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分析実習資料 2009/06 SPSSによる重回帰分析 村瀬 洋一 1.

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分 析 実 習 資 料 <strong>2009</strong>/<strong>06</strong><br />

SPSSによる 重 回 帰 分 析<br />

村 瀬 洋 一<br />

1. 重 回 帰 分 析 とは 何 か<br />

1.1. 目 的 と 具 体 例<br />

◆ 重 回 帰 分 析 の 目 的 - 説 明 変 数 Xを 複 数 設 定 し、 被 説 明 変 数 Yとの 関 連 が 強 いのが、ど<br />

の 変 数 なのかを 解 明 すること。<br />

相 関 係 数 や2 重 クロス 集 計 のように、 表 面 的 な2 変 数 の 関 連 を 見 るだけでなく、 他 の 変<br />

数 の 影 響 を 取 り 除 いた 後 ( 統 制 後 、コントロール 後 )の 関 連 を 解 明 するのが 目 的 。<br />

線 型 の 関 連 ( 回 帰 直 線 )を 前 提 に、 関 連 の 強 さを 測 る。<br />

説 明 変 数 、 被 説 明 変 数 とも 連 続 変 数 ( 量 的 変 数 )の 場 合 に 用 いる。 説 明 変 数 が 離 散 変 数<br />

(カテゴリー 変 数 )の 場 合 は、 分 散 分 析 を 用 いる。なお、 両 方 とも 離 散 変 数 の 場 合 は、ク<br />

ロス 集 計 やログリニア 分 析 を 用 いることになる。<br />

Yが2 段 階 回 答 の 場 合 は、ロジスティック 回 帰 分 析 (あるいは 判 別 分 析 、 数 量 化 2 類 な<br />

ど)という 別 の 分 析 法 を 用 いる。<br />

社 会 調 査 の4 段 階 回 答 などは、 厳 密 には 連 続 変 数 ではないが、3 段 階 以 上 ならば、 連 続<br />

変 数 とみなして 用 いることが 多 い。データ 人 数 が 多 い 場 合 (おおむね400 人 以 上 など)は、<br />

このような 考 え 方 で、とくに 問 題 はない。<br />

◆ 具 体 例<br />

例 えば 調 査 で「 生 活 全 般 満 足 度 」に 関 する 問 の、4 段 階 回 答 があった 場 合 に、この 原 因<br />

を 解 明 することを 重 回 帰 分 析 の 目 的 とする。この 変 数 をYとして、この 原 因 となっている 変<br />

数 は 何 かを 複 数 考 え、 複 数 のXを 用 いて 重 回 帰 を 行 うことになる。<br />

社 会 調 査 の 場 合 、Xとして 年 齢 、 教 育 年 数 、 財 産 や 収 入 などの 属 性 変 数 や、 自 営 業 かどう<br />

かなどの01のダミー 変 数 、その 他 の 心 理 的 変 数 ( 態 度 や 意 識 )を 用 いることが 多 い。<br />

もし、 他 の 変 数 の 影 響 を 取 り 除 いても(コントロール 後 でも)、 年 齢 がYと 関 連 していた<br />

場 合 、 年 齢 がYの 原 因 となっている、と 考 えることができる。 実 際 、 高 齢 の 人 ほど 伝 統 的 価<br />

値 観 を 持 っているため、そのような 結 果 になることは 多 い。しかし、 高 齢 の 人 は 低 学 歴 な<br />

傾 向 があるため、 表 面 的 にはYと 学 歴 も 関 連 があるように 見 える。そのような 表 面 的 関 連 で<br />

なく、 他 の 変 数 の 影 響 を 取 り 除 いた 後 の、 真 の 関 連 を 見 つけることが 分 析 の 目 的 である。<br />

1.2. 重 回 帰 分 析 の 考 え 方 (ボーンシュテット・ノーキ.1990. 第 8、 第 11 章 などを 参 照 )<br />

説 明 変 数 が2つの 場 合 の 重 回 帰 分 析 のモデル<br />

標 本 回 帰 式 Y i=a+b 1X 1i+b 2X 2i+e i ・・・・・・(1)<br />

09semi 回 帰 分 析 .jtd<br />

- 1 -


∧<br />

標 本 予 測 式 Y i=a+b 1X 1i+b 2X 2i ・・・・・・(2)<br />

Y i :i 番 目 の 個 体 の、 被 説 明 変 数 Yの 値<br />

∧<br />

Y i :i 番 目 の 個 体 の、 被 説 明 変 数 Yの 予 測 値<br />

X 1、X 2:i 番 目 の 個 体 の、 説 明 変 数 X 1、X 2の 値<br />

a : 切 片<br />

b : 偏 回 帰 係 数<br />

e i : 誤 差 項 ( 残 差 項 )<br />

∧<br />

e i=Y i-Y i ← 重 要 !<br />

bは 回 帰 直 線 の 傾 きの 大 きさを 表 している( 村 瀬 他 .2007:123の 図 を 参 照 )。<br />

この 数 式 は、 以 下 にある 図 1のようなモデルを 表 しているにすぎない。<br />

1.3. 回 帰 分 析 のパラメーターの 推 定 と 解 釈<br />

a、b 1、b 2の 値 の 推 定 → 最 小 自 乗 法 (Ordinary least squares OLS)を 用 いる。<br />

Σe i 2 を( 誤 差 の 二 乗 の 合 計 を) 最 小 にするように、a、b 1、b 2を 推 定 する。<br />

・ 偏 回 帰 係 数 (b 1、b 2)<br />

他 の 変 数 の 効 果 を 統 制 した 上 で( 統 計 的 コントロールの 後 で)、 説 明 変 数 が1 単 位 変 化<br />

した 場 合 、 被 説 明 変 数 がどのくらい 変 化 するかを 示 す。<br />

・ 標 準 偏 回 帰 係 数 (β 1 、β 2 ベータ 係 数 、ベータ 加 重 )<br />

XとYを 標 準 化 した(Z 得 点 にした) 上 で 求 めた 回 帰 係 数<br />

説 明 変 数 が1 標 準 偏 差 増 えた 場 合 、 被 説 明 変 数 がどのくらい 変 化 するかを 示 す。<br />

ただし、 上 記 の 係 数 は、その 説 明 変 数 に 固 有 の 値 ではない。 他 の 説 明 変 数 が 変 われば、<br />

当 該 の 説 明 変 数 の 係 数 値 も 変 わる。( 久 米 ・ 飯 塚 、1987、p.99- を 参 照 )<br />

回 帰 係 数 は 相 関 係 数 とは 異 なる。 他 の 変 数 の 影 響 を 除 いた 場 合 の、Yとの 関 連 の 強 さを<br />

表 しているのである。<br />

1.4. 決 定 係 数 (R 2 )<br />

説 明 変 数 Xが、 被 説 明 変 数 Yの 分 散 をどのくらい 説 明 しているかを 示 す。モデル 全 体 の<br />

説 明 力 を 表 す。レンジは0~1。モデルで 分 散 を 完 全 に 説 明 しているときは1になる。<br />

R 2 =<br />

_<br />

∧<br />

Σ[(Y i-Y i) 2 -(Y i-Y i) 2 ]<br />

=<br />

_<br />

Σ(Y i-Y i) 2<br />

SS TOTAL-SS ERROR<br />

SS TOTAL<br />

SSREGRESSION<br />

=<br />

SSTOTAL<br />

モデルで 説 明 できる 分 散<br />

= (3)<br />

全 分 散<br />

SS TOTAL=SS REGRESSION+SS ERROR ・・・・・・(4)<br />

( 平 均 値 と 観 測 値 の 距 離 )=( 回 帰 モデルで 説 明 できる 距 離 )+( 観 測 値 と 予 測 値 のずれ)<br />

数 式 の 各 項 が、 村 瀬 他 (2007:123)の 図 ではどの 部 分 になるか、 理 解 できるとよい。<br />

09semi 回 帰 分 析 .jtd<br />

- 2 -


なお、 説 明 変 数 が2つの 場 合 、 標 準 偏 回 帰 係 数 と 決 定 係 数 の 間 には 以 下 の 関 係 が 成 り 立 つ。<br />

R 2 =β 1 * r YX1+β 2 * r YX2 ・・・・・・(5)<br />

r YX1:YとX 1の 相 関<br />

r YX2:YとX 2の 相 関<br />

1.5. 決 定 係 数 の 有 意 性 検 定<br />

R 2 の 有 意 性 検 定 は、F 検 定 によって 行 う。<br />

MSREGRESSION モデルで 説 明 できる 分 散<br />

F= = ・・・・・・(6)<br />

MSERROR<br />

モデルで 説 明 できない 分 散<br />

MS REGRESSION=<br />

自 由 度 : 説 明 変 数 の 数<br />

SS REGRESSION<br />

自 由 度<br />

MS ERROR<br />

=<br />

SS ERROR<br />

自 由 度<br />

自 由 度 :N-1-( 説 明 変 数 の 数 )<br />

1.6. 多 重 共 線 性 (マルチコ)<br />

重 回 帰 分 析 はとても 分 かりやすく 有 効 な 分 析 法 だが、 説 明 変 数 X 同 士 の 相 関 が 高 い 場 合<br />

は、 重 回 帰 分 析 を 行 うことはできない。この 点 によく 気 をつけること。<br />

説 明 変 数 間 の 相 関 がとても 高 い 場 合 、 回 帰 モデルは 非 常 に 不 安 定 になる。これは、 説 明<br />

変 数 の 間 にすでに 別 の 線 形 回 帰 関 係 が 含 まれているということであり、その 意 味 でこのよ<br />

うな 現 象 を「 多 重 共 線 性 (multi colinearity)」と 言 う。 経 験 的 に、 説 明 変 数 間 の 相 関 が<br />

0.7 以 上 ならば 危 険 であると 言 われている。<br />

多 重 共 線 性 に 注 意 するために、 回 帰 分 析 を 行 う 際 には、まず 説 明 変 数 間 の 相 関 行 列 を 見<br />

て、 相 関 がとても 強 いものがあれば、 片 方 は 説 明 変 数 から 除 く、といったことが 必 要 であ<br />

る。どのような 説 明 変 数 の 組 み 合 わせがもっとも 適 しているかを 明 らかにするために、 変<br />

数 選 択 の 方 法 がいくつか 考 えられている。<br />

1.7. 回 帰 分 析 を 行 う 上 での 注 意 ( 久 米 ・ 飯 塚 .1987:193-)などを 参 照 )<br />

説 明 変 数 が 多 ければ 多 いほど、 決 定 係 数 R 2 は 大 きくなる。しかし、 決 定 係 数 が 大 きい 回<br />

帰 式 が 良 いモデルというわけでは、まったくない。<br />

上 記 のように、 説 明 変 数 の 間 に 相 関 が 強 いと、 回 帰 分 析 はできない。 極 端 なことをいえ<br />

ば、 説 明 変 数 が2つで、その 間 の 相 関 が1ならば、2つの 説 明 変 数 は 同 じものなのだから、<br />

どちらか1つを 回 帰 モデルに 入 れれば 良 いのである。モデルはシンプルなほど 良 い。<br />

決 定 係 数 R 2 がどれくらい 大 きければ 良 いと 見 なすのかは 難 しい 問 題 だが、 社 会 調 査 データ<br />

では、 測 定 誤 差 などのノイズが 多 いので、0.20を 越 えればとても 大 きいと 言 うことが 多 く、<br />

値 が0.10 以 下 でも、モデル 全 体 のF 値 が 有 意 ならば( 統 計 的 に 意 味 があるならば) 良 い。<br />

心 理 学 や 経 済 学 で 用 いるデータでは0.50 以 上 になることが 多 いが、 社 会 調 査 データでは、<br />

そのような 例 は 少 ない。<br />

09semi 回 帰 分 析 .jtd<br />

- 3 -


なお、 重 回 帰 分 析 を 行 うためには、ある 程 度 のデータ 数 が 必 要 である。 通 常 、400 人 以 下<br />

のデータで 重 回 帰 分 析 を 行 うことはない。 最 低 でも200 人 は 必 要 である。400 人 以 下 の 時 は、<br />

自 由 度 調 整 済 み 決 定 係 数 を 用 いた 方 がよい。<br />

◆ 問 重 回 帰 分 析 の 説 明 変 数 Xは 連 続 変 数 だが、 離 散 変 数 も 説 明 変 数 として 用 いることが<br />

できる。どのようにすれば 良 いか。<br />

答 if 文 を 使 って、0、1 型 の 変 数 (ダミー 変 数 )を 作 ればよい。<br />

2カテゴリーの 時 Q1 (0,1) 例 男 なら1、 女 なら0<br />

3カテゴリーの 時 QW (0,1) 例 ホワイトカラー、ブルーカラー、 農 業<br />

QB (0,1) 3カテゴリーの 場 合 、ダミー 変 数 を<br />

2つ 作 ればよい。<br />

1.8.ダミー 変 数 を 作 るSPSSシンタックスの 例<br />

COMPUTE 文 やIF 文 を 使 って、ダミー 変 数 を 作 ることができる。<br />

書 式 IF ( 条 件 式 ) 条 件 があった 場 合 の 命 令 文 ピリオド<br />

例 職 業 の 変 数 から、 自 営 かどうかの0,1 型 変 数 を 作 成<br />

COMPUTE JIEI=0. ← 新 変 数 JIEIを 作 成 ( 変 数 名 は 好 きな 名 前 でよい)<br />

IF ( Q19BS2=6 ) JIEI =1.<br />

2.SPSSによる 分 析<br />

2.1.SPSSの 操 作<br />

シンタックスを 書 くか、もしくはSPSSで、 画 面 上 の「 分 析 」をクリックし、「 回<br />

帰 」→「 線 形 」を 選 ぶ。<br />

シンタックス 例<br />

REGRESSION ←(REGだけでも 動 く)<br />

/DEPENDENT Q6B<br />

/METHOD=ENTER Q2 Q3 Q4A .<br />

解 説<br />

/DEPENDENT<br />

この 行 にYになる 変 数 名 を 書 く<br />

/METHOD=ENTER この 行 にXとなる 変 数 名 を 複 数 書 く<br />

/MISSING LISTWISE 欠 損 値 がある 人 のデータは 取 り 除 く(この 行 は 省 略 可 能 )<br />

2.2. 作 業 手 順<br />

まず、 被 説 明 変 数 Yを1つ 決 め、さまざまなXを 入 れて 自 分 の 好 きなモデルを 考 える。<br />

はじめは 数 個 の 説 明 変 数 Xを 入 れ、 少 しずつ 増 やしてみると 良 い。ただし、 最 終 的 には、<br />

すべてのXをいれたモデルを 検 討 すること。 一 部 のXだけを 入 れた 分 析 結 果 を、いろいろ<br />

出 して 表 にしても、とくに 意 味 はない。<br />

分 析 の 前 に 必 ず 欠 損 値 処 理 を 行 う。また、 変 数 の 方 向 をそろえる( 回 答 方 向 を 逆 転 した<br />

新 変 数 を 作 るなどする)。 量 的 変 数 しか 使 えないことに 注 意 。<br />

良 いモデルを 得 るために 多 重 共 線 性 に 注 意 せよ。まず、 説 明 変 数 間 の 相 関 行 列 を 見 てみ<br />

ること。<br />

09semi 回 帰 分 析 .jtd<br />

- 4 -


2.3. 結 果 のまとめと 解 釈<br />

分 析 結 果 は、 学 術 論 文 では 以 下 のような 形 式 の 表 にまとめる。 図 の 方 が 一 般 向 けには 分<br />

かりやすい。 各 説 明 変 数 の 偏 回 帰 係 数 は 有 意 か、モデル 全 体 の 説 明 力 はどうか、なぜその<br />

ような 結 果 が 出 たのかなどについて 検 討 し、 結 果 の 解 釈 や 考 察 を 行 うこと。<br />

この 例 では3つのモデルについて 表 している。Yとの 相 関 係 数 rは 別 途 分 析 すること。<br />

重 回 帰 分 析 の 結 果 表 のまとめ 方 の 見 本<br />

( 数 字 は 架 空 例 )<br />

表 2.1. 関 係 的 資 源 保 有 の 規 定 因 に 関 する 重 回 帰 分 析 結 果 1995 年 ×× 調 査 男 性<br />

地 方 議 会 議 員 町 内 会 役 員 企 業 の 経 営 者<br />

説 明 変 数 () 内 は 変 数 のレンジ β r β r β r<br />

年 齢 (20-69) 0.03 0.14** 0.03 0.11** -0.01 -0.02<br />

学 歴 ( 教 育 年 数 6-17) -0.01 0.00 -0.10 -0.07** 0.05 0.03<br />

世 帯 資 産 ( 保 有 財 産 数 0-20) 0.15 0.14** 0.12 0.12** 0.14 0.14**<br />

居 住 地 域 都 市 度 (1-8) -0.18 -0.12** -0.08 -0.<strong>06</strong>** -0.01 0.00<br />

地 域 移 動 経 験 の 有 無 (1,0) -0.42** -0.<strong>06</strong>** -0.35** -0.05** 0.16 0.00<br />

組 織 内 の 役 職 (1-6) 0.13 0.05** 0.07 0.01 0.34** 0.12**<br />

従 業 先 企 業 規 模 (1-7) -0.01 0.00 0.07 0.03* -0.24** -0.13**<br />

本 人 職 業 威 信 スコア(26.7-83.5) 0.01 0.02 0.00 0.00 0.01 0.00<br />

父 職 業 威 信 スコア(23.4-87.3) -0.02 0.00 -0.04 -0.02 -0.03 0.00<br />

父 学 歴 ( 教 育 年 数 6-17) 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00 0.00<br />

本 人 職 自 営 ノンマニュアル(1,0) 0.68** 0.05** 0.72** 0.05** 0.15* 0.00<br />

本 人 職 自 営 マニュアル(1,0) 0.29 0.00 0.36* 0.02 -0.08 0.00<br />

本 人 職 農 業 (1,0) 0.42* 0.03* 0.85** 0.07** -0.79** -0.13**<br />

R-square 0.27** 0.21* 0.16*<br />

Adjuted R-square 0.21 0.18 0.12<br />

N 381 324 356<br />

注 被 説 明 変 数 は、××の 場 合 4、××の 場 合 0<br />

縦 1 列 が1つの 回 帰 式 を 表 し、 点 線 上 は 標 準 偏 回 帰 係 数 と 相 関 係 数<br />

説 明 変 数 のうち、レンジが(1,0)のものはダミー 変 数 。 職 業 ダミー 変 数 の 基 準 はその 他 の 職 業<br />

** 1% 水 準 で 有 意 * 5% 水 準 で 有 意<br />

注 意 点<br />

表 だけを 見 て、 第 3 者 が 分 かるのが 大 原 則 である。<br />

表 タイトルも 的 確 に 分 かりやすく。 表 タイトルは 表 の 上 に 書 き、 表 番 号 をつける。<br />

説 明 変 数 についての 説 明 を、 表 の 下 に 注 で 書 く。<br />

通 常 、 縦 1 列 が1 本 の 重 回 帰 式 になる。この 例 では3 本 の 重 回 帰 分 析 の 結 果 を1つの 表<br />

にまとめている。<br />

説 明 変 数 間 の 相 関 行 列 も、 別 途 表 にすると 良 い。<br />

有 効 桁 は2 桁 でよい。あまり 細 かい 数 字 を 書 いても 意 味 がない。<br />

★SPSSの 出 力 をエクスポートしてテキスト 形 式 で 保 存 し、エクセルで 読 み 込 んで 有<br />

効 桁 などを 合 わせ 表 にすると 簡 単 。あるいは、エクセルでテキストファイルを 開 いてから、<br />

画 面 上 の「データ」をクリックし、 区 切 り 位 置 を 指 定 する。<br />

四 捨 五 入 したい 範 囲 のセルをマウスで 囲 んで「 書 式 」をクリックし、「セルの 書 式 設<br />

定 」→「ユーザー 定 義 」を 選 択 すると、 数 字 を 小 数 点 以 下 2 桁 等 に 揃 えることができる。<br />

09semi 回 帰 分 析 .jtd<br />

- 5 -


重 回 帰 分 析 の 結 果 図 のまとめ 方 の 見 本<br />

( 数 字 は 架 空 例 Xが4つある 場 合 の 例 )<br />

.42<br />

年<br />

齢<br />

-.23 .24<br />

.38 学 歴 .08<br />

.32 環 境 問 題 への 協 力 行 動<br />

.24<br />

保 有 資 産 数 R 2 =.21<br />

.17<br />

.16 .31<br />

権 威 主 義 的 態 度<br />

図 1. 向 環 境 行 動 の 規 定 因 に 関 する 重 回 帰 分 析 結 果<br />

数 字 は 標 準 化 係 数<br />

1998 年 ×× 調 査<br />

図 を 書 く 際 の 注 意 点<br />

因 果 関 係 の 流 れは、 左 から 右 へ、 原 因 から 結 果 となるようにする。<br />

実 在 する 変 数 ( 実 在 変 数 、 観 測 変 数 )は 四 角 で 表 現 ( 因 子 は 楕 円 で 表 現 )。<br />

決 定 係 数 R 2 も 必 ず 書 く。<br />

図 のタイトルは 図 下 に 書 く。 数 字 の 説 明 も 忘 れずに 書 く。<br />

説 明 変 数 間 の 相 関 も 書 くこと( 相 関 係 数 の 分 析 で 出 力 )。<br />

なおワードでは、 画 面 上 の「 表 示 」をクリックし、ツールバー→ 図 形 描 画 を 選 ぶと、 図<br />

形 ボタンが 表 示 されるので、ボタンをおして 矢 印 などを 書 くと 良 い。 詳 しくは 以 下 を 参 照 。<br />

2.4.SPSS 出 力 の 見 方 について<br />

モデル 全 体 の 決 定 係 数 はR 二 乗 の 値 を、 各 変 数 の 標 準 偏 回 帰 係 数 (standaradized<br />

estimate)はベータを 見 れば 良 い。 各 値 の 有 意 水 準 ( 有 意 確 率 、 危 険 率 )も 見 ること。<br />

R 二 乗 の 有 意 水 準 (モデル 全 体 の 有 意 水 準 )は、F 値 の 有 意 水 準 を 見 ればよい。これが<br />

0.05 未 満 ならば、R 二 乗 が 誤 差 である 確 率 は5% 未 満 なので、このモデルを 採 用 して 良 い。<br />

2.5. 変 数 選 択<br />

重 回 帰 分 析 に 説 明 変 数 を 複 数 入 れ、その 後 、どの 変 数 を 採 用 するのが 適 切 かを 検 討 する<br />

ことができる。このことを 変 数 選 択 という。 初 めは、10 個 の 説 明 変 数 でモデルを 作 り、そ<br />

の 後 、 説 明 変 数 を5 個 くらいに 絞 るなどするとよい。<br />

調 査 データの 場 合 、とくに 変 数 選 択 をせず、 強 制 投 入 法 としてすべてのXを 用 いることも<br />

多 い。<br />

・STEPWISE<br />

既 存 のモデルをもとに、 次 に 新 しい 変 数 を 入 れるか、あるいはモデルに 既 に 入 って<br />

いる 変 数 を 落 とすかを 逐 次 的 に 行 う。<br />

・RSQUARE<br />

候 補 となる 説 明 変 数 のすべての 組 み 合 わせについて、 回 帰 式 と 変 数 選 択 のために 提<br />

案 されている 各 種 統 計 量 を 計 算 する。<br />

09semi 回 帰 分 析 .jtd<br />

- 6 -


3. 分 析 時 の 注 意 点<br />

3.1. 分 析 の 前 に 必 ず 欠 損 値 処 理 をすること<br />

多 くの 場 合 、 欠 損 値 は9か99。SPSSの 場 合 、missing valuesコマンドを 用 いる。<br />

回 答 が2 桁 の 場 合 、 欠 損 値 99である。まず 単 純 集 計 をとって 確 認 するとよい。<br />

3.2. 分 析 の 前 に 変 数 の 向 きを 必 要 に 応 じて 逆 転 し、わかりやすく 設 定 する<br />

分 析 を 行 う 前 に、 原 則 として、すべての 変 数 を、 数 字 が 大 きいほど 肯 定 になるように 直<br />

すこと。 数 字 が 小 さいほど 肯 定 となる 変 数 が 混 ざっていると、とても 分 かりにくい。<br />

シンタックスのデータ 定 義 文 の 後 で、 以 下 のようなCOMPUTE 文 を 書 けばよい。<br />

例 そう 思 う1---そう 思 わない4 → そう 思 う4---そう 思 わない1<br />

Q4a を 逆 転 し、 新 変 数 N4a をつくる<br />

COMPUTE N4a = 5-Q4a .<br />

3.3. 用 いる 変 数 について<br />

重 回 帰 分 析 で 用 いる 変 数 は、XもYもすべて 連 続 変 数 ( 量 的 変 数 )であることに 注 意 。<br />

名 義 尺 度 の 変 数 はダミー 変 数 以 外 は 使 えない。また、 変 数 内 でカテゴリー 合 併 などをする<br />

必 要 はない。むしろ、なるべく 回 答 の 段 階 は 細 かい 方 が、 連 続 変 数 に 近 くなるのでよい。<br />

4 段 階 尺 度 や 順 序 など、 厳 密 には 連 続 変 数 ではないが、 量 的 変 数 と 見 なして 重 回 帰 で 使<br />

って 良 いだろう。ただし 被 説 明 変 数 Yは、3 段 階 以 上 が 望 ましい。<br />

カテゴリー 変 数 ( 質 的 変 数 、 離 散 変 数 )をXとしたい 時 は、if 文 やrecode 文 を 用 いて、<br />

ダミー 変 数 や 連 続 変 数 に 直 すとよい。<br />

例 問 16の 学 歴 を、 教 育 年 数 という 連 続 変 数 に 直 す<br />

COMPUTE EDU=Q16.<br />

RECODE<br />

EDU(1=6)(2=9)(3=12)(4=13)(5=14)(6=16)(7,9=99).<br />

MISSING VALUES EDU (99).<br />

4. 発 展 版<br />

4.1. 男 女 別 等 の 分 析 -ファイルの 分 割 について<br />

調 査 データの 場 合 、 男 女 別 に 分 析 して 結 果 を 出 すことが 多 い。 重 回 帰 分 析 も、 多 くの 場<br />

合 、 男 女 別 にデータを 分 割 した 後 で 分 析 すると、より 明 確 な 結 果 が 出 る。<br />

SPSSにはデータ 分 割 機 能 があるので 便 利 である。SPSSのデータウィンドウで、<br />

画 面 上 の「データ」をクリックし、ファイルの 分 割 を 選 ぶと 便 利 。データを 男 女 別 に2つ<br />

に 分 割 してから、 分 析 を 行 うと、 男 女 について2つの 分 析 結 果 が 出 る。<br />

4.2.モデルの 作 り 方<br />

自 分 の 目 的 を 明 確 に 決 めてYとなる 変 数 を1つ 設 定 する。Xとして、 心 理 的 変 数 ( 意 識<br />

に 関 する 質 問 項 目 など)と 社 会 的 変 数 ( 年 齢 、 学 歴 、 財 産 数 など 基 本 属 性 や 社 会 的 地 位 に<br />

関 連 するもの)を 入 れ、さまざまなモデルを 作 ってみると 良 いだろう。<br />

初 めは、 年 齢 や 学 歴 など 基 礎 的 なXだけを 入 れたモデルを 作 り、 少 しずつXを 増 やして<br />

09semi 回 帰 分 析 .jtd<br />

- 7 -


いくとよい。 因 果 関 係 をよく 考 えてXを 入 れると 良 い。<br />

最 終 的 なモデルは、Xとして 心 理 的 変 数 と 社 会 的 変 数 の 両 方 を 含 むと 良 い。 重 回 帰 分 析<br />

は、 多 くのXを 同 時 に 投 入 することに 意 味 がある。 別 々に 入 れたモデルはあまり 意 味 がな<br />

い。ただし 多 重 共 線 性 には 注 意 する。<br />

4.3.エクセルやワードでの 図 表 の 書 き 方<br />

・ワードやエクセル 画 面 の 上 「 表 示 」をクリック<br />

・「ツールバー」を 選 び 図 形 描 画 、またはオートシェイプを 選 ぶ<br />

・ 画 面 下 にボタンが 表 示 される。ボタンを 押 して 線 や 矢 印 をかく。<br />

1) 図 を 微 調 整 したい 時<br />

かいた 図 を 右 クリックして 書 式 設 定 を 選 ぶ。 線 の 太 さや 矢 印 種 類 などを 変 更 できる。 両<br />

方 向 矢 印 などにすることができる。<br />

2) 図 の 中 に 文 字 を 書 くには<br />

・ 図 形 を 右 クリック →オートシェイプの 書 式 設 定<br />

・「 色 」ボックスをクリック → 塗 りつぶしなし( 白 でなく 透 明 になる)<br />

・ 画 面 下 、 楕 円 右 にあるテキストボックスボタンを 押 す<br />

・テキストボックスを 設 定 して 文 字 を 書 く<br />

その 後 、 微 調 整 は、テキストボックスを 右 クリックして 書 式 設 定 を 選 ぶ<br />

3)エクセルでの 罫 線 の 引 き 方<br />

・ 線 を 引 きたいセルをマウス(またはシフトキー+ 矢 印 )で 囲 む<br />

・ 画 面 上 「 書 式 」をクリック<br />

・「セル」を 選 び「 罫 線 」タブを 選 ぶ<br />

・ 下 線 ボタンなどを 押 しOKボタンを 押 す<br />

4) 曲 線 矢 印 の 引 き 方<br />

・ 画 面 下 の「オートシェイプ」ボタンを 押 し 曲 線 を 選 ぶ<br />

・ 曲 線 を 引 く。 真 ん 中 で 一 度 クリックしさらに 引 く。 書 き 終 えるときはダブルクリック<br />

・ 引 いた 線 を 右 クリックし「 書 式 設 定 」を 選 ぶ<br />

・ 矢 印 「 始 点 や 終 点 のスタイル」を 選 ぶ<br />

4.4.エクセルで 作 った 表 をワードの 中 に 貼 るには<br />

・まずエクセルで 表 を 作 る<br />

・ワード 画 面 で 画 面 上 の「 挿 入 」をクリック<br />

・「オブジェクト」を 選 択 し「エクセルワークシート」 新 規 を 選 ぶ<br />

・ワークシートが 出 てくるので、 自 分 で 作 った 表 をはりつける<br />

新 規 でなく「ファイルから」を 選 び「 参 照 」ボタンを 押 して 既 存 ファイルを 読 み 込 ん<br />

でも 良 い<br />

4.5. 論 文 の 構 成 - 全 般 的 な 分 析 の 流 れについて<br />

レポートや 論 文 を 作 る 際 には、 冒 頭 で 目 的 ( 何 を 明 らかにしたいか)を 明 確 に 書 く。そ<br />

してYとなる 変 数 を1つ 決 める。その 後 、まず 因 子 分 析 結 果 や 相 関 行 列 を 出 し、 全 体 的 な<br />

変 数 間 の 関 連 を 確 認 すると 良 い。その 後 、 因 果 関 係 を 自 分 の 頭 で 考 えて、 何 をXにするか<br />

09semi 回 帰 分 析 .jtd<br />

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を 決 めてモデルをいくつか 作 り 重 回 帰 分 析 で 因 果 関 係 を 確 認 する。その 後 、さらに 用 いる<br />

変 数 を 絞 って、クロス 集 計 やエラボレイションを 行 うと 良 い。<br />

論 文 には、 分 析 結 果 として、 基 本 的 な 男 女 別 集 計 の 横 棒 グラフ 等 をまず 載 せ( 分 布 の 偏<br />

りを 確 認 し、どのような 質 問 項 目 か 読 者 に 分 かってもらう)、 相 関 行 列 (または 因 子 分<br />

析 )、 重 回 帰 分 析 、 主 要 な 変 数 に 関 するクロス 集 計 の 順 で 結 果 を 並 べることが 多 い。<br />

5. 課 題<br />

自 分 で 自 由 にテーマを 決 め、 何 らかの 調 査 データを 用 いて、 男 女 別 に 重 回 帰 分 析 を 行 う。<br />

結 果 を、 男 女 別 の2つの 図 にまとめ、 自 分 の 解 釈 を 書 く。 被 説 明 変 数 Yは、 自 分 が 興 味 ある<br />

質 問 項 目 を1つ 決 めればよい。 説 明 変 数 Xを5 個 以 上 入 れること。 上 記 「 分 析 時 の 注 意 点 」<br />

に、 十 分 に 気 をつけること。<br />

6. 参 考 文 献<br />

ボーンシュテット・ノーキ.1990.『 社 会 統 計 学 - 社 会 調 査 のためのデータ 分 析 入 門 』.<br />

ハーベスト 社 。<br />

早 川 毅 .1990.『 回 帰 分 析 の 基 礎 』 朝 倉 書 店 .<br />

市 川 伸 一 ・ 大 橋 靖 雄 .1987.『SASによるデータ 解 析 入 門 』. 東 京 大 学 出 版 会 .<br />

石 村 貞 夫 .2001.『SPSSによる 多 変 量 データ 解 析 の 手 順 』 東 京 図 書 .<br />

石 村 貞 夫 .2001.『SPSSによる 統 計 処 理 の 手 順 』 東 京 図 書 .<br />

久 米 均 ・ 飯 塚 悦 功 .1987.『 回 帰 分 析 』. 岩 波 書 店 .<br />

蓑 谷 千 凰 彦 .1990.『 回 帰 分 析 のはなし』 東 京 図 書 .<br />

縄 田 和 満 .1998.『Excelによる 回 帰 分 析 入 門 』 朝 倉 書 店 .<br />

三 宅 一 郎 ・ 山 本 嘉 一 郎 他 .1986.『 新 版 SPSS X 基 礎 編 』 東 洋 経 済 新 報 社 .<br />

村 瀬 洋 一 他 編 . 2007. 『SPSSによる 多 変 量 解 析 』オーム 社 .<br />

室 淳 子 ・ 石 村 貞 夫 .2002.『SPSSでやさしく 学 ぶ 多 変 量 解 析 』 東 京 図 書 .<br />

岡 太 彬 訓 ・ 古 谷 野 亘 .1993.「 多 変 量 解 析 法 の 不 適 切 な 利 用 」. 数 理 社 会 学 会<br />

『 理 論 と 方 法 』Vol.8 No.2.<br />

小 塩 真 司 .2004.『SPSSとAmosによる 心 理 ・ 調 査 データ 解 析 ― 因 子 分 析 ・ 共 分 散 構 造 分<br />

析 まで』 東 京 図 書 .<br />

佐 和 隆 光 .1990.『 回 帰 分 析 』 朝 倉 書 店 .<br />

田 部 井 明 美 .2001.『SPSS 完 全 活 用 法 ― 共 分 散 構 造 分 析 (Amos)によるアンケート 処 理 』<br />

東 京 図 書 .<br />

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