16.04.2014 Views

分権型社会における自治体経営の刷新戦略 - 総務省

分権型社会における自治体経営の刷新戦略 - 総務省

分権型社会における自治体経営の刷新戦略 - 総務省

SHOW MORE
SHOW LESS

You also want an ePaper? Increase the reach of your titles

YUMPU automatically turns print PDFs into web optimized ePapers that Google loves.

はじめに( 抄 )<br />

「 新 しい 公 共 空 間 」の 形 成 。<br />

今 、 振 り 返 ってみるとこの 言 葉 が、この 研 究 会 の2 年 にわたる 活 動 のキーワードとなり<br />

ました。そもそもの 問 題 意 識 は、これからの 自 治 体 運 営 のあり 方 についての 基 本 となる 新<br />

しい 考 え 方 を 設 定 できないかということでした。<br />

平 成 12 年 の 地 方 分 権 一 括 法 の 施 行 は、 自 治 体 のあり 方 を 原 理 的 に 変 更 しました。 国 か<br />

らの 包 括 的 指 揮 監 督 に 従 う 自 治 体 から、 自 ら 考 えて 実 行 する 自 治 体 に 変 わったのです。 全<br />

国 の 自 治 体 はこの 新 しい 自 治 体 像 に 向 かって 自 らのあり 方 を 前 向 きに 見 直 していくことが<br />

求 められています。ところが 現 状 を 見 ると、 少 子 高 齢 化 による 人 口 減 少 や 国 ・ 地 方 を 通 じ<br />

た 厳 しい 財 政 状 況 が、 自 治 体 関 係 者 に 出 口 のない 閉 塞 感 を 与 えているように 思 います。 自<br />

治 体 をニューパブリックマネジメント(NPM)の 考 え 方 で 改 革 しようとする 動 きが 広 がった<br />

のも、このような 閉 塞 感 の 中 でなんとか 新 しい 自 治 体 運 営 の 理 念 を 求 めようとするところ<br />

からなのでしょう。<br />

この 研 究 会 の 問 題 意 識 は、 住 民 を 顧 客 と 見 る NPM の 考 え 方 を 超 えて、 自 治 体 の 行 政 を 地<br />

域 の 戦 略 本 部 と 位 置 づけ、 住 民 や NPO、 民 間 企 業 など 多 様 な 主 体 と 協 働 して 自 治 体 を 運 営<br />

していくことができないかということです。そのために 必 要 な 条 件 をどのように 整 備 して<br />

いくのかということを 議 論 していこうというのが、この 研 究 会 の 出 発 点 でした。 高 度 成 長<br />

時 代 以 来 、 右 肩 上 がりの 経 済 や 財 源 に 慣 れ、 国 の 指 揮 監 督 の 下 にあったこれまでの 自 治 体<br />

運 営 を、 住 民 に 開 かれた 別 の 原 理 に 転 換 していかなければならないのではないかというこ<br />

となのです。<br />

長 らく 日 本 の 繁 栄 を 支 えてきたいわゆる 団 塊 の 世 代 の 方 々の 職 場 からの 引 退 が 目 前 に<br />

迫 っています。この 活 力 あふれる 世 代 が 大 量 にこれまでの 職 場 から 去 るということは、こ<br />

れからの 日 本 社 会 に 様 々な 影 響 を 与 えるでしょう。 自 治 体 運 営 に 関 して 言 えば、 市 役 所 や<br />

県 庁 などからこの 世 代 が 大 量 に 退 職 することをどう 受 け 止 めていくか、また、 地 域 や 家 庭<br />

に 帰 ってくるこの 世 代 の 人 々に 地 域 の 運 営 にどうやって 参 画 してもらうかが、 大 きな 問 題<br />

となると 思 うのです。<br />

人 が 生 き 生 きとして 地 域 社 会 に 関 わり、また、 自 治 体 運 営 を 持 続 可 能 にしていくために<br />

は、もはや 公 共 を 行 政 のみによって 担 うという 考 え 方 から 脱 しなければなりません。 地 域<br />

の 様 々な 主 体 が 自 治 体 と 協 働 して 公 共 を 担 う「 新 しい 公 共 空 間 」の 形 成 こそが、これから<br />

の 自 治 体 運 営 の 基 本 理 念 となるのではないでしょうか。<br />

この 報 告 書 は、 理 念 を 提 示 するとともに 実 例 をあげることによって、 実 際 の 改 革 の 参 考<br />

にしていただくことを 目 的 としています。 研 究 会 として 厳 しい 自 治 体 運 営 の 現 場 にいささ<br />

かでも 知 的 貢 献 ができることを 願 っています。もちろん 改 革 の 手 法 はそれぞれの 自 治 体 に<br />

ふさわしいものでなければなりませんし、この 報 告 書 にすべての 答 えが 書 いてあるわけで<br />

はありません。ただ、 首 長 のリーダーシップと 職 員 の 危 機 意 識 の 共 有 、 弛 まざる 緊 張 感 ・<br />

危 機 感 が 組 織 全 体 として 共 有 されること、2 年 間 の 議 論 で、これが 自 治 体 改 革 の 必 要 条 件<br />

であるということは 確 信 しています。 地 方 分 権 のもたらす 成 果 が 住 民 に 確 信 を 持 って 語 ら<br />

れるようになることを 目 指 して、 全 国 の 自 治 体 が 勇 気 をもって 改 革 に 望 まれることを 願 っ<br />

てやみません。<br />

分 権 型 社 会 に 対 応 した 地 方 行 政 組 織 運 営 の 刷 新 に 関 する 研 究 会<br />

座 長 岩 崎 美 紀 子

Hooray! Your file is uploaded and ready to be published.

Saved successfully!

Ooh no, something went wrong!