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報文 教材としての原生動物(3)―ゾウリムシⅡ

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122原 生 動 物 学 雑 誌 第 38 巻 2005 年図 10 電 圧 と 遊 泳 速 度 の 関 係 ( 生 徒 実 験 の 例 )図 11 電 圧 と 方 向 転 換 に 要 する 時 間 の 関 係 ( 生 徒実 験 の 例 )いて 2 mm を 泳 ぐのに 要 する 時 間 を 測 定 した。 実 験に 際 して 厳 密 さを 要 求 するならば、1 組 成 のわかった 塩 類 溶 液 を 用 いる、2 長 時 間 通 電 すると“ 慣 れ”や 電 気 分 解 の 影 響 がでるので 通 電 時 間 を 短 くしたりゾウリムシを 途 中 で 取 り 替 えるなどの 配 慮 が 必 要 である。生 徒 実 験 の 結 果 を 図 10 及 び 11 に 示 した。 実 験 液として 0.01%クノップ 液 (0.24 mM Ca(NO 3 ) 2 , 0.14mM KNO 3 , 0.06 mM MgSO 4 , 0.08 mM K 2 HPO 4 )を 用い、 室 温 28℃で 行 った。 遊 泳 速 度 および 方 向 転 換 に要 する 時 間 の 測 定 を、 各 電 圧 7 個 体 ずつ 実 施 するのに 約 2 時 間 を 要 した。 遊 泳 速 度 は、 電 圧 を 次 第 に 高めていくとあるところまでは 遊 泳 速 度 が 増 すが、さらに 高 くすると 繊 毛 逆 転 領 域 が 広 くなっていくので首 を 大 きく 振 りながら 前 進 し、 結 果 としては 遊 泳 速度 が 遅 くなる。 生 徒 の 結 果 ( 図 10)でそのことが 明瞭 でないのは、 個 体 差 やばらつきが 多 いのが 原 因 であろう。したがって、データー 数 を 多 くするなどの工 夫 が 必 要 であると 同 時 に、 速 度 測 定 だけでなく、各 電 圧 での 泳 ぎの 様 態 も 詳 しく 観 察 し 記 録 するなどすると、さらに 考 察 が 深 まるものと 思 われる。それに 対 し、 方 向 転 換 に 要 する 時 間 は、 電 圧 とともに 短くなりばらつきも 少 ない 結 果 になっている( 図11)。これは、 回 転 トルクが 電 圧 に 比 例 して 大 きくなることを 表 していると 考 えられる。他 の 電 気 走 性 実 験 の 報 告 としては、ガラス 管 を 利用 した 装 置 によるもの( 石 原 ・ 山 上 1983)、スライドガラスを 2 枚 はり 合 わせて 水 槽 様 の 容 器 を 作 りスライド・プロジェクターで 全 員 で 観 察 する 装 置 を 工夫 したもの( 石 野 道 男 ほか 1972)、また、ミドリゾウリムシの 緑 色 に 注 目 し、 白 い 紙 を 下 に 敷 いて 陰 極に 移 動 する 様 子 や 電 極 付 近 が 緑 色 になることを 肉 眼で 直 接 観 察 するもの( 高 野 1986) がある。図 12 重 力 走 性 を 調 べるための 器 具 内 径 4 mmのガラス 管 の 一 端 を 閉 じて 試 験 管 様 にし、 正 立 したものと 倒 立 したものを 2 本 1 組 で 利 用 することで、 重 力 走 性 か 酸 素 に 対 する 化 学 走 性 かを 考 えさせる。スタンドは 針 金 を 曲 げて 作 製 した。重 力 走 性ゾウリムシの 走 性 実 験 が 少 ない 中 で、3 社 の 教 科 書が 重 力 走 性 を 取 り 上 げ、 探 究 的 に 考 察 させようとしているのは 特 徴 的 である。まず、「 培 養 器 ではどうして 上 層 に 集 まるか?」の 問 題 提 起 をし、1 酸 素 仮説 ( 酸 素 に 対 する 正 の 化 学 走 性 )、2 浮 力 仮 説 ( 比重 が 水 よりも 小 さいことによる)、3 重 力 走 性 仮 説などを 考 察 させる。1については、 試 験 管 に 空 気 が入 らないように 液 を 満 たしゴム 栓 をしても 上 方 に 集まること、2については、 手 回 し 遠 心 器 で 沈 むことや NiCl 2 、エタノールで 運 動 を 停 止 させると 下 方 に 沈むことの 検 証 実 験 から 可 能 性 を 否 定 し、 重 力 仮 説 は重 力 のない 宇 宙 空 間 やスペースシャトルなら 確 認 が可 能 であることが 述 べられている。また、ケーラーの 実 験 ( 鉄 粉 を 食 べさせ、 磁 石 でひきつけると 反 対

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