract: 

Magnetic field shielding is considered for practical uses of coils wound from superconducting tape conductors. Second 

generation high temperature superconductors (2G-HTS) with a highly oriented superconducting layer are expected to show 

large magnetic field shielding. Magnetic field shielding of YBCO 2G-HTS was measured at 4.2 K in the applied magnetic 

field by a 12-T conduction cooled superconducting magnet at the Tsukuba Magnet Laboratory. The magnetic field was 

measured using the hall sensor put between layered YBCO tape conductors. Tape conductors were insulated with Kapton R 

films. The layered tape conductors were cooled down to 4.2 K before applying magnetic fields. The magnetic field was 

applied up to 11 T and reduced to 0 T. The magnetic field was measured continuously in four cycles of the applied magnetic 

field. The direction of the applied magnetic field was perpendicular to the tape. Magnetic field shielding was measured by 

changing the number of tapes. For the case of fifteen tapes, the applied magnetic field almost never penetrated below 1.5 T, 

and the maximum magnetic field shielding of -1.58 T was measured in the applied magnetic field of 1.78 T. The magnetic 

field shielding of about -0.5 T was observed even in the applied magnetic field of 11 T. 

Keywords: magnetic field shielding, second generation high temperature superconductor (2G-HTS) 

E-mail: matsumoto.shinji@nims.go.jp 


Y 系テープ線材に代表される第 2 世代高温超伝導線 

材 (2G-HTS)によるコイル開発は、実用を目的とし 

たものになりつつある。テープ線材を使ってコイルを 

設計・製作する場合、線材による磁場遮蔽効果や線材 

を貫く磁束の時間変化を考慮する必要性が指摘されて 

きた。これまでに、第 1 世代高温超伝導線材である Bi 

系線材において、磁場遮蔽効果や線材を貫く磁束の時 

間変化についての多くの報告がなされてきた。今後、 

応用範囲が飛躍的にひろがると予想される Y 系テープ 

線材の場合、極めて高い配向性を持つ超伝導層が存在 

するため、磁場遮蔽効果はより大きくなると考えられ 

ている。Y 系 HTS テープ線材を積層させ、磁場の遮蔽 

効果について測定した。 


磁場遮蔽効果の測定は、Fig. 1 に示すようにホール 

素子 (F.W.BELL-BHT921)の上下 ( 外部磁場中心軸に 

対し)を、同じ枚数を積層させた Y 系テープ線材で挟 

み込み磁場 (B hall )を測定した。線材は、TABLE I の 

諸元のものを 30mm の長さの短冊状にして積層させた。 

本研究においては、テープ線材の枚数 (N)は、片側 

の積層枚数で表記する。外部磁場 (B ex )は、物質・材 

料研究機構強磁場共用ステーションにおいて、冷凍機 

冷却型超伝導マグネット(JASTEC-12T/100mm)を用 

いてテープ線材の幅広面に垂直方向に印加した。テー 

プ線材は、実際のコイルを想定して、線材間をカプト 

ン R フィルムで絶縁し積層した。 

N 

Parameter 

Conductor 

Width 

Thickness 

Ic (@1μV/cm) 

hall sensor 

30 mm 

Fig.1 Magnetic field shielding was measured using a 

hall sensor put between layered HTS tape conductors. 

N is the number of layered HTS tape conductors. 

Table I Properties of YBCO HTS tape conductor 

Value 

SuperPower / YBCO 2G-HTS Tape 

Surround Copper Stabilizer (SCS) 12050 

12.0 mm 

0.091 mm 

259×(1±0.01) A 

HTS tape 

Bex 


15 枚積層した場合の、外部磁場 1 サイクル(0T→ 

11T→0T)での測定結果を Fig. 2 に示す。外部磁場を 

印加しないでテープ線材を 4.2K まで冷却した初期状 

態から、印加した外部磁場が約 1.5 T に到達するまで、 

ホール素子の位置においてはテープ線材による磁場遮 

- 67 -

蔽効果で磁場は侵入しなかった。ホール素子で測定し 

た磁場から外部磁場を差し引いたもの(ΔB)も Fig. 2 

に示す。11T まで外部磁場を印加しても、約 -0.5T の磁 

場遮蔽効果は残っており、その後外部磁場の減少に対 

し、テープ線材が磁束を捕捉してゆく様子が測定でき 

た。遮蔽効果の最大値 (B s,max )は、-1.58 T( 外部磁場 : 

1.78T)であった。また、1 サイクル終了した時点にお 

いては、テープ線材が磁束を捕捉した状態にあり、こ 

の実験結果は、HTS テープ線材を積層することで HTS 

バルク磁石と同じような磁石が製作できることを示唆 

している。積層枚数を変化させて初期状態から、外部 

磁場を連続して4サイクル変化させた場合の各サイク 

ルにおける磁場遮蔽効果の最大値を Fig. 3 に示す。 

4. まとめ 

Y 系線材に代表される2G‐HTS 線材による超伝導 

コイル開発において影響が考えられる、線材による磁 

場遮蔽効果について調べた。Y 系 HTS テープ線材を用 

いた実験結果からは、磁場遮蔽効果は 10T を超える磁 

場中においても残っていることがわかった。また、外 

部磁場を一定に保持した場合、ホール素子で測定して 

いる磁場が時間変化することもわかり、実際に2 

G-HTS 線材でコイルを設計・製作する場合、どのよう 

に影響するかについて更に検討する必要がある。 

12 

N=15 

2.5 

B hall [ T ] 

8 

4 

0 

B = B hall − B ex [ T ] 

0 

−2.5 

0 4 8 12 

B ex [ T ] 

B hall 

B 

Fig.2 Magnetic field shielding by YBCO tape conductors 

for N=15. 

0 

B s,max [ T ] 

−1 

1 tape 

5 tapes 

15 tapes 

−2 

1 2 3 4 

Repetition Number 

Fig.3 Maximum values of magnetic field shielding depending 

on the number of layered YBCO tape conductors. 

- 68 -

押し出しを利用した Cu 安定化 V-Ti 合金線材の超伝導特性 

Trial manufacture of RHQT Nb 3 Al cable-in-conduit conductor 

物質・材料研究機構竹内孝夫 , 瀧川博幸 , 伴野信哉 

Takao Takeuchi, Hiroyuki Takigawa and Nobuya Banno 


徳島大学中川正規 , 井上廉 

Masami Nakagawa and Kiyoshi Inoue 

Tokushima University 

Abstract: 

We have succeeded in making a superconducting V–Ti alloy multifilament wire using the diffusion reaction between 

constituent pure-metal subelements, which can omit the melt-and-casting step and may reduce the fabrication cost. A 

single-stacked billet prepared by restacking hexagonal Ti/V composites in a Cu/V tube and a double-stacked billet by 

restacking such Cu/V/Ti/V composites in a Cu tube were hydrostatically extruded and drawn down to wires. Three kinds of 

heat treatment were investigated; (1) an alloying heat treatment (HTalloy) which is carried out at the final size (‘fs-HTalloy’), 

(2) HTalloy is followed by cold-working (W) down to the final size (‘HTalloy +W’), and (3) an intermediate precipitation 

heat treatment (HTprec) is carried out during the W stage coming after the HTalloy stage (‘HTalloy +W+ HTprec + W’). 

The ‘HTalloy +W+ HTprec + W’ treatment was found to be most effective in enhancing the critical current densities, despite 

the HTprec treatment having slightly degraded the critical magnetic field. 

Keywords: hydrostatic extrusion, Cu stabilizer, alloying heat treatment, precipitation, deforamtion 

E-mail: TAKEUCHI.Takao@nims.go.jp 


将来の実用段階の核融合炉を考えると、Nb と比べて 

半減期が遙かに短い低放射化核種の V を構成元素とす 

る V-Ti 合金は Nb-Ti 合金の代替え合金材料となる可能 

性を有する。最近、溶解鋳造工程を省略して、V と Ti 

の複合多芯線から直接拡散反応により V-Ti 合金多芯 

線を製造する方法を提案したが、試作した V-Ti 合金多 

芯線を最終線径で合金化熱処理する限り、大きな輸送 

電流特性を得ることができなかった。また、従来、合 

金化のための拡散の熱処理後に加工と Ti の析出熱処 

理を行って輸送電流特性の改善を試みてきたが、必ず 

しも期待していた成果が十分に得られてこなかった。 

多元合金系への展開も含めて合金組成の自由度を確保 

するために純 V 線と純 Ti 線を混合させていたが、そ 

の際の配置の仕方がどうしても不均一 (Fig.1)になり、 

その結果、拡散反応によってできる V-Ti 合金の組成が 

不均質となったことがその一因であると考えられる。 

H19 年度、Ti/V 単芯六角ロッドを出発材料に選び、こ 

れを多数本束ねて Cu/V 2 重管に挿入後静水圧押し出 

しし、伸線加工してシングル(1 次スタック) 線を作 

製し、このシングル線について拡散熱処理を施しその 

超伝導特性を報告した。H20 年度は、六角成形した 

Cu/V/Ti/V シングル線を多数本束ねて Cu 管に挿入、静 

水圧押し出し、伸線加工を実施してマルチ(2 次スタ 

ック) 線を試作したので、その拡散組織と超伝導特性 

を報告する。 


対辺長が 1.2 mm の六角 Cu/V/Ti/V シングル線を12 

1 本束ねて 20/14.9 mmφの Cu 管に挿入して静水圧押 

し出ししたのち線径が 3.98mmφ まで伸線加工を施し 

た。Fig. 1 に光学顕微鏡で撮影した断面組織を示す。 

Ti/V 要素のサイズが約 10μm である。このサイズで合 

金化熱処理を施した。熱処理時間を決定するために事 

前に切り出した短尺線について 850℃で 15 分、1 時間 

および 5 時間の拡散熱処理とその断面観察を行った 

(Fig.2)。この予備検討結果から、Ti/V 要素が一様に 

合金化する 850℃-5h を合金化のための熱処理条件に 

採用した。3.98mmφ で合金化熱処理 (HT alloy )した後、伸 

線加工 (W 1 )した。一部の試料については、2.15mmφま 

たは 1.0mmφまで伸線したところで 400℃-24h の析出 

熱処理 (HT prec )を施し、その後最終線径まで伸線加工 

(W 2 )した。 

Fig.1 Cross-section of a 121-filament Cu/V/Ti/V 

composite unreacted, 3.98 mm in diameter: (a) overall, (b) 

a magnified filament which consists of 139 Ti/V elements. 

- 69 -

2000 

Fig.2 Fig.2 Cross-sections of diffusion reacted 

Cu/V/Ti/V composites at 850℃ for (a) 15 min, (b) 1 h 

and (c) 5 h. 

3. 結果 

Fig.3 に銅を除いた断面積で臨界電流値を除して求 

めた non-Cu J c の磁化依存性を示す。合金化熱処理を施 

した後伸線加工しただけの場合 (HT alloy +W 1 +W 2 )と比 

べて、伸線加工の途中で Ti の析出熱処理を施した場合 

(HT alloy +W 1 +HT prec +W 2 )の方が、臨界電流密度が大幅 

に改善している。これらの傾向は、H19 年度に実施し 

た単芯線の結果と一致する。また、Fig.4 に溶解鋳造し 

た V-Ti 合金と拡散法により作製した3 種類の V-Ti 合 

金線 ( 出発材料が V 線および Ti 線の要素線スタック 

線材、Cu/V/(Ti/V) 単芯線、Cu/V/(Ti/V) 多芯線の V-Ti 合 

金フィラメントあたりの臨界電流密度特性を比較した。 

いずれも HT alloy +W 1 +HT prec +W 2 処理を施して、それぞ 

れ、これまでに得られた最高の臨界電流密度特性をプ 

ロットしている。溶解鋳造して作製した V-Ti 合金は、 

4T 以上の高磁界で臨界電流密度が高くなるのに対し 

て、拡散法で作製した V-Ti 合金は、いずれも低磁界で 

の Jc が高くなるのが特徴である。要素線スタック法と 

比べて均一な Ti/V 拡散対構造の Cu/V/(Ti/V) 単芯線、 

Cu/V/(Ti/V) 多芯線の J c は若干であるが高い。 

J c of V-Ti Alloy Filament (A/mm 2 ) 

1500 

1000 

500 

0 

(HT alloy or HT sollution treat )+W 1 +HT prec +W 2 

Elemental wire bundle 

0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 

Magnetic Field, B (T) 

Melt&Cast 

ElementalWire900C100h 

Single900C24h 

Single700C0.25h 

Multi850C5h 

Fig.4 Comparison of critical current densities of V-Ti alloy 

filaments between melt-&-cast alloy and three kinds of 

diffusion processed V-Ti alloy (Elemental wire stacked 

composite, Cu/V/(Ti/V) single stacked composite, and 

Cu/V/(Ti/V) multi stacked composite). 

Fig. 3 において最終線径が揃っていないのは、0.5mm 

まで伸線する予定であったにも拘わらず断線が生じた 

ためである。断面観察すると、各フィラメント径が一 

様でなくソーセージングが発生していることが確認さ 

れた。これは 850℃の合金化熱処理でも Cu の軟化が依 

然著しいことを示唆する。 

合金化熱処理後 0.82mmφまで伸線加工したままの 

試料と 1.0mmφでの析出熱処理をはさんで 0.66mmφ 

まで伸線加工した試料について、電気抵抗率の温度依 

存性を Fig. 5 に示す。 

3.5 

No1 V-Tiマルチ3.98φ850C5h 0.82φ 

No3 V-Tiマルチ3.98φ850C5h 1.0φ400C24h 0.66φ 

3.0 

RRR :37 

Non-Cu J c 

(A/mm 2 ) 

900 

800 

700 

600 

500 

400 

300 

200 

100 

0 

No3(3.98mmφ-850℃5h/1.0mmφ-400℃24h) 1.0mmφ 



No1(3.98mmφ-850℃5h) 1.0mmφ 

No1(3.98mmφ-850℃5h) 0.82mmφ 





HT alloy 

+W 1 

+HT prec 

+W 2 

850 o C5h 

3.98mm 

400 o C24h 

1.0mm 

HT alloy 

+W 1 

+HT prec 

+W 2 

2.15mm 

HT alloy 

+W 1 

+W 2 

0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 

B (T) 

Resistivity (10 -8 m) 

2.5 

2.0 

1.5 

1.0 

0.5 

RRR:49 

0.0 

0 50 100 150 200 250 300 

Temperature (K) 

Fig.5 Typical temperature dependence of resistivity 

for diffusion processed multifilamentary Cu/V/(V-Ti) 

alloies. 

本研究は、原子力委員会の評価に基づき、文部科学 

Fig.3 non-Cu J c -B curves of multifilamentary 

Cu/V/(V-Ti) alloies. 

省原子力試験研究費により実施されたものである。 

- 70 -

Gd 系高温超電導線材の臨界電流の磁界特性 

Critical current characteristics of GdBCO coated conductor in magnetic field 

九州電力株式会社岡元洋 

Hiroshi Okamoto 

Kyushu Electric Power Co., Inc. 

物質・材料研究機構二森茂樹 , 伊藤喜久男 

Shigeki Nimori, Kikuo Itoh 


株式会社フジクラ齊藤隆 

Takashi Saito 

Fujikura Ltd. 

超電導工学研究所町敬人 , 塩原融 

Takato Machi, Yhu Shiohara 

Superconductivity Research Laboratory 

Abstract: 

In the optimal design of power applications, it is necessary to understand critical current property of superconducting 

wire. ReBCO coated conductor has high performance in magnetic field. The research and development for high-current, 

long-length and low-cost of ReBCO coated conductor has been steadily advanced in the improvement of characteristics of 

the substrate, the buffer layer and the superconducting layer in the country and overseas. In this study, we reported angular 

dependence of critical current at 77 K and 65K, and magnetic field dependence of critical current density at some 

temperatures for GdBCO coated conductor. 

Keywords: GdBCO, critical current, high magnetic field, coated conductor, high T c superconductor 

E-mail: hiroshi_a_okamoto@kyuden.co.jp 


高温超電導線材は、第二世代の Re 系線材 (Y、Gd、 

Ho など)が実用線材として、安定製造技術開発の段階 

にある。大電流化・長尺化および低コスト化の技術開 

発においては、基板材 (ハステロイまたはニッケル- 

タングステン)や人工ピン導入による臨界電流の特性 

向上、成膜製造の高速化が着実に進展している。高温 

超電導線材の臨界電流 (I c ) 特性は、超電導電力機器 

( 変圧器、SMES など)の導入検討における機器の諸 

元 ( 運転温度や磁界 ) 設定や交流損失特性等の解析の基 

礎要素であり、重要なパラメータの一つである。 

IBAD-PLD 法で作製された GdBCO 線材 ( 以下、Gd 

線材 )の I c 特性について, 高温領域の低磁界角度依存 

性および低温領域における高磁界依存性を報告する。 


超電導変圧器巻線では、線材幅 5mm を使用する 

が、本実験の線材は、電源容量の制約やサンプルホル 

ダーの通電制約を考慮し、線材幅 2.5mm に裁断した。 

表 1には Gd 線材 (ハステロイ基板、IBAD-PLD 線材 ) 

の諸元を示す。なお、Gd 線材は安定化金属材として、 

安定化銀層の上に 0.1mm 厚銅をハンダ付している。 

高温低磁界領域 ( 温度 77K と 65K、磁界 0.3T 以下 ) 

での I c の磁界依存性の測定では、4T マグネット( 九州 

電力 ) 内の回転サンプルホルダー上に約 70mm 長線材 

を取付け、印加磁界の角度を変化させた。 

低温高磁界領域 ( 温度 20K 以上、磁界 15T 以下 )の 

I c の磁界依存性の測定では、18T マグネットに温度可 

変インサート(VTI)を挿入し、30mm 長線材に印加 

磁界 B が線材面に垂直 (: 磁界印加角 90deg)と平行 

(//: 磁界印加角 0deg) 方向に印加するようにサンプ 

ルホルダー(Fig.1)に取付けた。 

線材の電圧電流特性はパルス通電による四端子法で 

測定した。I c の定義は電界基準 1V/cm である。 

Table 1 Specifications of GdBCO coasted conductor 

Size (mm) 

2.5 W 0.22 t 

SC thickness (m) 2.0 

I * c (A) ~90 

*Criterion: 1V/cm, 77K, s.f. 

磁界 B 

// 

 

Fig.1 Sample holder for the 18T magnet 

- 71 -


Fig. 2 と Fig. 3 には、低磁界領域 (0.3T 以下 )の温 

度 (77K と 65K)における、I c (77K、自己磁界 I c で規 

格化 )の磁界 ( 角度 ) 特性を示す。配電用変電所設置の 

超電導変圧器の概念設計では、垂直方向経験磁界は最 

大 0.1T 程度、運転温度 66K である。77K の自己磁界 

I c が 0.1T()では 50% 程度となり、65K では I c 特性 

は向上するが、I c 低下が同程度であることは重要であ 

る。磁界角度特性は、77K と 65K 共に磁界増に従い磁 

界角度 50~60 度付近に I c ボトムが現れている。変圧 

器巻線端部付近は垂直磁界が問題となるので I c ボトム 

特性に考慮が必要である。 

Normarized critical current I c 

2 

1.8 

1.6 

1.4 

1.2 

1 

0.8 

0.6 

0.4 

0.2 

65K 

77K 

B//tape 

Btape 

B//tape 

Btape 

0 

0 0.05 0.1 0.15 0.2 0.25 0.3 0.35 0.4 

Field B(T) 

Fig.2 Field dependence of I c at 77K and 66K for GdBCO. 

Normarized Critical current I c 

2 

1.8 

1.6 

1.4 

1.2 

1 

0.8 

0.6 

0.4 

0.2 

T=65K 

0.02T 

0.03T 

0.05T 

0.10T 

0.20T 

B// tape 

B tape 

T=77K 

0.02T 

0.03T 

0.05T 

0.10T 

0.20T 

0 

-20 0 20 40 60 80 100 120 

Field Angle (deg.) 

で通電し、電磁力により線材の通電部を破損しデータ 

取得が不能となった。今後、磁界と電流通電方向を確 

認の上、実験を行う。 

Btape 

Critical current I c 

(A) 

10 2 20K 

30K 

40K 

10 1 

50K 

60K 

65K 

77K 70K 

1 

0 2 4 6 8 10 12 14 16 

Field B(T) 

Fig.4 Field dependence of I c at some temperatures for GdBCO. 

4. まとめ 

Re 系超電導線材のうち特性向上が著しい Gd 線材の 

臨界電流の磁界特性を評価した。Gd 線材は、中間層改 

良で更なる特性向上が報告されている。今後とも、超 

電導電力機器の最適設計のために線材特性データの取 

得を行う。 

謝辞 

本研究の一部は、経済産業省のプロジェクト「超電 

導応用基盤技術開発」の一環として、新エネルギー産 

業技術総合開発機構からの委託により実施した。 

Fig.3 Angular dependence of I c at 77K and 66K for GdBCO. 

Fig. 4 に、高磁界領域 (16T 以下 )の I c の温度特性を示 

す。印加磁界が ab 面に垂直の場合である。SMES の 

運転磁界・温度の設計に有効な特性データである。な 

お、印加磁界が ab 面に平行 //の場合は、磁界方向を逆 

- 72 -

Bi-2212 線材臨界電流の強磁場中温度依存性 

Critical current density of Bi-2212 wires at various temperatures and high magnetic fields 

日本原子力研究開発機構礒野高明、奥野清 

Takaaki Isono, Kiyoshi Okuno 



Kikuo Itoh 


Abstract: 

For fusion application of silver sheathed BSCCO wires, it is important to decrease amount of silver from the viewpoint 

of reducing radiation wastes at shutdown of the plant. Bi-2212 round wires with low Ag/sc ratio have been developed and a 

wire with Ag/sc=1.8 was tested. Typical Jc value was 930 A/mm 2 at 16T and 10K, that value is much improved than wires 

with Ag/sc=1.3. 

Keywords: Bi-2212, critical current, high magnetic field 

E-mail: isono.takaaki@jaea.go.jp 


核融合発電システムでは、発電における経済性を向 

上させるため、TF コイルは 16~20T の磁場を発生す 

ることが望まれており、これを実現できる超伝導材料 

のひとつとして、銀シース型 Bi-2212 線材が有望と考 

えている。核融合発電システムに応用するには、炉の 

解体時の放射廃棄物の量の削減や製造コスト低減のた 

め、銀の量を減らすことが重要である。そこで銀比を 

1.3 まで減らした銀合金シース型 Bi-2212 丸線を試作し、 

その特性を測定してきた。しかし、銀比 1.3 は製作が 

難しく長尺線材の製作に課題があったことから、銀比 

を 1.8 に戻した試作を行い、製造性に問題ないことは 

確認できた。今回はその臨界電流特性を測定した。 


18T 汎用マグネットに温度可変用インサートを挿入 

して測定を行った。試料は、銀合金シース型 Bi-2212 

丸線で、外径 0.81mm, 銀比 1.8 である(Fig. 1)。試料形 

状は U 字型で、ターミナル間距離は約 16mm(Fig. 2)、 

電圧タップ間距離は約 10mm、素線サンプルをターミ 

ナルにハンダ付けした部分の長さは約 15mm である。 

サンプルの温度を均一にするため、サンプル周囲に流 

すヘリウムガスの温度だけではなく両端子部の温度も 

制御している。この 3 カ所の温度を Cernox で測定し、 

同じ場所にある抵抗ヒータの発熱を制御することで目 

的の温度にしている。 

Fig.1 Cross sectional view of the Bi-2212 wire having low 

silver ratio. 

24mm 

R 5mm 

Outer diameter 

0.814mm 

Ag/SC 1.8 

Ic at 4.2K, self field 519 A 

Jc at 4.2K, self field 2,800 A/mm 2 

(a) Shape of wire 

20mm 

32mm 

16mm 

(b) Wire on holder 

Terminals 

(Copper) 

FRP 

Fig.2 Shape of Sample 

- 73 -


Fig. 3 に、16T における臨界電流密度 (Jc)を示す。Jc 

は 1μV/cm の電界、超伝導体の断面積当たりで示して 

いる。図中、今回試験した銀比 1.8 の線材の Jc を●で 

示し、比較のため以前に測定した銀比 1.3 と 2.8 の線材 

の Jc を□ 及び△で示している。16T, 10K における Jc 

は、銀比 2.8 の線材と比較して 50% 向上した。ゼロ磁 

場における Jc は、銀比 1.8 と 2.8 の線材に差が無かっ 

たことから、磁場特性が向上していることが考えられ 

る。今回は 18T までの測定であり、今後より強磁場で 

の測定を計画している。 

Critical Current Density (A/mm 2 ) 

1000 

800 

600 

400 

200 

0 

8 10 12 14 16 18 20 22 24 26 28 30 

Temperature (K) 

Ag/Sc=1.8 

Ag/Sc=1.3 

Ag/Sc=2.8 

at 16T 

Fig.2 Jc at 16T 

4. まとめ 

銀比 1.8 の銀合金シース型 Bi-2212 丸線を試作し、 

温度、磁場を変えて臨界電流を測定した。16T, 10K で 

の臨界電流密度は 930A/mm 2 であり、銀比 2.8 や 1.3 の 

線材に比べ 50% 以上向上した結果が得られた。 

- 74 -

ブロンズで補強した Bi-2223 テープ線材の高磁場中臨界電流 

Critical current of Bi-2223 tape wire reinforced by bronze in high magnetic field 

( 株 ) 神戸製鋼所財津享司、濱田衛 

Kyoji Zaitsu, Mamoru Hamada 

Kobe Steel, Ltd. 

( 独 ) 日本原子力研究開発機構長谷隆司 

Takashi Hase 


物質・材料研究機構崔世鎔、木吉司 

Seyong Choi, Tsukasa Kiyoshi 


Abstract: 

Bi-2223 superconducting tape is a candidate for the wire of the innermost coil of 1 GHz (23.5 T) or higher field NMR 

magnet. However, the mechanical properties of the Bi-2223 tape without additional reinforcement are not good enough to 

endure electromagnetic force during transporting a practical level of current in magnetic fields over 20 T. In this work, 

critical current of the wire reinforced by the bronze in magnetic fields up to 28 T have been evaluated at temperatures of 4.2 

and under 2.3 K. Overall critical current density which is determined as critical current divided by total cross-sectional area 

of the tape is 161 A/mm 2 in 28 T in the case of applying field parallel to the tape surface. 

Keywords: Bi-2223, critical current density, magnetic field, NMR 

E-mail: kzaitsu.kyoji@kobelco.com 


Bi-2223 テープ線材を 4.2 K 以下に冷却することに 

より、金属系超電導線材のみでは実現が困難と予想され 

る 1.05 GHz(24.7 T)の NMR マグネットなどへの応用 

が考えられる。これまで、温度 4.2 K 以下において 

1) 

Bi-2223 テープ線材やステンレスで補強した Bi-2223 

2) 

線材の臨界電流を 30 T までの外部磁場中で測定した 

結果を報告してきた。 

本報では、ブロンズ補強 Bi-2223 線材の特性測定を 

実施した結果を報告する。これまでに測定してきたス 

テンレス補強線材は機械的強度が優れるものの比抵抗 

が高いために、マグネット化に際しての接続部での抵 

抗増加が想定される。加えて、ステンレスの磁性がマ 

グネットに影響することが懸念される。これらの課題 

を回避すべく、高磁場マグネット用線材として十分な 

強度を持ち、比抵抗の小さな補強部材としてブロンズ 

を選定した。Table 1 にステンレスとブロンズの比抵抗 

と引張強度を示す。 

特性評価においては( 独 ) 物質・材料研究機構の 40T 

ハイブリッドマグネットを利用し、サンプル温度を 

4.2K と 2.3K 以下として 28 T までの磁場中における臨 

界電流を測定した。 

Table 1 Electric resistivity and tensile strength of the 

stainless steel and bronze. 


加圧焼成 (Controlled Over Pressure, CT-OP) 法によっ 

て製造された Bi-2223 テープ線材 1 枚を厚さ 50μm の 

2 枚のブロンズ製テープで挟んだ断面構造 ( 幅 4.55 mm 

× 厚さ 0.36 mm)の線材から長さ 30 mm のサンプルを 

切り出し、外部磁場をテープ面に平行に印加するサン 

プル( 以下、B//と表記 )と、外部磁場をテープ面に垂 

直に印加するサンプル( 以下、B⊥と表記 )に分けて、 

温度 4.2 K における臨界電流 (Ic)の測定を行った。そ 

の後、測定に使用するインサートデュワーを真空ポン 

プで減圧することでサンプル温度を温度 2.3 K 以下と 

し、臨界電流の測定を行った。全ての臨界電流測定は 

四端子法によって行い、一定磁場において B//と B⊥の 

それぞれの試料の Ic を測定した後、別の磁場に移行し 

て、前の磁場での測定とは逆の試料順序で測定した。 

Ic は電界基準 100μV/m を用いて決定した。 


Fig. 1 に、温度 4.2K において外部磁場を 0T→28T→ 

20T の順序で変化させ測定した Ic の外部磁場依存性を 

示す。28T において、B//と B⊥でそれぞれ 304A、190A 

が得られた。それぞれを線材全断面積で除して求めた 

臨界電流密度 Je は 161A/mm 2 、101A/mm 2 であり、ブ 

ロンズ補強 Bi-2223 線材テープ面外部磁場方向を平行 

から垂直に変更することにより、37%の特性低下が生 

じている。同様の測定を行ったステンレス補強 Bi-2223 

線材においても 39%の特性低下が観測されており 2) 、 

補強材をステンレスからブロンズに変更しても特性低 

下割合に変化がないことが明らかとなった。 

- 75 -

Fig.2 に 24T 以上の磁場において、2.3K 以下に線材 

を冷却した場合の Ic の外部磁場依存性を示す。28T に 

おいて、B//と B⊥でそれぞれ 318A、224A が得られた。 

4.2K における Ic と比較するとそれぞれ 5%、18%の特 

性向上が見られる。同様の測定を行ったステンレス補 

強 Bi-2223 線材では B//では 4%、B⊥では 11%の特性 

向上が確認されている 2) 。2.3K 以下への冷却での Ic 

特性向上においてもステンレス補強とブロンズ補強で 

大差ない結果であった。 

4. まとめ 

Bi-2223 テープ線材をブロンズと半田で一体化して 

補強した導体の臨界電流を温度 4.2 K と 2.3 K 以下にお 

いて、28 T までの高磁場中で測定した。その結果、磁 

場が導体テープ面に平行な場合は、28 T における全断 

面臨界電流密度として、161A/mm 2 の値が得られた。 

テープ面と外部磁場方向による特性変化、線材冷却に 

よる特性変化の両方が 2007 年度に測定したステンレ 

ス補強 Bi-2223 線材と同等であることが明らかとなっ 

た。 

謝辞 

この開発は、独立行政法人科学技術振興機構の先端計 

測分析技術・機器開発事業による成果である。 

Fig.1 Magnetic field dependence of critical currents at 4.2 K. 

参考文献 

[1] 長谷隆司 , 財津享司 , 濱田衛 , 崔世鎔 , 木吉司 , 

独立行政法人物質・材料研究機構共用基盤部門 

強磁場共用ステーション 2006 年度年次報告書 , 

(2007) pp.75-76. 

[2] 長谷隆司 , 財津享司 , 濱田衛 , 崔世鎔 , 木吉司 , 

独立行政法人物質・材料研究機構共用基盤部門強 

磁場共用ステーション 2007 年度成果報告書 , (2008) 

pp.61-62. 

Fig.2 Magnetic field dependence of critical currents under 2.3 K. 

- 76 -

強磁場による [Cu(bpy) 2 (BF 4 ) 2 (bpy)] のゲート圧制御 

Control of Gate Pressure of [Cu(bpy) 2 (BF 4 ) 2 (bpy)] by High Magnetic Fields 

信州大学理学部橋川輝一 , 浜崎亜富 , 尾関寿美男 

Kouichi, Hashikawa, Atom Hamasaki, and Sumio Ozeki 

Faculty of Science, Shinshu University 


Haruo Abe 


Abstract: 

Latent pore crystal (LPC) attracts much attention for the new function, property, and so on. Though the magnetic energy 

induced to feebly magnetic molecules is extremely smaller than thermal energy, a large domain as a liquid crystal may be 

oriented due to its diamagnetic anisotropy. LPC is regarded as a homologue with a large molecule and also has metal ions 

such as Cu. Therefore, we examined for [Cu(bpy) 2 (BF 4 ) 2 (bpy)] n , one of the LPC, whether or not its structure can be changed 

by applying high magnetic fields. Evaluation of the gate pressures with the gas adsorption method are useful to detect of 

change of the LPC flame-works. The gate pressure of oxygen was shifted about 5 Torr to the higher pressure under around 

20 T. The gate pressure shift suggests the deformation of the flame-works by magnetic fields. 

Keywords: High magnetic fields, Latent pore crystal, Gate pressure, Adsorption 

E-mail: sozeki@shinshu-u.ac.jp 


集積型金属錯体は一分子中に数個から数十個の金属 

イオンを含み,その金属イオンを中心に有機物が配位 

結合や水素結合 ,ファンデルワールス力などで連結さ 

れるため, 無機化合物の多様性と有機化合物の高い分 

子設計性を併せ持つ。新規の機能 , 物性 , 反応性が見 

出され,ある種の集積型金属錯体では多様かつ特徴的 

な空孔構造を持つため, 吸着媒としての利用も検討さ 


弱磁性分子が通常の磁場中でもつ磁気エネルギーは 

熱エネルギーに比べてはるかに小さい。しかし, 液晶 

や高分子などの集合体や巨大分子は, 磁気異方性によ 

り磁気配向することが知られている。集積型金属錯体 

は金属と有機配位子から構成された巨大分子とみなせ 

ることから, 液晶などと同様に磁気配向する可能性が 

ある。そこで我々は集積型金属錯体の骨格構造を磁場 

で変化させ, 構造や物性を磁場制御することを試みた。 

信州大学理学部にある 6 T 超伝導磁石を用いて磁 

場中で酸素の吸着等温線測定を行い, 集積型金属錯体 

[Cu(bpy)(H 2 O) 2 (BF 4 ) 2 ](bpy) のゲート圧の磁場効果を検 

討した。その結果 ,ゲート圧は磁場中で約 5 Torr から 

8 Torr へとシフトすることがわかった。そこで,ゲー 

ト圧シフトを利用し, 磁場でゲートの開閉を試みたと 

ころ,7 Torr 付近で磁場によるゲートの ON-OFF を確 

認した。この時の相対圧変化は 0.8%で, 圧力変化量に 

すると 7%に相当したが, 絶対圧の変化は極めて小さ 

かった。また,この領域では磁気吸着現象も同時に観 

測されることがわかった。そこで, 強磁場センターの 

40 T 級ハイブリッドマグネットを使用し, 強磁場下で 

のより大きなゲート開閉挙動の観測を試みた。 


[Cu(bpy)(H 2 O) 2 (BF 4 ) 2 ](bpy) を加熱脱気処理 (423 K, 

3 h,

の圧力変化を測定した。6 T の条件ではゲートが 

OPEN の領域にもかかわらず,Figure 2 に示すように, 

磁場印加と共に圧力は増加した。さらに, 消磁と共に 

圧力は減少し,ゲート閉鎖の挙動を示した。すなわち, 

この結果はゲート圧の高圧側へのシフトを示唆するも 

のと考えた。これらの結果より,20 T 付近でのゲート 

圧は 9.2 

圧がより高圧側にシフトしたことを確認できたが,9.2 

Torr での相対圧変化は 0.56%, 圧力変化量にすると 6 T 

時の値と同じ 7 % であり, 強磁場によりゲート開閉 

を明確にすることはできなかった。ただし,ゲート吸 

着と磁気吸着の分離には成功し,ゲート開閉の磁場制 

御を実証できたものと考えられる。 

4. まとめ 

集積型金属錯体の骨格を強磁場で効率的に変化させ, 

ゲート開閉の制御について具体的に検討した。0 T で 

約 5 Torr,6 T で 8 Torr であったゲート圧は,20 T で 

9.2 

ートの開放をさらに抑制させることがわかった。ただ 

し、ゲートの開閉が与える圧力変化は,6 T の時と大 

きな差はなかったと言える。本来は 0 T と 20 T のゲ 

ート圧の中間で測定すべきであったが, 時間の都合で 

強磁場でのゲート圧の決定を行うに留まったことが, 

開閉の効果を顕著に測定できなかった要因と思われる。 

Pressure change, P / P i 

x 100 / % 

0.2 

0.0 

-0.2 

-0.4 

-0.6 

-0.8 

-1.0 

0 50 100 150 

Fig.1 Pressure change of O 2 at around P/P 0 = 0.08 at 77 K 

with magnetic fields of up to 20 T. 

Pressure change, P / P i 

x 100 / % 

1.0 

0.8 

0.6 

0.4 

0.2 

0.0 

Time, t / min. 

20 

15 

10 

5 

0 

25 

20 

15 

10 

5 

0 

Magnetic Field, B / T 

Magnetic Field, B / T 

-0.2 

0 50 100 150 200 

Time, t / min. 

Fig.2 Pressure change of O 2 at around P/P 0 = 0.06 at 77 K 

with magnetic fields of up to 22 T . 

- 78 -

ヘリカルシリカの磁場による構造制御 

Structural Control of Helical Silica due to the Magnetic Fields 

信州大学理学部久保田佳那 , 浜崎亜富 , 尾関寿美男 

Kana Kubota, Atom Hamasaki, and Sumio Ozeki 

Faculty of Science, Shinshu University 


Haruo Abe 


Abstract: 

Mesoporous silicas, which are formed by interaction of the surfactant molecular rods and silica precursor, have 

homogeneous pores of the diameter of 2-50 nm. The mesopore, of helical silicas are used as adsorbent, catalytic supports, and 

molecular separator. Magnetic fields, which bring about small magnetic energy in feebly magnetic molecules, can orient 

molecular assemblies such as micelles due to diamagnetic anisotropy. It is called the magnetic orientation. Since micelles 

used as a template for mesoporous silica formation, helical silicas having large diamagnetic anisotropy were prepared to 

obtain the anomalous functional properties under high magnetic fields. Silicas obtained were characterized by X-ray 

diffraction and scanning electron microscopy. 

Keywords: High magnetic field, Helical silica film, Magnetic orientation, X-ray diffraction 

E-mail: sozeki@shinshu-u.ac.jp 


メソポーラスシリカは、界面活性剤の分子集合体 

である棒状ミセルを鋳型とし形成される多孔体シリカ 

であり, 界面活性剤とシリカ前駆体との相互作用で形 

成される。この有機 , 無機ハイブリッドから, 焼成や 

抽出によって界面活性剤を除去して作製されたメソポ 

ーラスシリカは 2~50 nm の均一な径のメソポアを有 

し, 近年 ,ヘリックス状 , 球状 ,ファイバー状 ,など 

の様々な形状のメソポーラスシリカの合成が行われて 

いる。その中でも螺旋状のメソポーラス物質は固体触 

媒や不斉合成 , 光学分割などへの応用が期待されてお 

り,このような螺旋状のメソポーラス物質の巻き方向 

やピッチの長さ, 形状などの制御が重要である。 

メソポーラスシリカを合成する際に鋳型となる界面 

活性剤は反磁性磁化率の異方性を持つため磁気配向エ 

ネルギーによって分子軸を磁場の印加方向に対して垂 

直に配向させることにより安定化する。我々は,すで 

に 10 T 以下の磁場によりヘリカルロッド長が変化す 

ることを報告した。また, 昨年度の 15 T の実験では, 

無磁場下での 500 nm~2 m のロッド長のヘリカルシ 

リカが,3 m 以上に成長することを確認できた。これ 

らは, 磁場を印加した結果 , 鋳型の棒状ミセルが配向 

し,その結果 ,ヘリカルロッドが配向したため,ロッ 

ト長の促進につながったものと考える。ただし,これ 

らのサンプルについて,XRD パターンに大きな差は見 

られないことから, 配向の磁場依存性と方向性につい 

て厳密に議論ができていない。 

バルク水溶液中で合成を行うと、沈殿を取り出した 

際に磁場の印加方向に対する情報が失われるので, 基 

板上に薄膜状で固定して磁場印加することが必要であ 

る。10 T 以下で明確な磁場配向が得られているので, 

そこで, 本実験では強磁場効果について検討した。 


ヘリカルメソポーラスシリカハイブリッドは鋳型に 

ドデシル硫酸ナトリウム(SDS), 骨格成分にテトラエチ 

ルオルトシリケート(TEOS), 共構造体に塩化トリメチ 

ルオキシシリルプロピル-N,N,N-トリメチルアンモニ 

ウム (TMAPS) を用い,ゾルゲル法で調製した。pH を 

調節した SDS 水溶液に TEOS,TMAPS を加え撹拌し 

た後 , 溶液をガラス板に滴下し, 磁場に対し垂直 ,お 

よび平行になるように固定して, 磁場中 (B ≥ 20 T)に 

25 ℃で 1 h 静置し、その後無磁場下において 35℃で 

21 h 静置した。得られた膜は焼成せず,X 線回折測定 

と走査型電子顕微鏡測定で構造を評価した。 


無磁場で合成したヘリカルシリカハイブリッド膜 

の SEM 画像を Figure 1 (a) に示す。これまで報告して 

きたのと同様に, 長さが 500 nm~2 m のロッドが確 

認できた。一方 5 T の平行磁場中で成長させたヘリカ 

ルシリカハイブリッドは, Figure 1 (b) に示すように 

無磁場のものと比較し,ロッド長が長くなっているこ 

とがわかる。また, 磁場と平行に成長することが確認 

できた。さらに 9 T の垂直磁場中では,Figure 1 (c) に 

示すようにヘリカルシリカハイブリッドが基盤に立つ 

ように成長していることがわかる。 

ヘリカルシリカはヘキサゴナル構造であり, (100), 

- 79 -

および (200) の回折が得られると予想できる。そこで 

0, 1, 4, 11, および 20 T の平行磁場下で成長させたヘ 

リカルシリカハイブリッド膜の XRD 測定を行った。 

Figure 2 に示すように,ヘキサゴナル構造由来の回折 

を 2 = 2.3, 4.6° 付近に確認することができ,これら 

を(100), および (200) の回折と帰属した。また, 磁場 

強度の上昇に伴い,それらのピーク強度が増大してい 

ることがわかる。すなわち, 磁場印加により構造の規 

則性が向上することが示された。 

4. まとめ 

ヘリカルシリカハイブリッド膜を成長させ, 磁場に 

よる配向性や規則性について検討した。SEM 測定と 

XRD 測定より, 磁場と平行方向に SDS の棒状ミセル 

テンプレートが配向し,その周りにシリカの規則構造 

が向上したものと思われる。 

Figure 1. SEM images of helical silica hybrid films prepared at 298 K in the absence (a) and presence of the 

magnetic fields of 5T parallel (b) and 9 T perpendicularly (c) to the film surface for 1 h. 

Intensity, I / c.p.s. 

2000 

1000 

0 

(100) 

20T (200) 

11T 

4T 

1T 

0T 

1 1.5 2 2.5 3 3.5 4 4.5 5 

2θ/ degree 

Fig.2 XRD patterns of helical silica hybrid films prepared at 

298 K under magnetic fields of 0 T, 1 T, 4 T, 11 T, and 20 T 

parallel to film surface for 1 h. 

- 80 -

Cu 母相中における bccFe-Co 粒子のバリアント選択に及ぼす外部磁場効果 

Effects of magnetic field on variant selection of bcc Fe-Co particles in a Cu matrix 

東京工業大学大学院総合理工学研究科島隆一郎、菅野千晴、藤居俊之、尾中晋、加藤雅治 

Ryuichirou Shima, Chiharu Kanno, Fujii Toshiyuki, Susumu Onaka and Masaharu Kato 

Interdisciplinary Graduate School of Science and Engineering, Tokyo Institute of Technology 

物質・材料研究機構大塚秀幸 

Hideyuki Ohtsuka 


Abstract: 

The purpose of the present study is to evaluate the influence of applied fields on variant selection during growth of 

ferromagnetic bcc Fe-Co particles in a Cu matrix. Cu-1.20 at% Fe-0.75 at% Co alloy single crystals, with 2 mm thick and 

(111)-orientated surface, were grown by the Bridgman method. Spherical fcc Fe-Co particles with an average diameter of 25 

nm were obtained by aging process at 973K for 4h. The fcc to bcc martensitic transformation and the resultant 

paramagnetic-to-ferromagnetic transition in Fe-Co particles were induced by simple cooling to 77K. Magnetic torque 

measurements revealed that crystallograhically equivalent 24 variants of the Kurdjumov-Sachs relationship appeared 

approximately equally in the Cu matrix. The aged specimens were annealed at 973K for 4h to 16h with a magnetic field of 

10T parallel to the ]011[ direction of the Cu matrix. The specific variants grown along the magnetic field were preferentially 

selected and their volume fraction increased by about 20% during the annealing. The variant selection proceeded so as to 

minimize the magnetostatic energy of the bcc Fe-Co particles. 

Keywords: Aging; Precipitation; Magnetic anisotropy; Variant selection; Magnetic field 

E-mail: shima.r.aa@m.titech.ac.jp (R. Shima) 


Fe と Co を数 % 含む Cu-Fe-Co 合金を時効すると母相 

に整合な fccFe-Co 粒子が析出する。Fe-Co 粒子内の Co 

濃度が 35at%~55at%のとき、粒子は室温までの単純冷 

却のみで bcc へマルテンサイト変態する[1]。この 

bccFe-Co 粒子は母相との間に Kurdjumov-Sachs(KS)の 

方位関係を満たし、24 通りの結晶学的に等価なバリア 

ントが存在する[2]。また、変態に伴い常磁性から強磁 

性への磁性の変化を伴う。その後さらに熱処理すると、 

bccFe-Co 粒子は母相の方向へと成長し、形状は 

球状から楕円体状へと変化する[3]。また一般に、回転 

楕円体状の強磁性体粒子に磁場を印加すると、粒子の 

長手方向と磁場印加方向が平行となるとき静磁エネル 

ギーが最も小さくなる。そこで本研究では単純冷却に 

よりマルテンサイト変態させた bccFe-Co 粒子を含む 

Cu-Fe-Co 合金を磁場中で焼鈍することにより、粒子の 

成長過程での bccFe-Co 粒子のバリアントの選択性に 

及ぼす外部磁場効果を明らかにすることを目的とする。 

これらの試料の磁気異方性を測定し、試料中に存在す 

るマルテンサイトバリアントの割合を調べた。 


Cu-1.20at%Fe-0.75at%Co 合金単結晶を(111) 面が板面 

となるように方位制御し、ブリッジマン法にて作製し 

た。作製した試料を 1273K で 2h の溶体化処理、973K 

にて 4h の時効処理を行い、冷却によって Fe-Co 粒子を 

マルテンサイト変態させた。その後、973K にて無磁場 

で 8h、および 973K にて 10T の強磁場を母相の]011[ 方 

向に印加しながら 4h から 16h の条件にて焼鈍を施した。 


Fig.1 に 973K で 4h の時効後、冷却ままの試料、そ 

の後 973K にて無磁場で 8h 焼鈍を施した試料、および 

973K にて強磁場を母相の]011[ 方向に印加しながら 4h 

から 16h の焼鈍を施した試料の実験磁気トルク曲線を 

示す。冷却まま(a)、および無磁場で焼鈍を施した試料 

- 81 -

(b)の実験磁気トルク曲線と、磁場中で焼鈍を施した試 

料の磁気トルク曲線 ((c)~(e))とを比べてみると、明ら 

かに曲線形状に違いがあることがわかる。磁気異方性 

測定により得られた磁気トルク曲線は母相と KS 関係 

を満たす 24 通りの bccFe-Co バリアントの結晶磁気異 

方性と形状磁気異方性によって解析することができる。 

そこで 24 通りそれぞれの理論磁気トルク曲線を求め、 

各バリアントの体積分率を変化させながら、実験磁気 

トルク曲線を最も良く再現する理論磁気トルク曲線を 

求めた。 

Fig.2 にフィッティングにより得られた理論磁気ト 

ルク曲線を示す。実線は Fig.1 に示した実験磁気トル 

ク曲線、破線は磁気異方性の理論に基づいた解析によ 

り得られた理論磁気トルク曲線である。Fig.3 に全ての 

バリアントが等しく存在する場合 ( 体積分率が 16.7%) 

からの体積分率の変化率を示す。24 通りのマルテンサ 

イトバリアントは結晶の対称性と母相の 6 通りの 

成長方向を考慮して、V1 から V6 の 6 通りに分 

類してある。冷却ままの試料と、無磁場で 8h の焼鈍を 

施した試料の各バリアントの体積分率はほぼ平均値に 

近いことから、V1~V6 はほぼ等しい量ずつ存在して 

いることがわかる。一方、磁場中で焼鈍を施した試料 

では、磁場印加方向を成長方向とする V5 の体積分率 

が著しく増加していることがわかる。強磁性体粒子は、 

磁場印加方向に成長した方が静磁エネルギーは小さく 

なることから、磁場中焼鈍によって静磁エネルギーが 

最も小さくなるバリアントが選択され成長していると 

結論できる。 

4. まとめ 

本研究では Cu-1.20at%Fe-0.75at%Co 単結晶を用いて、 

磁場中焼鈍を行った。磁気異方性の観点から bccFe-Co 

粒子のバリアントの選択性に及ぼす外部磁場効果を調 

査した結果、磁場中焼鈍によって、静磁エネルギーが 

より小さくなるようなバリアントが優先的に選択され 

成長すると結論できる。 

参考文献 

[1] M.Shiga and M. Yamamoto, J. Phy. Condens. Mater., 13 

(2001), 6359. 

[2] R. Monzen, A. Sato and T. Mori, Trans. Jpn. Inst. Met., 

22 (1981), 65. 

[3] T. Fujii, Y.Watanabe, T. Enami, A. Sato and M. Kato, 

ISIJ Inst., 32 (1992), 1027 

- 82 -

熱酸化法による Co フェライト薄膜の作製と磁気・伝導特性 

Magnetic and transport properties of Co ferrite thins film fabricated by a thermal oxidation. 

物資・材料研究機構高橋有紀子、介川裕章、三谷誠司、猪俣浩一郎、宝野和博 

Y.K. Takahashi, H. Sukegawa, S. Mitani, K. Inomata, K. Hono 


東北大学関剛斎、高梨弘毅 

T. Seki, K. Takanashi 

IMR Tohoku Univ. 

Abstract: 

We made Co ferrite thin film by a thermal oxidation of CoFe 2 film. After oxidation at 300C, CoFe 2 films changes to Co 

ferrite perfectly. The magnetization at 55 kOe is only 300 emu/cc, which is about 71% of the saturation magnetization of the 

bulk sample. The magnetization of the film is hard to saturate, which may be due to the high magnetostriction. An IV curve 

of CPP configuration shows asymmetric, which means the tunneling type transport occurs. The resistivity is few hundred 

m 2 . 

Keywords: Co ferrite, spin filter 

E-mail: Takahashi.yukiko@nims.go.jp 


高スピン偏極電流源の開発はスピントロニクスデバ 

イスの高性能化のためには必要不可欠である。高スピ 

ン偏極電流源としてハーフメタルが良く知られている 

が、強磁性絶縁体を用いたスピンフィルタ素子でも、 

高スピン偏極電流を発生させることができる。強磁性 

絶縁体は伝導帯が交換分裂しているために、電子が強 

磁性絶縁体をトンネルするときに感じるバリア高さが 

スピンの向きによって異なる。トンネル確率はバリア 

高さに指数関数的に効いてくるので、片方のスピンの 

みが優先的に強磁性絶縁層のバリアをトンネルするこ 

とになる。また、強磁性絶縁体は半導体とのコンダク 

タンスミスマッチが小さいために、半導体へのスピン 

注入が効率よく行われることも期待されている。本研 

究では、Co フェライトを熱酸化法で作製し、その微細 

構造、磁気・伝導特性について評価を行った。 


Fig.1 に作製した薄膜の HREM 像を示す。熱酸化を 

することにより CoFe 2 薄膜が完全に酸化されているこ 

とがわかる。格子像は CoFe 2 O 4 のスピネル構造に合致 

する。酸化後の膜厚は 2 倍に増加し約 3 nm である。 

Fig. 2 に SUIQD 磁束計で測定した面内の磁化曲線を示 

す。55 kOe の磁化を印加しても磁化が飽和せず、300 

emu/cc の低い磁化でこれは報告されているバルクサ 

ンプルの約 71% 程度の値である。磁化の飽和しにくい 

のは、Co フェライトの大きな磁歪に起因すると考えら 

れる。Fig.3 にこの薄膜の I-V 曲線を示す。測定は室温 

で行っている。I-V 曲線が非線形な形を示しているこ 

とから、トンネル伝導が起こっていることがわかる。 

また比抵抗は 2 km 2 となった。 


薄膜作製は DC マグネトロンスパッタ法を用いて同 

時スパッタにより行った。基板には MgO(001) 単結晶 

基板を用い、その上に TiN(30nm)/Cr(2nm)/Pt(2nm)/ 

CoFe 2 (1.5nm)/oxidation/Pt(10nm)を室温で成膜した。 

Co フェライトは CoFe 2 薄膜を作成後、1Pa の酸素ガス 

を導入し基板温度を 300C に1 時間保持することによ 

り行った。微細構造解析は XRD と TEM で、磁気特性 

は VSM と SQUID で、伝導特性は直流 4 端子法で評価 

した。伝導特性は電流を膜面垂直方向流す CPP(Current 

Perpendicular to Plane) 配置で行い、このために微細加工 

を行っている。微細加工は、Ar イオンエッチング、電 

子ビームリソグラフィ、フォトリソグラフィを用いて、 

55 m 2 の接合素子を作製した。 

Fig.1 HREM image of Co ferrite after oxidation 

at 300C. 

- 83 -

3 

2 

@RT 

Junction 1 

1 

I (mA) 

0 

-1 

-2 

-3 

-200 -100 0 100 200 

V (mV) 

Fig.2 Magnetizaion curve of Co ferrite after 

oxidation at 300C. 

Fig.3 IV curve of Co ferrite after oxidation at 

300C. 

4. まとめ 

CoFe 2 薄膜を 300C で熱酸化することにより Co フェ 

ライト薄膜の合成に成功した。作製した Co フェライ 

ト薄膜はスピネル構造を有し、飽和磁化が 300 emu/cc 

であった。また、室温でトンネル伝導を示すことが明 

らかとなった。今後は Co フェライト/スペーサー非磁 

性層 / 強磁性層の多層膜を作成し、スピンフィルター効 

果を実現する予定である。 

- 84 -

強磁場によるブロック共重合体ラメラ状ミクロ相分離構造の 

垂直配向化を目指した試み 

Trial of Perpendicular Orientation of Lamellar Microdomains in Films of All-Amorphous Block Copolymers 

by High Magnetic Fields 

京都工芸繊維大学安井章文、櫻井伸一 

Akifumi Yasui, Shinichi Sakurai , Kyoto Institute of Technology 

物質・材料研究機構木吉司 

Tukasa Kiyoshi , National Institute for Materials Science 

首都大学東京山登正文 

Masafumi Yamato , Tokyo Metropolitan University 

京都大学木村史子、木村恒久 

Fumiko Kimura, Tsunehisa Kimura , Kyoto University 

Abstract: 

This study was aimed at achieving perpendicular orientation of lamellar microdomains in films of all-amorphous block 

copolymers by high magnetic fields. For this purpose, we conducted the magnetic orientation of the lamellae in block 

copolymer solutions of polystyrene-block-polyethylenebutylene-block- polystyrene (SEBS-23) with non-volatile selective 

solvent, dibutylphthalate. Due to temperature dependent solvent selectivity, the solutions undergo morphological 

transformation from cylinders to lamellae upon decreasing temperature. By the application of the vertical 12 Tesla magnetic 

field during this transformation, we tried to achieve lamellar orientation perpendicular to the substrate. Nevertheless, 

perpendicular orientation of the lamellae could not be achieved, may be due to stronger surface constraint caused by the 

substrate. However, some informative results were obtained, which may be a consequence of the competing effects of the 

surface field and the perpendicular magnetic field. 

Keywords: block copolymer, high magnetic field, microdomain, orientation, lamellae 

E-mail: shin@kit.jp 

1. 緒言 

近年の磁気科学の進展により、非磁性体に及ぼす 

様々な磁場効果が明らかにされてきた。ソフトマター 

に対しても、強磁場がいかなる影響を及ぼすかについ 

て、近年、種々の研究が行われている。本研究では, 

アモルファス相のみからなるブロック共重合体が形 

成するラメラ状ミクロ相分離構造 ( 数 10nm 程度のサ 

イズの集合組織 )を強磁場によって垂直配向させるこ 

とを目的に研究を行った。 

結晶性高分子が溶融状態から結晶化する過程で強磁 

場を印加すると、その過程で生じる異方構造 (メゾフェ 

ーズ)が配向することが知られている。非晶性の場合は 

結晶格子に基づく磁化率の異方性がないので、磁気ト 

ルクによる配向は期待できない。しかしながら、明確 

な界面によってメソフェーズを形成している場合には、 

界面と磁場の相互作用の結果、磁場配向が実現される 

可能性がある。さらに、磁化率の大きな添加剤をメソ 

フェーズに選択的にドープするなどの工夫によってそ 

の効果は増幅すると期待される。我々は過年度の研究 

で、非晶性のブロック共重合体が形成するミクロ相分 

離構造をモデル系として利用し、非晶性の場合であっ 

てもナノ集合組織を強磁場の作用により配向できるこ 

とを実証した[1]。選択溶媒を用いたキャストによって 

as-cast film 中には非平衡なラメラ構造が形成され、こ 

れを熱処理することによって平衡安定なシリンダー構 

造へ転移する場合を検討した。その結果、キャストを 

強磁場中で行なうことによって、ラメラ構造が基板面 

に平行に配向させることができ、なおかつ、as-cast film 

の熱処理を強磁場中で行なうことによって、ラメラ構 

造からシリンダー構造に転移する際にシリンダー構造 

が印加磁場方向に配向し、高配向シリンダー( 規則的 

六方格子配列 )が得られた。熱処理時、ラメラ構造か 

らシリンダー構造へ転移するためには、ラメラ界面が 

波打ち、変形しなければならないが、強磁場下におい 

てそれが起こる時、最安定の変形モードが選択され、 

結果的にシリンダーが印加磁場の方向に平行配向した 

ものと解釈できる。この結果は磁場配向性能をわずか 

にしか持たないアモルファス高分子であっても、明確 

な界面によってメソフェーズを形成している場合には、 

磁化率の大きな添加剤をメソフェーズに選択的にドー 

プすることによって、界面と磁場の相互作用の結果、 

対称性の破れとモードセレクションが起こり、ナノシ 

リンダー構造を印加磁場に平行に配向させることが可 

能であることを示している。また、昨年度は、上記の 

検討とは逆の場合の、シリンダーからラメラへ転移さ 

せた場合について検討した。さらに、ミクロ相分離構 

造の磁場配向に際して果たすモルホロジー転移の役割 

の重要性を明確に示すために、金属キレートをドープ 

せず、純粋にモルホロジー転移だけを磁場中で誘起さ 

せる実験もブロック共重合体溶液を用いて行なった。 

その結果、基板に対して平行にラメラ構造を配向させ 

ることに成功した。そこで本研究では、鉛直磁場を印 

加して、垂直配向させることを目的に実験を行った。 

- 85 -

2. 実験 

用いた試料は、熱力学的平衡状態でシリンダー構造 

を形成するスチレン− エチレンブチレン— スチレン 

トリブロック共重合体 (SEBS-23)である(ポリスチレン 

の体積分率が 0.227, M w /M n = 1.10, M n = 5.4×10 4 )。こ 

の試料をフタル酸ジブチル(DBP)に溶解させた溶液系 

(ポリマー濃度が 50〜80%)を用いた。 

2 次元小角 X 線散乱 (2d-SASXS) 実験は、高エネルギ 

ー加速器研究機構放射光研究施設の BL-9C にて室温 

で行った。 

なると予測されるが、そうはならず、図 1(d)に示すよ 

うにほぼ等方的な強度分布となった。このことから、 

ラメラ構造は無配向であることがわかるが、換言すれ 

ば、基板との相互作用による平行配向傾向も失われて 

いることを意味しているので、うまく実験条件さえ最 

適化すれば垂直配向への道が拓かれるのもそう遠くな 

いものと期待される。 


SEBS-23/DBP 溶液試料は、ポリマー濃度にかかわり 

なく、温度可逆的に 155℃でシリンダーを、90℃でラ 

メラを形成する特異的な挙動を示すことがわかった。 

これは、溶媒である DBP の選択性の温度変化によるも 

のである。すなわち、155℃では PS 相、PEB 相の両方 

にほぼ均等な親和性を有しているが、90℃では PS 相 

への親和性が強まるためである。従って、試料温度を 

155℃から 90℃に変化させると、シリンダーが合体し 

てラメラに転移したものと説明される。この転移を 12 

テスラの水平磁場中で起すと、ラメラが印加磁場の方 

向 ( 基板面に平行 )と平行に高度に配向した( 昨年度 

の成果報告書 )。界面のゆらぎあるいは湾曲をともなう 

モルホロジー転移が磁場配向に重要であることが明ら 

かとなった。 

次に、同様の実験を鉛直磁場中で行ったところ、図 

1に示すような2 次元 SAXS パターンが得られた。各 

パターンの下に示したプロットは、1 次ピーク強度の 

方位角依存性である。ここで、方位角 m は、2 次元 

パターンの 12 時の方向を基準に、時計方向に増大する 

ように定義した。これらの結果を見れば、意図してい 

た垂直配向は全く達成できていないことが明らかであ 

る。ラメラ構造は基板面に平行に配向する傾向が強い 

ためである。70wt%と 80wt%の結果をみると、方位角 

m = 90 o ならびに 270 o に1 次ピークの強度の集中が 

明確であり、基板面と平行にラメラ構造が配向してい 

ることを示している。垂直配向は全く達成できていな 

いかというと、実はそうでもないことが 60wt%の結果 

をみるとわかる。図 1(a)(b)と同様に、 m = 90 o ならび 

に 270 o に1 次ピークの強度の集中が明確であるが、 

加えて、m = 180 o ならびに 360 o 付近に際立った集中 

がみられる。これは、垂直配向したラメラ構造に由来 

しており、概ね水平配向したラメラ構造とともに垂直 

配向ラメラが共存し、配向が二極化していることを意 

味している。60wt%や 70wt%に比べるとポリマー濃度 

が低いため、一部のラメラが基板との相互作用に打ち 

勝って、印加磁場方向に平行に配向できた結果である 

と理解できる。さらにポリマー濃度の低い 50wt%では 

もっと磁場配向効果が顕著になり、垂直配向が優勢に 

Fig.1 2d-SAXS patterns with plots of the first-order peak 

intensity as a function of the azimuthal angle for the 

SEBS-23/DBP solutions which were subjected to the 12T vertical 

magnetic field during slow cooling process from 155 o C to RT. 

4. まとめ 

アモルファス相のみからなるブロック共重合体溶液 

を用いて、基板面に対してラメラ状ミクロ相分離構造 

を垂直に配向させることを目的に、鉛直方向に磁場を 

印加した。溶液にすることによって、系の粘度を低減 

させ磁場応答性をよくすることがねらいであったが、 

残念ながら、垂直配向は達成されなかった。しかしな 

がら、適度な濃度の試料において、例えば図 1(c)に示 

したように、一部、垂直配向したラメラ構造が形成さ 

れていることを示す結果が得られた。うまく実験条件 

さえ最適化すれば垂直配向への道が拓かれるのもそう 

遠くないものと期待される。 

参考文献 

[1] 安井ら、高分子論文集、vol. 64, pp. 317-323 (2007) 

- 86 -

自己組織化らせん状共役系高分子の超階層構造 

― 液晶性ポリメタフェニレン誘導体の磁場配向 

Hierarchical structures of self-assembled helical conjugated polymers—Magnetically forced alignment of 

liquid crystalline poly(meta-phenylene) derivatives 

京都大学高分子化学専攻須田清、吉田淳、赤木和夫 

Kiyoshi Suda, Jun Yoshida, Kazuo Akagi 

Department of Polymer Chemistry, Kyoto University,. 




Abstract: 

We synthesized poly(meta-phenylene) derivatives with liquid crystalline (LC) groups consisting of phenylcyclohexyl 

(PCH) or cyanobiphenyl (CB) moiety in the side chains. Thermotropic LC phases and self-assembled structures of the 

polymers were investigated through polarized optical microscope (POM), differential scanning calorimeter (DSC), and X-ray 

diffraction (XRD) measurements. The polymers showed discotic liquid crystallinities based on helical structure of the main 

chains, where the helical chains are self-assembled to form columns along the helical axis. Macroscopic alignments of the 

polymers were carried out using a magnetic field of 12 T in liquid crystal phases. XRD measurements of the aligned 

polymers showed that the columns of the main chains are aligned perpendicular to the magnetic field. 

Keywords: Conjugated polymers, Poly(meta-phenylene) derivatives, Liquid crystallinity, Discotic column, Helical structure, 

Self-assembly, Hierarchy 

E-mail: akagi@star.polym.kyoto-u.ac.jp 


自己組織化は、高次構造や超階層構造を構築する上で 

もっとも有望な方法であり、それは共役系高分子におい 

ても同様である。自己組織化の駆動力は大きく 2 種類に 

分けることができる。1 つは電子相互作用、もう 1 つ 

はファンデルワールス力による相互作用である。特に共 

役系高分子は電子が広がった平面性の高い主鎖骨格を 

持つため、主鎖間の‐スタッキングによる高次構造を 

取りやすい。近年、我々は、側鎖に長鎖アルキル基を導 

入したポリメタフェニレン(PMP) 誘導体が、主鎖内の 

電子の重なりによってヘリセン状のらせん構造を取る 

ことを見出した。更にその PMP 誘導体は、主鎖間のフ 

ァンデルワールス力で自己組織化してウィスカー形態 

を取っていた。しかしながら、この PMP 誘導体はウィ 

スカーが様々な方向を向いたランダム状態になってい 

た。それ故、より高次の階層構造を構築するために、ま 

たその光電気的性質に異方性を付与するために、PMP 

誘導体を配向することが求められた。 

HO C 5H 11 

C 5H 11 

HO 

i) i) 

CN 

本研究では、側鎖にフェニルシクロヘキシル(PCH) 

基またはシアノビフェニル(CB) 基を導入した液晶性 

PMP 誘導体を合成し、12 T(Tesla)の磁場を印加して 

ポリマーの巨視的配向を試みた。 


側鎖にPCH 基またはCB 基を有する液晶性 PMP 誘導体は以下 

の手順で合成した(Scheme 1)。4-(trans-4'-pentyl-cyclohexyl)phenol 

または 4-cyano-4’-hydroxybiphenyl と、12-bromo-1-dodecanol 

との Williamson 反応により液晶基を合成し、これらを 

N, N’-dicyclohexyl-carbodiimide (DCC)とdimethyl-aminopyridine 

(DMAP)を用いた脱水反応で 3,5-dibromobenzoic acid と 

カップリングすることによって、エステル結合を介し 

て液晶基を導入した前駆体モノマーを合成した。重合 

は Ni(cod) 2 を用いた脱ハロゲン化縮重合によって行い、 

液晶性 PMP 誘導体 PCH-PMP および CB-PMP を得た。 

ポリマーの巨視的配向は、磁場中で行った。ポリマ 

ーサンプルを超伝導マグネットの中心に置き、等方相ま 

で過熱してから液晶温度範囲まで冷却し、その状態で 

30 分間 12 T の磁場を印加した。そして磁場を印加した 

まま徐々に室温まで温度を下げ、配向サンプルを得た。 

Br 

HO(CH 2) 12O 

COO(CH 2 ) 12 O 

Br 

ii) 

iii) 

C 5H 11 

HO(CH 2) 12O 

COO(CH 2 ) 12 O 

Br 

Br 

ii) 

iii) 

CN 

CN 


PCH-PMP と CB-PMP の GPC による測定結果を 

Table 1 に示す。どちらも平均分子量は 8,500 程度で、 

重合度は 16~18 であった。 

Table 1. 

GPC results of poly(meta-phenylene) [PMP] derivatives 

COO(CH 2 ) 12 O 

n 

C5H11 

COO(CH 2 ) 12 O 

Scheme 1. Synthetic routes of LC-PMPs: (i) K 2 CO 3 , KI, 

12-bromo-1-dodecanol, acetone; (ii) DCC, DMAP, 3,5-dibromobenzoic 

acid, methylene chloride; (iii) Ni(cod) 2 , 2,2’-bipyridyl, 

DMF. 

n 

CN 

Polymer M n M w M w /M n D.P. a 

PCH-PMP 8,400 12,600 1.5 16 

CB-PMP 8,550 12,100 1.4 18 

a Degree of polymerization calibrated with standard polystyrenes 

using THF as an eluent. 

- 87 -

Table 2. 

Phase transition temperatures of PMP derivatives. 

41.4 Å 

4.5 Å 

27.5 Å 

4.2 Å 

Phase transition temperature (C) 

PCH-PMP 

CB-PMP 

G: glassy state, D L : discotic lamella phase, N D : discotic nematic phase, 

Col h : hexagonal columnar phase, I: isotropic phase. 

100 m 100 m 

(a) 

(b) 

Figure 1. Polarized optical micrographs of (a) a batonnet-like texture of 

PCH-PMP at 110 C, (b) a batonnet-like texture of CB-PMP at 113 C in 

cooling process. 

(a) 

H 

100 m 

H 

(b) 

100 m 

Figure 2. Polarized optical micrographs of the aligned films of (a) 

PCH-PMP and (b) CB-PMP. Magnetic field is applied parallel to the 

horizontal line of the photographs. 

Intensity (a.u.) 

(a) 

10 6 

10 5 

20.7 Å 

(200) 

10.5 Å 

(400) 

13.7 Å 

(300) 

9.1 Å 

(002) 

Heating 

Cooling 

Heating 

Cooling 

8.3 Å 

(500) 

4.5 Å 

(001) 

10 4 

0 10 20 

2θ(°) 

G 84 D L 98 N D 139 I 

G 80 D L 94 N D 125 I 

G 98 Col h 114 N D 152 I 

G 93 Col h 112 N D 142 I 

H // 

H ⊥ 

Intensity (a.u.) 

(b) 

300 

1000 23.8 Å 

(100) 

250 

800 

200 

600 

400 

200 

13.6 Å 

(110) 8.6 Å6.5 Å 

(210) (220) 

12.4 Å 

(200) 

150 

5 10 15 

8.4 Å 

(002) 

7.9 Å 

(300) 

5.7 Å H // 

(400) H ⊥ 

4.2 Å 

(001) 

0 10 20 

2θ(°) 

Figure 3. XRD diffraction profiles of magnetically aligned polymers 

of (a) PCH-PMP and (b) CB-PMP at the room temperature. 

H 23.4 Å 

H 

 

H // (a) 

H // (b) 

Figure 4. Schematic representation of LC-PMPs after magnetically forced 

alignment. The discotic lamellar (D L ) structure of PCH-PMP (a) and the 

hexagonal columnar (Col h ) structure of CB-PMP (b) at room temperature. 

CB-PMP は昇温過程において 98 C から 114 C の範囲で 

ヘキサゴナルカラムナー相、114 C から 152 C の範囲で 

ディスコチックネマチック相、降温過程で 142 C から 

112 C の範囲でディスコチックネマチック相、112 C か 

ら 93 C の範囲でヘキサゴナルカラムナー相をとった。 

液晶性を示したこれらの PMP 誘導体について、12 T 

の超伝導マグネットを用いて磁場配向を行った。Fig. 2 

は磁場配向したポリマーの室温での POM 写真である。 

ポリマーの液晶ドメインが磁場と平行になっている様 

子が観察された。 

Fig. 3 は、磁場配向したポリマーの XRD プロファイ 

ルである。PCH-PMP では磁場の方向と垂直な方向に 

4.5 Å と 9.1 Å にピークが見られ、それぞれ液晶側鎖間 

の距離と、その二次回折に帰属される(Fig. 3a)。また 

磁場と平行な方向には 20.7, 13.7, 10.5, 8.3 Å のピーク 

が見られる。これらの逆数の比は 2 : 3 : 4 : 5 になって 

おり、これらは格子定数 a = 41.4 Å のディスコチック 

ラメラ相の面指数 (0 0 2), (0 0 3), (0 0 4), (0 0 5)の反射 

に対応する。以上より、PMP のらせん状主鎖から成る 

カラムは磁場と垂直な方向に配向していると考えられ 

る(Fig.4a)。 

一方、CB-PMP では磁場と垂直な方向に液晶側鎖間 

の距離に対応する 4.2 Å のピークが見られた(Fig. 3b)。 

さらに、磁場と平行な方向に 23. 8 Å の強い回折ピーク 

と 13.6, 12.4, 8.6, 7.9, 6.5, 5.7 Å の弱い回折ピークが見 

られた。これらのピークの逆数の比は、1 : 3 : 2 : 7 : 

3 : 23 : 4 であり、これらは格子定数 a = 27.5 Å のヘキ 

サゴナルカラムナー構造の面指数 (1 0 0), (1 1 0), (2 0 

0), (2 1 0), (3 0 0), (2 2 0), (4 0 0)による回折に相当する。 

このような回折パターンは、磁場と垂直にカラムが並 

んだ一軸配向ヘキサゴナルカラムナー構造によるもの 

と考えられる(Fig. 4b)。 

ポリマーはどちらもサーモトロピック液晶性を示し 

た。それぞれの液晶相について DSC 測定および X 線 

回折測定 (XRD)を行い、相の同定を行った。Table 2 

にポリマーの相転移温度を、Fig. 1 に偏光顕微鏡 

(POM) 写真を示す。 

PCH-PMP は昇温過程において 84 C から 98 C の範囲 

でディスコチックラメラ相、98 C から 139 C の範囲で 

ディスコチックネマチック相、降温過程において 125 C 

から 94 C の範囲でディスコチックネマチック相、94 C 

から 80 C の範囲でディスコチックラメラ相をとった。 

4. まとめ 

側鎖に液晶基を有する PCH-PMP および CB-PMP 

を合成した。これらのポリマーは主鎖のらせん構造に 

基づくディスコチック液晶性を示した。液晶状態のポ 

リマーを 12 T の磁場下で配向を行うことで、主鎖が磁 

場に垂直な方向に配列した巨視的配向ポリマーが得ら 

れた。 

参考文献 :K. Suda, J. Yoshida, S. Nimori, K. Akagi, 

Synthetic Metals, 2009, 159, 943. 

- 88 -

導電性高分子の磁場電解合成 

Magnetoelectrochemical synthesis of conducting polymers 

筑波大数理物質科学研究科、物質工学系後藤博正 

Hiromasa Goto 

Institute of Materials Science, University of Tsukuba 




Abstract: 

Synthesis of a conducting polymers in a liquid crystal electrolyte under a magnetic field was carried out. The polymer 

shows good redox property evaluated with a cyclic voltammetry. Electrochemical polymerization of the monomer in the 

liquid crystal electrolyte solution without magnetic field affords a polymer having Schlieren texture. 

Keywords: electropolymerization, conducting polymer, electrochemistry 

E-mail: gotoh@ims.tsukuba.ac.jp 


磁場中での電解重合はポリアニリンなどの導電性高 

分子の合成を中心に行われている。液晶は磁場に沿っ 

て配列するため、磁場による大きな配向効果が得られ 

る。現在までに我々は導電性高分子液晶を磁場下で配 

向させ、この二色性や電気伝導度の異方性を確認して 

きた。本研究ではより高い配向性をもつ高分子を得る 

ために磁場中でチオフェンの電解重合を行った。この 

とき電解液として電解重合の際よく用いられる等方的 

なアセトニトリルなどの溶媒ではなく、液晶を電解液 

として用いた。これにより磁場下では液晶電解液の分 

子配向方向に沿ってポリマーが成長し、その結果、配 

向したポリマーが得られた。 


2-1. 電解液の調製 

電解液はマグネット内部で重合開始から終了まで、 

液晶状態を維持しなくてはならないため、モノマーお 

よび電解液の組成比を調整し、適切な液晶温度範囲を 

示すよう、電解液を調製した。 

2-2. 磁場中での電解重合 

電解重合は、支持塩を含む電解液にモノマーを溶解 

し、これに電位を印加することによって行った。 1 


3-1. 重合結果 

電解液の偏光顕微鏡写真、および無磁場下で重合し 

たポリマー(ポリチオフェン)と 1 T の磁場下で配向を 

行いながら電解合成を行ったポリマーの偏光顕微鏡写 

真を Fig.1 に示す。電解液はネマチック液晶に特徴的 

なシュリーレン光学模様を示している。無磁場で電解 

重合を行って得られたポリマーは、用いた電解液とよ 

く似たシュリーレン構造を示した。これはポリマーが 

液晶分子の配列に沿って成長し、ポリマー自身液晶性 

はないものの、液晶に良く似た分子配列がなされたこ 

とを示唆している。一方で磁場下で電解重合を行って 

得られたポリマーは細かな砂状の組織が見られた。 

3-2. エレクトロクロミズム 

電解重合で得られたポリマーは、支持塩を溶解した 

アセトニトリルのような光学的に等方的な電解液中で、 

導電性高分子の電気化学的ドーピング- 脱ドーピング 

に基づく「エレクトロクロミズム」を示す。このエレ 

クトロクロミズムを示すポリマーは電気化学的に 1 V 

以下の低電位を印加することにより、ポリマーの発色 

を簡便に変えることができる。ここではドーピングの 

程度の違いにより、ラジカルカチオンおよびジカチオ 

ンの状態が高分子鎖中に存在し、その結果バンド構造 

が特定の電位で変わるため発色の変化が生じる。今回 

の研究で合成したポリマーも脱ドープ状態で赤色、ド 

ープ状態で青色を示した。またポリマーは良好なレド 

ックス特性を示した。そこで偏光吸収スペクトル測定 

を行いながら、電気化学的方法でドーピング- 脱ドー 

ピングを行った。その結果、二色性の度合いは大きく 

はないものの、電位を変えたそれぞれの状態で磁場印 

加方向とその垂直方向で光吸収に差が見られた。さら 

に特定の波長で繰り返し印加電圧を変化させることで、 

繰り返しの光吸収の変化も見られた。 

- 89 -

4. まとめ 

当初より液晶電解液の調製に困難があったが試行錯 

誤の末、条件に合う液晶温度範囲の電解液の処方を見 

出し、これを磁場配向しながらチオフェン重合体薄膜 

を得た。今後磁場下で、大きな光学的異方性をもつポ 

リマーの合成を行って行きたい。また、温度コントロ 

ールをマグネット内で行うことや、重合中に、その場 

で反応過程を観察し、映像を得るための一連の装置類 

の準備を行いたい。 

参考文献 

[1] 後藤博正、二森茂樹、第二回日本磁気化学会予稿 

集 

Fig.1 Polarizing optical microscopic image of 

polymers prepared in magnetic field. (top) 0T, scale 

bar: 200 m; (lower) 1T,scale bar: 10 m 

- 90 -

垂直磁場中における銅電析反応の電流応答 

Electrolytic Current of Copper Electrodeposition in Perpendicular Magneticdeno Field 

早稲田大学高等研究所杉山敦史 

Atsushi Sugiyama , Waseda Institute for Advance Study, Waseda University 

埼玉県産業技術総合センター森本良一 

Ryoichi Morimoto , Saitama Industrial Technology Center 

物質・材料研究機構山内悠輔 

Yusuke Yamauchi , MANA, National Institute for Materials Science; PRESTO, JST 

東北大学金属材料研究所茂木巖 

Iwao Mogi , Institute for Materials Research, Tohoku University 

早稲田大学理工学術院逢坂哲彌 

Tetsuya Osaka , Waseda University 

職業能力開発総合大学校青柿良一 

Ryoichi Aogaki , Polytechnic University 

Abstract: 

Using a sheathed micro disk electrode called "spin electrode", which enables to measure the change in electron-spin 

state during an electrode reaction containing transient metal ion, the response of the electrode in a high magnetic field was 

experimentally examined. The change in electron-spin states is obtained from change in magnetic susceptibilities between 

product and reactant, measured by a diffusion current promoted by magneto-convection in a heterogeneous vertical magnetic 

field. As a result, the diffusion current of copper electrodeposition were divided into two groups by the product of magnetic 

field and its gradient (B(dB/dz)). While the slope of diffusion current under applying B(dB/dz) within the range from 100 

T 2 m -1 to 250 T 2 m -1 detected theoretical value, an unstable diffusion current was observed in higher region of B(dB/dz) = 250 

T 2 m -1 . 

Keywords: spin electrode, perpendicular magnetic field, magneto convection, copper electrodeposition 

E-mail: sugiyama@waseda.jp 


磁場中における電気化学反応では均一磁場や不均一 

( 勾配 ) 磁場に基づく種々の磁気力により溶液対流が 

生じ、反応量に大きな変化をもたらす。通常、電解中 

はひとつの磁気対流が現れるわけではなく、幾つかの 

磁気対流が並列もしくは逐次的に起こり、それらが干 

渉することで電解電流値を増加させるだけでは無く、 

ある場合には電解電流を低下させることもある。均一 

磁場を由来にする電磁流体力学 (Magnetohydrodynamic: 

MHD) 流れについては、青柿や森本らによってマクロ 

スケールで運動する MHD 流れの他、数マイクロメー 

トルおよびサブミリメートルスケールに働く一次と二 

次のマイクロ MHD 流れの存在が明らかにされつつあ 

り、またそれら流れを利用した磁場めっきプロセスの 

提案がされている[1,2]。 

本研究では、不均一磁場を由来とする磁気対流のみ 

を検知可能なスピン電極を用いて、低磁場から高磁場 

までの拡散電流を測定することでスピン電極の安定性 

を確認するともに、イオンの特異吸着といった電極界 

面への新たな磁場効果の有無を探った結果を報告する。 

また、円筒型 MHD 電極を用いたときの垂直磁場中で 

の電極応答についても併せて報告する。 


図 1 にスピン電極の模式図を示す。スピン電極は不 

均一磁場由来の磁気対流成分のみを検出可能とする電 

極である。電極に装着したさやは電極反応に特有なマ 

クロな MHD 流れの効果を防ぐものである。電極界面 

では反応種と電極の間で直接電子移動がおこることに 

よって、反応が進行する。すなわち、電気化学反応で 

は、電極を用いて反応種や生成種の電子状態を制御し 

ているといえる。一方、遷移金属からなる錯体イオン 

では、孤立電子のスピンの数と磁化率に簡単な関係が 

成り立つ場合が多く、そのため磁化率から電子状態を 

推定することができる。また、スピン電極は溶液中に 

含まれる水や共存イオン種からの環境ノイズの影響が 

少なく、他に比類しない高い検出感度が見積もられる。 

不均一磁場によって不均一磁気対流が引き起こされ 

る場合には、理論式 (1)に従い磁場と磁場勾配の積 

(B(dB/dz))の 3 分の 1 乗に比例して拡散電流値が増 

加することになる。 

 

i 0.0969z 

m 

1 

FD 

 

 

0D 

 

1/ 3 

 

 

 

C 

 

1/ 3 

C 

4/3 

dB 

B 

 

dz 

z0 

1/ 3 

…..(1) 

- 91 -

スピン電極には直径 1mm の白金線を用い、硫酸を 

支持塩とする硫酸銅溶液もしくは塩化ナトリウムを支 

持塩とする塩化銅溶液からの還元反応を定電位で行い、 

様々な B(dB/dz) 下での拡散電流値を計測した。 


図 2 は硫酸酸性溶液中での銅イオンの還元反応にお 

ける拡散電流を測定した結果である。B(dB/dz) 1/3 が約 

6.5 T 2/3 m -1/3 までの低磁場領域では理論式に従った電流 

勾配が観測される。しかしながら、高磁場領域では電 

流の傾きが増加する傾向と B(dB/dz) 増減の測定順序に 

よって電流値が異なってくる。この現象は塩化銅溶液 

を用いたとき、さらに顕著である。このことは高磁場 

中で不均一磁気対流以外の磁場効果が発現していると 

言える。傾きの上昇から B に依存する均一磁場下の不 

均一磁気対流の重畳も考えられるが、硫酸銅と塩化銅 

が同濃度である場合には拡散層厚みも同程度になり電 

流挙動の違いは予測されない。2つの電解溶液の差違 

として塩化物イオンの特異吸着を考えると電気二重層 

への磁場効果がクローズアップされてくるが、詳細は 

現在検討中である。 

Electrode 

g B 

Sheath 

Current Density / Am −2 

200 

100 

0 5 10 

{B(dB/dz) / T 2 m −1 } 1/3 

Fig.2 B(dB/dz) 1/3 plots for reduction of cupric ion from 100 

moldm -3 copper sulfate acidic solution. The broken line 

indicates theoretical and arrows indicate measuring 

sequence. 

参考文献 

[1] 森本良一 , 青柿良一 , 杉山敦史 , 防錆管理 , 52, 

252 (2008). 

[2] 森本良一 , 矢澤貞春 , 青柿良一 , 杉山敦史 , 齋藤 

誠 , 表面技術 , 59, 408 (2008). 

Distribution of 

Current lines 

Fig.1 Schematic of Spin electrode system 

- 92 -

タンパク質結晶成長における対流の効果に関する理論的考察 

The role of solutal convection in protein crystal growth -A new dimensionless number to evaluate the effects of convection 

on protein crystal growth- 

物質・材料研究機構若山信子 

N. I. Wakayama 

National Institute for Materials Science) 

蘭州交通大学王良璧 

L. B. Wang 

Lanzhou Jiaotong University 

西安交通大学陶文せん 

W. Q. Tao 

Xi’an Jiaotong University 

Abstract: 

According to the experiments by Vekilov et al., the crystal growth rate, G c of tetragonal lysozyme crystal initially 

increases up to 200 m/s with increasing flow velocity, u m and then decreases monotonically. While in the lower 

supersaturated solution, G c decreases monotonically with increasing u m , and the growth cessation occurs at u m = 1450 m/s. 

In this paper, we propose a new theory to explain these complicated experimental results. We consider one protein molecule 

near the crystal surface and define a dimensionless number r, the ratio of the velocity of convective flow to the diffusion 

velocity of a protein molecule. When convection occurs along the crystal surface and a molecule diffuses toward the crystal 

surface, r indicates the moving direction of the molecule and is closely related with crystal growth rate. We derive the 

equation to calculate r from experimental parameters. Analyzing the experimental results in the literatures, we find that the 

dependence of G c on u m is related with r and there exist three critical r-values, r 

1 

4 ~ 8, r 

2 

0.01 ~ 0.02, 

r 0.004 

3 

. 

When r > r 1 crystal growth cession occurs; when r 1 > r > r 2 , G c decreases with u m ; when r 2 > r > r 3 , G c increases with u m ; 

when r < r 3 G c is independent of u m . Though our model is very simple, the dimensionless number r can explain the effects of 

convection on crystal growth rate consistently. 

Keywords: Biocrystallization; Natural convection; Forced convection; Proteins; Growth rate; Growth from solution 

E-mail: wakayama.nobuko@nims.go.jp 


タンパク質の構造解析を行うためには、高品質の単 

結晶が不可欠である。地上では重力による対流の影響 

が結晶成長に大きく影響すると考えられ、対流が発生 

しない宇宙環境での結晶作成が実施されてきたが、対 

流に関する定量的な研究は非常に少ないのが現状であ 

る。1998 年、Vekilov らは強制的に流れを発生させ、 

流速とタンパク質結晶の成長速度を測定した( 図 1)。 

流れが小さい場合には結晶の成長速度 (G c )は流速 

(u m )の増加と共に大きくなって、極大になり、そ 

の後、u m の増加と共にG c が減少して、一定の流速に 

なると結晶成長は停止することが明らかになった。 

rを以下のように実験パラメータなどで表す式を求 

めた。 

r 

0 

 

3/ 2 

.646( R d) 

C um 

l 

G L 

c 

c 

( 式 1) 

ここでρ c は結晶密度、ρ l は溶液密度、C は溶液の 

タンパク質濃度、Lは結晶の大きさ、Rはタンパク質 

分子の半径、μは溶液の粘性係数である。 

2. 理論的解明 

図 1の結晶成長速度と流速の関係を説明するために、 

図 2に示すようなモデルで、結晶の表面近傍、表面か 

らdの距離に存在する1 個のタンパク質分子が左に拡 

散すれば結晶成長に寄与し、上方に対流で移動すれば 

結晶成長に寄与しないと想定した。拡散の速度をV d , 

対流速度をV f とすると、その比 r=V f /V d はタン 

パク質分子の移動方向を示し、結晶の成長速度に大き 

く依存する無次元数である。 

G c 

0 

r 3 

r 2 

r 1 

Fig.1. Dependence of crystal growth rate G c on flow velocity u m . 

u m 

- 93 -

crystal 

crystal 

x 

x 

C 

 

u 

m 

d+R 

d 

V 

f 

Cl 

V d 

u 

m olecule 

n 

n 

u , C m 

 

Fig.2 Model illustration 

3. 解析結果 

式 1を用いて、図 1に示すような実験について解析 

し、またその他の数例の実験の文献にも適用した。そ 

の結果、rがr 1 =4-8より大きい場合は、対流で 

殆どの分子が運び去られるため、結晶は成長を停止す 

る(イ)、rがr 1 より小さく、r 2 =0.01-0. 

02より大きい場合はrの増大とともにG c は減少す 

る(ロ)、rがr 2 より小さくr 3 =0.004より大 

きい場合、rの増大とともにG c は増加する(ハ)こ 

とが明らかになった。 

(ハ)ではu m の増大と共に対流で結晶表面近傍にタン 

パク質が到達する確率が上昇し、(ロ)では対流速度が 

大きくなれば、多くの分子が運び去られ、結晶成長速度 

は流速と共に減少すると考えられる。r 3 より小さい場 

合は対流の寄与が非常に小さいとみられる。 

このように無次元パラメータ rを用いることにより、 

タンパク質結晶の成長速度の対流速度依存性を説明す 

ることが出来た。 

- 94 -

磁場中 DNA 電気泳動におけるローレンツ力効果 

Lorentz Force Effects on DNA Electrophoresis under the Magnetic Fields 

横国大院工小澤瞬 , 黒坂大希 , 山本勲 

S. Ozawa, D. Kurosaka and I. Yamamoto 

Yokohama National University 


Takamasu Tadashi 


Abstract: 

The magnetic field effects on DNA electrophoresis have been investigated under the homogeneous and gradient 

magnetic fields. The parallel and the perpendicular magnetic fields are applied to the electrophoresis cell against the electric 

field in order to investigate the effects of magnetic force and Lorentz force. In the case of BE, the DNA migration bends 

toward the direction of E×B by Lorentz force as our expectation. 

Keywords: DNA electrophoresis, Lorentz force 

E-mail: d09sd201@ynu.ac.jp 


従来の DNA 電気泳動では DNA のサイズの違いによ 

る分離しかできない。本研究では磁場中で DNA 電気 

泳動を行うことで新たな DNA 分離法を開発すること 

を目的とした。 


30T ハイブリッドマグネット(WM 16T, SM 14T)を 

使用した。ウォータージャケットをマグネットのボア 

内に装着して、恒温水を還流させ、温度コントローラ 

によりウォータージャケット内の温度をコントロール 

した。ウォータージャケット内の有効ボア径は 44mm 

である。 

このボア径に収まるように2つの無電極小型泳動槽 

(w50×d45×h10mm 3 )と、4つの有電極小型泳動槽 

(38×h17mm 3 電極間距離 23mm)を作製した。 

無電極泳動槽を磁気力場が最大の位置の負勾配、正 

勾配の位置 ( 中心から±101mm)に、有電極泳動槽を 

磁場中心に縦横 2 つずつ合計 6つを設置した。泳動条 

件として濃度 0.7wt.%のゲルを用いて実験を行った。 

有電極泳動槽には 26T の磁場中で 30V の電圧を 30 分 

間印加し、電気泳動を行った。 

Fig.1 Experimental setup of the DNA 

electrophoresis in high magnetic field. 


無電極泳動槽での結果を Fig. 2.に示した。左は重力 

と磁気力が反平行である勾配 A( 磁場中心より 101mm 

上 )、右は重力と磁気力が平行である勾配 B( 磁場中心 

より 101mm 下 )での結果である。いずれの写真におい 

ても DNA がウェル( 仕込み位置 )から動いていない 

ことを確認した。この結果から、今回の実験条件では 

Fig.2 Results of the magnetic force migration. 

- 95 -

重力のみ、磁気力のみのいずれにおいても DNA が泳 

動しないことが分かった。 

磁場と電場が垂直な場合の結果を Fig. 3. とTabel 1. 

に示した。4, 10kb のいずれの DNA においても 13T の 

磁場中よりも大きな横ずれが確認できた。この横ずれ 

はこれまで磁場と電場が平行な場合には見られなかっ 

た現象である。以上のことからこの横ずれはローレン 

ツ力によるものである考えられる。 

磁場と電場が平行な場合の結果は確認できなかった。 

Start line 

y 

x 

10kb 

4kb 

3mm 

B 

E 

Fig. 3. Results of DNA migration in the case of BE 

Table 1. Results of DNA migration in the case of B⊥E. (30V, 30min) 

DNA size, S/kbp Distance , x/mm Distance, y/mm 

10 10 3 

4 12.5 3 

4. まとめ 

. 

26T の強磁場中において DNA の磁気泳動並びに電 

気磁気泳動を試みた。支持体の濃度 0.7wt.%、B=26T 

の条件下において DNA が重力のみ、磁気力のみでは泳 

動しないことが分かった。B=26T, E=30V, BE 条件下 

において DNA 電気泳動を行ったところ DNA が E×B 方 

向に曲がることが分かった。 

謝辞 

この研究の一部は、文科省科研費 ( 課題番号 20560044) 

および日本学術振興会アジア研究教育拠点事業「材料 

電磁プロセシングの世界拠点の構築」の援助によって 

行われた。 

- 96 -

強磁場環境が哺乳動物の生殖細胞に及ぼす影響 

― 母マウスへの靜磁場暴露が初期胚から着床後の胎児に及ぼす影響 - 

Effect of High magnetic Field on Mammalian Gametes; the Effects of 12T Static Magnetic Fields from the After Fertilized to 

the Implantation Stage in Vivo Treated Mouse Fetuses 

東邦大学岡田詔子、黒田優、横藤田純子、小田哲子、五十嵐宏明 

Akiko Okada, Masaru Kuroda, Junko Yokofujita, Satoko Oda, Hiroaki Igarashi 

Toho University 

医薬基盤研究所羽鳥真功、山海直 

Masanori Hatori, Tadashi Sankai 

National Institute of Biomedical Innovation 


Shigeru Nimori 


Abstract: 

There are many occasions in which we humans are exposed to a relatively strong magnetic field. In MRI, for instance, 

patients are exposed to up to 10 Tesla (T) static magnetic field (SMF) to improve image quality. There have been differing 

reports using pregnant mice exposed to static magnetic field. Some showed teratogenic effects on fetuses, while other studies 

showed no evidence of significant incidences of prenatal death and malformation. In our recent study, the single cell 

implantation stage (day 0 to day 5) mother mice were exposed to 12T SMF to determine whether the exposure influences any 

detrimental effects on pregnancy rate and /or prenatal death. The result shows that the exposure to 12 T SMF had no 

detrimental effects on pregnancy rate. The findings suggest that there is no significant difference in the fetus rate between l2T 

SMF exposed mice and general ICR mice. 

Keywords: mouse, embryo, fetus, static magnetic field 

E-mail: sankai@nibio.go.jp 


日常生活の中で携帯電話や医療における magnetic 

resonance imaging(MRI) など磁場暴露を受ける頻度が 

高くなっている。MRI 画像の解像度を高めるために磁 

場の強度が増大しているというような現状がある。磁 

場が胎児の発生に及ぼす影響についていくつかの報告 

がある。交配マウスの未分割期の卵に 1.5Tesla (T)の靜 

磁場を暴露して blastocyst への形成能を調べて影響が 

なかったと報告されている 1) 。しかしカエルの卵では 

8T 暴露で分割溝の形成部位が変わる事が見いだされ 

た。その理由は磁場の影響で分裂装置の microtubles が 

偏向して並ぶことにより起こる 2) 。また、胎生初期に 

400mT の靜磁場を 60 分間短期暴露することで先天異 

常が起こると報告されている 3) 。一方、4.7-6.3T の 

SMF 暴露で影響が無かったとの報告 

4) もあり磁場暴露 

が発生に及ぼす影響については不明な点が多い。そこ 

で受精卵の DNA 合成期から着床期にかけて 12T の靜 

磁場を母マウスに暴露して妊娠率、受精卵の回収率、 

受精卵の培養成績や胎児への影響について調べた。 


動物 (マウス): 

本実験には 5~8 ケ月令の ICR マウスを用いた。雌 

雄と同居させ、膣栓を認めた日を妊娠 0 日とし、受精 

卵および胎児について検索した。 

磁場暴露 : 

妊娠 0.5 日のマウスをプラスチックの小ケージ( 横 

21 cm X 高さ 13 cm X 高さ 12 cm )に入れ、小ケージ 

を大きいプラスチックケージに収納して( 逃走防止の 

目的で二重にした)12T の靜磁場発生装置の円筒の真 

上にケージを置き磁場を暴露した。暴露時間は 24 時間 

とした。なお、磁場暴露は物質材料研究所にて実施し、 

その他の解析は医薬基盤研究所で行った。そのため、 

マウスは両研究所 ( 車で約 30 分 )を移動して実験を遂 

行した。 

卵に関する解析 : 

案楽殺した磁場暴露マウスの卵管を洗浄して受精卵 

を回収した。回収卵は未分割卵と分割卵に分け、未分 

割卵は極体の数や細胞質の性状を調べ、受精卵は 

Whitten’s medium で hatched blastocyst stage に到達す 

る時間まで CO 2 incubator で培養して発達能を調べた。 

また、卵巣の排卵点を観察した。 

胎児に関する解析 : 

妊娠 18 日目に母体を安楽殺し、子宮内の胎児の数、 

生存の有無、大きさを確かめた。死亡胚について 

は、早期死亡胚 ( 着床痕、胎盤の痕跡を認めるもの) 

と後期死亡胚 ( 胎盤と胚が認められるもの)に分け 

て記録した。 

- 97 -


受精卵の回収時、卵巣には赤色を呈した新鮮な排卵 

痕は少なく、多くはピンクあるいは白色を呈していた。 

2 匹のマウスから 29 個の卵が回収されたそのうち 

52%が分割卵であった。受精卵の培養により 93%の 

卵が hatched blastocyst stage まで発生した(Table 1)。 

磁場は単細胞期から 2 細胞期の間に暴露している。こ 

の時期は第一回目の細胞分裂に向けて新しい DAN の 

合成を開始し、卵母細胞で不要な RNA を不活化する 

時期である。また、新しい蛋白質もさかんに合成す 

る時である 5) 。hatched blastocyst stage に至るまでに 

は6 回以上の細胞分裂を繰り返すが、高い生育率が 

得られたことから、この時期の 12T 磁場暴露は DNA 

合成の開始プログラムなどに影響を及ぼさなかっ 

たと考えられる。 

個体あたりの妊娠率は 100%であった。平均胎児 

数は 13.6 で正常胎児率は 86.0% であった(Table 2)。 

これらの数値は磁場を暴露していない ICR 系マウ 

スの生殖能力に遜色がないものであり、磁場の影響 

はなかったと言える。正常胎児、異常胎児について 

検討したが、磁場暴露の時期と異常胎児の出現には 

関係はみとめられなかった(Table 3)。ただし、異 

常胎児についてはさらに詳細に検討しなければ磁 

場の影響は明らかにできない。 

Table 2. Pregnancy rate and characteristics of the fetuses after 

exposed to 12T static magnetic field (SMF). 

No. of 

mice 

used 

7 

Pregnancy 

rate 

100% 

(7/7) 

Number of 

fetuses/mouse 

13.6±1.6 

(95/7) 

% normal 

fetuses/al 

l fetuses 

86 ±16 

(82/95) 

% abnormal 

fetuses/all 

fetuses 

13.6±16 

(13/95) 

4. まとめ 

本研究では、強磁場の受精卵、胎児への影響は認め 

なかった。ただし、影響がないと結論づけるためには、 

磁場暴露時期や暴露時間についてより詳細に検討する 

必要がある。 

参考文献 

[1] Chew S et al. 2001. J Magn Reson Imaging 13: 417- 

420 

[2] Denegre JM et al. 1998. Proc Natl Acad Sci 

USA.95:14729-14732. 

[3] Saito K et al. 2006 Reprod. Toxicol 22: 118-124 

[4]Okazaki R. et al. 2001.JRadiat Res. 42: 273-283 

[5] Tsukamoto S. et al. 2008 Science 4: 321( 5885):117-120 

Table 1. Recovered eggs and developmental capacity of the fertilized eggs to 

the blastocyst stage in in vitro culture. Mother mice were exposed to 12T 

static magnetic field for 23 h on 0 day of gestation. 

Recovered eggs 

Incubated eggs 

Cell stage One-cell Two-cell Three-cell Morula Hatched blast. 

Number of 

% of eggs 

% of eggs 

mice used 

( No. of eggs/ total ) 

( No of eggs/incubated eggs ) 

2 

48% 48% 4% 7% 

93% 

(14 * /29) (14 / 29) (1/29) (1/ 15) (14 /15) 

14 * = 10 degenerated cell eggs( polar body was not detected ). 4 

unfertilized eggs had only single polar body. Ovary had 16 ovulation 

points ( whitish 5, pinkish 9, reddish 2), only 2 red fresh ovulation points 

were observed. 

Table 3. A comparison between the normal and abnormal fetuses by SMF exposure period of 0-3 days and 1-5 days 

No. of 

mice used 

Exposure 

period of 

SMF 

No. of fetuses/ 

mouse 

No. of normal 

fetuses /mouse 

No. of Characteristics of the abnormal fetuses 

abnormal 

fetuses/mouse Small * Dead * Absorp. * 

3 0-3 12.6 ±2 (38/3) 11± 3.6(33/3) 1.7±2 (5/3) 0 0 1.7±2 (5/3) 

4 1-5 14.3±0.9(57/4) 12.3±2 (49/4) 2±2.8(8/2) 0.5±1(2/4) 0.5±1(2/4) 1±2 (4/4) 

There was no significant difference between the normal and abnormal fetuses regarding the numbers by the exposure period 

of 0-3 days and 1-5 days. 

No.= Number of . absorp. : absorpted fetus 

- 98 -

強磁場の生体影響に関する研究 

The study of biological effect of strong static magnetic field 

財団法人鉄道総合技術研究所池畑政輝 , 吉江幸子 

Masateru Ikehata, Sachiko Yoshie 

Railway Technical Research Institute 

物質・材料研究機構廣田憲之 , 竹村太郎 , 箕輪貴司 , 花方信孝 

Noriyuki Hirota, Taro Takemura, Takashi Minowa, Nobutaka Hanagata 


Abstract: 

The effects of strong static magnetic fields (SMFs) on mutagenesis of ROS generating agent were investigated. To 

estimate the effect of SMFs on the mutagenicity of plumbagin, which generates superoxide, superoxide dismutase 

(SOD)-deficient Escherichia coli QC774 that is defective of sodA and sodB was employed. E. coli QC774 cells were exposed 

to 5 and 13 T SMFs for 24hr at 37˚C in LB medium including plumbagin. After exposure, the frequency of thymine synthesis 

deficiency (Thy - ) mutant was determined. In the result, there were no statistically significant differences in Thy - mutant 

frequency between SMF-exposed cells and unexposed cells in both 5 and 13 T SMFs. It suggests that SMF did not affect the 

mutagenicity of plumbagin in SOD-deficient E. coli under the condition in this study. 

Keywords: Strong static magnetic field, Superoxide dismutase, Co-mutagenicity, Escherichia coli 

E-mail: ikehata@rtri.or.jp 


近年 , 日常環境において, 公衆が種々の電磁場 ( 波 ) 

に曝露する機会が増加している中 , 定常強磁場の生体 

影響については, 知見が未だ少ない。また, 強磁場を 

曝露することにより,その影響をより明確化した解析 

が可能であると考えられることから, 磁場の生体影響 

に関する基礎的な知見を深める上で, 強磁場条件での 

検討を行うことは重要である。 

近年の研究において, 磁場曝露の生体影響の機序の 

ひとつとして, 酸化ストレスの付与や活性酸素種の寿 

命への効果が示唆されていることから, 昨年度は, 活 

性酸素の一種である Superoxide に感受性の高い 

Superoxide dismutase (SOD) 遺伝子を欠損する大腸菌を 

用いて, 磁場そのものの変異原性を評価した。その結 

果 , 本実験系では磁場そのものの変異原性は確認され 

なかった。今年度は, 同じ大腸菌株を用いて, 活性酸 

素を発生する物質の変異原性に磁場が影響を及ぼすか 

どうかを明らかにすることを目的として検討を行った。 


2.1 定常磁場曝露装置 

定常磁場曝露装置として, 磁束密度が最大 13T の定 

常磁場を発生することが可能な超伝導磁石 (JASTEC 

社製 JMTD-10C13E-NC)を用い,5,13T 磁場での曝 

露実験を行った。本曝露装置では,ボア壁面を覆うよ 

うに設置したシリコン管内に温水を連続的に供給する 

ことにより,ボア内を 37℃に維持した。 

2.2 供試菌株 

本研究では, 昨年度と同様に Escherichia coli K-12 株 

由来で SOD 遺伝子 sodA,sodB を欠損する QC774 株 (Φ 

(sodA-lacZ)49 Φ(sodB-kan)1-Δ2 Cm r Km r ) とその野生 

株 (GC4468 株 )を用いた。SOD は, superoxide と水 

素イオンから過酸化水素と酸素を生成することにより, 

DNA 等の生体物質の損傷の原因となる superoxide を消 

去する酵素である。QC774 株は本酵素をコードする遺 

伝子を欠損することから,superoxide 等のフリーラジ 

カルに感受性が高く, 遺伝子変異を高頻度で誘発する。 

2.3 遺伝子変異誘発実験 

QC774 株およびその野生株を LB 培地中で,37℃, 

4hr 前培養した後 ,Plumbagin を含む LB 培地に所定量 

を接種し, 定常磁場曝露装置を用いて,5 および 13T 

の磁場に同時に 24hr 曝露した。曝露後の大腸菌を生菌 

数測定のために LB 寒天培地プレートに(Survival 

assay),また, 遺伝子変異としてチミン非要求性 (Thy + ) 

から要求性 (Thy - )への形質変化を指標とし, 変異を 

起こした菌体の検出を行うため,Trimethoprim と 

Thymine を含む M63 グルコース最小寒天培地プレート 

に(Mutation assay) 播種した。大腸菌を播種した各プ 

レートを 37℃でコロニーが出現するまで培養し(LB 

培地 : 約 18hr,M63 培地 : 約 66hr), 各プレートのコ 

ロニー数を計数した。10 7 個の生存菌あたりの遺伝子変 

異菌体数を遺伝子変異頻度として算出した。 

- 99 -


本研究では,まず, 磁場を曝露しない条件下で 

QC774 株の Plumbagin に対する感受性の確認を行った。 

この結果 , 野生株と比較し,QC774 株においては, 

Plumbagin 濃度が高くなるにつれて, 突然変異頻度が 

上昇したことから,Plumbagin から発生した活性酸素 

種により遺伝子変異が高頻度に誘発されていると考え 

られた(Data not shown)。 

次に,Plumbagin(25µM)を含む培地中で, 供試菌 

株を 5 および 13T の定常磁場に曝露した(Fig. 1)。こ 

の結果 ,Plumbagin 25µM の条件下では, 磁束密度が高 

くなるにつれて QC774 株の遺伝子変異頻度が低くな 

る傾向が見られたものの, 磁場曝露系と非曝露系とで 

統計的に有意な差は,QC774 株と野生株ともに見られ 

なかった。このことから, 活性酸素種を発生する 

Plumbagin の QC774 株に対する影響に対し, 定常磁場 

は影響を及ぼさないことがわかった。これまでの定常 

磁場の生体影響に関する研究では, 遺伝子修復系の遺 

伝子に欠損がある場合 , 定常磁場により, 遺伝子変異 

がわずかに誘発されることが示唆されている 1) 。本研 

究の結果と合わせて考察すると, 磁場の生体影響を明 

らかにするためには, 今後 ,superoxide 以外の活性酸 

素に対する影響または遺伝子損傷の修復機能に対する 

影響を検討する必要があると考えられた。 

4. まとめ 

活性酸素種の一つである Superoxide に対して高感受 

性である Superoxide dismutase を欠損する大腸菌 

QC774 株を用いて, 活性酸素種を発生する Plumbagin 

を含む培地中で 5 および 13T の定常磁場に曝露したと 

ころ,どの磁束密度条件においても Plumbagin の 

QC774 株への作用に対する明らかな影響は見られな 

かった。 

参考文献 

[1] Koana et al., Mut. Res. Vol. 373, pp. 55-60 (1997) 

遺伝子変異頻度 

(10 7 生菌あたりの Thy - 菌数 ) 

300 

200 

100 

0 

0µM Plumbagin 

25µM Plumbagin 

0 5 13 

磁束密度 [T] 

Fig. 1 Effect of 5 and 13T strong static magnetic field 

on mutagenicity of plumbagin in E. coli QC774. 

- 100 -


極限環境領域 NMR ファシリティー 

2008 年度成果報告書 ( 委託事業および自主事業 )

改良したハイブリッド磁石を用いた強磁場 NMR 

High-Field NMR with a Newly Designed Hybrid Magnet 

物質・材料研究機構端健二郎、清水禎、藤戸輝昭、後藤敦、大木忍、浅野稔久、二森茂樹 

Kenjiro Hashi, Tadashi Shimizu, Teruaki Fujito, Atsushi Goto, Shinobu Ohki, Toshihisa Asano and Shigeki Nimori 


Abstract: 

Nuclear magnetic resonance (NMR) measurements using a newly designed hybrid magnet system installed at the 

National Institute for Materials Science were performed up to 28 T. A modified resistive insert magnet improved the field 

homogeneity of the hybrid magnet from 186 ppm/±5mm to 16 ppm/±5mm along the z-axis. Reconstruction of the power 

source for the resistive magnet suppressed the field instability from 30 to 3 ppm rms . These improvements enable us to obtain 

an NMR spectrum with narrower line width. 

Keywords: high magnetic field, high resolution, magic-angle-spinning, NMR, hybrid magnet 

E-mail: HASHI.Kenjiro@nims.go.jp 


一般に NMR の感度と分解能は磁場が高ければ高い 

ほど優位になるため NMR 測定では常に高磁場化が求 

められている。超伝導磁石と電磁石を組み合わせたハ 

イブリッド磁石は超伝導磁石だけでは到達することが 

困難な 30T 以上の定常磁場を発生することが出来る 

ため、NMR 測定には魅力的な磁石になっている。し 

かし、ハイブリッド磁石はその構造、電源の性能など 

から、磁場の空間分解能、時間安定度とも100pp 

m 程度しかないことが分かっており、NMR 測定には 

十分な性能を有しているとは言えなかった[1]。これま 

でに、空間分解能を向上させるために水冷銅磁石の中 

層ビッター磁石にスプリットギャップをつくり、磁場 

分布がより均一になるよう変更を行った[2]。また時間 

安定度を向上させるために、電磁石電源にFETドロ 

ッパーを導入するなどの改良を行った[3]。本年は、こ 

れらの改良を行ったハイブリッド磁石を用いたNMR 

測定を行なったので、その結果について報告する[4]。 

用いたハイブリッド磁石の磁場プロファイルを示す。 

水冷銅磁石がスプリット構造を持つことにより、磁場 

の分布は磁場均一度のうちz 2 成分が大幅に改善され、 

磁場中心は変わっていないが、均一度が改良前の 

186ppm/±5mm から 16ppm/±5mm まで、およそ12 倍 

改善されていることがわかる。 

また図 2に水冷銅磁石用電源の改良前と改良後の磁場 

の時間変化を示す。磁場の揺らぎは主に水冷銅磁石の電 

源リップルに由来するものであるが、FET ドロッパーの 

導入や時定数の最適化などの電源の改良によって、改良 

前に 30ppm rms あった磁場の揺らぎが改良後には 3ppm rms 

まで低減化されていることが分かる。このような磁場 


標準試料 KBrの 79Br 核をプローブとした NMR 測 

定を行った。KBr 試料は4mmφのジルコニア試料管 

に直径 2mmの球状となるように入れた。磁場プロフ 

ァイルは試料位置を磁場中心からz 軸方向に少しずつ 

変化させながら共鳴周波数を測定することによって得 

た。また、磁場中心において、1 秒毎のシングルショ 

ットスペクトルの共鳴周波数の時間変化を測定するこ 

とによって、時間安定度の測定を行った。 

3. 実験結果 

図 1にスプリットギャップを持たない水冷銅磁石 

( 改良前 )とギャップを持つ水冷銅磁石 ( 改良後 )を 

Fig.1 Field profiles of (a) the new and (b) the 

previous magnets measured at B 0 =28T and B 0 =30T, 

respectively. 

- 101 -

Fig.2 Field stability of the magnetic field (a) after and (b) 

before the reconstruction of the power source at B 0 =28T 

and B 0 =30T, respectively. 

均一度・安定度の向上はNMRスペクトルの線幅の先 

鋭化として観測することが出来る。 

図 3にこれら空間分解能、時間安定度を向上させた 

ハイブリッド磁石を用いた KBr のシングルショット 

MAS-NMRスペクトルを示す。改良前に同一試料につ 

いて測定した結果と比べて信号対雑音比 (S/N)と線幅 

が格段に改善されていることが分かる。中心ピークの 

裾にあるウィグルも小さくなり、線幅は約 700Hz 

(2ppm)まで狭くなっている。しかし、固体高分解能の 

目安となる 1ppm 以下の分解能には達していない。ま 

た電源の改造後に残った 3ppm rms 程度の磁場の揺らぎ 

によってスペクトルの共鳴周波数は測定ごとに変動し 

てしまうため、信号の積算は依然、困難なままになっ 

ている。磁場揺らぎ補正機などの開発により一層の磁 

場の安定化が必要となっている。また、均一度の更な 

る向上のために、磁場揺らぎ補正機と共存する室温シ 

ムの開発も必要である。 

Fig.3 Single shot 79 Br-MAS-NMR spectra measured with 

(a) the new magnet at 28T and (b) the previous magnet at 

B 0 =30T. 

Reference 

[1] K. Hashi, T. Shimizu, A. Goto, T. Iijima, and S. Ohki: 

Jpn. J. Appl. Phys. 44 (2005) 4194. 

[2] T. Asano, H. Yoshioka, S. Matsumoto, and T. Kiyoshi: J. 

Phys.: Conf. Ser. 51 (2006) 587. 

[3] G. Kido, S. Nimori, K. Hashi, M. Kosuge, H. Kudo, K. 

Suda, T. Miyoshi, K. Nakayama, and K. Takeshita: J. Phys.: 

Conf. Ser. 51 (2006) 580. 

[4] K. Hashi, T. Shimizu, T. Fujito, A. Goto, S. Ohki, T. 

Asano, and S. Nimori: Jpn. J. Appl. Phys. 48 (2009) 

010220. 

4. まとめ 

中層にスプリットギャップをもつ水冷銅磁石、およ 

びFETドロッパーを持つ水冷銅磁石用電源を用いた 

ハイブリッド磁石を用いて、28Tにおいて強磁場 N 

MR 測定を行なった。水冷銅磁石のスプリットギャッ 

プによって、磁場の均一度は 186ppm/±5mm から 

16ppm/±5mm まで、およそ12 倍改善された。また電 

源にFETドロッパーを導入することで、30ppm rms あ 

った磁場の揺らぎは 3ppm rms あったまで低減化された 

ことが分かった。これらの均一度・安定度の改善によ 

り、シングルショットのNMRスペクトル線幅を 

700Hz(2ppm)まで先鋭化することができた。今後、高 

分解能 NMR 測定の目安となる 1ppm 以下の分解能を 

実現するために磁場揺らぎ補正機および室温シムの開 

発が必要である。 

- 102 -

光ポンピング法を用いた核スピン偏極器の開発 VII 

Development of a nuclear spin polarizer with the optical pumping method: VII 

1 

物質・材料研究機構、 2 科学技術振興機構さきがけ 

後藤敦 

1,2 、清水禎 

1 , 端健二郎 

1 , 大木忍 

1 1 

, 瀧澤智恵子 

Atsushi Goto 1,2 , Tadashi Shimizu 1 , Kenjiro Hashi 1 , Shinobu Ohki 1 and Chieko Takizawa 1 

1 National Institute for Materials Science, 2 PRESTO-JST 

Abstract: 

We have developed an optical pumping double resonance system for GaAs and an intensity modulation system for 

infrared light. These systems will be indispensable for future dynamic nuclear polarization in semiconductors. 

Keywords: dynamic nuclear polarization, optical pumping, double resonance, cross polarization 

E-mail: goto.atsushi@nims.go.jp 


固体中の偏極核スピンは NMR や偏極中性子散乱な 

どの先端計測・分析や原子核実験において高感度な観 

測プローブとして期待されています。一方、近年の半 

導体スピントロニクス研究の進展に伴い、半導体にお 

ける超偏極に注目が集まっています。このような状況 

を背景に、私達は半導体をはじめとした固体における 

偏極核スピンの生成と制御のための技術開発を進めて 

います[1,2]。 

EO( 電気光学 ) 素子を NMR システムにより制御する 

「励起光変調システム」を構築しました( 図 2)。これ 

により、励起光強度と NMR パルスを NMR 分光計上 

のパルスシーケンスにより一体的に制御することが可 

能となりました。 


私達が現在開発中の光ポンピング2 重共鳴 NMR シ 

ステムでは、磁場内に設置された半導体試料の表面に 

円偏光した近赤外光を照射することで、試料表面に偏 

極原子核スピンを生成することができます。さらに、 

生成された超偏極核スピンに対して各種 2 重共鳴測定 

を行うことができます。 

Fig.1 Lower end of the optical pumping 

double resonance NMR probe for GaAs. 


本年度は、以下の 2 つのシステム( 装置および制御 

系 )の開発を行いました。 

(1) GaAs 用光ポンピング二重共鳴システムの開発 

これまでに開発した InP 用の光ポンピング二重共鳴測 

定システム[2]を元に、GaAs に対応した測定システム 

を構築しました。具体的には、GaAs の励起波長に対 

応した光学系や 71 Ga, 75 As 等の共鳴周波数に対応した 

プローブ( 図 1)を設計・構築し、その基本性能を確 

認しました。 

Fig.2 Intensity modulation system with an EO 

element. 

(2) 励起光変調システムの開発 

励起光強度の高周波パルス変調を実現するため、 

- 103 -

4. まとめ 

半導体における動的核偏極技術の高度化を目的に、 

GaAs 用光ポンピング二重共鳴システムと励起光変調 

システムの開発を行いました。今後、光ポンピング下 

での 2 重共鳴測定を行い、光ポンピングによって生成 

される超偏極状態の本質の解明を行い、効率的な動的 

核偏極法の開発を進めます。 

本研究を行うに当たり貴重なご助言を頂いた、品川 

秀行、藤戸輝昭、木戸義勇の各氏に感謝いたします。 

また、著者の一人である清水は NIMS 国際ナノアーキ 

テクトニクス研究拠点 ( 文部科学省「世界トップレベ 

ル国際研究拠点形成促進プログラム」)の援助に感謝い 

たします。端は科学研究費補助金 ( 日本学術振興会 ) 

の援助に感謝いたします。大木は NIMS ナノテクノロ 

ジー拠点プロジェクト( 文部科学省「先端研究施設共 

用イノベーション創出事業」)の援助に感謝いたします。 

瀧澤は JST 戦略的創造研究推進事業の援助に感謝いた 

します。 

参考文献 

[1] A. Goto, S. Ohki, K. Hashi and T. Shimizu, Review of 

Scientific Instruments 77, 093904 (2006). 

[2] A. Goto, K. Hashi, T. Shimizu and S. Ohki, Physical 

Review B 77, 115203 (2008). 

- 104 -

カリウムを吸着した SOD 型ソダライトの NMR 特性 

NMR Property of Sodalite Loaded with Potassium 

群馬高専五十嵐睦夫 

M. Igarashi 

Gunma National College of Technology 

大阪大学大学院理学研究科中野岳仁 , 花澤宏文 , 野末泰夫 

T. Nakano, H. Hanazawa, Y. Nozue 

Graduate School of Science, Osaka University 

物質・材料研究機構清水禎 , 後藤敦 , 端健二郎 

T. Shimizu, A. Goto, K. Hashi 


Abstract: 

27 Al NMR property of potassium-loaded sodalite, which shows antiferromagnetic transition around 70 K, is reported. 

Monotonous narrow spectrum above 70 K is broadened below 70 K. The broadened spectrum is analyzed with an assumption 

that the broadening is given by dipolar field from magnetic moment in the cage of sodalite. Two Gaussian functions are used 

for fitting. Widths of each component proportionally scale to each other. 

Keywords: sodalite, zeolite, potassium, 27 Al NMR, width 

E-mail: igarashi@nat.gunma-ct.ac.jp 


アルカリ金属を吸着させた SOD 型のゼオライトは 

反強磁性を示す。Na 8 [AlSiO 4 ] 6 ( 以下、SES と略す)でネ 

ール温度 T N は 48K [1]、K 8 [AlSiO 4 ] 6 ( 以下、PES と略す) 

で 70K [2]と報告されている。SES については、フレー 

ムワークの 27 Al-NMR スペクトルが正にシフトした独 

立成分を持つことが知られており[3]、そのシフト量は 

磁化率とスケールすると報告されている。一方、PES 

については、シフトが非常にわずかであると報告され 

ている[4]。さらに、両者とも全スペクトルの半値全幅 

は 40K 前後で極小を持つと報告されている[4]。これは 

非常に奇妙なことのように思われるが、その報告にお 

いてスペクトル形状は示されていない。以上の状況を 

受け、本研究では PES の 27 Al 核の NMR スペクトルを 

検討した。 

でであり、気体ヘリウムの吹き付け法により温度制御 

した。温度誤差は1K 以下である。 


3.1 スペクトルの概要 

得られたスペクトルはネール温度 T N (=70 K) 以上で 

は狭くて特徴に乏しい形状をしているが、T N 以下に 

おいて先行研究 [4]どおり急激な広がりを見せる。T N 

以下におけるスペクトル例を Fig. 1 の中間領域に示す。 

単一のローレンツ型やガウス型といったシンプルな形 

状とは明らかに異なる内部構造を持つらしいことがわ 

かる。したがって、その解析には何らかのモデルが必 

要となる。 


サンプル作成は先行研究に準拠した[2]。まず、ソダ 

ライトフレームが水熱合成直後にあらかじめ含有して 

いる NaOH をソックスレー法により抽出したのち、 

KNO 3 水溶液中に含浸して Na + を K + へと置換した。 

以上の処置をしたソダライト粉末を真空加熱脱水して 

からカリウム金属を気相法により吸着させたのち、 

NMR 測定用のセルに封入した。脱水以降の作業はす 

べて大気へさらさずに行った。 27 Al-NMR の測定には 

強磁場施設の 9.4 T の高分解能 NMR 装置を用いた。 

MAS 回転は行わず、スピンエコー信号のフーリエ変換 

によりスペクトルを得た。ゼロシフト周波数は 

104.26MHz 付近であった。測定温度は室温から 4K ま 

Fig.1. Example of the spectrum. Curve at middle place 

is the observed spectrum. It looks that narrow component 

is superimposed onto the broader component. Thick curve 

at lower place corresponds to the sum of each component 

derived by fitting of Gaussian functions, which are shown 

by thin curves. 

- 105 -

SES の場合、MAS-NMR 法によって明瞭に示された 

ように[3]スペクトルは2つの部分に分かれる。そのひ 

とつは、ケージ内で磁化した電子系とのフェルミ接触 

相互作用によりシフトしたいわゆるナイトシフトを示 

す成分であり、もうひとつは、電子系の帯磁率とスケ 

ールしない成分である。このような特性は MAS 回転 

をかけない従来の古典的パルス NMR 法によっても確 

認される。事実、我々は SES 試料も独自に作成し、そ 

のような振る舞いを確認した。なお、後者の成分のシ 

フトは、他のゼオライト試料について観測されるもの 

[5][6][7]と同程度の値を示す。ゼオライト系はあまり完 

全でなく、格子空隙もしくは格子不正等の欠陥をかな 

り含み、磁気モーメントの存在しないケージができて 

いる可能性を示すものと思われる。そのような欠陥は 

周囲に双極子磁場を発生せず、すべてが満たされたケ 

ージのみからなる系とは異なった内部磁場分布を与え 

るであろうことは容易に想像される。一方、PES の 

MAS-NMR は室温で単純なひとつのピークを示すと 

報告されている[2]。これは我々の非 MAS 法による観 

測事実と矛盾しない。とはいえ、それは単にひとつの 

等価な Al 核のみが存在することを裏付けるものでも 

ないと考える。SES と同様に接触相互作用を行ってい 

るサイトもあるかもしれないが、ケージ全体からみて 

部分的には磁気モーメントを欠いたケージもあるだろ 

うからである。そのようなケージの周囲における 27 Al 

核は、磁気モーメントがあるケージのみに囲まれた Al 

核に比べれば相対的に弱い双極子磁場を感じているは 

ずである。そのような Al のサイトもナイトシフトが希 

薄であろうから、重ねあわせ後も依然として一本のピ 

ークになっている可能性がある。 

以上を念頭にスペクトルの特徴を整理することを考 

える。我々は双極子磁場を仮定するが、双極子磁場は 

磁気モーメントと外部磁場のなす角度によって変わる 

ので、粉末試料の場合には広い範囲にスペクトルが広 

がることになる。これはいわゆるパウダーパターンと 

呼ばれる。一般には、全立体角に亘って試料粉末の方 

向が平均して分散していると仮定したスペクトルを計 

算しなければならない。しかしながら、現段階におい 

て我々は磁気モーメントの分布についてあまりはっき 

りしたモデルを持ち合わせていない。そこで、線幅の 

かなり異なった複数成分からなるように見えることを 

ふまえ、2つのガウス型関数にて全スペクトルをフィ 

ッティングすることにした。ただし、T N より少々高 

温以上の温度領域ではスペクトル形状がシンプル過ぎ、 

複数のガウス型関数への分離はできなかった。 

3.2 シフト 

フィッティングによって得られた2 成分のピークの 

シフトを全スペクトルのピークシフトとともに Fig. 2 

に示す。ガウス型フィット関数のシフトには、ガウス 

幅の 10 % の誤差棒を引いた。なお、T N より高温で誤 

差棒がないように見えるところは線幅が小さくて図中 

の四角点に隠れるためである。また、高温側では線幅 

が狭くてフィッティング自体が不成立であり、全体の 

ピークのみをプロットした。 

Fig.2. The peak shifts of the components obtained by 

fitting of two Gaussian functions. Triangles and circles 

correspond to the narrower and broader components 

respectively. Squares correspond to the peak of the whole 

spectrum. 

Heinmaa らによる SES の場合 [3]、明らかに分離され 

た2つのピークが存在した。彼らは、2つのピーク間 

の相対的な周波数差をシフトとして定義した。その根 

拠は明示されていないが、ゼオライト格子においても 

ともと存在する反磁性シフトはフェルミ接触相互作用 

のような他の要因によるシフトが加わっても存在する 

はずであるという考えに基づくと思われる。 

一方、籐らは AlCl 3 の水溶液中の 27 Al 核をシフトの 

基準として設定した[4]。そのような定義もデータ整理 

の方法として合理的ではある。しかしながら、スペク 

トル上のどのピークのシフトがプロットされたのかが 

明示されていなかった。今回改めて検討し、PES につ 

いてはピークがひとつのみであることが確認できた。 

ここで我々のデータに立ち戻る。小さくてわかりに 

くいが明らかに、狭幅成分は負周波数側へのゆるい温 

度変化を示す。同様な変化は LTA のような他のゼオラ 

イトについても見られ[5]、フレームワークそれ自身の 

性質であると考える。一方、広幅成分のシフトについ 

ては言及しにくい。一桁以上線幅の異なる成分が共存 

しているため、両者に最適であるように NMR 観測の 

ための共振回路の位相条件を整備することが難しいか 

らである。シフトには温度変化があるようにも見える 

- 106 -

が、ピーク周波数が共振条件と敏感に呼応したに過ぎ 

ないと想像している。 

3.3 線幅 

2つのガウス型関数のフィッティングにより得られ 

た線幅 W b と W n を Fig. 3 に示す。ここで、W b と W n は 

各々広幅および狭幅部の線幅を示す。スペクトル全体 

の半値全幅 (FWHM)も併せて示した。T N 以上では大変 

狭いが、T N 以下で急激に立ち上がる様子は Fig. 3 の挿 

入図からも見て取れる。ただし、半値全幅のみは増大 

したのちに一見奇妙な変化をする。40K 程度までは単 

調増加をするが、その後 30K 前後で極小を示し、我々 

のデータでは振動しているようにも見える。そして、 

最終的には 4K で 150kHz 程度に至る。このような振る 

舞いは奇妙ではあるが、既報の事実である[4]。 

ば、基本的に W n は温度変化しないはずである。事実、 

我々はアルカリ金属無吸着のソダライトについても計 

測を行い、線幅は温度変化しないことを確認した。 

Heinmaa らによって報告された SES [3] の場合には、 

ナイトシフトしない成分についてそのような温度変化 

はなかったようにスペクトル例が示されている。しか 

し、我々の場合は異なる。2ガウス関数近似によって 

はそのような線幅不変の成分は見出されなかった。Fig. 

1 のスペクトルの形状だけをみれば対応するものもあ 

りそうであるが、それはすべてノイズである。このこ 

とからみて、完全に磁気モーメントから離れたサイト 

は生成しにくいのではないかと考えている。 

そうであるならば、T N 以下において W n と W b は比 

例して同様な温度変化をするように思われる。W b と 

W n の比をとったものの温度変化を Fig. 4 に示す。これ 

は、内部磁場としてまったく同一の副格子磁化による 

ものを反映しているのであれば、一定値をとるはずと 

思われるものである。誤差の範囲内といえば範囲内で 

はあるが、実際の一致はそれほどよくなく、40K 付近 

に山が見られた。スペクトルを観測していると狭幅成 

分の線幅の伸びがそのあたりで抑えられているような 

印象を持つのは事実であるが、なぜそうなるのかにつ 

いて明確な説明はできていない。もしかすると、磁気 

モーメントのローカルな再配置などが 20K から 40K ま 

での間あたりで起こっているのかもしれない。 

Fig.3. Gaussian widths of the components obtained 

by two Gaussian fitting. Triangles and circles 

correspond to the narrower and broader components 

respectively. Square points show FWHM. 

そのような振動的振る舞いは一見不思議に思えるが、 

スペクトルを注意深く見てみるとそれほど不思議なわ 

けではない。Fig. 1 に示したように、スペクトルは明 

らかに全体として広幅成分のほかに狭幅成分も含んで 

おり、T N 直下では狭幅成分が FWHM を決める。その 

後、広幅化に伴って狭幅成分のピーク強度は相対的に 

落ち込んでいき、仕舞いには広幅成分のピーク強度が 

勝るに至る。そのような変化が同時に起こる。20K か 

ら 50K 程度の範囲では狭広両者のピーク強度が拮抗し、 

わずかな観測ノイズの影響で FWHM が変化しやすい 

状況にある。線幅が振動するように見えるのはそのせ 

いであるので、振動するように見えること自体はそれ 

ほど重要なものであるように思われない。 

ここで、狭幅成分の線幅 W n の大きさを考えること 

にする。もし、W n を示す 27 Al 核がケージの磁気モーメ 

ントと完全に切り離されたほど遠隔な場所にあるなら 

Fig.4. Ratio between the Gaussian widths of the narrower 

and broader components, W n and W b , respectively. 

また、T N 直下から昇温に伴って比の値は開き始める。 

65 K 程度から上昇し始め、その後に発散するかのよう 

である。その理由は不明であるが、電場勾配との核四 

重極相互作用による効果はあるかもしれない。LTA の 

場合では、その影響によるパウダーパターンの周波数 

範囲が数百 kHz に及んだ[5]。ソダライトにおいても 

150 kHz 程度の影響が残っておかしくはない。発展的 

な検討が望まれる。 

- 107 -

次に、W b と W n の強度比について考える。それらが 

ケージ内の副格子磁化による双極子磁場で決まるなら 

ば、それは距離 r の 3 乗に反比例するはずである[8]。 

すると、 

r 

r 

n 

b 

1/ H 

 

1/ H 

1/ 3 

n 

1/ 3 

b 

1/ W 

 

1/ W 

1/ 3 

n 

1/ 3 

b 

W 

 

 

W 

1/ 3 

となるはずである。ここで、r b と r n は各々、W b と W n 

に対応する Al のサイトと磁気モーメントとの距離と 

した。H b と H n は W b と W n に対応する内部磁場であ 

る。Fig. 4 に示すように比は 15±3 となるから、r n / r b は 

(15±3) -1/3 ≈ 2.5±0.3 と見積もられる。磁気モーメントが 

ケージの中心にいるとすると、ケージ径は 0.88 nm な 

ので[1]、 27 Al 核のサイトは直近距離として 0.44 nm で 

あることになる。この値を r b の値として用いると、r n 

は 0.44*2.5 ≈ 1.1 nm となる。この値は、ケージの直径 

に比べてやや大きいので、W n は次近接のケージにいる 

磁気モーメントによる内部双極子磁場によっているの 

であろうことが示唆される。 

3.4 強度 

得られた2つのガウス関数の相対的な強度比を Fig. 

5 に示す。T N 以下で広幅成分の強度が増加する。50K 

程度以下ではほぼ一定となり、狭幅成分の強度はわ 

ずか 5% 程度となる。ここで、試みにモーメントのい 

ないケージの間隔を検討してみる。この 5%の狭幅成 

分は磁気モーメントがいないケージの分量であると 

してみると、磁気モーメントがないケージの平均距 

離は d = 2*r d = 2*(1/0.05) 1/3 ≈ 5.4 ケージとなるであ 

ろう。ここで r d は空ケージをとりまく半径 r d の球で 

空間を埋め尽くしたとした場合の球の半径である。 

b 

n 

 

 

 

これは推測に過ぎないが、他のゼオライトの場合と比 

較してみることも興味深い。K を吸着させた LTA の場 

合には、約 20 %の強度の信号が空ケージに対応すると 

の報告が 29 Si NMR によってなされているが[9]、その 

場合には、d = 2*r d = 2*(1/0.20) 1/3 ≈ 3.4 cages という値を 

得る。LTA の格子定数は約 1.23 nm であったので[10]、 

d ≈ 4.2 nm を得る。今回のソダライトの場合には、格 

子定数として 0.88 nm とすると[1]、d ≈ 4.8 nm を得る。 

4. まとめ 

K を飽和吸蔵して反強磁性転移を起こす SOD 型ゼオラ 

イトについて、 27 Al 核の NMR スペクトルの温度変化を検 

討した。スペクトル全体を 2 つのガウス関数でフィットし 

てみると、線幅比からみて磁気モーメントのいない空ケー 

ジが間隔を置いて分布していることが示唆された。 

参考文献 

[1] V. I. Srdanov, G. D. Stucky, E. Lippmaa, G. Engelhardt, 

Phys. Rev. Lett. 80 (1998) 2449. 

[2] L. Damjanovic, G. D. Stucky, V. I. Srdanov, J. Serb. 

Chem. Soc. 65 (2000) 311. 

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(2000) 131. 

[4] H. Tou, Y. Maniwa, K. Mizoguchi, L. Damjanovic, V. I. 

Srdanov, J. Magn. Magn. Mater. 226 (2001) 1098. 

[5] M. Igarashi, T. Kodaira, T. Ikeda, M. Itoh, T. Shimizu, 

A. Goto, Y. Nozue, Physica B327 (2003) 72. 

[6] M. Igarashi, T. Kodaira, T. Shimizu, A. Goto, K. Hashi, 

J. Phys. Chem. Solids 67 (2006) 1063. 

[7] M. Igarashi, T. Nakano, T. Shimizu, A. Goto, K. Hashi, 

K. Goto, Y. Yamamichi, Y. Nozue, J. Magn. Magn. Mater. 

310 (2007) e307. 

[8] C. P. Slichter, “Principles of Magnetic Resonance”, 

Springer, New York, 1990. 

[9] H. Kira, H. Toh, Y. Maniwa, Y. Murakami, J. Magn. 

Magn. Mater. 226-330 (2001) 1095. 

[10] T. Nakano, Y. Ikemoto, Y. Nozue, Eur. Phys. J. D 9 

(1999) 505. 

Fig. 5. Relative intensities of the Gaussian components. 

Circles and triangles correspond to the narrower and 

broader ones respectively. 

- 108 -

絹モデルペプチドの分子内・分子間水素結合に関する高磁場 

1 H 固体 NMR と経験的 

1 1 

H 化学シフト計算を用いた研究 

A Study of Intra- and Inter-molecular Hydrogen Bonds in Silk Model Peptides 

with High-Field Solid State 1 H NMR and Empirical 1 H Chemical Shift Calculation 

農工大工鈴木悠、高橋塁、山内一夫、朝倉哲郎 

Yu SUZUKI, Rui TAKAHASHI, Kazuo YAMAUCHI and Tetsuo ASAKURA 

Department of Biotechnology, Tokyo University of Agriculture and Technology 

シェフィールド大マイク・ウィリアムソン 

M. P. WILLIAMSON 

Sheffield University 

物質・材料研究機構清水禎、丹所正孝 

Tadashi SHIMIZU, Masataka TANSHO 


Abstract: 

The fiber formation of Bombyx mori silk fibroin is essentially structural change from the structure before spinning called 

as silk I to the structure after spinning called as silk II. The structure models for silk I and silk II forms have been proposed 

on the basis of the structural analyses of the peptide (Ala-Gly) 15 for the crystalline region of B.mori silk fibroin using mainly 

solid-state NMR method. The structural change is recognized approximately from alternative formation of intra- and 

inter-molecular hydrogen bonding in silk I to all inter-molecular hydrogen bonding formation in silk II. In order to study 

details of change in the hydrogen bonding patterns and related spatial arrangement of the atoms, the combination of 

high-field solid-state 1 H NMR spectroscopy and 1 H empirical chemical shift calculation was used. The two peaks with equal 

intensity were observed for amide proton of (AG) 15 with silk I form, whereas only one broad peak for the former silk II form. 

The empirical chemical shift calculation predicts two peaks with different chemical shift of 1.0 ppm for Ala amide protons 

reflecting the difference in the forms, silk I and silk II, while very small difference 0.2 ppm between silk I and silk II for Gly 

amide protons. Thus, the higher field amide proton peak in silk I is assigned to Ala residue and the lower field one in silk I to 

Gly residue. The origin of these chemical shift change was discussed in relation with change in the spatial arrangement of the 

atoms including changes in the lengths and angles of hydrogen bondings through the empirical chemical shift calculation. 

Keywords: High field solid state 1 H NMR / B.mori silk fibroin model peptide/ Empirical chemical shift calculation 

E-mail: asakura@cc.tuat.ac.jp 

【緒言】 

家蚕絹は蚕体内では高濃度水溶液として存在し、吐 

糸によって瞬時に固体化し高強度な繊維となる。分子 

レベルの繊維化メカニズムとして、分子内水素結合を 

有する-turn の繰り返し構造から、すべてのアミドプ 

ロトンが分子間水素結合を形成した-sheet 構造への 

水素結合の組み換えが提案されているが、NMR 化学 

シフト変化と分子間構造変化の相関については検討さ 

れていない。そこで本研究では、家蚕絹モデルペプチ 

ド(AG) 15 を用いて、水素結合をダイレクトに反映する 

1 H 固体 NMR を経験的化学シフト計算と組み合わせ 

ECA-930 を用い、回転数 20kHz で行った。経験的化学 

シフト計算プログラムは SHIFTCALC 2 を用い、silkⅠ 

型は typeⅡ -turn 構造 

3 、silkⅡ 型は anti-parallel -sheet 

構造 

4 とした(Fig.1)。 

ることで、分子内及び分子間に存在する水素結合ネッ 

トワークの検討を行った。 

【実験】 

絹モデルペプチド(AG) 15 は固相合成法により合成し 

た。9MLiBr に溶解後 3 日間透析して得られた沈殿を 

silkⅠ 型、それを蟻酸に溶解後風乾して得られた試料を 

silkⅡ 型とした。 13 C CP/MAS NMR 測定を行うことによ 

って構造を確認した。 1 H 固体 NMR 測定はつくば物質 

材料研究機構設置の 930MHz 固体 NMR 装置、JEOL 

Fig.1 conformation of a repeated -turn typeⅡ- like 

molecules as a model for silkⅠ(left) and anti-parallel 

-sheet molecules as a model of silkⅡ(rignt) 

- 109 -

【結果・考察】 

高磁場 

1 H 固体 NMR 測定の結果、アミドプロトン 

(NH)の化学シフトが silkⅠと silkⅡで異なる値が得ら 

れた。(Fig.2A) 経験的化学シフト計算を組み合わせた 

結果から、アミドプロトン領域の silkⅠの高磁場ピー 

ク(Fig.2A*)が Ala 残基由来と帰属された。SilkⅠの Ala 

アミドプロトンピークが silkⅡよりも高磁場に出現す 

ることは、化学シフト計算から再現され、そのシフト 

の主原因は、silk II において形成する分子間水素結合 

であることが明らかとなった。また、Gly アミドプロ 

トンにおいては、実測値も計算値も silkⅠ/silkⅡでほぼ 

変化がなく、化学シフト計算値の周辺原子からの寄与 

を検討したところ、Gly アミドプロトンの形成する分 

子間水素結合は、silk II における Ala アミドプロトン 

の形成する分子間水素結合に比べて相対的に弱いこと 

が明らかとなった。これらの結果から、silk I 型から 

silk II 型への構造転移において、Ala アミドプロトン 

の形成する水素結合が分子内から分子間へつなぎ変わ 

ることでより強力な水素結合ネットワークを形成し、 

強固な-sheet 構造が形成されることが示された。 

Fig.2 (A) 1 H MAS NMR spectra of (AG) 15 with silkⅠ 

(solid line) and silkⅡ(dotted line) forms. (B)Stick spectra 

of 1 H chemical shifts calculated by empirical chemical 

shifts calculation. (W):water signal, (ref): silicon rubber 

【参考文献】 

[1] Y. Suzuki, et al., J. Phys. Chem. B 2009 in press 

[2] T. Asakura, et al., J. Biomol. NMR. 1995 (6) 227 

[3] T. Asakura, et al., Macromolecules 2005 (38) 7397 

[4] Y. Takahashi, et al., Int. J. Biol. Macromol. 1999 (24) 

127 

- 110 -

10 B および 11 B 高分解能 NMR によるボロンドープダイヤモンドの研究 

10 B and 11 B High-resolution NMR studies on boron-doped diamond 

京都大学・理竹腰清乃理 

K. Takegoshi 

Graduate School of Science, Kyoto University 

ロシア科学アカデミー E.A.Ekimov,V.A.Sidorov 

Russian Academy of Science 

物質・材料研究機構村上美和、清水禎、丹所正孝、高野義彦、石井聡 

M. Murakami, T. Shimizu, M. Tansho, Y. Takano, S. Ishii 


Abstract: 

In 2004, Ekimov and co-workers discovered superconductivity at 2.3 K in heavily boron-doped diamond synthesized by 

the high-pressure and high-temperature method. In this work, we applied high-resolution solid-state NMR techniques to 

examine several boron-doped diamonds with different boron doping levels. The observed boron signals are broad and consist 

of several different boron sites. Signal assignment using 10 B and 11 B NMR observation as well as signal separation using T 1 

difference is described. 

Keywords: boron-doped diamond, High Magnetic Field, MAS, 11 B, 10 B 

E-mail: takeyan@kuchem.kyoto-u.ac.jp 


ダイヤモンドにホウ素をわずかにドープするとホー 

ルのキャリアが導入され p 型の半導体となることが知 

られている。さらにホウ素を添加していくと、電気伝 

導性が現れ美しいブルーになり、さらに高濃度になる 

と黒色になる。ホウ素濃度が 3×10 20 cm -3 に至ると、 

ダイヤモンドは非金属 - 金属転移を起こし金属的な物 

性を示す。さらにホウ素濃度が増加し、21 乗付近以上 

の領域では、超伝導転移温度が 2K 以上の超伝導体と 

なることが最近明らかになってきた。2004 年に Ekimov 

らが、高圧合成法を用いて C と B 4 C の界面に生じたホ 

ウ素ドープ多結晶ダイヤモンドが超伝導を示すことを 

発見した [1] 。超伝導転移温度は 2.3K で、この温度以下 

でゼロ抵抗状態が達成される。本研究では、ボロンド 

ープダイヤモンドの超伝導性とホウ素の関係を検討す 

ることを目的として 10 B および 11 B NMR による解析を 

行った。 


ボロンドープダイヤモンドの試料は高圧法により合 

成した。原料としてはナフタレンとホウ素を用い、ホ 

ウ素添加量が 0.75 %、2.4 %、5 %である 3 種類の試料 

を得た。電気伝導性はホウ素添加量 2.4%が最も優れ、 

次がホウ素添加量 5%であり、ホウ素添加量 0.75%は電 

気伝導性を示さない。NMR 測定には、JEOL 社製 

ECA930 分光器 (21.8 T)および ECA500 分光器 (11.7 T) 

を用いた。 


図 1(a)に 11.7 T の静磁場下で測定したボロン添加量 

5%の試料の 11 B Magic Angle Spinning(MAS) NMR の 

測定結果を示す。0ppm 付近のシャープなピークと 

0-100ppm のブロードなピークが観測された。0ppm 付 

近のシャープなピークは、四極子が小さく対称性の良 

いことから、4 配位のホウ素ではないかと考えられる。 

ホウ酸ガラスや窒化ホウ素など他のホウ素の 4 配位の 

化合物の NMR との比較から考えても 4 配位ホウ素で 

ある可能性が高い。しかし、ブロードな部分について 

は、これらのスペクトルからは判断できない。 11 B は 

半整数スピン(I=3/2)であり、中央遷移 (-1/2⇔1/2)は四極 

子の 1 次の影響は受けず、2 次の影響により線形が幅 

広くなる。この 2 次の線幅は MAS で取り除くことが 

できないが、磁場に反比例する為にできるだけ大きな 

磁場での測定が有利になる。一方、 10 B はスピンが整 

数 (I=3)であり、全ての遷移に四極子の 1 次の相互作用 

が影響する。従ってそのスペクトルは、四極子に敏感 

であり、MAS NMR では四極子による広がりはスピニ 

ングサイドバンドとして現れる。従って、四極子が大 

きいとスピニングサイドバンドに強度がとられてピー 

クが見えにくくなるが、四極子が小さい場合には、 

MAS の中心ピークは、 11 B と似たスペクトルになると 

考えられる。図 1(b)に 11.7 T の静磁場下で測定した 10 B 

の MAS スペクトルを示す。 11 B では 0-100ppm にブロ 

ードなピークが観測されるのに対して、 10 B では 80ppm 

付近の高周波数側の成分が観測されない。つまり、 11 B 

で観測された 0-100ppm のブロードなピークには少な 

くとも 2 種類のホウ素成分があり、ひとつは 0-50ppm 

- 111 -

のピークで四極子が小さく、 10 B で観測されなかった 

80ppm 付近のブロードな成分は四極子が大きいと考え 

られる。また、 11 B のパルス繰り返し時間を 100ms と 

し、緩和時間が短い成分のみを観測したスペクトルを 

図 1(c)に示す。観測されたスペクトルは 10 B の測定結 

果と類似していることから、0-50ppm 付近のブロード 

なピークは他の成分と比較して緩和時間が短いことが 

分かる。これは伝導電子による緩和のためである可能 

性があり、現在物性の異なる複数のサンプルを測定し 

て物性との関係を検討中である。以上の結果は論文と 

して発表した。 [2] 

[1] E. A. Ekimov, et al., Nature, 428, 542-545 (2004). 

[2] M. Murakami, et al., Diamond relat. Mater. 印刷中 

(a) 

(b) 

(c) 

100 0 -100 

Chemical shift ( ppm) 

Fig.1 11 B (a&c) and 10 B (b) MAS NMR spectra of 

boron-doped diamond (boron 5%) with different 

relaxation delay of (a) 10s, (b) 5s, and (c) 100ms. 

- 112 -

2 H, 13 C NMR による液晶 6BA の分子配向および分子ダイナミクスの研究 

2 H and 13 C NMR Studies of Molecular Orientation and Dynamics in Liquid Crystal 6BA 

1 

金沢大学大学院自然科学研究科物質科学専攻 

2 

物質・材料研究機構ナノ計測センター強磁場 NMRグループ 

水野元博 

1 , 鈴木陽 

1,2 , 村上美和 

2 , 丹所正孝 

2 2 

, 清水禎 

Motohiro Mizuno 1 , You Suzuki 1,2 , Miwa Murakami 2 , Masataka Tansho 2 , Tadashi Shimizu 2 

1 Graduate School of Natural Science and Technology, Kanazawa University 

2 National Institute for Materials Science 

Abstract: 

The dynamics and orientation of dimers accompanying the formation and destruction of hydrogen bonds in the nematic 

phase of 4-n-hexylbenzoic acid (6BA) were studied by 13 C and 2 H NMR. The orientational order parameter S in the nematic 

phase was estimated from the quadrupole splitting of the 2 H NMR spectrum. The intermolecular interaction energy for the 

molecular order in the nematic phase decreased with increasing temperature. The flexibility of dimers due to the destruction 

of the hydrogen bond is closely related to a decrease in the intermolecular interaction energy. The proportion of 2 H NMR 

spin-lattice relaxation time (T 1 ) to S, which reveals the coupling of the orientational fluctuations with the hydrogen bonding 

processes, was observed. 

Keywords: 2 H NMR, 13 C NMR, liquid crystal, nematic phase, hydrogen bond 

E-mail: mizuno@wriron1.s.kanazawa-u.ac.jp 


4-n-alkylbenzoic acid (nBA, n はアルキル基の炭素数 ) 

において,n≥4 のものはサーモトロピック液晶である 

ことが知られている[1,2]。6BA では結晶 ―ネマチック 

相転移点 (T f )が 371.5 K,ネマチック― 等方性液体転移 

点 (T iso )が 387.6 K である。赤外線吸収スペクトルから 

結晶相では水素結合している C=O 伸縮振動のピーク 

のみが観測されることから,カルボキシル基が向かい 

合って 2 本の水素結合した cyclic dimer 構造 (Fig.1 (a)) 

となることが知られている [3]。また, 液晶相では水 

素結合していない C=O 伸縮振動のピーク観測される 

ことから, 一部の二量体で cyclic dimer 構造の水素結合 

が 1 本開裂し,open dimer 構造 (Fig.1 (b))となっている 

ことが予想されている [3]。しかしながら,この水素 

結合の開裂が液晶相の分子配向に及ぼす影響はまだ明 

らかになっていない。本研究では固体高分解能 

13 CNMR を用いて,サーモトロピック液晶 6BA のダイ 

ナミクスを調べた。また,-COOH 基を重水素化した 

6BA-d について, 2 HNMR のスペクトル及びスピン- 

格子緩和時間 (T 1 )を用いて, 水素結合の開裂が液晶 

相の分子配向に及ぼす影響について調べた。 


6BA-d は 6BA を重エタノールで再結晶することによ 

って得た。 NMR の測定には JEOL ECA-500 分光器を 

用い, 2 H 及び 13 C の共鳴周波数はそれぞれ 75.05MHz 

及び 125.77 MHz であった。 2 H NMR スペクトルの測定 

には四極子エコー法をスピン- 格子緩和時間 (T 1 )の測 

定には反転回復法を用いた。 13 C 固体高分解能 NMR ス 

ペクトルの測定には CP-TOSS 法 (cross-polarization-total 

sideband suppression) 及び 1pda 法 (1 pulse with 1 H 

decoupling during acquisition)を用い Magic-angle-spinning 

は 5kHz で行った。 


13 C NMR 

Fig.2に 13 C NMR の 1pda スペクトルと CP/TOSS ス 

ペクトルを示す。T f 以上では-COOH 基の 13 C CP/TOSS 

スペクトルの強度が急激に減少した。この結果は T f 以 

上では-COOH 基に激しい運動が起こっていることを 

示しており,open dimer 構造の増加に伴う二量体の水 

素結合の開裂がこの-COOH 基の高い運動性を引き起 

こしていると予想される。アルキル鎖のピークはネマ 

ティック相では室温より 1 ppm ほど高磁場側にシフト 

しており, 液晶相ではアルキル鎖にトランス-ゴーシュ 

のコンホメーション交換が起こっていると考えられる。 

2 H NMR 

Fig.3 に結晶相 ,ネマティック相 , 等方液体の 2 H NMR 

スペクトルを示す。結晶相のスペクトルは Pake パター 

ンを示し, 線形の解析から核四極子結合定数 , 非対称 

パラメータはそれぞれ e 2 qQ/h = 155 kHz, η = 0.08 と見 

Fig.1 Dimer structure of 6BA (a) cyclic dimer, (b)open dimer 

- 113 -

積もられた。ネマティック相では, 分子の配向に伴い 

2 本のシャープなピークが観測された。ネマティック 

相のスペクトルの分裂幅からオーダーパラメータ(S) 

を見積もった。S の温度変化を Fig.4 に示す。平均場近 

似を仮定するとネマティック相でのオーダーパラメー 

タの温度変化は以下の式で表わされる。 

S 

 

1 

0 

1 

2 

2 

3cos 

1exp 

U ( ) / kT 

 

1 

0 

 

exp U 

( ) / kT 

 

 

1 cos 

2 1 

U S 

2 

 

d(cos 

) 

d(cos 

) 

(1) 

(2) 

Fig.3 2 H NMR spectra 

(a) isotorpic liquid, (b) nematic phase, (c) crystal phase 

ここで,εはネマティック相で分子を配向させる分 

子間の相互作用の大きさを表わす。(1),(2) 式を用いて 

測定で得られた各温度の S からεを見積もった。εの 

温度変化を Fig.5 に示す。εの値は温度の上昇に伴い, 

徐々に減少していった。この分子間相互作用の減少は 

温度上昇に伴う分子の運動性の増大によるものであり, 

open dimer 構造の増加により, 分子のフレキシビリテ 

ィが高くなっていることを反映している。また,T 1 と 

S との間に直線関係が見られた。この結果はネマティ 

ック相では水素結合の開裂と再結合による揺動で緩和 

が支配されていることを示唆している [4]。 

Fig.4 Temperature dependence of order parameter S 

Fig.5 Temperature dependence of ε 

4. まとめ 

本研究により, 水素結合により二量体構造を形成した 

サーモトロピック液晶 6BA について, 水素結合の開裂 

を伴った open dimer 構造のネマティック相のダイナミ 

クスや分子配向への関係を明らかにすることができた。 

(a) 

(b) 

Fig.2 Temperature variation of 13 C NMR spectra. 

(a) 1pda spectra, (b) CP/TOSS spectra 

参考文献 

[1] V. P. Privalko, G. A. Puchkovskaya, E. N. Shermatov, A. 

A. Yakubov, Mol. Cryst. Liq. Cryst., 126 (1985) 289. 

[2] M. J. S. Monte, A. R. R. P. Almeida, M. A. V. Riberio 

da Silva, J. Chem. Thermodyn, 36 (2004) 385. 

[3] D. P. Ojha, Ann. Phys., 13 (2004) 357. 

[4] B. Deloche, B. Cabane, Mol. Cryst. Liq. Cryst., 19 

(1972) 25. 

- 114 -

強磁場固体高分解能 NMRによるモリブデン化合物の局所構造の研究 

A Study of Local Structure of Molybdenum Compounds by High-Field High-Resolution NMR in Solids 

自然科学研究機構分子科学研究所 

飯島隆広 , 西村勝之 

Takahiro Iijimam, Katsuyuki Nishimura 

Institute for Molecular Science 

東京工業大学 

山瀬利博 

Toshihiro Yamase 

Tokyo Institute of Technology 

Abstract: 

Solid state 95 Mo NMR for Mo V,VI and Mo VI species in mixed valence polyoxomolybdates(V, VI) was studied. For a 

diamagnetic crystal of [NMe 4 ] 2 [NH 4 ] 8 [(Mo VI 6Mo V O 23 ) 2 ] . 8H 2 O (1), parameters about chemical shift and quadrupole 

interactions for each molybdenum site were estimated by simulating the magic-angle-spinning (MAS) NMR spectra acquired 

under different magnetic fields of 9.4 and 21.8 T. The chemical shift for the site of Mo V,VI in 1 exhibited a value considerably 

larger than that for other Mo VI sites, which was ascribed to a paramagnetic deshielding term by HOMO consisting mainly of 

d 1 electrons of Mo V . 

Keywords: Solid state NMR, 95 Mo, Mixed valence 

E-mail: nishimur@ims.ac.jp 


近年、NMR 用超電導磁石の到達磁場が上昇し、強 

磁場固体高分解能 NMR の測定が可能になってきてい 

る。特に半整数スピンの四極子核では、強磁場化によ 

り核四極相互作用の二次のシフトが小さくなるためス 

ペクトルの高分解能化が起こり、平衡磁化の増大によ 

る感度向上とあいまって、これまで困難とされていた 

核種を用いた NMR 構造解析が行えるようになってい 

る。実際、近年強磁場 NMR によるいわゆる low-の核 

( 33 S, 35 Cl, 39 K, 53 Cr, 99 Ru, 85 Mo 等 )の基礎研究が報告さ 


遷移金属元素の Mo には 2 つの isotope, 95 Mo (I = 5/2, 

N.A. = 15.8%, = 2.77 MHz T -1 )と 97 Mo (I = 5/2, N.A. = 

9.6%, = 2.83 MHz T -1 )が存在し、どちらも low- 核であ 

る。核四極モーメントは 95 Mo, 97 Mo で 1 桁違っている 

ため(Q( 97 Mo)/Q( 95 Mo)) = 11.47)、ほとんどの場合は 

95 Mo が使われている。溶液 

95 Mo NMR においては、 

Mo 0 , Mo II , Mo VI は比較的測定が容易で構造解析に多用 

されており、またその他の原子価 Mo I , Mo III , Mo IV , Mo V 

についても報告例がある。一方、固体 NMR は、異方 

的な核スピン相互作用から局所構造に関する詳細な情 

報が得られるが、高分解能スペクトルの測定が容易で 

ないために測定例は少ない。これまで固体 95 Mo NMR 

は、M 2 MoO 4 (M: monovalent metal), M’MoO 4 (M’: 

divalent metal)の monomolybdates や(NH 4 ) 6 Mo 7 O 24 等の 

polymolybates における Mo VI による研究の他に、Mo 0 

の錯体や金属、また最近では異なる対称性を有する 

[Mo(CN) 8 ] 4- 構造の Mo IV の NMR が報告されている。 

本研究では、混合原子価のモリブデン(V, VI) 錯体 

を対象とし、Mo V,VI 及び Mo VI の強磁場固体高分解能 

95 Mo NMR を測定する。Mo V は多くのポリ酸に含まれ 

ているが、これまで、Mo V -Mo V 結合を有するいくつか 

の 2 核及び 3 核錯体について溶液 NMR が測定されて 

いるだけである。 

研究対象としたのは混合原子価ポリ酸 [NMe 4 ] 2 [NH 4 ] 8 

[(Mo VI 6Mo V O 23 ) 2 ] . 8H 2 O (1)である。Mo ブルーの一つで 

ある 1a [(Mo VI 6Mo V O 23 ) 2 ] 10- ({Mo 14 })は、 [Mo VI 7O 24 ] 6- 

({Mo 7 })の脱水二量化による光還元種であり、注入され 

た 2 つの電子は-oxo 酸素原子を介してつながっている 

分子中央の 4 つの MoO 6 八面体に広がっていると考えら 

れている。この Mo は平均原子価 5.5 をとっているが、 

そのような状態の 95 Mo NMR は報告例が全くない。ま 

た、近年、{Mo 142 } 等の直径が数 nm にも及ぶ巨大なリ 

ング状ポリ酸が新規電子・磁性材料として注目されてい 

るが、リング形成においてビルディングブロックとなっ 

ている{Mo 22 }は{Mo 14 } 類似の構造をしており、{Mo 14 } 

の 95 Mo NMR は興味あるところである。 

本研究では、9.4 T の磁場に加え 21.8 T の強磁場を利 

用し固体 

95 Mo MAS NMR スペクトルを測定する。得ら 

れたスペクトルのシミュレーション解析や相対論効果 

を取り入れた DFT 計算を行い、局所構造や電子構造を 

考察する。 


9.4 T での 95 Mo 固体 NMR は Varian Inova 400 分光器 

を用い、共鳴周波数 26.060 MHz で測定を行った。 

21.8 T では JEOL ECA 930 分光器を利用し共鳴周波数 

60.572 MHz で 95 Mo 固体 NMR 測定を行った。MAS の 

- 115 -

周波数は 14-16 kHz であった。スペクトル・シミュレ 

ーションは自作のプログラムを用いて行った。 


Figs. 1(i-a)および 1(ii-a)にそれぞれ、9.4 T の磁場の 

下でエコー及び QCPMG 法により測定した混合原子価 

モリブデン錯体 1 の実測 95 Mo MAS NMRスペクトルを 

示す。QCPMG スペクトルは多数のサイドバンドに分 

裂しているが、envelope はエコースペクトルと同様で 

あった。約 20 ppm に強いピークがあり、また幅がお 

よそ400-700 ppm に広がっているこれらのスペクトル 

は、結晶構造から推測されるように、複数の成分から 

成っていることが分かる。Fig. 1(iii-a)に 21.8 T での 

95 Mo MAS NMR スペクトルを示す。シャープなピーク 

が約 50 ppm にショルダーを伴って現れた。また、こ 

のピークには MAS によるスピニング・サイドバンド 

も発生した。さらに 90-190 および 560-750 ppm にかけ 

てブロードなピークが現れた。 

異なる磁場で測定したこれらのスペクトルを全て再 

現するようにシミュレーションを行った。スペクトル 

は 4 つの異なる Mo サイトの重ね合わせでシミュレー 

ションできた。その結果を Fig. 1(b)に、また構成成分 

を Figs. 1(c)-1(f)に示す。 

相対論的 DFT 計算を{Mo 14 }について行ったところ、 

4 つの異なる Mo サイト(Mo VI (1), Mo VI (2), Mo VI (3), 

Mo V,VI (4))の NMR パラメータが得られた。スペクト 

ル・シミュレーションで見積もられたサイトの帰属は 

NMR パラメータを DFT の結果と比較して行った。 

4 つのサイトのうち Mo V,VI (4)が{Mo 14 } 分子中央の 4 

つの MoO 6 八面体の Mo である。Mo V,VI (4)は、光還元 

前の{Mo 7 }では Mo VI (1)に相当するが、NMR パラメー 

タは Mo VI (1)とは大きく異なっていた。特に化学シフト 

は Mo VI (1)では 56 ppm であるのに対し、Mo V,VI (4)は 730 

ppm であった。 

{Mo 14 }の HOMO は主に Mo V,VI (4)の d orbital から成る 

MO であり、HOMO-LUMO gap はわずか 0.34 eV であ 

った。低エネルギーの virtual orbitals の多くは 

Mo(1)-Mo(4)の d orbital の AO が主である MO であり、 

それらの MO 間の磁気双極子許容 mixing に伴う 

paramagnetic deshielding term により Mo V,VI (4)は大きな 

化学シフトを生じていることが分かった。 

(a) Obs. 

(b) Sim. 

(c) Mo VI (1) 

(d) Mo VI (2) 

(e) Mo VI (3) 

(f) Mo V,VI (4) 

1000 0 -1000 

/ ppm 

(i) 

1000 0 -1000 

/ ppm 

(ii) 

1000 0 -1000 

/ ppm 

(iii) 

Fig.1 95 Mo MAS NMR spectra of the sample 1 at 

(i, ii) 9.4 and (iii) 21.8 T. (i, iii) and (ii) are QHE ( r 

= 16 kHz) and QCPMG ( r = 14 kHz) NMR spectra, 

respectively. (a) and (b) show the observed and 

simulated spectra, respectively. (c-f) denote spectral 

components constituting the spectrum in (b). 

4. まとめ 

本研究では混合原子価のモリブデン錯体 [NMe 4 ] 2 

[NH 4 ] 8 [(Mo VI 6Mo V O 23 ) 2 ] . 8H 2 O について、強磁場固体 

高分解能 

95 Mo NMR 及び DFT 計算により、モリブデン 

の局所構造や電子構造を解析した。21.8 T の強磁場マ 

グネットを利用することにより、 95 Mo スペクトルの 

感度・分解能が向上し、各モリブデンサイトの同定が 

容易になった。 

- 116 -

共同研究型支援 

強 2004-53 

27 Al-NMR による脱水ゼオライトにおける異常スピン-スピン緩和の研究 

Anomalous property of the spin–spin relaxation of 27 Al NMR 

in dehydrated zeolite A 

五十嵐睦夫 

a 、小平哲也 


c 、後藤敦 

c 、端健二郎 

c 、中野岳仁 

d 、野末泰夫 

M. Igarashi a , T. Kodaira b , T. Shimizu c , A. Goto c , K. Hashi c , T. Nakano d , Y. Nozue d 

a 

群馬高専、 b 産業技術総合研究所、 c 物質・材料研究機構、 d 大阪大学 

a Gunma Nat. Coll. Tech., b AIST, c NIMS, 

d Osaka Univ. 

d 

脱水ゼオライトAにおけるスピンスピン緩和時間 T 2 の異常な温度変化が 27 Al-NMR 測定によって 

観測された。中心遷移の T 2 はおだやかにしか変化しないにも関わらず、サテライト遷移における 

T 2 は 75K 付近で極小値を取り 140K 以下で急速に減少する。140K 以下ではスピン格子緩和時間 

T 1 は単調にしか温度変化しないことから T 2 の異常な振る舞いは局所磁場の揺らぎでは説明できな 

い。交番電場勾配のようにサテライト遷移にのみ影響を与える格子振動がこれらの振る舞いの原 

因であると考えられる。 

Anomalous temperature dependence of T 2 for 27 Al NMR in dehydrated zeolite A is found. T 2 of the satellite 

transition shows a minimum around 75 K and a rapid decrease below 140 K, in spite that T 2 of the central 

transition changes gradually. Since T 1 shows monotonous dependence on temperature for both transitions 

below 140 K, the anomaly of T 2 cannot be caused by the fluctuation of the local magnetic field. Some 

lattice dynamics which reveal coherence only among the satellite transitions, such as an alternation of the 

electrical field gradient, may be an origin of those behaviors. 

Introduction: 

Zeolites are unique infrastructures for loading 

external atoms to realize various magnetic 

properties. 1) The nuclear sites on the framework 

would be good places to monitor internal fields, 

which can be estimated by NMR. The NMR 

properties, however, contain not only information 

about the magnetism caused by the loading of 

guest atoms but also other information such as 

lattice dynamics. Therefore, in order to separate 

them, it is strongly required to examine the NMR 

properties of the substance itself without any 

guest atoms. In the course of NMR study of 

K-loaded zeolite A 2) , we observed 27 Al spectrum 

of dehydrated and loading-free zeolite A as such a 

reference and found by chance a rather strange 

phenomenon or strong variation of T 2 . 

Observation of 27 Al NMR has been done in two 

fields, 11.7T and 6.5T, which correspond 

approximately to 130.33 MHz and 70.28 MHz, 

respectively for a zero shift reference. Spin echo 

signal was recorded using doubled pulse sequence, 

p 1 ––p 2 , where is a pulse separation. p 1 and p 2 

correspond to high power RF pulse. The ratio of 

the duration of p 1 and p 2 was kept as p 1 : p 2 = 1:2 

and the power of the RF pulses were tuned to give 

maximal echo intensity. Echo intensity for 

constant frequency was plotted against 2 in semilogarithmic 

scale to extract information about 

spin–spin relaxation. Nuclear magnetization was 

saturated by one shot of /2 pulse for 

measurements of the spin-lattice relaxation time 

T 1 . Just after waiting time, T j , /2–– sequence 

was used to record the recovered nuclear 

magnetization. 

Results and discussion: 

27 Al NMR spectrum at 4 K in the field of 11.7 T 

is shown in Fig. 1. It looks like monotonous one 

with a single peak as positioned by an arrow with 

C. In addition to the centered sharp line, there 

exists very weak and much spread component 

closely to the horizontal axis. It is seen more 

clearly in the inset of Fig. 1, where the vertical 

axis is magnified by 200 times longer than the 

main figure, but the horizontal one is held. We 

here take a frequency of 130.60 MHz as 

representative point for the satellite transition, 

which is pointed by an arrow with S in the inset of 

Fig. 1. T 2eff , instead of usual T 2 , was defined as 

the time when the intensity of the echo decays as 

1/e from the initial value. T 2eff at 4 K is relatively 

shorter only at the frequency of C. At other 

frequencies, which correspond to the satellite 

- 117 -

transitions, T 2eff is almost independent of the 

frequency. With increasing temperature, T 2eff for 

the satellite transitions drastically decreases 

although T 2eff for the central transition is almost 

temperature independent. 

Fig. 2. Temperature dependence of T 2eff for the 

central and the satellite transitions. Squares and circles 

correspond to the case of 11.7 T and 6.5 T, respectively. 

Opened and filled ones correspond to the central and 

satellite transitions, respectively. 

Fig. 1. 27 Al NMR spectrum of dehydrated zeolite A 

in the field of 11.7 T. 

T 2eff ’s at C and S are plotted versus temperature 

in Fig. 2 with squares. The width of p 1 and p 2 

were set as 6 s and 12 s, respectively. T 2eff at S 

is longer than that at C below 30 K but is shorter 

than that at C above 30 K after considerable 

decreasing by temperature elevation. Furthermore, 

T 2eff at S shows an anomalous behavior; there is a 

minimum around 75 K and a rapid falling down 

around 140 K. Such behavior is not observed at C. 

The result for different sample is also shown in 

Fig. 2 by stars. In spite that the absolute value of 

T 2eff itself show slight variation from sample to 

sample, we see the local minimum and rapid 

falling down at S for both samples. Therefore the 

anomalous behavior of the tail components on the 

spectrum is common to K-cationized LTA-type 

structure of zeolite with dehydrated condition. 

Therefore, we concluded that the temperature 

variation of T 2eff was an intrinsic nature of this 

system. Since, as previously mentioned, the 

efficiency of substitution was almost 100%, we 

think that the small variation comes from some 

impurity effect. An effect by partial substitution of 

cation is not examined currently. We postpone it 

to the next research. 

Conclusion: 

We measured 27 Al NMR spectra for the powder 

samples of dehydrated zeolite A. We found a 

broad component by the satellite transition in 

addition to a sharp one by the central transition. 

The effective spin–spin relaxation time, T 2eff , 

obtained by the spin echo method has drastic 

temperature dependence only for the satellite 

transition. Since T 1 of the central and the satellite 

transitions show similar to each other and 

monotonous property, the drastic variation is not 

given by the spin-lattice relaxation. Since the 

temperature variation of T 2eff is field independent, 

it may have relation with EFG alternation of the 

framework of zeolite A. 

論文発表状況・特許出願 

[1] M. Igarashi, T. Kodaira, T. Shimizu, A. Goto, 

K. Hashi,T. Nakano, Y. Nozue, Chem. Phys. Lett. 

436 (2007) 80. 

参考文献 

1) Y. Nozue, T. Kodaira, T. Goto, Phys. Rev. Lett. 

68 (1992) 3789. 

2) M. Igarashi, T. Kodaira, T. Ikeda, M. Itoh, T. 

Shimizu, A. Goto, Y. Nozue, Physica B 327 

(2003) 72. 

- 118 -


強 2004-63 

High-Field 1 H MAS and 15 N CP-MAS NMR Studies of Alanine Tripeptides and 

Oligomers: Distinction of Antiparallel and Parallel β-Sheet Structures and Two 

Crystallographically Independent Molecules 

アラニントリペプチドとオリゴマーの高磁場 1 H-MASおよび 15 N 交差分極 -MAS-NMR 

による研究 : 反平行および平行 βシート構造と2つの結晶学的に独立な分子の峻別 

Yu Suzuki a , Kazuo Yamauchi a , Tetsuo Asakura a , Masataka Tansho b , Tadashi Shimizu b 

鈴木優 a 、山内一夫 a 、朝倉哲夫 a 、丹所正孝 b b 

、清水禎 

a Department of Biotechnology, Tokyo UniVersity of Agriculture and Technology, 東京農工大学 

b National Institute for Material Science、物質・材料研究機構 

β-Strand peptides are known to assemble into either antiparallel (AP) or parallel (P) β-sheet forms which 

are very important motifs for protein folding and fibril formations occurring in silk fibroin or amyloid 

proteins. Well-resolved 1 H NMR signals including NH protons were observed for alanine tripeptides (Ala)3 

with the AP and P structures as well as (Ala)n (n ) 4-6) by high-field/fast magic-angle spinning NMR. 

Amide NH and amino NH3 + 1 H signals of (Ala)3 with the P structure were well resonated at 7.5 and 8.9 

ppm, respectively, whereas they were not resolved for the AP structure. Notably, NH 1 H signals of (Ala)3 

and (Ala)4 taking the P structure are resonated at higher field than those of the AP structure by 1.0 and 1.1 

ppm, respectively. Further, NH 15 N signals of (Ala)3 with the AP structure were resonated at lower field by 

2 to 5 ppm than those of (Ala)3 with the P structure. These relative 1 H and 15 N hydrogen bond shifts of the 

P structure with respect to those of the AP structure are consistent with the relative hydrogen bond lengths 

of the interstrand N-H…O=C bonds. Distinction between the two crystallographically independent chains 

present in the AP and P structures was feasible by 15 N chemical shifts but not by 1 H chemical shifts because 

of insufficient spectral resolution in the latter. Calculated 1 H and 15 N shielding constants by density 

functional theory are generally consistent with the experimental data, although some discrepancies remain 

depending upon the models used. 

βストランドペプチドが結集して生じる反平行または平行 βシート構造は、絹素やアミロイド蛋 

白質における蛋白質のフォールディングやフィブリルの形成などにおける重要なモチーフとなっ 

ている。我々は、平行 / 反平行構造を持つアラニントリペプチドの 1 Hと 15 Nの強磁場 / 高速マジ 

ック角回転 NMRを測定した。その結果、反平行と平行構造内の結晶学的に非等価な2つの鎖の区 

別は 1 Hでは困難で、 15 Nの化学シフトにより初めて可能であることがわかった。また、 1 Hと 15 Nの 

遮蔽係数は、密度汎関数理論計算の結果とほぼ一致していることが判明した。 

Results and Conclusion 

Figure 1 shows eight and six peptide chains in the 

crystalline AP and P (Ala)3 used for the theoretical 

calculation of NMR shielding constants. Figure 

2A illustrates the 1H NMR spectra of the AP (solid 

line) and the P (gray line) (Ala)3 at 60 °C. At least 

three peaks are resolved for the amide NH proton 

and the HR and Hβ protons from the lower to upper 

field. Note that the narrow peak resonates at 0.12 

ppm arising from the peak from silicon rubber used 

for the chemical shift reference. A less intense 1H 

signal of the crystalline water molecules from the 

AP (Ala)3 may be superimposed upon a peak at 4 

ppm. It is noteworthy that the lowermost peaks of 

the P (Ala)3 (7.5-8.9 ppm) were split into the two 

components and ascribed to NH and NH3 + protons, 

respectively, as judged from their relative peak 

intensities (4:6). These peaks in the AP tripeptide 

were resonated at 8.5 and 9.3 ppm as shown in 

Figure 2B. It is noted that some HR and Hβ signals 

were split into several peaks after this procedure. To 

clarify this further, the calculated 1H spectra, based 

on the shielding constants obtained by DFT theory, 

were represented by the stick diagram for NH3 +, 

NH, HR, and Hβ protons of the individual 

molecular chains (see Figure 1): they are arranged 

- 119 -

so as to adjust the shielding constants with the 

highest Hβ signals (calculated 1H chemical shift of 

the higher most peak of P (Ala)3 (the shielding 

constant 30.7 ppm was set to 0.9 ppm)) (Figure 2C). 

Here, it is anticipated that three separated theoretical 

peaks are available from the three NH3 + protons 

for A an B molecules, respectively: 

N(1A)H…O(3B), N(1A)H…O(4B), and 

(1A)H…O(w2), and N(1B)H…O(3A), 

N(1B)H…O(4A), and N(1B)H…O(w1)3 (see 

Figure 1). Their electronic structures may 

significantly be different from each other,depending 

upon the manner of hydrogen-bonding nteractions. 

Nevertheless, it appears that a time-averaged singlet 

peak is observable for the NH3 + 1H peak recorded 

at 60 °C, as a consequence of the presence of its C3 

rotation. Otherwise, the observed NH3 + 1H 

signal should spread as large as 6 ppm on the basis 

of the calculated shielding constants (data not 

shown). For this reason, the calculated 1H signal for 

NH3+ was presented in Figure 2C after 

time-averaging of these three peaks for A and B 

molecules, respectively. Several calculated 

peak-splittings arising from the crystallographically 

independent molecules A and B cannot be 

distinguished as compared with the experimental 

spectra. Therefore, distinction of the A and B 

molecules is not feasible by 1H NMR spectra 

because the spectral resolution is not enough for this 

purpose. 

Figure 2. 1H MAS NMR spectra of AP (solid trace) 

and P structures (gray trace) of crystalline (Ala)3 (A). 

Resolution-enhanced spectra are also shown (B). Stick 

diagram for 1H chemical shifts of N-H, HR, and Hâ 

protons obtained by the calculated shielding constants 

by DFT theory using molecular arrangements of the 

individual chains illustrated in Figure 1. Spectra for the 

A and B molecules are expressed by the solid and 

dotted peaks, respectively. Chemical shift scale for the 

calculated spectra is the same as that of the 

experimental ones (A and B). Stick diagram for NH 3 + 

protons was shown after 1H chemical shifts from three 

different protons (see text) were averaged to be 

compared with the experimental data, taking into 

account the C3 rotation (C). 

Figure 1. Eight and six peptide chains in the crystalline AP and 

P(Ala)3 used for the theoretical calculation of NMR shielding 

constants. Two crystallographically independent molecules are 

indicated by A and B. 

- 120 -


強 2004-73 

A Solid-state 17 O NMR Study in Biological Compounds 

生体分子の固体酸素 17 核 NMR 研究 

Kazuhiko Yamada, a, Toshio Yamazaki, a Tadashi Shimizu b and Shinobu Ohki b 

山田和彦 

a 、山崎俊夫 


b b 

、大木忍 

a Protein Research Group, Genomic Sciences Center, Yokohama Institute, RIKEN 

b National Institute for Materials Science 

a 

理研ゲノム科学総合研究センター 

b 物質・材料研究機構 

Solid-state 17 O NMR is expected to be a useful tool for investigating biological systems such as 

metalloproteins and protein-protein interactions. This is because oxygen generally plays important roles in 

such biological activities and 17 O NMR tensors exhibit large ranges depending upon a local molecular 

environment. In this presentation, we will present a systematic experimental and theoretical investigation of 

oxygen-17 EFG and CS tensors in biological solids including amino acids, peptides, and proteins. In 

addition, we will report a solid-state 17 O NMR study of metal-organic compounds in which oxygen atoms 

are directly involved with metal ions. It is expected that they serve as model compounds for the future 

investigations of metalloproteins. 

酸素は広範な分野で重要な原子である. 例えば、生体分子の研究分野では、酸素が多くの生 

理活性や水素結合を主とした構造維持に深く関与するため、酸素原子周辺の分子・電子情報は極 

めて有益であるが、 1 Hや 13 Cや 15 NNMR と比べると酸素 NMR の実験報告例は極めて少ない. 酸素安 

定同位体中で、原子量 17( 以下 17 O)が唯一の NMR 測定可能核 (I = 5/2)として存在するが、こ 

の天然存在比が 0.037%と極端に低いこと、また、その四極子モーメント(Q = -2.6 fm 2 )が比較 

的大きいことから、観測が難しく、これまで研究者に敬遠されてきた.これまでの 17 ONMR の研究 

において、無機化合物に対しては早い時期から実験が行われている一方で、有機化合物において 

は、通常、核四極相互作用の影響が大きく、多くの場合、線幅が広くなり測定自体が困難である. 

また、しばしば有機化合物中に、標識として 17 O を導入する必要があるために、主に有機化学者 

を中心に溶液 

17 

O NMR 法を使った実験報告が、僅かではあるが、発表されてきた.しかしながら、 

近年の固体 NMR 装置の進歩や測定技術と安定同位体標識技術の向上に伴って、有機化合物を対象 

にした固体 

17 

O NMR の実験報告は着実に増えている. 本章では固体 NMR 法を利用した有機化合物 

における 17 O NMR 法について述べる 

Introduction 

Solid-state 17 O Nuclear Magnetic Resonance 

(NMR) is expected to be a useful tool for 

investigating biological systems such as 

metalloproteins and protein-protein interactions. 

This is because oxygen generally plays important 

roles in such biological activities and 17 O NMR 

parameters such as electric-field-gradient (EFG) 

and chemical shielding (CS) tensors exhibit large 

ranges depending upon a functional group and a 

local molecular environment. For example, the 

ranges of 17 O CS tensors are distributed around 

approximately 1500 ppm from urea to aldehyde. 

Recently, by using 17 O stationary, MAS, and 

MQMAS experiments at multiple magnetic fields 

combined with MO calculations, our group has 

presented experimental 17 O NMR tensors for a 

series of biological compounds including amino 

acids, peptides, and proteins. 

Experiments 

In this report, we will present a systematic 

experimental and theoretical investigation of 

oxygen-17 EFG and CS tensors in biological solids. 

In particular, it is possible to discuss the trends and 

the nature for the 17 O NMR tensors in comparison 

of the obtained NMR parameters with the already- 

- 121 -

known molecular structures. In addition, we will 

report a solid-state 17 O NMR study of metalorganic 

compounds in which oxygen atoms in 

amino acids are directly involved with metal ions. 

They are very attractive small molecules since they 

may serve as model compounds for the future 

investigations of metalloproteins. 

This work is part of a systematic investigation of 

amino acids, peptides, and proteins by solid-state 

17 O NMR performed at RIKEN Genomic Sciences 

Center and NIMS. 

Figure 1 shows experimental 17 O MAS spectra 

for (a) [ 17 O]--glycine, (b) Li 2 SO 4 [ 17 O]-glycine, 

and (c) NaNO 3 [ 17 O]-glycine, observed at 11.7 T 

with sample spinning frequencies of 12-15 kHz. 

The analysis of these MAS spectra can yield C Q , 

Q , and iso for each oxygen atom in the 

carboxylate group of glycine molecules. 

Compared to the 17 O NMR tensors for -glycine, 

previously reported by our group, it can be found 

that 17 O NMR parameters are highly sensitive to 

hydrogen bonding environments. For instance, 

there are differences of approximately 5-8 ppm in 

iso between -glycine and -glycine This clearly 

demonstrates that solid-state 17 O NMR is useful for 

the investigations of polymorphs. 

In Li 2 SO 4 glycine, the two carboxlate oxygen 

atoms of a glycine molecule are directly linked to 

Li ions. At a glance, the 17 O MAS NMR line shape 

for the Li 2 SO 4 [ 17 O]-glycine is different from that 

of [ 17 O]--glycine, but the line widths are roughly 

similar to each other. 

In fact, the value of iso is reduced to 

approximately 20 ppm, while the value of C Q 

exhibits relatively similar value of -glycine. 

Although it is well known that hydrogen bonds 

make it change the values of 17 O iso and C Q , the 

present data suggest that the effects of ion-binds on 

the 17 O NMR tensors may be different from that of 

hydrogen bonds. According to the molecular 

structure of NaNO 3 glycine, the glycine molecules 

are sandwiched between the NaNO 3 layers, and the 

oxygen atoms of the glycine molecule are bonded 

to Na ions. Interestingly, the 17 O MAS spectrum of 

NaNO 3 [ 17 O]-glycine exhibits a shapeless one. 

We carried out the 17 O NMR experiments from 

210 K to room temperature, and it can be found 

that a dynamical process exists in this system since 

the line shapes are varied with each temperature. It 

is deduced that glycine molecules have a local 

motion between the NaNO 3 layers. 

Conclusion 

In summary, we have presented the first 

experimental determination of the 17 O NMR tensors 

for -glycine, which are different from those of - 

glycine. The magnitudes of 17 O CS and EFG tensors 

are sensitive to the hydrogen bond environments. It 

is expected that the present results for carboxylate 

functional groups in amino acids are also relevant to 

the situations in other functional groups, which will 

establish a foundation for future solid-state 17 O 

NMR studies for polymorph studies. 

(a) 

600 

(b) 

600 

(c) 

600 

300 

Chemical shift / ppm 

0 

300 

0 


300 

0 


N 

H 

N 

H 

-300 

Li 

-300 

Na 

-300 

O 

O 

C 

O 

O 

C 

O 

O 

C 

Figure 1. Experimental 17 O MAS spectra for (a) [ 17 O]- 

glycine, (b) Li 2 SO 4 [ 17 O]-glycine, and (c) 

NaNO 3 [ 17 O]-glycine. Schematic representations of the 

corresponding intermolecular interactions around the 

carboxylate oxygen of glycine molecules are also given at 

the rights sides of the spectra. 

N 

H 

H 

N 

Li 

Na 

- 122 -


強 2005-4 

Analysis of 11 B NMR Powder Lineshape of MgB 2 in the Normal Phase 

Toshiki Yamaji a , Kiyonori Takegoshi a , and Tadashi Shimizu b 

a 

山路俊樹、竹腰清乃理 a b 

、清水禎 

a Department of Chemistry, Graduate School of Natural Science and Technology, Kyoto University 

b National Institute for Materials Science, 

a 

京都大学、 b 物質・材料研究機構 

11 B NMR measurements have been performed on MgB 2 powder sample at several magnetic fields ranging 

from 6.3 to 21.9 T. The isotropic Knight-shift, as well as quadrupole coupling frequency, was accurately 

determined from magic-angle spinning (MAS) spectra by analyzing its magnetic-field dependence. These 

NMR parameters were then used to interpret its static powderpattern spectra observed at various magnetic 

fields, which reflect both the anisotropic Knight-shift tensor and the second-order quadrupole coupling 

tensor. We found that the Knight-shift tensor and the quadrupole coupling are both axially symmetric and 

their relative orientation to the molecular frame was also determined. This is the first experimental 

determination of the anisotropy of the Knight-shift of MgB 2 in a powder form from an exact analysis of the 

powder lineshape of the 11 B NMR spectra. The anisotropy was found to be very small (~4 ppm), being in 

consistent with previous observations indicating that anisotropy of electronic conductivity in MgB 2 is 

small. 

超伝導 MgB 2 の電子状態を調べるために 11 BのNMR 測定を行った。 11 BのMAS-NMRスペクトルおよ 

びStatic-NMRスペクトルの磁場依存性から、ナイトシフトと四極子核パラメーターなどの正確な 

値を得ることが出来た。いずれのパラメーターも非常に小さい一軸性の異方性を持っているが、 

異方性成分も含めて実験的にパラメーターを決めることが出来た。 

Systematic investigation of the static (Fig.1) and 

MAS (Fig.2) 11 B NMR spectra of powder MgB 2 

at variable magnetic fields up to the super-high 

magnetic field 21.9 T were performed, and the 

quadrupole and Knight-shift tensors were 

successfully determined. It is shown that the use 

of various magnetic fields is useful to extract 

reliable NMR parameters from a NMR lineshape 

affected by several interactions. This is also the 

first experimental determination of the 

anisotropy of the Knight-shift of MgB 2 by the 

exact analysis of the lineshape of the 11 B NMR 

powder-pattern spectra The results of the 

Knight-shift suggest that MgB 2 has an isotropic 

electronic conductivity, which is consistent with 

the previous studies. This property indicates that 

MgB 2 should be versatilely suitable as a line 

material such as a superconductive coil. This 

report thus showed the very significant potential 

of the combination of a super high-magnetic field 

NMR approach and an analysis of a 

magnetic-field dependence. 

- 123 -

Fig. 1.: Experimental (left) and simulated (right) MAS-NMR spectra of 11 B. The spinning sidebands are also marked by _. 

The vertical dotted line is drawn for eye-guidance. The zero shift corresponds to the value of the 11 B resonance frequency in 

H 3 BO 3 -saturated aqueous solution. 

Fig.2: Experimental (left) and simulated (right) powder-pattern static spectra of the central +1/21/2 transition. The zero 

shift corresponds to the value of the 11 B resonance frequency in H 3 BO 3 -saturated aqueous solution. 

- 124 -


強 2006-14 

強磁場 NMR による YbAl 3 C 3 の研究 

NMR Study of YbAl 3 C 3 in High Magnetic Field 

冨澤智 

a 、水戸毅 

a 、和田信二 

a 、端健二郎 


b 、後藤敦 

b 、大木忍 

b 、 

加藤慶顕 

c c 

、小阪昌史 

Satoru Tomisawa a , Takeshi Mito a , Shinji Wada a , Kenjiro Hashi b , Tadashi Shimizu b , Atsushi Goto b , 

Shinobu Ohki b , Yoshiaki Kato c and Masashi Kosaka c 

a 

神戸大学、 b 物質・材料研究機構、 c 埼玉大学 

a Kobe Univ., b NIMS, 

c Saitama Univ. 

希土類化合物 YbAl 3 C 3 は六方晶の層状結晶構造を持ち、帯磁率、比熱、超音波、中性子回折など 

の測定から80K 付近で相転移を起こし、その起源として高温四極子秩序の可能性が指摘させて 

きた。相転移温度が高いため磁気効果を観測するためには強磁場が必要となる。そこで本研究で 

は微視的な観点からこの転移の本質を明らかにするために物質・材料研究機構が所有するハイブ 

リッド磁石を用いた強磁場下でのアルミニウム核をプローブとした NMR 測定を行なった。 

Rare-earth compound YbAl 3 C 3 with a hexagonal crystal structure exhibits a phase transition around 80 K. 

The properties of the phase transition have been investigated by magnetic susceptibility, specific heat, 

elastic constant and neutron diffraction measurements. In order to clarify the origin of the phase transition 

from microscopic point of view, high field NMR measurements with a hybrid magnet at NIMS were 

performed. 

Introduction: 

The elusive phase transition of the ytterbium 

(Yb)-based compound YbAl 3 C 3 has attracted 

much attention. The transition temperature 

T*~80K is much higher than ordinary magnetic 

ordering temperatures in Yb-based strongly 

correlated electron systems. Although the 

susceptibility of YbAl 3 C 3 at high temperatures is 

well described by the Curie Weiss law with a large 

absolute value of the Weiss temperature and the 

effective moment close to the magnetic Yb 3+ ion 

value, the magnetic properties at low temperatures 

are rather nonmagnetic. In the early stage of the 

investigation, it was supposed that the transition 

of this compound is associated with 

‘‘high-temperature quadrupolar ordering’’.1) 

Moreover, neither magnetic nor structural 

anomalies had been detected by the X-ray or 

neutron diffraction measurement of powder 

samples. 

In this paper, we report the results of 27 Al 

nuclear magnetic resonance (NMR) experiments on 

YbAl 3 C 3 . The purpose of this study is to clarify 

whether or not the transition mechanism involves 

the properties of Yb-4f electrons. If the transition is 

associated with the quadrupole degrees of freedom, 

NMR will be useful in detecting it: The secondary 

magnetic moments possibly induced by magnetic 

field give rise to the splitting or broadening of 

resonance lines as indicated by earlier works. 

In order to investigate the field dependence of 

the transition, the present measurements were 

required to use a substantially high magnetic field, 

because the transition temperature of YbAl 3 C 3 is 

fairly high. We therefore used a hybrid magnet 

installed at the 

National Institute for Materials Science for the 

measurement at the highest field, which allows us 

to perform measurements up to 30 T.2) 

Results and discussion: 

We have carried out the spectrum measurements 

up to a field of 30 T. Figure 1 shows the 

temperature dependence of full width at a half of 

the maximum (FWHM) at fields of 1.0, 14.3, and 

30.1 T. At each field, the rapid increase in FWHM 

is observed. We plot IT vs T in the insets to 

determine T*(H), which demonstrates the 

anomaly at the transition more explicitly. Here, IT 

is the maximum intensity of the central line 

multiplied by temperature. The decrease in IT 

implies the broadening of the resonance line, 

since the whole integrated signal intensity is 

generally proportional to T. The estimated T*(H) 

is indicated by the arrows in Fig. 1. 

Obviously, T*(H=30T) is increased by ~10K 

compared to T*(H=1T). This finding provides 

microscopic evidence that confirms the previous 

report on the field dependence of T*. The H−T 

- 125 -

Fig. 2. H−T phase diagram for YbAl 3 C 3 obtained by 

the present 27 Al-NMR measurement. The previous data 

obtained by the specific heat, tunnel diode oscillator 

(TDO) and NQR techniques are also plotted for the 

comparison. The dashed line is a guide to the eyes. 

Fig. 1. Temperature dependence of FWHM for the central 

line of the Al(II) site measured at fields of 1.3, 14.3, and 

30.1 T. T*(H) is defined as shown in the insets. Inset: plot 

of IT vs T. The linear lines are fits to the data just above 

and below the temperature where IT exhibits a rapid 

decrease upon cooling. 

phase diagram obtained from the present study is 

shown in Fig. 2. In agreement with the previous 

work, T*(H) is almost independent of field below 

10 T. The field of lower than 10 T may be too 

small to cause visible effect on T*. On the other 

hand, T*(H) increases upon field above 10T. This 

observed field effect cannot be explained within 

the framework of the simple structural phase 

transition, suggesting that the transition involves 

magnetic 4f electrons. There is quantitative 

discrepancy between the present and previous 

data: the present field 

dependence above 10T is less steep. Although 

the reason for this difference has not been 

clarified yet, one of the possible explanations is 

that the results may be dependent on the 

experimental techniques. For example, the present 

measurements were performed by sweeping 

temperature at fixed fields, while the previous 

data were taken by sweeping field at fixed 

temperatures. 

Conclusion: 

We have investigated the phase transition of 

YbAl 3 C 3 by 27 Al NMR measurements. The field 

dependence of the transition has been studied by 

the NMR spectrum measurement up to 30 T. The 

spectrum shows field-induced broadening just 

below T*, which extrapolates to almost zero at 

zero magnetic field. The given H–T phase 

diagram of YbAl 3 C 3 reveals that T* increases by 

10K at 30 T. These anomalous magnetic 

properties suggest that the microscopic 

mechanism of the transition involves degrees of 

freedom of the Yb-4f electrons. 

論文発表状況・特許出願 

[1] 冨澤智、水戸毅、和田信二、端健二郎、清 

水禎、後藤敦、大木忍、加藤慶顕、小阪昌史、 

第 62 回日本物理学会年次大会 ( 日本物理学 

会 )2007 年、札幌 

[2] S. Tomisawa, T. Mito, S. Wada, K. Hashi, T. 

Shimizu, A. Goto, S. Ohki, Y. Kato and M. 

Kosaka, J. Phys. Soc. Jpn 77 (2008) Suupl. A 291. 

参考文献 

1) M. Kosaka, Y. Kato, C, Araki, N. Mori, Y. 

Nakanishi, M. Yoshizawa, K. Ohoyama, C. 

Martin and S. W. Tozer, J. Phys. Soc. Jpn. 74 

(2005) 2413. 

2) K. Hashi, T. Shimizu, A. Goto, T. Iijima, and S. 

Ohki, Jpn. J. Appl. Phys. 44 (2005) 4194. 

- 126 -


強 2006-18 

Skeletal Si–O–Si network connectivity of self-assembled porous silica 

for low-k dielectrics depending on organoalkoxysilane concentration 

in precursor solutions 

低 -k 絶縁体用自己組織化ポーラスシリカのSi-O-Si 骨格ネットワークの結 

合性に対する前駆体溶液中の有機アルコキシシラン濃度依存性 

Syozo Takada a , Nobuhiro Hata a and Kikuko Hayamizu 

Miwa Murakami b , Kenzo Deguchi b , Shinobu Ohki b , Masataka Tansho b , and Tadashi Shimizu b 

a Advanced Semiconductor Research Center, National Institute of Advanced Industrial Science 

and Technology (AIST), 16-1 Onogawa, Tsukuba, Ibaraki 305-8569, Japan 

b National Institute for Materials Science (NIMS), 3-13 Sakura, Tsukuba, Ibaraki 305-0003, Japan 

Self-assembled porous silica films prepared from the tetraethoxysilane _TEOS_-based precursor solutions 

containing dimethyldiethoxysilane _DMDEOS_ are known to have higher mechanical strength than the 

films prepared from TEOS precursor solution not containing DMDEOS. To clarify the origin of their 

higher mechanical strength, 29Si magic-angle-spinning nuclear magnetic resonance _MAS NMR_ 

spectroscopy was carried out for a series of self-assembled porous silica samples prepared by varying the 

DMDEOS concentration in the precursor solution. The MAS NMR spectra obtained were analyzed to 

deduce concentrations of the methyl and hydroxyl functional groups and Si–O–Si bonds, from which the 

connectivity number m, or the average coordination number, was calculated to assess the skeletal 

mechanical strength. A maximum of m appeared at the concentration of DMDEOS/ 

_TEOS+DMDEOS_=0.17. It is concluded that the enhancement of Si–O–Si network formation by the 

added DMDEOS into the TEOS-based precursor solution is the origin of the improvement of the skeletal 

mechanical strength. 

自己組織化ポーラスシリカ膜の機械的強度は、前駆体であるテトラエトキシシラン溶液にジメチ 

ルジエトキシシラン(DMDEOS))を加えることで強化されることが知られている。その理由を 

探るため、DMDEOS の濃度を変えて作製した膜について 29 Si のマジック角回転 NMR 測定を行 

い、メチル基およびハイドロキシル基の濃度と Si-O-S 結合との関係を調べた。その結果、 

DMDEOS を加えることで生じる Si-O-Si ネットワーク構造の増加が、強度の増強に寄与してい 

ることが判明した。 

INTRODUCTION 

As the minimum feature size of integrated 

circuit continues to shrink, the device 

performance should become more and more 

susceptible to the signal propagation delay, 

cross-talk noise, and power dissipation in the 

interconnect structure. To overcome these issues, 

low dielectric constant _low-k_ interlayer 

materials for the Cu interconnect have been 

developed. Tremendous efforts have been made 

over the past years in searching for promising 

ultralow-k films to propose several classes of 

materials.1 Among the candidate material classes, 

self-assembled porous silica films have received 

significant attentions. 

One of the key challenges for developing 

self-assembled porous silica low-k films is to 

obtain a high mechanical strength. An earlier 

theoretical modeling on mechanical strength of 

porous silica low-k films suggested the 

importance of improvement of skeletal silica 

strength. Young’s modulus of skeletal silica can 

be varied through sample preparation conditions. 

Specifically, Theije et al demonstrated that the 

introduction of methyl groups into porous silica 

films, by adding methyltriethoxysilane into 

precursor solution, resulted in a dense matrix. 

Self-assembled porous silica films prepared with 

dimethyldiethoxysilane DMDEOS_ added to 

tetraethoxysilane _TEOS_-based precursor solutions 

exhibited higher Young’s moduli than a film without 

DMDEOS addition. 

- 127 -

Connectivity numbers m calculated from the 

weighted average over the peaks of 29Si 

solid-state nuclear magnetic resonance _NMR_ 

spectrum of chemical-vapor deposited 

organosilica low-k dielectrics are widely used to 

assess their mechanical properties. In the present 

work, this technique is applied to organosilica 

low-k dielectrics prepared from TEOS-based 

precursor solutions with varying DMDEOS 

concentration. The experimental results on the 

dependence of connectivity numbers m on 

DMDEOS concentration mixed into a 

TEOS-based precursor solution for selfassembled 

porous silica films are reported and discussed. 

RESULTS AND DISCUSSION 

Figure 1 shows 29Si CP/MAS NMR spectra of 

the five samples measured at the MAS rate of 5 

kHz, contact time of 6 ms, and repetition time of 5 

s. The CP technique has the advantage that a 

higher repetition rate of measurements 

corresponding to 1H _faster than 29Si_ relaxation 

time can be employed. The spectral signals 

between 0 and −30 ppm can be assigned to 

Si*_OSi_2_CH3_2 _D unit_, where the asterisk 

denotes the atom of interest. The peak position of 

the chemical shift moves toward the higher field 

from −12.0 to 15.8 ppm with the increase of the 

volumetric concentration of the added DMDEOS, 

i.e., DMDEOS/ _TEOS +DMDEOS_ from 0.063 

to 0.250. Long polydimethylsiloxane chains are 

known to show a resonance peak at around −22 

ppm, while the formation of D units in a 

constrained environment, spatially close to Q 

units, results in a highfrequency shift and 

broadening of the peak. 

CONCLUSION 

29Si MAS NMR spectroscopy on a series of 

selfassembled porous silica films prepared by 

varying the DMDEOS Me2Si_OEt_2 concentration 

relative to TEOS Si_OEt_4 in the precursor 

solution was carried out to clarify the origin of the 

higher mechanical strength of selfassembled 

porous silica films prepared from the DMDEOS 

containing precursor solutions than that from 

without DMDEOS. The concentrations of methyl 

and hydroxyl functional groups and Si–O–Si 

bonds were deduced from the obtained 29Si NMR 

spectra, and then the connectivity number m was 

calculated to assess the skeletal mechanical 

strength. A maximum of m appeared at the optimum 

concentration of DMDEOS/ _TEOS+DMDEOS_=0.17. 

It is concluded that the enhancement of Si–O–Si 

network formation by adding DMDEOS into the 

TEOS-based precursor solution increases the 

skeletal mechanical strength. 

Figure 2 compares the methyl-group composition 

determined by the single pulse MAS NMR and 

by the CP/MAS NMR. The signal intensities from 

the 29Si of the D_OH_2 and TOH sites are 

greatly enhanced relative to those of the Q in 29Si 

CP/MAS NMR spectra. The results that the 

concentration of the Q site was estimated smaller 

and that those of the TOH and D_OH_2 

sites were estimated higher in CP spin dynamics 

studies of sol-gel microporous silica are reported. 

In addition, it is difficult to compare the peak 

intensities in CP/MAS NMR spectra among the 

samples, since the 1H concentration is different 

among them. The signal-to-noise ratio of the CP/ 

MAS NMR spectra decreased with the decrease of 

the DMDEOS concentration as shown in Fig. 1, 

reflecting the decrease of H concentration in the 

samples. On the other hand, the CH3 

concentration from the 29Si single pulse NMR 

results is in good agreement with the 

concentration in the precursor solutions as in 

Table I. 

FIG. 1. 

29 Si solid-state CP/MAS NMR spectra of 

mesoporous organosilica samples. 

FIG. 2. Stoichiometric ratio of methyl functional group in 

the prepared sample measured by NMR plotted against 

that in the silica precursor. Open squares and closed 

circles show results of CP/MAS NMR and single pulse 

MAS NMR, respectively. The dotted line is a guide for 

the eyes. 

- 128 -

Tbale I: 

Molecular formulas and connectivity number (m) for each sample. 

- 129 -

- 130 -


強 2006-21 

Molecular Dynamics in Paramagnetic Materials as Studied by 

Magic-Angle Spinning 2 H NMR Spectra 

常磁性物質内における分子運動のマジック角回転 2H-NMRスペクトル 

による研究 

Motohiro Mizuno a ,, You Suzuki a , Masataka Tansho b , and Tadashi Shimizu b 

水野元博 a b 

, 鈴木陽 a、丹所正孝 b、清水禎 

a Department of Chemistry, Graduate School of Natural Science and Technology, Kanazawa University, 

b National Institute for Materials Science, 

a 金沢大学、 b 物質・材料研究機構 

A magic-angle spinning (MAS) 2 H NMR experiment was applied to study the molecular motion in paramagnetic 

compounds. The temperature dependences of 2 H MAS NMR spectra were measured for paramagnetic 

[M(H2O)6]-[SiF6] (M = Ni 2+, Mn 2+ , Co 2+ ) and diamagnetic [Zn(H2O)6][SiF6]. The paramagnetic compounds 

exhibited an asymmetric line shape in 2 H MAS NMR spectra because of the electron-nuclear dipolar coupling. 

The drastic changes in the shape of spinning sideband patterns and in the line width of spinning sidebands due to 

the 180flip of water molecules and the reorientation of [M(H2O)6]2+ about its C3 axis were observed. In the 

paramagnetic compounds, paramagnetic spin-spin relaxation and anisotropic g-factor result in additional 

linebroadening of each of the spinning sidebands. The spectral simulation of MAS 2 H NMR, including the 

effects of paramagnetic shift and anisotropic spin-spin relaxation due to electron-nuclear dipolar coupling and 

anisotropic g-factor, was performed for several molecular motions. Information about molecular motions in the 

dynamic range of 10 2 s -1

transverse relaxation, the imaginary part of the 

spectral density gives rise to the shift in the 

resonance frequency, often referred to as the 

dynamic frequency shift (DFS). The effects of 

DFS to the 2 H MAS NMR spectrum were also 

investigated. A point dipole model was used for 

the calculation of the dipolar interaction between 

the deuteron and the paramagnetic ions. The 

simulation spectrum was obtained by stepwise 

integration for the equation of the time evolution 

of magnetization. Application of the proposed 

simulation method to the analysis of molecular 

dynamics in paramagnetic samples is discussed by 

comparing the results of 2 H NMR MAS spectra 

and broadline spectra for paramagnetic 

[M(H 2 O) 6 ][SiF 6 ] (M = Ni 2+ , Mn 2+ , Co 2+ ) and 

diamagnetic [Zn(H 2 O) 6 ][SiF 6 ]. 

Figure 3. Temperature dependence of 2 H MAS NMR 

spectra for paramagnetic [Ni(H 2 O) 6 ][SiF 6 ] in the 

temperature range of 296-358 K. Observed (a) and 

simulated (b) spectra. 

Figure 1. Six-site jump of deuterons caused by the 

180flip of water molecules and the three-site jump of 

[M(H2O)6]2+ about the C3 axis. 


spectra for paramagnetic [Ni(H 2 O) 6 ][SiF 6 ] in the 

temperature range of 438-493 K. Observed (a) and 

simulated (b) spectra. 


spectra for diamagnetic [Zn(H 2 O) 6 ][SiF 6 ]. Observed (a) 

and simulated (b) spectra. 

- 132 -


強 2008-6 

930MHz 固体 NMRによるオレフィン重合用触媒の構造解析 

Ti-NMR in Zigler-Natta Catalyst by High-Field Solid-State NMR 

齋藤雅由 a 、藤田孝 a 、清水禎 

b 

、出口健三 

b 

Masayoshi Saito a , Takashi Fujita a , Tadashi Shimizu b , Kenzo Deguchi b 

a 

東邦チタニウム、 b 物質・材料研究機構 

a Toho Titanium Co. Ltd., b National Research Institute for Materials Science 

チーグラー・ナッタ触媒の研究は多くの機関より報告されている。とりわけ、触媒活性中心金属 

であるTi 元素の存在については、各方面より報告されている。しかし、Ti 元素の状態を直接測定 

できる技術が少ないため、触媒構造の本格的な理解には至っていない。今回我々は、NIMSの強磁 

場固体 NMRを用いて触媒中のTi 元素の測定に成功したので報告する。また、同時にエチレン重合 

を実施し、Ti 元素の状態と重合活性の相関を調べたので併せて報告する。 

We measure 47,49 Ti solid-state NMR of Ziegler-Natta catalysts,which are applied to synthesize polyethylene. 

We synthesize the catalysts with milling MgCl 2 and TiCl 4 for 0, 2, 5, and 20 hours, and find interesting 

behaviour in their 47,49 Ti NMR spectra. To explain the behaviour, we propose a model, that 47,49 Ti nuclei 

chemically exchange between liquidlike 47,49 Ti and solid-like 47,49 Ti in the catalysts. 

背景と目的 

本研究は、ポリエチレン(PE)およびポリプロ 

ピレン(PP)といった汎用樹脂の生産に使用す 

るチーグラー・ナッタ(ZN) 触媒の構造につ 

いて、NIMSの強磁場固体 NMRを用いて研究 

したものである。 

現在 PEおよびPPの研究開発の主要課題の 

ひとつは、高剛性や高強度といった高性能 

PE,PPの開発である。しかし、この開発を促進 

するためには精密な触媒設計とそれに基づく 

触媒開発が必要である。また、ZN 触媒発見か 

ら60 年近くなり、種々の改良をなされている 

が、この触媒の主成分であるMgCl2、TiCl4お 

よび電子供与体の相互作用については充分に 

判っていない。TiCl4 中のTi 元素がPE,PP 重合 

の中心金属 ( 活性点 )と言われており、Ti 元素、 

MgCl2および電子供与体との相互作用が正確 

に判れば、高機能 PE,PP 用触媒の設計に活用が 

できることを期待される。 

ZN 触媒の原子レベルでの構造を決定できる 

手法として、固体 NMRがある。しかし従来の 

固体 NMRでの報告は、測定が比較的容易な元 

素である電子供与体中の炭素元素の変化で議 

論をしてきた。触媒中心金属であるTi 元素の状 

態についての測定には、従来は不可能であった 

がNIMSの強磁場固体 NMRによって観測が初 

めて可能になってきた。 

実験の内容と結果 

MgCl2とTiCl4から成る触媒を合成し、この 

装置を用いてTi 元素核のNMR 測定を試みた。 

結果を図 1に示す。 

Fig.1: 27,29 Ti NMR Spectra in a ZN-catalyst. 

測定の結果、固体触媒中のTi 元素測定が行え 

ることを「世界で初めて確認することに成功」 

した。なお、このNMR 信号は、向かって左側 

が質量数 49Ti、右側が 47 Ti 元素である。 

- 133 -

この結果をふまえ、以下の試験を試みた。試験 

使用触媒は、MgCl2とTiCl4を振動ミルにて共 

粉砕し、粉砕時間を0~20 時間に変化させたも 

のである。この触媒のTi 元素の状態を強磁場固 

体 NMRを用いて測定した。同時にPE 重合を実 

施し、Ti 元素状態と重合活性の相関を調べた 

( 図 2、3)。 

Fig.2: 47,49 Ti NMR spectra of TiCl 4 (neat liquid) (top) and 

ZN catalysts at milling time of 0, 2, 5 and 20 hours. 

Fig.3: Correlation between milling time and yield of 

polyethylene for 1g of ZN catalysts. 

信号が右側 ( 高磁場側 )にシフトした( 図 2)。 

一方、PE 重合に関しては、共粉砕時間を長く 

することで活性が向上していくことを確認 ( 図 

3)した。このことから、共粉砕時間を変化す 

ることで、チタンNMRスペクトルと活性向上の 

相関関係があることが判明した。 

考察と今後の課題 

このように、強磁場 NMRを用いることで、 

触媒の原子レベルでの構造解析が容易になり 

つつあり、今後の高機能 PE,PP 用触媒の設計の 

進捗を計ることが期待される。 

- 134 -

発表リスト( 誌上・口頭 )

誌上発表 

[ 1] Quantum interfrence in the quasi-one-dimensional organic conductor (Per) 2 Au(mnt) 2 

D.Graf , J.S.Brooks , E.S.Choi , M.Almeida , R.T.Henriques , J.C.Dias , S.Uji 

PHYSICAL REVIEW B , vol.75 , p245101-1~p. 245101-5 , 2007 

[ 2] Antiferromagnetic ordering of the incommensurate organic superconductor (MDT-TS) (AuI 2 ) (0.441) with a high spin-flop field 

T.Kawamoto , Y.Bando , T. Mori, T. Konoike , K.Takimiya , T.Otsubo , S.Uji , T.terashima , T.Yamaguchi 

PHYSICAL REVIEW B , Vol.77/No.22/p.224506-1~5 , 2008 

[ 3] De haas-van Alpen effect in the mixed state of LuNi 2 B 2 C: Anisotropy and field dependence of the damping due to 

superconductivity 

T. Isshiki , Kimura , T.Terashima , S.Uji , K. Yamauchi , H. Harima , D. Jaiswal-Nagar , A. K. Grover 

PHYSICAL REVIEW B , vol. 78/ No. 13/ p.p. 134528-1~134528-12 , 2008 

[ 4] Fermi Surface in LaRHSi and CeRhSi 3 

T.Terashima , M.Kimata , S.Uji , T.Sugawara , N.Kimura , H.Aoki , H.Harima 

PHYSICAL REVIEW B, Vol.78/No.20/p.205107-1~p.205107-10, 2008 

[ 5] Effect of pressure on the steplike magnetostriction of single crystalline bilayered manganite (La 0.4 Pr 0.6 ) 1.2 Sr 1.8 Mn 2 O 7 

Y. Yamato, M. Matsukawa, T. Kumagai, R. Suryanarayanan, S. Nimori, M. Apostu, A. Revcolevschi, K. Koyama, 

N. Kobayashi 

Phys. Rev. B78,(2008)132411-1-4. 

[ 6] Fermi Surface Properties of CeRu2(SiⅠ-Gex)3 in Magnetic Fields above the MetamagneticTransitions 

M.Sugi Y.matsumoto N.Kimura T.komatubara H.Aoki T.TERASHIMA ShinyaUj 

PHYSICAL REVIEW LETTERS, Vol.101 , No.5 , 056401-1~056401-4, 2008. 

[ 7] Possible Phase Transition Deep Inside the Hidden Order Phase of Ultraclean URu 2 Si 2 

H. Shishido, K. Hashimoto, T. Shibauchi, T. Sasaki, H. Oizumi, N. Kobayashi, T. Takamasu, K. Takehana, 

Y. Imanaka, T. D. Matsuda, Y. Haga, Y. Onuki, and Y. Matsuda 

To be published in Physical Review Letters 

[ 8] Se 77 NMR evidence of the Jaccarino-Peter mechanism in the field induced superconductor, -(BET) 2 FeCl 4 

K. Hiraki H. Mayaffre M. Morvatic C. Berthier S.Uji T.Yamaguchi A.Kobayashi H.Tanaka T.Yakahashi 

JOURNAL OF THE PHYSICAL SOCIETY OF JAPAN , Vol.76/No.12/p.124708-1~7 , 2006 

[ 9] NMR Study of YbAl 3 C 3 in High Magnetic field 

Satoru Tomisawa, Takeshi Mito, Shinji Wada, Kenjiro Hashi, Tadashi Shimizu, Atsushi Goto, Shinobu Ohki, 

Yoshiaki Kato and Masashi Kosaka, 

Journal of the Physical Society of Japan 77 (2008) Supplement A, 291-293 

[ 10] Continuous Evolution of Fermi Surface Properties abobe Metamagnetic Transitions in CexLal-xRu 2 Si 2 

Y.Matsumoto M.Sugi N.Kimura T.Komatsubara H.Aoki I.SatohT.Terashima S.Uji 

JOURNAL OF PHYSICAL SOCIETY OF JAPAN , Vol.77 Number5,page053703-1~053703-4, 2008/04 

[ 11] Spin-Singlet Ground State in the Two-Dimensional Frustrated Triangular Lattice: YbAl 3 C 3 

Y. Kato, M. Kosaka, H. Nowatari, Y. Saiga, A. Yamada, T. Kobiyama, S. Katano, K. Ohoyama, H. S. Suzuki, N. Aso, 

and K. Iwasa 

J. Phys. Soc. Jpn. 77 (2008) 053701. 

[ 12] Structural Phase Transition in the Spin Gap System YbAl 3 C 3 

T. Matsumura, T. Inami, M. Kosaka, Y. Kato, T. Inukai, A. Ochiai, H. Nakao, Y. Murakami, S. Katano, and 

H. S. Suzuki 

J. Phys. Soc. Jpn. 77 (2008) 103601. 

[ 13] Analysis of 11 B Powder Pattern Lineshape of MgB 2 in the Normal Conductive Phase 

T. Yamaji, M. Murakami, J. Fukazawa, T. Shimizu, and K. Takegoshi 

J. Phys. Soc. Japan, 77(4), 044711-1-4, 2008 

[ 14] Fermi surface in BaNi 2 P 2 

T.Terashima, M.Kimata, H.satsukawa, A.Harada, K.Hazama, S.Uji, M.Imai, AIyo Hijiri, H.Kiyo, H.Eisaki, H. Harima 

JOURNAL OF THE PHYSICAL SOCIETY OF JAPAN, 2009 

- 135 -

[ 15] 27 Al NMR/NQR studies of YbAl 3 C 3 

Takeshi Mito, Satoru Tomisawa, Shinji Wada, Hisatomo Harima, Kenjiro Hashi, Tadashi Shimizu, Atsushi Goto, 

Shinobu Ohki, Yoshiaki Kato and Masashi Kosaka 

Journal of the Physical Society of Japan 78, No.1 (2009) 014709 

[ 16] Sample size dependence of excess resistance near critical field in mesoscopic superconducting Al disk 

A. Harada, K. Enomoto, T. Yakabe, M. Kimata, K. Hazama, H. Satsukawa, T. Terashima, S. Uji 

Journal of Physics: Conference Series, 150 , 2009 

[ 17] The new route process of V 3 Ga mono-cored and multifilamentary wires using high Ga content Cu-Ga compound 

and V matrix precursor 

Y. Hishinuma, A. Kikuchi, Y. Iijima, T. Takeuchi and A. Nishimura 

Journal of physics: Conference Series, Vol.97, (2008), 012131 

[ 18] Study of RHQT-processed Nb 3 Al Wires for High-Fied Accelerator Magnet Applications 

C. Mitsuda, K. Tsuchiya, A. Terashima, A. Yamamoto, T. Takeuchi, N. Banno, S. Nimori, A. Kikuchi, Y. Iijima, 

K. Okamoto, T. Fukuda, K. Takenaka, T. Takao, K. Nakamura and K. Tagawa 

Journal of Physics: Conference Series 97 (2008) 012059 

[ 19] Pressure and magnetic field effect on transport gap of black SmS 

K. Imura, K. Matsubayashi, H. S. Suzuki, K. Deguchi, N. K. Sato 

J. Phys.: Conf. Series , 121 , 2008 

[ 20] Temperature dependence of the optical nuclear orientation in InP 

Atsushi Goto, Seiichi Kato, Ivan Turkevych, Shinobu Ohki, Tadashi Shimizu, Kenjiro Hashi, Kanji Takehana, 

Tadashi Takamasu and Hidefumi Kitazawa 

Journal of Physics: Conference Series 150 (2009) 022018 

[ 21] Effects of Static Magnetic Field on Mutagenesis in in vitro 

M. Ikehata, S. Yoshie, N. Hirota and T. Hayakawa 

Journal of Physics: Conference Series 156 (2009) 012015. 

[ 22] Low-temperature magnetization of the low-dimensional magnet Cu 3 Mo 2 O 9 under high magnetic fields 

T Hamasaki, H Kuroe, T Sekine, M Hase and H Kitazawa 

J. Phys.: Conf. Ser. 150 (2009) 042047 

[ 23] Anomalous pressure effect on the steplike magnetostriction of (La 0.4 Pr 0.6 ) 1.2 Sr 1.8 Mn 2 O 7 , bilayered manganese oxide 

Y. Yamato, Y. Nakanishi, M. Matsukawa, T. Kumagai, R. Suryanarayanan, S. Nimori, M. Apostu, A. Revcolevschi, 

K. Koyama, N. Kobayashi 

Journal of Physics. Conf. Ser. 150 (2009) 042121. 

[ 24] Physical Properties of quasi-two dimensional organic conductors in strong magnetic fields 

S.Uji J.S.Brooks 

The physics of organic superconductors and aonductors , Chapter 6 , 2008 

[ 25] Magneto-Optical Properties of n-type Modulation-doped (Cd,Cr)Te Quantum Well 

Takano, T. Nishizawa, J. W. Lee, S. Kuroda, Y. Imanaka, T. Takamasu, H. Akinaga 

PHYSICA E , Vol.40/ Page 1166-1168 , 2008 年 

[ 26] 11 B Nuclear Magnetic Resonance Study on Existence of Boron-Hydrogen Complex in Boron-Doped Diamond 

M. Murakami, T. Shimizu, M. Tansho, Y. Takano, S. Ishii, E. Ekimov, V. Sidorov, H. Kawarada, and K. Takegoshi 

Jpn. J. Appl. Phys., 46(46), L1138-L1140, 2007 

[ 27] Surface-sensitive NMR in optically pumped semiconductors 

Atsushi Goto, Tadashi Shimizu, Kenjiro Hashi, Shinobu Ohki, 

Applied Physics A: Materials Science & Processing 93, No.2 (2008) 533-536 

[ 28] Ac Susceptibility Studies of Spin Freezing Behavior in U 2 CuSi 3 

D. X. Li, S. Nimori, T. Yamamura , Y. Shiokawa 

J. Appl. Phys. 103 (2008) 07B715 1-3.. 

[ 29] High-field nuclear magnetic resonance with a newly designed hybrid magnet system 

Kenjiro Hashi, Tadashi Shimizu, Teruaki Fujito, Atsushi Goto, Shinobu Ohki, Toshihisa Asano and Shigeki Nimori 

Japanese Journal of Applied Physics 48 (2009) 010220, Rapid Communication 

- 136 -

[ 30] Colossal electroresistance and colossal magnetoresistive step in paramagnetic insulating phase of single crystalline 

bilayered manganite (La 0.4 Pr 0.6 ) 1.2 Sr 1.8 Mn 2 O 7 

Y. Yamato, M. Matsukawa,Y. Murano, R. Suryanarayanan, S. Nimori, M. Apostu, A. Revcolevschi, K. Koyama, N. Kobayashi 

Applied Physics Letters, 94,092507 (2009) 

[ 31] Volume dependence of the magnetic coupling in LaFe 13-x Si x based compounds 

L. Jia, J. R. Sun, F. W. Wang, T. Y. Zhao, H. W. Zhang, B. G. Shen, D. X. Li, S. Nimori, Y. Ren, and Q.S. Zeng 

Appl. Phys.Lett. 92(2008) 101904 1-3 

[ 32] Primitive description for hall oscillations in the extream quantum limit of (TMTSF) 2 CI0 4 is siccussed in terms of 

Fermi surface nesting, whose stability strongly depends on magnetic field 

S.McKernan , P.M .Chaikin , J.S. Brooks , S.Uji 

SOLID STATE COMMUNICATIONS , Vol.145/No.7/p.385-p.388 , 2008 

[ 33] Multifilamentary Nb-Zr and V-Ti superconducting alloys prepared by diffusion reaction between constituent pure-metal subeleme 

竹内孝夫 , 瀧川博幸 , 中川正規 , 伴野信哉 , 井上廉 , 飯嶋安男 , 菊池章弘 

SUPERCONDUCTOR SCIENCE & TECHNOLOGY, 21, 2, 025004-1-025004-8,(2008). 

[ 34] Structural-microstructural characteristics and its correlations with the superconducting properties of in situ PIT-processed 

MgB 2 tapes with ethyltoluene and SiC powder added 

A.Anjana, A.Matsumoto, H.Kitaguchi, Y. Matsui, T.Hara, K.Watanabe, H.Yamada, N.Uchiyama, H.Kumakura 

Superconductor Science and Technology , Vol. 21 , 2008 

[ 35] Superconducting properties of MgB 2 /Fe tape heavily doped with nanosized SiC 

A. Matsumoto, H. Kitaguchi, H. Kumakura 


[ 36] Fabrication of high-performance MgB 2 wires by an internal Mg diffusion process 

J.M.Hur, K.Togano, A.Matsumoto, H.Kumakura, H. Wada, M.Kimura 


[ 37] Minimization of the hysteresis loss and low-field instability in technical Nb 3 Al conductors 

Banno, N., Takeuchi, T., Nimori, S., Tanaka, K., Nakagawa, K., Tsuchiya, K 

Superconductor Science & Technology, vol. 21, no. 11, 115020 (7 pp.), 2008 

[ 38] Cu Stabilized Nb 3 Al Strands for the High Field Accelerator Magnet 

A. Kikuchi, R. Yamada, E. Barzi, M. Lamm, T. Takeuchi, D. Torrioni, A. Zlobin 

IEEE TRANSACTIONS ON APPLIED SUPERCONDUCTIVITY , p.p. 1026-1030 , Vol. 2008 

[ 39] Structure and High-Field performance of New Nb 3 Sn Wires Fabricated from Sn-Based Alloys 

K. Tachikawa, Y. Hayashi, K. Nakata, H. Sasaki, M.Yamaguchi and T. Takeuchi 

accepted for publication in IEEE Trans. Appl. Superconductivity, Vol.19 (June, 2009). 

[ 40] Superconducting properties and microstructure of V 3 Ga multifilamentary wires through a PIT process using high Ga 

content compounds 

Y. Hishinuma, A. Kikuchi, Y. Iijima, T. Takeuchi, H. Taniguchi, M. Tomonaga and A. Nishimura 

IEEE Transactions on Applied Superconductivity in press. 

[ 41] Development of RHQT-Processed Nb3Al Wire for High-Field Accelerator Magnet Applications 

K. Tsuchiya, C. Mitsuda, A. Terashima, A. Yamamoto, T. Takeuchi, N. Banno,S. Nimori, A. Kikuchi, Y. Iijima, 

K. Okamoto, T. Fukuda, K. Takenaka, T. Takao, K. Tagawa 

IEEE Trans. Appl. Superconductivity, Vol.18, No. 2 (2008) pp. 1031-1034. 

[ 42] Reduction of the matrix ratio for improvement of the non-Cu J(c) of Nb 3 Al wires 

N. Banno, T. Takeuchi, Y. Iijima and A. Kikuchi 

IEEE Trans. Appl. Supercond., vol. 18, no. 2, pp. 1035-1038, 2008 

[ 43] Status and perspective of the Nb 3 Al development 

竹内孝夫 , 菊池章弘 , 伴野信哉 , 北口仁 , 飯嶋安男 , 田川浩平 , 中川和彦 , 土屋清澄 , 満田史織 , 小泉徳潔 , 奥野清 

CRYOGENICS, 48, 7-8, 371-380, (2008) 

[ 44] Fundamental studies for the application of quench protection systems based on an active power method for cryocooled LTS coils 

K. Takeuchi, N. Nanato, S. Murase, SeokBeom Kim, G. Nishijima, K. Watanabe, 竹内孝夫 , 伴野信哉 , 菊池章弘 

CRYOGENICS, 48, 3-4, 148-153, (2008) 

[ 45] Overview of Nb 3 Sn and V 3 Ga Conductor Development in Japan 

K. Tachikawa 

Cryogenics, Vol.48 (2008) pp317-322. 

- 137 -

[ 46] Structure and High-Field Performance of Jelly Roll Processed Nb 3 Sn Wires Using Sn-Ta and Sn-Ti Based Alloy Sheet 

K. Tachikawa, T. Tsuyuki, Y. Hayashi, K. Nakata and T. Takeuchi 

Adv. Cryogenic Engineering (Materials), Vol.54 (2008) pp244-251. 

[ 47] Mg 2 Cu 化合物を添加源とした Cu 添加 MgB 2 超伝導線材の高温領域における臨界電流特性 

菱沼良光、菊池章弘、竹内孝夫、山田修一 

低温工学 (Journal of the Cryogenic Society of Japan), Vol.43, (2008), p.330-p.335. 

[ 48] Nb 3 Al 線材 

竹内孝夫 

電気学会技術報告書先進超電導線材の製造技術と特性 ,1110,46-49,(2008) 

[ 49] 超 1GHz NMR マグネットを目指した Bi-2223 テープ線材の高磁場特性評価 

長谷隆司、財津享司、濱田衛、崔世鎔、木吉司 

FSST NEWS ( 社 ) 未踏科学技術協会超伝導科学研究会会誌 , Vol. 117 , 2008 年 

[ 50] Bi-2223 テープ線材の高磁界特性技術の現状 

長谷隆司、財津享司、濱田衛、崔世鎔、木吉司 

超電導 Web21 ( 財 ) 国際超電導産業技術研究センター , Vol. 4 , 2008 年 

[ 51] Simultaneous alignment and micropatterning of carbon nanotubes using modulated magnetic field 

津田薫、目義雄 

Science and Technology of Advanced materials , Vol. 10 , Received 30 June 2008, accepted for publication 2 

7 October 2008, Published 22 May 2009 

[ 52] Magnetic Orientation of Lamellar Microdomains in All-Amorphous Block Copolymer Bulk and Solutions 

S. Sakurai, A. Yasui, T. Kiyoshi, F. Kimura, T. Kimura 

投稿中 

[ 53] Magnetic Orientation of Cylindrical Microdomains in an Ultra-Thin Film of All-Amorphous Block Copolymers 

S. Sakurai, Y. Tsuji, A. Yasui, H. Masunaga, S. Sasaki, H. Okuda, T. Kiyoshi, M. Yamato, F. Kimura, T Kimura 

投稿中 

[ 54] High Field 17 O Solid-State NMR Study of Alanine Tripeptides 

K.Yamauchi, M. Okonogi, H. Kurosu, M. Tansho, T. Shimizu, T. Gullion, T. Asakura 

J. Magn. Reson. , Vol. 190 n 2008 

[ 55] Effects of magnetic field on shape evolution of Fe-Co particles in a Cu matrix 

Chiharu Kanno, Toshiyuki Fujii, Hideyuki Ohtsuka, Susumu Onaka and Masaharu Kato 

Philosophical Magazine, 89 [8], 747-759 (2009). 

[ 56] Anisotropic elasticity of magnetically ordered agarose gel 

I. Yamamoto, S. Ozawa, T. Makino, M. Yamaguchi, T. Takamasu 

Sci. Tech. Adv. Mater. Vol. 9 (2008) 

[ 57] Two-dimensional 11 B– 11 B exchange NMR study in mesoporous boron carbon nitride at 21.8 T 

M. Murakami, T. Shimizu, M. Tansho, A. Vinu, K. Ariga, T. Mori, and K. Takegoshi 

Solid State Nucl. Magn. Reson., 31(4), 193-196, 2007. 

[ 58] Characterization of Boron-doped Diamonds Using 11 B High-resolution NMR at High Magnetic Fields 

M. Murakami, T. Shimizu, M. Tansho, Y. Takano, S. Ishii, E.A. Ekimov, V.A. Sidorov, H. Sumiya, H. Kawarada, 

and K. Takegoshi 

Diamond and Related Materials, 17(11), 1835-1839, 2008 

[ 59] The role of solutal convection in protein crystal growth-A new dimensionless number to evaluate the effects of 

convection on protein crystal growth 

L.B. Wang, N.I. Wakayama, W.Q. Tao 

Journal Crystal Growth:Vol.310、No.24、Page.5370~5374 , 2008/12 

[ 60] - Uncertainties in crystallization of hen-egg white lysozyme: reproducibility issue 

D.C.Yin, N.I. Wakayama, H.M. Lu, Y.J. Ye, H.S. Li, H.M. Luo1, Y. Inatomi 

Crystal Research and Technology Vol.43、No.4、Page.447~454 , 2008/4 

[ 61] Growing and dissolving protein crystals in a levitated and containerless droplet 

D.C. Yin, H.M. Lu, L.Q. Geng, Z.H. Shi, H.M. Luo, H.S. Li, Y.J.Ye, W.H. Guo, P.S. Shang and N.I. Wakayama 

Journal of Crystal Growth Vol.310、No.6、Page.1206~1212, 2008/3 

- 138 -

[ 62] Interferometry measurement of protein concentration evolution during crystallization and dissolution with improved 

reliability and versatility 

D C Yin, Y Inatomi, H M Luo, H S Li, H M Lu, Y J Ye and N I Wakayama 

Measurement Science & Technology Vol.19、No.4、Page.045303-1~045303-8 , 2008/4 

[ 63] A containerless levitation setup for liquid processing in a superconducting magnet 

H.M. Lu, D.C. Yin, H.S. Li, L.Q. Geng, C.Y. Zhang, Q.Q. Lu, Y.Z. Guo, W.H. Guo, P. Shang, and N.I. Wakayama 

Review of Scientific Instrument Vol.79、No.9、Page.093903-1~093903-7 , 2008/9 

[ 64] Hierarchical structures of self-assembled helical conjugated polymers—Magnetically forced alignment of liquid 

crystalline poly(meta-phenylene) derivatives 

Kiyoshi Suda, Jun Yoshida, Shigeki Nimori, Kazuo Akagi 

Synthetic Metals, 159 (2009) 943-948 

[65] Re-entrant Spin-glass Behavior in CeAu 2 Si 2 

D. X. Li, T. Yamamura, S. Nimori, Y. Shioka 

J. Alloys and Compounds, 451(2008) 461-463. 

- 139 -

口頭発表 

[ 1] Anomalous pressure effect on the steplike magnetostriction of (La 0.4 Pr 0.6 ) 1.2 Sr 1.8 Mn 2 O 7 , bilayered manganese oxide 

Y. Yamato, Y. Nakanishi, M. Matsukawa, T. Kumagai, R. Suryanarayanan, S. Nimori, M. Apostu, A. Revcolevschi, 

K. Koyama, N. Kobayashi 

LT24 conference, Netherland 

[ 2] Vortex-Antivortex dynamics in two dimensional magnetic organic superconductor 

S.Uji. T.Terashima ,T.Yamaguchi , M.Kimata ,K.Hazama, T.Konoike,A.Kobayashi,H,Kobayashi, B.Zou 

Low temperature Physics , 2007 

[ 3] 10 B および 11 B 高分解能 NMR によるボロンドープダイヤモンドの研究 

村上美和 , 清水禎 , 丹所正孝 , 高野義彦 , 石井聡 , E. A. Ekimov, V. A. Sidorov and 竹腰清乃理 

第 46 回 NMR 討論会 , 札幌 , 2007. 9/11-13 

[ 4] MgB 2 の常伝導相に関する固体 NMR による研究 

山路俊樹 , 村上美和 , 清水禎 , 竹腰清乃理 

第 46 回 NMR 討論会 , 札幌 , 2007. 9/11-13 

[ 5] 10 B and 11 B High Resolution NMR Studies on Boron-doped Diamond 

M. Murakami, T. Shimizu, M. Tansho, Y. Takano, S. Ishi, E. A. Ekimov, V. A. Sidorov and K. Takegoshi 

16th Triennial Conference for the ISMAR (International Society of Magnetic Resonance), Kenting, Taiwan, 2007. 10/14-19 

[ 6] Application of B / N MAS NMR on mesoporous BCN and BN 

M. Murakami, T. Shimizu, M. Tansho, A. Vinu, K. Ariga, T. Mori and K. Takegoshi 

49th Experimental Nuclear Magnetic Resonance Conference, California, USA, 2008. 3/9-14. 

[ 7] Structural-Microstructural Characteristics and its Correlations with the Superconducting Properties of in-situ PIT 

Processed MgB 2 Tapes with Ethyltoulene and SiC Powder added 

ANJANAAsthana, 松本明善 , 北口仁 , 松井良夫 , 熊倉浩明 

APS March Meeting 2008 , 2008/3/10-14 

[ 8] A15 型化合物線材 

竹内孝夫 

基礎・材料・共通フォーラム先進超電導線材の進展と今後の課題 ,( 社 ) 電気学会 ,2008/03/14-2008/03/14 

[ 9] クラッドチップ押出し法による V-Ti 合金超線材の作製 

湯本淳志 , 斎藤栄 

日本機械学会第 47 回学生員卒業研究発表講演会 ( 東京海洋大学越中島キャンパス), 2008/3/14 

[ 10] クラッドチップ押出し法による Nb-Zr 合金線材の作製 

白石剛 , 斎藤栄 

日本機械学会第 47 回学生員卒業研究発表講演会 ( 東京海洋大学越中島キャンパス), 2008/3/14 

[ 11] black SmS における強磁場中電気抵抗測定 

井村敬一郎 , 松林和幸 , 鈴木博之 , 高増正 , 今中康貴 , 竹端寛治 , 徳永将史 , 出口和彦 , 佐藤憲昭 

日本物理学会第 63 会年次大会近畿大学 , 2008 年 3 月 

[ 12] YbAl 3 C 3 の強磁場磁化測定 

小檜山卓也 , 星武道 , 山田篤 , 加藤慶顕 , 小坂昌史 , 片野進 , 香取浩子 , 鈴木博之 

日本物理学会 2008 年 , 3 月 23 日 

[ 13] 2 次元三角格子 YbAl 3 C 3 におけるフラストレーション 

小坂昌史 . 加藤慶顕 , 小檜山卓也 , 山田篤 , 片野進 , 大山研司 , 鈴木博之 , 阿曽尚文   


[ 14] 1 次元 /2 次元固体高分解能 

10 B/ 11 B NMR 法を用いたボロンドープダイヤモンドの研究 

村上美和 , 清水禎 , 丹所正孝 , 高野義彦 , 石井聡 , E. A. KIMOV, V. A. SIDOROV and 竹腰清乃理 

日本化学会第 88 春季年会 , 東京 , 2008. 3/26-30. 

[ 15] 高磁場中におけるスピン電極の応答 

杉山敦史 , 森本良一 , 山内悠輔 , 逢坂哲彌 , 青柿良一 

電気化学会第 75 回大会 , 山梨大学 , 平成 20 年 3 月 29 日 ( 土 )~3 月 31 日 ( 月 ) 

[ 16] InP における核スピンの偏極と偏極移動 

後藤敦 , 清水禎 , 端健二郎 , 大木忍 , 瀧澤智恵子 

第 43/8 回固体 NMR・材料フォーラム , 2008/5/12 , 東大山上会館 

- 140 -

[ 17] 30T-NMRにおける磁場安定化の効果 

端健二郎 , 清水禎 , 後藤敦 , 大木忍 

第 43/8 回固体 NMR・材料フォーラム, 2008/5/12 , 東大山上会館 

[ 18] 磁場を使ったカーボンナノチューブの配向とパターニング 

津田薫 , 目義雄 

MAP3 , 2008/5/14 

[ 19] Spontaneous Orientation of Nano-structures Consisting of Block Copolymers During Phase Transition in High 

Magnetic Fields 

A. Yasui, T. Kiyoshi, F. Kimura, T. Kimura, S. Sakurai 

3rd International Workshop on Materials Analysis and Processing in Magnetic Fields (MAP3), Tokyo, May 14, 2008. 

[ 20] Dynamic Viscoelastic Property of Magnetically Ordered Gel 

Shun Ozawa, Yuko Hori, Isao Yamamoto and Tadashi Takamasu 

3rd International Workshop on Materials Analysis and Processing in Magnetic Fields (Tokyo Univ., 2008, 5, 16) 

[ 21] DNA Electrophoresis under Magnetic Fields 

Isao Yamamoto, Shun Ozawa, Kohei Yoshida and Tadashi Takamasu 

3rd International Workshop on Materials Analysis and Processing in Magnetic Fields (Tokyo Univ., 2008, 5, 16) 

[ 22] 単芯 V/Ti 複合線から出発した拡散法 V-Ti 合金の組織と超伝導特性 

竹内孝夫 , 伴野信哉 , 中川正規 

2008 年春期低温工学・超電導学会 2008/05/26- 2008/05/28 

[ 23] Nb と Ag-Sn 合金の拡散により生成した Nb 3 Sn 線材への Mg 添加効果 

岩谷雅義 , 井上廉 , 竹内孝夫 

2008 年度春季低温工学・超電導学会 2008/05/26- 2008/05/28 

[ 24] 超伝導マグネット材料の中性子照射効果 

西村新 , 竹内孝夫 , 西嶋茂宏 

2008 年度春季低温工学・超電導学会 2008/05/26-2008/05/28 

[ 25] Sn-Ti-Cu/Nb ジェリーロール法 Nb 3 Sn 線材の開発」 

大圃一実 , 木村守男 , 清藤雅宏 , 中川和彦 , 田中和英 , 和田山芳英 , 鈴木隆之 , 高橋雅也 , 太刀川恭治 , 竹内孝夫 

第 78 回 2008 年度春季低温工学・超電導学会 , 2008 年 

[ 26] Sn-Ta 基合金を用いた Nb 3 Sn 線材の組織と特性 

太刀川恭治 , 林裕貴 , 中田光栄 , 佐々木弘樹 , 山口真弘 , 竹内孝夫 

第 78 回 2008 年度春季低温工学・超電導学会 ,2008 年 5 月 , 東京 . 

[ 27] 高 Ga 基化合物 PIT 法を用いた V 3 Ga 超伝導線材における Mg 添加効果 

菱沼良光 , 菊池章弘 , 飯嶋安男 , 竹内孝夫 , 西村新 , 谷口博康 , 朝永満男 

春季低温工学・超電導学会 ( 明星大学 ) , 2008 年 

[ 28] MgB 2 /Al 複合材料の粒子微細化と 1mm 径押出し線材の特性 

松田健二 , 池野進 , 西村克彦 , 森克徳 , 菱沼良光 , 青山茂樹 , 薮本幸信 

春季低温工学・超電導学会 ( 明星大学 ) , 2008 年 

[ 29] リスタック Nb 3 Al 線材における磁化特性 

伴野信哉 , 二森茂樹 , 竹内孝夫 , 飯嶋安男 , 菊池章弘 , 田中和英 , 中川和彦 , 田川浩平 

2008 年度春季低温工学・超電導学会 , 明星大学 , 2008/5/26-28 

[ 30] 低銅比 Nb 3 Al 線材の特性 

菊池章弘 , 山田隆治 , Emanuela Barzi, 佐々木憲一 , 中川和彦 , 小林道雄 , 竹内孝夫 , Alexander Zlobin, 

土屋清澄 , 中本建志 , 山本明 

2008 年春季低温工学・超電導学会 , 2008 年 

[ 31] Prospects for High Performance Conductors in Japan 

竹内孝夫 

Fusion and Accelerator Magnet Workshop,CERN, LBNL,2008/05/26-2008/05/29 

[ 32] 10 B and 11 B NMR studies on boron-doped diamond 

M. Murakami, T. Shimizu, M. Tansho, Y. Takano and K. Takegoshi, 

NDNC 2007 (New Diamond and Nano Carbons), Osaka, Japan, 2007. 5/28-31 

[ 33] 強磁場によるブロック共重合体ミクロ相分離構造の配向 

安井章文 , 木吉司 , 木村史子 , 木村恒久 , 櫻井伸一 

科研費特定領域研究「ソフトマター物理」A01 班会議 ( 平成 20 年 5 月 27 日 ) 

- 141 -

[ 34] 強磁場によるブロック共重合体ナノ構造配向 

櫻井伸一 

日本磁気科学会主催第 3 回磁気科学会研究会「機能組織・構造形成のための外場下における熱力学・速度論」 

( 平成 20 年 5 月 31 日 ) 

[ 35] Effects of strong static magnetic field up to 13 T on mutagenisity in SOD-deficient E. coli cells 

S. Yoshie, M. Ikehata, N. Hirota, T. Takemura, T. Minowa, N. Hanagata and T. Hayakawa 

BEMS 30th annual meeting , 2008/6/8-12 

[ 36] 核融合応用に向けた V 3 Ga 超伝導線材の高 J c 化の試み 

菱沼良光 , 菊池章弘 , 竹内孝夫 , 井上廉 , 太刀川恭治 , 西村新 

第 7 回核融合エネルギ- 連合講演会 ( 青森 ) 2008/6/19-21 

[ 37] 定常強磁場曝露による SOD 欠損大腸菌の突然変異誘発への影響 

吉江幸子 , 池畑政輝 , 早川敏雄 

第 81 回日本産業衛生学会 , 2008/6/24-27 , 札幌 

[ 38] Syntheses and Properties of Poly(meta-phenylene) Derivatives with Chiral Liquid Crystalline Groups in Side Chains 

Jun Yoshida, Kiyoshi Suda, Shigeki Nimori, and Kazuo Akagi 

ILCC (2008), 2008/6/29-7/4 

[ 39] Multigap superconductivity in Y 2 C 3 and La 2 C 3 probed by 13C-NMR/ 139 La-NQR 

A.Harada, N,Teranishi, H.Mukuda, Y.Kitaoka, S.Akutagawa, S.Kuroiwa, Y.Saura, J.Akimitsu 

IWSDRM2008 , 2008/7/7-9 , NIMS 

[ 40] 11 B High-resolution Solid-state NMR Studies on B-doped Diamond 

M. Murakami, T. Shimizu, M. Tansho, Y. Takano, S. Ishi, E. A. Ekimov, V. Sidorov, H. Sumiya, H. Kawarada and 

K. Takegoshi 

International Workshop on Superconductivity in Diamond and Related Materials 2008 (IWSDRM2008), 

Tsukuba, Japan, 2008. 7/7-9. 

[ 41] Critical Current Densities of MgB 2 tapes and films 

松本明善 , 北口仁 , 熊倉浩明 

NIMS WEEK 2008 , 2008/7/14-18 

[ 42] Structure and superconducting properties of MgB 2 wires fabricated by an internal Mg diffusion method 

許子萬 , 戸叶一正 , 松本明善 , 熊倉浩明 , 和田仁 . 木村薫 

ICEC22-ICMC2008 , 2008/7/21-25 , ソウル 

[ 43] Neutron irradiation effect on superconducting magnet materials for fusion devices 

A.Nishimura, 竹内孝夫 , S. Nishijima 

ICEC 22 & ICMC 2008 2008/07/21- 2008/07/25 

[ 44] CeRhSi 3 のフェルミ面 

寺嶋太一 , 木俣基 , 宇治進也 , 松本武彦 , 菅原徹也 , 木村憲彰 , 青木晴善 , 播磨尚朝 

物性研短期研究会「重い電子系研究の新展開」, 2008/7/23 

[ 45] Thermodynamic properties of (TMTSF) 2 ClO 4 in high magnetic fields up to 35T 

S .Uj, M.Kimata, S.Moriyama, J.Yamada, D.Graf, J.S.Brooks, 

International symposium on molecular conductors 2008 , 2008/7/23-25 , 岡崎 

[ 46] Large negative magnetoresistance and high field ESR of Fe-Phthalocyanine conductor TPP[Fe(Pc)(CN) 2 ] 

M.Kimata, T.Yamaguchi, H.satsukawa, A.Harada, K.Hazama, T.Terashima, S.Uji, Y.Imanaka, T.Takamasu, T.Naito, T.Inabe 

International symposium on molecular conductors 2008, 2008/7/23-25 , 岡崎 

[ 47] Anomalous magnetoresistance for in-plane magnetic field in two dimensional organic conductor (Me-3,5-DIP)[Ni(dmit) 2 ] 2 

K.Hazama, T.Yamaguchi, M.Kimata .T.Terashima. S.Uji. Y.Kosaka , H.Yamamoto, R.Kato 

International Symposium on Molecular Conductors2008 , 2008/7/23-25 , 岡崎 

[ 48] Giant negative magnetoresistance in (EDT-DSDTFVSD) 2 FeBr 4 

H.satsukawa, M.Kimata,,K.Hazama,A.Harada, T.Terashima, S.Uji, Shao.Xinagfeng, T.Hayashi, T.Suzumoto 

International symposium on molecular conductors 2008 , 2008/7/23-25 , 岡崎 

[ 49 ] 環境攪乱因子及び様々な物理的刺激に対する魚類の骨芽細胞及び破骨細胞の応答 : 培養ウロコを用いた解析 

鈴木信雄 

平成 20 年日本動物学会中部支部例会シンポジウム: 環境要因と生物応答システム, 2008/7/26, 富山大学 

- 142 -

[ 50] Calorimetric measurements of one-dimensional organic conductor(TMTSF) 2 ClO 4 in high magnetic fields up to 35T 

S.Uji, M.Kimata, S.Moriyama, J.Yamada, D.Graf, J.S.Brooks 

Physical phenomena at high magnetic fields VI, 2008/8/1-6 

[ 51] Large negative magnetoresistance and high field ESR measurements of one-dimensional Fe-Phthalocyanine conductor 

M.Kimata, T.Yamaguchi, H.satsukawa, A.Harada, K.Hazama, T.Terashima, S.Uji, Y.Imanaka, T.Takamasu, T.Naito, 

T.Inabe 

Physical phenomena at high magnetic fields VI , 2008/8/1-6 

[ 52] Vortex dynamics in mesoscopic superconductivity 

A.Harada, K..Enomoto, T.Yakabe, M.Kimata, K.Hazama, H.Satsukawa, T.Terashima, S.Uji. 

Conference on Micro-and Nanocryogenics , 2008/8/2-6 

[ 53] Anomalous magnetoresistance for in-plane magnetic field in two dimensional organic conductor (Me-3,5-DIP)[Ni(dmit) 2 ] 2 

K.Hazama, T.Yamaguchi, M.Kimata .T.Terashima. S.Uji. Y.Kosaka , H.Yamamoto, R.Kato 

Conference on Micro-and Nanocryogenics , 2008/8/2-6 

[ 54] 金属系超伝導材料 

竹内孝夫 

第 2 回材料研究会 / 東北・北海道支部合同研究会 , 低温工学協会東北・北海道支部 ,2008/08/05-2008/08/06 

[ 55] Anomalous magnetoresistance and interlayer coherency of the highly 2D organic superconductor H -(DMEDO-TSeF) 2 [Au(CN) 4 ](THF) 

川本正 , 森健彦 , David Graf, James S Brooks, 宇治進也 , 白旗崇 , 木舩愛 , 吉野浩子 , 今久保達 

25th International conference on Low Temperature Physics, LT25, オランダ・Amsterdam・2008/8/6-13 

[ 56] Low-temperature magnetization of the low-dimensional magnet Cu 3 Mo 2 O 9 under high magnetic fields 

T Hamasaki, H Kuroe, T Sekine, M Hase and H Kitazawa 


[ 57] Sample size dependence of excess resistance near critical field in mesoscopic superconductor Al disk 

Harada, K.Enomoto, T.Yakabe, M.Kimata, K.Hazama, H.Satsukawa, T .Terashima, S.Uji 


[ 58] Electric state of magnetic organic conductor (Me-3,5-DIP)[Ni(dmit) 2 ] 2 

K.Hazama, T.Yamaguchi, M.Kimata, T.Terashima, S.Uji, Y.Kosaka, H.Yamamoto, R.Kato 


[ 59] Large magneto-conductivity Effect in Fe-Phthalocyanine conductor at Low Temperatures 

M.Kimata, T.Yamaguchi, K.Hazama, T.Terashima, S.Uji, T.Naito, T.Inabe 

L-25 , 2008 

[ 60] Temperature dependence of the optical nuclear orientation in InP 

Atsushi Goto, Seiichi Kato, Ivan Turkevych, Shinobu Ohki, Tadashi Shimizu, Kenjiro Hashi, Kanji Takehana, 

Tadashi Takamasu and Hideaki Kitazawa 

The 25 th International Conference on Low Temperature Physics , 2008 

[ 61] High-Field Study of Yb-Doped AlGaAs/GaAs Two-Dimensional Electron Systems 

Matthew Behlmann, Yasutaka Imanaka, Kanji Takehana, Toshiyuki Kaizu, Tadashi TAKAMASU, 

The Twenty-Second Annual Summer Research Colloquium 2008/08/08-2008/08/08 

[ 62] Correlation of J c with grain structures of Nb3Al determined by electron backscatter diffraction techniques 

竹内孝夫 , 伴野信哉 , 菊池章弘 

2008 Applied Superconductivity Conference 2008/08/17- 2008/08/22 

[ 63] Design and loading test results of 21T@4.2K magnet using RHQT Nb 3 Al insert coils 

竹内孝夫 , 北口仁 , 伴野信哉 , 飯嶋安男 , 菊池章弘 , 吉川正 


[ 64] Superconducting properties of Nb3Sn wire fabricated by diffusion reaction between Ag-Sn-Mg alloy and Nb 

M. Iwatani, K. Inoue, 竹内孝夫 , 木吉司 


[ 65] The charge dispropotionation on (TMTSF) 2 FSO 3 under pressure: angular dependence of 77 Se-NMR 

H.Satsukawa, K.Hiraki, T.Takahashi, H.Kang, Y.Jo, W.Kang, O.Chung 

International Workshop ELECTRONIC CRYSTALS2008 , 2008/8/24-30 

[ 66] Structure and High-Field Performance of New Nb 3 Sn Wires Fabricated from Sn-Based Alloys 

K. Tachikawa, Y. Hayashi, K. Nakata, H. Sasaki, M.Yamaguchi and T. Takeuchi 

Applied Superconductivity Conference, Aug 27- 31, 2008, Chicago, Ilinoi USA 

- 143 -

[ 67] Development of Ta-matrix Nb3Al Wire for Next-generation Accelerator Magnet Applications 

K. Tsuchiya, A. Terashima, A. Yamamoto, C. Mitsuda, T. Takeuchi, N. Banno, S. Nimori, A. Kikuchi, Y. Iijima, 

T. Fukuda, K. Takenaka, T. Takao, K. Nakagawa, K. Tagawa, and K. Tanaka 

Applied Superconductivity Conference, Aug 27- 31, 2008, Chicago, Ilinoi USA 

[ 68] Superconducting properties and microstructure of V 3 Ga multifilamentary wires through a PIT process using 

high Ga content compounds 

Y. Hishinuma, A. Kikuchi, Y. Iijima, T. Takeuchi, H. Taniguchi, M. Tomonaga and A. Nishimura 

Applied Superconductivity Conference (Chicago) , 2008 年 

[ 69] Structural-microstructural characteristics and its correlations with the superconducting properties of in-situ PIT 

processed MgB 2 tapes with ethyltoluene and SiC powder added 

ANJANAAsthana, 松本明善 , 北口仁 , 山田秀之 , 内山順仁 , 熊倉浩明 

IUCr2008 Satellite Meeting , 2008/9/1-2 , 名古屋大 

[ 70] 強磁場中での銅の電析におけるマイクロ MHD 効果の解析 

森本良一 , 矢澤貞春 , 杉山敦史 , 青柿良一 , 茂木巖 , 山内悠輔 

( 社 ) 表面技術協会第 118 回講演大会 , 近畿大学 ( 東大阪市 ) , 平成 20 年 9 月 1 日 ( 月 )~3 日 ( 水 ) 

[ 71] 酸化亜鉛 2 次元電子系の有効質量 

今中康貴 , 高増正 , 反保衆志 , 柴田肇 , 仁木栄 

2008 年秋季第 69 回応用物理学会学術講演会 , 2008/09/02-2008/09/05 

[ 72] 高濃度 SiC 添加 MgB 2 線材の超伝導特性 

松本明善 , 北口仁 , 熊倉浩明 

第 55 回応用物理学術講演会 , 2008 

[ 73] PIT 法 MgB 2 線材における不純物添加効果 

熊倉浩明 , 松本明善 , 松本明善 , 北口仁 , 山田秀之 , 五十嵐基仁 

第 55 回応用物理学関係連合講演会 , 2008 

[ 74] 内部拡散法による高性能 MgB 2 線材の作成 

許子萬 , 戸叶一正 , 松本明善 , 熊倉浩明 , 和田仁 , 木村薫 

第 55 回応用物理学関係連合講演会 , 2008 

[ 75] B⊥E 条件下での電気泳動 Ⅱ 

小澤瞬 , 黒坂大希 , 山本勲 

第 69 回応用物理学会学術講演会 ,5a-B-7/Ⅰ, 予稿集 1, p.390. , 中部大学 , 2008.9.5 

[ 76] 磁場中形成ゲルの異方的粘弾性 

山本勲 , 剱持昌紀 , 小澤瞬 

第 69 回応用物理学会学術講演会 ,5p-B-2/Ⅰ, 予稿集 1, p.392. 中部大学 , 2008.9.5 

[ 77] 自然酸化法による Co フェライト薄膜の合成と磁気・伝導特性 

高橋有紀子 , 関剛斎 , 猪俣浩一郎 , 宝野和博 , 三谷誠司 , 高梨弘毅 

第 32 回日本応用磁気学会学術講演会 , 2008/9/12-15 , 多賀城 

[ 78] ミクロ相分離構造の磁場配向 

櫻井伸一 

PF 研究会「ナノ構造解析・センシングにおける小角散乱の利用高度化の将来展望」( 平成 20 年 9 月 18 日 ) 

[ 79] ドメイン構造を有する有機超伝導体 L -(DMEDO-TSeF) 2 [Au(CN) 4 ](THF)のフェルミ面 

川本正 , 森健彦 , 山口尚秀 , 宇治進也 , David Graf, James S. Brooks, 白旗崇 , 木舩愛 , 吉野浩子 , 今久保達郎 

日本物理学会秋季大会 ( 岩手大・2008 年 9 月 ) 

[ 80] 層状マンガン酸化物の磁歪ステップ転移の電流効果 

大和義昭 , 熊谷拓人 , 松川倫明 , 小山佳一 , 小林典男 , 二森茂樹 , R.Suryanarayanan 

日本物理学会 2008 年秋季大会 

[ 81] 低次元磁性体 Cu 3 Mo 2 O 9 の反強磁性秩序の磁場依存性 

浜崎智彰 , 黒江晴彦 , 関根智幸 , 赤木暢 , 桑原英樹 , 長谷正司 

日本物理学会 2008 年秋季大会 (2008 年 9 月 ) 

[ 82] YbAl 3 C 3 の低温相結晶構造とスピンギャップ形成 

松村武 , 稲見俊哉 , 加藤慶顕 , 小坂昌史 , 狗飼敬希 , 落合明 , 中尾裕則 , 村上洋一 , 片野進 , 鈴木博之   


- 144 -

[ 83] ミリ波サブミリ波帯における CdMnTe 量子ホール系の磁気透過測定 

今中康貴 , 竹端寛治 , 高増正 , 木戸義勇 , G.Karczewski, T.Wojtowicz, J.Kossut 

日本物理学会 2008 年秋季大会 , 2008/09/20-2008/09/23 

[ 84] 磁性半導体 SmS における強磁場効果 

井村敬一郎 , 松林和幸 , 鈴木博之 , 高増正 , 今中康貴 , 竹端寛治 , 徳永将史 , 出口和彦 , 佐藤憲昭 


[ 85] Yb ドープ AlGaAs/GaAs へテロ構造の電気伝導特性の磁場依存性 

海津利行 , 高増正 , 竹端寛治 , 今中康貴 


[ 86] メゾスコピック超伝導における臨界磁場近傍の異常抵抗 

原田淳之 , 榎本健悟 , 矢ヶ部太郎 , 木俣基 , 硲香織 , 薩川秀隆 , 寺嶋太一 , 宇治進也 

日本物理学会 2008 年秋季大会 , 2008 年 

[ 87] BaNi 2 P 2 のdHvA 効果 

寺嶋太一 , 木俣基 , 薩川秀隆 , 宇治進也 , 今井基晴 , 鬼頭聖 , 伊豫彰 , 永崎洋 , 播磨尚朝 

日本物理学会秋季大会 , 2008 

[ 88] (EDT-DSDTFVSD) 2 MBr 4 の低温強磁場における物性 

薩川秀隆 , 木俣基 , 硲香織 , 原田敦之 , 寺嶋太一 , 宇治進也 , 邵向鋒 , 林寿樹 , 杉本豊成 


[ 89] 微小アルミニウムディスクにおける臨界磁場近傍の異常抵抗 

原田敦之 , 榎本健悟 , 矢ケ部太郎 , 木俣基 , 硲香織 , 薩川秀隆 , 寺嶋太一 , 宇治進也 


[ 90] 磁性有機導体 (Me-3,5-DIP)[Ni(dmit) 2 ] 2 の両面磁場下における特異な磁気抵抗 

硲香織 , 山口尚秀 , 木俣基 , 野田耕平 , 寺嶋太一 , 宇治進也 , 高坂洋介 , 山本浩史 , 加藤礼三 


[ 91] 導電性鉄フタロシアニン塩の低温磁気抵抗と強磁場 ESRⅠⅠ 

木俣基 , 山口尚秀 , 薩川秀隆 , 原田敦之 , 硲香織 , 寺嶋太一 , 宇治進也 , 今中康貴 , 高増正 , 内藤俊雄 , 今中康貴 


[ 92] アルカリ金属を吸着したソダライトの NMR 

五十嵐睦夫 , 中野岳仁 , 後藤敦 , 端健二郎 , 清水禎 , 野末泰夫 

秋季大会 ( 日本物理学会 ), 岩手大学 ( 盛岡市 ), 平成 20 年 9 月 23 日 

[ 93] 半導体における動的核偏極技術の開発 

後藤敦 , 端健二郎 , 清水禎 , 大木忍 , 瀧澤智恵子 

日本物理学会 2008 年秋季大会 , 2008 

[ 94] アルカリ金属を吸着したソダライトの NMR 



[ 95] 強磁場 NMR のための磁場補正機の開発 

端健二郎 , 清水禎 , 後藤敦 


[ 96] 微細加工した高 Ga 化合物 /V 複合体を用いた V 3 Ga 超伝導多芯線材の作製 

菱沼良光 , 菊池章弘 , 竹内孝夫 , 西村新 , 谷口博康 , 朝永満男 

日本金属学会秋期 ( 第 143 回 ) 大会 , 2008/9/23-25 , 熊本大学 

[ 97] Cu 母相中の Co-Fe 粒子の磁場中時効による形状変化 

菅野千晴 , 大塚秀幸 , 尾中晋 , 加藤雅治 , 藤居俊之 


[ 98] Cu 母相中における bcc Fe-Co 粒子の磁場中焼鈍によるバリアント選択 

島隆一郎 , 菅野千晴 , 大塚秀幸 , 尾中晋 , 加藤雅治 , 藤居俊之 


[ 99] 磁場中 DNA 電気泳動におけるローレンツ力効果 


第 3 回日本磁気科学会年次大会 ,1O-07, 要旨集 pp.21-22 , 弘前大学医学部 , 2008.10.1-2 

- 145 -

[100] 有機高分子ゲルの粘弾性に対する磁場効果 

山本勲 , 剱持昌紀 , 小澤瞬 

第 3 回日本磁気科学会年次大会 ,1O-12, 要旨集 pp.31-32 , 弘前大学医学部 , 2008.10.1-2 

[101] 活性酸素除去機能を欠損する大腸菌による強磁場 13T の変異原性評価 

吉江幸子 , 池畑政輝 , 早川敏雄 , 廣田憲之 , 竹村太郎 , 箕輪貴司 , 花方信孝 

第 3 回日本磁気科学会年次大会 , 2008/10/1-2 , 弘前大学医学部 

[102] DE HAAS-VAN ALPHEN EXPERIMENTS ON BANi 2 P 2 

T.Terashima, M.Kimata, H.satsukawa, S.Uji, M.Imai, H.Kito, A.Iyo, H.Eisaki, H.Harima 

Beijing international workshop on Iron-(Nickel)-baced superconductor , 2008/10/17-19 

[103] Mutagenicity and Co-mutagenicity of Static Magnetic Field in SOD-deficient Escherichia coli 

S. Yoshie, M. Ikehata, N. Hirota, T. Takemura, T. Minowa, N. Hanagata and T. Hayakawa 

IRPA12 , 2008/10/19-24 

[104] Syntheses and Properties of Poly(meta-phenylene) Derivatives with Chiral Liquid Crystalline Groups in Side Chains 

Jun Yoshida, Kiyoshi Suda, Shigeki Nimori, and Kazuo Akagi 

18 th Iketani Conference (2008) , 2008/10/21-23 

[105] Vortex dynamics and excess resistance near oritical field in mesoscopic Al disk 

A.Harada, K.Enomoto, T.Yakabe, M.Kimata, K.Hazama, H.satsukawa, T.Terashima, S.Uji 

21st.International Symposium on Superconductivity , 2008/10/27-29 , つくば 

[106] STRUCTURES AND SUPERCONDUCTING PROPERTIES OF MgB 2 WIRES BY AN INTERNAL Mg DIFFUSION PROCESS 

熊倉浩明 , 許子萬 , 戸叶一正 , 松本明善 , 和田仁 . 木村薫 

ISS2008 , 2008/10/27-29 

[107] 窒化ホウ素系の 14 N MAS NMR の線形解析 

村上美和 , 清水禎 , 丹所正孝 , A. Vinu, 有賀克彦 , 森利之 , 竹腰清乃理 

第 44 回固体 NMR・材料研究会 / 第 9 回固体 NMR フォーラム合同研究会 , 千葉県袖ヶ浦市 , 2008. 10/30-31 

[108] 改良したハイブリッド磁石を用いた強磁場 NMR 

端健二郎 , 清水禎 , 藤戸輝昭 , 後藤敦 , 大木忍 

第 44 回固体 NMR・材料研究会 / 第 9 回固体 NMR フォーラム合同研究会 , 千葉県袖ヶ浦市 , 2008. 10/30-31 

[109] 磁場印加中熱分解による強磁性熱分解炭素の作製 

神島謙二 , 宮田大資 , 佐藤佑樹 , 徳江将 , 柿崎浩一 , 平塚信之 , 今中康貴 , 高増正 

粉体粉末冶金協会平成 20 年度秋季大会 ( 第 102 回講演大会 ) , 2008/11/05-2008/11/07 

[110] 磁場印加中熱分解による強磁性熱分解炭素の作製 

神島謙二 , 宮田大資 , 佐藤佑樹 , 徳江将 , 柿崎浩一 , 平塚信之 , 今中康貴 , 高増正 

粉体粉末冶金協会平成 20 年度秋季大会 ( 第 102 回講演大会 ) , 2008/11/05-2008/11/07 

[111] プリカーサー・アニール法によって作製した MgB 2 薄膜における C 添加効果 

松本明善 , 高橋健一郎 , 北口仁 , 熊倉浩明 

2008 年度秋季低温工学・超電導学会 , 2008/11/12-14, 高知 

[112] 内部 Mg 拡散法による MgB 2 多芯線材の作製 


低温工学・超伝導学会 , 2008 

[113] 超伝導マグネット材料の中性子照射効果 (その 2) 

西村新 , 竹内孝夫 , 西嶋茂宏 

2008 年秋季低温工学・超電導学会 2008/11/12-2008/11/14 

[114] Ag-Sn-Mg 合金と Nb の拡散反応により作製した Nb3Sn 線材の超伝導特性 

岩谷雅義 , 井上廉 , 竹内孝夫 

2008 年秋季低温工学・超電導学会 2008/11/12- 2008/11/14 

[115] 一括励磁方式 15T(Nb 3 Al/Nb-Ti) 超伝導マグネットの製作と試運転 

竹内孝夫 , 伴野信哉 , 北口仁 , 菊池章弘 , 飯嶋安男 , 吉川正敏 , 田川浩平 , 田中和英 , 中川和彦 


[116] ブロンズ法 Nb 3 Sn フィラメントの EBSD 分析 

竹内孝夫 , 伴野信哉 , 飯嶋安男 , 菊池章弘 , 土屋清澄 , 小泉徳潔 


- 146 -

[117] ジェリーロール法 Nb 3 Sn 線材の開発 (2) 

大圃一実 , 木村守男 , 中川和彦 , 高橋雅也 , 岡田道哉 , 太刀川恭治 , 竹内孝夫 

第 79 回 2008 年度秋季低温工学・超電導学会 , 2008 年 

[118] HTS テープ線材の磁場遮蔽 

松本真治 , 内田公 , 木吉司 , 崔世鎔 , UGLIETTI Davide 

第 79 回 2008 年度秋季低温工学・超電導学会 , 2008 年 

[119] ジェリーロール法及びロッド法線材における Nb 3 Sn 層の生成と高磁界特性 

太刀川恭治 , 林裕貴 , 中田光栄 , 佐々木弘樹 , 山口真弘 , 竹内孝夫 

第 79 回 2008 年度秋季低温工学・超電導学会 ,2008 年 11 月 , 高知 

[120] ジェリーロール法及びロッド法 Nb 3 Sn 線材の開発 (2) 

大圃一実 , 木村守男 , 中川和彦 , 田中雅也 , 岡田道哉 , 太刀川恭治 , 竹内孝夫 

第 79 回 2008 年度秋季低温工学・超電導学会 ,2008 年 11 月 , 高知 

[121] 細粒化した Cu-Ga 化合物粉末を用いた V 3 Ga 超伝導線材の超伝導特性 

菱沼良光 , 菊池章弘 , 飯嶋安男 , 竹内孝夫 , 西村新 , 谷口博康 , 朝永満男 

秋季低温工学・超電導学会 ( 高知 ) , 2008 年 

[122] 低損失極細多芯 Nb 3 Al 線材 

伴野信哉 , 竹内孝夫 , 二森茂樹 , 飯嶋安男 , 菊池章弘 , 田中和英 , 中川和彦 , 土屋清澄 

2008 年度秋季低温工学・超電導学会 , 高知 , 2008/11/12-14 

[123] ITER 用 Nb3Sn 素線の曲げ歪印加時の断面観察 

伴野信哉 , 竹内孝夫 , 小泉徳潔 , 奥野清 

2008 年度秋季低温工学・超電導学会 , 高知 , 2008/11/12-14 

[124] 多孔質 BCN 系における 11 B- 14 Nの交差分極法およびHETCORの応用 

村上美和 , 清水禎 , 丹所正孝 , A. Vinu, 有賀克彦 , 森利之 , 竹腰清乃理 

第 47 回 NMR 討論会 , つくば, 2008. 11/12-14. 

[125] 改良したハイブリッド磁石を用いた強磁場 NMR の開発 


第 47 回 NMR 討論会 , 2008/11/12-14 , 筑波大学 

[126] 半導体における動的核偏極技術の開発 

後藤敦 , 清水禎 , 端健二郎 , 大木忍 , 瀧澤智恵子 

第 47 回 NMR 討論会 , 2008/11/12-14 , 筑波大学 

[127] 希薄磁性半導体量子ホール系の強磁場テラヘルツ分光 


物性科学領域横断研究会 ”スピンが拓く物性科学の最前線 ”, 2008/11/29-2008/12/01 

[128] 鉄フタロシアニン伝導体の巨大磁気抵抗 

木俣基 , 山口尚秀 , 薩川秀隆 , 原田敦之 , 寺嶋太一 , 宇治進也 , 今中康貴 , 高増正 , 内藤俊雄 , 稲辺保 

物性科学領域横断研究会 (スピンが拓く物性科学の最前線 ) , 2008 

[129] アルカリ金属吸着ソダライトの NMR 特性 


物性科学領域横断研究会「スピンが拓く物性科学の最前線」 , 2008 

[130] 鉄フタロシアン伝導体の磁気抵抗効果と ESR 

木俣基 , 山口尚秀 , 薩川秀隆 , 原田敦之 , 宇治進也 , 今中康貴 , 高増正 , 内藤俊 

雄 

有機固体若手の会冬の学校 2008 , 2008/12/5-6 

[131] メゾスコピック超伝導における磁束挙動と巨大過剰抵抗 

原田淳之 , 榎本健悟 , 矢ヶ部太郎 , 木俣基 , 硲香織 , 薩川秀隆 , 寺嶋太一 , 宇治進也 

第 16 回渦糸物理国内会議 , 2008/12/8-10, 東京工業大学 

[132] メゾスコピック超伝導における磁束挙動と巨大過剰抵抗 

原田敦之 , 榎本健悟 , 矢ケ部太郎 , 木俣基 , 薩川秀隆 , 宇治進也 

第 16 回渦糸物理国内会議 , 2008/12/8-10, 東京工業大学 

[133] Superconducting properties of MgB 2 thin films fabricated by precursor and post-annealing method 

松本明善 , 高橋健一郎 , 北口仁 , 熊倉浩明 

IUMRS-ICA2008 , 2008/12/9-13 , 名古屋 

- 147 -

[134] Structural-microstructural characterization and its correlations with the superconducting properties of in-situ processed 

MgB 2 tapes with ethyltoluene and SiC powder added 

ANJANAAsthana, 松本明善 , 北口仁 , 松井良夫 , 原徹 , 山田秀之 , 内山順仁 , 熊倉浩明 


[135] Fabrication of MgB 2 wires by an internal Mg diffusion process 



[136] Critical currents of reinforced Bi-2223 superconducting tape in high magnetic field 

財津享司 , 濱田衛 , 長谷隆司 , 崔世鎔 , 木吉司 

The International Union of Materials Research Societies International Conference in Asia 2008(IUMRS-ICA2008), 2008 

[137] Structural Transition of C60 Nanowhiskers 

Hideaki Kitazawa, Kenjiro Hashi, Tuerxun Wuernisha, Kayoko Hotta, Ringor Cherry Lagason, Takao Furubayashi, 

Atsushi Goto and Tadashi Shimizu 

The IUMRS International Conference in Asia 2008 , 2008/12/9-13 , 名古屋 

[138] 導電性鉄フタロシアニン錯体の磁性と伝導の相関 

木俣基 , 山口尚秀 , 寺嶋太一 , 宇治進也 , 今中康貴 , 高増正 , 内藤俊雄 , 稲辺保 

第 5 回強磁場スピン科学シンポジウム , 2008/12/12-13, 岡山大学 

[139] 次世代加速器用 Ta マトリックス RHQT 法 Nb 3 Al 線材の開発 

福田嵩大 , 竹中康記 , 高尾智明 , 寺島昭男 , 山本明 , 土屋清澄 , 伴野信哉 , 飯嶋安男 , 菊池章弘 , 二森茂樹 , 

竹内孝夫 , 田川浩平 , 田中和英 , 中川和彦 

電気学会超電導応用電力機器研究会成蹊大学 2009 年 2 月 19 日 

[140] Reconstruction of the Fermi Surface Deep inside the Hidden-Order Phase of Very Clean URu 2 Si 2 

Y. Matsuda, H. Shishido, T. Shibauchi, K. Hashimoto, Y. Haga, T.D. Matsuda, Y. Onuki, T. Sasaki, T. Oizumi, 

N. Kobayashi, T. Takamasu, K. Takehana, Y. Imanaka. 

2009 APS March Meeting (Pittsburgh), 2009/3/16 

[141] DE HAAS-VAN ALPHEN EXPERIMENTS ON BaNi 2 P 2 

T.Terashima, S.Uji, M.Kimata, H.satsukawa, K.Hazama, A.Harada, M.Imai, H.Kito, A.Iyo, H.Eisaki, H.Harima 

APS March meeting , 2009/3/16-20 , Pittsburgh 

[142] Nb マトリックス RHQ 法 Nb3Al 超伝導線材の開発 

黒田義隆 , 福田嵩大 , 竹中康記 , 小林真也 , 高尾智明 , 寺島昭男 , 土屋清澄 , 飯嶋安男 , 菊池章弘 , 伴野信哉 , 竹内孝夫 

平成 21 年電気学会全国大会 , 北海道大学高等教育機能開発総合センター 2009 年 3 月 17 日 

[143] 不整合格子系有機超伝導体の構造と電子物性 

川本正 

日本物理学会第 64 回年次大会 , 立教大・2009 年 3 月 

[144] 層状マンガン酸化物の非線形伝導と磁気抵抗効果 

大和義昭 , 熊谷拓人 , 松川倫明 , 小山佳一 , 小林典男 , 二森茂樹 , R.Suryanarayanan 

日本物理学会第 64 回年次大会 

[145] ゾルゲル法によるPr247 超伝導体の作製と物性評価 

斎藤毅 , 村野由 , 大和義昭 , 松川倫明 , 小林悟 , 二森茂樹 


[146] 電子ドープ型マンガン酸化物 CaMn1-xSbxO3の磁性と磁気特性 

村野由 , 斎藤毅 , 大和義昭 , 松川倫明 , 小林悟 , 二森茂樹 


[147] 低次元磁性体 Cu 3 Mo 2 O 9 の磁性の圧力効果 

新藤祐 , 浜崎智彰 , 黒江晴彦 , 関根智幸 , 赤木暢 , 板谷清司 , 桑原英樹 , 長谷正司 

日本物理学会第 64 回年次大会 (2009 年 3 月 ) 

[148] Cu 3 Mo 2 O 9 における S = 1/2 一次元反強磁性鎖とスピンダイマーの混成磁気分散 

浜崎智彰 , 黒江晴彦 , 関根智幸 , 長谷正司 , 松田雅昌 , 加倉井和久 , 岡邦彦 , 伊藤利充 , 永崎洋 


[149] 低次元磁性体 Cu 3 Mo 2 O 9 の強磁場 ESR 測定 

太田仁 , 吉田貴久 , 大久保晋 , 藤澤真士 , 浜崎智彰 , 黒江晴彦 , 関根智幸 , 長谷正司 , 岡邦彦 , 伊藤利充 , 永崎洋 


- 148 -

[150] 低次元磁性体 Cu 3 Mo 2 O 9 の Cu-NMRII 

土井憲一 , 浜崎智彰 , 黒江晴彦 , 後藤貴行 , 関根智幸 


[151] 超純良単結晶 URu 2 Si 2 の隠れた秩序相内の相転移 

宍戸寛明 , 橋本顕一郎 , 芝内孝禎 , 松田祐司 , 高増正 , 竹端寛治 , 今中康貴 , 佐々木孝彦 , 大泉元 , 小林典男 , 

松田達磨 , 芳賀芳範 , 大貫惇睦 

日本物理学会第 64 回年次大会 ( 立教大学 ) , 2008/03/27 

[152] II-VI 族希薄磁性半導体 2 次元電子系のサイクロトロン共鳴 


日本物理学会第 64 回年次大会 , 2009/03/27-2009/03/30 

[153] 量子ドット-2 次元電子結合系のサイクロトロン共鳴 

竹端寛治 , 今中康貴 , 高増正 , M. Henini, L. Eaves 

日本物理学会第 64 回年次大会 , 2009/03/27-2009/03/30 

[154] Yb ドープ AlGaAs/GaAs 2 次元電子系の電気伝導特性の励起エネルギー依存性 

海津利行 , 高増正 , 竹端寛治 , 今中康貴 

日本物理学会第 64 回年次大会 , 2009/03/27-2009/03/30 

[155] 鉄ヒ素系超伝導体における dHvA 測定の試みと電子輸送物性 

寺嶋太一 , 宇治進也 , 木俣基 , 薩川秀隆 , 硲香織 , 原田敦之 , 今井基晴 , 鬼頭聖 , 伊豫彰 , 永崎洋 , 播磨尚朝 , 

吉川明子 , 鈴木博之 , G. F. Chen, J. L. Luo, N. L. Wang 

日本物理学会第 64 回年次大会 , 2009 

[156] (Me-3, 5-DIP)[Ni(dmit) 2 ] 2 の電子状態の圧力効果 

硲香織 , 山口尚秀 , 木俣基 , 薩川秀隆 , 原田敦之 , 寺嶋太一 , 宇治進也 , 高坂洋介 , 山本浩史 , 加藤礼三 

日本物理学会第 64 回年次会 , 2009 

[157] I-(BETS) 2 FeCl 4 の磁場誘起超伝導相での垂直磁場効果 

宇治進也 , 寺嶋太一 , 木俣基 , 薩川秀隆 , 原田敦之 , 硲香織 , 小林速男 , 小林昭子 , B. Zhow, H.Cui 


[158] (TMTSF) 2 ClO 4 の超電導状態の解明 

薩川秀隆 , 木俣基 , 原田敦之 , 寺嶋太一 , 宇治進也 , 山田順一 


[159] アルカリ金属を吸着したソダライトの NMR(II) 


第 64 回年次大会 ( 日本物理学会 ), 立教大学 ( 東京都 ), 平成 21 年 3 月 28 日 

[160] 半導体における動的核偏極技術の開発 II 

後藤敦 , 清水禎 , 端健二郎 , 大木忍 , 瀧澤智恵子 , 加藤誠一 , 北澤英明 


[161] 改良したハイブリッド磁石を用いた強磁場 NMR の開発 



[162] アルカリ金属を吸着したソダライトの NMR(II) 



[163] 酢酸 -1-ナフチルの光フリース転移反応に対する磁場効果の再検討 

神戸正雄 , 高増正 , 若狭雅信 

日本化学会第 89 春季年会 , 2009/3/27-30 , 日大船橋キャンパス 

[164] チオベンゾフェノンの光還元反応に対する磁場効果 

田中深雪 , 神戸正雄 , 矢後友暁 , 高増正 , 若狭雅信 


[165] NMR を用いた液晶性物質 5CB 中でのアセトニトリルの分子配向と分子運動の研究 

鈴木陽 , 水口伝一郎 , 水野元博 , 村上美和 , 丹所正孝 , 清水禎 


[166] ジェリーロール法及びロッド法 Nb 3 Sn 超伝導線材の組織と特性 

太刀川恭治 , 佐々木弘樹 , 山口真弘 , 林裕貴 , 中田光栄 , 竹内孝夫 

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日本金属学会 2009 年度春期大会 ,2009/3/28-30, 東京工業大 

[167] 垂直磁場下における円筒電極の周りの磁気対流の様子 

杉山敦史 , 森本良一 , 山内悠輔 , 茂木巌 , 逢坂哲彌 , 青柿良一 

電気化学会第 76 回大会 , 京都大学吉田キャンパス, 平成 21 年 3 月 29 日 ( 日 )~3 月 31 日 ( 火 ) 

[168] 酸化亜鉛 2 次元電子系におけるサイクロトロン共鳴 

今中康貴 , 高増正 , 反保衆志 , 柴田肇 , 仁木栄 

2009 年春季第 56 回応用物理学関係連合講演会 , 2009/03/30-2009/04/02 

[169] 磁場中 DNA 電気泳動におけるローレンツ力効果 


第 56 回応用物理学関係連合講演会 ,30p-ZD-8, 予稿集 1, P.495 , 筑波大学 , 2009.3.30 

[170] 鉄超伝導のフェルミオロジーに挑む 

寺嶋太一 , 宇治進也 , 今井基晴 , 播磨尚朝 

第 1 回 TRIP 合同合宿 , 2009 

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物質・材料研究機 共用基盤部門 強磁場共用ステーション 2008 年度 ...

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