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成長戦略(案) 平成 25 年6月

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資 料 1-1<br />

成 長 戦 略 ( 案 )<br />

平 成 <strong>25</strong> 年 6 月


目 次<br />

第 Ⅰ. 総 論<br />

1. 成 長 戦 略 の 基 本 的 考 え 方 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1<br />

2. 成 長 への 道 筋 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・2<br />

(1) 民 間 の 力 を 最 大 限 引 き 出 す<br />

(2) 全 員 参 加 ・ 世 界 で 勝 てる 人 材 を 育 てる<br />

(3) 新 たなフロンテイアを 作 り 出 す<br />

(4) 成 長 の 果 実 の 国 民 の 暮 らしへの 反 映<br />

3. 成 長 戦 略 をどう 実 現 していくか・・・・・・・・・・・・・・・・・・・8<br />

(1) 異 次 元 のスピードによる 政 策 実 行<br />

(2)「 国 家 戦 略 特 区 」を 突 破 口 とする 改 革 加 速<br />

4. 進 化 する 成 長 戦 略 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・9<br />

(1) 成 果 目 標 (KPI)のレビューによる PDCA サイクルの 実 施<br />

(2) 本 格 的 成 長 実 現 に 向 けた 今 後 の 対 応<br />

5.「 成 長 への 道 筋 」に 沿 った 主 要 施 策 例 ・・・・・・・・・・・・・・・・・11<br />

(1) 民 間 の 力 を 最 大 限 引 き 出 す<br />

(2) 全 員 参 加 ・ 世 界 で 勝 てる 人 材 を 育 てる<br />

(3) 新 たなフロンティアを 作 り 出 す<br />

第 Ⅱ.3つのアクションプラン<br />

一 . 日 本 産 業 再 興 プラン ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・23<br />

1. 緊 急 構 造 改 革 プログラム( 産 業 の 新 陳 代 謝 の 促 進 )・・・・・・・・・・ 24<br />

1 民 間 投 資 の 活 性 化<br />

2 委 縮 せずフロンティアにチャレンジできる 仕 組 みの 構 築<br />

3 内 外 の 資 源 を 最 大 限 に 活 用 したベンチャー 投 資 ・ 再 チャレンジ 投 資 の 促 進<br />

4 事 業 再 編 ・ 事 業 組 換 の 促 進<br />

5グローバルトップ 企 業 を 目 指 した 海 外 展 開 促 進<br />

2. 雇 用 制 度 改 革 ・ 人 材 力 の 強 化 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・29<br />

1 行 き 過 ぎた 雇 用 維 持 型 から 労 働 移 動 支 援 型 への 政 策 転 換 ( 失 業 なき 労 働 移 動<br />

の 実 現 )<br />

2 民 間 人 材 ビジネスの 活 用 によるマッチング 機 能 の 強 化<br />

3 多 様 な 働 き 方 の 実 現<br />

4 女 性 の 活 躍 推 進<br />

5 若 者 ・ 高 齢 者 等 の 活 躍 推 進<br />

6 大 学 改 革<br />

7グローバル 化 等 に 対 応 する 人 材 力 の 強 化<br />

8 高 度 外 国 人 材 の 活 用


3. 科 学 技 術 イノベーションの 推 進 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・39<br />

1「 総 合 科 学 技 術 会 議 」の 司 令 塔 機 能 強 化<br />

2 戦 略 的 イノベーション 創 造 プログラムの 推 進<br />

3 革 新 的 研 究 開 発 支 援 プログラムの 創 設<br />

4 研 究 開 発 法 人 の 機 能 強 化<br />

5 研 究 支 援 人 材 のための 資 金 確 保<br />

6 官 ・ 民 の 研 究 開 発 投 資 の 強 化<br />

7 知 的 財 産 戦 略 ・ 標 準 化 戦 略 の 強 化<br />

4. 世 界 最 高 水 準 の IT 社 会 の 実 現 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・42<br />

1IT が「あたりまえ」の 時 代 にふさわしい 規 制 ・ 制 度 改 革<br />

2 公 共 データの 民 間 開 放 と 革 新 的 電 子 行 政 サービスの 構 築<br />

3IT を 活 用 した 安 全 ・ 便 利 な 生 活 環 境 実 現<br />

4 世 界 最 高 レベルの 通 信 インフラの 整 備<br />

5サイバーセキュリティ 対 策 の 推 進<br />

6 産 業 競 争 力 の 源 泉 となるハイレベルな IT 人 材 の 育 成 ・ 確 保<br />

5. 立 地 競 争 力 の 更 なる 強 化 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・46<br />

1「 国 家 戦 略 特 区 」の 実 現<br />

2 公 共 施 設 等 運 営 権 等 の 民 間 開 放 (PPP/PFI の 活 用 拡 大 )<br />

3 空 港 ・ 港 湾 など 産 業 インフラの 整 備<br />

4 都 市 の 競 争 力 の 向 上<br />

5 金 融 ・ 資 本 市 場 の 活 性 化<br />

6 公 的 ・ 準 公 的 資 金 の 運 用 等<br />

7 環 境 ・エネルギー 制 約 の 克 服<br />

6. 中 小 企 業 ・ 小 規 模 事 業 者 の 革 新 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・52<br />

1 地 域 のリソースの 活 用 ・ 結 集 ・ブランド 化<br />

2 中 小 企 業 ・ 小 規 模 事 業 者 の 新 陳 代 謝 の 促 進<br />

3 戦 略 市 場 に 参 入 する 中 小 企 業 ・ 小 規 模 事 業 者 の 支 援<br />

4 国 際 展 開 する 中 小 企 業 ・ 小 規 模 事 業 者 の 支 援<br />

< 留 意 事 項 ><br />

二 . 戦 略 市 場 創 造 プラン ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・57<br />

テーマ1: 国 民 の「 健 康 寿 命 」の 延 伸 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・59<br />

1 効 果 的 な 予 防 サービスや 健 康 管 理 の 充 実 により、 健 やかに 生 活 し、 老 いるこ<br />

とができる 社 会<br />

2 医 療 関 連 産 業 の 活 性 化 により、 必 要 な 世 界 最 先 端 の 医 療 等 が 受 けられる 社 会<br />

3 病 気 やけがをしても、 良 質 な 医 療 ・ 介 護 へのアクセスにより、 早 く 社 会 に 復<br />

帰 できる 社 会<br />

テーマ2:クリーン・ 経 済 的 なエネルギー 需 給 の 実 現 ・・・・・・・・・・・69<br />

1クリーンで 経 済 的 なエネルギーが 供 給 される 社 会


2 競 争 を 通 じてエネルギーの 効 率 的 な 流 通 が 実 現 する 社 会<br />

3エネルギーを 賢 く 消 費 する 社 会<br />

テーマ3: 安 全 ・ 便 利 で 経 済 的 な 次 世 代 インフラの 構 築 ・・・・・・・・・・75<br />

1 安 全 で 強 靭 なインフラが 低 コストで 実 現 されている 社 会<br />

2ヒトやモノが 安 全 ・ 快 適 に 移 動 することのできる 社 会<br />

ひ<br />

テーマ4: 世 界 を 惹 きつける 地 域 資 源 で 稼 ぐ 地 域 社 会 の 実 現 ・・・・・・・・79<br />

1 世 界 に 冠 たる 高 品 質 な 農 林 水 産<br />

い<br />

物 ・ 食 品 を 生 み 出 す 豊 かな 農 山 漁 村 社 会<br />

2 観 光 資 源 等 のポテンシャルを 活 かし、 世 界 の 多 くの 人 々を 地 域 に 呼 び 込 む 社<br />

会<br />

三 . 国 際 展 開 戦 略 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・87<br />

1. 戦 略 的 な 通 商 関 係 の 構 築 と 経 済 連 携 の 推 進 ・・・・・・・・・・・・・・88<br />

2. 海 外 市 場 獲 得 のための 戦 略 的 取 組 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・89<br />

1インフラ 輸 出 ・ 資 源 確 保<br />

2 潜 在 力 ある 中 堅 ・ 中 小 企 業 等 に 対 する 重 点 的 支 援<br />

3クールジャパンの 推 進<br />

3. 我 が 国 の 成 長 を 支 える 資 金 ・ 人 材 等 に 関 する 基 盤 の 整 備 ・・・・・・・・94<br />

1 対 内 直 接 投 資 の 活 性 化<br />

2グローバル 化 等 に 対 応 する 人 材 力 の 強 化


第 Ⅰ 総 論<br />

1. 成 長 戦 略 の 基 本 的 考 え 方<br />

20 年 以 上 も 続 いた 経 済 の 低 迷 は、 余 りにも 長 すぎ、 我 が 国 経 済 社 会 に 深 刻 な 影 響<br />

をもたらした。<br />

働 き 手 が 減 少 していくという 少 子 高 齢 化 社 会 の 到 来 と 相 まって、デフレが 長 期 化<br />

した 結 果 、 企 業 は、 設 備 投 資 や 賃 金 を 抑 制 し、 研 究 開 発 投 資 すら 手 控 えるところま<br />

で 追 い 込 まれ、 消 費 者 も、 将 来 への 不 安 や 所 得 減 少 から 消 費 を 減 らさざるを 得 ず、<br />

その 結 果 、 需 要 が 低 迷 し、デフレを 加 速 するという 悪 循 環 から 抜 け 出 せずにいた。<br />

経 済 が 長 期 停 滞 に 陥 ったこの 期 間 を 指 して「 失 われた 20 年 」と 言 われているが、<br />

経 済 的 なロスよりも、 企 業 経 営 者 が、そして 国 民 個 人 もかつての 自 信 を 失 い、 将 来<br />

への 希 望 を 持 てなくなっていることの 方 がはるかに 深 刻 である。<br />

自 信 が 無 ければ 新 たな 成 長 分 野 でリスクを 負 うことなどはできず、 人 材 は 能 力 を<br />

発 揮 する 場 が 限 られ、 技 術 やアイディアが 放 置 され、 個 人 の 金 融 資 産 や 企 業 の 内 部<br />

留 保 が 行 き 場 も 無 く 有 効 活 用 されないといった、ヒト・モノ・カネの 構 造 的 な「 澱<br />

み」が 生 じるのは 当 然 である。<br />

安 倍 政 権 が 発 足 して 半 年 に 満 たないが、デフレマインドを 一 掃 するための 大 胆 な<br />

金 融 政 策 という 第 一 の 矢 、そして 湿 った 経 済 を 発 火 させるための 機 動 的 な 財 政 政 策<br />

という 第 二 の 矢 を 放 つと 同 時 に、TPP への 交 渉 参 加 、 電 力 システム 改 革 、 待 機 児 童 解<br />

消 策 など、 必 要 性 は 言 われながらも 棚 上 げとなっていた 課 題 についても 決 断 し、 実<br />

行 に 着 手 するまでに 至 っている。<br />

その 結 果 、 消 費 と 企 業 業 績 の 回 復 傾 向 という 形 を 通 じて、 国 民 の 間 に、そして 国<br />

際 社 会 の 間 でも、 日 本 経 済 の 先 行 きに 対 する「 期 待 」の 灯 がともるまでになった。<br />

こうした 状 況 で 第 三 の 矢 としての 成 長 戦 略 が 果 たすべき 役 割 は、 明 確 である。そ<br />

れは 企 業 経 営 者 の、そして 国 民 一 人 ひとりの 自 信 を 回 復 し、「 期 待 」を「 行 動 」へと<br />

変 えていくことである。<br />

今 、 日 本 は、いずれ 世 界 の 国 々が 直 面 することとなる 少 子 高 齢 化 、 資 源 ・エネル<br />

ギー 問 題 などに 真 っ 先 に 取 り 組 まざるを 得 ない「 課 題 先 進 国 」の 立 場 に 置 かれてい<br />

る。これは 世 界 に 先 駆 けて 課 題 を 解 決 することができれば、 新 たな 成 長 分 野 で 一 躍<br />

世 界 のトップに 躍 り 出 るチャンスを 前 にしているということでもある。<br />

今 一 度 、 攻 めの 経 済 政 策 を 実 行 し、 困 難 な 課 題 に 挑 戦 する 気 持 ちを 奮 い 立 たせ(チ<br />

- 1 -


ャレンジ)、 国 の 内 外 を 問 わず(オープン)、 新 たな 成 長 分 野 を 切 り 開 いていく(イ<br />

ノベーション)ことで、 澱 んでいたヒト・モノ・カネを 一 気 に 動 かしていく(アク<br />

ション)。<br />

止 まっていた 経 済 が 再 び 動 き 出 す 中 で、 新 陳 代 謝 を 促 し、 成 長 分 野 への 投 資 や 人<br />

材 の 移 動 を 加 速 することができれば、 企 業 の 収 益 も 改 善 し、それが 従 業 員 の 給 与 ア<br />

ップ、 雇 用 の 増 大 という 形 で 国 民 に 還 元 されることとなる。そうすれば、 消 費 が 増<br />

え、 新 たな 投 資 を 誘 発 するという 好 循 環 が 実 現 し、 地 域 や 中 小 企 業 ・ 小 規 模 事 業 者<br />

にも 波 及 していくこととなる。<br />

今 回 の 成 長 戦 略 を 新 たなスタートとして、 民 間 の 全 ての 経 済 主 体 が 挑 戦 する 気 概<br />

を 持 って 積 極 的 かつ 能 動 的 に 成 長 に 向 けた 取 組 を 本 格 化 することで、 初 めてこうし<br />

た 好 循 環 が 起 動 することとなり、 日 本 経 済 を 停 滞 から 再 生 へと、そして 更 なる 高 み<br />

へと 飛 躍 させ、 成 長 軌 道 へと 定 着 させることが 可 能 となる。<br />

今 回 の 成 長 戦 略 を 始 めとする 三 本 の 矢 を 実 施 することなどを 通 じて、 中 長 期 的 に、<br />

2% 以 上 の 労 働 生 産 性 の 向 上 を 実 現 する 活 力 ある 経 済 を 実 現 し、 今 後 10 年 間 の 平 均<br />

で 名 目 GDP 成 長 率 3% 程 度 、 実 質 GDP 成 長 率 2% 程 度 の 成 長 を 実 現 することを 目 指 す。<br />

2010 年 代 後 半 には、より 高 い 成 長 の 実 現 を 目 指 す。その 下 で、1 人 当 たり 名 目 国 民<br />

総 所 得 (GNI)は 中 長 期 的 には 年 3%を 上 回 る 伸 びとなり、10 年 後 には 150 万 円 以 上<br />

増 加 することが 期 待 される。<br />

経 済 成 長 を 確 実 に 実 現 していくために、こうした 目 指 すべきマクロ 経 済 の 姿 を 掲<br />

げるとともに、 今 回 の 戦 略 では、 政 策 群 ごとに 達 成 すべき 成 果 目 標 (KPI:Key<br />

Performance Indicator)を 定 めている。<br />

その 目 標 の 実 現 のために、 現 在 講 じ 得 る 規 制 改 革 ・ 予 算 ・ 税 制 などの 施 策 をパッ<br />

ケージとして 打 ち 出 しているが、これで 終 わりということではなく、 成 果 目 標 の 達<br />

成 に 向 けて、 立 て 続 けに 施 策 を 追 加 、 深 掘 りしていくという、「 常 に 進 化 していく 成<br />

長 戦 略 」を 展 開 していくこととする。<br />

2. 成 長 への 道 筋<br />

(1) 民 間 の 力 を 最 大 限 引 き 出 す<br />

産 業 競 争 力 強 化 の 鍵 を 握 るのはあくまでも 民 間 である。<br />

「 第 一 の 矢 」、「 第 二 の 矢 」で 作 ったデフレ 脱 却 への 期 待 を 一 時 的 なものに 終 わら<br />

- 2 -


せないためには、 企 業 に 眠 る 膨 大 な 資 金 を 将 来 の 価 値 を 生 み 出 す 投 資 へと 向 かわせ<br />

る 必 要 がある。<br />

このため、 政 府 としては、 安 定 的 なマクロ 経 済 環 境 の 整 備 や 経 済 連 携 の 立 ち 後 れ<br />

の 解 消 、 低 コストでのエネルギー 供 給 の 実 現 、 投 資 を 阻 害 する 諸 規 制 ・ 制 度 の 見 直<br />

しなど、 我 が 国 企 業 の 競 争 条 件 の 改 善 に 向 けて、これまで 以 上 の 強 化 に 取 り 組 むべ<br />

きは 言 うまでもない。<br />

生 産 設 備 や 事 業 の 新 陳 代 謝 を 促 す 枠 組 みを 構 築 し、 思 い 切 った 投 資 減 税 で 法 人 負<br />

担 を 軽 減 すること 等 によって 積 極 姿 勢 に 転 じた 企 業 を 大 胆 に 支 援 していく。<br />

しかしながら、 実 際 に 物 事 を 動 かすのは 民 間 であり、 企 業 経 営 者 には、 決 断 し、<br />

行 動 し、 世 界 と 戦 う 覚 悟 を 持 ってもらわなければならない。<br />

( 新 陳 代 謝 とベンチャーの 加 速 )<br />

古 くなった 設 備 ・ 資 産 を 大 胆 に 処 分 し、 型 遅 れの 設 備 を 最 新 鋭 のものに 置 き 換 え<br />

る。もう 一 度 世 界 のトップに 躍 り 出 るための 研 究 開 発 を 加 速 し、 成 長 分 野 に 資 金 ・<br />

人 材 ・ 設 備 を 積 極 的 に 投 入 する。 思 い 切 った 事 業 再 編 を 断 行 し、 企 業 として、 産 業<br />

として 新 陳 代 謝 を 促 進 する。<br />

こうした 形 で 企 業 経 営 者 が 動 き 出 せば、 日 本 の 企 業 が 再 び 元 気 を 取 り 戻 し、 設 備<br />

投 資 の 増 加 や 生 産 性 の 向 上 を 実 現 することを 通 じて、 魅 力 的 な 新 製 品 ・サービスを<br />

次 々と 生 み 出 し、 国 際 的 な 競 争 に 勝 ち 抜 き、 世 界 の 市 場 を 獲 得 していくことが 期 待<br />

できる。<br />

企 業 経 営 者 に 大 胆 な 新 陳 代 謝 や 新 たな 起 業 を 促 し、それを 後 押 しするため、 設 備<br />

投 資 促 進 策 や 新 事 業 の 創 出 を 従 来 の 発 想 を 超 えたスピードと 規 模 感 で 大 胆 かつ 強 力<br />

に 推 進 する。 加 えて、 株 主 等 が 企 業 経 営 者 の 前 向 きな 取 組 を 積 極 的 に 後 押 しするよ<br />

うコーポレートガバナンスを 見 直 し、 日 本 企 業 を 国 際 競 争 に 勝 てる 体 質 に 変 革 する。<br />

( 規 制 ・ 制 度 改 革 と 官 業 の 開 放 を 断 行 する)<br />

民 間 の 投 資 を 引 き 出 す 際 に 何 よりも 重 要 となるのが、 投 資 先 で 民 間 の 創 意 と 工 夫<br />

が 十 分 に 発 揮 できる 仕 組 みが 用 意 されるのか、これまで 規 制 で 縛 られていた 分 野 が<br />

これからどう 変 わるのかという 点 である。<br />

医 療 ・ 介 護 ・ 保 育 などの 社 会 保 障 分 野 や、 農 業 、エネルギー 産 業 、 公 共 事 業 など<br />

い<br />

の 分 野 は、 民 間 の 創 意 工 夫 が 活 かされにくい 分 野 と 言 われてきた。このことは、こ<br />

れらの 分 野 はやり 方 次 第 では、 成 長 分 野 へと 転 換 可 能 であり、また、 良 質 で 低 コス<br />

トのサービスや 製 品 を 国 民 に 効 率 的 に 提 供 できる 大 きな 余 地 が 残 された 分 野 である<br />

ことを 意 味 する。<br />

- 3 -


これまで 民 間 の 力 の 活 用 が 不 十 分 であった 分 野 や、そもそも 民 間 が 入 り 込 めなか<br />

った 分 野 で 規 制 ・ 制 度 改 革 と 官 業 の 開 放 を 断 行 し、「 規 制 省 国 」を 実 現 する。 単 に、<br />

規 制 分 野 や 官 業 への 民 間 参 入 を 促 すだけにとどまらず、これらの 分 野 に 民 間 の 資 金 、<br />

人 材 、 技 術 、ノウハウを 呼 び 込 み、 意 欲 ある 人 材 や 新 技 術 が 積 極 的 に 投 入 されるよ<br />

うにして、 新 たな 日 本 経 済 の 成 長 エンジン、 雇 用 機 会 を 提 供 する 産 業 に 仕 立 て 上 げ<br />

ることを 目 指 す。<br />

例 えば、 国 民 の 関 心 の 高 い 健 康 分 野 については、 日 本 版 NIH の 創 設 や 先 進 医 療 の<br />

対 象 拡 大 によって 革 新 的 な 医 療 技 術 を 世 界 に 先 駆 けて 実 用 化 していくとともに、 一<br />

般 用 医 薬 品 のインターネット 販 売 の 解 禁 や、 医 療 ・ 介 護 ・ 予 防 の ICT 化 を 徹 底 し、<br />

世 界 で 最 も 便 利 で 効 率 的 で 安 心 できるシステムを 作 り 上 げる。 農 業 については、 農<br />

地 中 間 管 理 機 構 を 整 備 ・ 活 用 して、 農 地 集 約 を 加 速 化 した 上 で、リース 方 式 により<br />

企 業 を 含 めた 多 様 な 担 い 手 の 農 業 参 入 を 促 進 する。<br />

また、 専 ら 官 が 担 ってきた 社 会 資 本 整 備 に、コンセッション 方 式 等 による PPP/PFI<br />

じん<br />

な<br />

を 活 用 することで 大 胆 に 民 間 の 資 金 や 知 恵 を 導 入 し、より 安 全 で 便 利 な、より 強 靱<br />

社 会 インフラを 効 率 的 に 整 備 していく。また、 世 界 最 高 水 準 の 事 業 環 境 を 整 備 し、<br />

ビッグデータや 公 共 データなど IT を 活 用 したイノベーションを 起 こす。<br />

このように 民 間 の 活 力 を 最 大 限 引 き 出 すことを 目 指 して、 新 陳 代 謝 とベンチャー<br />

の 加 速 、 規 制 ・ 制 度 改 革 と 官 業 の 開 放 を 断 行 することで、グローバル 競 争 に 勝 ち 続<br />

ける 製 造 業 の 復 活 、 付 加 価 値 の 高 いサービス 産 業 の 創 出 を 図 る。<br />

(2) 全 員 参 加 ・ 世 界 で 勝 てる 人 材 を 育 てる<br />

人 材 こそが 日 本 が 世 界 に 誇 る 最 大 の 資 源 である。 日 本 の 経 済 社 会 を 覆 う 閉 塞 感 や<br />

経 済 の 停 滞 の 最 大 の 要 因 の 一 つは、 少 子 高 齢 化 の 中 で、 人 材 の 持 つポテンシャルが<br />

十 分 に 発 揮 されていないことにある。<br />

戦 後 の 高 度 経 済 成 長 の 時 代 に 作 られた 雇 用 システムや 教 育 システムが、「 成 功 体 験<br />

の 罠 」にとらわれ、 今 日 まで 維 持 温 存 されてしまった 結 果 、 女 性 や 高 齢 者 の 能 力 が<br />

十 分 活 用 されないままとなっており、また、 子 供 や 若 者 たちの 教 育 も 世 界 の 潮 流 や<br />

時 代 の 変 化 に 取 り 残 されてしまっている。<br />

これは 裏 返 して 言 えば、 今 のシステムを 大 胆 に 変 えさえすれば、 経 済 成 長 に 必 要<br />

な 人 材 資 源 を 大 きく 取 り 入 れ、 少 子 高 齢 化 に 歯 止 めをかけ、 我 が 国 の 潜 在 成 長 率 を<br />

高 めることができるということである。<br />

( 女 性 が 働 きやすい 環 境 を 整 え、 社 会 に 活 力 を 取 り 戻 す)<br />

い<br />

特 に、これまで 活 かしきれていなかった 我 が 国 最 大 の 潜 在 力 である「 女 性 の 力 」<br />

- 4 -


を 最 大 限 発 揮 できるようにすることは、 少 子 高 齢 化 で 労 働 力 人 口 の 減 少 が 懸 念 され<br />

る 中 で、 新 たな 成 長 分 野 を 支 えていく 人 材 を 確 保 していくためにも 不 可 欠 である。<br />

女 性 の 労 働 参 加 の 拡 大 や、 経 営 への 参 加 の 促 進 は、これまで 以 上 に 多 様 な 価 値 観<br />

を 取 り 込 む 新 たなサービス・ 製 品 の 創 出 を 促 進 し、 社 会 全 体 に 活 力 をもたらすほか<br />

に、 家 庭 の 単 位 で 見 ても、ダブルインカムが 実 現 されることで、 家 計 所 得 と 購 買 力<br />

が 増 大 し、 景 気 の 好 循 環 が 動 き 出 し、 豊 かさが 実 感 できるようになる。<br />

このため、 保 育 の 受 け 皿 の 整 備 などにより 夫 婦 が 働 きながら 安 心 して 子 供 を 育 て<br />

る 環 境 を 整 備 すると 同 時 に、 育 児 休 業 後 の 職 場 復 帰 の 支 援 、 女 性 の 積 極 登 用 などを<br />

通 じて、 女 性 の 労 働 参 加 率 を 抜 本 的 に 引 き 上 げることを 目 指 す。<br />

( 若 者 も 高 齢 者 も、もっと 自 分 の 能 力 を 活 かして 活 き 活 きと 働 ける 社 会 にする)<br />

若 者 が、 学 校 を 出 て、 就 職 し、 一 生 同 じ 会 社 で 働 くというシステムは、 今 や 過 去<br />

のものとなっている。<br />

新 陳 代 謝 を 加 速 させ、 新 たな 成 長 分 野 での 雇 用 機 会 の 拡 大 を 図 る 中 で、 成 熟 分 野<br />

から 成 長 分 野 への 失 業 なき 労 働 移 動 を 進 めるため、 雇 用 政 策 の 基 本 を 行 き 過 ぎた 雇<br />

用 維 持 型 から 労 働 移 動 支 援 型 へと 大 胆 に 転 換 する。<br />

自 分 の 能 力 に 見 合 わない 一 時 的 な 職 を 転 々とするのではなく、 希 望 を 持 って、 意<br />

欲 的 に 自 分 の 能 力 を 磨 きつつ、 能 力 に 見 合 った 報 酬 が 得 られる 職 に 就 き、 家 庭 を 築<br />

き、 次 の 世 代 をしっかり 育 てていけるようにする。このため、ハローワークの 情 報<br />

や 業 務 を 思 い 切 って 民 間 人 材 ビジネスに 開 放 し、 民 間 が 有 するノウハウを 活 用 する<br />

形 で、スキルアップ 研 修 、ふさわしい 職 とのマッチングなどを 支 援 する。<br />

( 日 本 の 若 者 を 世 界 で 活 躍 できる 人 材 に 育 て 上 げる)<br />

今 や 日 本 の 若 者 は 世 界 の 若 者 との 競 争 にさらされている。 将 来 の 日 本 を 担 う 若 者<br />

が、 国 際 マーケットでの 競 争 に 勝 ち 抜 き、 学 術 研 究 や 文 化 ・ 国 際 貢 献 の 面 でも 世 界<br />

の 舞 台 で 活 躍 できるようにするためには、まず 何 よりも 教 育 する 側 、すなわち 学 校<br />

を 世 界 標 準 に 変 えていくことを 急 がなければならない。<br />

日 本 の 大 学 を 世 界 のトップクラスの 水 準 に 引 き 上 げる。このため 国 立 大 学 につい<br />

て、 運 営 の 自 由 度 を 大 胆 に 拡 大 する。 世 界 と 肩 を 並 べるための 努 力 をした 大 学 を 重<br />

点 的 に 支 援 する 方 向 に 国 の 関 与 の 在 り 方 を 転 換 し、 大 学 の 潜 在 力 を 最 大 限 に 引 き 出<br />

す。また、「 鉄 は 熱 いうちに 打 て」のことわざどおり、 初 等 中 等 教 育 段 階 からの 英 語<br />

教 育 を 強 化 し、 高 等 教 育 等 における 留 学 機 会 を 抜 本 的 に 拡 充 し、 世 界 と 戦 える 人 材<br />

を 育 てる。<br />

- 5 -


(3) 新 たなフロンティアを 作 り 出 す<br />

中 長 期 的 に 経 済 成 長 を 続 けていくためには、これまでに 無 い 製 品 やサービス、シ<br />

ステムを 作 り 上 げることで 全 く 新 しい 市 場 を 創 造 するか、 成 長 ・ 拡 大 を 続 ける 国 際<br />

マーケットで 増 えたパイを 取 りに 行 くかの 二 つのフロンティアを 開 拓 していくしか<br />

方 法 がない。<br />

長 期 の 停 滞 に 陥 る 前 の 日 本 の 成 長 は、 正 にこの 二 つのフロンティアで 勝 ち 続 けた<br />

からこそ 実 現 できたのである。「メイド・イン・ジャパン」は、これを 象 徴 する 言 葉<br />

であり、 新 しい 技 術 を 取 り 入 れた 日 本 製 品 を 次 々と 生 み 出 し、 世 界 の 隅 々までこれ<br />

を 売 り 込 んでいったのである。<br />

研 究 開 発 競 争 、 世 界 市 場 獲 得 競 争 が 従 前 とは 比 べ 物 にならないほど 激 化 している<br />

今 日 、イノベーション 戦 略 と 国 際 展 開 戦 略 を 抜 本 的 に 強 化 して、 今 度 は「メイド・<br />

バイ・ジャパン」で、もう 一 度 栄 光 を 取 り 戻 す。<br />

(オールジャパンの 対 応 で「 技 術 立 国 ・ 知 財 立 国 日 本 」を 再 興 する)<br />

日 本 は 現 在 でも 高 い 技 術 力 を 有 しており、 国 や 大 学 の 研 究 機 関 も 民 間 も 世 界 の 先<br />

端 を 行 く 研 究 を 行 い、 将 来 有 望 な 技 術 シーズを 数 多 く 保 有 している。それにもかか<br />

わらず、 最 終 製 品 段 階 の 国 際 競 争 で 他 国 の 後 じんを 拝 することが 多 いのは、 国 、 大<br />

学 、 民 間 の 研 究 開 発 が、 出 口 を 見 据 えずバラバラに 行 われ、それぞれの 持 ち 味 を 十<br />

分 に 活 かしきれていないことが 原 因 である。<br />

「 総 合 科 学 技 術 会 議 」の 司 令 塔 機 能 を 抜 本 的 に 強 化 し、 日 本 が 負 けてはならない<br />

戦 略 分 野 を 特 定 し、そこに 国 、 大 学 、 及 び 民 間 の 人 材 や、 知 財 、 及 び 資 金 を 集 中 的<br />

に 投 入 するドリームチームを 編 成 することで、 世 界 とのフロンティア 開 拓 競 争 に 打<br />

ち 勝 って 新 たな 成 長 分 野 を 創 り 出 していく。<br />

また、 世 界 の 先 を 行 く 基 礎 研 究 の 成 果 を 一 気 に 実 用 化 レベルに 引 き 上 げるための<br />

革 新 的 な 研 究 を 徹 底 的 に 支 援 し、iPS プロジェクトのような 成 功 例 を 次 々と 生 み 出 し<br />

ていく。 国 の 総 力 を 結 集 して「 技 術 で 勝 ち 続 ける 国 」を 創 る。さらに、 日 本 人 の 知<br />

恵 ・ 創 造 力 を 発 揮 して、 世 界 最 高 の「 知 的 財 産 立 国 」を 目 指 す。<br />

( 世 界 に 飛 び 出 し、そして 世 界 を 惹 きつける)<br />

新 興 国 を 中 心 に 世 界 のマーケットは 急 速 な 勢 いで 拡 大 を 続 けており、このマーケ<br />

ットの 獲 得 競 争 に 打 ち 勝 っていけるかどうかは、 資 源 の 乏 しい 日 本 にとって 死 活 問<br />

題 である。<br />

経 済 連 携 協 定 や 投 資 協 定 ・ 租 税 条 約 の 締 結 など、 国 内 外 の 市 場 に 跨 る 制 度 面 での<br />

障 害 を 取 り 除 いていくことは、 新 興 国 等 の 成 長 を 最 大 限 取 り 込 み、 日 本 市 場 に 投 資<br />

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を 呼 び 込 んでいくための 大 前 提 とでもいうべきことである。<br />

成 長 を 続 ける 国 際 マーケットを 如 何 に 取 り 込 んでいくかは、 今 や、 国 と 国 との 競<br />

争 になっているのが 現 実 である。 電 力 、 水 、IT、 鉄 道 などのインフラ 分 野 における<br />

我 が 国 の 製 品 や 要 素 技 術 は 世 界 トップ 水 準 にある 力 を 持 ちながら 国 内 にとどまって<br />

いる 中 堅 ・ 中 小 企 業 も 少 なくない。また、 日 本 文 化 に 裏 打 ちされたコンテンツや 日<br />

本 食 、 医 療 システムなどは 圧 倒 的 な 競 争 力 を 有 している。それにもかかわらず、 世<br />

界 市 場 への 参 入 が 出 遅 れ、 日 本 への 投 資 ・ 観 光 客 が 伸 び 悩 んでいる。<br />

国 際 展 開 に 関 する 限 り、 商 売 の 話 は 民 だけに 任 せればよいという 従 来 の 発 想 を 大<br />

胆 に 転 換 し、インフラ 輸 出 やクールジャパンの 推 進 などのトップセールスを 含 め 官<br />

民 一 体 で 戦 略 的 に 市 場 を 獲 得 し、 同 時 に 日 本 に 投 資 と 観 光 客 を 取 り 込 む 体 制 を 整 備<br />

する。また、 高 度 外 国 人 材 の 日 本 での 活 躍 を 促 進 するため、ポイント 制 度 を 見 直 す。<br />

これにより、 海 外 から 得 た 富 を 含 め 国 民 が 受 け 取 る 総 所 得 である 実 質 国 民 総 所 得<br />

(GNI)の 拡 大 を 実 現 する。<br />

(4) 成 長 の 果 実 の 国 民 の 暮 らしへの 反 映<br />

成 長 戦 略 で 目 標 とした 成 長 率 が 実 現 できたとしても、その 成 果 の 果 実 が 供 給 サイ<br />

ドに 留 まることなく、 最 終 的 には、 社 会 全 体 の 活 力 が 回 復 し、 国 民 一 人 ひとりが 豊<br />

かさを 実 感 でき、 将 来 への 希 望 が 持 てるようにならなければならない。<br />

特 に、20 年 の 長 きにわたる 経 済 低 迷 で、 企 業 もそこで 働 く 人 々も 守 りの 姿 勢 やデ<br />

フレの 思 考 方 法 が 身 に 付 いてしまっている 今 日 の 状 況 を 前 向 きな 方 向 に 転 換 してい<br />

くためには、 賃 金 交 渉 や 労 働 条 件 交 渉 といった 個 別 労 使 間 で 解 決 すべき 問 題 とは 別<br />

に、 成 長 の 果 実 の 分 配 の 在 り 方 、 企 業 の 生 産 性 の 向 上 や 労 働 移 動 の 弾 力 化 、 少 子 高<br />

齢 化 、 及 び 価 値 観 の 多 様 化 が 進 む 中 での 多 様 かつ 柔 軟 な 働 き 方 、 人 材 育 成 ・ 人 材 活<br />

用 の 在 り 方 などについて、 長 期 的 視 点 を 持 って 大 所 高 所 から 議 論 していくことが 重<br />

要 である。<br />

従 来 の 政 労 会 見 や 経 営 者 団 体 との 意 見 交 換 という 形 とは 別 に、 政 ・ 労 ・ 使 の 三 者<br />

が 膝 を 交 えて、 虚 心 坦 懐 かつ 建 設 的 に 意 見 を 述 べ 合 い、 包 括 的 な 課 題 解 決 に 向 けた<br />

共 通 認 識 を 得 るための 場 を 設 定 し、 速 やかに 議 論 を 開 始 する。<br />

成 長 戦 略 は 財 政 再 建 と 矛 盾 するものであってはならない。 民 間 資 金 を 活 用 した 社<br />

会 資 本 整 備 、 世 界 最 高 水 準 の 電 子 政 府 の 実 現 、 医 療 の 徹 底 した ICT 化 や 大 学 改 革 な<br />

ど 成 長 戦 略 に 盛 り 込 まれた 施 策 を 着 実 に 実 施 することは 財 政 健 全 化 にも 貢 献 するも<br />

のであり、また、それは 経 済 成 長 の 実 現 を 通 じて、 企 業 所 得 や 国 民 所 得 を 向 上 させ、<br />

歳 入 の 増 大 という 形 で 財 政 再 建 にも 寄 与 するものである。<br />

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3. 成 長 戦 略 をどう 実 現 していくか<br />

(1) 異 次 元 のスピードによる 政 策 実 行<br />

今 回 の 成 長 戦 略 と、これまでの 成 長 戦 略 との 最 大 の 違 いは、まず、 何 を 目 指 すの<br />

かを 明 示 し、それを 実 現 するための 施 策 を、メニューの 羅 列 にとどめずに、その 施<br />

策 を 実 行 に 移 すのに 必 要 なステップ( 法 改 正 、 予 算 ・ 税 制 措 置 、 制 度 改 正 、 審 議 会 付<br />

議 など)をいつまでに 終 わらせるのかを 工 程 表 という 形 で 可 能 な 限 り 明 らかにした<br />

ことにある。<br />

これから 行 動 を 起 こそうとしている 民 間 にとって、いつ 何 ができるようになるの<br />

かの 情 報 が 決 定 的 に 重 要 となる。<br />

特 に、20 年 の 停 滞 から 日 本 経 済 を 再 起 動 するためには、 即 効 性 の 高 い 政 策 やメッ<br />

セージ 性 の 高 い 政 策 はスピード 感 を 持 って 実 施 する 必 要 がある。<br />

早 期 に 実 現 すべきものについては、8 月 末 までに 詳 細 を 明 らかにし、 準 備 が 整 い<br />

次 第 、 実 行 に 移 すなど、 異 次 元 のスピードで 政 策 を 実 行 する。<br />

(2)「 国 家 戦 略 特 区 」を 突 破 口 とする 改 革 加 速<br />

日 本 経 済 を 中 長 期 的 な 成 長 軌 道 に 乗 せていくためには、 成 長 戦 略 を 着 実 に 実 施 し、<br />

浸 透 させていく、 地 道 な 努 力 が 不 可 欠 である。 一 方 で、 日 本 が 本 気 で 変 革 する 姿 勢<br />

を 内 外 にアピールし、 本 当 に 物 事 を 動 かしていくためには、スピード 感 をもって 規<br />

制 ・ 制 度 改 革 やインフラの 整 備 を 実 現 してみせる 必 要 がある。<br />

このためには 今 回 の 成 長 戦 略 に 盛 り 込 まれた 施 策 を 迅 速 かつ 確 実 に 実 施 していく<br />

ことが 基 本 であるが、 新 たな 手 法 として、 内 閣 総 理 大 臣 主 導 で、 国 の 成 長 戦 略 を 実<br />

現 するため、 大 胆 な 規 制 改 革 等 を 実 行 するための 突 破 口 として、「 国 家 戦 略 特 区 」を<br />

創 設 することとする。この「 国 家 戦 略 特 区 」では、 国 ・ 自 治 体 ・ 民 間 の 各 主 体 が 対<br />

峙 するのではなく 三 者 一 体 となって 取 り 組 む 案 件 であって、これまでの 特 区 では 実<br />

ひ<br />

現 が 期 待 できなかった、 世 界 からの 投 資 を 惹 きつける 程 度 にインパクトのあるもの<br />

に 限 って 対 象 とし、スピード 感 を 持 って 実 現 していく。<br />

内 閣 総 理 大 臣 を 長 とする「 国 家 戦 略 特 区 諮 問 会 議 」や 大 臣 ・ 首 長 ・ 民 間 事 業 者 か<br />

らなる 特 区 ごとの 統 合 推 進 本 部 の 設 置 など、 特 区 をトップダウンで 進 めるための 体<br />

制 を 速 やかに 確 立 する。<br />

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4. 進 化 する 成 長 戦 略<br />

(1) 成 果 目 標 (KPI)のレビューによるPDCAサイクルの 実 施<br />

今 回 の 成 長 戦 略 では、 大 きな 政 策 群 毎 に、 達 成 すべき「 成 果 目 標 」(KPI)を 示 し<br />

ている。 国 際 比 較 を 含 め、 客 観 的 、 定 期 的 、 及 び 総 合 的 に 政 策 の 成 果 を 評 価 できる<br />

ように、 国 際 機 関 が 示 す 指 標 も 含 めて「 成 果 目 標 」を 設 定 している。<br />

また、「 成 果 目 標 」を 実 現 するために 必 要 な 個 別 施 策 を 方 向 性 、 手 段 、 実 施 時 期 等<br />

を 明 確 にする 形 で 示 している。これらの 個 別 施 策 の 中 には、 今 後 、 詳 細 設 計 を 実 施<br />

したり、 法 律 改 正 、 予 算 要 求 、 税 制 改 正 等 を 行 い 実 行 するものも 多 く 含 まれている<br />

ため、 個 別 施 策 の「 進 捗 管 理 」を 行 うこれまでどおりのボトムアップ 型 の PDCA を 実<br />

施 する 必 要 がある。<br />

しかしながら、 達 成 すべきは、あくまで「 成 果 目 標 」である。 戦 略 で 示 されてい<br />

る 個 別 施 策 を 実 行 しても、そのインパクトが 不 十 分 であったり、 新 たな 状 況 変 化 が<br />

生 じたりすることなどにより、「 成 果 目 標 」を 達 成 できない 場 合 も 考 えられる。<br />

このため、 今 回 の 成 長 戦 略 では、ボトムアップ 型 の PDCA に 加 えて、これまでとは<br />

次 元 の 異 なる「 成 果 目 標 レビュー」を 行 う。 具 体 的 には、1 掲 げられた「 成 果 目 標 」<br />

は 達 成 できたのか、2できなかった 場 合 には 何 が 足 りないのか、3 既 存 の 施 策 の 問<br />

題 点 は 何 か、4 効 果 のない 施 策 の 廃 止 も 含 め 改 善 すべき 点 は 何 か、といったことを<br />

「 成 果 目 標 達 成 の 可 否 」という 観 点 からトップダウンで 検 証 を 行 う。<br />

そして、 検 証 結 果 を 踏 まえ、 成 果 が 出 るように、 施 策 を 柔 軟 に 見 直 す。 経 済 状 況<br />

等 の 変 化 により、「 成 果 目 標 」そのものを 見 直 す 必 要 がある 場 合 には、 柔 軟 に 見 直 し<br />

を 行 い、「 常 に 進 化 し 続 ける 成 長 戦 略 」を 目 指 す。<br />

(2) 本 格 的 成 長 実 現 に 向 けた 今 後 の 対 応<br />

今 回 の 成 長 戦 略 においては 日 本 の 中 長 期 的 な 経 済 成 長 を 実 現 するためのシナリオ、<br />

鍵 となる 制 度 改 革 が 盛 り 込 まれているが、 戦 略 策 定 時 までに 全 ての 課 題 において 詳<br />

細 な 制 度 設 計 が 固 まったわけではなく、また、 成 長 を 実 現 するために 我 が 国 の 抱 え<br />

る 全 ての 課 題 に 完 全 に 応 えきれてはいない。 例 えば、 我 が 国 のエネルギー 需 給 構 造<br />

をどうするか、それに 伴 って 地 球 環 境 問 題 にかかる 定 量 的 な 目 標 をどうするかなど<br />

は 本 年 秋 以 降 の 課 題 となっている。<br />

また、 雇 用 関 連 制 度 については「 行 き 過 ぎた 雇 用 維 持 」から「 失 業 なき 労 働 移 動 」<br />

といった 大 きな 政 策 転 換 がなされたが、「 世 界 でトップレベルの 雇 用 環 境 」にするた<br />

めの 課 題 は 残 されている。<br />

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諸 外 国 の 働 き 方 や 労 働 関 連 法 制 、 慣 習 、 実 務 などから 虚 心 坦 懐 に 学 ぶべきものを<br />

取 り 入 れ、 国 民 が 求 める「 柔 軟 で 多 様 な 働 き 方 ができる 社 会 」、 及 び「 何 度 でもチャ<br />

レンジが 可 能 な 社 会 」を 創 り 上 げるために 解 決 すべき 課 題 に 真 正 面 から 取 り 組 む 必<br />

要 がある。また、 多 様 な 価 値 観 や 経 験 、ノウハウ、 技 術 をもった 海 外 の 優 秀 な 人 材<br />

を 惹 きつけ、その 受 入 れを 拡 大 するための 総 合 的 な 環 境 整 備 についても 今 後 も 取 り<br />

組 む 必 要 がある。<br />

医 療 や 介 護 、 保 育 や 年 金 などの 社 会 保 障 関 連 分 野 は、 少 子 高 齢 化 の 進 展 等 により<br />

財 政 負 担 が 増 大 している 一 方 、 制 度 の 設 計 次 第 で 巨 大 な 新 市 場 として 成 長 の 原 動 力<br />

になり 得 る 分 野 である。 今 回 の 戦 略 では 健 康 長 寿 産 業 を 戦 略 的 分 野 の 一 つに 位 置 付<br />

け、 健 康 寿 命 延 伸 産 業 や 医 薬 品 ・ 医 療 機 器 産 業 などの 発 展 に 向 けた 政 策 、 保 育 の 場<br />

における 民 間 活 力 の 活 用 などを 盛 り 込 んだが、 医 療 ・ 介 護 分 野 をどう 成 長 市 場 に 変<br />

え、 質 の 高 いサービスを 提 供 するか、 制 度 の 持 続 可 能 性 をいかに 確 保 するかなど、<br />

中 長 期 的 な 成 長 を 実 現 するための 課 題 が 残 されている。<br />

農 業 については、 担 い 手 への 農 地 集 積 ・ 集 約 や、 企 業 参 入 の 拡 大 などに 係 る 施 策<br />

が 盛 り 込 まれているが、 農 業 ・ 農 村 全 体 の 所 得 の 倍 増 を 達 成 するためには 農 業 生 産<br />

性 を 飛 躍 的 に 拡 大 する 必 要 がある。そのためには、 企 業 参 入 の 加 速 化 等 による 企 業<br />

経 営 ノウハウの 徹 底 した 活 用 、 農 商 工 連 携 等 による6 次 産 業 化 、 輸 出 拡 大 を 通 じた<br />

付 加 価 値 の 向 上 、 若 者 も 参 入 しやすいよう「 土 日 」、「 給 料 」のある 農 業 の 実 現 など<br />

を 追 求 し、 大 胆 な 構 造 改 革 に 踏 み 込 んでいく 必 要 がある。<br />

持 続 的 な 経 済 成 長 を 支 え、「 財 政 再 建 」を 実 現 するためにも、 残 された 課 題 につい<br />

ては 経 済 財 政 諮 問 会 議 、 規 制 改 革 会 議 など 関 係 組 織 とも 連 携 しつつ、 早 速 、 議 論 を<br />

開 始 することとする。<br />

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5.「 成 長 への 道 筋 」に 沿 った 必 要 な 主 要 施 策 例<br />

今 回 の 成 長 戦 略 では、「 成 長 への 道 筋 」を 実 行 ・ 実 現 するものとして、「 日 本 産 業<br />

再 興 プラン」「 戦 略 市 場 創 造 プラン」 及 び「 国 際 展 開 戦 略 」の3つのアクションプラ<br />

ンを 打 ち 出 している。このプランのうち、「 成 長 への 道 筋 」に 沿 って、 早 期 に 取 り 組<br />

む 必 要 がある 代 表 的 な 施 策 を 抜 き 出 して 整 理 すると 以 下 のとおりである。<br />

( 注 : 施 策 の 例 示 であり、 重 要 度 や 優 先 順 位 を 示 すものではない。)<br />

(1) 民 間 の 力 を 最 大 限 引 き 出 す<br />

( 新 陳 代 謝 とベンチャーの 加 速 )<br />

1 民 間 投 資 を 拡 大 し、 事 業 再 編 を 進 める<br />

< 成 果 目 標 ><br />

◆3 年 間 でリーマンショック 前 の 設 備 投 資 水 準 (70 兆 円 / 年 ( 昨 年 度 63 兆 円 ))を 回 復 する<br />

(ⅰ) 生 産 設 備 の 新 陳 代 謝 ( 老 朽 化 した 生 産 設 備 から 生 産 性 ・エネルギー 効 率 の 高<br />

い 最 先 端 設 備 への 入 れ 替 え 等 )を 促 進 する 取 組 を 強 力 に 推 進 し、これに 応 じて<br />

設 備 の 新 陳 代 謝 を 進 める 企 業 への 税 制 を 含 めた 支 援 策 を 検 討 し、 必 要 な 措 置 を<br />

講 じる。<br />

医 療 機 器 、3D プリンター 等 の 先 端 設 備 の 投 資 を 行 おうとする 企 業 の 決 断 を 後<br />

押 しするため、リース 手 法 を 活 用 して 支 援 する 方 策 を 検 討 し、 必 要 な 措 置 を 講<br />

じる。 【 本 年 8 月 末 までに 結 論 】<br />

(ⅱ) 収 益 力 の 飛 躍 的 な 向 上 に 向 けた 戦 略 的 ・ 抜 本 的 な 事 業 再 編 を 強 力 に 促 進 する。<br />

こうした 事 業 再 編 を 推 進 する 企 業 に 対 する 税 制 措 置 や 金 融 支 援 などの 支 援 措 置<br />

を 検 討 し、 必 要 な 措 置 を 講 ずる。また、 過 剰 供 給 構 造 が 長 年 放 置 されてきた 分<br />

野 について、 国 が 指 針 を 示 し、 是 正 に 向 けた 取 組 を 促 すための 枠 組 みを 構 築 す<br />

る。<br />

2 新 事 業 を 創 出 する<br />

< 成 果 目 標 ><br />

◆ 開 業 率 が 廃 業 率 を 上 回 る 状 態 にし、 米 国 ・ 英 国 レベルの 開 ・ 廃 業 率 10% 台 ( 現 状 約 5%)<br />

を 目 指 す<br />

◆ビジネス 環 境 ランキングで 先 進 国 3 位 以 内 を 目 指 す<br />

(ⅰ) 健 康 、エネルギー 等 の 規 制 関 連 分 野 で、 企 業 が 安 心 して 新 たな 事 業 にチャレ<br />

ンジできるようにする。このため、1ホワイトゾーン( 適 法 )であることを 確<br />

認 する 仕 組 み、2 安 全 性 などの 実 証 に 取 り 組 む 意 欲 と 技 術 のある 企 業 に 特 例 的<br />

に 規 制 を 緩 和 する 制 度 ( 企 業 実 証 特 例 制 度 )を 創 設 する。<br />

【 本 年 8 月 末 までに 結 論 】<br />

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(ⅱ)ベンチャーへの 資 金 供 給 を 大 幅 に 拡 大 する。このため、 現 行 のエンジェル 税<br />

制 を 使 い 勝 手 の 良 いものに 改 善 し、 民 間 企 業 等 の 資 金 を 活 用 したベンチャー 企<br />

業 への 投 資 を 促 す 方 策 を 検 討 し、 必 要 な 措 置 を 講 じる。 大 企 業 からの 独 立 (ス<br />

ピンオフ)や 地 域 のリソースを 活 用 した 起 業 ・ 創 業 も 強 力 に 推 進 する。<br />

【 本 年 8 月 末 までに 結 論 】<br />

また、ベンチャーなど 新 規 ・ 成 長 企 業 と 投 資 家 をインターネットサイト 上 で<br />

結 び 付 け、 多 数 の 投 資 家 から 少 額 ずつ 資 金 を 集 める 仕 組 み(クラウド・ファン<br />

ディング)について 検 討 し、 本 年 中 に 制 度 改 正 が 必 要 となる 事 項 を 整 理 する。<br />

【 本 年 中 に 策 定 】<br />

い<br />

(ⅲ) 一 度 の 失 敗 で 全 てを 失 い、 経 験 やノウハウが 活 かされない 可 能 性 のある 個 人<br />

保 証 の 現 状 を 改 める。 法 人 の 事 業 資 産 と 経 営 者 個 人 の 資 産 が 明 確 に 分 離 されて<br />

いる 場 合 等 一 定 の 条 件 を 満 たす 場 合 には、 経 営 者 の 保 証 を 求 めないこと 等 のガ<br />

イドラインを 策 定 する。 【 本 年 内 できるだけ 早 期 に 策 定 】<br />

3コーポレートガバナンスを 見 直 し、 公 的 資 金 等 の 運 用 の 在 り 方 を 検 討 する<br />

(ⅰ) 会 社 法 を 改 正 し、 外 部 の 視 点 から、 社 内 のしがらみや 利 害 関 係 に 縛 られず 監<br />

督 できる 社 外 取 締 役 の 導 入 を 促 進 する。 【 次 期 国 会 に 提 出 】<br />

(ⅱ) 機 関 投 資 家 が、 対 話 を 通 じて 企 業 の 中 長 期 的 な 成 長 を 促 すなど、 受 託 者 責 任<br />

を 果 たすための 原 則 ( 日 本 版 スチュワードシップコード)について 検 討 し、 取<br />

りまとめる。<br />

【 年 内 に 取 りまとめ】<br />

(ⅲ) 公 的 ・ 準 公 的 資 金 について、 各 資 金 の 規 模 ・ 性 格 を 踏 まえ、 運 用 ( 分 散 投 資<br />

の 促 進 等 )、リスク 管 理 体 制 等 のガバナンス、 株 式 への 長 期 投 資 におけるリタ<br />

ーン 向 上 のための 方 策 等 に 係 る 横 断 的 な 課 題 について、 有 識 者 会 議 において<br />

検 討 を 進 め、 提 言 を 得 る。 【 本 年 秋 までに 結 論 】<br />

( 規 制 ・ 制 度 改 革 と 官 業 の 開 放 を 断 行 する)<br />

4 健 康 長 寿 産 業 を 創 り、 育 てる<br />

< 成 果 目 標 ><br />

◆ 健 康 予 防 、 生 活 支 援 関 連 産 業 の 市 場 規 模 を 2020 年 に 10 兆 円 ( 現 状 4 兆 円 )に 拡 大<br />

する<br />

◆ 医 薬 品 、 医 療 機 器 、 再 生 医 療 の 医 療 関 連 産 業 の 市 場 規 模 を 2020 年 に 16 兆 円 ( 現 状<br />

12 兆 円 )に 拡 大 する<br />

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(ⅰ) 我 が 国 の 優 れた 医 療 分 野 の 革 新 的 技 術 の 実 用 化 を 強 力 に 後 押 しするため、 一<br />

元 的 な 研 究 管 理 、 研 究 から 臨 床 への 橋 渡 し、 国 際 水 準 の 質 の 高 い 臨 床 研 究 ・ 治<br />

験 が 確 実 に 実 施 される 仕 組 みの 構 築 等 を 行 う 司 令 塔 機 能 ( 日 本 版 NIH)を 創 設 す<br />

る。 【 次 期 通 常 国 会 に 新 独 法 設 立 法 案 提 出 】<br />

(ⅱ) 保 険 診 療 と 保 険 外 の 安 全 な 先 進 医 療 を 幅 広 く 併 用 して 受 けられるようにする<br />

ため、 新 たに 外 部 機 関 等 による 専 門 評 価 体 制 を 創 設 し、 評 価 の 迅 速 化 ・ 効 率 化<br />

を 図 る「 最 先 端 医 療 迅 速 評 価 制 度 ( 仮 称 )」( 先 進 医 療 ハイウェイ 構 想 )を 推 進<br />

することにより、 先 進 医 療 の 対 象 範 囲 を 大 幅 に 拡 大 する。<br />

【 本 年 秋 を 目 途 に 抗 がん 剤 から 開 始 】<br />

(ⅲ) 一 般 用 医 薬 品 を 対 象 とするインターネット 販 売 を 認 めることとする。その 際 、<br />

消 費 者 の 安 全 性 を 確 保 しつつ、 適 切 なルールの 下 で 行 うこととする。ただし、「ス<br />

イッチ 直 後 品 目 」 等 については、 他 の 一 般 用 医 薬 品 とはその 性 質 が 異 なるため、<br />

医 療 用 に 準 じた 形 での 慎 重 な 販 売 や 使 用 を 促 すための 仕 組 みについて、 医 学 ・<br />

薬 学 等 それぞれの 分 野 の 専 門 家 による 所 要 の 検 討 を 行 うこととし、 秋 頃 までに<br />

結 論 を 得 て、 所 要 の 制 度 的 な 措 置 を 講 じる。 【 本 年 秋 頃 までに 結 論 】<br />

(ⅳ) 医 療 ・ 介 護 ・ 予 防 分 野 での ICT 利 活 用 を 加 速 し、 世 界 で 最 も 便 利 で 効 率 的 な<br />

システムを 作 り 上 げる。このため、レセプト 等 の 電 子 データの 利 活 用 、 地 域 で<br />

のカルテ・ 介 護 情 報 の 共 有 、 国 全 体 の NDB(ナショナルデータベース)の 積 極 的<br />

活 用 等 を 図 る。 特 に、 全 ての 健 保 組 合 等 に 対 して、レセプトデータの 分 析 、 活<br />

用 等 の 事 業 計 画 の 策 定 等 を 求 めることを 通 じて、 健 康 保 持 増 進 のための 取 組 を<br />

抜 本 的 に 強 化 する。<br />

【 健 康 保 険 法 等 に 基 づく 厚 生 労 働 大 臣 指 針 を 今 年 度 中 に 改 正 】<br />

(ⅴ)PMDA の 体 制 を 質 ・ 量 両 面 で 強 化 する。これにより、 医 薬 品 ・ 医 療 機 器 の 審 査<br />

を 迅 速 化 し、 審 査 ラグを 解 消 する。 【2020 年 までに 解 消 】<br />

(ⅵ) 医 療 ・ 介 護 の 規 制 関 連 分 野 で、 企 業 が 安 心 して 新 たな 事 業 に 取 り 組 めるよう<br />

ホワイトゾーンであることを 確 認 し、 消 費 者 が 安 心 して 購 入 できるよう 品 質 保<br />

証 等 を 行 う 仕 組 みについて 法 制 度 を 含 む 措 置 を 講 じる。<br />

【 本 年 8 月 末 までに 結 論 】<br />

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5 農 林 水 産 業 を 成 長 産 業 にする<br />

< 成 果 目 標 ><br />

◆ 今 後 10 年 間 で、 全 農 地 面 積 の8 割 が、「 担 い 手 」によって 利 用 され、 産 業 界 の 努 力 も 反<br />

映 して 担 い 手 のコメの 生 産 コストを 現 状 全 国 平 均 比 4 割 削 減 し、 法 人 経 営 体 数 を5 万 法<br />

人 とする<br />

◆2020 年 に6 次 産 業 の 市 場 規 模 を 10 兆 円 ( 現 状 1 兆 円 )とする<br />

◆2020 年 に 農 林 水 産 物 ・ 食 品 の 輸 出 額 を1 兆 円 ( 現 状 約 4,500 億 円 )とする<br />

◆ 今 後 10 年 間 で6 次 産 業 化 を 進 める 中 で、 農 業 ・ 農 村 全 体 の 所 得 を 倍 増 させる 戦 略 を 策<br />

定 する<br />

(ⅰ) 農 地 中 間 管 理 機 構 が、 市 町 村 や 民 間 企 業 等 に 業 務 委 託 を 行 い、 地 域 の 総 力 を<br />

挙 げた 体 制 を 構 築 しつつ、 法 人 経 営 、 大 規 模 家 族 経 営 、 集 落 営 農 、 企 業 等 の 担<br />

い 手 への 農 地 集 積 ・ 集 約 化 に 配 慮 して 貸 し 付 ける 農 地 再 配 分 スキームを 確 立 す<br />

る。 【 本 年 秋 までに 具 体 化 、 速 やかに 法 制 化 を 含 む 措 置 を 実 施 】<br />

企 業 の 参 入 状 況 の 検 証 等 を 踏 まえ、 農 業 生 産 法 人 の 要 件 緩 和 など 所 有 方 式 に<br />

よる 企 業 の 参 入 の 更 なる 自 由 化 について 検 討 を 行 う。<br />

(ⅱ) 農 林 漁 業 成 長 産 業 化 ファンドの 本 格 展 開 等 を 行 う。また、 新 品 種 ・ 新 技 術 の<br />

開 発 ・ 普 及 、 医 療 福 祉 等 の 異 業 種 連 携 等 により、 農 業 にイノベーションを 起 こ<br />

し、 付 加 価 値 を 高 める。 【 今 年 度 から 実 施 】<br />

(ⅲ) 今 後 10 年 間 で 倍 増 する(340 兆 円 →680 兆 円 )グローバルな「 食 市 場 」の 獲<br />

得 を 目 指 す。このため、 国 別 ・ 品 目 別 輸 出 戦 略 を 策 定 する。また、 世 界 の 料 理<br />

界 での 日 本 食 材 の 活 用 推 進 (Made FROM Japan)、 日 本 の「 食 文 化 ・ 食 産 業 」<br />

の 海 外 展 開 (Made BY Japan)、 日 本 の 農 林 水 産 物 ・ 食 品 の 輸 出 (Made IN Japan)<br />

の 取 組 を 一 体 的 に 推 進 する。 【 今 年 度 から 実 施 】<br />

6エネルギー 産 業 を 育 て 世 界 市 場 を 獲 得 する<br />

< 成 果 目 標 ><br />

◆2020 年 に 約 26 兆 円 ( 現 状 8 兆 円 )の 内 外 のエネルギー 関 連 市 場 を 獲 得 する<br />

(ⅰ) 電 力 システム 改 革 により 電 力 の 小 売 を 全 面 自 由 化 し、 多 様 な 主 体 の 参 入 、 異<br />

業 種 との 融 合 を 促 し、 創 意 工 夫 を 懲 らした 新 たなビジネスの 展 開 を 促 進 する。<br />

また、 電 力 会 社 や 料 金 の 選 択 を 自 由 に 行 うために 必 要 なスマートメーターの 導<br />

入 を 進 めるとともに、 個 人 情 報 利 用 ルールの 整 備 を 行 う。【2016 年 目 途 に 実 施 】<br />

さらに、 送 配 電 部 門 の 中 立 性 の 一 層 の 確 保 を 着 実 に 進 め、 新 たなイノベーシ<br />

ョンを 誘 発 し 得 る 電 力 システムを 実 現 する。 【2018∼2020 年 を 目 途 に 実 施 】<br />

(ⅱ)9 電 力 の 供 給 区 域 に 分 割 されてきた 現 状 を 打 破 し、 全 国 的 な 電 力 の 効 率 的 供<br />

給 を 実 現 するために、 広 域 的 運 営 推 進 機 関 を 設 立 する。 地 域 間 連 系 線 等 の 増 強<br />

- 14 -


を 促 進 するとともに、 再 生 可 能 エネルギーや 蓄 電 池 を 核 とした 分 散 型 電 源 の 基<br />

盤 を 整 備 する。 【2015 年 目 途 に 実 施 】<br />

(ⅲ)エネルギーの 低 廉 かつ 安 定 的 な 供 給 を 実 現 するために、1 原 子 力 規 制 委 員 会<br />

により 規 制 基 準 に 適 合 すると 認 められた 原 子 力 発 電 所 の 再 稼 働 、2 環 境 アセス<br />

メントの 明 確 化 及 び 迅 速 化 を 踏 まえた 環 境 に 配 慮 した 低 コストな 高 効 率 火 力<br />

( 石 炭 ・LNG)の 導 入 、3シェールガスを 含 む 安 価 な 天 然 ガスの 輸 入 、 日 本 企 業<br />

の 天 然 ガス 開 発 支 援 による 供 給 源 多 角 化 等 を 行 う。<br />

(ⅳ) 家 庭 や 中 小 企 業 が、 初 期 負 担 を 抑 えて 太 陽 光 パネルや 蓄 電 池 などを 設 置 でき<br />

るようにすることで、その 導 入 を 拡 大 する。このため、 設 備 を 一 括 購 入 し、 初<br />

期 負 担 なしでユーザーに 提 供 するビジネス 等 を 行 う 企 業 を 支 援 する(クリーン<br />

エネルギー・ファイナンス)。 【 本 年 8 月 末 までに 結 論 】<br />

7 民 間 の 資 金 、 知 恵 を 活 用 して 社 会 資 本 を 整 備 ・ 運 営 ・ 更 新 する(PPP/PFI)<br />

< 成 果 目 標 ><br />

◆ 今 後 10 年 間 で PPP/PFI の 事 業 規 模 を 12 兆 円 ( 現 状 4.1 兆 円 )に 拡 大 する<br />

(ⅰ) 収 益 施 設 ・ 公 的 不 動 産 の 活 用 や、 民 間 都 市 開 発 と 一 体 で 進 めることにより、<br />

い<br />

民 間 資 金 等 を 最 大 限 に 活 かして 社 会 資 本 の 更 新 等 の 投 資 を 可 能 とするような 手<br />

法 を 積 極 的 に 推 進 する。 特 に、 上 部 空 間 の 利 用 等 により 首 都 高 速 道 路 の 老 朽 化<br />

対 策 を 民 間 都 市 開 発 と 一 体 的 に 行 うなど、 都 市 と 高 速 道 路 の 一 体 的 な 再 生 に PPP<br />

事 業 を 活 用 する。<br />

【 今 年 度 から、 首 都 高 速 道 路 築 地 川 区 間 等 をモデルケースとして 検 討 を 実 施 】<br />

(ⅱ) 官 民 共 同 で( 株 ) 民 間 資 金 等 活 用 事 業 推 進 機 構 を 設 立 し、 民 間 事 業 者 が 利 用 料<br />

金 で 資 金 回 収 を 行 い 社 会 資 本 を 整 備 する PFI 事 業 にリスクマネーを 供 給 する。<br />

これを 呼 び 水 とし、これまでは、 民 間 事 業 者 が 需 要 変 動 リスクを 負 うため 実 績<br />

が 極 めて 少 なかった 利 用 料 金 徴 収 を 伴 う 独 立 採 算 型 PFI 事 業 等 を 大 きく 伸 ばす。<br />

【 今 国 会 において 法 案 成 立 】<br />

(ⅲ) 公 共 施 設 に 運 営 権 を 設 定 することで、 当 該 運 営 権 を 抵 当 に 資 金 調 達 の 円 滑 化<br />

を 図 るとともに、 民 間 事 業 者 が 創 意 工 夫 を 発 揮 できるコンセッション 方 式 の 対<br />

象 に 新 たに 国 管 理 空 港 等 を 追 加 する。これにより、コンセッション 方 式 による<br />

PFI 事 業 を 抜 本 的 に 拡 大 する。 【 国 管 理 空 港 等 について 今 国 会 に 法 案 提 出 中 】<br />

8ITを 利 用 したイノベーションを 起 こす<br />

< 成 果 目 標 ><br />

◆2015 年 度 中 に、 世 界 最 高 水 準 の 公 共 データの 公 開 内 容 (データセット1 万 以 上 )を 実 現<br />

(ⅰ)ビッグデータやオープンデータの 利 活 用 が 世 界 最 高 水 準 で 実 現 するよう 積 極<br />

的 に 進 める。このため、データ 利 活 用 と 個 人 情 報 及 びプライバシー 保 護 との 両<br />

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立 に 配 慮 したデータ 利 活 用 ルールを 策 定 するとともに、 紛 争 処 理 機 能 等 を 有 す<br />

る 第 三 者 機 関 の 設 置 を 含 む 新 たな 法 的 措 置 も 視 野 に 入 れた 制 度 見 直 し 方 針 を 策<br />

定 する。 【 本 年 内 に 策 定 】<br />

(ⅱ) 地 理 空 間 情 報 (G 空 間 情 報 )、 調 達 情 報 、 統 計 情 報 、 防 災 ・ 減 災 情 報 などの 公<br />

共 データを 積 極 的 かつ 速 やかに 公 開 し、これを 活 用 して 新 たなビジネスを 創 出<br />

することを 後 押 しする。このため、 公 共 データを 掲 載 するデータカタログサイ<br />

ト( 日 本 版 data.gov)を 試 行 的 に 立 ち 上 げ、 来 年 度 から 本 格 稼 動 させる。<br />

【 本 年 秋 以 降 に 実 施 】<br />

(ⅲ) 対 面 ・ 書 面 交 付 が 前 提 とされているサービスや 手 続 を 含 め、IT 利 活 用 の 阻 害<br />

要 因 となる 規 制 ・ 制 度 を 洗 い 出 し、 改 革 を 進 める。このため、あらゆる 分 野 で<br />

IT の 利 活 用 が 行 われるように、「IT 利 活 用 の 裾 野 拡 大 のための 規 制 制 度 改 革 集<br />

中 アクションプラン( 仮 称 )」を 策 定 する。 【 今 年 中 を 目 途 に 策 定 】<br />

(2) 全 員 参 加 ・ 世 界 で 勝 てる 人 材 を 育 てる<br />

( 女 性 が 働 きやすい 環 境 を 整 え、 社 会 に 活 力 を 取 り 戻 す)<br />

1「 女 性 の 力 」を 最 大 限 活 かす<br />

< 成 果 目 標 ><br />

◆2020 年 に 女 性 の 就 業 率 (<strong>25</strong> 歳 ∼44 歳 )を 73%( 現 状 68%)にする<br />

(ⅰ)「 待 機 児 童 解 消 加 速 化 プラン」を 展 開 し、 今 後 2 年 間 で 約 20 万 人 分 、 保 育 需<br />

要 ピークが 見 込 まれる 2017 年 度 末 までに 約 40 万 人 分 の 保 育 の 受 け 皿 を 新 たに<br />

確 保 し、 保 育 の 質 を 確 保 しつつ、 待 機 児 童 解 消 を 目 指 す。このため、 賃 貸 方 式<br />

や 国 有 地 も 活 用 した 保 育 所 整 備 、 保 育 の 量 拡 大 を 支 える 保 育 士 確 保 、 小 規 模 保<br />

育 事 業 などの 新 制 度 の 先 取 り、 認 可 を 目 指 す 認 可 外 保 育 施 設 への 支 援 及 び 事 業<br />

所 内 保 育 施 設 への 支 援 を 行 う。<br />

(ⅱ) 女 性 の 活 躍 を 促 進 する 企 業 の 取 組 を 後 押 しし、 企 業 の 職 場 環 境 を 整 備 するた<br />

め、 管 理 職 ・ 役 員 への 登 用 拡 大 に 向 けた 働 きかけや 情 報 開 示 の 促 進 等 を 行 う。<br />

また、 女 性 の 活 躍 促 進 、 仕 事 と 子 育 ての 両 立 、 育 児 休 業 中 、 及 び 復 職 後 の 能 力<br />

アップの 支 援 に 取 り 組 む 企 業 への 支 援 を 行 う。<br />

さらに、 学 び 直 しプログラムの 提 供 、 主 婦 等 向 けインターンシップ 等 により、<br />

子 育 て 女 性 の 再 就 職 を 支 援 する。 【 今 年 度 から 実 施 】<br />

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い い い<br />

( 若 者 も 高 齢 者 も、もっと 自 分 の 能 力 を 活 かして 活 き 活 きと 働 ける 社 会 にする)<br />

2 成 熟 分 野 から 成 長 分 野 への 失 業 なき 労 働 移 動 を 進 める<br />

< 成 果 目 標 ><br />

◆ 今 後 5 年 間 で、 失 業 期 間 6か 月 以 上 の 者 を2 割 減 少 させ、 一 般 労 働 者 の 転 職 入 職 率 を<br />

9%(2011 年 :7.4%)とすることを 目 指 す<br />

(ⅰ) 単 に 現 在 の 職 を 維 持 する 政 策 から、 意 欲 と 能 力 のある 人 材 に、 自 分 を 高 める<br />

機 会 を 拡 大 した 上 で、 成 長 分 野 の 職 への 移 動 を 支 援 する 政 策 に 大 胆 に 転 換 する。<br />

【 労 働 移 動 支 援 助 成 金 (2012 年 度 :2.4 億 円 )と 雇 用 調 整 助 成 金<br />

(2012 年 度 :1,134 億 円 )の 予 算 規 模 を 2015 年 度 までに 逆 転 させる】<br />

(ⅱ) 人 材 のマッチングに 民 間 の 力 を 最 大 限 活 用 する。このため、ハローワークし<br />

か 使 えなかった 求 人 情 報 、ハローワーク 紹 介 に 限 定 されている 助 成 金 を、 民 間<br />

人 材 ビジネスに 開 放 する。 【 本 年 8 月 末 までに 結 論 】<br />

(ⅲ) 資 格 取 得 等 につながる 自 発 的 な 教 育 訓 練 の 受 講 など 社 会 人 の 学 び 直 しを、 今<br />

までにない 規 模 で 大 胆 に 支 援 する。これにより、 意 欲 のある 非 正 規 の 若 年 者 等<br />

が、 自 らの 可 能 性 を 最 大 限 高 め、キャリアアップ・チェンジすることを 応 援 す<br />

る。<br />

【 労 働 政 策 審 議 会 において 検 討 し 次 期 通 常 国 会 に 雇 用 保 険 法 改 正 案 提 出 を 目 指 す】<br />

( 日 本 の 若 者 を 世 界 で 活 躍 できる 人 材 に 育 て 上 げる)<br />

3 大 学 の 潜 在 力 を 最 大 限 に 引 き 出 す( 国 立 大 学 改 革 等 )<br />

< 成 果 目 標 ><br />

◆ 今 後 10 年 間 で 世 界 大 学 ランキングトップ 100 に 10 校 以 上 を 入 れる<br />

(ⅰ) 先 駆 的 な 取 組 を 予 算 の 重 点 配 分 等 で 後 押 しする 国 立 大 学 改 革 に 直 ちに 着 手 す<br />

る。 今 後 3 年 間 を 改 革 加 速 期 間 とする。 【 夏 に 国 立 大 学 改 革 プランを 策 定 】<br />

1 年 俸 制 の 本 格 導 入 、 企 業 等 外 部 からの 資 金 を 活 用 した 混 合 給 与 などの 人 事 給<br />

与 システムの 改 革<br />

2 大 学 や 学 部 の 枠 を 越 えた 教 員 ポスト・ 予 算 等 の 資 源 再 配 分 及 び 組 織 再 編 並 び<br />

に 大 学 内 の 資 源 配 分 の 可 視 化<br />

3 上 記 の 先 駆 的 な 取 組 の 成 果 を 踏 まえ、 運 営 費 交 付 金 全 体 を 戦 略 的 ・ 重 点 的 に<br />

配 分 する 仕 組 みを 導 入 する。 【2016 年 度 から 導 入 】<br />

(ⅱ) 学 校 教 育 法 等 の 法 令 改 正 を 含 め、 抜 本 的 なガバナンス 改 革 を 行 うこととし、<br />

所 要 の 法 案 を 次 期 通 常 国 会 に 提 出 する。また、 必 要 な 制 度 の 見 直 しを 行 い、 世<br />

界 と 競 う「スーパーグローバル 大 学 ( 仮 称 )」を 創 設 する。 【 来 年 度 から 実 施 】<br />

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4 世 界 と 戦 える 人 材 を 育 てる<br />

< 成 果 目 標 ><br />

◆2020 年 までに 留 学 生 を 倍 増 する( 大 学 生 等 6 万 人 →12 万 人 )<br />

(ⅰ) 初 等 中 等 教 育 段 階 からの 英 語 教 育 を 強 化 する。このため、 小 学 校 における 英<br />

語 教 育 実 施 学 年 の 早 期 化 、 教 科 化 、 指 導 体 制 の 在 り 方 等 や、 中 学 校 における 英<br />

語 による 英 語 授 業 実 施 について 検 討 する。 【 今 年 度 から 検 討 開 始 】<br />

(ⅱ)グローバル 化 に 対 応 した 教 育 を 行 い、 高 校 段 階 から 世 界 と 戦 えるグローバル・<br />

リーダーを 育 てる。このため、「スーパーグローバルハイスクール( 仮 称 )」を<br />

創 設 する。<br />

【 来 年 度 から 実 施 】<br />

(ⅲ) 意 欲 と 能 力 のある 高 校 ・ 大 学 等 の 若 者 全 員 に、 学 位 取 得 等 のための 留 学 機 会<br />

を 与 える。このための 官 民 が 協 力 した 新 たな 仕 組 みを 創 設 する。<br />

【 本 年 8 月 末 までに 結 論 】<br />

(ⅳ) 国 家 公 務 員 総 合 職 試 験 や 大 学 入 試 等 に、TOEFL 等 の 国 際 的 な 英 語 試 験 の 導 入 等<br />

を 行 う。 【 国 家 公 務 員 総 合 職 試 験 は 2015 年 度 から 導 入 】<br />

(3) 新 たなフロンティアを 作 り 出 す<br />

(オールジャパンの 対 応 で「 技 術 立 国 ・ 知 財 立 国 日 本 」を 再 興 する)<br />

1 国 の 総 力 を 結 集 して「 技 術 で 勝 ち 続 ける 国 」を 創 る<br />

< 成 果 目 標 ><br />

◆ 今 後 5 年 以 内 に 科 学 技 術 イノベーションランキング 世 界 1 位 ( 世 界 経 済 フォーラムでは 現<br />

状 5 位 )<br />

(ⅰ) 戦 略 分 野 を 特 定 し、 出 口 を 見 据 え、 総 力 を 結 集 して 研 究 開 発 等 を 推 進 しイノ<br />

ベーションに 繋 げていくための 司 令 塔 として、「 総 合 科 学 技 術 会 議 」の 機 能 を 強<br />

化 する。これにより、 府 省 の 縦 割 りを 廃 し、 産 学 官 の 連 携 を 抜 本 的 に 強 化 し、<br />

高 い 科 学 技 術 力 が 最 終 製 品 ・サービスまで 到 達 できていない 我 が 国 の 現 状 を 打<br />

破 する。 【 本 年 8 月 までに 法 改 正 を 含 む 工 程 表 策 定 】<br />

(ⅱ) 戦 略 分 野 の 市 場 創 造 のため、「 総 合 科 学 技 術 会 議 」が 中 心 となり、コア 技 術 を<br />

特 定 し、 基 礎 研 究 から 出 口 ( 事 業 化 、 実 用 化 )までを 見 据 えたロードマップに<br />

基 づく、 府 省 の 枠 を 越 えた 取 組 を 行 う。この 取 組 に 対 して 複 数 年 にわたり 重 点<br />

的 に 資 源 を 配 分 する「 戦 略 的 イノベーション 創 造 プログラム( 仮 称 )」を 創 設 す<br />

る。 【 本 年 8 月 末 までに 結 論 】<br />

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(ⅲ) 京 都 大 学 山 中 教 授 による 再 生 医 療 研 究 など FIRST プログラムが 世 界 トップ 水<br />

準 の 高 い 研 究 成 果 を 創 出 していることを 踏 まえ、FIRST 後 継 施 策 とも 呼 ぶべき<br />

「 革 新 的 研 究 開 発 支 援 プログラム」を 創 設 する。 【 本 年 8 月 末 までに 結 論 】<br />

ひ<br />

( 世 界 に 飛 び 出 し、そして 世 界 を 惹 きつける)<br />

2 経 済 連 携 等 を 進 め 新 興 国 等 の 成 長 を 最 大 限 取 り 込 む<br />

< 成 果 目 標 ><br />

◆2018 年 までに、 貿 易 のFTA 比 率 70%( 現 状 19%)を 目 指 す<br />

◆2020 年 までに 中 堅 ・ 中 小 企 業 等 の 輸 出 額 の 2010 年 比 2 倍 を 目 指 す<br />

(ⅰ)TPP、RCEP、 日 中 韓 FTA、 日 EU・EPA 等 の 連 携 交 渉 を 推 進 し、 世 界 の 主 要 な 国 々<br />

との 経 済 連 携 を 深 めるとともに、 投 資 協 定 の 締 結 促 進 や、 租 税 条 約 ネットワー<br />

ク 拡 充 のための 取 組 を 加 速 する。<br />

(ⅱ) 世 界 市 場 で 十 分 勝 負 できる「 潜 在 力 」と「 意 欲 」のある 中 堅 ・ 中 小 企 業 の 海<br />

外 展 開 を 強 力 に 後 押 しする。このため、JETRO 等 公 的 支 援 機 関 等 の 連 携 強 化 によ<br />

るワンストップ 支 援 、シニア 人 材 派 遣 による 海 外 展 開 ノウハウの 補 完 、 現 地 で<br />

直 面 する 法 務 、 労 務 、 知 財 問 題 等 の 相 談 に 対 応 し、 専 門 組 織 を 紹 介 する「 海 外<br />

ワンストップ 窓 口 」の 創 設 等 を 行 う。 【 本 年 中 に 設 置 】<br />

3 成 長 が 見 込 まれる 世 界 のインフラ 市 場 を 官 民 一 体 で 獲 得 する<br />

< 成 果 目 標 ><br />

◆2020 年 に 30 兆 円 ( 現 状 10 兆 円 )のインフラシステムの 受 注 を 実 現 する<br />

◆2020 年 に 海 外 の 医 療 技 術 ・サービス 市 場 の 1.5 兆 円 ( 現 状 0.5 兆 円 )を 獲 得 する<br />

(ⅰ) 官 民 一 体 、オールジャパンで 売 り 込 みを 強 化 するために、 内 閣 総 理 大 臣 を 始<br />

めとする 閣 僚 によるトップセールスを 毎 年 10 件 以 上 実 施 する。<br />

(ⅱ) 海 外 展 開 支 援 融 資 ファシリティの 活 用 、JBIC・NEXI による 現 地 通 貨 建 ファイ<br />

ナンス 支 援 の 強 化 、 海 外 投 融 資 を 含 む ODA の 積 極 的 活 用 、 貿 易 保 険 の 拡 充 など<br />

政 策 支 援 ツールを 充 実 する。<br />

(ⅲ)MEJ を 最 大 限 活 用 し、2020 年 までに 海 外 の 医 療 技 術 ・サービス 市 場 1.5 兆 円 の<br />

獲 得 を 目 指 す。<br />

【 新 興 国 を 中 心 に 日 本 の 医 療 拠 点 を 2020 年 までに 10 か 所 程 度 創 設 】<br />

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4クールジャパンの 推 進 及 び 訪 日 外 国 人 旅 行 者 や 対 内 直 接 投 資 の 受 入 れ 拡 大 により、 徹<br />

底 したグローバル 化 を 進 める<br />

< 成 果 目 標 ><br />

◆2018 年 までに 放 送 コンテンツ 関 連 海 外 売 上 高 を 現 在 (63 億 円 )の3 倍 に 増 加 させる<br />

◆2020 年 までに 外 国 企 業 の 対 内 直 接 投 資 残 高 を 現 在 の2 倍 の 35 兆 円 に 拡 大 する<br />

◆2013 年 に 訪 日 外 国 人 旅 行 者 1000 万 人 、2030 年 に 3000 万 人 超 を 目 指 す<br />

(ⅰ)( 株 ) 海 外 需 要 開 拓 支 援 機 構 ( 仮 称 )やジャパン・コンテンツ 海 外 展 開 事 務 局<br />

等 が 中 心 となり、コンテンツや 関 連 商 品 の 海 外 への 売 り 込 みを 強 化 する。<br />

このため、1 海 賊 版 対 策 の 抜 本 的 強 化 、2 海 外 現 地 放 送 局 ・ 配 信 サイトにお<br />

ける 日 本 コンテンツの 流 通 枠 の 確 保 、3 現 地 のコンテンツ 規 格 への 対 応 、4 相<br />

手 国 の 文 化 ニーズに 合 わせたコンテンツ 供 給 の 増 加 等 を 行 う。【 今 年 度 から 実 施 】<br />

(ⅱ) 人 気 のあるコンテンツを 迅 速 に 海 外 に 売 り 込 めるようにするために、 権 利 処<br />

理 の 円 滑 化 を 図 る。このため、1 権 利 処 理 一 元 窓 口 の 整 備 ( 映 像 コンテンツ 権<br />

利 処 理 機 構 (aRma)の 機 能 強 化 等 )、2 海 外 展 開 も 含 めた 権 利 処 理 契 約 の 促 進 等<br />

を 行 う。 【 今 年 度 から 実 施 】<br />

(ⅲ) 日 ・ASEAN 友 好 協 力 40 周 年 の 節 目 を 踏 まえ、 今 後 増 大 が 見 込 まれる ASEAN 諸<br />

国 からの 観 光 客 に 対 してビザ 要 件 を 緩 和 する。 【 本 年 夏 までに 実 施 】<br />

(ⅳ) 我 が 国 の 経 済 成 長 等 に 貢 献 することが 期 待 される 高 度 な 能 力 や 資 質 を 持 つ 外<br />

国 人 が、 円 滑 に 我 が 国 に 来 られるようする。このため、 高 度 外 国 人 材 ポイント<br />

制 度 について、 年 収 基 準 の 見 直 し、 永 住 許 可 要 件 としての 在 留 歴 の 短 縮 (5 年<br />

から3 年 とする。) 等 の 見 直 しを 行 い、 本 年 内 に 新 たな 制 度 を 開 始 する。<br />

【 本 年 内 に 開 始 】<br />

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第 Ⅱ.3つのアクションプラン<br />

- 21 -


第 Ⅱ 3つのアクションプラン<br />

成 長 戦 略 を 実 行 ・ 実 現 するものとして、 政 権 を 挙 げて 優 先 的 に 取 り 組 むべき 施 策<br />

を 厳 選 し、3つのアクションプランを 打 ち 出 す。「 日 本 産 業 再 興 プラン」の 実 行 によ<br />

り、 産 業 基 盤 を 強 化 する。また、その 力 を 基 に、「 戦 略 市 場 創 造 プラン」の 実 行 によ<br />

り、 社 会 課 題 をバネに 新 たな 市 場 を 創 造 するとともに、「 国 際 展 開 戦 略 」の 実 行 によ<br />

り、 拡 大 する 国 際 市 場 を 獲 得 する。<br />

「 日 本 産 業 再 興 プラン」は、この 失 われた 20 年 間 で 生 じたヒト、モノ、カネの 構<br />

造 的 な「 澱 み」を 解 消 するため、 直 ちに 取 り 組 むべき 必 達 計 画 である。プランの 実<br />

行 により、 民 間 に 対 しては、 産 業 や 人 材 の 新 陳 代 謝 を 進 めるため、 代 謝 不 足 の 体 質<br />

を 改 善 し、 世 界 で 戦 える 筋 肉 質 な 体 質 となることを 促 す。 官 の 側 では、 企 業 やヒト<br />

の 活 動 の 足 かせとなる 規 制 や 制 約 を 積 極 的 に 省 いていく 国 ( 規 制 省 国 )となり、ま<br />

た、 省 庁 縦 割 りによる 非 効 率 性 を 徹 底 排 除 して、 日 本 の 総 合 力 を 発 揮 できる 体 制 (オ<br />

ールジャパン)の 構 築 を 目 指 す。これにより、 官 民 で 攻 めの 経 済 政 策 を 実 行 する 力<br />

を 確 保 する。<br />

「 戦 略 市 場 創 造 プラン」は、 課 題 先 進 国 としての 現 状 を 攻 めの 姿 勢 で 捉 え、 社 会<br />

課 題 を 世 界 に 先 駆 けて 解 決 することで 新 たな 成 長 分 野 を 切 り 開 こうとする、 未 来 を<br />

睨 んだ 中 長 期 戦 略 である。プランの 実 行 により、 課 題 克 服 による 不 安 の 解 消 と、 成<br />

長 産 業 の 育 成 の 同 時 達 成 を 目 指 す。<br />

「 国 際 展 開 戦 略 」は、 日 本 経 済 のグローバル 依 存 度 の 高 まりを 攻 めの 姿 勢 で 捉 え、<br />

競 争 と 変 化 が 著 しいグローバル 経 済 の 中 で、 積 極 的 ・ 戦 略 的 に 勝 ちに 行 くための、<br />

官 民 一 体 の 取 組 指 針 である。 戦 略 の 実 行 により、 幅 広 い 層 の 企 業 や 国 民 が、 世 界 経<br />

済 の 成 長 の 果 実 を 享 受 することを 目 指 す。<br />

「 日 本 産 業 再 興 プラン」の 実 行 を 通 じ、「 世 界 で 戦 える 力 」を 獲 得 することによっ<br />

て、「 戦 略 市 場 創 造 プラン」や「 国 際 展 開 戦 略 」が 描 く 未 来 や 世 界 をにらんだ 成 長 市<br />

場 が 現 実 のものとなる。 逆 に、「どの 場 で 戦 うのか」という 成 長 市 場 の 姿 が 明 示 され<br />

ることによって、 強 化 すべき 力 の 方 向 性 についての 確 信 が 生 まれる。このように、<br />

3つのプランは、 互 いに 相 乗 効 果 を 持 つものであり、 政 策 群 ごとに 達 成 すべき 成 果<br />

目 標 (KPI:Key Performance Indicator)、 期 限 、 内 容 を 明 記 した 工 程 表 の 策 定 ・ 実<br />

行 により、 同 時 併 行 的 に 進 めていく。<br />

アクションプラン 策 定 に 際 しては、 総 合 科 学 技 術 会 議 や 規 制 改 革 会 議 に 加 え、 若<br />

者 ・ 女 性 活 躍 推 進 フォーラム、 教 育 再 生 実 行 会 議 、IT 総 合 戦 略 本 部 、 経 協 インフラ<br />

戦 略 会 議 等 からの 意 見 ・ 提 言 を 取 り 入 れた。 引 き 続 き、こうした 会 議 等 との 連 携 を<br />

強 化 し、プランの 実 行 に 取 り 組 む。<br />

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一 . 日 本 産 業 再 興 プラン<br />

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一 . 日 本 産 業 再 興 プラン ~ヒト、モノ、カネを 活 性 化 する~<br />

企 業 や 人 材 を 世 界 で 戦 える 筋 肉 質 な 体 質 とするため、 民 間 の 決 断 を 迫 りながら、<br />

産 業 の 新 陳 代 謝 の 促 進 、 雇 用 制 度 改 革 や 人 材 力 の 強 化 を 徹 底 して 進 める。 縦 割 りを<br />

廃 した 科 学 技 術 政 策 と 世 界 をにらんだ IT 戦 略 により、イノベーション 力 を 飛 躍 的 に<br />

高 め、 規 制 改 革 、 特 区 の 徹 底 活 用 及 び 立 地 競 争 力 の 抜 本 的 改 善 により、 規 制 省 国 を<br />

目 指 す。<br />

これにより、グローバル 競 争 に 勝 ち 抜 ける 製 造 業 の 復 活 、 付 加 価 値 の 高 いサービ<br />

ス 産 業 の 創 出 を 図 るとともに、 企 業 が 活 動 しやすく、 個 人 の 可 能 性 が 最 大 限 発 揮 さ<br />

れる 社 会 を 実 現 する。<br />

1. 緊 急 構 造 改 革 プログラム( 産 業 の 新 陳 代 謝 の 促 進 )<br />

日 本 経 済 の3つのゆがみ(「 過 小 投 資 」、「 過 剰 規 制 」 及 び「 過 当 競 争 」)を 根 本 か<br />

ら 是 正 し、グローバル 競 争 に 勝 ち 抜 く 筋 肉 質 の 日 本 経 済 にするため、 今 後 5 年 間 ( 今<br />

年 度 から 2017 年 度 まで)を「 緊 急 構 造 改 革 期 間 」と 位 置 付 け、 集 中 的 に 取 組 を 進 め<br />

る。<br />

このため、<br />

- 民 間 投 資 を 拡 大 し、 設 備 の 新 陳 代 謝 を 図 り、イノベーションの 源 泉 を 強 くする<br />

- 過 剰 規 制 を 改 革 し、 萎 縮 せずに 新 事 業 にチャレンジできる 仕 組 みを 創 る<br />

- 過 当 競 争 を 解 消 し、 収 益 力 を 飛 躍 的 に 高 め 世 界 で 勝 ち 抜 く 製 造 業 を 復 活 させる<br />

ことを 目 指 す。<br />

「 産 業 競 争 力 強 化 法 案 ( 仮 称 )」を 本 年 夏 までに 方 針 を 固 め、 速 やかに 国 会 に 提 出<br />

し、これを 中 核 に、あらゆる 政 策 資 源 を 集 中 的 に 投 入 するとともに、 企 業 経 営 者 に<br />

は 改 革 の 断 行 への 判 断 と 強 い 指 導 力 の 発 揮 を 求 め、 民 間 投 資 と 所 得 の 増 大 による 自<br />

律 的 ・ 持 続 的 な 経 済 成 長 を 実 現 する。<br />

1 民 間 投 資 の 活 性 化<br />

経 済 対 策 において 措 置 した 生 産 等 設 備 投 資 促 進 税 制 、 研 究 開 発 税 制 の 拡 充 、 先<br />

端 設 備 投 資 促 進 のための 補 助 金 などの 波 及 効 果 や 立 地 環 境 の 改 善 により、 今 年 度<br />

2 兆 円 を 超 える 民 間 設 備 投 資 の 底 上 げが 見 込 まれる。さらに、 今 後 3 年 間 を「 集<br />

中 投 資 促 進 期 間 」と 位 置 付 け、 国 内 投 資 を 促 進 するため、 税 制 ・ 予 算 ・ 金 融 ・ 規<br />

制 改 革 ・ 制 度 整 備 といったあらゆる 施 策 を 総 動 員 することで、 今 年 度 以 降 も 民 間<br />

投 資 を 喚 起 し、 今 後 3 年 間 で 設 備 投 資 を 2012 年 度 の 約 63 兆 円 から 10% 増 加 させ、<br />

リーマンショック 前 の 民 間 投 資 の 水 準 ( 年 間 約 70 兆 円 (2007 年 度 までの5 年 間<br />

平 均 ))に 回 復 させることを 目 指 す。<br />

○ 先 端 設 備 の 投 資 促 進<br />

・ 生 産 設 備 の 新 陳 代 謝 ( 老 朽 化 した 生 産 設 備 から 生 産 性 ・エネルギー 効<br />

率 の 高 い 最 先 端 設 備 への 入 替 え 等 )を 促 進 する 取 組 を 強 力 に 推 進 し、<br />

これに 応 じて 生 産 設 備 の 新 陳 代 謝 を 進 める 企 業 への 税 制 を 含 めた 支 援<br />

策 を 検 討 し、 必 要 な 措 置 を 講 じる。<br />

- 24 -


・ グローバル 競 争 に 打 ち 勝 つことができるよう、 先 端 医 療 機 器 ・3D プリ<br />

ンターなどの 最 先 端 設 備 の 大 胆 な 設 備 投 資 を 促 すため、リース 手 法 を<br />

活 用 して 支 援 する 方 策 について、 本 年 8 月 末 までに 検 討 を 進 め 結 論 を<br />

得 た 上 で、 法 制 上 の 措 置 等 必 要 な 措 置 を 講 じる。<br />

・ 一 般 家 庭 や 中 小 企 業 において、 初 期 費 用 を 抑 えることで、 太 陽 光 パネ<br />

ルや 蓄 電 池 等 を 普 及 させるような 民 間 ビジネスベースの 取 組 を 促 進 す<br />

る。このため、 例 えば、 一 括 で 設 備 を 購 入 し、 初 期 費 用 なしでユーザ<br />

ーに 提 供 するビジネスを 行 おうとする 企 業 に 対 して、 政 府 系 金 融 機 関<br />

等 のノウハウを 活 用 した 出 融 資 とも 組 み 合 わせ、その 投 資 に 必 要 な 長<br />

期 資 金 の 供 給 を 可 能 とするようなファイナンス 支 援 について、 本 年 8<br />

月 末 までに 検 討 を 進 め 結 論 を 得 た 上 で、 法 制 上 の 措 置 等 必 要 な 措 置 を<br />

講 じる。<br />

・ いわゆる「マザー 機 能 」としての 研 究 開 発 ・ 先 端 製 造 機 能 の 国 内 維 持 ・<br />

強 化 を 図 る。また、サプライチェーン 構 造 の 変 化 を 踏 まえ、これまで<br />

川 下 の 大 企 業 が 果 たしてきた 役 割 を 補 完 すべく、サポーティングイン<br />

ダストリーの 自 立 化 に 向 けたものづくり 支 援 を 重 点 的 に 実 施 する。<br />

2 萎 縮 せずフロンティアにチャレンジできる 仕 組 みの 構 築<br />

戦 略 市 場 創 造 プランの 対 象 分 野 や 人 材 、 教 育 、 雇 用 等 の 分 野 において、 電 力 シ<br />

ステム 改 革 や 薬 事 法 改 正 などの 骨 太 な 規 制 改 革 を 進 めることにより、 新 たなフロ<br />

ひら<br />

ンティアを 切 り 拓 く。こうした 取 組 に 加 えて、 新 たな 事 業 に 取 り 組 む 企 業 が 萎 縮<br />

せずにチャレンジできる 仕 組 みを 構 築 する。<br />

○ 適 法 性 確 認 のための 仕 組 みの 創 設<br />

・ 健 康 増 進 や 予 防 サービスなどで、 事 業 が 規 制 対 象 となるか 否 かが 不 明<br />

確 な「グレーゾーン」の 分 野 において、 企 業 が 安 心 して 事 業 を 実 施 で<br />

きるよう、 事 業 実 施 が 可 能 ( 適 法 )であることを 確 認 する 仕 組 みなど<br />

について、 包 括 的 な 政 策 パッケージを 策 定 する。 本 年 8 月 末 までに 検<br />

討 を 進 め 結 論 を 得 た 上 で、 法 制 上 の 措 置 等 必 要 な 措 置 を 講 じる。<br />

○ 企 業 実 証 特 例 制 度 の 創 設<br />

・ 新 事 業 創 出 ・ 新 技 術 の 活 用 等 を 目 的 として、 意 欲 と 技 術 力 のある 企 業<br />

に 実 証 目 的 での 規 制 特 例 を 認 め、それにより 事 業 の 実 施 における 新 た<br />

な 規 制 ・ 安 全 確 保 の 在 り 方 を 検 証 する 制 度 の 創 設 について、 本 年 8 月<br />

末 までに 検 討 を 進 め 結 論 を 得 た 上 で、 法 制 上 の 措 置 等 必 要 な 措 置 を 講<br />

じる。<br />

○ 新 事 業 の 利 用 に 係 る 安 心 の 向 上<br />

・ 新 事 業 により 生 まれる 新 たな 製 品 やサービスを 利 用 者 が 安 心 して 利<br />

用 できるよう、 中 立 的 な 第 三 者 機 関 による 製 品 ・サービスの 品 質 評 価<br />

制 度 の 創 設 について、 本 年 8 月 末 までに 検 討 を 進 め 結 論 を 得 た 上 で、<br />

- <strong>25</strong> -


法 制 上 の 措 置 等 必 要 な 措 置 を 講 じる。<br />

3 内 外 の 資 源 を 最 大 限 に 活 用 したベンチャー 投 資 ・ 再 チャレンジ 投 資 の 促 進<br />

大 企 業 や 研 究 機 関 に 眠 る 技 術 、アイディア、 資 金 、 人 材 、 地 域 に 眠 る 事 業 や 資<br />

源 を 最 大 限 に 活 用 し、ベンチャーや 新 事 業 を 生 み 出 す 仕 組 みを 整 備 する。<br />

このため、ベンチャーや 新 事 業 の 担 い 手 となる 人 材 ( 知 財 権 等 の 戦 略 的 交 渉 を<br />

行 う 専 門 家 を 含 む。)の 確 保 、 起 業 家 と 投 資 家 や 民 間 企 業 等 との 橋 渡 し 役 となる<br />

仲 介 者 の 目 利 き・コーディネート 能 力 の 向 上 、 内 外 の 資 源 を 活 用 したリスクマネ<br />

ーの 供 給 拡 大 のため、 総 合 的 な 施 策 を 実 施 する。 個 人 からベンチャーへの 資 金 の<br />

流 れを 一 層 太 くすることに 加 え、 民 間 企 業 等 の 資 金 と 目 利 き 能 力 を 有 効 に 活 用 す<br />

るため、 民 間 企 業 等 によるベンチャーや 新 事 業 への 投 資 を 行 いやすくする。こう<br />

した 取 組 により、 産 業 の 新 陳 代 謝 を 促 すことで、 開 業 率 が 廃 業 率 を 上 回 る 状 態 に<br />

し、 開 業 率 ・ 廃 業 率 が 米 国 ・ 英 国 レベル(10% 台 )になることを 目 指 す( 現 状 :<br />

開 業 率 ・ 廃 業 率 ともに 4.5%(2004 年 から 2009 年 までの 平 均 値 ))。<br />

○ベンチャーや 新 事 業 創 出 の 担 い 手 及 び 目 利 き・ 支 援 人 材 の 育 成<br />

・ 一 流 のベンチャー 経 営 者 やキャピタリスト 等 のプロフェッショナル<br />

によるビジネスモデル 形 成 支 援 により、 新 事 業 に 挑 み 成 長 企 業 を 生 み<br />

出 す 人 材 の 育 成 を 進 めるとともに、これを 通 じて 得 られたハンズオン<br />

支 援 のノウハウの 共 有 などによる 支 援 人 材 の 育 成 やその 連 携 を 強 化<br />

する 取 組 を 発 展 させ、 事 業 化 後 の 資 金 供 給 を 担 う 投 資 家 、 政 府 系 金 融<br />

機 関 、 民 間 企 業 等 を 含 めた 総 合 的 な 支 援 の 枠 組 みへと 拡 大 する。<br />

○ 個 人 によるベンチャー 投 資 の 促 進 (エンジェル 税 制 の 運 用 改 善 等 )<br />

・ エンジェル 税 制 について、 本 年 夏 までに、ベンチャー 企 業 やその 支 援<br />

者 である 税 理 士 等 にとっての 分 かりやすさを 向 上 させ、 手 続 負 担 を 軽<br />

減 する 観 点 から 運 用 改 善 を 行 うとともに、 制 度 の 利 用 促 進 に 向 け 周 知<br />

徹 底 を 図 る。<br />

○ 民 間 企 業 等 によるベンチャー 投 資 の 促 進<br />

・ 個 人 投 資 家 のみならず 民 間 企 業 等 の 資 金 を 活 用 したベンチャー 企 業<br />

への 投 資 を 促 すための 方 策 を 早 急 に 検 討 し、 本 年 8 月 末 までに 検 討 を<br />

進 め 結 論 を 得 た 上 で、 必 要 な 措 置 を 講 じる。<br />

・ 産 業 革 新 機 構 による 効 果 的 なリスクマネーの 供 給 を 図 り、ベンチャー<br />

支 援 を 強 化 するため、 同 機 構 におけるベンチャー 投 資 に 関 する 意 思 決<br />

定 プロセスの 簡 略 化 及 び 支 援 体 制 の 整 備 を 行 う。<br />

○ 資 金 調 達 の 多 様 化 (クラウド・ファンディング 等 )<br />

・ 技 術 やアイディアを 事 業 化 する 段 階 でのリスクマネーの 供 給 を 強 化<br />

するとともに 地 域 のリソースを 活 用 するための 方 策 の 一 つとして、ク<br />

ラウド・ファンディング(※) 等 を 通 じた 資 金 調 達 の 枠 組 みについて<br />

- 26 -


検 討 する。 市 場 関 係 者 等 のニーズや 投 資 者 保 護 に 配 意 しつつ、 制 度 改<br />

正 が 必 要 な 事 項 について、 金 融 審 議 会 で 検 討 を 行 い、 本 年 中 に 結 論 を<br />

得 る。なお、 事 業 化 後 に 新 規 上 場 に 至 った 企 業 に 対 しても、NISA( 少<br />

額 投 資 非 課 税 制 度 )の 普 及 促 進 を 通 じ、 家 計 からのリスクマネーの 供<br />

給 を 強 化 する。<br />

※ 新 規 ・ 成 長 企 業 と 投 資 家 をインターネットサイト 上 で 結 び 付 け、 多 数 の 投 資 家 から<br />

少 額 ずつ 資 金 を 集 める 仕 組 み。<br />

○ 個 人 保 証 制 度 の 見 直 し<br />

・ 経 営 者 本 人 による 保 証 について、 法 人 の 事 業 資 産 と 経 営 者 個 人 の 資 産<br />

が 明 確 に 分 離 されている 場 合 等 、 一 定 の 条 件 を 満 たす 場 合 には、 保 証<br />

を 求 めないことや、 履 行 時 において 一 定 の 資 産 が 残 るなど 早 期 事 業 再<br />

生 着 手 のインセンティブを 与 えること 等 のガイドラインを、 本 年 ので<br />

きるだけ 早 期 に 策 定 する。<br />

・ 停 止 条 件 付 保 証 契 約 、ABL( 動 産 ・ 売 掛 金 担 保 融 資 ) 等 の 代 替 的 な 融<br />

資 手 法 の 充 実 と 利 用 促 進 を 図 る。また、 個 人 保 証 を 免 除 又 は 猶 予 する<br />

融 資 制 度 の 拡 充 ・ 推 進 、 民 間 金 融 機 関 との 連 携 強 化 など 政 府 系 金 融 機<br />

関 等 による 対 応 の 強 化 を 図 る。<br />

○ 既 存 企 業 の 経 営 資 源 の 活 用 (スピンオフ・カーブアウト 支 援 、オープン<br />

イノベーション 推 進 )<br />

・ スピンオフ・カーブアウト 支 援 専 門 チーム( 知 財 、 労 務 、 社 会 保 障 等<br />

の 権 利 処 理 まで 含 めたビジネス 形 成 支 援 )を 直 ちに 本 格 稼 働 させる。<br />

・ この 支 援 専 門 チームや 日 本 政 策 投 資 銀 行 等 による、 事 業 の 目 利 きの 協<br />

働 を 通 じた 既 存 の 経 営 資 源 の 活 用 ・ 組 合 せから 新 たなビジネスを 形 成<br />

する 取 組 及 び 民 間 資 金 の 呼 び 水 となるリスクマネー 供 給 を 一 体 的 に<br />

行 うことにより、オープンイノベーションを 推 進 する。これにより、<br />

「 緊 急 構 造 改 革 期 間 」 中 に、 民 間 において 自 立 的 にベンチャーや 新 事<br />

業 が 生 み 出 される 環 境 の 整 備 を 目 指 す。<br />

4 事 業 再 編 ・ 事 業 組 換 の 促 進<br />

国 内 の 過 当 競 争 構 造 を 解 消 し、 思 い 切 った 投 資 によりイノベーションを 起 こし、<br />

収 益 力 を 飛 躍 的 に 高 めることなどを 通 じて、 例 えば 技 術 でもビジネスでも 世 界 で<br />

勝 ち 抜 く 製 造 業 の 復 活 を 目 指 す。<br />

このため、 事 業 再 編 や 事 業 組 換 を 促 進 し、 経 営 資 源 や 労 働 移 動 の 円 滑 化 を 支 援<br />

する。 特 に、「 攻 め」の 企 業 経 営 に 向 けた 経 営 者 の 思 い 切 った 判 断 をこれまで 以<br />

上 に 強 力 に 促 すため、 株 主 などのステークホルダーからの 経 営 改 善 の 働 きかけを<br />

呼 び 込 む 仕 組 みを 導 入 する 一 方 、 組 織 再 編 に 伴 う 財 務 上 の 負 担 の 軽 減 策 や 失 業 な<br />

き 労 働 移 動 をこれまで 以 上 に 手 厚 く 支 援 する。<br />

- 27 -


○ 収 益 力 の 飛 躍 的 な 向 上 に 向 けた 経 営 改 革 の 促 進<br />

・ 思 い 切 った 投 資 によるイノベーションを 可 能 とするよう、 収 益 力 の 飛<br />

躍 的 な 向 上 に 向 けた 戦 略 的 ・ 抜 本 的 な 事 業 再 編 (スピンオフ・カーブ<br />

アウトを 含 む。)を 強 力 に 促 進 し、こうした 事 業 再 編 を 推 進 する 企 業<br />

に 対 する 税 制 措 置 や 金 融 支 援 などの 支 援 策 を 検 討 し、 必 要 な 措 置 を 講<br />

じる。 一 方 で、その 実 施 状 況 を 厳 しく 検 証 する。<br />

○ 過 剰 供 給 構 造 にある 分 野 での 再 編 の 促 進<br />

・ 「 産 業 競 争 力 強 化 法 ( 仮 称 )」の 策 定 に 併 せて、 過 剰 供 給 ・ 過 当 競 争<br />

構 造 が 長 年 放 置 されてきた 分 野 について、 国 が 指 針 を 策 定 し、その 是<br />

正 に 向 けた 取 組 を 促 すための 枠 組 みを 構 築 する。この 枠 組 みの 下 に、<br />

思 い 切 った 構 造 改 革 に 取 り 組 む 企 業 に 対 し、 失 業 なき 労 働 移 動 の 円 滑<br />

化 のための 措 置 などの 必 要 な 措 置 を 講 ずる。<br />

○コーポレートガバナンスの 強 化<br />

・ 攻 めの 会 社 経 営 を 後 押 しすべく、 社 外 取 締 役 の 機 能 を 積 極 活 用 するこ<br />

ととする。このため、 会 社 法 改 正 案 を 早 期 に 国 会 に 提 出 し、 独 立 性 の<br />

高 い 社 外 取 締 役 の 導 入 を 促 進 するための 措 置 を 講 ずるなど、 少 なくと<br />

も 一 人 以 上 の 社 外 取 締 役 の 確 保 に 向 けた 取 組 を 強 化 する。<br />

・ 企 業 の 持 続 的 な 成 長 を 促 す 観 点 から、 幅 広 い 範 囲 の 機 関 投 資 家 が 企 業<br />

との 建 設 的 な 対 話 を 行 い、 適 切 に 受 託 者 責 任 を 果 たすための 原 則 につ<br />

いて、 我 が 国 の 市 場 経 済 システムに 関 する 経 済 財 政 諮 問 会 議 の 議 論 も<br />

踏 まえながら 検 討 を 進 め、 年 内 に 取 りまとめる。<br />

・ 収 益 力 の 低 い 事 業 の 長 期 放 置 を 是 正 するため、 企 業 における 経 営 改 善<br />

や 事 業 再 編 を 促 すための 施 策 について、 経 済 産 業 省 ほか 関 係 省 庁 にお<br />

ける 検 討 を 加 速 する。<br />

・ 国 内 の 証 券 取 引 所 に 対 し、 上 場 基 準 における 社 外 取 締 役 の 位 置 付 けや、<br />

収 益 性 や 経 営 面 での 評 価 が 高 い 銘 柄 のインデックスの 設 定 など、コー<br />

ポレートガバナンスの 強 化 につながる 取 組 を 働 きかける。<br />

○ 事 業 引 継 ぎ、 事 業 承 継 の 支 援<br />

・ 現 在 7か 所 の 設 置 に 留 まっている 事 業 引 継 ぎや 事 業 承 継 等 のワンス<br />

トップ 窓 口 である「 事 業 引 継 ぎ 支 援 センター」を 全 国 展 開 し、 地 域 金<br />

融 機 関 等 との 連 携 を 通 じた 事 業 引 継 ぎのマッチング 等 を 促 進 する。<br />

・ 経 営 者 本 人 による 保 証 について、 法 人 の 事 業 資 産 と 経 営 者 個 人 の 資 産<br />

が 明 確 に 分 離 されている 場 合 等 、 一 定 の 条 件 を 満 たす 場 合 には 保 証 を<br />

求 めないこと 等 に 関 するガイドラインの 策 定 、 政 府 系 金 融 機 関 等 によ<br />

る 個 人 保 証 を 免 除 又 は 猶 予 する 融 資 制 度 の 活 用 等 を 通 じて、 事 業 承 継<br />

時 の 経 営 者 の 個 人 保 証 の 負 担 感 の 軽 減 を 図 る。<br />

- 28 -


5グローバルトップ 企 業 を 目 指 した 海 外 展 開 促 進<br />

事 業 再 編 や 事 業 組 換 等 の 取 組 により 収 益 性 を 飛 躍 的 に 向 上 させた 企 業 が、 果 敢<br />

に 海 外 M&A や 海 外 展 開 を 進 め、グローバルトップ 企 業 ( 世 界 市 場 におけるクリテ<br />

ィカルマスを 獲 得 する 企 業 (グローバルメジャー)や 世 界 的 な 大 企 業 ではなくと<br />

も、 特 定 分 野 に 優 れ 世 界 で 存 在 感 を 示 す 企 業 (グローバルニッチトップ)をいう。)<br />

となれるよう、 金 銭 面 や 人 材 面 での 集 中 的 な 支 援 を 行 う。<br />

また、 海 外 に 展 開 した 企 業 が 海 外 において 事 業 活 動 をする 上 でのリスクを 軽 減<br />

できるよう 支 援 を 行 う。<br />

○ 海 外 M&A・ 海 外 展 開 の 促 進<br />

・ グローバルトップ 企 業 への 成 長 のための 金 融 措 置 等 の 支 援 措 置 の 創<br />

設 について、 本 年 8 月 末 までに 検 討 を 進 め 結 論 を 得 た 上 で、 法 制 上 の<br />

措 置 等 必 要 な 措 置 を 講 じる。<br />

・ グローバルニッチトップを 目 指 す 中 堅 ・ 中 小 企 業 等 に 対 し、 海 外 市 場<br />

に 乗 り 出 す 際 に 必 要 となる 資 本 性 資 金 や 長 期 資 金 を、 政 府 系 金 融 機 関<br />

等 のノウハウを 活 用 して 重 点 的 に 供 給 する。<br />

・ 日 本 企 業 による 海 外 M&A 等 の 海 外 展 開 を 幅 広 く 支 援 することを 目 的 と<br />

して 本 年 創 設 された( 株 ) 国 際 協 力 銀 行 (JBIC)の「 海 外 展 開 支 援 出<br />

資 ファシリティ」 及 び「 海 外 展 開 支 援 融 資 ファシリティ」の 活 用 を 推<br />

進 する<br />

・ 中 小 企 業 の 国 際 的 な 知 的 財 産 戦 略 を 支 援 する( 特 許 出 願 に 係 る 費 用 減<br />

免 など)。<br />

○ 海 外 事 業 のリスク 軽 減<br />

・ 日 本 企 業 の 海 外 での 事 業 活 動 に 伴 うリスクを 軽 減 し、これを 円 滑 化 す<br />

るため、 民 間 の 保 険 では 提 供 できない 分 野 において、 貿 易 保 険 の 機 能<br />

強 化 に 向 けた 貿 易 保 険 制 度 の 改 正 について、 早 期 に 検 討 を 進 め 結 論 を<br />

得 た 上 で、 法 制 上 の 措 置 等 必 要 な 措 置 を 講 じる。<br />

2. 雇 用 制 度 改 革 ・ 人 材 力 の 強 化<br />

経 済 のグローバル 化 や 少 子 高 齢 化 の 中 で、 今 後 、 経 済 を 新 たな 成 長 軌 道 に 乗 せる<br />

ためには、 人 材 こそが 我 が 国 の 最 大 の 資 源 であるという 認 識 に 立 って、 働 き 手 の 数<br />

( 量 )の 確 保 と 労 働 生 産 性 ( 質 )の 向 上 の 実 現 に 向 けた 思 い 切 った 政 策 を、その 目<br />

標 ・ 期 限 とともに 具 体 化 する 必 要 がある。<br />

このため、 少 子 化 対 策 に 直 ちに 取 り 組 むと 同 時 に、20∼64 歳 の 就 業 率 を 現 在 の 75%<br />

から 2020 年 までに 80%とすることを 目 標 として 掲 げ、 世 界 水 準 の 高 等 教 育 や 失 業 な<br />

き 労 働 移 動 の 実 現 を 進 める 一 方 で、 若 者 ・ 女 性 ・ 高 齢 者 等 の 活 躍 の 機 会 を 拡 大 する。<br />

これにより、 全 ての 人 材 が 能 力 を 高 め、その 能 力 を 存 分 に 発 揮 できる「 全 員 参 加 の<br />

社 会 」を 構 築 する。<br />

- 29 -


1 行 き 過 ぎた 雇 用 維 持 型 から 労 働 移 動 支 援 型 への 政 策 転 換 ( 失 業 なき 労 働 移 動 の<br />

実 現 )<br />

リーマンショック 以 降 の 急 激 な 雇 用 情 勢 の 悪 化 に 対 応 するために 拡 大 した 雇<br />

用 維 持 型 の 政 策 を 改 め、 個 人 が 円 滑 に 転 職 等 を 行 い、 能 力 を 発 揮 し、 経 済 成 長 の<br />

担 い 手 として 活 躍 できるよう、 能 力 開 発 支 援 を 含 めた 労 働 移 動 支 援 型 の 政 策 に 大<br />

胆 に 転 換 する。これらにより、 今 後 5 年 間 で、 失 業 期 間 6か 月 以 上 の 者 の 数 を2<br />

割 減 少 させ、 転 職 入 職 率 (※)(パートタイムを 除 く 一 般 労 働 者 )を9%とするこ<br />

とを 目 標 とする。<br />

※ 転 職 入 職 率 とは、 在 籍 者 に 対 する 転 職 入 職 者 ( 入 職 者 のうち、 入 職 前 1 年 間 に 就 業 経 験 のある 者 )<br />

の 割 合 のことをいう(2011 年 7.4%。1975 年 以 降 の 最 高 値 9.2%。)。<br />

○ 労 働 移 動 支 援 助 成 金 の 抜 本 的 拡 充 等<br />

・ 雇 用 調 整 助 成 金 (2012 年 度 実 績 額 約 1,134 億 円 )から 労 働 移 動 支 援 助<br />

成 金 (2012 年 度 実 績 額 2.4 億 円 )に 大 胆 に 資 金 をシフトさせることに<br />

より、2015 年 度 までに 予 算 規 模 を 逆 転 させる。 本 年 8 月 末 までに 検 討<br />

を 進 め 結 論 を 得 た 上 で、 概 算 要 求 等 に 反 映 させる。<br />

- 対 象 企 業 を 中 小 企 業 だけでなく 大 企 業 に 拡 大 する。<br />

- 送 り 出 し 企 業 が 民 間 人 材 ビジネスの 訓 練 を 活 用 した 場 合 の 助 成 措<br />

置 を 創 設 する。<br />

- 支 給 時 期 を 支 援 委 託 時 と 再 就 職 実 現 時 の2 段 階 にする。<br />

- 受 入 れ 企 業 の 行 う 訓 練 (OJT を 含 む)への 助 成 措 置 を 創 設 する。<br />

- キャリアチェンジを 伴 う 労 働 移 動 を 成 功 させるためのキャリアコ<br />

ンサルティング 技 法 の 開 発 等 を 推 進 する。<br />

○ 若 者 等 の 学 び 直 しの 支 援 のための 雇 用 保 険 制 度 の 見 直 し<br />

・ 非 正 規 雇 用 労 働 者 である 若 者 等 がキャリアアップ・キャリアチェンジ<br />

できるよう、 資 格 取 得 等 につながる 自 発 的 な 教 育 訓 練 の 受 講 を 始 め、<br />

社 会 人 の 学 び 直 しを 促 進 するために 雇 用 保 険 制 度 を 見 直 す。 労 働 政 策<br />

審 議 会 で 検 討 を 行 い、 次 期 通 常 国 会 への 改 正 法 案 の 提 出 を 目 指 す。あ<br />

わせて、 従 業 員 の 学 び 直 しプログラムの 受 講 を 支 援 する 事 業 主 への 経<br />

費 助 成 による 支 援 策 を 講 ずる。<br />

○ 公 益 財 団 法 人 産 業 雇 用 安 定 センターの 出 向 ・ 移 籍 あっせん 機 能 の 強 化<br />

・ 出 向 ・ 移 籍 による 失 業 なき 労 働 移 動 を 支 援 するため、キャリアコンサ<br />

ルティングの 実 施 、 個 人 の 課 題 に 応 じた 支 援 メニューの 策 定 、 民 間 の<br />

訓 練 機 関 を 活 用 した 講 習 ・ 訓 練 の 実 施 等 、 産 業 雇 用 安 定 センターのあ<br />

っせん 機 能 を 大 幅 に 強 化 する。<br />

2 民 間 人 材 ビジネスの 活 用 によるマッチング 機 能 の 強 化<br />

ハローワークの 情 報 等 の 民 間 開 放 を 図 りながら、 学 卒 未 就 職 者 等 の 若 者 や 復 職<br />

を 希 望 する 女 性 等 の 幅 広 いニーズに 迅 速 ・ 効 果 的 に 応 えられるよう、 民 間 人 材 ビ<br />

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ジネスを 最 大 限 に 活 用 する。<br />

○ハローワークの 求 人 ・ 求 職 情 報 の 開 放 等<br />

・ ハローワークの 保 有 する 求 人 情 報 を、 民 間 人 材 ビジネスや 地 方 自 治 体<br />

に 対 して、 来 年 度 中 のできるだけ 早 期 に 提 供 を 開 始 するなど、 多 様 な<br />

サービスを 提 供 可 能 にする。 本 年 8 月 末 までに 検 討 を 進 め 結 論 を 得 た<br />

上 で、 必 要 な 措 置 を 講 じる。<br />

・ ハローワークの 保 有 する 求 職 情 報 の 開 放 について、 求 職 者 や 民 間 人 材<br />

ビジネスに 対 するニーズ 調 査 を 直 ちに 実 施 し、 本 年 末 を 目 途 に 結 論 を<br />

得 る。また、ハローワークの 求 職 者 が 民 間 人 材 ビジネスの 活 用 を 希 望<br />

する 場 合 の 円 滑 な 誘 導 支 援 を 速 やかに 開 始 する。<br />

・ ハローワーク 特 区 等 の 経 験 に 基 づき、 自 治 体 の 意 向 を 踏 まえハローワ<br />

ークと 地 方 自 治 体 の 職 業 紹 介 機 関 等 の 連 携 強 化 を 全 国 展 開 する。<br />

○トライアル 雇 用 奨 励 金 等 の 改 革 ・ 拡 充<br />

・ トライアル 雇 用 奨 励 金 (2012 年 度 支 給 対 象 者 数 約 5.6 万 人 ) 等 の 雇 入<br />

れ 助 成 金 について、ハローワークの 紹 介 に 加 え、 民 間 人 材 ビジネスや<br />

出 身 大 学 等 の 紹 介 により 雇 い 入 れる 事 業 者 にも 支 給 する。<br />

・ トライアル 雇 用 奨 励 金 について、 従 来 主 な 対 象 とされていたニート・<br />

フリーターに 加 えて、 学 卒 未 就 職 者 、 育 児 等 でキャリアブランクがあ<br />

る 人 等 、トライアル 雇 用 を 受 けなければ 正 社 員 就 職 が 難 しいと 認 めら<br />

れる 者 にも 対 象 を 拡 大 する。8 月 末 までに 検 討 を 進 め 結 論 を 得 た 上 で、<br />

概 算 要 求 等 に 反 映 させる。<br />

○ 民 間 人 材 ビジネスの 更 なる 活 用<br />

・ カウンセリング、 職 業 訓 練 、 就 職 あっせん 等 のうち、 以 下 の 業 務 に 民<br />

間 人 材 ビジネスを 最 大 限 活 用 し、 効 果 的 な 就 業 支 援 が 行 えるよう、 本<br />

年 8 月 末 までに 検 討 を 進 め 結 論 を 得 た 上 で、 概 算 要 求 等 に 反 映 する。<br />

- フリーター 等 のきめ 細 かいカウンセリングが 必 要 な 人 に 対 する<br />

キャリアカウンセリングやジョブ・カード 交 付 等 (2012 年 度 の 全<br />

国 のハローワークでのジョブ・カード 交 付 件 数 約 2.1 万 件 )<br />

- 学 卒 未 就 職 者 等 について、 紹 介 予 定 派 遣 (※)を 活 用 した 正 社 員<br />

就 職 支 援<br />

- 育 児 ・ 介 護 等 で 仕 事 の 現 場 を 離 れていた 人 に 対 する 研 修 と 職 業 紹<br />

介 の 一 体 的 実 施<br />

※ 紹 介 予 定 派 遣 とは、 一 定 の 派 遣 期 間 を 経 過 した 後 に、 派 遣 先 への 職 業 紹 介 を 予 定 して 行<br />

われる 労 働 者 派 遣 のことをいう。<br />

- 31 -


3 多 様 な 働 き 方 の 実 現<br />

個 人 が、それぞれのライフスタイルや 希 望 に 応 じて、 社 会 での 活 躍 の 場 を 見 出<br />

せるよう、 柔 軟 で 多 様 な 働 き 方 が 可 能 となる 制 度 見 直 し 等 を 進 める。<br />

○ 労 働 時 間 法 制 の 見 直 し<br />

・ 企 画 業 務 型 裁 量 労 働 制 を 始 め、 労 働 時 間 法 制 について、 早 急 に 実 態 調<br />

査 ・ 分 析 を 実 施 し、 本 年 秋 から 労 働 政 策 審 議 会 で 検 討 を 開 始 する。ワ<br />

ーク・ライフ・バランスや 労 働 生 産 性 向 上 の 観 点 から、 総 合 的 に 議 論<br />

し、1 年 を 目 途 に 結 論 を 得 る。<br />

○ 研 究 者 等 への 労 働 契 約 法 をめぐる 課 題 に 関 する 検 討<br />

・ 労 働 契 約 法 の 若 手 研 究 者 のキャリア 形 成 に 対 する 影 響 を 懸 念 する 指<br />

摘 もあることから、 研 究 現 場 の 実 態 を 踏 まえ、 研 究 者 等 のキャリアパ<br />

ス、 大 学 における 人 事 労 務 管 理 の 在 り 方 など 労 働 契 約 法 をめぐる 課 題<br />

について 関 係 省 が 連 携 して 直 ちに 検 討 を 開 始 し、1 年 を 目 途 に 可 能 な<br />

限 り 早 急 に 結 論 を 得 て、 必 要 な 措 置 を 講 じる。<br />

○ 労 働 者 派 遣 制 度 の 見 直 し<br />

・ 登 録 型 派 遣 ・ 製 造 業 務 派 遣 の 在 り 方 、いわゆる 専 門 26 業 務 に 該 当 す<br />

るかどうかによって 派 遣 期 間 の 取 扱 いが 大 きく 変 わる 現 行 制 度 の 在<br />

り 方 等 に 関 して 有 識 者 による 検 討 を 進 め、8 月 末 までを 目 途 に 取 りま<br />

とめる。さらに、 労 働 政 策 審 議 会 で 議 論 を 行 った 上 で、 早 期 に 必 要 な<br />

法 制 上 の 措 置 を 講 じる。<br />

あわせて、 派 遣 労 働 者 のキャリア 形 成 を 支 援 するモデル 的 な 取 組 を 推<br />

進 する。<br />

○「 多 元 的 で 安 心 できる 働 き 方 」の 導 入 促 進<br />

・ 職 務 等 に 着 目 した「 多 様 な 正 社 員 」モデルの 普 及 ・ 促 進 を 図 るため、<br />

成 功 事 例 の 収 集 、 周 知 ・ 啓 発 を 行 うとともに、 有 識 者 懇 談 会 を 今 年 度<br />

中 に 立 ち 上 げ、 労 働 条 件 の 明 示 等 、 雇 用 管 理 上 の 留 意 点 について 来 年<br />

度 中 のできるだけ 早 期 に 取 りまとめ、 速 やかに 周 知 を 図 る。これらの<br />

取 組 により 企 業 での 試 行 的 な 導 入 を 促 進 する。<br />

・ 業 界 検 定 等 の 能 力 評 価 の 仕 組 みを 整 備 し、 職 業 能 力 の「 見 える 化 」を<br />

促 進 する。<br />

○ 持 続 的 な 経 済 成 長 に 向 けた 最 低 賃 金 の 引 上 げのための 環 境 整 備<br />

・ 全 ての 所 得 層 での 賃 金 上 昇 と 企 業 収 益 向 上 の 好 循 環 を 実 現 できるよ<br />

う、 今 後 の 経 済 運 営 を 見 据 え、 最 低 賃 金 の 引 上 げに 努 める。その 際 、<br />

中 小 企 業 ・ 小 規 模 事 業 者 の 生 産 性 向 上 等 のための 支 援 を 拡 充 する。<br />

- 32 -


4 女 性 の 活 躍 推 進<br />

出 産 ・ 子 育 て 等 による 離 職 を 減 少 させるとともに、 指 導 的 地 位 に 占 める 女 性 の<br />

割 合 の 増 加 を 図 り、 女 性 の 中 に 眠 る 高 い 能 力 を 十 分 に 開 花 させ、 活 躍 できるよう<br />

にすることは、 成 長 戦 略 の 中 核 である。「 若 者 ・ 女 性 活 躍 推 進 フォーラム」の 提<br />

言 を 踏 まえつつ、 女 性 が 活 躍 できる 環 境 整 備 を 推 進 する。<br />

こうした 取 組 により、「M 字 カーブ 問 題 」の 解 消 に 向 け、2020 年 の 就 業 率 を、<br />

<strong>25</strong> から 44 歳 の 女 性 については 73%(2012 年 の 水 準 から 約 5ポイント 向 上 )とす<br />

ることを 目 指 す。<br />

○ 女 性 の 活 躍 促 進 や 仕 事 と 子 育 て 等 の 両 立 支 援 に 取 り 組 む 企 業 に 対 するイ<br />

ンセンティブ 付 与 等<br />

・ 企 業 への 助 成 金 制 度 や 税 制 上 の 措 置 の 活 用 等 による 支 援 等 の 充 実 、 公<br />

共 調 達 を 通 じた 取 組 、 好 事 例 を 顕 彰 する 仕 組 みの 拡 充 を 進 めるととも<br />

に、 役 員 や 管 理 職 への 登 用 拡 大 ( 全 上 場 企 業 においてまずは 役 員 に 一<br />

人 は 女 性 を 登 用 )に 向 けた 働 きかけやキャンペーン、 登 用 状 況 の 開 示<br />

促 進 、 女 性 人 材 のデータベース 化 等 を 行 う。<br />

○ 女 性 のライフステージに 対 応 した 活 躍 支 援<br />

・ 子 どもが3 歳 になるまでは、 希 望 する 男 女 が 育 児 休 業 や 短 時 間 勤 務 を<br />

選 択 しやすいよう、 職 場 環 境 の 整 備 を 働 きかけるとともに、 育 児 休 業<br />

中 や 復 職 後 の 能 力 アップに 取 り 組 む 企 業 への 助 成 制 度 を 創 設 する。<br />

・ 育 休 復 帰 支 援 プラン( 仮 称 )の 策 定 支 援 等 を 行 うほか、 来 年 度 末 で 期<br />

限 切 れとなる 次 世 代 育 成 支 援 対 策 推 進 法 の 延 長 ・ 強 化 を 検 討 する。ま<br />

た、 特 に 仕 事 と 子 育 て 等 の 両 立 が 困 難 な 女 性 研 究 者 等 を 支 援 するほか、<br />

「イクメン」の 普 及 等 、 男 性 の 家 事 ・ 育 児 等 への 参 画 を 促 進 する。<br />

・ インターンシップやトライアル 雇 用 制 度 の 活 用 、マザーズハローワー<br />

クの 充 実 等 による 再 就 職 に 向 けた 総 合 的 な 支 援 、 母 子 家 庭 の 母 等 への<br />

就 業 支 援 、 社 会 人 の 学 び 直 し 支 援 等 を 行 うほか、 資 金 調 達 や 経 営 ノウ<br />

ハウの 支 援 等 により、 地 域 に 根 差 したものから 世 界 にチャレンジする<br />

ものも 含 め、 女 性 の 起 業 等 を 促 進 する。<br />

・ 少 子 化 社 会 の 問 題 は 社 会 経 済 の 根 幹 を 揺 るがしかねない 状 況 に 直 面<br />

していることから、 子 育 て 支 援 強 化 、 働 き 方 改 革 に 加 え、「 少 子 化 危<br />

機 突 破 のための 緊 急 対 策 」( 本 年 6 月 7 日 少 子 化 社 会 対 策 会 議 決 定 )<br />

に 基 づき、 妊 娠 ・ 出 産 等 に 関 する 情 報 提 供 や 産 後 ケアの 強 化 など、 結<br />

婚 ・ 妊 娠 ・ 出 産 に 関 する 支 援 を 総 合 的 に 行 う。<br />

○ 男 女 が 共 に 仕 事 と 子 育 て 等 を 両 立 できる 環 境 の 整 備<br />

・ テレワークの 普 及 に 向 けた 新 たなモデル 確 立 のための 実 証 事 業 の 実<br />

施 等 による 多 様 で 柔 軟 な 働 き 方 の 推 進 や、 長 時 間 労 働 の 抑 制 、 教 育 ・<br />

啓 発 活 動 の 推 進 等 ワーク・ライフ・バランスの 更 なる 推 進 を 図 るとと<br />

もに、ベビーシッターやハウスキーパーなどの 経 費 負 担 の 軽 減 に 向 け<br />

- 33 -


た 方 策 を 検 討 する。また、 働 き 方 の 選 択 に 関 して 中 立 的 な 税 制 ・ 社 会<br />

保 障 制 度 の 検 討 を 行 う。<br />

・ 「 放 課 後 子 どもプラン」に 基 づき、 放 課 後 児 童 クラブと 放 課 後 子 ども<br />

教 室 の 充 実 及 びその 連 携 を 推 進 する。<br />

○ 公 務 員 における 女 性 の 採 用 ・ 登 用 の 拡 大 等 の 取 組 の 促 進<br />

・ 「 隗 より 始 めよ」の 観 点 から、 女 性 の 採 用 ・ 登 用 の 促 進 や、 男 女 の 仕<br />

事 と 子 育 て 等 の 両 立 支 援 について、まずは 公 務 員 から 率 先 して 取 り 組<br />

む。<br />

特 に、 待 機 児 童 問 題 が 女 性 等 の 活 躍 ・ 社 会 進 出 の 妨 げとなっており、 保 育 の 充<br />

実 等 を 図 ることが 喫 緊 の 課 題 である。このため、 質 の 高 い 幼 児 教 育 ・ 保 育 の 総 合<br />

的 な 提 供 や、 地 域 の 子 育 て 支 援 等 の 家 族 への 支 援 の 充 実 等 を 内 容 とする「 子 ど<br />

も・ 子 育 て 支 援 新 制 度 」の 着 実 な 実 施 に 向 けた 取 組 を 進 めるとともに、2 年 後 の<br />

新 制 度 のスタートを 待 たずに、 地 方 自 治 体 に 対 してできる 限 りの 支 援 策 を 講 じる<br />

ため、 本 年 度 から5 年 間 、「 待 機 児 童 解 消 加 速 化 プラン」を 展 開 する。 今 後 2 年<br />

間 で 約 20 万 人 分 、 保 育 ニーズのピークを 迎 える 2017 年 度 末 までに、 潜 在 的 な 保<br />

育 ニーズを 含 め、 約 40 万 人 分 の 保 育 の 受 け 皿 を 新 たに 確 保 し、 保 育 の 質 を 確 保<br />

しつつ、「 待 機 児 童 ゼロ」を 目 指 す。その 際 、 社 会 福 祉 法 人 はもとより、 株 式 会<br />

社 を 含 む 多 様 な 主 体 でスピード 感 をもった 施 設 整 備 を 推 進 する。<br />

○ 緊 急 プロジェクト( 本 年 度 ・ 来 年 度 )<br />

・ 「 待 機 児 童 解 消 加 速 化 プラン」の 実 施 期 間 のうち、 本 年 度 ・ 来 年 度 を<br />

「 緊 急 集 中 取 組 期 間 」と 位 置 付 け、5 本 の 柱 からなる 支 援 パッケージ<br />

により、 意 欲 のある 地 方 自 治 体 を 強 力 に 支 援 する。<br />

1 賃 貸 方 式 や 国 有 地 も 活 用 した 保 育 所 整 備 (「ハコ」)<br />

- 施 設 整 備 費 の 積 み 増 し。 都 市 部 に 適 した 賃 貸 方 式 の 活 用 。<br />

2 保 育 の 量 拡 大 を 支 える 保 育 士 確 保 (「ヒト」)<br />

- 潜 在 保 育 士 の 復 帰 促 進 、 処 遇 改 善 、 認 可 外 保 育 施 設 で 働 く 無 資<br />

格 者 の 保 育 士 資 格 取 得 支 援 。<br />

3 小 規 模 保 育 事 業 など 新 制 度 の 先 取 り<br />

- 小 規 模 保 育 、 幼 稚 園 での 長 時 間 預 かり 保 育 など 新 制 度 を 先 取 り<br />

して 実 施 ( 即 効 性 ある 受 け 皿 の 確 保 )。<br />

4 認 可 を 目 指 す 認 可 外 保 育 施 設 への 支 援<br />

- 改 修 費 、 賃 貸 料 、 移 転 費 、 資 格 取 得 費 、 運 営 費 等 を 国 が 支 援 し、<br />

質 の 確 保 された 認 可 保 育 所 へ5 年 間 で 計 画 的 に 移 行 。<br />

5 事 業 所 内 保 育 施 設 への 支 援<br />

- 「 自 社 労 働 者 の 子 を 半 数 以 上 」とする 助 成 要 件 の 緩 和 。<br />

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○ 屋 外 階 段 設 置 要 件 の 見 直 し<br />

・ 事 業 所 内 保 育 施 設 を4 階 以 上 に 設 置 する 場 合 の 避 難 用 の 屋 外 階 段 設<br />

置 要 件 ( 国 の 助 成 要 件 )について、 地 方 自 治 体 の 認 可 保 育 所 の 設 置 基<br />

準 条 例 に 合 わせる 見 直 しを 直 ちに 行 う。また、 国 が 定 める 認 可 保 育 所<br />

の 設 備 基 準 について、 同 等 の 安 全 性 と 代 替 手 段 を 前 提 として 緩 和 がな<br />

されるよう、 合 理 的 な 程 度 の 避 難 基 準 の 範 囲 及 び 代 替 手 段 について、<br />

今 年 度 中 に 検 討 し 結 論 を 得 る。<br />

5 若 者 ・ 高 齢 者 等 の 活 躍 推 進<br />

全 ての 人 が 意 欲 さえあれば 活 躍 できるような「 全 員 参 加 の 社 会 」の 構 築 を 目 指<br />

す。 特 に、 我 が 国 の 将 来 を 担 う 若 者 全 てがその 能 力 を 存 分 に 伸 ばし、 世 界 に 勝 て<br />

る 若 者 を 育 てることが 重 要 であり、 若 者 ・ 女 性 活 躍 推 進 フォーラムの 提 言 を 踏 ま<br />

えつつ、 成 長 の 原 動 力 としての 若 者 の 活 躍 を 促 進 する。<br />

○ 若 者 の 活 躍 推 進<br />

・ インターンシップに 参 加 する 学 生 の 数 の 目 標 設 定 を 行 った 上 で、 地 域<br />

の 大 学 等 と 産 業 界 との 調 整 を 行 う 仕 組 みを 構 築 し、インターンシップ、<br />

地 元 企 業 の 研 究 、マッチングの 機 会 の 拡 充 を 始 め、キャリア 教 育 から<br />

就 職 まで 一 貫 して 支 援 する 体 制 を 強 化 する。また、 関 係 団 体 等 の 意 見<br />

を 踏 まえつつ、インターンシップの 活 用 の 重 要 性 等 を 周 知 し、その 推<br />

進 を 図 る。さらに、 若 者 等 が 経 済 状 況 にかかわらず 大 学 等 で 学 ぶこと<br />

ができるよう、 奨 学 金 制 度 を 充 実 する。<br />

・ 就 職 活 動 から 入 社 後 の 能 力 開 発 に 至 るまでの 一 貫 した 支 援 として、 詳<br />

細 な 採 用 情 報 等 を 公 開 し 積 極 的 に 若 者 を 採 用 ・ 育 成 する「 若 者 応 援 企<br />

業 」の 普 及 拡 大 ・ 情 報 発 信 の 強 化 を 図 るほか、 既 卒 3 年 新 卒 扱 い、 新<br />

卒 応 援 ハローワーク 等 を 通 じた 中 小 企 業 と 学 生 とのマッチング 強 化 、<br />

若 手 社 員 の 訓 練 を 行 う 中 小 企 業 団 体 に 対 する 新 たな 支 援 、 紹 介 予 定 派<br />

遣 を 活 用 した 学 卒 未 就 職 者 への 就 職 支 援 【 再 掲 】、 及 び 就 職 後 の 定 着<br />

への 支 援 を 行 う。<br />

・ 過 重 労 働 や 賃 金 不 払 残 業 など 若 者 の「 使 い 捨 て」が 疑 われる 企 業 につ<br />

いて、 相 談 体 制 、 情 報 発 信 、 監 督 指 導 等 の 対 応 策 を 強 化 する。<br />

・ 地 域 の 中 小 企 業 等 が、 未 来 の 地 域 経 済 を 支 える 人 材 を 共 同 で 育 成 する<br />

仕 組 みを 構 築 し、 企 業 間 での 出 向 の 円 滑 化 や 合 同 新 人 研 修 等 を 実 施 す<br />

ることに 対 する 支 援 を 行 う。<br />

・ ビジネスコンテスト 等 も 活 用 しながら 起 業 の 促 進 を 図 るため、ポータ<br />

ルサイトによる 情 報 発 信 、 専 門 家 によるサポート 体 制 の 整 備 を 推 進 す<br />

るほか、クラウド・ファンディング 等 を 活 用 した 効 果 的 な 資 金 供 給 の<br />

在 り 方 を 検 討 する。<br />

・ わかものハローワークの 充 実 、 地 域 レベルの 産 学 官 コンソーシアムの<br />

組 成 による 就 職 可 能 性 を 高 める 訓 練 コースの 開 発 ・ 実 施 等 によるフリ<br />

ーター 等 の 正 規 雇 用 化 支 援 や、NPO 等 による 就 労 に 向 けた 相 談 支 援 な<br />

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どニートの 就 労 支 援 を 実 施 する。<br />

・ 学 修 時 間 の 確 保 、 留 学 等 促 進 のための、2015 年 度 卒 業 ・ 修 了 予 定 者 か<br />

らの 就 職 ・ 採 用 活 動 開 始 時 期 変 更 ( 広 報 活 動 は 卒 業 ・ 修 了 年 度 に 入 る<br />

直 前 の3 月 1 日 以 降 に 開 始 し、その 後 の 採 用 選 考 活 動 については、 卒<br />

業 ・ 修 了 年 度 の8 月 1 日 以 降 に 開 始 )について、 中 小 企 業 の 魅 力 発 信<br />

等 、 円 滑 な 実 施 に 向 けた 取 組 を 行 う。<br />

・ ハローワークの 民 間 活 用 【 再 掲 】<br />

・ 大 学 、 大 学 院 、 専 門 学 校 等 が 産 業 界 と 協 働 して、 高 度 な 人 材 や 中 核 的<br />

な 人 材 の 育 成 等 を 行 うオーダーメード 型 の 職 業 教 育 プログラムを 新<br />

たに 開 発 ・ 実 施 するとともに、プログラム 履 修 者 への 支 援 を 行 うなど、<br />

社 会 人 の 学 び 直 しを 推 進 する。また、 高 等 専 門 学 校 について、 地 域 や<br />

産 業 界 との 連 携 を 深 めつつ、 社 会 や 企 業 のニーズを 踏 まえた 学 科 再 編<br />

などを 促 進 する。また、 若 者 等 の 学 び 直 しの 支 援 のための 奨 学 金 制 度<br />

の 弾 力 的 運 用 や 雇 用 保 険 制 度 の 見 直 し 等 を 行 う。<br />

○ 高 齢 者 等 の 活 躍 推 進<br />

・ 生 涯 現 役 社 会 の 実 現 に 向 けて、 高 齢 者 の 継 続 雇 用 に 取 り 組 む 中 小 企 業<br />

に 対 する 職 域 開 発 等 の 支 援 を 行 うとともに、 高 齢 者 等 の 再 就 職 支 援 の<br />

強 化 、 地 域 の 多 様 なニーズとのマッチングによるモデル 的 な 就 労 促 進<br />

の 取 組 への 支 援 等 を 実 施 する。<br />

・ 障 害 者 、 難 病 患 者 、がん 患 者 等 の 就 労 支 援 を 始 めとした 社 会 参 加 の 支<br />

援 を 推 進 する。<br />

6 大 学 改 革<br />

大 学 改 革 全 般 に 関 する「 教 育 再 生 実 行 会 議 」の 提 言 を 踏 まえつつ、 国 立 大 学 に<br />

ついて、 産 業 競 争 力 強 化 の 観 点 から、グローバル 化 による 世 界 トップレベルの 教<br />

育 の 実 現 、 産 学 連 携 、イノベーション 人 材 育 成 、 若 手 ・ 外 国 人 研 究 者 の 活 用 拡 大<br />

等 を 目 指 す。このため、 大 学 評 価 システムの 構 築 、 大 学 や 学 部 の 枠 を 越 えた 教 員<br />

ポスト・ 予 算 等 の 資 源 再 配 分 及 び 組 織 再 編 、 大 学 内 の 資 源 配 分 の 可 視 化 、 外 国 人<br />

研 究 者 の 大 量 採 用 、 年 俸 制 の 本 格 導 入 、 企 業 等 の 外 部 からの 資 金 を 活 用 した 混 合<br />

給 与 などの 人 事 給 与 システムの 改 革 、 運 営 費 交 付 金 の 戦 略 的 ・ 重 点 的 配 分 の 拡 充<br />

に 直 ちに 着 手 する。 今 後 3 年 間 で 大 胆 で 先 駆 的 な 改 革 を 後 押 しして 改 革 を 加 速 し、<br />

第 3 期 中 期 目 標 期 間 (2016 年 度 から) 開 始 までに 改 革 を 完 成 させる 具 体 的 ・ 包 括<br />

的 な 改 革 プランを 早 急 に 取 りまとめる。<br />

また、 必 要 な 制 度 の 見 直 しを 行 い、 世 界 と 競 う「スーパーグローバル 大 学 ( 仮<br />

称 )」を 創 設 する。 今 後 10 年 間 で 世 界 大 学 ランキングトップ 100 に 我 が 国 の 大 学<br />

が 10 校 以 上 入 ることを 目 指 す。<br />

○ 人 材 ・ 教 育 システムのグローバル 化 による 世 界 トップレベル 大 学 群 の 形 成<br />

・ 人 材 ・ 教 育 システムのグローバル 化 、 英 語 による 授 業 拡 大 など、 積 極<br />

的 に 改 革 を 進 める 大 学 への 支 援 の 重 点 化 に 直 ちに 着 手 する。<br />

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○イノベーション 機 能 の 抜 本 強 化 と 理 工 系 人 材 の 育 成<br />

・ 産 業 界 との 対 話 を 進 め、 今 年 度 内 に、 教 育 の 充 実 と 質 保 証 や 理 工 系 人<br />

材 の 確 保 を 内 容 とする 理 工 系 人 材 育 成 戦 略 を 策 定 し、「 産 学 官 円 卓 会<br />

議 ( 仮 称 )」を 新 たに 設 置 して 同 戦 略 を 推 進 する。<br />

・ 今 後 10 年 間 で 20 以 上 の 大 学 発 新 産 業 創 出 を 目 指 し、 国 立 大 学 のイノ<br />

ベーション 機 能 を 強 化 するため、 国 立 大 学 による 大 学 発 ベンチャー 支<br />

援 ファンド 等 への 出 資 を 可 能 とする。このため、 所 要 の 法 案 を 速 やか<br />

に 国 会 に 提 出 する。<br />

○ 人 事 給 与 システム 改 革 による 優 秀 な 若 手 及 び 外 国 人 研 究 者 の 活 躍 の 場 の 拡 大<br />

・ 今 後 3 年 間 で、 国 立 大 学 における 1,500 人 程 度 の 若 手 及 び 外 国 人 研 究<br />

者 の 常 勤 ポストの 提 示 を 目 指 し、 年 俸 制 の 本 格 導 入 や 企 業 等 の 外 部 か<br />

らの 資 金 を 活 用 した 混 合 給 与 の 導 入 に 直 ちに 着 手 する。<br />

○ 大 学 改 革 を 支 える 基 盤 強 化<br />

・ 国 立 大 学 法 人 評 価 委 員 会 等 の 体 制 を 強 化 し、 大 学 改 革 の 進 捗 状 況 をき<br />

め 細 かくフォローする。<br />

・ 教 授 会 の 役 割 を 明 確 化 するとともに、 部 局 長 の 職 務 や 理 事 会 ・ 役 員 会<br />

の 機 能 の 見 直 し、 監 事 の 業 務 監 査 機 能 強 化 等 について、 学 校 教 育 法 等<br />

の 法 令 改 正 の 検 討 や 学 内 規 定 の 見 直 しも 含 め、 抜 本 的 なガバナンス 改<br />

革 を 行 うこととし、 所 要 の 法 案 を 次 期 通 常 国 会 に 提 出 する。<br />

・ 教 員 ポスト・ 予 算 等 の 大 学 内 の 資 源 配 分 の 可 視 化 、 運 営 費 交 付 金 の 戦<br />

略 的 ・ 重 点 的 配 分 の 拡 大 に 直 ちに 取 り 組 む。さらに、2016 年 度 から 新<br />

たな 評 価 指 標 を 確 立 し、 運 営 費 交 付 金 の 在 り 方 を 抜 本 的 に 見 直 す。<br />

7グローバル 化 等 に 対 応 する 人 材 力 の 強 化<br />

世 界 に 勝 てる 真 のグローバル 人 材 を 育 てるため、「 教 育 再 生 実 行 会 議 」の 提 言<br />

を 踏 まえつつ、 国 際 的 な 英 語 試 験 の 活 用 、 意 欲 と 能 力 のある 若 者 全 員 への 留 学 機<br />

会 の 付 与 、 及 びグローバル 化 に 対 応 した 教 育 を 牽 引 する 学 校 群 の 形 成 を 図 ること<br />

により、2020 年 までに 日 本 人 留 学 生 を6 万 人 (2010 年 )から 12 万 人 へ 倍 増 させる。<br />

優 秀 な 外 国 人 留 学 生 についても、2012 年 の 14 万 人 から 2020 年 までに 30 万 人 に<br />

倍 増 させること(「 留 学 生 30 万 人 計 画 」の 実 現 )を 目 指 す。<br />

また、 産 業 構 造 の 変 化 に 対 応 した 学 び 直 し 等 の 機 会 を 拡 大 する。<br />

○ 国 家 公 務 員 試 験 や 大 学 入 試 等 への TOEFL 等 の 活 用<br />

・ 2015 年 度 の 国 家 公 務 員 総 合 職 試 験 から、 外 部 英 語 試 験 を 導 入 するとと<br />

もに、 大 学 入 試 や 卒 業 認 定 への TOEFL 等 の 活 用 を 促 進 する。<br />

○ 意 欲 と 能 力 のある 若 者 全 員 への 留 学 機 会 の 付 与<br />

・ 高 校 ・ 大 学 等 における 留 学 機 会 を、 将 来 グローバルに 活 躍 する 意 欲 と<br />

- 37 -


能 力 のある 若 者 全 員 に 与 えるため、 留 学 生 の 経 済 的 負 担 を 軽 減 するた<br />

めの 寄 附 促 進 、 給 付 を 含 む 官 民 が 協 力 した 新 たな 仕 組 みを 創 設 する。<br />

また、 支 援 策 と 併 せて、 姉 妹 校 締 結 や 海 外 の 大 学 と 単 位 互 換 の 取 組 等 、<br />

大 学 の 教 育 環 境 整 備 を 進 めるなど、 必 要 な 措 置 をパッケージとして 講<br />

じるための 具 体 策 を 本 年 8 月 末 までに 検 討 を 進 め 結 論 を 得 た 上 で、 概<br />

算 要 求 等 に 反 映 させる。<br />

・ 就 職 ・ 採 用 活 動 開 始 時 期 変 更 【 再 掲 】を 行 うほか、 多 様 な 体 験 活 動 の<br />

促 進 に 資 する 秋 季 入 学 に 向 けた 環 境 整 備 を 行 う。<br />

・ 留 学 機 会 の 確 保 と 併 せ、 優 秀 な 外 国 人 留 学 生 獲 得 のための 海 外 の 重 点<br />

地 域 を 選 定 し、 大 学 等 の 海 外 拠 点 の 強 化 や 支 援 の 充 実 による 戦 略 的 な<br />

外 国 人 留 学 生 の 確 保 を 推 進 するとともに、 留 学 経 験 者 の 把 握 等 ネット<br />

ワークを 強 化 するなど、 優 秀 な 外 国 人 留 学 生 の 受 入 れを 促 進 する。<br />

○グローバル 化 に 対 応 した 教 育 を 牽 引 する 学 校 群 の 形 成<br />

・ グローバル・リーダーを 育 てる 教 育 を 行 う 新 しいタイプの 高 校 (「ス<br />

ーパーグローバルハイスクール( 仮 称 )」)を 創 設 する。<br />

・ 一 部 日 本 語 による 国 際 バカロレアの 教 育 プログラムの 開 発 ・ 導 入 等 を<br />

通 じ、 国 際 バカロレア 認 定 校 等 の 大 幅 な 増 加 を 目 指 す(2018 年 までに<br />

200 校 )。<br />

○ 初 等 中 等 教 育 段 階 からの 英 語 教 育 の 強 化<br />

・ 小 学 校 5、6 年 生 における 外 国 語 活 動 の 成 果 を 今 年 度 中 に 検 証 すると<br />

ともに、 小 学 校 における 英 語 教 育 実 施 学 年 の 早 期 化 、 指 導 時 間 増 、 教<br />

科 化 、 指 導 体 制 の 在 り 方 等 や、 中 学 校 における 英 語 による 英 語 授 業 の<br />

実 施 について、 今 年 度 から 検 討 を 開 始 し、 逐 次 必 要 な 見 直 しを 行 う。<br />

○ 産 業 界 のニーズに 対 応 した 学 び 直 し 機 会 の 拡 大<br />

・ 社 会 人 の 学 び 直 し 支 援 を 実 施 する【 再 掲 】。<br />

・ サービス 産 業 生 産 性 協 議 会 を 国 民 運 動 として 再 構 築 することとし、 来<br />

年 度 中 に、 活 動 参 加 企 業 数 を 10 倍 に 拡 大 しつつ、サービス 産 業 の 高<br />

付 加 価 値 化 に 向 けた 人 材 育 成 と 経 営 支 援 を 本 格 化 させる。<br />

8 高 度 外 国 人 材 の 活 用<br />

高 度 な 技 術 や 経 営 ノウハウを 持 つ 海 外 からの 人 材 の 日 本 での 活 躍 を 促 進 する<br />

ための 総 合 的 な 環 境 整 備 推 進 の 一 環 として、 高 度 外 国 人 材 ポイント 制 度 を 見 直 す。<br />

○ 高 度 外 国 人 材 ポイント 制 度 の 見 直 し<br />

・ 高 度 外 国 人 材 の 認 定 に 係 る 年 収 基 準 の 見 直 し( 年 収 として 認 める 報 酬 の<br />

範 囲 に 係 る 見 直 し 等 )、 永 住 が 許 可 されるための 在 留 歴 の 短 縮 ( 現 行 の<br />

5 年 を3 年 とする 等 )といった 高 度 人 材 に 対 する 優 遇 制 度 の 見 直 しを 行<br />

い、 本 年 中 に 新 たな 制 度 を 開 始 する。<br />

- 38 -


3. 科 学 技 術 イノベーションの 推 進<br />

近 年 、 研 究 開 発 の 成 果 が 円 滑 に 実 用 化 につながらず、これまで 優 位 を 誇 ってきた<br />

日 本 のものづくり 産 業 が 新 興 国 との 競 争 で 苦 戦 するなど、「 技 術 で 勝 ってビジネスで<br />

負 け」、さらに 一 部 では「 技 術 でも 負 ける」 状 況 になっている。 伸 び 悩 む 我 が 国 の 研<br />

究 開 発 投 資 を 推 進 することにより、「 科 学 技 術 創 造 立 国 」として 復 活 させることが 必<br />

要 である。 今 後 、 早 急 に 政 府 の 体 制 を 立 て 直 し、 戦 略 分 野 を 中 心 に 研 究 開 発 を 推 進<br />

するとともに、その 成 果 を 実 用 化 し、さらには 市 場 獲 得 につなげるため、 知 的 財 産<br />

戦 略 や 標 準 化 戦 略 を 推 進 する。これらにより、イノベーション( 技 術 力 )ランキング<br />

( 世 界 経 済 フォーラムのランキング(※)では、 日 本 は 現 状 第 5 位 )を 今 後 5 年 以<br />

内 に 世 界 第 1 位 にするとの 目 標 を 掲 げつつ、「 技 術 でもビジネスでも 勝 ち 続 ける 国 」<br />

を 目 指 す。<br />

このため、「 総 合 科 学 技 術 会 議 」の 司 令 塔 機 能 を 強 化 し、 省 庁 縦 割 りを 廃 し、 戦 略<br />

分 野 に 政 策 資 源 を 集 中 投 入 する。 政 府 の 研 究 開 発 成 果 を 最 大 化 するため、 大 学 や 研<br />

究 開 発 法 人 において 科 学 技 術 イノベーションに 適 した 環 境 を 創 出 するとともに、 出<br />

口 志 向 の 研 究 開 発 と 制 度 改 革 を 合 わせて 大 胆 に 推 進 し、 実 用 化 ・ 事 業 化 できる 体 制<br />

を 整 備 する。また、 民 間 の 積 極 的 な 研 究 開 発 投 資 の 促 進 に 加 え、 自 前 主 義 からオー<br />

プンイノベーションへの 展 開 を 加 速 し、 実 用 化 ・ 事 業 化 へとつながる 科 学 技 術 イノ<br />

ベーションの 好 循 環 を 生 み 出 す。<br />

政 府 一 体 となり 科 学 技 術 イノベーション 総 合 戦 略 ( 本 年 6 月 7 日 閣 議 決 定 )を 強<br />

力 に 推 進 することは、 成 長 戦 略 の 実 現 にとって 鍵 となる。このため、 関 連 施 策 との<br />

一 体 性 を 確 保 しつつ、 以 下 の 施 策 を 重 点 的 に 推 進 する。<br />

※ The Global Competitiveness Report 2012-2013 Index 12th pillar: Innovation<br />

1 「 総 合 科 学 技 術 会 議 」の 司 令 塔 機 能 強 化<br />

省 庁 縦 割 りを 廃 し、 成 長 戦 略 に 基 づく 資 源 配 分 の 実 現 のために 必 要 な「 総 合 科<br />

学 技 術 会 議 」の 司 令 塔 機 能 の 強 化 に 向 けて、 組 織 の 充 実 、 予 算 要 求 ( 内 閣 府 計 上 )、<br />

法 律 改 正 等 を 含 む 工 程 表 を 本 年 8 月 末 までに 策 定 し、 来 年 度 から 実 行 に 移 す。<br />

○ 政 府 全 体 の 科 学 技 術 関 係 予 算 の 戦 略 的 策 定<br />

・ 政 府 全 体 の 科 学 技 術 関 係 予 算 について、「 総 合 科 学 技 術 会 議 」が 予 算<br />

戦 略 を 主 導 する 新 たなメカニズムを 来 年 度 概 算 要 求 段 階 から 導 入 する。<br />

○「 総 合 科 学 技 術 会 議 」 事 務 局 機 能 の 抜 本 的 強 化<br />

・ 関 係 府 省 、 産 業 界 、 大 学 等 の 協 力 を 得 ながら、 専 門 的 知 見 を 有 する 優<br />

秀 な 人 材 の 長 期 登 用 などにより 事 務 局 体 制 を 強 化 する。<br />

・ 企 画 ・ 立 案 に 必 要 な 国 内 外 の 関 連 情 報 を 収 集 し、 調 査 分 析 する 機 能 を<br />

強 化 するため、 関 係 府 省 や 政 府 系 シンクタンクとの 連 携 を 図 る。<br />

・ イノベーション 創 出 加 速 のため、「 総 合 科 学 技 術 会 議 」の 運 営 に 当 た<br />

って、 産 業 界 の 活 力 を 積 極 的 に 活 用 する。<br />

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○アウトカムを 重 視 した PDCA の 積 極 的 推 進<br />

・ 国 家 的 課 題 の 解 決 推 進 のため、アウトカムを 重 視 した 研 究 開 発 の PDCA<br />

を 推 進 するとともに、イノベーションの 創 出 ・ 環 境 整 備 等 に 係 る 状 況 ( 進<br />

捗 、 障 害 の 有 無 等 )を 分 析 ・ 評 価 し、 必 要 な 場 合 に 関 係 府 省 に 改 善 措 置<br />

を 求 める。<br />

2 戦 略 的 イノベーション 創 造 プログラムの 推 進<br />

「 戦 略 市 場 創 造 プラン」を 実 現 する 上 で、 科 学 技 術 イノベーションが 果 たす 役<br />

割 は 極 めて 大 きい。 国 家 的 に 重 要 な 課 題 を 解 決 するため、コア 技 術 を 特 定 し、 基<br />

礎 研 究 から 出 口 ( 実 用 化 ・ 事 業 化 )までを 見 据 えたロードマップに 基 づく 取 組 に<br />

より、 戦 略 市 場 を 創 造 する。このロードマップに 基 づく 府 省 横 断 型 の 取 組 に 対 し<br />

て 複 数 年 にわたり 重 点 的 に 資 源 を 配 分 する「 戦 略 的 イノベーション 創 造 プログラ<br />

ム( 仮 称 )」を 創 設 する。 本 年 8 月 末 までに「 総 合 科 学 技 術 会 議 」において 具 体<br />

策 を 固 め、 国 全 体 の 研 究 開 発 予 算 について、 効 率 化 ・ 効 果 の 最 大 化 を 図 る 観 点 か<br />

ら 見 直 しを 行 った 上 で、 所 要 の 予 算 を 内 閣 府 に 計 上 する。<br />

○ 戦 略 的 イノベーション 創 造 プログラムの 創 設<br />

・ 各 省 に 対 する 総 合 調 整 機 能 を 効 果 的 ・ 効 率 的 に 発 揮 させるため、 内 閣<br />

府 に「 戦 略 的 イノベーション 創 造 プログラム」を 創 設 し、 産 業 界 、 学<br />

界 及 び 各 府 省 と 連 携 し、 基 礎 研 究 から 出 口 までを 見 据 えた 研 究 開 発 等<br />

を 推 進 する。<br />

○プログラムの 推 進 体 制<br />

・ ロードマップの 策 定 、 各 府 省 の 関 連 施 策 の 調 整 、プログラムディレク<br />

ターの 任 命 等 、 実 効 性 ある PDCA を 行 う 体 制 を 整 備 する。<br />

3 革 新 的 研 究 開 発 支 援 プログラムの 創 設<br />

現 在 の FIRST( 最 先 端 研 究 開 発 支 援 プログラム)の 成 果 をしっかりと 実 用 化 す<br />

る。さらに、 研 究 開 発 全 体 の 基 盤 の 底 上 げにつなげていくため、 成 長 戦 略 の 一 環<br />

として、 米 国 DARPA( 国 防 高 等 研 究 計 画 局 )の 仕 組 みを 参 考 に、 長 期 的 視 点 から<br />

インパクトの 大 きな 革 新 的 研 究 テーマを 選 定 し、 権 限 を 有 するプログラムマネー<br />

ジャーの 責 任 の 下 で、 独 創 研 究 を 大 胆 に 推 進 するプログラム( 革 新 的 研 究 開 発 支<br />

い<br />

援 プログラム( 仮 称 ))を 創 設 する。 現 行 FIRST の 予 算 執 行 面 での 特 長 を 活 かし<br />

つつ、 本 年 8 月 末 までに 検 討 を 進 め 結 論 を 得 た 上 で、 概 算 要 求 等 に 反 映 する。<br />

テーマ 選 定 に 際 しては、 将 来 の 経 済 社 会 ・ 産 業 の 在 り 方 に 大 きな 変 革 をもたら<br />

すものとし、 選 定 過 程 における 産 業 界 の 有 識 者 の 関 与 を 高 める。<br />

4 研 究 開 発 法 人 の 機 能 強 化<br />

成 長 戦 略 の 実 現 に 資 する 研 究 開 発 を 集 中 的 かつ 効 果 的 に 推 進 するため、 研 究 開<br />

発 法 人 に 対 する 業 務 運 営 の 効 率 化 目 標 の 在 り 方 を 見 直 し、 研 究 開 発 内 容 や 評 価 を<br />

踏 まえたメリハリある 予 算 を 実 現 するなど 研 究 開 発 法 人 の 機 能 強 化 を 図 る。<br />

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○ 世 界 最 高 水 準 の 新 たな 研 究 開 発 法 人 制 度 の 創 設<br />

・ 研 究 開 発 法 人 については、 関 係 府 省 が 一 体 となって、 独 立 行 政 法 人 全<br />

体 の 制 度 ・ 組 織 の 見 直 しを 踏 まえつつ、 研 究 開 発 の 特 性 ( 長 期 性 、 不<br />

確 実 性 、 予 見 不 可 能 性 及 び 専 門 性 )を 踏 まえた 世 界 最 高 水 準 の 法 人 運<br />

営 を 可 能 とする 新 たな 制 度 を 創 設 する( 次 期 通 常 国 会 に 法 案 提 出 を 目<br />

指 す)。<br />

○ 具 体 的 な 改 善 事 項 への 対 応<br />

・ 法 的 措 置 が 必 要 なものと 運 用 によって 十 分 に 改 善 が 可 能 なものを 早<br />

急 にしゅん 別 し、 給 与 、 調 達 、 自 己 収 入 の 扱 い、 中 期 目 標 期 間 を 越 え<br />

た 繰 越 等 の 改 善 が 必 要 な 事 項 に 関 し、 現 行 制 度 においても、 運 用 上 改<br />

善 が 可 能 なものについては 速 やかに 対 応 を 図 る。 特 に、 外 部 資 金 を 積<br />

極 的 に 活 用 するインセンティブを 与 えるため、 自 己 収 入 ( 寄 附 金 収 入<br />

分 等 )を 確 保 した 分 運 営 費 交 付 金 が 削 減 される 仕 組 みは 直 ちに 見 直 す。<br />

5 研 究 支 援 人 材 のための 資 金 確 保<br />

研 究 者 が 研 究 に 没 頭 し、 成 果 を 出 せるよう、 研 究 大 学 強 化 促 進 事 業 等 の 施 策 を<br />

推 進 し、リサーチアドミニストレータ 等 の 研 究 支 援 人 材 を 着 実 に 配 置 する。<br />

また、 大 学 等 における 研 究 支 援 人 材 の 確 保 に 向 けた 自 主 的 な 取 組 を 促 すととも<br />

に、 競 争 性 を 有 する 研 究 資 金 の 制 度 において、 間 接 経 費 30%の 確 保 に 努 める。さ<br />

らに、 長 期 的 ・ 安 定 的 に 研 究 支 援 人 材 を 確 保 するため、 人 材 の 類 型 化 や 専 門 的 な<br />

職 種 としての 確 立 、 全 国 的 なネットワーク 化 等 を 産 学 官 の 連 携 の 下 で 取 り 組 む。<br />

これらの 方 策 について、 本 年 8 月 末 までに 検 討 を 進 め 結 論 を 得 た 上 で、 概 算 要<br />

求 等 に 反 映 させる。<br />

6 官 ・ 民 の 研 究 開 発 投 資 の 強 化<br />

民 間 研 究 開 発 投 資 を 今 後 3 年 以 内 に 対 GDP 比 で 世 界 第 1 位 に 復 活 することを 目<br />

指 し、 研 究 開 発 投 資 にさらにインセンティブを 与 えるため、 産 学 官 のオープンイ<br />

ノベーションの 推 進 、 研 究 開 発 法 人 ・ 大 学 が 所 有 する 研 究 開 発 設 備 等 の 有 効 活 用<br />

の 促 進 、 研 究 開 発 型 ベンチャーへの 技 術 開 発 ・ 実 用 化 支 援 、 知 財 戦 略 ・ 国 際 標 準<br />

化 の 推 進 、イノベーションを 促 進 するための 規 制 改 革 などの 取 組 を 実 施 するとと<br />

もに、 研 究 開 発 税 制 の 活 用 促 進 など 企 業 の 研 究 開 発 投 資 環 境 を 整 備 する。<br />

これらの 取 組 により、 官 民 合 わせた 研 究 開 発 投 資 を 対 GDP 比 の4% 以 上 にする<br />

との 目 標 に 加 え、 政 府 研 究 開 発 投 資 を 対 GDP 比 の1%にすることを 目 指 すことと<br />

する。その 場 合 、 第 4 期 科 学 技 術 基 本 計 画 (2011 年 8 月 19 日 閣 議 決 定 ) 期 間 中<br />

の 政 府 研 究 開 発 投 資 の 総 額 の 規 模 を 約 <strong>25</strong> 兆 円 とすることが 必 要 である( 同 期 間<br />

中 に 政 府 研 究 開 発 投 資 の 対 GDP 比 率 1%、GDP の 名 目 成 長 率 平 均 2.8%を 前 提 に 試<br />

算 )。これらを 踏 まえ、 我 が 国 の 財 政 状 況 が 一 層 悪 化 し 危 機 的 な 状 況 となる 中 、<br />

財 政 健 全 化 との 整 合 性 の 下 、 基 本 計 画 に 掲 げる 施 策 の 推 進 に 必 要 な 経 費 の 確 保 を<br />

図 ることとする。<br />

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7 知 的 財 産 戦 略 ・ 標 準 化 戦 略 の 強 化<br />

グローバルな 経 済 活 動 の 拡 大 を 踏 まえ、 国 内 のみならず、 海 外 においても、 中<br />

小 企 業 を 始 め 我 が 国 産 業 や 国 民 が 円 滑 にイノベーションを 起 こし、 権 利 を 取 得 し、<br />

活 用 するイノベーションサイクルが 実 現 するよう、 審 査 の 迅 速 化 、トップスタン<br />

ダード 制 度 の 推 進 、グローバルに 通 用 する 認 証 基 盤 の 整 備 等 により 知 財 戦 略 ・ 標<br />

準 化 戦 略 を 抜 本 的 に 強 化 する。<br />

○ 国 際 的 に 遜 色 ないスピード・ 質 の 高 い 審 査 の 実 現<br />

・ 任 期 付 審 査 官 の 確 保 などの 審 査 体 制 の 整 備 ・ 強 化 等 により、 今 年 度 中<br />

に 審 査 順 番 待 ち 期 間 を 11 か 月 とし、その 後 の 権 利 化 までの 期 間 を<br />

2015 年 度 中 に 36 か 月 以 内 とする。 複 数 技 術 等 の 一 括 審 査 (まとめ 審<br />

査 )を 今 年 度 から 開 始 する。<br />

○ 新 興 国 を 含 めたグローバルな 権 利 保 護 ・ 取 得 の 支 援<br />

・ アジア 新 興 国 への 人 材 派 遣 ・ 研 修 受 入 れを 強 化 するとともに 特 許 審 査<br />

ハイウェイ( 他 国 で 特 許 となった 出 願 を、 早 期 に 審 査 する 制 度 )の 対<br />

象 国 を 拡 充 する。また、 製 品 等 のデザインを 国 際 的 に 保 護 しやすくす<br />

るため、ハーグ 協 定 に 対 応 した 意 匠 制 度 の 見 直 しについて 今 年 度 中 に<br />

成 案 を 得 て、その 後 関 係 法 改 正 案 を 速 やかに 国 会 に 提 出 する。 中 国 語<br />

特 許 文 献 について、 特 許 庁 がデータ 受 領 後 6か 月 以 内 に 和 文 翻 訳 を 民<br />

間 提 供 できる 体 制 を 2015 年 度 中 に 構 築 する。<br />

○ 企 業 のグローバル 活 動 を 阻 害 しないための 職 務 発 明 制 度 の 見 直 し<br />

・ 企 業 のグローバル 活 動 における 経 営 上 のリスクを 軽 減 する 観 点 から、<br />

例 えば、 職 務 発 明 の 法 人 帰 属 化 や 使 用 者 と 従 業 者 との 契 約 に 委 ねるな<br />

ど 制 度 を 見 直 し、 来 年 の 年 央 までに 論 点 を 整 理 し、 来 年 度 中 に 結 論 を<br />

得 る。<br />

○ 国 際 展 開 を 念 頭 に 置 いた 標 準 ・ 認 証 制 度 の 見 直 し<br />

・ 我 が 国 企 業 の 知 見 がより 有 効 に 活 用 されるよう、 国 際 標 準 化 機 関 にお<br />

ける 規 格 開 発 に 係 る 幹 事 国 引 受 件 数 を 2010 年 末 の 78 件 から 2015 年<br />

末 までに 世 界 第 3 位 に 入 る 水 準 (95 件 )に 増 加 させるなど、 戦 略 的 に<br />

国 際 標 準 化 を 推 進 する。また、 国 際 的 に 通 用 する 重 要 な 認 証 基 盤 の 在<br />

り 方 について 今 年 度 内 に 検 討 ・ 取 りまとめを 行 い、 国 内 の 認 証 機 関 の<br />

強 化 などにより、 順 次 基 盤 の 整 備 を 行 う。<br />

4. 世 界 最 高 水 準 の IT 社 会 の 実 現<br />

IT を 活 用 した 民 間 主 導 のイノベーションの 活 性 化 に 向 けて、 世 界 最 高 水 準 の 事 業<br />

環 境 を 実 現 するため、 今 般 策 定 される 新 たな IT 戦 略 ( 本 年 6 月 14 日 閣 議 決 定 )を<br />

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精 力 的 に 推 進 し、 規 制 ・ 制 度 改 革 の 徹 底 並 びに 情 報 通 信 、セキュリティ 及 び 人 材 面<br />

での 基 盤 整 備 を 進 める。<br />

1IT が「あたりまえ」の 時 代 にふさわしい 規 制 ・ 制 度 改 革<br />

IT やデータを 活 用 したイノベーションにおいて、 我 が 国 企 業 が 他 国 に 劣 後 しな<br />

いよう、 徹 底 した 規 制 ・ 制 度 改 革 を 進 める。この 取 組 の 中 で、IT 利 活 用 を 推 進 す<br />

るための 法 的 措 置 (IT 利 活 用 を 推 進 するための「 基 本 法 」)の 必 要 性 についても<br />

検 討 する。<br />

○ 規 制 制 度 改 革 集 中 アクションプランの 策 定<br />

・ 「IT 総 合 戦 略 本 部 」において、「 規 制 改 革 会 議 」と 連 携 しつつ、 対 面 ・<br />

書 面 交 付 が 前 提 とされているサービスや 手 続 きを 含 め、IT 利 活 用 の 裾<br />

野 拡 大 の 観 点 から、 関 連 制 度 ( 運 用 解 釈 が 明 確 でないものを 含 む。)<br />

の 精 査 ・ 検 討 を 行 い、 本 年 中 を 目 途 に、「IT 利 活 用 の 裾 野 拡 大 のため<br />

の 規 制 制 度 改 革 集 中 アクションプラン( 仮 称 )」を 策 定 する。<br />

○ 世 界 最 高 水 準 のオープンデータやビッグデータ 利 活 用 の 推 進<br />

・ オープンデータやビッグデータの 利 活 用 を 推 進 するための 世 界 最 高<br />

水 準 のデータ 利 活 用 環 境 整 備 を 行 うため、「IT 総 合 戦 略 本 部 」の 下 に、<br />

新 たな 検 討 組 織 を 速 やかに 設 置 し、「 規 制 改 革 会 議 」と 連 携 しつつ、<br />

データの 活 用 と 個 人 情 報 及 びプライバシーの 保 護 との 両 立 に 配 慮 し<br />

たデータ 利 活 用 ルールの 策 定 等 を 年 内 できるだけ 早 期 に 進 めるとと<br />

もに、 監 視 ・ 監 督 、 苦 情 ・ 紛 争 処 理 機 能 を 有 する 第 三 者 機 関 の 設 置 を<br />

含 む 新 たな 法 的 措 置 も 視 野 に 入 れた 制 度 見 直 し 方 針 を 年 内 に 策 定 す<br />

る。<br />

2 公 共 データの 民 間 開 放 と 革 新 的 電 子 行 政 サービスの 構 築<br />

政 府 CIO の 法 定 化 を 踏 まえ、「IT 総 合 戦 略 本 部 」を 中 心 に、 国 民 ・ 利 用 者 を 中<br />

心 とした 電 子 行 政 サービスの 構 築 を 推 進 する。これにより、 公 共 データの 民 間 開<br />

放 について、2015 年 度 中 に 世 界 最 高 水 準 の 公 開 内 容 (データセット1 万 以 上 )を<br />

実 現 するとともに、 政 府 情 報 システムのクラウド 化 等 により、 今 後 5 年 間 で 政 府<br />

情 報 システムの 数 を 現 在 の 約 1,500 から 半 減 、8 年 間 で 運 用 コストの3 割 圧 縮 ( 特<br />

別 な 検 討 を 要 するものを 除 く。)を 目 指 す。<br />

○ 公 共 データの 民 間 開 放<br />

・ 公 共 データについては、 個 人 情 報 やセキュリティに 配 慮 した 上 で、オ<br />

ープン 化 を 原 則 とし、ビジネス 利 用 等 がしやすい 形 式 ・ルールの 下 、<br />

インターネットを 通 じて 公 開 する。このため、 公 共 データの 総 合 案<br />

内 ・ 横 断 的 検 索 を 可 能 とするデータカタログサイト( 日 本 版 data.gov)<br />

を 秋 までに 試 行 的 に 立 ち 上 げ、 地 理 空 間 情 報 (G 空 間 情 報 )、 調 達 情 報 、<br />

統 計 情 報 、 防 災 ・ 減 災 情 報 など 優 先 的 に 民 間 開 放 すべき 情 報 について<br />

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当 該 サイトに 掲 載 し、 来 年 度 から 本 格 稼 動 させる。<br />

○ 政 府 における 業 務 改 革 ・IT ガバナンスの 強 化<br />

・ IT 投 資 に 当 たっては、 業 務 改 革 (BPR)を 徹 底 する。 本 年 中 に 政 府 情<br />

報 システム 改 革 に 関 するロードマップを 策 定 し、 重 複 する 情 報 システ<br />

ムの 統 廃 合 等 を 進 めるとともに、 政 府 情 報 システムのクラウド 化 を 本<br />

格 化 させる。また、 来 年 度 早 期 に、 日 本 版 「IT ダッシュボード」( 各<br />

府 省 の IT 投 資 の 状 況 等 をインターネット 経 由 で 一 覧 性 をもって 国 民<br />

が 確 認 できる 仕 組 み)を 利 用 した IT 投 資 管 理 の PDCA サイクルを 確 立<br />

する。<br />

○ 利 便 性 の 高 い 電 子 行 政 サービスの 提 供 等<br />

・ 2016 年 1 月 の 利 用 開 始 が 予 定 されている 番 号 制 度 の 導 入 により、 番 号<br />

が 活 用 される 社 会 保 障 ・ 税 分 野 等 において 業 務 改 革 を 推 進 し、 便 利 で<br />

負 担 の 少 ない 行 政 サービス 及 び 適 正 で 迅 速 な 事 務 処 理 を 実 現 する。と<br />

りわけ、 国 民 のニーズの 高 い 手 続 きについては、2017 年 7 月 までに「マ<br />

イポータル( 仮 称 )」を 整 備 し、 利 便 性 の 高 い 個 人 向 けオンラインサ<br />

ービスを 開 始 する。<br />

・ 本 人 確 認 手 続 き 規 定 の 類 型 化 を 図 り、 契 約 締 結 や 役 務 の 利 用 に 係 る 利<br />

用 者 の 利 便 性 向 上 とプライバシー 保 護 、 本 人 確 認 の 正 確 性 の 担 保 との<br />

両 立 を 図 ることができるよう、オンライン 利 用 を 前 提 とした 本 人 確 認<br />

手 続 き 等 の 見 直 しについて 検 討 する。<br />

3IT を 利 用 した 安 全 ・ 便 利 な 生 活 環 境 実 現<br />

ビッグデータ 等 を 活 用 して、 安 全 ・ 便 利 な 生 活 が 可 能 となる 社 会 を 実 現 するた<br />

め、 関 係 各 府 省 が 連 携 し、 重 点 課 題 について、IT を 活 用 した 分 野 複 合 的 な 解 決 に<br />

取 り 組 む。<br />

○IT 活 用 による 分 野 複 合 的 な 課 題 解 決<br />

・ 「IT 総 合 戦 略 本 部 」において、 本 年 8 月 末 までに、 地 域 の 活 性 化 、 行<br />

政 の 効 率 化 、 地 理 空 間 情 報 (G 空 間 情 報 )、 農 業 、 医 療 ・ 健 康 、 資 源 ・<br />

エネルギー、 防 災 ・ 減 災 、 道 路 交 通 、 教 育 等 のうち、 解 決 に 取 り 組 む<br />

べき 課 題 や 地 域 を 特 定 し、 規 制 改 革 や 政 策 資 源 の 投 入 を 集 中 的 に 行 う<br />

べく、 具 体 策 を 固 める。また、その 成 功 モデルをパッケージで 海 外 展<br />

開 することにより、 国 際 貢 献 と 我 が 国 の 国 際 競 争 力 強 化 に 貢 献 する。<br />

4 世 界 最 高 レベルの 通 信 インフラの 整 備<br />

圧 倒 的 に 速 く、 限 りなく 安 く、 多 様 なサービスを 提 供 可 能 でオープンな 通 信 イ<br />

ンフラを 有 線 ・ 無 線 の 両 面 で 我 が 国 に 整 備 することで、そのインフラを 利 用 する<br />

あらゆる 産 業 の 競 争 力 強 化 を 図 る。このため、 情 報 通 信 分 野 における 競 争 政 策 の<br />

更 なる 推 進 等 により、OECD 加 盟 国 のブロードバンド 料 金 比 較 ( 単 位 速 度 当 たり 料<br />

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金 )で、 現 在 の1 位 を 引 き 続 き 維 持 することを 目 指 す。<br />

○ 世 界 最 高 レベルの 通 信 インフラの 実 用 化<br />

・ 世 界 最 高 レベルの 光 通 信 技 術 (400Gbps 級 ) 及 びネットワーク 仮 想 化<br />

技 術 の 実 用 化 を 促 進 するため、 来 年 度 から 同 技 術 を 用 いたテストベッ<br />

ド( 実 証 環 境 )を 広 く 産 学 官 に 開 放 し、 民 間 事 業 者 等 による 新 サービ<br />

スの 開 発 等 を 支 援 する。<br />

・ 世 界 最 先 端 の 第 4 世 代 移 動 通 信 システム(4G)を 早 期 に 実 用 化 する<br />

ため、 技 術 導 入 に 必 要 な 制 度 を 年 内 に 整 備 し、 来 年 までに 新 たな 周 波<br />

数 帯 の 割 当 を 行 う。さらに、4G の 更 なる 高 度 化 と 我 が 国 技 術 の 国 際<br />

展 開 支 援 のため、2015 年 度 までに、 国 際 的 に 調 和 のとれた 形 で、 更 な<br />

る 追 加 割 当 候 補 周 波 数 を 確 保 する。<br />

○ 料 金 低 廉 化 ・サービス 多 様 化 のための 競 争 政 策 の 見 直 し<br />

・NGN(Next Generation Network)のオープン 化 やモバイル 市 場 の 競 争 促<br />

進 を 含 めた 情 報 通 信 分 野 における 競 争 政 策 についての 検 証 プロセスを<br />

夏 から 開 始 し、 今 年 度 中 に 検 討 課 題 を 洗 い 出 す。この 結 果 を 踏 まえ、 電<br />

気 通 信 事 業 法 等 の 具 体 的 な 制 度 見 直 し 等 の 方 向 性 について、 来 年 中 に 結<br />

論 を 得 る。<br />

5サイバーセキュリティ 対 策 の 推 進<br />

世 界 最 高 水 準 の IT 社 会 にふさわしい、 強 靭 で 活 力 あるサイバー 空 間 を 構 築 す<br />

るため、「サイバーセキュリティ 戦 略 」を 踏 まえ、 政 府 機 関 や 重 要 インフラにお<br />

けるセキュリティ 水 準 及 び 対 処 態 勢 の 充 実 強 化 や 国 際 戦 略 の 推 進 等 、サイバーセ<br />

キュリティ 対 策 を 強 力 に 展 開 する。<br />

○ 重 要 インフラ 分 野 におけるインシデント 対 策 の 強 化<br />

・ サイバー 攻 撃 に 対 する 重 要 インフラの 防 護 を 強 化 するため、 重 要 イン<br />

フラ 事 業 者 等 及 び 政 府 機 関 との 間 における 情 報 共 有 の 仕 組 みや 重 要<br />

インフラの 範 囲 等 について 検 討 を 進 め、 今 年 度 中 に、「 情 報 セキュリ<br />

ティ 政 策 会 議 」において、 新 たな 行 動 計 画 を 策 定 する。<br />

○サイバーセキュリティに 関 する 国 際 戦 略 の 策 定<br />

・ 我 が 国 と 戦 略 的 に 強 い 結 び 付 きのある 国 ・ 地 域 との 多 角 的 パートナー<br />

シップの 強 化 、 我 が 国 が 強 みを 持 つセキュリティ 技 術 の 国 際 展 開 等 を<br />

政 府 一 体 となって 加 速 させるため、 今 年 度 中 に、「 情 報 セキュリティ<br />

政 策 会 議 」において 新 たにサイバーセキュリティ 国 際 戦 略 を 策 定 する<br />

とともに、 来 年 度 中 に 制 御 システム 等 のセキュリティの 国 内 での 評<br />

価 ・ 認 証 を 開 始 し、インフラの 整 備 ・ 輸 出 等 を 促 進 する。<br />

- 45 -


6 産 業 競 争 力 の 源 泉 となるハイレベルな IT 人 材 の 育 成 ・ 確 保<br />

IT やデータを 活 用 して 新 たなイノベーションを 生 み 出 すことのできるハイレ<br />

ベルな IT 人 材 の 育 成 ・ 確 保 を 推 進 する。<br />

○IT を 活 用 した 21 世 紀 型 スキルの 修 得<br />

・ 2010 年 代 中 に1 人 1 台 の 情 報 端 末 による 教 育 の 本 格 展 開 に 向 けた 方<br />

策 を 整 理 し、 推 進 するとともに、デジタル 教 材 の 開 発 や 教 員 の 指 導 力<br />

の 向 上 に 関 する 取 組 を 進 め、 双 方 向 型 の 教 育 やグローバルな 遠 隔 教 育<br />

など、 新 しい 学 びへの 授 業 革 新 を 推 進 する。また、 来 年 度 中 に 産 学 官<br />

連 携 による 実 践 的 IT 人 材 を 継 続 的 に 育 成 するための 仕 組 みを 構 築 し、<br />

義 務 教 育 段 階 からのプログラミング 教 育 等 の IT 教 育 を 推 進 する。<br />

○ 人 材 のスキルレベルの 明 確 化 と 活 用<br />

・ IT 人 材 のスキルを 共 通 尺 度 で 明 確 化 するスキル 標 準 について、 来 年 夏<br />

までに 分 野 ごとの 専 門 人 材 に 必 要 なスキル・タスクを 特 定 し、2015<br />

年 度 中 に 改 訂 する。あわせて、 公 共 機 関 での CIO 補 佐 官 の 採 用 を 始 め<br />

とした、 専 門 人 材 の 募 集 や 登 用 条 件 における 活 用 を 促 す。<br />

5. 立 地 競 争 力 の 更 なる 強 化<br />

企 業 が 活 動 しやすい 国 とするためには、エネルギー・ 環 境 制 約 の 解 消 等 を 通 じて<br />

産 業 基 盤 の 強 化 を 図 るとともに、 日 本 や 都 市 の 競 争 力 を 更 に 高 めることが 必 要 であ<br />

る。<br />

第 一 歩 として、2020 年 までに、 世 界 銀 行 のビジネス 環 境 ランキングで 日 本 が 現 在<br />

の 先 進 国 15 位 から3 位 以 内 に 入 ること、 世 界 の 都 市 総 合 力 ランキングで 東 京 が 現 在<br />

の4 位 から3 位 以 内 に 入 ることを 目 指 し、 大 胆 な 事 業 環 境 整 備 を 進 める。<br />

なお、 競 争 基 盤 の 整 備 を 図 るため、 公 正 取 引 委 員 会 が 行 う 審 判 制 度 を 廃 止 する 独<br />

占 禁 止 法 改 正 法 案 の 早 期 の 成 立 を 目 指 す。<br />

1「 国 家 戦 略 特 区 」の 実 現<br />

産 業 の 国 際 競 争 力 の 強 化 等 を 目 的 とした 総 合 特 区 等 の 従 来 の 特 区 制 度 は、 地 域<br />

の 発 意 に 基 づく 制 度 であり、より 一 層 スピード 感 をもって 強 力 に、 世 界 の 企 業 が<br />

日 本 に 投 資 したくなるようなビジネス 環 境 を 作 るためには、 国 の 成 長 戦 略 に 基 づ<br />

き、 内 閣 総 理 大 臣 主 導 で、 民 間 の 力 を 活 用 しながら、 集 中 的 な 取 組 を 行 うことが<br />

必 要 である。<br />

このため、 地 域 における 取 組 を 踏 まえつつ、 国 家 戦 略 の 観 点 から、 内 閣 総 理 大<br />

臣 主 導 の 下 、 大 胆 な 規 制 改 革 等 を 実 行 するための 強 力 な 体 制 を 構 築 して 取 り 組 む<br />

「 国 家 戦 略 特 区 」を 創 設 する。<br />

同 特 区 は、 規 制 改 革 の 実 験 場 として 突 破 口 を 開 くことを 目 的 とする。このため、<br />

国 の 経 済 成 長 に 大 きなインパクトを 与 えるものであって、 国 ・ 地 方 自 治 体 ・ 民 間<br />

の 各 主 体 が 対 峙 するのではなく 三 者 一 体 となって 取 り 組 むプロジェクトを 対 象<br />

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とする。 同 特 区 の 数 は 国 家 戦 略 として 必 要 な 範 囲 に 限 定 する 一 方 、 大 胆 な 規 制 ・<br />

制 度 改 革 を 行 い、こうした 制 度 設 計 に 応 じた 税 制 措 置 を 検 討 の 上 、 必 要 な 措 置 を<br />

講 じる。<br />

なお、 従 来 の 特 区 制 度 やこれと 相 互 に 連 携 している 環 境 未 来 都 市 などの 施 策 に<br />

ついては、 今 後 とも 継 続 して 着 実 に 進 めていく。また、 成 長 著 しいアジア 市 場 に<br />

最 も 近 接 する 位 置 にある 沖 縄 について、 国 家 戦 略 として、 特 区 制 度 の 活 用 も 図 り<br />

つつ、その 振 興 策 を 総 合 的 ・ 積 極 的 に 推 進 する。<br />

○「 国 家 戦 略 特 区 ワーキンググループ」での 検 討 等<br />

・ 地 域 活 性 化 担 当 大 臣 の 下 、「 国 家 戦 略 特 区 ワーキンググループ」にお<br />

いて、 制 度 設 計 や 具 体 的 なプロジェクト、 規 制 改 革 項 目 の 選 定 等 を 行<br />

い、 夏 までに 方 針 を 固 める。<br />

・ これを 受 けて、 国 、 地 方 及 び 民 間 からなる 統 合 推 進 本 部 を 立 ち 上 げる<br />

とともに、 速 やかに 国 会 において 所 要 の 法 的 措 置 を 講 じる。<br />

・ 「 国 家 戦 略 特 区 」が 取 り 組 むべき 課 題 として、 例 えば、「 居 住 環 境 を<br />

含 め、 世 界 と 戦 える 国 際 都 市 の 形 成 」、「 医 療 等 の 国 際 的 イノベーショ<br />

ン 拠 点 整 備 」といった 観 点 から、 特 区 内 における 特 例 措 置 はもとより、<br />

全 国 で 適 用 される 規 制 ・ 制 度 改 革 項 目 の 積 極 的 な 活 用 や 重 要 インフラ<br />

の 整 備 なども 組 み 合 わせ、 成 長 の 起 爆 剤 となる 世 界 で 一 番 ビジネスが<br />

しやすい 環 境 を 作 り 上 げる。<br />

・ そのような 視 点 で、 現 在 「 国 家 戦 略 特 区 ワーキンググループ」で 検 討<br />

している、 優 先 的 に 取 り 組 むべき 規 制 ・ 制 度 改 革 項 目 等 を 例 示 すれば、<br />

以 下 のとおりである。<br />

1 都 心 居 住 促 進 のための 容 積 率 ・ 用 途 等 土 地 利 用 規 制 の 見 直 し<br />

国 際 都 市 形 成 にあたり、 都 心 居 住 の 環 境 整 備 を 加 速 化 するため、<br />

都 市 計 画 決 定 権 限 を 有 する 地 方 自 治 体 のみならず、 国 が 自 ら 戦 略<br />

的 に 都 市 計 画 を 主 導 する 地 域 を 設 け、 都 心 におけるマンション 建<br />

設 に 際 し、オフィスビルに 容 積 を 移 転 するなど、これまでとは 次<br />

元 の 異 なる 対 策 を、 前 述 の 特 区 制 度 設 計 と 併 せて 速 やかに 講 じる。<br />

2 外 国 医 師 による 外 国 人 向 け 医 療 の 充 実<br />

外 国 医 師 の 医 療 行 為 として 研 修 目 的 のみを 認 めている「 臨 床 修<br />

練 制 度 」について、 教 授 ・ 臨 床 研 究 目 的 の 追 加 や 期 間 の 延 長 を 認<br />

めることなどの 見 直 しを 全 国 的 に 行 うための 法 案 について、 医 療<br />

法 等 改 正 法 案 の 一 部 として 今 年 度 中 に 提 出 する。<br />

また、 併 せて、 質 の 担 保 を 確 保 しつつ、 特 区 における 外 国 人 向<br />

け 医 療 の 充 実 を 図 ることを 検 討 する。<br />

3インターナショナルスクールに 関 する 設 置 認 可 条 件 等 の 見 直 し<br />

いわゆるインターナショナルスクールについて、 外 国 人 が 就 労<br />

するに 当 たって 重 要 視 する 要 素 の 一 つである 子 どもの 教 育 環 境<br />

の 充 実 の 観 点 から、 校 地 ・ 校 舎 の 所 有 要 件 の 緩 和 など、 国 内 での<br />

設 置 を 困 難 にしているルールの 見 直 しを 強 力 に 推 進 する。<br />

4 研 究 者 等 への 労 働 契 約 法 をめぐる 課 題 に 関 する 検 討 【 再 掲 】<br />

5 首 都 圏 空 港 の 機 能 強 化 と 都 心 アクセスの 改 善 【 再 掲 】<br />

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6 公 立 学 校 運 営 の 民 間 への 開 放<br />

公 立 学 校 で 多 様 な 教 育 を 提 供 する 観 点 から、 公 立 学 校 運 営 の 民<br />

間 開 放 ( 民 間 委 託 方 式 による 学 校 の 公 設 民 営 等 )が 有 効 な 方 策 と<br />

なり 得 ることを 踏 まえ、 少 なくとも 特 区 において、こうした 民 間<br />

開 放 を 柔 軟 に 行 うことについて、 速 やかに 検 討 を 開 始 し、できる<br />

だけ 早 期 に 結 論 を 得 る。<br />

○ 特 区 推 進 体 制 の 整 備<br />

・ 内 閣 総 理 大 臣 を 長 とする「 国 家 戦 略 特 区 諮 問 会 議 」の 設 置 や 国 家 戦 略<br />

特 区 担 当 大 臣 の 任 命 など、 特 区 をトップダウンで 進 めるための 政 府 体<br />

制 を 速 やかに 確 立 する。<br />

2 公 共 施 設 等 運 営 権 等 の 民 間 開 放 (PPP/PFI の 活 用 拡 大 )<br />

国 内 のインフラ 整 備 ・ 運 営 を 担 ってきた 公 共 部 門 を 民 間 に 開 放 することは、 厳<br />

しい 財 政 状 況 の 下 での 効 果 的 ・ 効 率 的 なインフラ 整 備 ・ 運 営 を 可 能 とするととも<br />

に、 民 間 企 業 に 大 きな 市 場 と 国 際 競 争 力 強 化 のチャンスをもたらす。 民 間 の 提 案<br />

い<br />

を 活 かし、 民 間 投 資 を 喚 起 する 事 業 へと PPP/PFI の 抜 本 的 な 転 換 を 図 るため、 今<br />

後 10 年 間 における 12 兆 円 規 模 の PPP/PFI 活 用 のためのアクションプランを 実 行<br />

に 移 す。<br />

○コンセッション 方 式 の 対 象 拡 大<br />

・ 空 港 、 上 下 水 道 、 道 路 を 始 めとする 公 共 施 設 について、 公 共 による 管<br />

理 から、 民 間 事 業 者 による 経 営 へと 転 換 することにより、サービスの<br />

向 上 や 公 共 施 設 を 活 用 した 新 しい 価 値 を 生 み 出 す 経 営 手 法 である 公<br />

共 施 設 等 運 営 権 制 度 (いわゆる「コンセッション」)の 導 入 を 推 進 す<br />

る。 具 体 的 には、 空 港 においては 対 象 を 仙 台 空 港 など 国 管 理 空 港 等 に<br />

拡 大 することについて、 早 期 かつ 着 実 な 実 施 を 目 指 す。また、 上 下 水<br />

道 事 業 への 積 極 的 導 入 や 地 方 道 路 公 社 の 有 料 道 路 事 業 における 活 用<br />

等 を 推 進 する。<br />

○ 多 様 な 手 法 の 活 用<br />

・ 収 益 施 設 や 公 的 不 動 産 の 活 用 、 民 間 都 市 開 発 との 連 携 などにより、 民<br />

い<br />

間 資 金 等 を 最 大 限 に 活 かして 既 存 施 設 の 更 新 等 の 投 資 を 可 能 とする<br />

ような 手 法 を 積 極 的 に 推 進 する。 特 に、 上 部 空 間 の 利 用 等 により 首 都<br />

高 速 道 路 の 老 朽 化 対 策 を 民 間 都 市 開 発 と 一 体 的 に 行 うなど、 都 市 と 高<br />

速 道 路 の 一 体 的 な 再 生 に PPP 事 業 の 活 用 を 推 進 する。<br />

○( 株 ) 民 間 資 金 等 活 用 事 業 推 進 機 構 の 創 設<br />

・ ( 株 ) 民 間 資 金 等 活 用 事 業 推 進 機 構 ( 官 民 連 携 インフラファンド)を<br />

設 立 し、 利 用 料 金 収 入 により 資 金 回 収 を 行 う PFI 事 業 に 対 し、 国 の 資<br />

金 を 呼 び 水 として、 民 間 資 金 の 導 入 を 促 進 し、インフラ 投 資 市 場 を 育<br />

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成 することにより、 財 政 負 担 の 縮 減 や 民 間 の 事 業 機 会 の 創 出 を 図 る。<br />

3 空 港 ・ 港 湾 など 産 業 インフラの 整 備<br />

ヒトやモノの 国 際 的 な 移 動 を 円 滑 化 するため、 首 都 圏 空 港 や 戦 略 港 湾 の 強 化 を<br />

図 る。<br />

○ 首 都 圏 空 港 の 強 化 と 都 心 アクセスの 改 善<br />

・ 今 年 度 末 の 羽 田 空 港 の 国 際 線 3 万 回 増 枠 、 来 年 度 中 の 成 田 空 港 の 30<br />

万 回 化 を 着 実 に 実 施 しつつ、 首 都 圏 の 各 空 港 の 地 方 路 線 と 海 外 路 線 と<br />

の 接 続 を 改 善 するなどの 更 なる 機 能 強 化 を 検 討 するとともに、 都 心 と<br />

両 空 港 とのアクセス 改 善 に 向 けて、 既 設 の 鉄 道 の 活 用 や 都 心 部 におけ<br />

る 大 深 度 地 下 の 利 用 などによる 都 心 直 結 線 の 整 備 に 向 けた 検 討 を 進<br />

める。<br />

○ 物 流 ネットワークの 強 化<br />

・ 国 際 的 に 遜 色 ない 物 流 コストと 利 便 性 の 実 現 に 向 け、 港 湾 における 大<br />

型 船 舶 への 対 応 力 強 化 、 稼 働 時 間 延 長 等 のニーズへの 対 応 、 港 湾 ・ 空<br />

港 への 輸 送 アクセスを 向 上 させる。このため、 現 状 で5 割 にとどまっ<br />

ている 首 都 圏 3 環 状 道 路 の 整 備 率 を 今 後 5 年 間 で8 割 以 上 に 引 き 上<br />

げるなどの 三 大 都 市 圏 環 状 道 路 の 整 備 や、2016 年 度 までに 国 際 コンテ<br />

ナ 戦 略 港 湾 における 大 水 深 コンテナターミナルを 現 状 の3バースか<br />

ら 12 バースにするとともに、2015 年 度 までに 港 湾 運 営 会 社 による 一<br />

体 的 かつ 効 率 的 な 港 湾 運 営 を 実 現 、 海 外 トランシップ 貨 物 奪 還 に 向 け<br />

た 広 域 からの 集 荷 や 貨 物 の 需 要 創 出 を 促 進 することなどにより 物 流<br />

ネットワークの 強 化 を 進 める。<br />

4 都 市 の 競 争 力 の 向 上<br />

外 国 企 業 が 我 が 国 にアジアの 拠 点 を 置 くインセンティブとなるよう、 都 市 の 多<br />

様 性 を 確 保 し、 老 朽 化 した 建 築 物 等 を 更 新 すること 等 により 都 市 環 境 や 生 活 環 境<br />

の 向 上 、 良 好 な 治 安 の 確 保 、 防 災 力 の 向 上 等 を 通 じて、 都 市 の 国 際 競 争 力 を 高 め<br />

ることが 重 要 である。 大 都 市 の 国 際 競 争 力 を 高 めるため、 先 行 的 に「 国 家 戦 略 特<br />

区 」を 活 用 して 大 胆 な 規 制 改 革 等 を 実 施 するとともに、 大 都 市 全 体 として 取 り 組<br />

むべき 外 国 人 の 生 活 機 能 のサポートやシティセールス 等 を 推 進 する。<br />

○「 国 家 戦 略 特 区 」の 活 用 等 による 国 際 都 市 に 向 けた 環 境 整 備<br />

・ 「 国 家 戦 略 特 区 」においては、 大 都 市 におけるオフィスや 住 宅 などの<br />

多 様 なニーズに 応 じて 容 積 率 や 土 地 の 用 途 など 都 市 開 発 に 関 わる 規<br />

制 について 柔 軟 に 対 応 するとともに、 統 合 推 進 本 部 により 関 係 者 間 の<br />

調 整 を 円 滑 化 することにより 迅 速 な 対 応 を 促 進 する。<br />

・ 国 際 的 な 企 業 活 動 に 関 わる 一 定 の 地 域 において、 海 外 からの 優 れた 人<br />

材 が 快 適 に 生 活 できるよう 外 国 人 向 け 医 療 施 設 や 教 育 機 関 の 充 実 な<br />

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どの 環 境 整 備 を 促 進 する。<br />

○ 都 市 ・ 住 環 境 の 向 上<br />

・ 透 明 性 ・ 客 観 性 の 高 い 不 動 産 市 場 を 実 現 するため、 各 種 の 不 動 産 情 報<br />

やその 提 供 体 制 の 整 備 、 国 際 基 準 を 踏 まえた 不 動 産 の 評 価 基 準 の 整 備<br />

( 来 年 度 中 ) 等 を 行 うとともに、フロー 拡 大 からストック 充 実 に 向 け<br />

て 質 の 高 い 多 様 な 住 宅 ストックの 形 成 を 図 るため、 既 存 住 宅 のインス<br />

ペクション( 検 査 )や 長 期 優 良 住 宅 化 のための 基 準 等 の 整 備 ( 今 年 度<br />

中 )、 既 存 住 宅 の 建 物 評 価 に 係 る 指 針 策 定 ( 今 年 度 中 ) 等 を 行 うこと<br />

により、 居 住 面 の 環 境 整 備 を 促 進 する。<br />

地 方 都 市 においても、 街 なかへの 集 約 化 による 都 市 構 造 の 再 構 築 を 行 い、 人 口<br />

が 減 少 する 中 でも 住 宅 ・ 医 療 ・ 福 祉 等 の 機 能 を 街 なかに 誘 導 し、 都 市 の 活 力 の 維<br />

持 ・ 向 上 を 図 る。<br />

○コンパクトシティの 実 現<br />

・ 本 年 中 に 都 市 再 構 築 戦 略 を 策 定 し、 地 方 都 市 におけるコンパクトシテ<br />

ィの 実 現 に 向 けて、 支 援 措 置 や 土 地 利 用 制 度 との 組 合 せによる 民 間 を<br />

活 用 した 住 居 や 生 活 機 能 の 街 なかへの 誘 導 、 空 き 地 の 集 約 化 、 空 きビ<br />

ル 等 の 活 用 推 進 のための 制 度 構 築 や 市 役 所 、 学 校 跡 地 等 の 公 的 不 動 産<br />

の 有 効 活 用 の 推 進 など 民 間 主 導 による「 身 の 丈 に 合 った 再 整 備 」、 来<br />

訪 型 の 都 市 型 産 業 の 立 地 を 促 進 することにより、 都 市 構 造 のリノベー<br />

ションを 推 進 する。<br />

・ 空 き 店 舗 の 流 動 化 を 促 す 新 たな 仕 組 み 等 による 投 資 や 起 業 の 喚 起 、 合<br />

併 市 も 含 む 小 規 模 な 都 市 等 での 取 組 等 を 通 じ、 民 間 投 資 の 喚 起 を 軸 と<br />

する 中 心 市 街 地 活 性 化 を 図 る。<br />

5 金 融 ・ 資 本 市 場 の 活 性 化<br />

アジアの 成 長 も 取 り 込 みつつ、 証 券 市 場 の 活 性 化 や 資 産 運 用 マーケットの 強 化<br />

を 図 ること 等 により、アジア No.1の 金 融 ・ 資 本 市 場 の 構 築 を 目 指 す。<br />

○ 金 融 ・ 資 本 市 場 活 性 化 策 の 検 討<br />

・ 我 が 国 金 融 ・ 資 本 市 場 の 国 際 競 争 力 を 強 化 するため、 金 融 庁 、 財 務 省 、<br />

民 間 有 識 者 による 金 融 ・ 資 本 市 場 活 性 化 ワーキンググループを 設 置 し、<br />

金 融 特 区 のフィージビリティも 含 めた 市 場 活 性 化 策 を 検 討 し、 本 年 中<br />

に 概 要 を 固 める。<br />

6 公 的 ・ 準 公 的 資 金 の 運 用 等<br />

公 的 年 金 、 独 立 行 政 法 人 等 が 保 有 する 金 融 資 産 ( 公 的 ・ 準 公 的 資 金 )の 運 用 等<br />

の 在 り 方 について 検 討 を 行 う。<br />

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○ 公 的 ・ 準 公 的 資 金 の 運 用 等 の 在 り 方<br />

・ 公 的 ・ 準 公 的 資 金 について、 各 資 金 の 規 模 や 性 格 を 踏 まえ、 運 用 ( 分<br />

散 投 資 の 促 進 等 )、リスク 管 理 体 制 等 のガバナンス、 株 式 への 長 期 投<br />

資 におけるリターン 向 上 のための 方 策 等 に 係 る 横 断 的 な 課 題 につい<br />

て、 有 識 者 会 議 において 検 討 を 進 め、 本 年 秋 までに 提 言 を 得 る。<br />

7 環 境 ・エネルギー 制 約 の 克 服<br />

東 日 本 大 震 災 以 来 の 電 力 ・エネルギー 制 約 の 克 服 とコスト 低 減 のため、「 多 様<br />

な 供 給 体 制 とスマートな 消 費 行 動 を 持 つエネルギー 最 先 進 国 」へのアクションプ<br />

ランを 確 実 に 実 行 し、 改 善 の 成 果 を 見 せていく。 年 内 を 目 途 に 新 しいエネルギー<br />

基 本 計 画 を 策 定 し、 中 長 期 的 なエネルギー 政 策 の 軸 、 方 向 性 を 明 らかにする。<br />

また、11 月 の 地 球 温 暖 化 対 策 の 会 議 (COP19)までに、<strong>25</strong>% 削 減 目 標 をゼロベー<br />

スで 見 直 す。さらに、 技 術 で 世 界 に 貢 献 していく、 攻 めの 地 球 温 暖 化 外 交 戦 略 を<br />

組 み 立 てるべく、 二 国 間 オフセット・クレジット 制 度 を 本 格 的 に 導 入 するととも<br />

に、 新 たな 環 境 エネルギー 技 術 革 新 計 画 を「 総 合 科 学 技 術 会 議 」において 策 定 し、<br />

研 究 開 発 を 推 進 する。<br />

○ 電 力 システム 改 革 の 断 行<br />

・ 「 電 力 システムに 関 する 改 革 方 針 」に 従 い 電 力 供 給 の 効 率 化 による 電<br />

力 コストの 低 減 等 を 図 るため、 電 気 事 業 法 改 正 法 案 の 早 期 成 立 を 図 り<br />

つつ、 電 力 システム 改 革 (1 広 域 系 統 運 用 の 拡 大 、2 電 力 自 由 化 の 推<br />

進 、3 送 配 電 部 門 の 中 立 性 の 一 層 の 確 保 )を 着 実 に 進 め、 遅 くとも 2020<br />

年 を 目 途 に 改 革 を 完 了 する。<br />

○ 安 全 性 が 確 認 された 原 子 力 発 電 の 活 用<br />

・ 原 子 力 発 電 所 の 安 全 性 については、 原 子 力 規 制 委 員 会 の 専 門 的 な 判 断<br />

に 委 ね、 原 子 力 規 制 委 員 会 により 規 制 基 準 に 適 合 すると 認 められた 場<br />

合 には、その 判 断 を 尊 重 し 原 子 力 発 電 所 の 再 稼 動 を 進 める。その 際 、<br />

立 地 自 治 体 等 関 係 者 の 理 解 と 協 力 を 得 るよう 取 り 組 む。<br />

○ 高 効 率 火 力 発 電 ( 石 炭 ・LNG)の 導 入<br />

・ 環 境 省 と 経 済 産 業 省 が 合 意 した 環 境 アセスメントの 明 確 化 ・ 迅 速 化 を<br />

踏 まえ、 今 後 、 高 効 率 火 力 発 電 ( 石 炭 ・LNG)について、 環 境 に 配 慮<br />

しつつ 導 入 を 進 めるとともに、 技 術 開 発 を 進 めて 発 電 効 率 の 更 なる 向<br />

上 を 目 指 す。<br />

○LNG 調 達 コストの 低 減<br />

・ LNG 調 達 コストの 低 減 に 向 け、 北 米 からの LNG 輸 入 実 現 に 向 けた 取 組<br />

を 継 続 するとともに、ロシア・モザンビーク 等 における 日 本 企 業 の 開<br />

発 参 画 を 支 援 し、 供 給 源 の 多 角 化 を 進 める。また、 本 年 9 月 の「 第 2<br />

回 LNG 産 消 会 議 」を 通 じた LNG 消 費 国 間 の 連 携 強 化 等 によりバーゲニ<br />

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ングパワーを 強 化 する。<br />

○ 電 気 料 金 の 抑 制<br />

・ 料 金 審 査 において、 将 来 の 効 率 化 努 力 を 先 取 りした LNG 調 達 価 格 を 織<br />

り 込 む 等 厳 正 な 査 定 を 行 う。<br />

○ 石 油 ・LP ガスのサプライチェーンの 維 持 ・ 強 化 による 安 定 供 給 確 保<br />

・ 石 油 コンビナートにおける 設 備 最 適 化 ・ 高 付 加 価 値 化 、 製 油 所 ・SS(サ<br />

ービスステーション) 等 石 油 ・LP ガス 供 給 インフラのリスク 対 応 力 強<br />

化 、 産 業 事 故 防 止 、 備 蓄 の 機 動 性 向 上 、 地 域 における 石 油 ・LP ガスの<br />

安 定 供 給 の 確 保 等 を 促 す。<br />

○ 二 国 間 オフセット・クレジット 制 度 の 本 格 導 入<br />

・ 本 年 度 から 制 度 の 本 格 的 な 運 用 を 開 始 するため、 国 内 での 関 連 制 度 の<br />

整 備 や 国 際 的 な 位 置 付 けの 確 保 に 向 けたロードマップを 早 急 に 策 定<br />

する。また、 途 上 国 において、 我 が 国 の 優 れた 低 炭 素 技 術 の 導 入 を 強<br />

力 に 促 進 するために 必 要 な 支 援 を 検 討 するとともに、 関 係 省 庁 及 び<br />

JICA や JBIC 等 の 関 係 機 関 が 連 携 し、プロジェクト 形 成 の 促 進 等 を 行<br />

っていく。<br />

6. 中 小 企 業 ・ 小 規 模 事 業 者 の 革 新<br />

全 国 420 万 の 中 小 企 業 ・ 小 規 模 事 業 者 、 地 域 に 広 がるヒト、モノ、コミュニティ<br />

といった 経 営 資 源 は、 日 本 の 製 造 業 の 復 活 を 支 え、 付 加 価 値 の 高 いサービス 産 業 の<br />

源 泉 であり、 世 界 に 誇 るべき 産 業 基 盤 である。こうした 産 業 基 盤 の 革 新 が、 地 域 経<br />

済 を 再 生 させ、 我 が 国 の 国 際 競 争 力 を 底 上 げすることにつながる。<br />

このため、 開 業 率 が 廃 業 率 を 上 回 る 状 態 にし、 開 業 率 ・ 廃 業 率 が 米 国 ・ 英 国 レベ<br />

ル(10% 台 )になることを 目 指 すこと、 中 小 企 業 ・ 小 規 模 事 業 者 の 成 長 分 野 への 進 出<br />

を 支 援 し、2020 年 までに 黒 字 中 小 企 業 ・ 小 規 模 事 業 者 を 70 万 社 から 140 万 社 に 増 や<br />

すこと、 今 後 5 年 間 で 新 たに1 万 社 の 海 外 展 開 を 実 現 することを 目 指 し、 国 、 地 方<br />

公 共 団 体 に 加 え、 中 小 企 業 ・ 小 規 模 事 業 者 を 身 近 に 支 える 士 業 、 中 小 企 業 ・ 小 規 模<br />

事 業 者 関 係 団 体 、 地 域 金 融 機 関 などの 支 援 機 関 が 一 体 となって、 地 域 のリソースの<br />

活 用 ・ 結 集 ・ブランド 化 、 中 小 企 業 ・ 小 規 模 事 業 者 の 新 陳 代 謝 の 促 進 及 び 国 内 外 の<br />

フロンティアへの 取 組 促 進 を 進 める。あわせて、 現 場 の 中 小 企 業 ・ 小 規 模 事 業 者 の<br />

目 線 に 立 って、「 最 も 分 かりやすい」 中 小 企 業 ・ 小 規 模 事 業 者 向 けの 施 策 を 目 指 し、<br />

申 請 書 類 の 更 なる 削 減 ・ 簡 素 化 等 、 支 援 制 度 の 使 い 勝 手 の 向 上 について 不 断 の 見 直<br />

しを 行 っていく。<br />

※ 本 戦 略 における 中 小 企 業 に 関 係 する 施 策 においては、 本 項 と 同 様 、 中 小 企 業 と 小 規 模 事<br />

業 者 を 対 象 とした 取 組 を 行 うこととする。<br />

- 52 -


1 地 域 のリソースの 活 用 ・ 結 集 ・ブランド 化<br />

地 域 にはヒト、モノ、コミュニティといった 数 多 くのリソースが 利 用 されな<br />

いまま 眠 っている。そのため、これまでの 地 域 資 源 の 考 え 方 を 地 域 の 様 々な 経 営<br />

資 源 にまで 拡 充 し、これらを 有 機 的 に 結 び 付 けるため、 地 域 資 源 の 発 掘 及 びビジ<br />

ネス 化 するための 支 援 ネットワークの 構 築 や 一 層 のブランド 化 を 図 る。<br />

○ 地 域 のリソースを 活 用 ・ 結 集 させた 起 業 ・ 創 業 の 促 進<br />

・ 地 域 のリソースを 活 用 した 起 業 ・ 創 業 を 促 進 させるため、 創 業 から 経<br />

営 ノウハウに 至 る 支 援 を 全 国 的 にワンストップで 実 施 する。また、 支<br />

援 ポータルサイトを 通 じた 起 業 家 ネットワークの 強 化 、ビジネスコン<br />

テストの 実 施 、 商 店 街 ・ 中 心 市 街 地 の 機 能 の 充 実 など、 地 域 のリソー<br />

スを 活 用 した 起 業 ・ 創 業 の 担 い 手 を 拡 大 する。<br />

・ 地 域 資 源 を 活 用 する 創 業 や 地 域 資 源 を 結 集 ( 連 携 ・ 融 合 )させた 創 業<br />

について、 中 小 企 業 地 域 資 源 活 用 促 進 法 の 見 直 しを 含 め、あらゆる 政<br />

策 資 源 を 投 入 し、 総 合 的 な 支 援 を 行 う。<br />

・ 世 界 に 冠 たる 産 業 集 積 を 構 築 するため、 有 望 な 産 業 クラスター 候 補 地<br />

を 再 定 義 した 上 で、 地 域 中 核 企 業 を 中 心 とした 新 たなクラスターを 創<br />

出 し、 地 域 企 業 群 の 活 性 化 を 進 める。<br />

○ 資 金 調 達 の 多 様 化 (クラウド・ファンディング 等 )【 再 掲 】<br />

○「プレミアム 地 域 ブランド」の 創 出<br />

・ 地 域 資 源 のうち 特 に 有 望 なものについては、「プレミアム 地 域 ブラン<br />

ド」として、その 発 掘 から 市 場 開 拓 まで 一 貫 した 支 援 を 強 化 する。<br />

・ 地 域 団 体 商 標 の 登 録 主 体 を 商 工 会 、 商 工 会 議 所 等 に 拡 充 し、 利 用 価 値<br />

の 高 い 地 域 ブランドの 保 護 を 可 能 にする 商 標 制 度 の 見 直 しについて<br />

今 年 度 中 に 成 案 を 得 て、その 後 関 係 法 改 正 案 を 速 やかに 国 会 に 提 出 す<br />

る。また、 申 請 を 補 助 する 知 財 専 門 家 の 派 遣 や 相 談 ・ 申 請 に 係 る 財 政<br />

支 援 などにより、 地 域 団 体 商 標 に 係 る 負 担 の 低 減 と 申 請 ノウハウの 向<br />

上 による 迅 速 な 権 利 化 を 図 り、 地 域 団 体 商 標 の 活 用 を 促 進 する。<br />

・ 地 域 産 品 の 品 質 管 理 の 徹 底 ・ 品 質 のアピールのため、 事 業 組 合 等 によ<br />

る 高 水 準 の JIS 規 格 に 準 拠 した 品 質 基 準 の 独 自 設 定 や 独 自 の 認 証 体 制<br />

の 構 築 等 を 支 援 する。このため、 高 機 能 JIS の 実 施 に 向 けた 検 討 に 着<br />

手 し、 今 年 度 中 に 結 論 を 得 る。JAS 規 格 については、 地 域 産 品 のブラ<br />

ンド 化 に 資 するため、JAS 法 に 基 づく 高 水 準 の 規 格 の 利 用 促 進 を 行 う。<br />

○ 地 方 産 業 競 争 力 協 議 会 ( 仮 称 )の 設 置<br />

・ 全 国 各 地 の 地 域 に 根 ざした「 生 の 声 」を 反 映 していくため、 地 域 ブロ<br />

ックごとに、 地 域 を 支 える 企 業 の 経 営 者 等 をメンバーとする「 地 方 産<br />

業 競 争 力 協 議 会 ( 仮 称 )」を 設 置 する。 同 協 議 会 においては、 地 域 ご<br />

との 戦 略 産 業 を 特 定 し、 地 域 に 眠 る 資 源 の 掘 り 起 こし、 地 域 に 必 要 な<br />

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産 業 人 材 の 育 成 に 係 る 戦 略 等 を 定 め、 本 戦 略 の 地 域 における 展 開 状 況<br />

と 併 せて、 定 期 的 にフォローアップする。<br />

2 中 小 企 業 ・ 小 規 模 事 業 者 の 新 陳 代 謝 の 促 進<br />

我 が 国 の 起 業 ・ 創 業 を 大 幅 に 増 加 させ、 開 業 率 が 廃 業 率 を 上 回 る 状 態 にし、 開<br />

業 率 ・ 廃 業 率 が 米 国 ・ 英 国 レベル(10% 台 )になることを 目 指 すとともに、 経 営<br />

者 の 高 齢 化 ・ 後 継 者 難 が 一 層 深 刻 化 する 中 で、 経 営 者 の 世 代 交 代 、 親 族 外 への 事<br />

業 承 継 等 による 有 用 な 経 営 資 源 を 移 転 促 進 することより、 中 小 企 業 ・ 小 規 模 事 業<br />

者 の 新 陳 代 謝 を 促 進 する。<br />

また、 地 域 金 融 機 関 が 地 域 経 済 を 担 う 企 業 の 経 営 改 善 や 事 業 再 生 ・ 事 業 転 換 等<br />

の 支 援 、 新 たな 産 業 の 振 興 や 成 長 性 のある 企 業 の 育 成 に 向 け、コンサルティング<br />

機 能 の 発 揮 やリスクマネーの 供 給 に 積 極 的 に 取 り 組 むよう、 地 域 密 着 型 金 融 を 促<br />

進 する。<br />

○ 起 業 ・ 創 業 から 立 ち 上 がりまでの 一 貫 した 資 金 支 援<br />

・ 起 業 、 創 業 から 起 業 家 が 利 益 計 上 までの 立 ち 上 がりの 時 期 を 乗 り 越 え<br />

るため、 最 も 資 金 繰 りが 苦 しい 時 期 の 創 業 当 初 の 据 え 置 き 期 間 の 延 長<br />

を 図 るなど 創 業 向 け 公 的 金 融 の 強 化 や、 創 業 向 け 補 助 等 の 支 援 策 につ<br />

いて、 起 業 ・ 創 業 に 係 る 事 業 計 画 の 策 定 を 重 視 しつつ 強 化 することに<br />

より、 起 業 ・ 創 業 に 対 する 民 間 融 資 を 促 進 する。<br />

○ 個 人 保 証 制 度 の 見 直 し【 再 掲 】<br />

○ 事 業 引 継 ぎ、 事 業 承 継 の 支 援 【 再 掲 】<br />

3 戦 略 市 場 に 参 入 する 中 小 企 業 ・ 小 規 模 事 業 者 の 支 援<br />

中 小 企 業 ・ 小 規 模 事 業 者 が、 環 境 ・エネルギー、 健 康 ・ 医 療 、 航 空 宇 宙 などの<br />

成 長 分 野 に 参 入 するためには、 成 長 分 野 における 参 入 障 壁 を 克 服 するとともに、<br />

企 業 連 携 のためのマッチングやインターネットの 活 用 を 進 める。<br />

○ 成 長 分 野 進 出 に 向 けた 専 門 的 支 援 体 制 の 構 築<br />

・ ものづくり 産 業 の 強 化 を 図 るべく、 中 小 ものづくり 高 度 化 法 の 22 技<br />

術 分 野 を 見 直 し、 医 療 、 環 境 分 野 などの 成 長 分 野 に 中 小 企 業 ・ 小 規 模<br />

事 業 者 が 直 接 参 入 しやすくする。また、 素 材 や 機 械 制 御 技 術 等 の 日 本<br />

い<br />

の 強 みを 活 かし、3 次 元 造 形 システムの 研 究 開 発 を 国 家 プロジェクト<br />

として 推 進 する。 加 えて、 国 際 認 証 の 取 得 に 向 けた 業 界 経 験 者 等 の 長<br />

期 派 遣 等 を 行 う。<br />

・ 中 小 企 業 ・ 小 規 模 事 業 者 と 医 療 機 関 等 との 連 携 を 支 援 する 専 門 家 の 派<br />

遣 と 育 成 、 薬 事 相 談 ・ 申 請 費 用 の 支 援 などにより、 中 小 企 業 ・ 小 規 模<br />

事 業 者 による 医 療 機 器 開 発 ・ 審 査 に 係 る 費 用 低 減 と 期 間 短 縮 を 進 める。<br />

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○ 大 企 業 ・ 異 業 種 をターゲットにした 新 分 野 展 開 の 促 進<br />

・ 支 援 ポータルサイト・ 展 示 会 の 活 用 等 により、 大 企 業 や 異 業 種 企 業 と<br />

のマッチングの 場 の 整 備 と 連 携 を 促 進 するとともに、 支 援 人 材 の 発<br />

掘 ・ 育 成 により 新 分 野 展 開 に 重 要 となる 人 的 ネットワークの 構 築 を 図 る。<br />

4 国 際 展 開 する 中 小 企 業 ・ 小 規 模 事 業 者 の 支 援<br />

中 小 企 業 ・ 小 規 模 事 業 者 の 海 外 展 開 を 更 に 進 めるため、 点 から 線 、 線 から 面 へ<br />

と 支 援 を 拡 大 することで、 海 外 展 開 支 援 の 広 がりと 深 化 を 図 り、 今 後 5 年 間 で 新<br />

たに1 万 社 の 海 外 展 開 を 実 現 する。<br />

○ハンズオン 支 援 体 制 の 拡 充 ・ 強 化<br />

・ 独 立 行 政 法 人 日 本 貿 易 振 興 機 構 (JETRO)、 企 業 OB 人 材 を 活 用 し、 海<br />

外 展 開 を 目 指 す 企 業 をハンズオンで 一 貫 支 援 する 体 制 を 拡 充 ・ 強 化 す<br />

る。また、 認 定 支 援 機 関 ( 金 融 機 関 等 )への 研 修 を 通 じ、 国 内 相 談 窓<br />

口 を 強 化 するとともに、 支 援 機 関 が 連 携 し、 有 望 企 業 を 積 極 的 に 発<br />

掘 ・ 支 援 する。<br />

・ 海 外 向 けホームページ・ 決 済 ・ 物 流 をパッケージで 支 援 し、 中 小 企 業 ・<br />

小 規 模 事 業 者 の 情 報 を 多 言 語 で 発 信 することで、 海 外 企 業 をターゲッ<br />

トにした 新 分 野 展 開 を 促 進 する。<br />

○ 海 外 現 地 支 援 プラットフォームの 整 備<br />

・ 現 状 、8カ 国 、10 拠 点 に 整 備 中 の 現 地 支 援 プラットフォームの 主 要 拠<br />

点 ( 先 進 国 市 場 、 新 興 国 市 場 、 生 産 拠 点 )への 整 備 を 加 速 し、 法 務 ・<br />

労 務 ・ 知 財 問 題 等 の 専 門 サービス 支 援 や 万 一 の 縮 小 撤 退 等 のトラブル<br />

にも 深 掘 りして 対 応 する。また、 中 小 企 業 官 民 合 同 ミッション 等 の 活<br />

用 、 日 本 政 策 金 融 公 庫 が 行 う 現 地 金 融 機 関 からの 資 金 調 達 支 援 の 強 化<br />

を 図 る。<br />

< 留 意 事 項 > 官 民 ファンドによる 公 的 支 援 の 指 針<br />

日 本 産 業 再 興 プランにおいては、 国 が 出 資 するファンドの 活 用 を 想 定 してい<br />

るが、 国 の 関 与 によるモラルハザードを 防 止 する 観 点 から、 下 記 に 定 める 指 針<br />

に 基 づいて、 当 該 プランを 実 施 していくものとする。<br />

○ 官 民 ファンドによる 公 的 支 援 の 指 針<br />

1ファンドの 新 設 は、 市 場 経 済 が 機 能 し 難 い 状 況 において 必 要 最 小 限 の<br />

範 囲 で 行 う( 補 完 性 の 原 則 )。また、 政 府 の 成 長 戦 略 の 実 現 、 地 域 経 済<br />

活 性 化 への 貢 献 、 新 たな 産 業 ・ 市 場 を 創 出 する 呼 び 水 効 果 といった 政<br />

策 的 意 義 ( 外 部 性 の 原 則 )があるものに 限 定 する。<br />

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2ファンドの 存 続 には 期 限 を 設 け、 個 別 の 投 資 案 件 は 時 間 軸 を 設 定 し、<br />

民 間 に 適 切 に 引 き 渡 すことを 前 提 とする。<br />

3ファンドの 投 資 決 定 は、 国 が 透 明 性 の 高 い 支 援 基 準 を 設 定 し、 行 政 機<br />

関 に 所 属 しない 者 が 主 体 となり 専 門 的 ・ 客 観 的 な 見 地 に 基 づき 行 う。<br />

また、 政 治 ・ 行 政 による 個 別 案 件 への 介 入 を 遮 断 すべく、 独 立 ・ 専<br />

門 的 な 第 三 者 機 関 による 審 査 又 は 監 視 ・ 牽 制 の 仕 組 みを 導 入 する。<br />

4 政 策 目 的 によってファンドごとに 異 なるポートフォリオを 考 慮 し、 投<br />

資 先 全 体 としてのリスクマネジメント・ 収 支 管 理 を 行 う。<br />

5ファンド 全 体 の 業 績 評 価 については、 投 資 対 象 を 通 じた 日 本 経 済 や 雇<br />

用 への 影 響 など 政 策 的 意 義 に 留 意 しつつ、ファンド 設 立 ・ 運 営 の 趣 旨<br />

を 踏 まえ、 中 長 期 的 な 視 点 から 総 合 的 に 実 施 する。<br />

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二 . 戦 略 市 場 創 造 プラン<br />

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二 . 戦 略 市 場 創 造 プラン<br />

エネルギー 制 約 や 健 康 医 療 などの 社 会 課 題 は、 今 後 確 実 に 巨 大 なグローバル 市 場<br />

を 形 成 。 日 本 はこれら 課 題 の 先 進 国 であり、 高 度 な 技 術 力 で 市 場 を 獲 得 する 潜 在 力<br />

を 有 するが、<br />

- 規 制 制 度 や 慣 習 に 縛 られていること、<br />

-ビジネスを 展 開 するインフラが 未 整 備 であること、<br />

などにより 市 場 形 成 に 至 っていない。 世 界 でも 最 先 端 の 研 究 開 発 でしのぎを 削 って<br />

いる 分 野 での 取 組 の 遅 れは、 容 易 に 取 り 戻 すことが 困 難 である。<br />

このため、 世 界 や 我 が 国 が 直 面 している 社 会 課 題 のうち、「 日 本 が 国 際 的 に 強 み」<br />

を 持 ち、「グローバル 市 場 の 成 長 が 期 待 」でき、「 一 定 の 戦 略 分 野 が 見 込 めるテーマ」<br />

として、 以 下 の4テーマを 選 定 し、 集 中 改 革 期 間 経 過 後 の「2020 年 」、 中 期 的 な 政 策<br />

展 開 の 観 点 から「2030 年 」を 時 間 軸 とし、 研 究 開 発 から 規 制 緩 和 に 至 るまで 政 策 資<br />

源 を 一 気 通 貫 で 集 中 投 入 するための「ロードマップ」を 策 定 する。<br />

テーマ1: 国 民 の「 健 康 寿 命 」の 延 伸<br />

テーマ2:クリーンかつ 経 済 的 なエネルギー 需 給 の 実 現<br />

テーマ3: 安 全 ・ 便 利 で 経 済 的 な 次 世 代 インフラの 構 築<br />

テーマ4: 世 界 を 惹 きつける 地 域 資 源 で 稼 ぐ 地 域 社 会 の 実 現<br />

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テーマ1: 国 民 の「 健 康 寿 命 」の 延 伸<br />

社 会 像 : 予 防 から 治 療 、 早 期 在 宅 復 帰 に 至 る 適 正 なケアサイクルの 確 立<br />

戦 略 分 野 : 健 康 増 進 ・ 予 防 サービス、 生 活 支 援 サービス、 医 薬 品 ・ 医 療 機 器 、 高 齢 者<br />

向 け 住 宅 等<br />

市 場 規 模 : 国 内 26 兆 円 (2020 年 )、37 兆 円 (2030 年 ) Cf.16 兆 円 ( 現 在 )<br />

海 外 311 兆 円 (2020 年 )、5<strong>25</strong> 兆 円 (2030 年 ) Cf.163 兆 円<br />

雇 用 規 模 : 160 万 人 (2020 年 )、223 万 人 (2030 年 ) Cf.73 万 人<br />

(1) 2030 年 の 在 るべき 姿<br />

我 が 国 の 健 康 寿 命 は、 世 界 で 最 高 水 準 となっている。 我 が 国 の 医 療 ・ 介 護 システム<br />

は、 国 民 皆 保 険 制 度 の 下 、フリーアクセスを 維 持 しつつ、 比 較 的 安 価 な 費 用 負 担 で、<br />

質 の 高 いサービスを 提 供 し、これに 寄 与 している。<br />

しかしながら、<br />

・ 慢 性 疾 患 による 受 療 が 多 い、 疾 病 の 罹 患 率 が 高 い、 要 介 護 率 が 高 いなどの 特 徴<br />

を 有 する 75 歳 以 上 の 高 齢 者 の 増 加 、<br />

・ 一 人 暮 らし 世 帯 など、 家 庭 内 の 相 互 扶 助 が 期 待 できない 高 齢 者 の 増 加 、<br />

・ 医 療 ・ 介 護 技 術 の 進 歩 による、サービス 提 供 水 準 の 高 度 化 、<br />

などにより、 国 民 の 需 要 が 増 大 している。<br />

2030 年 には、 予 防 サービスの 充 実 等 により、 国 民 の 医 療 ・ 介 護 需 要 の 増 大 をでき<br />

る 限 り 抑 えつつ、より 質 の 高 い 医 療 ・ 介 護 を 提 供 することにより、『 国 民 の 健 康 寿 命<br />

が 延 伸 する 社 会 』を 目 指 すべきである。<br />

このため、「 健 康 ・ 医 療 戦 略 」( 本 年 6 月 14 日 )も 踏 まえ、 次 の3つの 社 会 像 の 実<br />

現 を 目 指 す。<br />

1 効 果 的 な 予 防 サービスや 健 康 管 理 の 充 実 により、 健 やかに 生 活 し、 老 いるこ<br />

とができる 社 会<br />

2 医 療 関 連 産 業 の 活 性 化 により、 必 要 な 世 界 最 先 端 の 医 療 等 が 受 けられる 社 会<br />

3 病 気 やけがをしても、 良 質 な 医 療 ・ 介 護 へのアクセスにより、 早 く 社 会 に 復<br />

帰 できる 社 会<br />

これにより、 国 民 自 身 が 疾 病 予 防 や 健 康 維 持 に 努 めるとともに、 必 要 な 予 防 サー<br />

ビスを 多 様 な 選 択 肢 の 中 で 購 入 でき、 必 要 な 場 合 には、 世 界 最 先 端 の 医 療 やリハビ<br />

リが 受 けられる、 適 正 なケアサイクルが 確 立 された 社 会 を 目 指 す。<br />

(2) 個 別 の 社 会 像 と 実 現 に 向 けた 取 組<br />

1 効 果 的 な 予 防 サービスや 健 康 管 理 の 充 実 により、 健 やかに 生 活 し、 老 いること<br />

ができる 社 会<br />

Ⅰ) 社 会 像 と 現 状 の 問 題 点<br />

個 人 や 企 業 が 自 ら 健 康 管 理 や 予 防 に 高 い 意 識 で 取 り 組 むとともに、 必 要 なサー<br />

ビスがどこでも 簡 単 に 受 けられる 社 会 を 目 指 す。<br />

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一 方 、 現 状 では、 次 のような 要 因 で 予 防 への 動 機 付 けが 乏 しい。<br />

ⅰ) 個 人 は、 健 康 なときは、 食 事 管 理 や 運 動 などの 予 防 ・ 健 康 管 理 を 継 続 して 行<br />

う 意 識 が 弱 くなる 傾 向 がある。<br />

ⅱ) 保 険 者 は、 健 康 管 理 や 予 防 の 必 要 性 を 認 識 しつつも、 個 人 に 対 する 動 機 付 け<br />

の 方 策 を 十 分 に 講 じていない。<br />

企 業 にとっても、 本 来 、 社 員 の 健 康 を 維 持 することは、 人 材 の 有 効 活 用 や 保<br />

険 料 の 抑 制 を 通 じ、 会 社 の 収 益 にも 資 するものであるが、こうした 問 題 意 識 が<br />

経 営 者 に 浸 透 しているとは 言 い 難 い。<br />

ⅲ)これらも 要 因 となり、 健 康 管 理 や 予 防 サービスが 産 業 ・ 市 場 として 成 長 して<br />

いない。<br />

特 に、 公 的 分 野 との 境 界 で 制 度 的 な 不 明 確 さもあり、サービスの 提 供 者 が 参<br />

入 にちゅうちょしたり、 消 費 者 にとっても 安 心 してサービスを 受 けにくい 状 況<br />

にある。<br />

Ⅱ) 解 決 の 方 向 性 と 戦 略 分 野 ( 市 場 ・ 産 業 ) 及 び 当 面 の 主 要 施 策<br />

こうした 現 状 を 打 開 するため、 個 人 ・ 保 険 者 ・ 企 業 の 意 識 ・ 動 機 付 けを 高 める<br />

ことと 健 康 寿 命 延 伸 産 業 の 創 出 を 両 輪 で 取 り 組 む。これにより、どこでも 簡 単 に<br />

サービスを 受 けられる 仕 組 みを 作 り、 自 己 健 康 管 理 を 進 める「セルフメディケー<br />

ション」 等 を 実 現 する。<br />

すなわち、 意 識 ・ 動 機 付 けにより 潜 在 市 場 の 拡 大 を 図 るとともに、 規 制 ・ 制 度<br />

の 改 革 ・ 明 確 化 を 始 めとして、 最 も 効 果 的 ・ 効 率 的 な 政 策 手 段 を 採 用 すること<br />

で、 健 康 増 進 ・ 予 防 ( 医 療 機 関 からの 指 示 を 受 けて 運 動 ・ 食 事 指 導 を 行 うサービ<br />

ス、 簡 易 な 検 査 を 行 うサービスなど)や 生 活 支 援 ( 医 療 と 連 携 した 配 食 サービス<br />

を 提 供 する 仕 組 みづくり 等 )を 担 う 市 場 ・ 産 業 を 戦 略 分 野 として 創 出 ・ 育 成 する。<br />

○ 健 康 寿 命 延 伸 産 業 の 育 成<br />

・ 適 正 なケアサイクルの 確 立 と、 公 的 保 険 に 依 存 しない 新 たな 健 康 寿 命<br />

延 伸 産 業 を 育 成 するための 包 括 的 な 政 策 パッケージを 策 定 する。 関 連<br />

規 制 に 関 するグレーゾーンの 解 消 、 新 製 品 ・サービスの 品 質 保 証 ・ 情<br />

報 共 有 の 仕 組 み、リース 方 式 の 活 用 等 を 通 じた 市 場 の 創 造 ・リスク 補<br />

填 に 取 り 組 む。 本 年 8 月 末 までに 検 討 を 進 め 結 論 を 得 た 上 で、 法 制 上<br />

の 措 置 等 必 要 な 措 置 を 講 じる。<br />

・ また、 法 制 上 の 措 置 を 待 たず、 各 企 業 が 新 たに 実 施 しようとする 事 業<br />

の 実 施 が 可 能 ( 適 法 )であることを 確 認 するため、 個 別 に 相 談 を 受 け<br />

付 ける 体 制 を 直 ちに 整 備 するとともに、 民 間 サービスの 品 質 を 確 保 す<br />

る 枠 組 みを 整 備 するため、「 次 世 代 ヘルスケア 産 業 協 議 会 ( 仮 称 )」を<br />

法 制 度 整 備 にあわせて 設 置 する。<br />

・ 疾 病 予 防 効 果 のエビデンスに 基 づく 適 正 な 運 動 量 や 健 康 な 食 事 の 基<br />

準 を 策 定 する。<br />

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○ 予 防 ・ 健 康 管 理 の 推 進 に 関 する 新 たな 仕 組 みづくり<br />

・ 健 康 保 険 法 等 に 基 づく 厚 生 労 働 大 臣 指 針 ( 告 示 )を 今 年 度 中 に 改 正 し、<br />

全 ての 健 康 保 険 組 合 に 対 し、レセプト 等 のデータの 分 析 、それに 基 づ<br />

く 加 入 者 の 健 康 保 持 増 進 のための 事 業 計 画 として「データヘルス 計 画<br />

( 仮 称 )」の 作 成 ・ 公 表 、 事 業 実 施 、 評 価 等 の 取 組 を 求 めるとともに、<br />

市 町 村 国 保 が 同 様 の 取 組 を 行 うことを 推 進 する。<br />

・ 糖 尿 病 性 腎 症 患 者 の 人 工 透 析 導 入 を 予 防 する 重 症 化 予 防 事 業 等 の 好<br />

事 例 について、 来 年 度 内 に 横 展 開 を 開 始 できるよう、 本 年 8 月 末 まで<br />

に 検 討 を 進 め 結 論 を 得 た 上 で、 概 算 要 求 等 に 反 映 させる。<br />

・ 特 定 健 診 ・ 保 健 指 導 の 効 果 に 関 し、 特 定 保 健 指 導 を 終 了 した 人 と 利 用<br />

していない 人 とで 健 康 状 態 や 生 活 習 慣 の 改 善 状 況 を 比 較 するととも<br />

に、 特 定 保 健 指 導 の 医 療 費 適 正 化 効 果 の 分 析 にも 着 手 することにより、<br />

当 面 来 年 度 までの2か 年 において 一 定 の 効 果 検 証 の 成 果 を 得 て、その<br />

周 知 を 行 い、 保 険 者 の 保 健 事 業 等 の 取 組 を 促 進 する。<br />

・ 後 期 高 齢 者 支 援 金 の 加 算 ・ 減 算 制 度 については、 今 年 度 からの 実 施 状<br />

況 、 関 係 者 の 意 見 に 加 え、 特 定 保 健 指 導 の 効 果 の 検 証 を 踏 まえ、より<br />

良 い 仕 組 みを 今 後 検 討 していく。<br />

・ 自 治 体 や 企 業 による 市 民 や 社 員 の 健 康 づくりに 関 するモデル 的 な 取<br />

組 を 横 展 開 するとともに、 健 康 づくりに 向 けた 幅 広 い 企 業 連 携 を 主 体<br />

とした 取 組 である「スマート・ライフ・プロジェクト」の 更 なる 推 進<br />

などにより、 個 人 や 企 業 の「 健 康 意 識 」 及 び「 動 機 付 け」の 醸 成 ・ 向<br />

上 を 図 る。<br />

・ 薬 局 を 地 域 に 密 着 した 健 康 情 報 の 拠 点 として、 一 般 用 医 薬 品 等 の 適 正<br />

な 使 用 に 関 する 助 言 や 健 康 に 関 する 相 談 、 情 報 提 供 を 行 う 等 、セルフ<br />

メディケーションの 推 進 のために 薬 局 ・ 薬 剤 師 の 活 用 を 促 進 する。<br />

○ 食 の 有 する 健 康 増 進 機 能 の 活 用<br />

・ いわゆる 健 康 食 品 等 の 加 工 食 品 及 び 農 林 水 産 物 に 関 し、 企 業 等 の 責 任<br />

において 科 学 的 根 拠 をもとに 機 能 性 を 表 示 できる 新 たな 方 策 につい<br />

て、 今 年 度 中 に 検 討 を 開 始 し、 来 年 度 中 に 結 論 を 得 た 上 で 実 施 する。<br />

検 討 に 当 たっては、 国 ではなく 企 業 等 が 自 らその 科 学 的 根 拠 を 評 価 し<br />

た 上 でその 旨 及 び 機 能 を 表 示 できる 米 国 のダイエタリーサプリメン<br />

トの 表 示 制 度 を 参 考 にしつつ、 安 全 性 の 確 保 も 含 めた 運 用 が 可 能 な 仕<br />

組 みとすることを 念 頭 に 行 う。<br />

・ 食 の 有 する 健 康 増 進 機 能 の 解 明 ・ 評 価 や、 健 康 増 進 機 能 を 有 する 食<br />

材 ・ 食 品 の 開 発 ・ 普 及 促 進 を 図 る。<br />

さらに、 健 康 ・ 疾 病 データベースなど、 世 界 最 先 端 の 研 究 ・ 分 析 基 盤 を 確 立<br />

すること 等 により、こうした 市 場 ・ 産 業 の 拡 大 ・ 発 展 を 図 る。<br />

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○ 医 療 ・ 介 護 情 報 の 電 子 化 の 促 進<br />

・ 医 療 の 質 の 向 上 や 研 究 基 盤 の 強 化 を 進 めるため、 国 が 保 有 するレセプ<br />

ト 等 データの 利 活 用 を 促 進 する。このため、 民 間 企 業 も、 行 おうとす<br />

る 研 究 が 国 の 行 政 機 関 から 費 用 の 助 成 を 受 けているものである 場 合<br />

には、レセプト 等 データの 提 供 を 申 し 出 ることができることを 含 め、<br />

データ 提 供 の 申 出 者 の 範 囲 について 周 知 徹 底 する。さらに、 幅 広 い 主<br />

体 による 適 時 の 利 活 用 を 促 すため、データ 提 供 の 円 滑 化 や 申 出 者 の 範<br />

囲 について 検 討 する。<br />

・ 保 険 者 において、ICT を 活 用 してレセプト 等 データを 分 析 し、 加 入 者<br />

の 健 康 づくりの 推 進 や 医 療 費 の 適 正 化 等 に 取 り 組 む 好 事 例 の 全 国 展<br />

開 を 図 る。<br />

・ 地 域 でのカルテ・ 介 護 情 報 の 共 有 により、ICT を 活 用 した 在 宅 を 含 め<br />

た 地 域 医 療 介 護 連 携 の 全 国 普 及 を 図 る。<br />

・ 医 薬 品 の 副 作 用 データベースシステムについて、データ 収 集 の 拠 点 と<br />

なる 病 院 の 拡 充 や 地 域 連 携 の 推 進 を 図 ることにより、 利 活 用 できる 十<br />

分 な 情 報 を 確 保 し、 医 薬 品 の 有 効 性 ・ 安 全 性 評 価 や 健 康 寿 命 の 延 伸 に<br />

つなげる。<br />

・ 医 療 の 質 を 向 上 させるため、 関 係 学 会 等 が、 日 々の 診 療 行 為 、 治 療 結<br />

果 及 びアウトカムデータ( 診 療 行 為 の 効 果 )を、 全 国 的 に 各 分 野 ごと<br />

に 一 元 的 に 蓄 積 ・ 分 析 ・ 活 用 する 取 組 を 推 進 する。<br />

○ 医 療 情 報 の 利 活 用 推 進 と 番 号 制 度 導 入<br />

・ 地 域 で 行 われている 医 療 情 報 連 携 ネットワークの 全 国 への 普 及 ・ 展 開<br />

を 進 め、 医 療 情 報 の 利 活 用 と 保 護 を 図 るため 必 要 な 措 置 を 講 じるなど<br />

環 境 整 備 を 行 う。また、 個 人 一 人 ひとりが 自 分 の 医 療 ・ 健 康 データを<br />

利 活 用 できる 環 境 を 整 備 ・ 促 進 し、 適 正 な 情 報 の 活 用 により 適 切 な 健<br />

康 産 業 の 振 興 につなげるべく 検 討 を 進 め、 国 民 的 理 解 を 得 た 上 で、 医<br />

療 情 報 の 番 号 制 度 の 導 入 を 図 る。このため、まずはデータやシステム<br />

仕 様 の 標 準 化 、ガイドライン 作 成 等 の 運 用 ルールの 検 討 等 の 環 境 整 備<br />

を 行 う。<br />

○ 一 般 用 医 薬 品 のインターネット 販 売<br />

・ 一 般 用 医 薬 品 については、インターネット 販 売 を 認 めることとする。<br />

その 際 、 消 費 者 の 安 全 性 を 確 保 しつつ、 適 切 なルールの 下 で 行 うこと<br />

とする。<br />

・ ただし、「スイッチ 直 後 品 目 」 及 び「 劇 薬 指 定 品 目 」については、 他<br />

の 一 般 用 医 薬 品 とはその 性 質 が 異 なるため、 医 療 用 に 準 じた 形 での 慎<br />

重 な 販 売 や 使 用 を 促 すための 仕 組 みについて、その 成 分 、 用 法 、 用 量 、<br />

副 作 用 の 発 現 状 況 等 の 観 点 から、 医 学 ・ 薬 学 等 それぞれの 分 野 の 専 門<br />

家 による 所 要 の 検 討 を 行 う。 秋 頃 までに 結 論 を 得 て、 所 要 の 制 度 的 な<br />

措 置 を 講 じる。<br />

・ 検 討 に 当 たっては、インターネット 販 売 か 対 面 販 売 かを 問 わず、 合 理<br />

的 かつ 客 観 的 な 検 討 を 行 うものとする。<br />

- 62 -


○ヘルスケアポイントの 付 与<br />

・ 総 合 特 区 の 枠 組 みを 活 用 し、 地 方 自 治 体 の 国 民 健 康 保 険 や 企 業 の 健 康<br />

保 険 組 合 等 における ICT システムや 健 診 データ 等 を 活 用 した 健 康 づく<br />

りモデル( 予 防 )の 確 立 のための 大 規 模 実 証 を 実 施 ( 来 年 度 より)。<br />

この 取 組 の 中 で、ヘルスケアポイント( 運 動 等 の 健 康 増 進 に 関 する 取<br />

組 ・ 成 果 に 対 して 付 与 され、 健 康 ・ 介 護 サービス 施 設 や 地 域 商 店 街 等<br />

で 利 用 するポイント) 自 体 を 用 いた 大 規 模 実 証 実 験 を、 今 後 推 進 する。<br />

2 医 療 関 連 産 業 の 活 性 化 により、 必 要 な 世 界 最 先 端 の 医 療 等 が 受 けられる 社 会<br />

Ⅰ) 社 会 像 と 現 状 の 問 題 点<br />

がん、 難 病 ・ 希 少 疾 病 、 感 染 症 、 認 知 症 等 の 克 服 に 必 要 な 我 が 国 発 の 優 れた<br />

革 新 的 医 療 技 術 の 核 となる 医 薬 品 ・ 医 療 機 器 ・ 再 生 医 療 製 品 等 を 世 界 に 先 駆 け<br />

て 開 発 し、 素 早 い 承 認 を 経 て 導 入 し、 同 時 に 世 界 に 輸 出 することで、 日 本 の 革<br />

新 的 医 療 技 術 の 更 なる 発 展 につながる 好 循 環 が 形 成 されている 社 会 を 目 指 す。<br />

しかし、 現 実 には、2011 年 時 点 で、 医 薬 品 ・ 医 療 機 器 合 わせて 約 2 兆 円 の 輸<br />

入 超 過 である。また、2012 年 12 月 における 再 生 医 療 製 品 の 承 認 状 況 を 見 ると、<br />

米 国 9 品 目 、 韓 国 14 品 目 に 対 して、 日 本 は2 品 目 にとどまっている。<br />

Ⅱ) 解 決 の 方 向 性 と 戦 略 分 野 ( 市 場 ・ 産 業 ) 及 び 当 面 の 主 要 施 策<br />

こうした 現 状 を 打 開 すべく、 優 れた 医 療 技 術 の 核 となる 医 薬 品 ・ 医 療 機 器 ・ 再<br />

い<br />

生 医 療 製 品 等 について、 日 本 の 強 みとなる、ものづくり 技 術 も 活 かしながら、そ<br />

の 実 用 化 を 推 進 し、 世 界 で 拡 大 するマーケットを 獲 得 できる 世 界 最 先 端 の 革 新 的<br />

ふかん<br />

製 品 を 創 出 する。このため、 国 家 の 課 題 としての、 疾 病 克 服 のための 研 究 を 俯 瞰<br />

する 司 令 塔 機 能 を 創 設 する。<br />

○ 医 療 分 野 の 研 究 開 発 の 司 令 塔 機 能 (「 日 本 版 NIH」)の 創 設<br />

・ 革 新 的 な 医 療 技 術 の 実 用 化 を 加 速 するため、 医 療 分 野 の 研 究 開 発 の 司<br />

令 塔 機 能 (「 日 本 版 NIH」)を 創 設 する。 具 体 的 には、<br />

- 司 令 塔 の 本 部 として、 内 閣 に、 内 閣 総 理 大 臣 ・ 担 当 大 臣 ・ 関<br />

係 閣 僚 からなる 推 進 本 部 を 設 置 する。<br />

政 治 の 強 力 なリーダーシップにより、1 医 療 分 野 の 研 究 開 発 に<br />

関 する 総 合 戦 略 を 策 定 し、 重 点 化 すべき 研 究 分 野 とその 目 標 を<br />

決 定 するとともに、2 同 戦 略 の 実 施 のために 必 要 な、 各 省 に 計<br />

上 されている 医 療 分 野 の 研 究 開 発 関 連 予 算 を 一 元 化 ( 調 整 費 な<br />

ど)することにより、 司 令 塔 機 能 の 発 揮 に 必 要 な 予 算 を 確 保 し、<br />

戦 略 的 ・ 重 点 的 な 予 算 配 分 を 行 う。<br />

- 一 元 的 な 研 究 管 理 の 実 務 を 担 う 独 立 行 政 法 人 を 創 設 する。<br />

総 合 戦 略 に 基 づき、 個 別 の 研 究 テーマの 選 定 、 研 究 の 進 捗 管 理 、<br />

事 後 評 価 など、 国 として 戦 略 的 に 行 うべき 実 用 化 のための 研 究<br />

を 基 礎 段 階 から 一 気 通 貫 で 管 理 することとし、そのため、プロ<br />

- 63 -


グラムディレクター、プログラムオフィサー 等 を 活 用 しつつ、<br />

実 務 レベルの 中 核 機 能 を 果 たす 独 立 行 政 法 人 を 設 置 する。<br />

- 研 究 を 臨 床 につなげるため、 国 際 水 準 の 質 の 高 い 臨 床 研 究 ・<br />

治 験 が 確 実 に 実 施 される 仕 組 みを 構 築 する。<br />

臨 床 研 究 中 核 病 院 及 び 早 期 ・ 探 索 的 臨 床 試 験 拠 点 において、 企<br />

業 の 要 求 水 準 を 満 たすような 国 際 水 準 の 質 の 高 い 臨 床 研 究 ・ 治<br />

験 が 確 実 に 実 施 されるよう、 所 要 の 措 置 を 講 じる。<br />

臨 床 研 究 ・ 治 験 の 実 施 状 況 ( 対 象 疾 患 、 実 施 内 容 、 進 捗 状 況 等 )<br />

を 適 切 に 把 握 するため、 知 的 財 産 の 保 護 等 に 十 分 に 留 意 しつつ、<br />

こうした 状 況 を 網 羅 的 に 俯 瞰 できるデータベースを 構 築 する。<br />

民 間 資 金 も 積 極 的 に 活 用 し、 臨 床 研 究 ・ 治 験 機 能 を 高 める。<br />

等 の 措 置 を 講 じる。<br />

・ これらに 基 づき、 本 年 8 月 末 までに 推 進 本 部 を 設 置 するほか、 詳 細 な<br />

制 度 設 計 に 取 り 組 み、その 結 果 を 概 算 要 求 等 に 反 映 させるとともに、<br />

所 要 の 法 案 を 次 期 通 常 国 会 に 提 出 し、 早 期 に 新 独 法 を 設 立 することを<br />

目 指 す。<br />

( 注 ) 独 立 行 政 法 人 の 設 置 は、スクラップアンドビルド 原 則 に 基 づき 行 うこととし、 公 的<br />

部 門 の 肥 大 化 は 行 わない。<br />

さらに、 革 新 的 な 製 品 を 世 界 に 先 駆 けて 実 用 化 し、 世 界 初 承 認 とするため、<br />

審 査 の 迅 速 化 と 質 の 向 上 を 実 現 する 体 制 整 備 を 進 める 等 、 研 究 開 発 から 実 用 化<br />

につなげる 体 制 整 備 を 進 める。 加 えて、 医 療 関 連 産 業 の 国 際 競 争 力 を 抜 本 的 に<br />

向 上 させる。このため、 国 際 競 争 を 意 識 した、 規 制 ・ 制 度 改 革 、 研 究 開 発 及 び<br />

海 外 展 開 支 援 を 集 中 的 に 講 じる。<br />

○ 先 進 医 療 の 大 幅 拡 大<br />

・ 保 険 診 療 と 保 険 外 の 安 全 な 先 進 医 療 を 幅 広 く 併 用 して 受 けられるよ<br />

うにするため、 新 たに 外 部 機 関 等 による 専 門 評 価 体 制 を 創 設 し、 評 価<br />

の 迅 速 化 ・ 効 率 化 を 図 る「 最 先 端 医 療 迅 速 評 価 制 度 ( 仮 称 )」( 先 進 医<br />

療 ハイウェイ 構 想 )を 推 進 することにより、 先 進 医 療 の 対 象 範 囲 を 大<br />

幅 に 拡 大 する。このため、 秋 を 目 途 にまず 抗 がん 剤 から 開 始 する。<br />

○ 医 薬 品 ・ 医 療 機 器 開 発 、 再 生 医 療 研 究 を 加 速 させる 規 制 ・ 制 度 改 革<br />

・ 薬 事 法 等 改 正 法 案 ( 医 療 機 器 の 民 間 の 第 三 者 機 関 による 認 証 の 拡 大 、<br />

再 生 医 療 等 製 品 の 条 件 ・ 期 限 付 での 早 期 承 認 制 度 の 創 設 等 )、 再 生 医<br />

療 等 安 全 性 確 保 法 案 ( 再 生 医 療 等 を 提 供 する 際 の 計 画 の 提 出 、 細 胞 培<br />

養 加 工 の 医 療 機 関 から 企 業 への 委 託 を 可 能 とする 制 度 の 創 設 等 )につ<br />

いて、 早 期 の 成 立 を 目 指 す。<br />

・ 審 査 当 局 である 独 立 行 政 法 人 医 薬 品 医 療 機 器 総 合 機 構 (PMDA)や 国 立<br />

医 薬 品 食 品 衛 生 研 究 所 と 大 学 等 との 人 材 交 流 を 促 進 し、 各 種 ガイドラ<br />

インの 策 定 により、 再 生 医 療 製 品 、 医 療 機 器 を 含 め 革 新 的 な 製 品 の 開<br />

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発 ・ 評 価 方 法 を 確 立 する。<br />

・ 大 学 等 の 基 礎 的 研 究 成 果 を 革 新 的 医 薬 品 として 実 用 化 に 導 くため、 医<br />

薬 基 盤 研 究 所 に 設 置 した 創 薬 支 援 戦 略 室 が 本 部 機 能 を 担 い、 理 化 学 研<br />

究 所 、 産 業 技 術 総 合 研 究 所 等 の 連 携 による 創 薬 支 援 ネットワークを<br />

「 日 本 版 NIH」の 創 設 に 先 行 して 構 築 し、 新 薬 創 出 に 向 けた 研 究 開 発<br />

を 支 援 する。<br />

・ 産 官 学 が 一 体 となって、 再 生 医 療 に 用 いる 細 胞 等 を 培 養 加 工 又 は 製 造<br />

する 際 の 品 質 管 理 等 の 基 準 を 新 たに 作 成 するとともに、 投 与 されたヒ<br />

ト 幹 細 胞 等 を 長 期 間 保 管 する 体 制 整 備 を 行 うなど、 再 生 医 療 の 実 用 化<br />

を 促 進 するための 環 境 の 整 備 を 図 る。<br />

い<br />

・ 中 小 企 業 等 の 有 する 高 度 なものづくり 技 術 を 活 かした 医 工 連 携 によ<br />

り、 医 療 現 場 のニーズ・ 課 題 解 決 を 図 るため、 産 学 官 と 医 療 機 関 との<br />

連 携 による 健 康 ・ 医 療 戦 略 クラスターについて、「 日 本 版 NIH」の 創 設<br />

に 先 行 して 構 築 を 促 進 することにより、 医 療 機 器 開 発 ・ 実 用 化 の 推 進<br />

と 支 援 体 制 の 整 備 を 行 う。<br />

・ 「 再 生 医 療 実 現 化 ハイウェイ 構 想 」 等 に 基 づき、 研 究 開 発 から 実 用 化<br />

までの 一 貫 した 支 援 体 制 を 構 築 することにより、ヒト 幹 細 胞 を 用 いた<br />

研 究 について、 薬 事 戦 略 相 談 を 活 用 しつつ、 質 の 高 い 臨 床 研 究 ・ 治 験<br />

への 迅 速 な 導 出 を 図 る。<br />

・ 「 日 本 版 NIH」の 創 設 に 向 けた 検 討 とも 整 合 した 形 で、 臨 床 研 究 中 核<br />

病 院 等 を 中 核 的 な 医 療 機 関 として 医 療 法 に 位 置 付 ける 他 、 必 要 に 応 じ<br />

て 所 要 の 措 置 を 講 じ、 高 度 な 専 門 家 と 十 分 な 体 制 を 有 する 中 央 治 験 審<br />

査 委 員 会 及 び 中 央 倫 理 審 査 委 員 会 の 整 備 、ARO( 多 施 設 共 同 研 究 を 始<br />

めとする 臨 床 研 究 ・ 治 験 を 実 施 ・ 支 援 する 機 関 ) 構 築 により、ニーズ<br />

を 踏 まえた、 高 度 かつ 専 門 的 な 臨 床 研 究 や 治 験 の 実 施 体 制 を 整 備 する。<br />

・ 「 総 合 科 学 技 術 会 議 」の 関 与 により 2008 年 度 から 2012 年 度 まで 取 り<br />

組 み、 企 業 出 身 者 等 を 活 用 した 早 期 からの 薬 事 相 談 や 研 究 資 金 の 柔 軟<br />

な 運 用 を 目 指 した 先 端 医 療 開 発 特 区 (「スーパー 特 区 」)の 成 果 を 踏 ま<br />

え、PMDA が 実 施 する 薬 事 戦 略 相 談 を 拡 充 するとともに、 規 制 改 革 によ<br />

る 研 究 開 発 の 実 用 化 、 事 業 化 が 促 進 される 制 度 (ポスト「スーパー 特<br />

区 」( 仮 称 ))を 構 築 する。<br />

・ 有 用 な 医 療 機 器 ・ 再 生 医 療 製 品 を 迅 速 かつ 安 全 に 国 民 に 提 供 するため、<br />

関 係 学 会 等 との 連 携 により、 長 期 に 安 全 性 を 確 認 するシステム 構 築 等<br />

の 市 販 後 情 報 収 集 体 制 の 強 化 を 図 る。<br />

・ 医 薬 品 、 医 療 機 器 やそれらを 組 み 合 わせた 新 規 医 療 材 料 の 評 価 におい<br />

て、 臨 床 的 に 有 用 性 の 高 い 革 新 的 なイノベーションがより 適 切 に 反 映<br />

されるよう、さらに 検 討 を 進 め、 来 年 度 診 療 報 酬 改 定 において 検 討 し、<br />

結 論 を 得 る。<br />

- 65 -


○ 革 新 的 な 研 究 開 発 の 推 進<br />

・ 革 新 的 な 医 薬 品 ・ 医 療 機 器 の 研 究 開 発 、 再 生 医 療 等 の 先 端 医 療 研 究 を<br />

推 進 するとともに、 人 材 育 成 や 革 新 的 医 薬 品 ・ 医 療 機 器 ・ 再 生 医 療 製<br />

品 の 安 全 性 と 有 効 性 の 評 価 法 の 確 立 に 資 する 研 究 の 充 実 、スーパーコ<br />

ンピュータを 活 用 したシミュレーション 手 法 による 医 療 、 創 薬 プロセ<br />

スの 高 度 化 及 びその 製 薬 会 社 等 による 利 用 の 促 進 等 の 基 盤 強 化 を 図<br />

る。<br />

・ 再 生 医 療 の 実 用 化 やバイオ 医 薬 品 の 効 率 的 な 開 発 、 個 別 化 医 療 等 の 推<br />

進 とともに、 生 活 習 慣 病 を 非 侵 襲 で 早 期 発 見 するシステムやがん、 脳<br />

血 管 疾 患 、 心 臓 病 等 を 低 侵 襲 で 早 期 診 断 ・ 治 療 する 装 置 、 小 型 で 患 者<br />

に 対 するストレスの 少 ない 手 術 支 援 ロボット、ニューロリハビリ( 脳<br />

神 経 の 機 能 改 善 ・ 回 復 )など 身 体 機 能 再 生 等 の 最 先 端 医 療 技 術 の 研 究<br />

開 発 ・ 実 証 を、 治 験 、 承 認 まで 一 気 通 貫 で 2020 年 までに 推 進 する。<br />

・ iPS 細 胞 等 の 再 生 医 療 の 研 究 と 実 用 化 推 進 のための 研 究 を 集 中 的 かつ<br />

継 続 的 に 推 進 する。<br />

○ 独 立 行 政 法 人 医 薬 品 医 療 機 器 総 合 機 構 (PMDA)の 強 化<br />

・ 世 界 に 先 駆 けて 革 新 的 医 薬 品 ・ 医 療 機 器 、 再 生 医 療 製 品 の 実 用 化 を 促<br />

進 するため、 市 販 後 の 製 品 の 品 質 確 保 や 安 全 対 策 にも 留 意 しつつ、 更<br />

なる 審 査 の 迅 速 化 と 質 の 向 上 を 図 る。 具 体 的 には、2020 年 までの 医 薬<br />

品 ・ 医 療 機 器 の 審 査 ラグ(※)「0」の 実 現 を 目 指 すとともに、 審 査<br />

の 質 の 向 上 等 に 必 要 な 体 制 強 化 を 行 う。<br />

※ ラグとは、 米 国 と 日 本 の 審 査 期 間 ( 申 請 から 承 認 までの 期 間 )の 差 である 審<br />

査 ラグと、 企 業 が 米 国 と 日 本 の 審 査 機 関 に 申 請 する 時 期 の 差 で 示 される 開 発<br />

ラグに 大 別 される。<br />

・ 開 発 初 期 からの 明 確 なロードマップ 相 談 が 実 施 できるよう、 薬 事 戦 略<br />

相 談 を 拡 充 する。<br />

・ 併 せて、PMDA-WEST 構 想 への 対 応 として、 先 行 して 関 西 地 区 でも 薬 事<br />

戦 略 相 談 を 実 施 する 体 制 を 秋 までに 整 備 し、その 後 速 やかに 製 造 所 の<br />

製 造 管 理 ・ 品 質 管 理 に 係 る 実 地 調 査 を 実 施 する 体 制 を 整 備 する。<br />

○ 難 病 患 者 等 の 全 国 規 模 のデータベースの 構 築<br />

・ 治 療 法 がなく 患 者 数 が 少 ない 難 病 及 び 小 児 慢 性 特 定 疾 患 について、 全<br />

国 規 模 の 患 者 データベースを 構 築 し、 治 療 法 の 開 発 ・ 実 用 化 を 目 指 す<br />

研 究 を 推 進 する。<br />

○ 医 療 の 国 際 展 開<br />

・ 一 般 社 団 法 人 メディカル・エクセレンス・ジャパン(MEJ)を 活 用 し、<br />

官 民 一 体 となって、 日 本 の 医 療 技 術 ・サービスの 国 際 展 開 を 推 進 する。<br />

新 興 国 を 中 心 に 日 本 の 医 療 拠 点 について 2020 年 までに 10 か 所 程 度 創<br />

設 し、2030 年 までに5 兆 円 の 市 場 獲 得 を 目 指 す。その 際 、 国 際 保 健 外<br />

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交 戦 略 との 連 携 、ODA、 政 策 金 融 等 の 活 用 も 図 り、 真 に 相 手 国 の 医 療<br />

の 発 展 に 寄 与 する 持 続 的 な 事 業 展 開 を 産 業 界 とともに 実 現 する。<br />

・ その 実 現 に 向 け、 上 記 の 取 組 とともに、 日 本 の 良 質 な 医 療 を 普 及 する<br />

観 点 から、1 相 手 国 の 実 情 に 適 した 医 療 機 器 ・ 医 薬 品 、インフラ 等 の<br />

輸 出 等 の 促 進 、2 外 国 人 が 安 心 して 医 療 サービスを 受 けられる 環 境 整<br />

備 等 に 係 る 諸 施 策 も 着 実 に 推 進 する。<br />

・ 財 務 状 況 の 健 全 性 など 一 定 の 要 件 を 満 たす 医 療 法 人 が、 現 地 法 人 に 出<br />

資 可 能 であることを 明 確 化 する。<br />

い<br />

・ 日 本 の 製 薬 産 業 の 優 れた 研 究 開 発 力 を 活 かして、 開 発 途 上 国 向 けの 医<br />

薬 品 研 究 開 発 と 供 給 支 援 を 官 民 連 携 で 促 進 する。<br />

3 病 気 やけがをしても、 良 質 な 医 療 ・ 介 護 へのアクセスにより、 早 く 社 会 に 復 帰<br />

できる 社 会<br />

Ⅰ) 社 会 像 と 現 状 の 問 題 点<br />

自 宅 にいても 円 滑 に 必 要 な 医 療 ・ 介 護 サービスが 利 用 でき、リハビリ 等 によっ<br />

て 施 設 から 早 期 に 社 会 復 帰 できるケアサイクルの 構 築 を 目 指 す。 特 に、 高 齢 者 の<br />

増 加 に 伴 い、こうした 復 帰 支 援 、 在 宅 支 援 への 潜 在 的 な 需 要 は 更 に 高 まる。<br />

しかし、 現 状 では、<br />

ⅰ) 特 に 単 身 の 高 齢 者 が 安 心 して 必 要 な 医 療 ・ 介 護 サービスを 受 けながら 生 活<br />

できる 環 境 整 備 が 不 十 分 である、<br />

ⅱ) 現 在 の 介 護 支 援 機 器 は、 潜 在 ニーズはあるものの、 高 価 ・ 大 型 で 使 いにく<br />

い 等 の 理 由 により 普 及 が 進 まない、<br />

といった 課 題 があり、 社 会 のニーズに 応 えられていない 状 態 にある。<br />

Ⅱ) 解 決 の 方 向 性 と 戦 略 分 野 ( 市 場 ・ 産 業 ) 及 び 当 面 の 主 要 施 策<br />

健 康 増 進 ・ 予 防 や 生 活 支 援 に 関 する 市 場 ・ 産 業 を 創 出 する( 前 述 )ことに 加<br />

え、 医 療 ・ 介 護 提 供 体 制 の 強 化 、 高 齢 者 向 け 住 宅 の 整 備 等 に 取 り 組 み、 良 質 な<br />

医 療 やリハビリサービスへのアクセス、 介 護 ロボット 産 業 の 活 性 化 を 実 現 し、<br />

高 齢 者 、 障 害 者 等 が、 地 域 で 安 心 して 暮 らせるようにする。<br />

○ 健 康 寿 命 延 伸 産 業 の 育 成 【 再 掲 】<br />

○ 医 療 ・ 介 護 情 報 の 電 子 化 の 促 進 【 再 掲 】<br />

○ 医 療 ・ 介 護 サービスの 高 度 化<br />

・ 質 の 高 い 介 護 サービス 等 を 安 定 的 に 供 給 するため、 社 会 福 祉 法 人 の 財<br />

務 諸 表 の 公 表 推 進 により 透 明 性 を 高 めるとともに、 法 人 規 模 拡 大 の 推<br />

進 等 の 経 営 を 高 度 化 するための 仕 組 みの 構 築 や、 地 域 医 療 介 護 連 携 の<br />

ための 医 療 情 報 連 携 ネットワークの 普 及 ・ 展 開 、 介 護 ・ 医 療 関 連 情 報<br />

の「 見 える 化 」を 実 施 する。<br />

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○ 生 活 支 援 サービス・ 住 まいの 提 供 体 制 の 強 化<br />

・ 高 齢 者 生 活 関 連 産 業 等 を 活 性 化 し、 地 域 で 暮 らせる 社 会 を 実 現 するた<br />

め、 自 助 ・ 互 助 の 考 え 方 に 基 づく、 高 齢 者 自 身 や NPO、ボランティア、<br />

社 会 福 祉 法 人 、 民 間 企 業 等 による 多 様 な 生 活 支 援 サービスを 充 実 する。<br />

・ 中 低 所 得 層 の 高 齢 者 が 地 域 において 安 心 して 暮 らせるようにするた<br />

め、 空 家 や 学 校 跡 地 などの 有 効 活 用 による 新 たな 住 まいの 確 保 を 図 る。<br />

○ 安 心 して 歩 いて 暮 らせるまちづくり<br />

・ 安 心 ・ 健 康 ・ 省 エネでバリアフリーにも 配 慮 した 歩 いて 暮 らせるまち<br />

づくり「スマートウェルネス 住 宅 ・シティ」を 実 現 し、 次 世 代 の 住 宅 ・<br />

まちづくり 産 業 を 創 出 するため、 以 下 の 取 組 を 行 う。<br />

1 民 間 資 金 の 活 用 を 図 るため、ヘルスケアリートの 活 用 に 向 け、<br />

高 齢 者 向 け 住 宅 等 の 取 得 ・ 運 用 に 関 するガイドラインの 整 備 、 普<br />

及 啓 発 等 ( 来 年 度 中 )<br />

2 高 齢 者 向 け 住 宅 や 生 活 拠 点 の 集 約 化 、ICT を 活 用 した 見 守 り 等<br />

を 推 進 するとともに、 公 民 のストックを 活 用 するため、 既 存 住 宅<br />

の 建 物 評 価 に 係 る 指 針 策 定 ( 今 年 度 中 )、 既 存 住 宅 ・リフォーム<br />

の 性 能 評 価 基 準 等 の 策 定 ( 今 年 度 中 ) 等 による 住 宅 価 値 向 上 や 事<br />

業 者 間 連 携 の 強 化 、 住 み 替 えの 円 滑 化 等 の 支 援<br />

3 コンパクトシティの 実 現 及 び 移 動 機 会 の 増 大 を 図 るため、 地 域<br />

の 関 係 者 間 の 役 割 分 担 と 合 意 の 下 で 公 共 交 通 の 充 実 を 図 る 仕 組<br />

みの 構 築 ( 今 年 度 中 に 結 論 ) 及 び 高 齢 化 社 会 に 適 応 した 公 共 交 通<br />

を 補 完 する 取 組 の 実 施<br />

○ 都 市 部 での 高 齢 化 対 策 としての 地 域 包 括 ケアシステムの 構 築<br />

・ 都 市 部 での 急 速 な 高 齢 化 の 進 展 に 対 して、 住 まい、 生 活 支 援 、 介 護 な<br />

どのサービス 提 供 確 保 方 策 ( 民 間 企 業 や 互 助 の 活 用 、 在 宅 ・ 施 設 サー<br />

ビス 整 備 の 課 題 等 )、 地 方 での 都 市 部 高 齢 者 の 受 入 れ 時 の 課 題 と 対 応<br />

策 等 について、 有 識 者 と 自 治 体 関 係 者 で 構 成 する 検 討 会 で 検 討 を 進 め、<br />

本 年 秋 を 目 途 に 取 りまとめる。<br />

○ロボット 介 護 機 器 開 発 5ヵ 年 計 画 の 実 施 等<br />

・ 急 速 な 普 及 拡 大 に 向 けて、 移 乗 介 助 、 見 守 り 支 援 等 、 安 価 で 利 便 性 の<br />

高 いロボット 介 護 機 器 の 開 発 をコンテスト 方 式 で 進 めること 等 を 内<br />

容 とする「ロボット 介 護 機 器 開 発 5ヵ 年 計 画 」を 今 年 度 より 開 始 する。<br />

・ また、 研 究 開 発 に 先 立 ち、 開 発 された 機 器 の 実 用 化 を 確 実 にするため、<br />

安 全 基 準 及 びそれに 基 づく 認 証 制 度 を 今 後 1 年 以 内 に 整 備 する。<br />

い<br />

・ ロボット 技 術 を 利 用 した 機 器 が、 障 害 者 の 自 立 や 生 活 支 援 に 活 かされ<br />

るよう、 企 業 が 行 う 開 発 を 更 に 促 進 するためのシーズ・ニーズマッチ<br />

ング 等 を 行 う。<br />

- 68 -


テーマ2:クリーン・ 経 済 的 なエネルギー 需 給 の 実 現<br />

社 会 像 : 多 様 ・ 双 方 向 ・ネットワーク 化 によるクリーン・ 低 廉 なエネルギー 社 会 を<br />

構 築<br />

戦 略 分 野 : 再 生 可 能 エネルギー、 高 効 率 火 力 発 電 、 蓄 電 池 、 次 世 代 デバイス・ 部 素 材 、<br />

エネルギーマネジメントシステム、 次 世 代 自 動 車 、 燃 料 電 池 、 省 エネ 家 電 、<br />

省 エネ 住 宅 ・ 建 築 物 等 の 省 エネ 技 術 関 連 製 品 ・サービス<br />

市 場 規 模 : 国 内 10 兆 円 (2020 年 )、11 兆 円 (2030 年 ) Cf.4 兆 円 ( 現 在 )<br />

海 外 108 兆 円 (2020 年 )、160 兆 円 (2030 年 ) Cf.40 兆 円<br />

雇 用 規 模 : 168 万 人 (2020 年 )、210 万 人 (2030 年 ) Cf.55 万 人<br />

(1) 2030 年 の 在 るべき 姿<br />

アジアを 始 めとする 新 興 国 での 需 要 の 増 大 、シェールガス 革 命 を 経 た 供 給 構<br />

造 の 変 化 、 世 界 及 び 各 地 で 高 まる 環 境 負 荷 など、 変 わりゆくエネルギー 情 勢 の<br />

中 で、 低 廉 な 価 格 で 必 要 なときに 必 要 な 量 のクリーンなエネルギーを 安 心 して<br />

利 用 できる 社 会 を 実 現 する。また、 時 間 ・ 場 所 の 制 限 を 越 え、エネルギー 需 給<br />

の 無 駄 を 省 き、エネルギーを 余 すことなく 徹 底 的 に 活 用 することにより、 環 境<br />

負 荷 を 減 らし、 日 本 全 体 で 最 適 なエネルギー 利 用 を 実 現 する。<br />

次 の3つの 社 会 像 を 実 現 したエネルギー 最 先 進 国 を 目 指 す。<br />

1 クリーンで 経 済 的 なエネルギーが 供 給 される 社 会<br />

2 競 争 を 通 じてエネルギーの 効 率 的 な 流 通 が 実 現 する 社 会<br />

3 エネルギーを 賢 く 消 費 する 社 会<br />

このため、 今 後 取 り 組 むエネルギー 構 造 改 革 の 中 で、 新 たに 生 まれる 技 術 や<br />

事 業 の 芽 を 着 実 に 育 て、 大 きく 発 展 させることにより、 確 実 に 果 実 を 生 み、 成<br />

長 を 支 える 環 境 ・エネルギー 産 業 を 創 造 するとともに、 多 様 ・ 双 方 向 ・ネット<br />

ワーク 化 によるクリーン・ 低 廉 なエネルギー 社 会 の 構 築 を 目 指 す。<br />

また、 深 刻 化 する 地 球 環 境 問 題 の 解 決 にも 積 極 的 に 貢 献 していくため、 我 が<br />

国 の 優 れた 環 境 ・エネルギー 技 術 の 展 開 を 通 じて、 新 興 国 を 始 め、 世 界 全 体 で<br />

急 速 に 拡 大 する 環 境 ・エネルギー 関 連 市 場 を 獲 得 していく。<br />

(2) 個 別 の 社 会 像 と 実 現 に 向 けた 取 組<br />

1 クリーンで 経 済 的 なエネルギーが 供 給 される 社 会<br />

Ⅰ) 社 会 像 と 現 状 の 問 題 点<br />

エネルギー 源 の 供 給 途 絶 や 価 格 の 乱 高 下 等 、 予 期 せぬエネルギー 情 勢 の 変 化<br />

があったとしても、 国 民 や 企 業 が、いつもと 変 わらず、 低 廉 な 価 格 で 必 要 な 時<br />

に 必 要 な 量 のクリーンなエネルギーを 安 心 して 利 用 できる「エネルギーが 身 近<br />

で 使 いやすい 環 境 」を 目 指 す。<br />

- 69 -


一 方 、 東 日 本 大 震 災 以 降 、 老 朽 火 力 のたき 増 し 等 により、 火 力 発 電 の 燃 料 コ<br />

ストが 大 幅 に 増 加 している。また、 固 定 価 格 買 取 制 度 により、 再 生 可 能 エネル<br />

ギーの 導 入 は 進 みつつあるが、 依 然 、その 水 準 は 低 い。メタンハイドレートな<br />

ど 未 来 を 担 うエネルギーについても 乗 り 越 えるべき 壁 が 存 在 し、 実 用 化 には 相<br />

当 の 時 間 が 必 要 である。<br />

Ⅱ) 解 決 の 方 向 性 と 戦 略 分 野 ( 市 場 ・ 産 業 ) 及 び 当 面 の 主 要 施 策<br />

こうした 状 況 を 打 開 するため、 陸 上 及 び 洋 上 風 力 、 太 陽 光 、 小 水 力 、 地 熱 、<br />

バイオマス 等 の 再 生 可 能 エネルギーの 徹 底 活 用 を 図 る。まずは、 固 定 価 格 買 取<br />

制 度 の 着 実 かつ 安 定 的 な 運 用 に 加 え、 環 境 アセスメントの 迅 速 化 や 保 安 規 制 の<br />

合 理 化 を 始 めとした 規 制 ・ 制 度 改 革 、 送 電 網 の 整 備 ・ 実 証 等 の 環 境 整 備 により、<br />

民 間 投 資 を 喚 起 する。さらに、 再 生 可 能 エネルギー 投 資 が 日 本 経 済 のコストで<br />

はなく、 強 みとなるよう、 日 本 が 得 意 とする 分 野 の 一 層 の 強 化 を 図 る。<br />

○ 再 生 可 能 エネルギー 導 入 のための 規 制 ・ 制 度 改 革 等<br />

・ 環 境 アセスメントの 迅 速 化 (3、4 年 程 度 かかるとされる 手 続 期 間 の<br />

半 減 を 目 指 す) 及 び 保 安 規 制 の 合 理 化 を 始 めとした 規 制 ・ 制 度 改 革 を<br />

進 めるとともに、 系 統 用 大 型 蓄 電 池 の 緊 急 導 入 や 北 本 連 系 設 備 の 早 期<br />

増 強 を 後 押 しするための 環 境 整 備 、 送 電 網 の 整 備 ・ 実 証 により、 風 力<br />

発 電 の 導 入 拡 大 を 図 る。<br />

・ 地 熱 発 電 への 投 資 を 促 進 する。 環 境 アセスメントの 迅 速 化 (3、4 年<br />

程 度 かかるとされる 手 続 期 間 の 半 減 を 目 指 す)や、 既 存 の 温 泉 井 戸 を<br />

活 用 した 小 型 地 熱 発 電 の 推 進 のための 保 安 規 制 合 理 化 などの 規 制 ・ 制<br />

度 改 革 、 地 域 の 方 々の 理 解 促 進 等 に 取 り 組 む。<br />

・ 地 域 主 導 の 再 生 可 能 エネルギーの 導 入 を、 民 間 資 金 も 呼 び 込 みつつ 促<br />

進 する。<br />

○ 浮 体 式 洋 上 風 力 発 電 の 推 進<br />

・ 浮 体 式 洋 上 風 力 発 電 について 2015 年 度 までに、 実 証 試 験 を 通 じて、<br />

技 術 的 課 題 の 克 服 と 安 全 性 ・ 信 頼 性 ・ 経 済 性 の 評 価 、 環 境 アセスメン<br />

ト 手 法 の 確 立 等 を 達 成 する。あわせて、 国 際 標 準 化 を 進 め、2018 年 頃<br />

までの 商 業 化 を 目 指 す。<br />

また、 高 効 率 火 力 発 電 を 徹 底 活 用 し、エネルギーコストを 低 減 させる。 火 力<br />

電 源 の 新 増 設 ・リプレースを 原 則 入 札 にして 効 率 性 ・ 透 明 性 を 高 めるとともに、<br />

環 境 アセスメントの 明 確 化 ・ 迅 速 化 を 図 り、 民 間 企 業 が 高 効 率 な 火 力 発 電 ( 石<br />

炭 ・LNG)に 円 滑 に 投 資 できる 環 境 を 整 備 する。 同 時 に、 先 進 技 術 開 発 を 加 速 し、<br />

世 界 最 高 水 準 の 効 率 を 有 する 火 力 発 電 を 我 が 国 で 率 先 して 導 入 するとともに、<br />

世 界 へ 積 極 的 に 展 開 する。<br />

- 70 -


○ 石 炭 火 力 等 の 火 力 発 電 に 係 る 環 境 アセスメントの 明 確 化 ・ 迅 速 化<br />

・ 環 境 アセスメントに 関 する 新 たな 取 組 を 進 めるに 当 たり、 今 後 作 成 す<br />

る 国 の 温 室 効 果 ガス 排 出 削 減 目 標 と 整 合 的 な 形 で、 電 力 業 界 全 体 で<br />

CO 2 排 出 を 管 理 する 枠 組 みの 構 築 を 促 す。CO 2 の 取 扱 いについては、 当<br />

該 枠 組 みに 参 加 し 排 出 削 減 に 取 り 組 んでいるか、またしゅん 工 に 至 る<br />

スケジュール 等 も 勘 案 しながら、アセス 手 続 中 の 最 新 発 電 技 術 等 の 採<br />

用 の 可 能 性 を 検 討 した 上 で、 既 に 商 用 プラントとして 運 転 中 の 最 新 鋭<br />

の 技 術 以 上 を 採 用 しているか 等 の 観 点 により 適 切 に 審 査 を 行 う。<br />

・ 従 来 3 年 程 度 かかる 火 力 発 電 所 のリプレースについて、 国 の 審 査 と 自<br />

治 体 の 審 査 を 同 時 並 行 で 行 う 等 により、 最 短 1 年 強 に 短 縮 する。 新 増<br />

設 についても、 短 縮 に 取 り 組 む。<br />

○ 火 力 発 電 の 技 術 開 発 支 援<br />

・ 先 進 超 々 臨 界 圧 火 力 発 電 (A-USC)について 2020 年 代 の 実 用 化 を 目 指<br />

す( 発 電 効 率 : 現 状 39% 程 度 → 改 善 後 46% 程 度 )。<br />

・ 1500 度 級 の 石 炭 ガス 化 複 合 発 電 (IGCC)について、2020 年 代 の 実 用<br />

化 を 目 指 す( 発 電 効 率 : 現 状 39% 程 度 → 改 善 後 46% 程 度 )。<br />

・ 石 炭 ガス 化 燃 料 電 池 複 合 発 電 (IGFC)について、20<strong>25</strong> 年 までに 技 術 を<br />

確 立 し、2030 年 代 の 実 用 化 を 目 指 す( 発 電 効 率 : 現 状 39% 程 度 → 改 善<br />

後 55% 程 度 )。<br />

・ LNG 火 力 について、2020 年 頃 までに 1700 度 級 ガスタービンの 実 用 化<br />

を 目 指 す( 発 電 効 率 : 現 状 52% 程 度 → 改 善 後 57% 程 度 )。<br />

さらに、 未 来 を 担 うエネルギー 技 術 の 開 発 を 進 める。<br />

○メタンハイドレート 等 海 洋 資 源 の 商 業 化 の 実 現 等<br />

・ 日 本 周 辺 海 域 に 相 当 量 の 賦 存 が 期 待 されるメタンハイドレートを 将<br />

来 のエネルギー 資 源 として 利 用 できるように 支 援 する。2018 年 度 を 目<br />

途 に、 商 業 化 の 実 現 に 向 けた 技 術 の 整 備 を 行 う。その 際 、2023 年 から<br />

2027 年 の 間 に、 民 間 企 業 が 主 導 する 商 業 化 のためのプロジェクトが 開<br />

始 されるよう、 国 際 情 勢 をにらみつつ、 技 術 開 発 を 進 める。<br />

また、 再 生 可 能 エネルギーや 次 世 代 自 動 車 などに 不 可 欠 なレアメタル、<br />

レアアース 等 を 含 む 海 底 熱 水 鉱 床 等 の 海 洋 資 源 についても 官 民 連 携<br />

の 下 、 探 査 ・ 生 産 技 術 開 発 等 を 推 進 する。なお、 海 洋 だけでなく、い<br />

わゆる「 都 市 鉱 山 」におけるレアメタル 等 の 資 源 再 利 用 についても 推<br />

進 する。<br />

2 競 争 を 通 じてエネルギーの 効 率 的 な 流 通 が 実 現 する 社 会<br />

Ⅰ) 社 会 像 と 現 状 の 問 題 点<br />

携 帯 電 話 のように、 利 用 者 がエネルギー 提 供 会 社 を 自 由 に 選 び、 多 様 なプラ<br />

- 71 -


ンの 中 から 自 分 のニーズにあった 選 択 ができる 環 境 を 目 指 す。また、 広 域 系 統<br />

運 用 、 無 駄 を 徹 底 排 除 するデバイス・ 部 素 材 や 蓄 電 池 の 普 及 により、 時 間 ・ 場<br />

所 の 制 限 を 超 えた 効 率 的 なエネルギー 流 通 を 達 成 し、 日 本 全 体 で 最 適 なエネル<br />

ギー 利 用 が 可 能 となる 社 会 を 目 指 す。<br />

一 方 、 東 日 本 大 震 災 で 明 らかになったように、 現 状 では、 全 国 大 で 電 力 の 需<br />

給 調 整 を 行 う 機 能 の 不 足 や、 東 西 の 周 波 数 変 換 設 備 (FC)、 地 域 間 連 系 線 の 容 量<br />

の 制 約 等 により、 供 給 力 の 広 域 的 な 活 用 に 限 界 がある。また、 多 様 な 料 金 メニ<br />

ューなど、 十 分 な 選 択 肢 が 用 意 されておらず、ライフスタイルに 合 わせた 利 用 ・<br />

節 電 ができない、 契 約 中 の 電 力 会 社 に 不 満 があってもそれに 代 わる 電 力 会 社 が<br />

ない、といった 状 況 にある。<br />

Ⅱ) 解 決 の 方 向 性 と 戦 略 分 野 ( 市 場 ・ 産 業 ) 及 び 当 面 の 主 要 施 策<br />

広 域 系 統 運 用 の 拡 大 、 小 売 及 び 発 電 の 全 面 自 由 化 、 送 配 電 部 門 の 中 立 性 の 一<br />

層 の 確 保 を3つの 柱 として、60 年 ぶりの 抜 本 改 革 となる 電 力 システム 改 革 を 進<br />

める。<br />

これにより、 需 要 家 も 含 めた 多 様 なプレーヤーの 参 加 や 競 争 、 業 種 間 の 融 合<br />

( 電 力 、ガス、 通 信 等 )・ 連 携 等 が 促 され、 電 力 産 業 ・ 市 場 が 活 性 化 するととも<br />

に、 多 様 で 柔 軟 、かつ 安 定 的 な 電 力 システムの 構 築 が 進 展 する。<br />

この 過 程 で、 約 16 兆 円 の 電 力 市 場 及 び 関 連 分 野 で 新 たな 産 業 や 雇 用 が 生 まれ<br />

るとともに、 家 庭 等 における 効 率 的 なマネジメントシステムやスマートコミュ<br />

ニティが 普 及 し、ニーズに 応 じたきめ 細 やかなサービスが 多 様 に 創 出 されると<br />

期 待 される。<br />

○ 電 力 システム 改 革 の 実 行<br />

・ 第 1 段 階 広 域 的 運 営 推 進 機 関 の 創 設<br />

2015 年 (2 年 後 ) 目 途 に 実 施 本 年 通 常 国 会 に 法 案 提 出<br />

・ 第 2 段 階 小 売 ( 参 入 ) 全 面 自 由 化<br />

2016 年 (3 年 後 ) 目 途 に 実 施 次 期 通 常 国 会 に 法 案 提 出<br />

・ 第 3 段 階 送 配 電 部 門 の 法 的 分 離 、 小 売 料 金 規 制 撤 廃<br />

2018∼2020 年 (5∼7 年 後 ) 目 途 に 実 施 2015 年 通 常 国 会 に 法 案 提 出 を<br />

目 指 す。<br />

また、 余 剰 電 力 を 蓄 えて 夜 間 や 停 電 時 にも 利 用 することが 可 能 となるよう、<br />

蓄 電 池 の 普 及 を 図 る。さらに、 次 世 代 デバイス・ 部 素 材 の 開 発 を 進 め、 生 産 か<br />

ら 流 通 、 消 費 の 至 る 所 に 組 み 込 んで 製 品 ・システムを 高 効 率 化 することにより、<br />

エネルギーを 効 率 的 に 利 用 する。<br />

○ 蓄 電 池 の 技 術 開 発 、 国 際 標 準 化 、 普 及 拡 大<br />

・ 国 内 初 期 市 場 形 成 支 援 、 実 証 事 業 、 技 術 開 発 、 国 際 標 準 化 等 を 通 じ、<br />

2020 年 に 世 界 市 場 の5 割 を 我 が 国 関 連 企 業 が 獲 得 することを 目 指 す。<br />

- 72 -


また、 系 統 用 蓄 電 池 について、2020 年 にコストを 現 在 の 半 分 程 度 ( 現<br />

在 の 揚 水 発 電 と 同 じ 2.3 万 円 /kWh 程 度 )まで 低 減 する。<br />

○ 次 世 代 デバイス・ 部 素 材 (パワーエレクトロニクス 等 ) 研 究 開 発 ・ 事 業 化<br />

・ パワーエレクトロニクス( 電 気 の 周 波 数 や 電 圧 、 交 流 ・ 直 流 の 変 換 な<br />

どを 高 効 率 に 行 う 技 術 )や 超 低 消 費 電 力 デバイス、 光 通 信 技 術 、 超 軽<br />

量 ・ 高 強 度 の 構 造 材 料 等 の 研 究 開 発 及 び 事 業 化 を 推 進 し、 新 市 場 を 創<br />

出 する。<br />

・ 特 に、 風 力 発 電 やメガソーラー 等 の 再 生 可 能 エネルギーの 発 電 効 率 向<br />

上 や、 省 エネ 家 電 ・ 次 世 代 自 動 車 等 の 一 層 の 省 エネ 化 のためのキーテ<br />

クノロジーであるパワーエレクトロニクスについては、2020 年 までに<br />

新 材 料 等 による 次 世 代 技 術 の 本 格 的 な 事 業 化 を 目 指 す。<br />

3 エネルギーを 賢 く 消 費 する 社 会<br />

Ⅰ) 社 会 像 と 現 状 の 問 題 点<br />

ⅰ) 機 器 のエネルギー 消 費 効 率 を 飛 躍 的 に 高 め 使 用 方 法 を 改 善 するとともに、<br />

そのネットワーク 化 を 通 じて、エネルギー 消 費 が 無 駄 なく 最 適 化 される、ⅱ) 次<br />

世 代 自 動 車 等 が 普 及 し、 運 輸 部 門 の 省 エネが 進 む、ⅲ) 家 庭 用 燃 料 電 池 (エネフ<br />

ァーム)を 始 めとするコージェネレーションが 普 及 し、エネルギーを 余 すこと<br />

なく 消 費 することが 可 能 となる、ⅳ) 住 宅 ・ビルは、 高 い 断 熱 性 能 を 有 し、 自 ら<br />

使 うエネルギーを 管 理 し、 自 ら 生 み 出 せる「エネルギーを 賢 く 消 費 する 環 境 」<br />

を 整 備 し、 先 進 的 な 需 給 構 造 を 作 っていく。<br />

一 方 、 東 日 本 大 震 災 直 後 の 需 給 ひっ 迫 時 においては、 生 活 水 準 や 工 場 の 生 産<br />

効 率 にも 影 響 を 与 える 計 画 停 電 や 電 力 使 用 制 限 令 、 一 律 の 節 電 要 請 などに 頼 ら<br />

ざるを 得 なかった。 次 世 代 自 動 車 は、 技 術 開 発 やインフラ 整 備 の 途 上 であり、<br />

普 及 には 更 なる 時 間 が 必 要 である。<br />

Ⅱ) 解 決 の 方 向 性 と 戦 略 分 野 ( 市 場 ・ 産 業 ) 及 び 当 面 の 主 要 施 策<br />

これまでは、 需 要 を 所 与 のものとして、 供 給 を 安 定 的 に 行 うことに 主 眼 があ<br />

った。 今 後 は 消 費 者 がエネルギー 需 給 とその 管 理 に 主 体 的 に 参 画 ・ 貢 献 する「エ<br />

ネルギーマネジメント」により、 賢 い 消 費 を 実 現 する。エネルギーマネジメン<br />

トシステムを 中 心 とする 様 々なエネルギー・ 生 活 サービス、ディマンドリスポ<br />

ンスを 活 用 したネガワット 取 引 などについて、インフラ 整 備 と 規 制 ・ 制 度 改 革<br />

を 集 中 的 に 進 め、 普 及 を 加 速 する。<br />

○スマートコミュニティの 拡 大 、エネルギーマネジメント 産 業 の 確 立<br />

・ 豊 田 市 や 北 九 州 市 などのスマートコミュニティ4 地 域 におけるディ<br />

マンドリスポンスの 実 証 や 電 力 システム 改 革 を 通 じて、 多 様 な 電 気 料<br />

- 73 -


金 メニューの 設 定 ・ 拡 充 を 促 進 する。<br />

・ インフラとなるスマートメーターの 整 備 を 進 め、2020 年 代 早 期 に 全 世<br />

帯 ・ 全 工 場 にスマートメーターを 導 入 する。 並 行 して、エネルギーマ<br />

ネジメントシステム(HEMS、BEMS 等 )の 導 入 を 進 め、 日 本 全 体 でエネ<br />

ルギーを 賢 く 消 費 する 環 境 を 整 備 することにより、エネルギー 消 費 の<br />

最 適 化 を 目 指 す。<br />

また、 近 年 エネルギー 消 費 量 が 著 しく 増 大 ( 石 油 危 機 以 降 2.5 倍 )している<br />

家 庭 ・ 業 務 部 門 を 中 心 とした 省 エネの 最 大 限 の 推 進 を 図 る。そのため、 燃 料 電<br />

池 の 導 入 や 住 宅 ・ビルの 省 エネ 基 準 の 段 階 的 適 合 義 務 化 、 既 存 住 宅 ・ビルの 省<br />

エネ 改 修 の 促 進 、トップランナー 制 度 の 適 用 拡 充 、ネット・ゼロ・エネルギー<br />

化 等 を 図 る。また、 生 活 の 質 を 向 上 させつつエネルギー 消 費 量 を 削 減 するライ<br />

フスタイルの 普 及 を 進 める。<br />

○ 住 宅 ・ 建 築 物 の 省 エネ 基 準 の 段 階 的 適 合 義 務 化<br />

・ 規 制 の 必 要 性 や 程 度 、バランス 等 を 十 分 に 勘 案 しながら、2020 年 まで<br />

に 新 築 住 宅 ・ 建 築 物 について 段 階 的 に 省 エネ 基 準 への 適 合 を 義 務 化 す<br />

る。これに 向 けて、 中 小 工 務 店 ・ 大 工 の 施 工 技 術 向 上 や 伝 統 的 木 造 住<br />

宅 の 位 置 付 け 等 に 十 分 配 慮 しつつ、 円 滑 な 実 施 のための 環 境 整 備 に 取<br />

り 組 む。<br />

・ 具 体 的 には、 省 エネルギー 対 策 の 一 層 の 普 及 や 住 宅 ・ 建 築 物 や 建 材 ・<br />

機 器 等 の 省 エネルギー 化 に 資 する 新 技 術 ・ 新 サービス・ 工 法 の 開 発 支<br />

援 等 を 実 施 する。<br />

○トップランナー 制 度 の 適 用 拡 充<br />

・ 建 築 材 料 についても 今 年 度 中 にトップランナー 制 度 を 導 入 する。 既 存<br />

のトップランナー 制 度 においても、 夏 までに LED 電 球 を 追 加 する。<br />

○ 燃 料 電 池 技 術 開 発 ・ 低 コスト 化<br />

・ 世 界 に 先 駆 けて 我 が 国 の 市 場 に 燃 料 電 池 を 加 速 的 に 導 入 するために、<br />

先 端 的 研 究 開 発 を 推 進 するとともに、 徹 底 的 な 標 準 化 も 進 めながら 低<br />

コスト 化 を 図 り、2030 年 には 家 庭 用 燃 料 電 池 (エネファーム)530 万<br />

台 ( 日 本 全 世 帯 の 約 1 割 に 相 当 )を 市 場 に 導 入 する。<br />

さらに、 産 業 部 門 や 運 輸 部 門 において、 革 新 的 な 技 術 開 発 と 省 エネ 基 準 の 整<br />

備 などにより、 一 層 の 省 エネ 化 を 進 める。 次 世 代 自 動 車 については、2030 年 ま<br />

でに 新 車 販 売 に 占 める 割 合 を5 割 から7 割 とすることを 目 指 し、 初 期 需 要 の 創<br />

出 、 性 能 向 上 のための 研 究 開 発 支 援 、 効 率 的 なインフラ 整 備 等 を 進 める。<br />

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○ 次 世 代 自 動 車 の 普 及 ・ 性 能 向 上 支 援<br />

・ 充 電 インフラの 整 備 を 促 すことに 加 えて、 量 産 効 果 創 出 と 価 格 低 減 促<br />

進 のための 車 両 購 入 補 助 や、 航 続 距 離 延 長 や 低 コスト 化 のための 研 究<br />

開 発 支 援 などを 行 う。<br />

○ 電 池 ・ 充 電 制 御 等 の 国 際 標 準 化<br />

・ スマートグリッドと 連 携 して、 電 池 ・ 充 電 制 御 等 の 国 際 標 準 化 を 進 める。<br />

○ 水 素 供 給 インフラ 導 入 支 援 、 燃 料 電 池 自 動 車 ・ 水 素 インフラに 係 る 規 制 の 見 直 し<br />

・ 2015 年 の 燃 料 電 池 自 動 車 の 市 場 投 入 に 向 けて、 燃 料 電 池 自 動 車 や 水 素<br />

インフラに 係 る 規 制 を 見 直 すとともに、 水 素 ステーションの 整 備 を 支<br />

援 することにより、 世 界 最 速 の 普 及 を 目 指 す。<br />

テーマ3: 安 全 ・ 便 利 で 経 済 的 な 次 世 代 インフラの 構 築<br />

い<br />

社 会 像 : 最 先 端 の 技 術 を 活 かして、インテリジェント・インフラを 実 現<br />

戦 略 分 野 :インフラマネジメント、 車 両 安 全 運 転 支 援 システム、 宇 宙 インフラ 整 備<br />

市 場 規 模 : 国 内 16 兆 円 (2020 年 )、33 兆 円 (2030 年 ) Cf.2 兆 円 ( 現 在 )<br />

海 外 167 兆 円 (2020 年 )、374 兆 円 (2030 年 ) Cf.56 兆 円<br />

雇 用 規 模 : 75 万 人 (2020 年 )、190 万 人 (2030 年 ) Cf.6 万 人<br />

(1) 2030 年 の 在 るべき 姿<br />

インフラを、 経 済 社 会 活 動 の 礎 となる 機 能 を 発 揮 する 社 会 的 な 資 産 と 捉 え、 最 先<br />

端 の 技 術 と 蓄 積 したデータを 賢 く 利 用 することにより、 財 政 規 律 に 資 するコスト 縮<br />

減 を 図 りつつ、その 機 能 が 恒 常 的 に 発 揮 され、 時 代 の 変 化 に 対 応 して 安 全 性 ・ 利 便<br />

性 が 向 上 していく 環 境 を 実 現 する。<br />

その 中 で、 世 界 最 先 端 の 技 術 力 を 有 するセンサーやロボットなどのデバイス・シ<br />

ステム 技 術 や 宇 宙 インフラによる 測 位 ・ 観 測 技 術 、データ 管 理 ・ 活 用 技 術 などが 駆<br />

使 され、 世 界 共 通 の 課 題 であるインフラ 老 朽 化 問 題 対 策 のフロントランナーの 地 位<br />

を 築 く。<br />

このため、 次 の2つの 社 会 像 の 実 現 を 目 指 す。<br />

1 安 全 で 強 靭 なインフラが 低 コストで 実 現 されている 社 会<br />

2 ヒトやモノが 安 全 ・ 快 適 に 移 動 することのできる 社 会<br />

これにより、 世 界 に 先 駆 けて 次 世 代 のインフラを 社 会 実 装 できる 環 境 が 整 えられ、<br />

世 界 中 から 技 術 や 投 資 が 集 まることにより、 国 内 でのインフラ 環 境 の 改 善 及 び 日 本<br />

のインフラビジネスの 競 争 力 強 化 の 好 循 環 を 実 現 させる。<br />

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(2) 個 別 の 社 会 像 と 実 現 に 向 けた 取 組<br />

1 安 全 で 強 靭 なインフラが 低 コストで 実 現 されている 社 会<br />

Ⅰ) 社 会 像 と 現 状 の 問 題 点<br />

センサーやロボット、 非 破 壊 検 査 技 術 等 の 活 用 により、 生 活 インフラ、 公 共<br />

インフラ、 産 業 インフラといった 様 々なインフラの 損 傷 度 等 をデータとして 把<br />

握 ・ 蓄 積 ・ 活 用 することにより、 早 期 の 異 常 検 知 により 事 故 を 未 然 に 防 ぎ、 最<br />

適 な 時 期 に 最 小 限 のコストによる 補 修 によってトータルライフサイクルコス<br />

トが 最 小 化 されている 社 会 を 実 現 する。<br />

しかし、 現 実 には、データを 把 握 するためのセンサーの 導 入 が 試 行 的 に 始 ま<br />

ったばかりであり、データの 蓄 積 が 進 んでいない。 新 技 術 の 安 全 性 ・ 信 頼 性 ・<br />

経 済 性 も 確 立 しておらず、 点 検 ・ 補 修 の 大 宗 は 人 によって 行 われている 状 況 に<br />

ある。また、 交 通 情 報 等 公 共 データのオープン 化 やビッグデータ 化 、 衛 星 開 発 ・<br />

整 備 による 地 理 空 間 情 報 (G 空 間 情 報 )の 充 実 も 課 題 である。<br />

Ⅱ) 解 決 の 方 向 性 と 戦 略 分 野 ( 市 場 ・ 産 業 ) 及 び 当 面 の 主 要 施 策<br />

こうした 現 状 を 打 開 すべく、インフラデータを 把 握 ・ 蓄 積 ・ 活 用 すること 及 び<br />

信 頼 性 ・ 経 済 性 の 高 い 点 検 ・ 補 修 技 術 の 採 用 をインフラ 管 理 の 標 準 とする。この<br />

ため、 国 が 主 導 しながら 自 治 体 や 民 間 を 巻 き 込 みつつ、インフラ 管 理 の 在 り 方 ・<br />

方 向 性 、 将 来 に 向 けたロードマップなどを 内 容 とするインフラ 長 寿 命 化 基 本 計 画<br />

を 新 たに 策 定 した 上 で、 例 えば、 異 なる 施 設 管 理 者 間 の 工 事 調 整 が 容 易 となるよ<br />

うな、インフラに 関 するデータベースの 構 築 やデータの 横 断 的 な 共 有 化 のための<br />

プラットフォームの 構 築 等 により 計 画 の 着 実 な 推 進 を 図 る。<br />

○インフラ 長 寿 命 化 基 本 計 画 の 策 定<br />

・ 秋 頃 までに、 国 としてのインフラ 長 寿 命 化 基 本 計 画 ( 基 本 方 針 )を 取<br />

りまとめる。 数 値 目 標 ・ロードマップを 明 確 化 し、 新 たな 技 術 の 活 用<br />

などにより、インフラの 安 全 性 の 向 上 とライフサイクルコスト 縮 減 を<br />

目 指 す。<br />

・ また、 基 本 計 画 に 基 づき、 国 、 自 治 体 レベルの 全 分 野 にわたるインフ<br />

ラ 長 寿 命 化 計 画 ( 行 動 計 画 )を 策 定 する。これにより、 個 別 施 設 ごと<br />

の 長 寿 命 化 計 画 策 定 の 着 実 な 推 進 を 図 り、 全 国 のあらゆるインフラの<br />

安 全 性 の 向 上 と 効 率 的 な 維 持 管 理 を 実 現 する。<br />

・ その 際 、 研 究 開 発 、 実 証 、 導 入 など 開 発 段 階 に 対 応 した 新 技 術 導 入 等<br />

の 計 画 を 明 記 するとともに、 国 の 体 制 整 備 等 による 自 治 体 の 支 援 を 行<br />

うこととする。<br />

さらに、 新 たなインフラビジネスを 支 え、 向 上 させる 新 技 術 とデータ 管 理 手<br />

法 の 開 発 、その 社 会 実 装 を 進 めるための 基 準 、 調 達 システム 等 の 制 度 改 革 を 進<br />

める。<br />

- 76 -


○IT 等 を 活 用 したインフラ 点 検 ・ 診 断 システムの 構 築<br />

・ 今 年 度 内 に 優 先 施 設 への 集 中 点 検 の 実 施 、インフラ 情 報 のデータベ<br />

ース 化 を 推 進 し、 来 年 度 からインフラ 維 持 管 理 ・ 更 新 情 報 プラット<br />

フォームの 一 部 運 用 開 始 、2015 年 度 以 降 、 機 能 強 化 を 図 りつつ、 本<br />

格 運 用 する。<br />

・ センサーやロボット、 非 破 壊 検 査 技 術 等 による 点 検 ・ 補 修 の 信 頼 性 ・<br />

経 済 性 が 実 証 できたところから、 順 次 、これらの 新 技 術 を 導 入 する<br />

( 点 検 等 の 基 準 の 見 直 し、 政 府 調 達 等 への 反 映 等 )。<br />

・ 整 備 の 推 進 により、 人 の 手 だけに 頼 るのではなく、インフラ 情 報 や<br />

交 通 データ 等 の 情 報 を 地 理 空 間 情 報 (G 空 間 情 報 )として 統 合 運 用 す<br />

ることによるモニタリング 技 術 の 高 度 化 、ロボットによる 点 検 ・ 補<br />

修 技 術 の 開 発 等 により、 効 率 的 ・ 効 果 的 なインフラ 維 持 管 理 ・ 更 新<br />

を 実 現 する。<br />

・ 民 間 の 技 術 ・ノウハウの 導 入 のため、PPP/PFI の 活 用 を 推 進 する。<br />

・ 海 外 における 実 証 事 業 、 海 外 のインフラへの 技 術 適 用 の 拡 大 を 目 指 す。<br />

○ 新 素 材 の 開 発<br />

・ 来 年 度 から、 関 係 省 庁 が 連 携 し、 自 己 修 復 材 料 等 のインフラ 長 寿 命<br />

化 に 貢 献 する 新 材 料 の 研 究 開 発 を 推 進 する。<br />

・ 現 場 での 試 行 等 により、 信 頼 性 ・ 経 済 性 が 実 証 できた 新 素 材 につい<br />

ては、 順 次 、インフラへの 導 入 促 進 を 図 る。<br />

○ 宇 宙 インフラの 整 備 ・ 活 用<br />

・ 民 間 資 金 も 活 用 し(PPP/PFI)、2010 年 代 後 半 を 目 処 に、 準 天 頂 衛 星 シ<br />

ステム4 機 体 制 を 構 築 するとともに、 地 理 空 間 情 報 (G 空 間 情 報 )の<br />

利 用 を 推 進 する。<br />

・ アジア 諸 国 等 と 連 携 しつつ、 防 災 等 のためのリモートセンシング 衛 星<br />

の 複 数 機 を 一 体 的 に 整 備 ・ 運 用 する 必 要 があり、その 際 、 現 在 開 発 中<br />

の 衛 星 の 有 効 活 用 も 含 め、 実 際 のユーザーニーズや 費 用 対 効 果 等 を 踏<br />

まえ 検 討 する。また、ASEAN 諸 国 への 提 供 や 域 内 統 合 運 用 を 進 めるこ<br />

とで、 測 位 情 報 や 衛 星 画 像 データの 域 内 標 準 を 獲 得 し、 我 が 国 の IT<br />

を 活 用 したインフラシステムの 国 際 展 開 につなげる。<br />

○IT を 活 用 した 安 全 ・ 便 利 な 生 活 環 境 実 現 【 再 掲 】<br />

2 ヒトやモノが 安 全 ・ 快 適 に 移 動 することのできる 社 会<br />

Ⅰ) 社 会 像 と 現 状 の 問 題 点<br />

交 通 事 故 ・ 渋 滞 が 劇 的 に 減 少 し、 距 離 や 時 間 を 意 識 させないコスト・スピー<br />

ドで 物 流 サービスが 提 供 される 社 会 の 実 現 を 目 指 す。さらに、 究 極 的 には 交 通<br />

- 77 -


事 故 のない 社 会 の 達 成 を 目 指 す。<br />

しかし、 高 齢 者 の 反 応 速 度 等 の 身 体 ・ 認 知 機 能 の 低 下 を 補 完 する 技 術 等 を 確<br />

立 する 必 要 があるが、 事 態 を 打 開 する 新 技 術 の 多 くは 研 究 段 階 にとどまり、 社<br />

会 実 装 が 進 んでいない。<br />

また、 個 人 や 企 業 の 経 済 活 動 はアジア 地 域 を 中 心 に 急 速 に 拡 大 しているが、<br />

物 流 サービスの 改 善 が 追 いついておらず、 物 流 に 関 するシステムのシームレス<br />

化 などを 進 める 必 要 がある。<br />

Ⅱ) 解 決 の 方 向 性 と 戦 略 分 野 ( 市 場 ・ 産 業 ) 及 び 当 面 の 主 要 施 策<br />

こうした 事 態 を 打 開 するため、 車 車 間 通 信 、 路 車 間 通 信 等 を 用 いた 安 全 運 転<br />

支 援 装 置 ・ 安 全 運 転 支 援 システム 及 び 自 動 走 行 システム、 渋 滞 予 測 システム、<br />

物 流 システムの 構 築 によるヒト・モノの 安 全 ・ 快 適 な 移 動 の 実 現 を 国 家 プロジ<br />

ェクトとして 進 める。そのために、 推 進 体 制 を 構 築 し、 官 民 でロードマップを<br />

共 有 し、 研 究 開 発 と 実 証 、これを 可 能 とする 制 度 整 備 を 集 中 的 に 進 める。<br />

○ 安 全 運 転 支 援 システム、 自 動 走 行 システムの 開 発 ・ 環 境 整 備<br />

・ 安 全 ・ 快 適 にヒト・モノの 移 動 ができる 社 会 像 を 実 現 するため、 数 値<br />

目 標 やロードマップを 明 確 化 した 上 で、 関 係 省 庁 の 連 携 による 研 究 開<br />

発 、 政 府 主 導 の 実 証 計 画 の 策 定 ・ 実 施 、 内 外 事 業 者 によるアライアン<br />

ス 形 成 からなる 運 転 支 援 システム 高 度 化 計 画 を 策 定 する。 本 年 8 月 末<br />

までに 検 討 を 進 め 結 論 を 得 た 上 で、 必 要 な 措 置 を 講 じる。このため、<br />

直 ちに 政 府 の 推 進 体 制 を 確 立 し、 関 係 省 庁 が 連 携 し 取 り 組 む。<br />

○ 車 両 関 連 ビッグデータによる 情 報 サービス 環 境 の 整 備<br />

・ 渋 滞 抑 制 や 安 全 性 向 上 等 に 有 効 な 官 民 の 様 々な 情 報 の 統 合 活 用 を 図 る<br />

ため、 公 的 機 関 の 所 有 するデータ( 道 路 交 通 情 報 等 )のオープン 化 と<br />

民 間 の 所 有 する 一 般 の 車 両 から 収 集 した 位 置 情 報 や GPS データ 等 との<br />

統 合 によるビッグデータ 化 を 進 め、さらに、 民 間 も 活 用 可 能 な 環 境 を<br />

整 備 する。<br />

・ リアルタイムな 渋 滞 情 報 の 提 供 のみならず、 天 候 、 道 路 工 事 情 報 、 物<br />

流 量 、 過 去 の 渋 滞 情 報 等 を 用 いて、アクティブに 渋 滞 を 予 測 するシス<br />

テムを 確 立 し、 普 及 する。<br />

さらに、 我 が 国 の 貿 易 関 連 手 続 等 の 迅 速 化 ・ 港 湾 の 利 用 時 間 の 延 長 を 図 ると<br />

ともに、アジア 諸 国 等 との 物 流 情 報 システムの 相 互 連 携 を 進 め、 荷 物 情 報 のタ<br />

イムリーな 把 握 を 可 能 とすることで、 効 率 的 で 円 滑 な 物 流 を 実 現 する。<br />

○ 物 流 システムの 高 度 化<br />

・ アジア 諸 国 において、 我 が 国 の 総 合 的 物 流 情 報 プラットフォームシス<br />

テムである NACCS の 導 入 を 目 指 す。 国 内 においては、 本 年 10 月 まで<br />

にまずは 各 種 電 子 手 続 を NACCS に 統 合 する 等 、 貿 易 関 連 手 続 等 の 迅 速<br />

- 78 -


化 、ペーパーレス 化 を 促 進 する。あわせて、 必 要 に 応 じ 港 湾 の 利 用 時<br />

間 の 延 長 ( 港 湾 のゲートオープン・ 税 関 の 24 時 間 化 等 )を 推 進 する。<br />

・ 各 国 の 物 流 情 報 システムの 相 互 連 携 を 進 め、 荷 物 がどこを 移 動 してい<br />

るかをタイムリーに 把 握 し、 例 えば、 船 からトラック・ 鉄 道 への 物 流<br />

モードの 引 き 渡 しをスムーズにすることなどにより、 物 流 全 体 の 効 率<br />

化 を 進 める。<br />

ひ<br />

テーマ4: 世 界 を 惹 きつける 地 域 資 源 で 稼 ぐ 地 域 社 会 の 実 現<br />

社 会 像 : 世 界 を 惹 きつける 地 域 資 源 ブランドを 成 長 の 糧 とする 誇 り 高 い 地 域 社 会<br />

戦 略 分 野 : 農 林 水 産 物 ・ 食 品 、6 次 産 業 、コンテンツ・ 文 化 等 の 日 本 ブランド<br />

市 場 規 模 :【 農 業 】( 国 内 ) 農 業 ・ 食 料 関 連 産 業 生 産 額 100 兆 円 ⇒120 兆 円 (2020 年 )<br />

うち、6 次 産 業 の 市 場 規 模 1 兆 円 ⇒10 兆 円 (2020 年 )<br />

( 海 外 ) 世 界 の 食 市 場 規 模 (※)340 兆 円 ⇒680 兆 円 (2020 年 )<br />

※AT カーニー 社 推 計<br />

【 観 光 】 訪 日 外 国 人 の 我 が 国 国 内 での 旅 行 消 費 額<br />

1.3 兆 円 (2010 年 )⇒4.7 兆 円 (2030 年 )<br />

雇 用 規 模 :【 農 業 】 新 規 就 農 し 定 着 する 農 業 者 を 倍 増 し、10 年 後 に 40 代 以 下 の 農 業<br />

従 事 者 を 約 20 万 人 から 約 40 万 人 に 拡 大<br />

【 観 光 】 訪 日 外 国 人 の 旅 行 消 費 がもたらす 雇 用 効 果<br />

<strong>25</strong> 万 人 (2010 年 )⇒83 万 人 (2030 年 )<br />

(1) 2030 年 の 在 るべき 姿<br />

ひ<br />

日 本 各 地 には 世 界 を 惹 きつける 高 品 質 な 農 林 水 産 物 や 観 光 資 源 などの 魅 力 的 な 地<br />

域 資 源 が 豊 富 に 存 在 し、「 日 本 ブランド」ともいうべき 価 値 が 存 在 している。こうし<br />

た 地 域 の 資 源 を 活 用 し、 世 界 の 消 費 者 や 企 業 を 惹 きつけることで、 自 律 的 ・ 持 続 的 に<br />

稼 ぎ、 豊 かに 発 展 していく 地 域 社 会 を 成 り 立 たせる。<br />

このため、 次 の2つの 社 会 像 の 実 現 を 目 指 す。<br />

1 世 界 に 冠 たる 高 品 質 な 農 林 水 産 物 ・ 食 品 を 生 み 出 す 豊 かな 農 山 漁 村 社 会<br />

い<br />

2 観 光 資 源 等 のポテンシャルを 活 かし、 世 界 の 多 くの 人 々を 地 域 に 呼 び 込 む 社 会<br />

(2) 個 別 の 社 会 像 と 実 現 に 向 けた 取 組<br />

1 世 界 に 冠 たる 高 品 質 な 農 林 水 産 物 ・ 食 品 を 生 み 出 す 豊 かな 農 山 漁 村 社 会<br />

Ⅰ) 社 会 像 と 現 状 の 問 題 点<br />

い<br />

消 費 者 志 向 のマーケットインの 発 想 と 地 域 の 特 性 を 活 かした 農 林 水 産 業 との<br />

マッチングにより、 日 本 の 優 れた 農 林 水 産 物 ・ 食 品 が 世 界 中 に 輸 出 され、 地 域<br />

の 農 林 水 産 物 ・ 食 品 が 世 界 市 場 に 広 く 行 きわたるようにする。 多 面 的 機 能 を 適<br />

切 かつ 十 分 に 発 揮 しつつ、 農 林 水 産 業 が 成 長 産 業 となり、 若 者 ・ 高 齢 者 ・ 企 業<br />

- 79 -


等 様 々な 主 体 と 農 林 水 産 業 のコラボレーションが 進 み、イノベーションの 創 出<br />

拠 点 となる 活 発 な 農 山 漁 村 社 会 の 実 現 を 目 指 す。<br />

このような 農 林 水 産 業 の 成 長 産 業 化 は、 我 が 国 の 経 済 再 生 を 支 える 分 野 であ<br />

るが、 現 状 を 見 れば、 日 本 の 農 業 は、 生 産 者 の 減 少 と 高 齢 化 の 進 展 、 耕 作 放 棄<br />

地 の 増 加 等 の 構 造 的 な 問 題 を 抱 えている。これらの 課 題 を 解 決 するためにも、<br />

強 みを 引 き 上 げ、 弱 みを 克 服 する 非 連 続 的 な 施 策 を 導 入 し、 農 業 の 構 造 改 革 を<br />

進 める 必 要 がある。また、 日 本 は、 優 良 な 農 地 や 豊 富 な 森 林 ・ 海 洋 資 源 に 恵 ま<br />

れ、 安 全 ・ 安 心 かつ 高 品 質 の 農 林 水 産 物 を 生 産 する 技 術 を 有 しており、 多 様 性<br />

に 富 む 農 林 水 産 物 が 豊 かな 食 文 化 を 形 成 しているなど、 多 くの 面 で 比 較 優 位 に<br />

あるものの、 産 業 として 捉 えた 場 合 、 本 来 有 する 国 際 競 争 力 を 活 かしきれてい<br />

ない。<br />

Ⅱ) 解 決 の 方 向 性 と 戦 略 分 野 ( 市 場 ・ 産 業 ) 及 び 重 要 施 策<br />

農 林 水 産 業 の 競 争 力 を 強 化 する 観 点 から、 生 産 現 場 の 強 化 や 需 要 面 の 取 組 、<br />

それらをつなぐ6 次 産 業 化 等 を 一 体 的 に 進 めるとともに、 経 営 所 得 安 定 対 策<br />

( 旧 : 戸 別 所 得 補 償 制 度 )を 適 切 に 見 直 し、あわせて、 農 林 水 産 業 の 多 面 的 機<br />

能 の 発 揮 を 図 る 取 組 を 進 め、 新 たな 直 接 支 払 制 度 の 創 設 の 検 討 を 行 う。 農 林 水<br />

産 業 を 成 長 産 業 とし、 今 後 10 年 間 で6 次 産 業 化 を 進 める 中 で、 農 業 ・ 農 村 全 体<br />

の 所 得 を 倍 増 させる 戦 略 を 策 定 し、 実 行 に 移 す。その 着 実 な 推 進 のため、 官 邸<br />

に 設 置 した「 農 林 水 産 業 ・ 地 域 の 活 力 創 造 本 部 」において、 今 後 の 政 策 の 方 向<br />

性 を「 農 林 水 産 業 ・ 地 域 の 活 力 創 造 プラン( 仮 称 )」として、できるだけ 早 期 に<br />

取 りまとめる。<br />

具 体 的 には、まず、 農 地 を 最 大 限 効 率 的 に 活 用 できるようにするなど、 生 産<br />

現 場 を 強 化 する。 担 い 手 への 農 地 集 積 ・ 集 約 や 耕 作 放 棄 地 の 解 消 を 加 速 化 し、<br />

法 人 経 営 、 大 規 模 家 族 経 営 、 集 落 営 農 、 企 業 等 の 多 様 な 担 い 手 による 農 地 のフ<br />

ル 活 用 、 生 産 コストの 削 減 を 目 指 す。 今 後 10 年 間 で、 全 農 地 面 積 の8 割 ( 現 状<br />

約 5 割 )が 担 い 手 によって 利 用 され、 資 材 ・ 流 通 面 での 産 業 界 の 努 力 も 反 映 し<br />

て 担 い 手 のコメの 生 産 コストを、 現 状 全 国 平 均 (1 万 6 千 円 )から4 割 削 減 し、<br />

法 人 経 営 体 数 を 2010 年 比 約 4 倍 の5 万 法 人 とすることを 目 標 とする。<br />

このため、 以 下 の 取 組 について、 本 年 秋 までに 具 体 的 スキームを 固 め、 速 や<br />

かに 法 制 度 ・ 予 算 措 置 を 含 む 必 要 な 措 置 を 講 ずる。その 際 、 農 業 界 と 経 済 界 の<br />

連 携 や 民 間 活 力 の 活 用 に 十 分 留 意 し、 信 託 の 活 用 についても 検 討 する。<br />

○ 担 い 手 への 農 地 集 積 、 耕 作 放 棄 地 の 発 生 防 止 ・ 解 消 等 による 競 争 力 強 化<br />

・ 担 い 手 への 農 地 集 積 と 集 約 化 により、 農 業 構 造 の 改 革 と 生 産 コストの<br />

削 減 を 強 力 に 推 進 するため、 農 地 の 中 間 的 受 け 皿 として 都 道 府 県 の 段<br />

階 に 農 地 中 間 管 理 機 構 ( 仮 称 )を 整 備 し、 活 用 する。<br />

具 体 的 には、 農 地 中 間 管 理 機 構 が 地 域 内 農 地 の 相 当 部 分 を 借 り 受 け<br />

( 準 公 有 状 態 )、 大 区 画 化 等 の 基 盤 整 備 を 行 った 上 で、 担 い 手 ( 法 人<br />

経 営 、 大 規 模 家 族 経 営 、 企 業 、 新 規 就 農 者 等 )への 農 地 集 積 ・ 担 い 手<br />

ごとの 農 地 の 集 約 化 に 配 慮 して 貸 し 付 けることにより 農 地 利 用 の 再<br />

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配 分 を 行 うスキームを 確 立 し、 積 極 的 に 活 動 できるようにする。その<br />

際 、 農 地 中 間 管 理 機 構 は、 市 町 村 ・ 民 間 企 業 等 に 業 務 委 託 を 行 い、 地<br />

域 の 総 力 を 挙 げて 取 り 組 む 体 制 とする。<br />

・ 耕 作 放 棄 地 については、 耕 作 していた 所 有 者 の 死 亡 等 により 耕 作 放 棄<br />

地 となるおそれのある 農 地 ( 耕 作 放 棄 地 予 備 軍 )も 解 消 対 策 の 対 象 と<br />

するとともに、 耕 作 放 棄 地 の 所 有 者 に 対 し 農 地 中 間 管 理 機 構 に 貸 す 意<br />

思 があるかどうかを 確 認 したり、 所 有 者 不 明 の 耕 作 放 棄 地 について、<br />

公 告 制 度 を 使 いやすくし、 裁 定 により 同 機 構 に 利 用 権 を 設 定 する 等 、<br />

手 続 きの 大 幅 な 改 善 と 簡 素 化 を 図 る。<br />

・ これらの 措 置 と 併 せて、 地 域 の 農 業 者 の 徹 底 した 話 合 いにより 担 い 手<br />

への 農 地 集 積 の 合 意 形 成 を 図 る「 人 ・ 農 地 プラン」の 作 成 ・ 見 直 しを<br />

推 進 し、 農 地 の 集 積 ・ 集 約 化 を 着 実 に 進 める。<br />

・ なお、2009 年 に 完 全 自 由 化 されたリース 方 式 による 企 業 の 農 業 参 入 を、<br />

農 地 中 間 管 理 機 構 も 活 用 しながら 積 極 的 に 推 進 する。また、 農 業 生 産<br />

法 人 の 要 件 緩 和 などの 所 有 方 式 による 企 業 の 農 業 参 入 の 更 なる 自 由<br />

化 について、2009 年 に 実 施 したリース 方 式 での 参 入 の 完 全 自 由 化 と 農<br />

業 生 産 法 人 の 要 件 緩 和 後 の 参 入 状 況 の 検 証 等 を 行 うとともに、 農 地 の<br />

集 積 ・ 集 約 化 の 推 進 に 与 える 影 響 も 考 慮 しつつ、 検 討 する。<br />

・ 生 産 性 向 上 に 結 び 付 く 農 地 集 積 をサポートするため、 都 道 府 県 等 が 行<br />

う 大 区 画 化 等 の 農 地 整 備 や 農 業 水 利 施 設 の 整 備 を 農 地 中 間 管 理 機 構<br />

も 活 用 しながら 推 進 する。<br />

さらに、 新 技 術 の 活 用 、 異 業 種 連 携 等 により、 農 業 にイノベーションを 起 す。<br />

この 中 で、マーケットインの 発 想 を 定 着 させる。6 次 産 業 の 市 場 規 模 を 現 状 の<br />

1 兆 円 から、2020 年 に 10 兆 円 とする。<br />

○ 農 商 工 連 携 等 による6 次 産 業 化 の 推 進<br />

・ 農 林 漁 業 成 長 産 業 化 ファンドの 本 格 展 開 や、 異 業 種 連 携 等 の 促 進 によ<br />

り6 次 産 業 化 を 推 進 する。<br />

・ 健 康 に 着 目 した 食 の 市 場 拡 大 による 健 康 長 寿 社 会 の 実 現 と 国 内 需<br />

要 ・ 市 場 拡 大 、 福 祉 ・ 教 育 ・ 観 光 等 と 連 携 した 都 市 と 農 村 の 交 流 の 拡<br />

充 等 を 図 るため、 食 の 科 学 的 知 見 の 体 系 化 に 向 けた 産 学 官 の 体 制 整 備 、<br />

食 習 慣 と 健 康 の 関 連 性 の 調 査 等 を 来 年 度 から 実 施 する。また、 食 育 を<br />

国 民 運 動 として 推 進 するため、 農 林 漁 業 体 験 を 経 験 した 国 民 の 割 合 を<br />

5 年 後 に 35%とすることを 目 標 として 食 や 農 林 水 産 業 への 理 解 増 進 を<br />

図 る。<br />

・ 新 品 種 ・ 新 技 術 の 開 発 ・ 普 及 や 知 的 財 産 の 保 護 と 積 極 的 な 活 用 により<br />

「 強 み」のある 農 畜 産 物 の 創 出 を 進 め、 年 内 に 品 目 ごとの 新 品 種 ・ 新<br />

技 術 の 開 発 ・ 保 護 ・ 普 及 の 方 針 を 策 定 ・ 公 表 する。また、 海 外 での 遺<br />

伝 資 源 獲 得 の 円 滑 化 や 知 的 財 産 権 の 侵 害 対 策 等 、 我 が 国 の 種 苗 産 業 の<br />

共 通 課 題 の 解 消 を 総 合 的 に 推 進 するための 取 組 体 制 を 整 備 する。<br />

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・ 異 業 種 との 連 携 による 地 域 における 消 費 拡 大 や 学 校 給 食 等 における<br />

利 用 拡 大 等 の 取 組 とともに、 多 様 な 事 業 者 からなる 協 議 会 が 主 体 とな<br />

る「 食 のモデル 地 域 」を 本 年 中 に 設 け、 国 産 農 林 水 産 物 の 利 用 拡 大 に<br />

向 けた 取 組 を 推 進 する。<br />

・ 再 生 可 能 エネルギーを 活 用 した 農 林 漁 業 の 発 展 を 図 る 取 組 を 推 進 す<br />

るための 枠 組 みの 構 築 等 を 進 めつつ、 今 後 5 年 間 に 約 100 地 区 で 地 域<br />

のバイオマスを 活 用 するなど 産 業 化 とエネルギー 導 入 を 重 点 的 に 推<br />

進 する。<br />

また、 日 本 の 農 林 水 産 物 ・ 食 品 の 輸 出 促 進 等 による 需 要 の 拡 大 を 図 る。2020<br />

年 に 農 林 水 産 物 ・ 食 品 の 輸 出 額 を、 現 状 の 約 4 千 5 百 億 円 から1 兆 円 とするこ<br />

とを 目 指 す。このため、 国 別 ・ 品 目 別 輸 出 戦 略 を 策 定 する。また、 世 界 の 料 理<br />

界 で 日 本 食 材 の 活 用 推 進 (Made FROM Japan)、 日 本 の「 食 文 化 ・ 食 産 業 」の 海<br />

外 展 開 (Made BY Japan)、 日 本 の 農 林 水 産 物 ・ 食 品 の 輸 出 (Made IN Japan)<br />

の 取 組 を、 日 本 貿 易 振 興 機 構 (JETRO) 等 とも 連 携 を 深 めつつ、 一 体 的 に 推 進 する。<br />

○ 国 別 ・ 品 目 別 輸 出 戦 略 の 策 定<br />

・ 日 本 食 を 特 徴 付 けるコンテンツ( 水 産 物 、 日 本 酒 などのコメ・コメ 加<br />

工 品 、 牛 肉 、 青 果 物 等 )の 輸 出 拡 大 を 図 る 観 点 から、 品 目 別 の 農 林 水<br />

産 物 ・ 食 品 の 輸 出 額 に 係 る 数 値 目 標 、 輸 出 環 境 の 整 備 等 に 係 る 目 標 を<br />

年 内 に 設 定 する。<br />

・ 植 物 検 疫 などの 輸 出 に 必 要 な 手 続 を 卸 売 市 場 で 行 うことにより、スピ<br />

ーディーな 輸 出 を 実 現 するとともに、 産 地 間 連 携 による 日 本 の 農 林 水<br />

産 物 を 年 間 を 通 じて 安 定 的 に 供 給 できる 体 制 の 構 築 を 実 現 する。<br />

・ 日 本 の 食 品 の 安 全 ・ 安 心 を 世 界 に 発 信 するため、 海 外 の 安 全 基 準 に 対<br />

応 する HACCP( 危 害 分 析 ・ 重 要 管 理 点 )システムの 普 及 を 図 る 観 点 か<br />

ら、マニュアルの 作 成 や 輸 出 HACCP 取 得 支 援 のための 体 制 の 整 備 を 来<br />

年 度 までに 実 施 するとともに、 輸 入 手 続 の 際 に 提 出 を 求 められること<br />

がある 自 由 販 売 証 明 書 の 発 行 体 制 を 今 年 度 中 に 構 築 する。<br />

○ 食 文 化 、 食 産 業 のグローバル 展 開<br />

・ 日 本 食 材 と 世 界 の 料 理 界 とのコラボレーションの 促 進 や、 日 本 食 の 普<br />

及 を 行 う 人 材 育 成 等 を 通 じ、 日 本 食 材 の 活 用 を 推 進 (Made FROM Japan)<br />

する。<br />

・ ビジネス 環 境 の 整 備 、 人 材 育 成 、 知 的 財 産 の 侵 害 対 策 、 出 資 による 支<br />

援 等 を 通 じて、 日 本 の「 食 文 化 ・ 食 産 業 」を 海 外 展 開 (Made BY Japan)<br />

する。<br />

・ 国 別 ・ 品 目 別 輸 出 戦 略 の 策 定 、ビジネス 環 境 の 整 備 、 出 資 による 支 援<br />

等 を 通 じて、 日 本 の 農 林 水 産 物 ・ 食 品 を 輸 出 (Made IN Japan)する。<br />

・ 上 記 の 食 産 業 のグローバル 展 開 の 実 現 に 向 け、 官 民 共 同 による 意 見 交<br />

換 の 場 の 設 置 、 専 門 知 識 や 経 験 を 持 つ 人 材 を 確 保 ・ 活 用 する 仕 組 みの<br />

- 82 -


構 築 、フードシステム 全 体 の 海 外 展 開 を 図 る 取 組 を 来 年 度 から 実 施 す<br />

る。<br />

・ また、「 食 」がテーマの「2015 年 ミラノ 国 際 博 覧 会 」 等 への 出 展 を 通<br />

じ、 我 が 国 農 林 水 産 業 ・ 食 関 連 産 業 の 強 みや 日 本 食 ・ 食 文 化 の 魅 力 を<br />

発 信 する。<br />

さらに、 新 たな 育 種 技 術 や 高 機 能 ・ 高 付 加 価 値 農 林 水 産 物 の 開 発 、IT・ロボ<br />

ット 技 術 等 の 科 学 技 術 イノベーションを 活 用 した 生 産 ・ 流 通 システムの 高 度 化<br />

等 を 通 じ、こうした 市 場 ・ 産 業 の 拡 大 ・ 発 展 を 図 る。<br />

○ 新 技 術 による 農 林 水 産 物 の 高 機 能 化 、 生 産 ・ 流 通 システムの 高 度 化<br />

・ ゲノム 情 報 等 を 活 用 した 農 林 水 産 技 術 の 高 度 化 ( 重 要 形 質 を 改 良 する<br />

ための 育 種 技 術 の 開 発 等 )、 高 機 能 ・ 高 付 加 価 値 農 林 水 産 物 の 開 発 ( 予<br />

防 効 果 等 のある 付 加 価 値 の 高 い 食 品 を 個 人 のニーズにあわせて 供 給<br />

するシステム(「テーラーメイドシステム」の 構 築 、 医 学 ・ 工 学 など<br />

との 融 合 等 ))を 2030 年 までの 実 現 を 目 指 して、 研 究 開 発 を 推 進 する。<br />

・ IT・ロボット 技 術 等 を 活 用 した 農 林 水 産 物 の 生 産 ・ 流 通 システムの 高<br />

度 化 ( 大 規 模 ・ 省 力 ・ 軽 労 化 栽 培 ・ 生 産 体 系 の 開 発 等 )、 微 生 物 やバ<br />

イオマスによるエネルギー 資 源 生 産 技 術 の 開 発 ・ 普 及 を 目 指 して、 研<br />

究 開 発 や 大 規 模 実 証 を 推 進 する。<br />

・ 高 い 生 産 技 術 を 持 つ 篤 農 家 の 知 恵 を 人 材 育 成 や 収 益 向 上 等 、 多 面 的 に<br />

利 活 用 する 新 たな 生 産 方 式 の 構 築 を 2016 年 までに 達 成 するとともに、<br />

農 場 から 食 卓 までをデータでつなぐトレーサビリティー・システムの<br />

普 及 によるバリューチェーンの 構 築 に 取 り 組 む。これらの IT 利 用 技<br />

術 により、 生 産 された 農 産 物 と 当 該 技 術 の 海 外 展 開 を 2017 年 度 以 降<br />

成 長 軌 道 に 乗 せる。<br />

また、 新 たな 木 材 需 要 の 創 出 や 国 産 材 の 安 定 的 ・ 効 率 的 な 供 給 体 制 の 構 築 、<br />

施 業 集 約 化 等 を 進 めるとともに、 国 産 水 産 物 の 消 費 ・ 輸 出 拡 大 、 適 切 な 資 源 管<br />

理 等 を 通 じた 収 益 性 の 高 い 持 続 可 能 な 漁 業 ・ 養 殖 業 の 推 進 等 により、 林 業 及 び<br />

水 産 業 の 成 長 産 業 化 を 図 る。<br />

い<br />

2 観 光 資 源 等 のポテンシャルを 活 かし、 世 界 の 多 くの 人 々を 地 域 に 呼 び 込 む 社 会<br />

Ⅰ) 社 会 像 と 現 状 の 問 題 点<br />

急 速 に 成 長 するアジアを 始 めとする 世 界 の 観 光 需 要 を 取 り 込 むことにより、<br />

地 域 経 済 の 活 性 化 、 雇 用 機 会 の 増 大 などにつなげていく。<br />

現 状 では、 日 本 の 魅 力 の 発 信 が 不 十 分 なこと 等 により、 豊 かな 文 化 遺 産 ・ 自<br />

い<br />

然 環 境 を 始 めとした 観 光 資 源 のポテンシャルを 活 かしきれていない。<br />

- 83 -


Ⅱ) 解 決 の 方 向 性 と 戦 略 分 野 ( 市 場 ・ 産 業 ) 及 び 重 要 施 策<br />

こうした 現 状 を 打 開 すべく、コンテンツ、 伝 統 文 化 や 地 域 文 化 等 の 文 化 芸 術 、<br />

ヒト 等 を 通 じたトータルな 日 本 ブランドを 確 立 し、 世 界 各 地 へと 幅 広 く 浸 透 さ<br />

ひ<br />

せ、 日 本 ブームを 創 出 し、「 日 本 」へと 数 多 くの 外 国 人 を 惹 きつけ、 引 き 寄 せる。<br />

本 年 に 訪 日 外 国 人 旅 行 者 数 1,000 万 人 を 達 成 し(2012 年 は 837 万 人 )、さらに<br />

2,000 万 人 の 高 みを 目 指 すとともに、2030 年 には 3,000 万 人 を 超 えることを 目<br />

指 す。これにより 観 光 収 入 でアジアのトップクラス 入 りする(2011 年 はアジア<br />

10 位 )。<br />

○ 訪 日 プロモーションに 関 する 省 庁 ・ 関 係 機 関 の 横 断 的 計 画 策 定 と 実 行<br />

・ 関 係 省 庁 、 関 係 機 関 等 が 連 携 して 行 う 事 業 の 計 画 を 定 期 的 に 定 めてプ<br />

ロモーションを 実 施 するなど、 日 本 ブランド 発 信 に 向 けた 政 府 一 体 的<br />

に 取 り 組 む 体 制 を 夏 までに 構 築 する。<br />

・ クールジャパンと 一 体 となった 日 本 ブランドの 発 信 を 促 進 するため、<br />

日 本 関 連 コンテンツのローカライズ( 字 幕 ・ 吹 き 替 え・ 現 地 規 格 への<br />

対 応 等 )・プロモーション 支 援 、テレビ 番 組 の 国 際 共 同 制 作 、 新 たに<br />

創 設 予 定 の( 株 ) 海 外 需 要 開 拓 支 援 機 構 ( 仮 称 ) 等 を 通 じた、 海 外 の<br />

テレビ 番 組 枠 の 確 保 、 海 外 で 日 本 関 連 コンテンツの 放 送 等 を 行 ういわ<br />

ゆる「ジャパン・チャンネル」への 支 援 、いわゆる「ジャパンモール」<br />

の 海 外 展 開 への 支 援 等 により、 関 係 省 庁 ( 経 済 産 業 省 、 総 務 省 、 観 光<br />

庁 等 )と 民 間 企 業 が 連 携 して、 日 本 ブランド 向 上 及 び 観 光 促 進 に 資 す<br />

る 関 連 コンテンツの 継 続 的 海 外 発 信 を 促 進 する。<br />

・ 国 宝 、 重 要 文 化 財 などの 地 域 の 文 化 財 について、 保 存 ・ 整 備 を 図 ると<br />

ともに、 情 報 発 信 ・ 活 用 方 法 の 検 討 を 今 年 度 内 に 実 施 し、 観 光 資 源 と<br />

して 積 極 的 に 国 内 外 へ 発 信 し、 活 用 する。<br />

○ 査 証 発 給 要 件 緩 和 、 入 国 審 査 迅 速 化 等 の 訪 日 環 境 の 改 善<br />

・ 観 光 立 国 実 現 のため、 近 隣 諸 国 の 状 況 を 踏 まえながら、 査 証 発 給 要 件<br />

を 緩 和 する 方 向 で 取 り 組 む。まずは 今 後 訪 日 旅 行 の 高 い 伸 びが 見 込 ま<br />

れる ASEAN 諸 国 からの 観 光 客 の 査 証 発 給 要 件 について、 日 ・ASEAN 友<br />

好 協 力 40 周 年 を 契 機 として、 治 安 への 十 分 な 配 慮 を 前 提 としつつ、<br />

夏 までに、タイ 及 びマレーシア 向 けのビザ 免 除 、ベトナム 及 びフィリ<br />

ピン 向 けの 数 次 ビザ 化 並 びにインドネシアの 数 次 ビザに 係 る 滞 在 期<br />

間 延 長 を 行 う。また、 海 外 の 富 裕 層 の 長 期 滞 在 需 要 取 り 込 みにつなげ<br />

るべく、 一 定 の 要 件 を 満 たした 外 国 人 の 長 期 滞 在 を 可 能 とする 制 度 の<br />

導 入 について 検 討 する。<br />

・ 大 型 クルーズ 船 に 対 する 入 国 審 査 の 迅 速 化 ・ 円 滑 化 、 外 国 クルーズ 船<br />

社 に 対 応 するワンストップ 窓 口 の 周 知 等 を 進 めるとともに、 空 港 にお<br />

ける 外 国 人 用 審 査 ブースの 増 加 やファーストレーンの 設 置 の 実 現 を<br />

目 指 す。<br />

・ 首 都 圏 空 港 の 容 量 拡 大 を 背 景 とした 首 都 圏 空 港 を 含 めたオープンス<br />

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カイの 戦 略 的 な 推 進 、LCC の 参 入 促 進 等 による 航 空 ネットワークの 充<br />

実 、ビジネスジェットの 利 用 環 境 の 整 備 等 を 実 施 する。<br />

また、 外 国 人 旅 行 者 が、 日 本 各 地 の 至 るところで 快 適 に 過 ごし、その 地 域 の<br />

魅 力 を 味 わい、「 日 本 」ブランドへの 共 感 を 深 めることが 重 要 である。2030 年 に<br />

は 宿 泊 客 のおよそ6 人 に1 人 は 外 国 人 となる 社 会 を 目 指 す(2011 年 は 宿 泊 客 の<br />

およそ 23 人 に1 人 が 外 国 人 )。<br />

○ 外 国 人 旅 行 者 の 滞 在 環 境 の 改 善<br />

・ 公 共 交 通 機 関 や 道 路 等 の 案 内 表 示 、 美 術 館 ・ 博 物 館 、 自 然 公 園 、 観 光<br />

地 等 における 多 言 語 対 応 について、 年 内 を 目 途 に 外 国 人 目 線 に 立 った<br />

共 通 のガイドラインを 策 定 し、ガイドラインを 踏 まえた 整 備 ・ 改 善 を<br />

促 進 する。また、 音 声 による 多 言 語 対 応 についても 促 進 する。<br />

・ 都 心 直 結 線 ( 都 心 - 首 都 圏 空 港 )の 整 備 に 向 けた 検 討 【 再 掲 】<br />

・ 観 光 資 源 の 発 掘 と 磨 き 上 げによる 確 実 な 旅 行 商 品 化 や 地 域 の 人 材 育<br />

成 等 を 通 じて、 観 光 地 域 の 魅 力 向 上 ・ 発 信 とこうしたプロセスを 支 援<br />

する 新 ビジネスの 育 成 を 図 るとともに、 新 たな 発 想 による 観 光 地 域 づ<br />

くりを 促 進 する。また、 日 本 政 府 観 光 局 (JNTO)が 個 別 地 域 のコンサ<br />

ルティングとそれらの 地 域 の 集 中 的 プロモーションにより 地 域 資 源<br />

の 海 外 展 開 を 支 援 する 取 組 について 年 内 早 期 に 開 始 する。<br />

・ 外 国 人 旅 行 者 に 対 し 宿 泊 施 設 等 の 手 配 を 行 うツアーオペレーターの<br />

認 証 制 度 の 定 着 を 図 る。また、 宿 泊 施 設 についての 情 報 提 供 制 度 の 導<br />

入 に 向 けて、 今 年 度 内 に 具 体 的 な 方 針 を 定 め、その 促 進 を 図 る。<br />

・ 宗 教 上 の 制 約 に 配 慮 した 食 事 の 提 供 等 、 受 入 環 境 の 整 備 等 を 図 る。<br />

・ 外 国 人 旅 行 者 向 け 消 費 税 免 税 制 度 について、 外 国 人 旅 行 者 の 利 便 性 や<br />

執 行 上 の 観 点 も 踏 まえた 上 で、 税 制 改 正 要 望 の 過 程 において 制 度 の 見<br />

直 しも 含 め 検 討 する。<br />

○ 新 たなツーリズムの 創 出<br />

・エコツーリズム、グリーン・ツーリズム、 文 化 観 光 、 産 業 観 光 、スポ<br />

ーツツーリズム、 医 療 と 連 携 した 観 光 、インフラツーリズム 等 我 が 国<br />

い<br />

の 豊 富 な 観 光 資 源 を 活 かした 新 たなツーリズムの 創 出 を 促 進 する。<br />

○ 産 業 資 源 の 活 用 ・ 結 集 ・ブランド 化 【 再 掲 】<br />

さらに、 海 外 から 日 本 に 対 し、 多 くの 人 や 優 れた 知 見 、 投 資 を 呼 び 込 み、2030<br />

年 にはアジア No.1の 国 際 会 議 開 催 国 として 不 動 の 地 位 を 築 く。<br />

○ 国 際 会 議 等 (MICE) 誘 致 体 制 の 構 築 ・ 強 化<br />

・ 選 択 と 集 中 の 下 で 世 界 トップレベルの 誘 致 能 力 ・ 体 制 ・ 受 入 環 境 を 持<br />

つ「グローバル MICE 戦 略 都 市 」を 育 成 する。このため、 潜 在 需 要 の<br />

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掘 り 起 こしや 海 外 MICE 専 門 家 の 派 遣 等 を 通 じたマーケティング 能 力<br />

の 向 上 支 援 等 を 国 として 実 施 する。また、 国 ・ 都 市 の 成 長 分 野 をター<br />

ゲットとした 会 議 誘 致 を 行 うとともに、 魅 力 ある 会 議 開 催 地 としての<br />

都 市 機 能 を 強 化 する。<br />

・ 主 要 分 野 の 国 際 的 リーダーを 中 心 とした MICE 誘 致 体 制 を 年 内 に 構 築<br />

する 等 、 産 業 界 や 大 学 等 との 連 携 体 制 を 整 備 し、オールジャパンの 視<br />

点 による 誘 致 を 促 進 する。<br />

・ 国 や 自 治 体 の 文 化 施 設 ・ 公 共 空 間 等 の 利 用 開 放 等 を 進 め、イベントの<br />

活 性 化 を 図 る。(ユニークベニュー(※) 開 発 、 利 用 促 進 )。そのため、<br />

民 間 事 業 者 を 含 めた 関 係 者 による 協 議 会 を 年 内 早 期 に 設 置 する。<br />

※ 歴 史 的 建 造 物 、 文 化 施 設 や 公 的 空 間 等 で、 会 議 ・レセプションを 開 催 するこ<br />

とで 特 別 感 や 地 域 特 性 を 演 出 できる 会 場<br />

・ 観 光 庁 、 日 本 政 府 観 光 局 (JNTO)、 経 済 産 業 省 、JETRO が 協 働 し、 訪 日<br />

外 国 人 増 加 を 目 的 とした 共 同 行 動 計 画 を 年 内 早 期 に 定 め、それに 沿 っ<br />

て 具 体 的 な 連 携 を 進 める。<br />

○ 国 際 的 な 大 規 模 イベントの 招 致 ・ 開 催<br />

・ 2020 年 オリンピック・パラリンピックの 東 京 への 招 致 実 現 等 、 象 徴 性<br />

のある 国 際 的 なイベントの 積 極 的 開 催 を 通 じて、イベント 大 国 、 国 際<br />

交 流 先 進 国 としての 日 本 の 姿 を 海 外 に 強 力 に 発 信 する。<br />

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三 . 国 際 展 開 戦 略<br />

- 87 -


三 . 国 際 展 開 戦 略<br />

新 興 国 を 中 心 に 世 界 の 市 場 は 急 速 に 拡 大 しており、この 成 長 市 場 の 獲 得 に 向 けて、<br />

世 界 各 国 が 激 しい 競 争 を 繰 り 広 げている。 我 が 国 企 業 が 持 つ 技 術 力 を 始 めとした 強<br />

い<br />

みを 活 かし、 積 極 的 に 世 界 市 場 に 展 開 を 図 っていくとともに、 対 内 直 接 投 資 の 拡 大<br />

ひ<br />

等 を 通 じて、 世 界 のヒト、モノ、カネを 日 本 国 内 に 惹 きつけることにより、 世 界 の<br />

経 済 成 長 を 取 り 込 んでいく。<br />

このため、 経 済 連 携 協 定 や 投 資 協 定 ・ 租 税 条 約 の 締 結 拡 大 や、 国 内 外 の 市 場 にま<br />

たがる 制 度 的 障 害 の 除 去 に 取 り 組 むとともに、 海 外 からの 投 資 環 境 の 整 備 やグロー<br />

バル 人 材 の 育 成 等 を 通 じて、 日 本 国 内 の 徹 底 したグローバル 化 を 進 め、 国 際 展 開 を<br />

促 進 するための 事 業 環 境 を 整 備 する。<br />

それと 同 時 に、 高 度 な 技 術 や 高 性 能 製 品 、 質 の 高 いインフラ、 豊 かな 文 化 を 背 景<br />

としたコンテンツなど、 付 加 価 値 の 高 い 製 品 ・サービスを 世 界 市 場 に 展 開 していく<br />

ために、 政 府 一 体 となって、 国 内 外 で 官 民 一 体 による 戦 略 的 な 取 組 を 進 める。<br />

1. 戦 略 的 な 通 商 関 係 の 構 築 と 経 済 連 携 の 推 進<br />

グローバルな 経 済 活 動 のベースとなる 経 済 連 携 を 推 進 し、 貿 易 の FTA 比 率 を 現 在<br />

の 19%から、2018 年 までに 70%に 高 める。このため、 特 に、TPP( 環 太 平 洋 パートナ<br />

ーシップ) 協 定 交 渉 に 積 極 的 に 取 り 組 むことにより、アジア 太 平 洋 地 域 の 新 たなル<br />

ールを 作 り 上 げていくとともに、RCEP( 東 アジア 地 域 包 括 的 経 済 連 携 )や 日 中 韓 FTA<br />

といった 広 域 経 済 連 携 と 併 せ、その 先 にあるより 大 きな 構 想 である FTAAP(アジア 太<br />

平 洋 自 由 貿 易 圏 )のルールづくりのたたき 台 としていく。また、 上 記 の 取 組 に 加 え<br />

日 EU・EPA 等 に 同 時 並 行 で 取 り 組 むこととし、 各 経 済 連 携 が 相 互 に 刺 激 し 合 い、 活<br />

性 化 することにより、 世 界 全 体 の 貿 易 ・ 投 資 のルールづくりが 前 進 するよう、 重 要<br />

なプレーヤーとして 貢 献 していく。<br />

○ 国 益 に 資 する 経 済 連 携 交 渉 の 推 進<br />

・ 産 業 界 のニーズ 等 を 踏 まえながら、TPP、RCEP、 日 中 韓 FTA、 日 EU・<br />

EPA 等 の 経 済 連 携 交 渉 に 同 時 に 対 処 できるよう、 内 閣 官 房 を 始 め 関 係<br />

府 省 庁 などの 体 制 強 化 を 図 る。 特 に TPP については、100 人 規 模 の 体<br />

制 を 整 備 し、 政 府 一 体 となった 万 全 の 体 制 で 交 渉 に 当 たる。<br />

○ 経 済 連 携 の 強 化 に 向 けた 規 制 制 度 に 関 する 取 組<br />

・ 今 後 の 経 済 連 携 交 渉 の 進 捗 等 の 動 きも 踏 まえながら、 規 制 改 革 に 係 る<br />

提 案 等 への 対 応 について、「 規 制 改 革 会 議 」における 審 議 を 活 用 しつ<br />

つ、 検 討 を 加 速 させる。<br />

○ 投 資 協 定 ・ 租 税 条 約 の 締 結 ・ 改 正 推 進<br />

・ 企 業 の 海 外 展 開 の 推 進 、 鉱 物 ・エネルギー 資 源 の 安 定 的 な 供 給 の 確 保<br />

等 の 観 点 から、 我 が 国 産 業 界 のニーズ、 投 資 章 を 含 む 経 済 連 携 協 定 の<br />

締 結 状 況 等 を 踏 まえ、 投 資 協 定 の 締 結 を 加 速 する。このため、 投 資 協<br />

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定 の 締 結 促 進 及 び 効 果 的 活 用 に 向 けた 指 針 を 策 定 ・ 推 進 する。また、<br />

その 実 現 に 向 けて、 関 係 当 局 の 体 制 強 化 等 を 進 める。<br />

・ 我 が 国 産 業 界 のニーズや 我 が 国 課 税 権 の 適 切 な 確 保 等 の 観 点 を 総 合<br />

的 に 勘 案 し、 企 業 の 海 外 展 開 の 支 援 に 資 する 租 税 条 約 のネットワーク<br />

拡 充 の 取 組 を 加 速 する。また、その 実 現 に 向 けて、 関 係 当 局 の 体 制 強<br />

化 等 を 進 める。<br />

○ 外 国 人 看 護 師 ・ 介 護 福 祉 士 の 受 入 れ<br />

・ 経 済 連 携 協 定 に 基 づく 看 護 師 ・ 介 護 福 祉 士 候 補 者 受 入 れについて、イ<br />

ンドネシア 及 びフィリピンからの 受 入 れに 加 えて、 来 年 度 からベトナ<br />

ムからの 受 入 れを 開 始 するとともに、 今 後 の 受 入 れ 拡 大 に 関 して 検 討<br />

を 続 ける。<br />

2. 海 外 市 場 獲 得 のための 戦 略 的 取 組<br />

世 界 の 膨 大 なインフラ 需 要 を 積 極 的 に 取 り 込 むため、 在 留 邦 人 や 日 系 企 業 等 の 安<br />

い<br />

全 対 策 を 強 化 しつつ、 日 本 の「 強 みのある 技 術 ・ノウハウ」を 最 大 限 に 活 かして、<br />

2020 年 に「インフラシステム 輸 出 戦 略 」( 本 年 5 月 17 日 「 経 協 インフラ 戦 略 会 議 」<br />

決 定 )で 掲 げた 約 30 兆 円 ( 現 状 約 10 兆 円 )のインフラシステムの 受 注 目 標 を 達 成<br />

する。 加 えて、 在 外 公 館 、 政 府 関 係 機 関 などを 有 効 に 活 用 しつつ、 世 界 に 通 用 する<br />

技 術 や 意 欲 を 持 つ 中 堅 ・ 中 小 企 業 等 の 支 援 や 戦 略 的 なクールジャパンの 推 進 など 我<br />

い<br />

が 国 の 優 位 性 を 最 大 限 に 活 かし 海 外 市 場 獲 得 を 図 る。<br />

その 際 、 新 興 国 については、 対 象 となる 市 場 の 経 済 発 展 の 度 合 い、 我 が 国 企 業 の<br />

進 出 の 程 度 、 競 合 国 企 業 との 競 争 環 境 等 を 勘 案 し、 以 下 の3つの 地 域 ごとに 市 場 開<br />

拓 目 標 を 定 め、 官 民 一 体 となった 市 場 開 拓 に 取 り 組 む。<br />

< 中 国 、ASEAN 等 ><br />

・ 既 に 日 系 企 業 によるサプライチェーンが 構 築 され、 消 費 市 場 が 成 長 し<br />

てきていること 等 を 踏 まえ、ビジネス 環 境 改 善 と 新 規 分 野 進 出 支 援 を<br />

実 施 する。 具 体 的 には、 東 アジア・アセアン 経 済 研 究 センター(ERIA)<br />

を 活 用 し、 東 アジア 経 済 共 同 体 構 築 を 目 指 しつつ、 広 域 的 な 道 路 ・ 電<br />

力 網 等 のインフラ 強 靭 化 や 産 業 政 策 ・ 法 制 度 整 備 の 支 援 、 知 財 保 護 強<br />

化 等 を 進 めるほか、 二 国 間 金 融 協 力 を 通 じた 日 系 企 業 の 現 地 通 貨 建 て<br />

資 金 調 達 支 援 等 を 行 う。2020 年 までに「 輸 出 額 及 び 現 地 法 人 売 上 高 」<br />

の 2011 年 比 2 倍 を 目 指 す。<br />

< 南 西 アジア、 中 東 、ロシア・CIS、 中 南 米 地 域 ><br />

・ 市 場 は 大 きいものの、 欧 米 企 業 等 と 比 べて 日 系 企 業 の 進 出 が 相 対 的 に<br />

遅 れていることを 踏 まえ、 有 望 分 野 を 絞 り、 当 該 分 野 で 一 定 のシェア・<br />

存 在 感 を 獲 得 することを 目 指 す。 具 体 的 には、 現 地 産 業 界 とのネット<br />

ワーク 構 築 や 現 地 体 制 の 強 化 を 通 じて、 本 格 的 な 日 系 企 業 の 現 地 進 出<br />

を 支 援 するとともに、 開 発 計 画 や、エネルギー 分 野 への 協 力 を 通 じて、<br />

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二 国 間 経 済 関 係 を 強 化 し、 日 系 企 業 の 進 出 を 後 押 しする。また、 資 源<br />

確 保 の 観 点 から、 投 資 の 拡 大 や 技 術 協 力 等 により、 二 国 間 関 係 の 強 化<br />

を 行 う。これらを 通 じて、2020 年 までに「 輸 出 額 及 び 現 地 法 人 売 上 高 」<br />

の 2011 年 比 2 倍 を 目 指 す。<br />

<br />

・ 欧 米 や 中 国 企 業 等 に 比 べ、 日 系 企 業 の 進 出 は 圧 倒 的 に 遅 れていること<br />

を 踏 まえ、まずは 一 つでも 多 くの 成 功 事 例 を 生 み 出 すことを 目 指 す。<br />

具 体 的 には、TICADⅤの 成 果 も 踏 まえ、 企 業 の 関 心 喚 起 や 進 出 機 会 の 創<br />

出 、 日 本 の 認 知 度 向 上 、 資 源 分 野 での 貿 易 投 資 促 進 、インフラの 整 備 、<br />

産 業 人 材 育 成 等 を 実 施 する。また、 現 地 体 制 の 強 化 や 投 資 協 定 の 締 結<br />

等 を 行 うことにより、2020 年 までに「 輸 出 額 及 び 現 地 法 人 売 上 高 」の<br />

2011 年 比 3 倍 を 目 指 す。<br />

1インフラ 輸 出 ・ 資 源 確 保<br />

「インフラシステム 輸 出 戦 略 」を 迅 速 かつ 着 実 に 実 施 する。<br />

○トップセールスの 実 行 と 官 民 連 携 体 制 の 強 化<br />

・ 首 脳 をはじめとした 閣 僚 レベルによるトップセールスを 毎 年 10 件 以<br />

上 実 施 する。その 際 、 府 省 間 ・ 官 民 連 携 の 司 令 塔 として 重 点 国 タスク<br />

フォースを 活 用 し、オールジャパンでの 総 合 調 整 ・ 売 り 込 みを 行 う。<br />

○ 経 済 協 力 の 戦 略 的 な 活 用<br />

・ 経 済 分 野 での 国 際 展 開 の 支 援 、 好 ましい 国 際 環 境 の 構 築 及 び 人 間 の 安<br />

全 保 障 の 推 進 の3 本 柱 を 踏 まえた 戦 略 的 ODA を 展 開 する。<br />

・ 日 本 の 優 れた 技 術 ・ノウハウを 開 発 途 上 国 に 提 供 し、 新 興 国 の 成 長 を<br />

取 り 込 み 日 本 経 済 の 活 性 化 につながるよう、 本 年 4 月 発 表 の「 円 借 款<br />

の 戦 略 的 活 用 のための 改 善 策 について」の 各 施 策 を 推 進 するとともに、<br />

引 き 続 き 改 善 策 を 検 討 する。<br />

・ また、 日 本 企 業 や 自 治 体 によるインフラ 等 の 輸 出 を 拡 大 するため、 広<br />

域 開 発 プロジェクトの 早 期 段 階 から 技 術 協 力 や 無 償 資 金 協 力 も 活 用 し<br />

ながら 相 手 国 政 府 と 連 携 し、 円 借 款 ・ 海 外 投 融 資 等 を 戦 略 的 に 活 用 す<br />

る。<br />

○ 公 的 ファイナンススキームの 充 実<br />

・ 我 が 国 企 業 の 海 外 インフラプロジェクトへの 参 画 を 促 進 する。このた<br />

め、 民 間 の 保 険 では 提 供 できないテロ・ 戦 争 等 によるリスクや、 我 が<br />

国 企 業 の 海 外 子 会 社 による 第 三 国 向 け 技 術 提 供 や 投 資 に 係 るリスクを<br />

新 たに 対 象 とする 貿 易 保 険 制 度 の 改 正 について、 早 期 に 検 討 を 進 め 必<br />

要 な 法 制 上 の 措 置 等 を 講 ずる。さらに、 海 外 に 進 出 する 日 本 企 業 の 現<br />

地 通 貨 調 達 の 円 滑 化 を 推 進 するため、JBIC・NEXI(※)による 現 地 通<br />

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貨 建 てファイナンス 支 援 を 強 化 する。<br />

※ 独 立 行 政 法 人 日 本 貿 易 保 険 をいう。<br />

○ 二 国 間 オフセット・クレジット 制 度 【 再 掲 】<br />

○ 先 進 的 な 技 術 ・ 知 見 等 を 活 用 した 国 際 標 準 等 の 獲 得 及 び 認 証 基 盤 の 整 備 、<br />

新 たなフロンティアとなる 分 野 への 進 出 支 援<br />

・ スマートグリッド・ 省 エネインフラ 等 、 我 が 国 が 強 みを 有 する 分 野 の<br />

国 際 標 準 を 先 導 するために、 東 南 アジア 諸 国 を 中 心 とした 新 興 国 標 準<br />

機 関 との 連 携 を 進 める。また、ODA を 活 用 した 我 が 国 仕 様 に 基 づくデ<br />

ファクト・スタンダードの 普 及 獲 得 を 目 指 し、 制 度 構 築 支 援 の 対 象 国<br />

の 拡 大 を 図 っていく。<br />

・ スマートグリッド、 大 型 風 力 発 電 等 の 分 野 においては、 国 内 に 国 際 的<br />

に 通 用 する 認 証 基 盤 を 整 備 するとともに、 海 外 生 産 拠 点 において、 国<br />

内 同 様 の 認 証 サービスが 提 供 されるよう、 技 術 協 力 により 我 が 国 認 証<br />

機 関 の 海 外 進 出 を 促 進 する。<br />

・ 医 療 、 農 業 、 宇 宙 、 海 洋 等 、 新 たなフロンティアとなる 分 野 でのイン<br />

フラシステム 展 開 を 支 援 する。<br />

○ 安 定 的 かつ 安 価 な 資 源 の 確 保 の 推 進<br />

・ エネルギー・ 鉱 物 資 源 の 確 保 に 向 けて、「 燃 料 調 達 コスト 引 下 げに 向<br />

けた 当 面 のアクションプラン」も 踏 まえ、 北 米 からの LNG 輸 入 実 現 に<br />

向 けた 取 組 を 継 続 するとともに、リスクマネー 供 給 等 による 供 給 源 の<br />

多 角 化 を 進 める。また、「 日 アフリカ 資 源 開 発 促 進 イニシアティブ」<br />

の 着 実 な 実 施 、 本 年 9 月 の「 第 2 回 LNG 産 消 会 議 」を 通 じた LNG 消 費<br />

国 の 連 携 強 化 、LNG 先 物 市 場 についての 検 討 等 を 進 める。<br />

・ 資 源 権 益 の 更 新 ・ 新 規 獲 得 のため、 資 源 国 に 対 し、 技 術 協 力 ( 相 手 国<br />

政 府 が 一 部 負 担 する ODA 卒 業 国 等 を 対 象 としたコスト・シェア 技 術 協<br />

力 を 含 む。) 等 の 幅 広 い 分 野 で 協 力 関 係 を 強 化 する。<br />

2 潜 在 力 ある 中 堅 ・ 中 小 企 業 等 に 対 する 重 点 的 支 援<br />

高 い 技 術 力 を 持 っていたり、 販 路 等 優 良 なビジネスモデルを 確 立 している 世<br />

界 市 場 で 十 分 に 勝 負 できる「 潜 在 力 」を 持 つ 中 堅 ・ 中 小 企 業 等 (サービス 業 を<br />

含 む。)の 輸 出 額 を 2020 年 までに、2010 年 比 で2 倍 に 伸 ばすため、 業 態 や 企 業<br />

規 模 にかかわらず、 進 出 前 から 進 出 後 まで 一 気 通 貫 で 支 援 する 本 格 的 な 体 制 を<br />

整 備 する。<br />

○ 中 堅 ・ 中 小 企 業 等 (サービス 業 を 含 む) 向 け 海 外 展 開 支 援 体 制 の 強 化<br />

・ 地 域 に 展 開 する 中 小 企 業 支 援 機 関 がインターネット・IT クラウド 等 を<br />

活 用 しつつ 海 外 展 開 に 係 る 相 談 にワンストップで 応 じるとともに、 海<br />

外 展 開 を 支 援 する 機 関 ( 政 府 ・ 公 的 支 援 機 関 、 地 域 経 済 団 体 、 自 治 体<br />

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等 )が 有 機 的 に 連 携 し、 中 堅 ・ 中 小 企 業 等 の 海 外 展 開 に 当 たって、 国<br />

内 から 現 地 まで 一 貫 して 円 滑 な 支 援 を 提 供 できる 仕 組 み(「 海 外 展 開<br />

一 貫 支 援 パスポート( 仮 称 )」)を 年 内 に 構 築 する。<br />

○ 海 外 現 地 における「 海 外 ワンストップ 窓 口 」の 創 設<br />

・ 中 堅 ・ 中 小 企 業 等 及 びサービス 企 業 が 現 地 で 直 面 する 法 務 ・ 労 務 ・ 知<br />

財 問 題 等 に 対 して、 相 談 対 応 を 行 うとともに、 信 頼 できる 弁 護 士 事 務<br />

所 等 の 専 門 組 織 の 紹 介 を 行 う「ワンストップ 窓 口 」を 今 夏 までに 10<br />

箇 所 設 置 し、 適 宜 拡 充 していく。<br />

○アジアの 金 融 インフラ 整 備 支 援<br />

・ 中 堅 ・ 中 小 企 業 等 の 海 外 活 動 に 対 する 円 滑 な 資 金 供 給 の 確 保 等 のため、<br />

アジア 諸 国 に 対 し 金 融 インフラ( 法 制 度 や 決 済 システム 等 ) 整 備 の 技<br />

術 支 援 を 促 進 する。<br />

○ 我 が 国 企 業 の 人 材 の 育 成 とグローバル 化 の 推 進<br />

・ 「 国 際 即 戦 力 人 材 」 育 成 のため、 日 本 での 研 修 経 験 者 の 人 脈 (AOTS<br />

同 窓 会 等 )や JETRO、 民 間 企 業 の 協 力 を 通 じ 戦 略 的 に 選 定 した 政 府 系<br />

機 関 や 現 地 企 業 等 に 我 が 国 企 業 の 若 手 人 材 を 現 地 進 出 の 先 遣 隊 とし<br />

て 派 遣 する。また、JICA においては、「 民 間 連 携 ボランティア」とし<br />

て 民 間 企 業 の 人 材 を 企 業 ニーズを 踏 まえつつ、 途 上 国 に 派 遣 すること<br />

等 で 企 業 の 海 外 展 開 に 必 要 な 人 材 育 成 を 支 援 する。さらに 我 が 国 企 業<br />

の 現 地 の「 社 長 の 右 腕 ・ 実 務 のトップ」を 育 成 するため、 我 が 国 への<br />

受 入 研 修 、 現 地 への 専 門 家 派 遣 の 支 援 及 び 現 地 工 業 大 学 等 との 連 携 強<br />

化 を 推 進 する。<br />

○ 国 内 外 人 材 の 活 用 による 企 業 の 海 外 展 開 支 援<br />

・ 海 外 進 出 に 意 欲 ある 中 堅 ・ 中 小 企 業 にシニア 人 材 派 遣 を 行 い、 海 外 展<br />

開 ノウハウの 不 足 を 補 完 することで、 中 堅 ・ 中 小 企 業 の 海 外 展 開 を 促<br />

進 する。また、 我 が 国 に 来 ている 外 国 留 学 生 の 就 職 あっせん 支 援 ( 年<br />

間 1 万 人 の 外 国 人 留 学 生 の 我 が 国 での 就 職 を 目 指 す。) 等 、 外 部 人 材<br />

活 用 支 援 を 推 進 する。<br />

○ODA を 活 用 した 中 小 企 業 等 の 海 外 展 開 支 援<br />

・ 新 たに ODA を 活 用 し、 新 興 国 等 途 上 国 政 府 の 事 業 を 対 象 に、 我 が 国 中<br />

小 企 業 等 の 優 れた 製 品 を 使 った 技 術 協 力 を 本 格 始 動 する。<br />

3クールジャパンの 推 進<br />

伝 統 文 化 ・ 地 域 文 化 など、 日 本 の 豊 かな 文 化 を 背 景 としたコンテンツ、 日 本<br />

食 ・ 日 本 産 酒 類 などの「 日 本 の 魅 力 」を 効 果 的 に 発 信 し、 産 業 育 成 や 海 外 需 要<br />

の 取 り 込 みに 結 実 させるため、クールジャパンを 国 家 戦 略 と 位 置 付 け、 官 民 一<br />

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体 となって 取 組 を 強 化 する。<br />

○ 発 信 力 の 強 化<br />

・ 「クールジャパン 推 進 会 議 」における 提 言 等 を 踏 まえ 策 定 された「ア<br />

クションプラン」に 沿 って、 食 、 日 本 産 酒 類 、ファッション、ものづ<br />

くり、コンテンツ、 伝 統 文 化 等 の 連 携 により、 主 要 な 国 際 会 議 ・イベ<br />

ント 等 において「 日 本 の 魅 力 」を 効 果 的 に 発 信 し、 外 国 人 の 共 感 と 参<br />

加 を 得 て、クールジャパンを 支 える 優 れた「 人 財 」の 育 成 等 を 推 進 す<br />

る。<br />

○( 株 ) 海 外 需 要 開 拓 支 援 機 構 ( 仮 称 )を 活 用 したクールジャパンの 戦 略 的 な 推 進<br />

・ 「 日 本 の 魅 力 」を 産 業 化 に 結 び 付 けていくため、( 株 ) 海 外 需 要 開 拓 支<br />

援 機 構 (クール・ジャパン 推 進 機 構 )( 仮 称 )を 設 立 し、リスクマネー<br />

を 供 給 することにより、クールジャパンを 戦 略 的 に 推 進 していく。<br />

○コンテンツ 等 の 海 外 展 開 の 促 進<br />

・ 2018 年 までに 放 送 コンテンツ 関 連 海 外 市 場 売 上 高 を 現 在 の 約 3 倍 に<br />

増 加 させる( 現 在 63 億 円 )。<br />

・ コンテンツの 権 利 処 理 を 円 滑 化 するため、 映 像 コンテンツ 権 利 処 理 機<br />

構 (aRma)の 機 能 強 化 等 による 権 利 処 理 一 元 化 窓 口 の 整 備 、 事 前 に 海<br />

外 展 開 も 含 めた 許 諾 を 得 る 権 利 処 理 契 約 を 促 進 するとともに、コンテ<br />

ンツ 情 報 ポータルサイト Japacon の 機 能 強 化 等 による 権 利 情 報 管 理 ・<br />

権 利 処 理 ・ 情 報 発 信 を 集 中 化 する 一 元 化 窓 口 の 整 備 、 海 外 展 開 を 含 め<br />

た 権 利 処 理 契 約 の 促 進 等 を 図 る。<br />

・ ( 株 ) 海 外 需 要 開 拓 支 援 機 構 ( 仮 称 )や「ジャパン・コンテンツ 海 外<br />

展 開 事 務 局 (J-LOP)」 等 を 中 心 に、コンテンツのローカライズ( 字 幕 ・<br />

吹 き 替 え・ 現 地 規 格 への 対 応 等 ) 支 援 の 本 格 化 、 将 来 のビジネス 展 開<br />

を 見 据 え 現 地 のニーズに 合 わせた 海 外 放 送 局 との 国 際 共 同 製 作 支 援<br />

の 大 規 模 化 等 海 外 向 けコンテンツの 制 作 支 援 の 強 化 、 海 外 市 場 へのプ<br />

ロモーションの 強 化 、 海 賊 版 対 策 の 抜 本 的 強 化 、 海 外 放 送 局 のチャン<br />

ネルや 放 送 枠 ・ 配 信 サイトなどの 日 本 コンテンツの 流 通 チャネルの 確<br />

保 等 を 図 る。<br />

○ 日 本 食 、 食 文 化 の 海 外 展 開 ・ 日 本 産 酒 類 の 輸 出 促 進<br />

・ 農 林 水 産 物 ・ 食 品 の 輸 出 拡 大 【 再 掲 】<br />

・ 日 本 産 酒 類 については、2020 年 までの 輸 出 額 の 伸 び 率 が 農 林 水 産 物 ・<br />

食 品 の 輸 出 額 の 伸 び 率 を 上 回 ることを 目 指 し、 国 際 イベント、 外 交 上<br />

のレセプション・ 会 食 、 主 要 な 国 際 空 港 、「 酒 蔵 ツーリズム」などを<br />

通 じた 発 信 に 取 り 組 むとともに、 日 本 食 とも 連 動 した 効 果 的 な 商 談 会<br />

の 実 施 などにより 海 外 での 販 路 を 充 実 させ、 官 民 連 携 による 輸 出 の 増<br />

加 を 図 る。このため、「 日 本 産 酒 類 の 輸 出 促 進 連 絡 会 議 」を 活 用 し、<br />

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総 合 的 な 輸 出 環 境 整 備 を 進 める。<br />

○ 海 外 広 報 体 制 の 強 化<br />

・ 政 府 一 体 となった 国 際 広 報 活 動 を 強 化 することを 目 的 に 本 年 4 月 か<br />

ら 開 催 されている「 国 際 広 報 強 化 連 絡 会 議 」を 最 大 限 に 活 用 し、クー<br />

ルジャパンやビジット・ジャパン、インベスト・ジャパン 等 の 施 策 に<br />

ついて 各 省 庁 の 広 報 機 会 ・コンテンツ 等 を 共 有 するなど、 海 外 広 報 を<br />

強 化 する。<br />

○ 訪 日 プロモーションに 関 する 省 庁 ・ 関 係 機 関 の 横 断 的 計 画 策 定 と 実 行<br />

【 再 掲 】<br />

3. 我 が 国 の 成 長 を 支 える 資 金 ・ 人 材 等 に 関 する 基 盤 の 整 備<br />

国 内 のあらゆる 企 業 や 人 材 がグローバル 経 済 の 利 益 を 享 受 できる 環 境 を 整 備 する<br />

とともに、 海 外 の 優 れた 人 材 や 技 術 を 日 本 に 呼 び 込 み、 雇 用 やイノベーションの 創<br />

出 を 図 るため、 日 本 国 内 の 徹 底 したグローバル 化 を 進 める。2020 年 における 対 内 直<br />

接 投 資 残 高 を 35 兆 円 へ 倍 増 (2012 年 末 時 点 17.8 兆 円 )することを 目 指 す。<br />

また、 我 が 国 企 業 による 内 外 一 体 のグローバルな 経 済 活 動 を 下 支 えするため、 分<br />

厚 いグローバル 人 材 層 の 育 成 ・ 活 用 や、 海 外 からの 高 度 人 材 の 積 極 的 な 受 入 れ 等 を<br />

促 進 する。<br />

1 対 内 直 接 投 資 の 活 性 化<br />

○ 特 区 制 度 の 抜 本 的 改 革<br />

・ 海 外 の 資 金 や 技 術 等 を 更 に 我 が 国 に 呼 び 込 むため「 国 家 戦 略 特 区 」を<br />

活 用 し、 世 界 で 一 番 企 業 が 活 動 しやすいビジネス 環 境 を 整 備 していく。<br />

こうした 環 境 整 備 は 海 外 に 移 転 した 日 系 企 業 の 国 内 回 帰 にも 繋 がる。<br />

○ 政 府 の 外 国 企 業 誘 致 ・ 支 援 体 制 の 抜 本 強 化<br />

・ グローバル 企 業 のエグゼクティブ 層 と 同 等 の 目 線 に 立 ち、 個 社 の 経 営<br />

戦 略 を 踏 まえて 有 望 な 外 国 企 業 を 発 掘 ・ 誘 致 するため、JETRO におけ<br />

る 産 業 スペシャリスト 機 能 の 強 化 、グローバル 企 業 向 けの 支 援 措 置 の<br />

整 備 等 を 通 じて 誘 致 体 制 を 強 化 する。<br />

・ 我 が 国 への 投 資 計 画 の 策 定 に 必 要 な 制 度 ・ 行 政 手 続 等 に 関 する 相 談 や<br />

規 制 改 革 要 望 を JETRO が 一 括 して 受 け 付 け、 関 係 府 省 庁 との 連 携 のも<br />

とに 個 別 に 対 応 するなど、 外 国 企 業 に 対 する 包 括 的 なサポート 体 制 を<br />

強 化 する。<br />

○ 国 際 会 議 等 (MICE) 誘 致 体 制 の 構 築 ・ 強 化 【 再 掲 】<br />

○ 高 度 外 国 人 材 の 活 用 【 再 掲 】<br />

2グローバル 化 等 に 対 応 する 人 材 力 の 強 化 【 再 掲 】<br />

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