プラズマエレクトロニクス分科会会報 No.56 - 応用物理学会

第 10 回 プラズマエレクトロニクス 賞
第 10 回 プラズマエレクトロニクス 賞 について
名 古 屋 大 学
堀 勝
多 数 の 応 募 の 中 から、 本 年 度 の 受 賞 として 次 の
優 れた1 件 を 選 考 しましたので、 報 告 いたします。
受 賞 論 文
論 文 名 Effects of N2–O2 Gas Mixture Ratio on
Microorganism Inactivation in Low-
Pressure Surface Wave Plasma
著 者 名 Ying Zhao, Akihisa Ogino, and
Masaaki Nagatsu
雑 誌 名 Japanese Journal of Applied Physics
50 (2011) 08JF05.
受 賞 者 ( 現 所 属 )
趙 穎 ( 河 南 農 業 大 学 、 中 国 )
荻 野 明 久 ( 静 岡 大 学 )
永 津 雅 章 ( 静 岡 大 学 )
受 賞 理 由
従 来 、プラズマ 滅 菌 の 分 野 においては、プラズ
マを 照 射 して 効 果 を 見 るなどの 現 象 論 的 なアプロ
ーチしかされていなかった。 申 請 者 である 永 津 教
授 を 中 心 とする 本 論 文 著 者 グループは、 励 起 酸 素
原 子 による 芽 胞 菌 のエッチング 現 象 が 確 かに 起 こ
っていることを、 副 産 物 である H2O と CO2 の 四
重 極 質 量 分 析 器 による 直 接 観 測 で 明 らかにした。
また、 酸 素 と 窒 素 のガス 混 合 比 を 変 化 させること
で、 酸 素 ラジカルによるエッチングと、 窒 素 分 子
からの 紫 外 線 照 射 による DNA 損 傷 の 効 果 を 区 別
して 詳 細 に 調 べ、これらの 相 乗 効 果 が 重 要 である
ことも 明 らかにした。プラズマ 滅 菌 ・ 殺 菌 のメカ
ニズムを 詳 細 に 検 証 した 点 が 高 く 評 価 でき、 実 際
の 医 療 関 係 や 食 品 関 係 の 産 業 応 用 の 観 点 からも 極
めて 有 用 な 論 文 である。また、その 他 の 関 連 論 文
もプラズマ 医 療 ・バイオ 分 野 への 貢 献 が 大 きい。
さらに、 本 論 文 の 著 者 らは、 新 しい 分 野 である
プラズマ 医 療 の 研 究 を 日 本 国 内 において 牽 引 する
役 割 を 果 たしており、プラズマエレクトロニクス
分 科 会 がこの 分 野 の 発 展 のイニシアチブを 取 り、
研 究 者 人 口 の 増 加 を 推 進 できる 原 動 力 にもなり、
先 駆 者 としてのリーダーシップを 発 揮 されている
と 考 えられ、その 意 図 を 明 示 する 観 点 からも、 本
論 文 はプラズマエレクトロニクス 賞 に 相 応 しいと
考 えられる。
第 10 回 プラズマエレクトロニクス 賞 選 考 委 員 会
関 根 誠 ( 委 員 長 、 名 古 屋 大 学 )
金 子 俊 郎 ( 東 北 大 学 )
白 谷 正 治 ( 九 州 大 学 )
白 藤 立 ( 大 阪 市 立 大 学 )
藤 原 伸 夫 ( 三 菱 電 機 )
藤 山 寛 ( 長 崎 大 学 )
毎 年 、12 月 25 日 にプラズマエレクトロニク
ス 賞 への 応 募 の 締 め 切 りがございます。 本 分 野 で
は、 大 学 および 企 業 から 多 数 の 優 れたご 発 表 がな
されていますので、 皆 様 方 の 奮 っての 応 募 をお 願
いいたします。 賞 の 応 募 規 約 については、 本 会 報
の 掲 示 板 、および 分 科 会 のホームページに 記 載 し
ていますので、 熟 読 して 頂 きますようお 願 い 致 し
ます。
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