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木村剛『竹中プランのすべて』 このPDFは FinePrint pdfFactory 試用版 ...

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書 評 : 木 村 「 竹 中 プランのすべて」( 最 終 )<br />

て、 本 書 評 も「 新 しい 金 融 行 政 の 枠 組 み」を 徹 底 解 説 している 第 4 章 が 中 心<br />

になる。そこには、 会 計 ・ 監 査 にかかわる 事 項 がもっとも 多 く 登 場 するだけ<br />

に、 評 者 の 関 心 と 焦 点 もそこに 当 てられる。<br />

3 竹 中 3 原 則 -「 金 融 再 生 プログラム」の 本 丸 -<br />

竹 中 が 大 臣 就 任 時 (2002 年 9 月 )に 掲 げた、1 資 産 査 定 の 厳 格 化 、2 自 己<br />

資 本 の 充 実 、3ガバナンスの 強 化 、この3つの 原 則 は 世 に「 竹 中 3 原 則 」と<br />

よばれる。こ の3 原 則 がずばりそのままの 形 で 織 り 込 まれているのが、○Ⅲ「 新<br />

しい 金 融 行 政 の 枠 組 み」である。マスコミの 目 も、したがって、ここに 集 中<br />

する。 既 に 述 べたように、 木 村 が 熱 っぽく 解 説 する 第 4 章 「『 新 しい 金 融 行 政<br />

の 枠 組 み』とは 何 か」は、 本 書 の 中 心 部 分 であり、また 評 者 がもっとも 関 心<br />

をもつところである。<br />

(1) 資 産 査 定 の 厳 格 化 - 個 別 引 当 金 問 題 -<br />

竹 中 3 原 則 の1 番 目 、「 資 産 査 定 の 厳 格 化 」では5つあげられているが、<br />

特 に 重 要 なのは「(ア) 資 産 査 定 に 関 する 基 準 の 見 直 し」である。それは1D<br />

CF 的 手 法 の 導 入 、2 引 当 金 算 定 期 間 の 見 直 し、3 債 務 者 区 分 の 統 一 、4デ<br />

ット・エクィイティ・スワップの 時 価 評 価 、5 再 建 計 画 の 検 証 、6 担 保 評 価<br />

の 厳 正 な 検 証 、の6 項 目 からできており( 厳 格 化 の「6 大 武 器 」)、 会 計 事 項<br />

が 多 く 関 わるところでもある。<br />

まず、6 大 武 器 のなかでも 目 玉 と 言 われる「DCF 的 手 法 」の 導 入 をみて<br />

おきたいが、 個 別 引 当 の 是 非 問 題 それ 自 体 (マスコミがいうところの「 森 ・<br />

木 村 対 決 」)は、あとでも 触 れるが 官 僚 の「 不 作 為 という 名 の 作 為 」ともかか<br />

わって 興 味 深 いところである(258-61 頁 )。さて、DCF 的 手 法 とは、 貸 出<br />

債 権 の 評 価 ( 割 引 現 在 価 値 )の 方 法 であるが、 将 来 キャッシュフロー( 分 子 )<br />

を 割 引 率 ( 分 母 )で 現 在 価 値 に 割 引 くものである。やや 専 門 的 ( 会 計 理 論 )<br />

になるが、 分 母 側 の 割 引 率 をどう 扱 うかが、 実 は 時 価 会 計 とこれまでの 原 価<br />

評 価 の 枠 組 みとの 分 かれ 目 になる 1 。<br />

今 回 のDCF 的 手 法 は、 昨 年 末 の 12 月 26 日 に 日 本 公 認 会 計 士 協 会 が 出 し<br />

た「 銀 行 等 金 融 機 関 において 貸 倒 引 当 金 の 計 上 方 法 としてキャッシュ・フロ<br />

ー 見 積 法 (DCF 法 )が 採 用 されている 場 合 の 監 査 上 の 留 意 事 項 」( 公 開 草 案 )<br />

に 詳 しく 記 されているが、そこでは 要 するに 時 価 会 計 ではなく、これまでの<br />

原 価 評 価 の 枠 内 の 扱 いになっている。それは、 草 案 の 幾 分 長 いタイトルでの<br />

「キャッシュ・フロー 見 積 法 (DCF 法 )」という 書 き 方 に 表 れている。<br />

簡 単 に 言 えば、 分 母 側 には 測 定 時 点 でのリスク(リスクプレミアム)は 反<br />

映 されず、 分 子 側 の 将 来 キャッシュフローの 見 積 に 焦 点 があてられている<br />

ということである 2 。<br />

木 村 は、そのことをよく 知 っていて、「 現 行 の 会 計 ルールに 基 づく 限 り、<br />

貸 出 債 権 の 評 価 は 原 価 法 に 基 づくと 定 められています。 時 価 会 計 ではないの<br />

です。…DCF 的 手 法 の 影 響 は、この『 将 来 キャッシュフロー』をいかに 厳<br />

格 に 見 積 もるかということにかかってくるのです」( 266 頁 )と 述 べている。<br />

1 この 点 については、 拙 稿 「 減 損 会 計 と 利 益 計 算 の 構 造 」(『 企 業 会 計 』2001 年<br />

11 月 号 、9 頁 および 注 19)、 拙 稿 「 割 引 現 在 価 値 と 会 計 配 分 」(『 経 営 研 究 』 第<br />

53 巻 第 3 号 、2002 年 11 月 、 第 4 節 )、 拙 稿 「 企 業 会 計 のハイブリッド 構 造 」(『 会<br />

計 』 2003 年 1 月 号 、6 頁 、9-10 頁 )を 参 照 。<br />

2 この 点 について 本 年 1 月 に 公 開 草 案 への 意 見 として 若 干 の 私 見 を 送 った( 協 会<br />

のリサーチ・センター 調 査 第 一 課 )。キャッシュ・フロー 見 積 法 については、 前<br />

掲 拙 稿 「 割 引 現 在 価 値 と 会 計 配 分 」 第 4 節 および 注 14 参 照 。<br />

- 2 -<br />

このPDFは <strong>FinePrint</strong> <strong>pdfFactory</strong> 試 用 版 で 作 成 されました http://www.nsd.co.jp/share/

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