木村剛『竹中プランのすべて』 このPDFは FinePrint pdfFactory 試用版 ...
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書 評 : 木 村 「 竹 中 プランのすべて」( 最 終 )<br />
......<br />
金 資 産 については、その 資 本 性 が 脆 弱 であるため、 自 己 資 本 比 率 規 制 におけ<br />
...........<br />
る 取 扱 については、 会 計 指 針 の 趣 旨 に 即 って その 資 産 性 を 厳 正 に 評 価 すると<br />
ともに、 算 入 上 限 についても 速 やかに 検 討 する」( 傍 点 は 引 用 者 )の 傍 点 箇 所<br />
が 重 要 なところである。「 資 本 性 が 脆 弱 → 資 産 性 の 厳 正 評 価 」ではあるが、「 資<br />
産 性 があやしい→ 資 本 性 が 問 題 」というのが 筋 道 だろう( 借 方 の 資 産 性 問 題<br />
→ 貸 方 の 資 本 性 問 題 )。<br />
そこで、(ウ)の 繰 延 税 金 資 産 の 合 理 性 の 問 題 になるわけだが、「 主 要 銀 行 の<br />
.....<br />
経 営 を 取 り 巻 く 不 確 実 性 が 大 きいことを 認 識 し、 翌 年 度 を 超 える 将 来 時 点 の<br />
...........................<br />
課 税 所 得 を 見 積 もることが 非 常 に 難 しいことを 理 解 した 上 で 、 外 部 監 査 人 に<br />
厳 正 な 監 査 を 求 めるとともに、 主 要 行 の 繰 延 税 金 資 産 が 厳 正 に 計 上 されてい<br />
.......<br />
るかを 厳 しく 監 査 する 」( 傍 点 は 引 用 者 )と 謳 っている。<br />
ここで、 木 村 の 次 の 発 言 が 今 回 の 問 題 とつながる。その 点 で 重 要 であるの<br />
で、やや 長 くなるが、 引 用 しよう。すなわち、「 要 するに、さりげなく、 繰 延<br />
税 金 資 産 の 自 己 資 本 への 算 入 は、1 年 以 上 は 非 常 に 難 しいと 言 っているわけ<br />
です。じつはこれ、 現 行 の 会 計 ルール 通 りなんですけれどね。 無 理 な 収 益 計<br />
画 になっていないか。 無 理 に 長 い 期 間 を 計 上 していないか。そもそも、いわ<br />
ゆる『 第 4 項 但 書 き』といわれる 例 外 条 項 で5 年 間 計 上 して 本 当 によいのか。<br />
…『 第 4 項 但 書 き』が2 年 連 続 で 適 用 されるなんてことが 本 当 に 可 能 なのか。<br />
........<br />
などということについて、 疑 問 を 提 示 しているわけです。 特 に、この3 月 期<br />
.....<br />
については、こういうことについて、 真 摯 な 議 論 が 必 要 になるはずなんです<br />
ね」( 304 頁 、 傍 点 は 引 用 者 )と。<br />
やや 専 門 的 になるが、ここで「 第 4 項 但 書 き」とは、 日 本 公 認 会 計 協 会 の<br />
「 繰 延 税 金 資 産 の 回 収 可 能 性 の 判 断 に 関 する 監 査 上 の 取 扱 い」( 平 成 11 年 11<br />
月 、 監 査 委 員 会 報 告 第 66 号 )に 記 されているもので、 要 するに、 繰 越 欠 損 金<br />
が「 非 経 常 的 な 特 別 の 原 因 」( リ ストラや 法 令 の 改 正 など)で 発 生 したもので<br />
あれば、5 年 間 まで 回 収 可 能 であると 認 めてよいとする 例 外 規 定 である。 銀<br />
行 の 赤 字 がこうした 特 例 に 該 当 しないのは 明 らかで、その 回 収 可 能 性 は 極 め<br />
てあやしいというのが 妥 当 な 判 断 である。この「 但 書 き」をめぐる 攻 防 は、<br />
明 らかに 銀 行 側 に 不 利 というわけだ。 実 際 、りそな 銀 行 のケースでは、5 年<br />
分 から3 年 分 に 短 縮 された 結 果 、 自 己 資 本 比 率 が 当 初 予 想 していた6% 程 度<br />
から 一 挙 に2% 程 に 低 下 し(グループ 全 体 でも 3.8%)、 国 内 営 業 の 最 低 基 準<br />
の4%を 下 回 ったわけである 9 。<br />
いずれにしても、それはあくまで 現 行 の 会 計 ルールに 則 って 監 査 を 実 行 し<br />
た 結 果 である。その 意 味 で、 当 たり 前 のことが 断 行 されたと 言 うべきであろ<br />
う。「 新 しく 検 討 されている『 算 入 上 限 』によらなくても、 現 行 の 会 計 ルール<br />
をしっかりと 適 用 していくのであれば、 同 じような 結 果 になる( 米 国 流 の<br />
10%ルールの 適 用 - 引 用 者 )ということなんです。これはルール 変 更 でもな<br />
んでもない。 現 行 ルールそのものなのですね」( 306 頁 )、というわけである。<br />
マスコミから「 甘 い 監 査 」、「 手 心 監 査 」、「なれあい 監 査 」などと 揶 揄 されが<br />
ちだが(あたっている 面 もある)、 監 査 業 務 の 核 心 ともいうべき「 監 査 の 独 立<br />
9 この 何 年 分 までの 繰 延 税 金 資 産 を 認 めるかどうかの 攻 防 は(5 年 か3 年 か、は<br />
たまたゼロか)、 実 は 金 融 庁 官 僚 、 銀 行 、 監 査 法 人 の 間 できわめて 政 治 的 な“ 暗<br />
躍 ”があったという 報 道 もなされた(『アエラ』6/2 号 、『 週 間 朝 日 』 6/6 号 、『 週<br />
間 東 洋 経 済 』5/31 号 )。この「 三 位 一 体 」の 関 係 ( 蜜 月 関 係 )が、 今 回 崩 壊 した<br />
わけである。 詳 しくは、 評 者 のHPのインターネット 講 座 のなかで 連 載 中 の「 時<br />
事 会 計 入 門 講 座 」(( No.19「りそなショックと 厳 正 監 査 」) 参 照<br />
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