プラズマエレクトロニクス分科会会報 No.56 - 応用物理学会
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国 内 会 議 報 告<br />
2012 年 春 季 第 59 回 応 用 物 理 学 会 関 連 連 合 講 演 会<br />
プラズマエレクトロニクス 分 科 会 チュートリアル 講 演 報 告<br />
東 北 大 学 金 子 俊 郎<br />
応 物 学 会 では,2011 年 秋 季 講 演 会 からチュート<br />
リアル 講 演 を 実 施 しております. 内 容 は 大 学 の 講<br />
義 のスタイルで, 最 近 のトピックスに 繋 がる 基 礎<br />
的 内 容 をこれから 新 たに 学 ぼうとする 学 生 や 企 業<br />
人 を 対 象 として 講 義 を 行 っていただくことが,チ<br />
ュートリアル 講 演 の 趣 旨 となっています.<br />
プラズマエレクトロニクス 分 科 会 では, 今 回 の<br />
2012 年 春 季 講 演 会 から 実 施 することになり,その<br />
第 1 回 目 のチュートリアル 講 演 として,マイクロ<br />
プラズマの 新 領 域 を 立 ち 上 げられ,プラズマ 計 測<br />
の 基 礎 から 最 先 端 のマイクロプラズマや 液 中 プラ<br />
ズマの 応 用 まで 展 開 されている 橘 邦 英 先 生 ( 大 阪<br />
電 気 通 信 大 学 )にお 願 いいたしました.チュート<br />
リアル 講 演 は, 下 記 の 開 催 案 内 にありますように,<br />
学 会 初 日 の 午 前 中 に 設 定 しておりまして,ここで<br />
勉 強 することによって, 午 後 のプラズマエレクト<br />
ロニクス 分 科 会 企 画 のシンポジウム,および 翌 日<br />
以 降 の 一 般 講 演 での 理 解 が 深 まることを 意 図 して<br />
おります.<br />
日 時 :2012 年 3 月 15 日 ( 木 )9:00~12:00<br />
題 目 :マイクロプラズマの 基 礎 と 応 用<br />
講 師 : 橘 邦 英 ( 大 阪 電 気 通 信 大 学 )<br />
概 要 : 大 気 圧 下 の 気 体 や 液 体 中 で 生 成 される mm<br />
以 下 の 大 きさのマイクロプラズマは, 従 来 の 低 圧<br />
気 体 中 で 生 成 されるマクロスケールのプラズマと<br />
は 違 ったプラズマパラメータや, 微 小 空 間 に 起 因<br />
する 外 部 パラメータで 特 徴 づけられる.そのよう<br />
な 特 性 をプラズマ 本 来 の 反 応 性 , 発 光 性 , 導 電 ・<br />
誘 電 性 と 組 み 合 わせることによって,ナノ 材 料 の<br />
合 成 , 微 量 化 学 分 析 ,フォトニックデバイス,さ<br />
らには 環 境 ・バイオ・ 医 療 技 術 等 の 新 しい 応 用 技<br />
術 への 展 開 が 進 められている. 本 講 義 では,マイ<br />
クロプラズマの 特 性 を 分 析 した 上 で, 現 在 の 各 種<br />
マイクロプラズマ 源 とその 応 用 技 術 の 基 礎 につい<br />
て 解 説 し, 将 来 への 発 展 性 について 展 望 する.<br />
当 日 は, 講 演 開 始 30 分 前 から 受 講 者 が 集 まり,<br />
事 前 予 約 と 当 日 参 加 を 含 めて, 定 員 の 70 名 を 上 回<br />
る 約 80 人 の 受 講 者 がおり,チュートリアル 講 演 へ<br />
の 期 待 が 大 きいことを 実 感 いたしました.<br />
講 義 では, 放 電 の 基 礎 から 分 かりやすく 説 明 さ<br />
れ, 特 に 電 子 衝 突 による 励 起 ・ 電 離 における 電 離<br />
係 数 αの 意 味 ,エネルギー 分 布 関 数 の 計 算 例 ,プ<br />
ラズマ 周 波 数 と 分 散 関 係 など, 知 っているつもり<br />
でも 意 外 と 分 かっていない 部 分 もあり, 学 生 はも<br />
ちろんのこと, 教 員 の 立 場 でも 大 変 勉 強 になりま<br />
した.また, 水 中 放 電 プラズマやマイクロプラズ<br />
マの 生 成 法 ・ 測 定 法 について 説 明 されるとともに,<br />
その 応 用 例 についても, 薄 膜 形 成 , 表 面 処 理 , 水<br />
浄 化 処 理 ,さらには 医 療 応 用 で 細 胞 に 対 するプラ<br />
ズマ 照 射 の 効 果 等 , 大 変 興 味 深 い 内 容 で 講 義 して<br />
いただきました.<br />
将 来 展 望 として, 今 後 の 発 展 が 期 待 できる 分 野<br />
を 挙 げていただき, 環 境 応 用 ,バイオ・ 医 療 応 用 ,<br />
新 規 デバイス(メタマテリアル) 開 発 等 がその 候<br />
補 であり, 従 来 の 低 圧 ・ 大 容 量 プラズマで 実 現 で<br />
きないパラメータ 領 域 での 特 性 を 活 用 し,できる<br />
だけ 単 純 化 した 系 での 実 験 を 行 い(モデルとの 比<br />
較 ), 異 なった 系 でも 類 似 性 を 見 出 すことで 物 理 法<br />
則 を 明 らかにする(サイエンスを 構 築 )ことが 重<br />
要 であることを 強 調 されました. 最 後 に,『 新 しい<br />
プラズマ・サイエンスの 領 域 は 創 製 できるか』<br />
との,いまプラズマ 研 究 者 が 直 面 している 極 めて<br />
重 要 な 課 題 を 提 起 していただき, 講 義 を 締 めくく<br />
られました.<br />
3 時 間 という 非 常 に 長 い 時 間 ではありましたが,<br />
その 時 間 を 感 じさせない, 分 かりやすい, 興 味 深<br />
い 講 義 でありました.また, 講 義 で 使 用 するテキ<br />
ストも 大 変 丁 寧 に 作 成 していただきまして, 橘 先<br />
生 の 本 講 義 に 対 する 熱 意 が 伝 わって 参 りました.<br />
あらためまして,ご 講 演 いただきました 橘 先 生<br />
と, 会 場 にお 集 まり 頂 きました 方 々に 感 謝 申 し 上<br />
げます.<br />
講 演 される 橘 先 生 ( 左 )と 受 講 者 ( 右 )<br />
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