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修士論文 - 東北大学

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歯科衛生や予防を含めた歯科保健活動を通じて、人々の健康を支援する役割と<br />

記されている。しかしこれらの定義に示されているのとは異なり、歯科衛生士<br />

国家試験出題基準は、対象の個や集団を捉えるというよりは、3 つの業について<br />

それぞれの専門性や技術を習得するように記されている。またそれぞれが単独<br />

であり対象である人間そのものを捉える概念が描かれていない。歯科衛生士に<br />

ついては平成 22 年より、従来の歯科診療所内での業務から、介護・福祉・保健<br />

分野へ広がり業務内容が多様化・複雑化していること、それに伴いより高い資<br />

質の向上を目指し、法律の改正により歯科衛生士養成校修業年限が 3 年以上と<br />

なった。今回分析した平成 23 年度歯科衛生士国家試験出題基準は、全受験生が<br />

3 年制教育へ移行したことに合わせて作られ、問題数も 20 問増加している。平<br />

成 19 年度歯科衛生士国家試験出題基準と比較すると、明らかに抽出言語間の繋<br />

がりが増えた。これは歯科衛生士業務の手技を中心とした単独の項目の集合体<br />

から、口腔に関わる多くの事象を大きな塊として捉える概念に変化したことを<br />

意味する。<br />

歯科衛生士の専門教育内容の解析を通して、以下の問題点を総括的に挙げる<br />

ことが考えられる。<br />

1)技術論が中心で、中心となる哲学がない<br />

歯科衛生士概論では、歯科衛生士の歴史や業務内容、養成状況、就業状況な<br />

どが入っている。また「歯科衛生士業務のプロセス」項目の中で情報収集、問<br />

題整理と計画立案、実施と評価、業務記録などが含まれるが、これらの項目を<br />

形だけ追って順番を覚える程度にしか教わっていないし、看護過程の教本を使<br />

っており「歯科衛生の哲学」というものは見られない。<br />

2)患者・地域のキーワードが少ない<br />

患者というキーワードは全て、治療とだけ結び付いた表現になっている。患<br />

者=治療するものの図式に止まっている。<br />

3)連携を推進するキーワードが少ない<br />

歯科衛生士概論の中では、チーム医療についての項目があり、多職種との連<br />

携の項目がある。障害者の理解と歯科治療の大項目の中に、障害者の摂食・嚥<br />

下リハビリテーションの項目があり、多職種連携と記載されている。また高齢<br />

者の理解と歯科治療の大項目の高齢者の摂食・嚥下とリハビリテーションの項<br />

目にも多職種連携と記載されている。この連携を表すキーワードはこの 3 つの<br />

項目のみである。つまり歯科医師を始めとした歯科専門職を中心に業務が進め<br />

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