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微生物遺伝資源利用マニュアル No.26 イネもみ枯細菌病菌 ...

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固 定 菌 , 土 壌 細 菌 など 多 様 な 生 態 のものが 含 まれている. 農 業 環 境 中 ではバイオコントロール 菌 , 植 物 生 育 促<br />

進 根 圏 細 菌 (Plant Growth-Promoting Rhizobacteria, PGPR), 環 境 汚 染 物 質 の 分 解 菌 などとして 期 待 されて<br />

いるものもある.<br />

<br />

<br />

B. glumae および B. plantarii は,グラム 陰 性 , 好 気 性 の 桿 菌 で, 複 数 の 極 鞭 毛 を 有 し 運 動 性 がある. 蛍 光<br />

性 色 素 を 産 生 せず, 菌 体 内 にポリ -β- ヒドロキシ 酪 酸 顆 粒 ( 図 1)を 集 積 する.キノンは Q-8 型 である.こ<br />

れら 2 種 および 近 縁 の B. gladioli 1 のおもな 細 菌 学 的 性 質 を 表 1 に 示 した.これら 2 種 は, 第 6 章 の 分 離 ・ 検<br />

出 法 によっていずれかである 可 能 性 が 確 認 できるか,あるいは, 本 章 の 2) 以 降 に 述 べる 性 質 や PCR 反 応 が<br />

陽 性 であることが 確 認 でき,さらに 第 7 章 の 接 種 法 で 病 原 性 が 確 認 できれば,あとはグラム 反 応 ,OF 試 験 を<br />

行 い, 表 1 の 細 菌 学 的 性 質 のおもなものを 調 査 するだけで 比 較 的 容 易 に 同 定 できる.なお,B. glumae や B.<br />

gladioli を 同 定 する 場 合 , 糖 ・ 有 機 酸 の 利 用 能 を BIOLOG(GN2)で 調 べると, 違 いが 判 然 としないために<br />

誤 同 定 する 可 能 性 がある. 従 来 の 寒 天 培 地 を 用 いる 方 法 で 調 べるか, 他 の 方 法 を 組 み 合 わせて 行 うことが 必 要<br />

である.<br />

B. plantarii <br />

各 菌 体 内 にポリ -β- ヒドロキシ 酪 酸 顆 粒 (スーダンブラッ<br />

ク B によって 青 黒 く 染 まっている)が 認 められる.<br />

B. plantarii B.<br />

glumae <br />

<br />

B. glumae およびB. plantarii のPPGA( 西 山 ,1978)あるいは PSA( 脇 本 ,1955) 平 板 培 地 におけるコロニーは,<br />

ベージュ~わずかに 黄 土 色 を 帯 びており, 円 形 ,やや 中 高 , 平 滑 で 湿 光 を 帯 びている.B. glumae では,コロ<br />

ニーが 密 な 部 分 では 培 地 が 黄 緑 色 になる.<br />

また,B. glumae,B. gladioli,B. plantarii のいずれかである 場 合 , 使 用 培 地 によっては 斜 面 培 養 の 様 子<br />

から 高 い 確 度 で 種 レベルの 所 属 を 推 定 することも 可 能 である.すなわち,PPGA 斜 面 培 地 上 ,28 ~ 30℃ で 2<br />

~ 3 日 間 培 養 すると,B. glumae,B. gladioli は 菌 苔 がアイボリー,ベージュ~クリーム 色 で, 培 地 中 に 鮮 や<br />

かな 水 溶 性 黄 緑 色 色 素 (Pseudomonas 属 菌 が 産 生 する 蛍 光 性 色 素 とは 異 なる)を 産 生 することが 多 いので,<br />

それによって 推 定 可 能 である( 図 2).B. glumae では 35℃ 以 上 の 高 温 で 培 養 した 場 合 に 本 色 素 の 産 生 量 が 多<br />

い( 松 田 ,1990).また, 菌 苔 表 面 などに 水 色 ( 畔 上 ,1994),あるいはその 後 さらに 桃 色 ~ 橙 色 の 非 水<br />

溶 性 色 素 を 産 生 するものもある( 島 根 県 農 業 技 術 センター 永 島 進 氏 私 信 ). 桃 色 色 素 産 生 株 の 菌 苔 は 黄 色<br />

を 呈 していることが 多 い.ただし, 水 色 色 素 産 生 株 はしばしば 分 離 されるが, 桃 色 色 素 産 生 株 は 希 少 系<br />

1 B. gladioli には 植 物 病 原 性 の 違 いによって B. gladioli pv. gladioli をはじめ pv. allicola, pv. agaricicola などの 病 原 型 (pathovar)<br />

がある. 筆 者 がこれまでに 扱 った B. gladioli 株 はすべて(pv. agaricicola は 扱 っていないので 除 く)グラジオラスの 切 り 葉 に 針 接<br />

種 すると 黒 色 水 浸 状 の 病 斑 を 形 成 した.なお,B. gladioli には 食 中 毒 毒 素 生 産 株 ( 後 述 )もあり, 他 と 区 別 する 必 要 上 B. gladioli<br />

pathovar cocovenenans として 括 る 提 案 (Jiao et al. 2003)もなされているが, 植 物 病 理 学 上 の pathovar ではない.<br />

-2-

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