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修士論文 - 東北大学

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れ、患者に実習をさせていただいている立場であることを、学生だけでなく病<br />

院職員の態度からも感じる事が少なかった。口腔を中心とした教育から、対象<br />

者を丸ごと捉えて中心に据えて考える教育へのシフトが必要だと考える。<br />

歯科衛生学教育コア・カリキュラム 40) の中では、歯科衛生士概論の大項目の中<br />

に、歯科衛生学総論と、歯科衛生過程とかが明記された。しかし、『歯科衛生<br />

士固有の特性は、口腔保健に関する専門知識と技能および歯科医学的知識と技<br />

能であり、きめ細かな技能を修得するという意味において歯科医学教育と区別<br />

する固有の特性があると考える。また、歯科医学教育と区別する固有の特性と<br />

して介護や看護の知識と技能が挙げられる。』 と記されている。歯科医学教育<br />

との区別を考える点で、歯科衛生学としての学問が確立出来ていないのが現実<br />

である。これを踏まえても今後、対象者とする人間全てを丸ごと捉える観察力<br />

と、歯科衛生過程を立案実施出来る能力を鍛え、歯科衛生士の研究力も身につ<br />

けていく必要がある。歯科衛生士の行うきめ細かな技能に、自ら科学的根拠を<br />

見つけ発表する力も必要である。<br />

今回の研究では、アンケートの対象者が、歯科医科連携の実践者が多く、歯<br />

科と医科や看護との連携の必要性を、より強く感じている可能性が考えられる。<br />

研究参加者が他方の職種とほとんど関わることのない職場に勤務している場合<br />

は、また違った見解が得られるかもしれない。また、国家試験出題基準の比較<br />

では、そもそも双方の専門性が異なる中での比較であり、国家資格としての業<br />

や業務に関わる指示系統の違いが考慮されるべきである。今回は「有病者や要<br />

介護者に関わる二つの専門職種の協働」の域に絞って検討を重ねた。<br />

そして本研究は、在宅への訪問を実施している歯科衛生士の「どうも看護師<br />

と上手くいかない」や、病院の歯科衛生士の「看護師は忙しくて教えてくれな<br />

い」といった悩みに対する一考となるかもしれない。現在の歯科衛生士は看護<br />

師だけでなく、管理栄養士やセラピストなどの多職種と普段から連携を重ね始<br />

めている。これからの歯科衛生士は、多職種の皆が、対象者(患者や療養者)と<br />

その家族などの影響を及ぼす社会環境全てを考えながら健康や生活の支援を行<br />

っていることに自然と慣れ、うまく専門性を発揮しつつ協調性も持ち合わせて<br />

チームとして機能している一員としての活躍が期待される。ここにスムーズに<br />

移行できるよう、歯科衛生士教育に連携に資する内容を追加してみてはいかが<br />

であろうか。<br />

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