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従 来 ,それらの 家 畜 やヒトへの 感 染 性 は 報 告 されていなかった. 幸 いにも, 農 家 や 研 究 者 の 中 に,それら<br />
によって 健 康 被 害 を 受 けたという 報 告 はない.しかし, 最 近 B. glumae が 幼 児 の 肺 の 壊 死 部 から 分 離 され<br />
(Weinberg et al., 2007),また 近 縁 の B. gladioli にはヒトに 感 染 する 系 統 があることが 報 告 された(Graves<br />
et al., 1997; Bauernfeind et al., 1998).また,トキソフラビンや bongkrek acid などの 毒 素 を 生 産 する P.<br />
cocovenenansが 種 のレベルではB. gladioliの 枠 組 みに 入 ること(Daves Jr. et al., 1961; Coenye et al., 1995),B.<br />
glumae もトキソフラビンを 生 産 すること( 佐 藤 ら,1989)が 報 告 されている.したがって,Burkholderia<br />
属 菌 を 扱 う 際 には,そのような 危 険 の 可 能 性 を 考 慮 しながら 慎 重 に 実 験 を 行 い, 実 験 終 了 後 は 汚 染 した 器 具 や<br />
材 料 を 確 実 に 滅 菌 処 理 する 必 要 がある.<br />
近 年 ,B. glumae および B. plantarii がクォーラムセンシング, 酵 素 ,2 次 代 謝 産 物 の 研 究 などにも 用 いら<br />
れるようになってきた.B. glumae に 関 しては,トキソフラビンの 生 合 成 遺 伝 子 や 酵 素 について 明 らかにされ<br />
(Suzuki et al., 1998a, b; Yoneyama et al., 1998),ゲノムの 全 塩 基 配 列 も 決 定 されたところである(Lim et<br />
al., 2009). 一 方 ,B. plantarii に 関 してはトロポロン 生 合 成 遺 伝 子 やゲノムの 全 塩 基 配 列 に 関 する 報 告 はまだ<br />
ないが, 今 後 の 研 究 の 進 展 に 期 待 したい.<br />
B. glumae は 各 菌 株 間 で 細 菌 学 的 性 質 が B. gladioli より 均 一 であり,また 冬 期 に 屋 外 から 検 出 する 試 みは<br />
未 だ 成 功 していない. 一 方 ,これに 近 縁 な B. gladioli はより 多 様 であり, 土 壌 中 や 様 々な 植 物 周 辺 の 環 境 に<br />
適 応 して 生 息 している.B. glumae は B. gladioli から 派 生 し,よりイネに 特 化 し, 植 物 を 離 れるとひ 弱 で,<br />
稲 作 に 大 きく 依 存 して 生 存 してきた 種 であると 推 測 している. 一 方 ,B. plantarii は 箱 育 苗 によって 顕 在 化 し<br />
たが,もともと 水 辺 の 植 物 周 辺 に 広 く 生 息 していたと 考 えられる. 日 本 では 全 国 各 地 に 広 く 分 布 しており,ル<br />
イジアナ 州 でも 分 離 されていることから, 根 圏 土 壌 に 広 く 生 息 している B. gladioli や B. cepacia と 同 様 に,B.<br />
plantarii は 世 界 中 に 分 布 している 環 境 常 在 菌 ではないかと 推 測 している.<br />
現 在 は 漠 としたこのような 推 測 も, 今 日 の 研 究 の 急 速 な 進 展 をみていると, 裏 付 けられる 日 が 遠 くないとい<br />
う 思 いが 湧 いてくる.これらの 病 原 細 菌 が 興 味 深 い 知 見 をもたらしてくれること,そしてより 環 境 負 荷 ・ 労 働<br />
負 荷 の 少 ない 防 除 法 が 開 発 され,これらが 引 き 起 こす 病 害 が「 易 防 除 病 害 」となることを 願 っている.<br />
本 稿 における 図 の 一 部 は, 独 立 行 政 法 人 農 業 環 境 技 術 研 究 所 の 許 諾 を 頂 いて, 畔 上 (1994) 農 環 研 報<br />
11:1-80 に 掲 載 されているものを 使 用 している. 記 して 深 く 御 礼 申 し 上 げる.<br />
<br />
Ayers, S.H., P. Rupp, and W.T. Johnson (1919) A<br />
study of the alkali-forming bacteria in milk.<br />
Bull. US. Dep. Agric. 782: 1-38.<br />
畔 上 耕 児 ・ 西 山 幸 司 ・ 渡 辺 康 正 (1983)イネ 苗 立 枯<br />
症 を 起 こすPseudomonas 属 菌 ( 講 要 ). 日 植<br />
病 報 49: 411.<br />
Azegami, K., K. Nishiyama, Y. Watanabe, T.<br />
Suzuki, M. Yoshida, K. Nose and S. Toda<br />
(1985) Tropolone as a root-growth inhibitor<br />
produced by a plant pathogenic Pseudomonas<br />
sp. causing seedling blight of rice. Ann.<br />
Phytopath. Soc. Japan 51: 315-317.<br />
畔 上 耕 児 ・ 西 山 幸 司 ・ 渡 辺 康 正 (1986)イネ 苗 立 枯<br />
細 菌 病 菌 の 分 類 と 検 出 ・ 同 定 法 ( 講 要 ). 日 植<br />
病 報 52: 91.<br />
畔 上 耕 児 (1986)イネ 苗 立 枯 細 菌 病 とその 病 原 細 菌<br />
の 分 類 ・ 同 定 に 関 する 研 究 . 日 植 病 報 52: 382.<br />
Azegami, K., K. Nishiyama, Y. Watanabe, I.<br />
Kadota, A. Ohuchi and C. Fukazawa (1987)<br />
Pseudomonas plantarii, sp. nov., the causal<br />
agent of rice seedling blight. Int. J. Syst.<br />
Bacteriol. 37: 144-152.<br />
Azegami, K., K. Nishiyama and H. Tabei (1988a)<br />
Infection courts of rice seedlings with<br />
Pseudomonas plantarii and Pseudomonas<br />
glumae. Ann. Phytopath. Soc. Japan 54:<br />
337-341.<br />
Azegami, K., H. Tabei and T. Fukuda (1988b)<br />
Entrance into rice grains of Pseudomonas<br />
plantarii, the causal agent of seedling blight<br />
of rice. Ann. Phytopath. Soc. Japan 54: 633-<br />
636.<br />
Azegami, K., K. Nishiyama and H. Kato (1988c)<br />
Effect of iron limitation on “Pseudomonas<br />
plantarii” growth and tropolone and protein<br />
production. Appl. Environ. Microbiol. 54:<br />
844-847.<br />
畔 上 耕 児 (1992)イネ 葉 鞘 腐 敗 部 から 分 離 された<br />
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