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RIPS_PP21_Japan's Defense Industries and Its New Principles of Arms Transfer

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武 器 輸 出 三 原 則 の 変 遷 ― 防 衛 装 備 移 転 三 原 則 へそうした 中 でも、 武 器 輸 出 三 原 則 は 厳 として 存 在 したため、 日 本 政 府 は 非 常 に 難 しい 政 策 判 断 が 迫られた。20 年 前 の 防 衛 市 場 に 比 べ、 顕 著 に 進 む 民 生 化 とグローバル 化 の 流 れに 対 し、 本 来 その 実 態に 法 制 度 を 合 わせなければならないが、 日 本 には、いわゆる「 平 和 主 義 」が 存 在 し、 武 器 輸 出 三 原 則は、その 象 徴 的 存 在 となっていた。よって、 日 本 政 府 は 長 らく、「 平 和 主 義 」を 守 りながら、 民 生 化 とグローバル 化 という 二 つのトレンドとの 整 合 性 を 図 るという、 非 常 に 苦 しい 決 断 を 繰 り 返 すことになった。しかし、 結 局 、それも 限 界 に 達 し、 防 衛 装 備 移 転 三 原 則 が 閣 議 決 定 されたと 言 える。こうした 視 点 から 武 器 輸 出 三 原 則 の 変 遷 を 概 観 すると、 次 のようになる。まず、1967 年 に 武 器 輸出 三 原 則 が 示 され、1976 年 に 三 木 内 閣 による 政 府 統 一 方 針 ということで、 全 ての 国 に 対 して、 武 器輸 出 は「 慎 む」とされた。その 後 、 民 生 化 とグローバル 化 のトレンドが 生 じ、1983 年 に、まず 対 米武 器 技 術 供 与 を 例 外 的 に 認 めた。これは、 日 本 の 民 生 技 術 の 価 値 が 米 国 から 見 て 上 昇 した 結 果 、 緩 和を 迫 られたものである。2004 年 には、それをミサイル 防 衛 分 野 にも 拡 大 し、 第 三 国 への 輸 出 も 想 定されるに 至 る。2011 年 には、 野 田 政 権 による、いわゆる「 包 括 的 例 外 化 」が 実 現 する。これは、 国 際共 同 開 発 が 世 界 的 潮 流 になったこと、そして、 平 和 維 持 活 動 など 自 衛 隊 が 海 外 で 活 動 することが 多 くなったことを 受 けた 緩 和 である。2013 年 には、F-35 戦 闘 機 の 製 造 等 に 係 る 国 内 企 業 の 参 画 も、 例 外措 置 として 認 められた。つまり、 例 外 化 措 置 を 積 み 重 ねてきたということである。その 結 果 、 武 器 輸出 三 原 則 は 形 骸 化 し、 更 には 運 用 が 複 雑 化 し 限 界 を 露 呈 することになる。それを 受 け、2014 年 4 月 、防 衛 装 備 移 転 三 原 則 を 閣 議 決 定 し、 一 定 条 件 下 での 輸 出 を 認 めることになったのである。経 済 理 論 から 考 える 日 本 の 防 衛 産 業 の 変 化 のための 条 件ここで、 歴 史 観 点 に 立 った 上 で、 日 本 の 防 衛 産 業 が 身 を 置 く 状 況 を 整 理 してみたい。 特 に「 制 度 」という 切 り 口 から 見 てみる。 例 えば、 新 しいことが 起 こるためには、まず、 考 え 方 が 変 化 しなければならない。 考 え 方 の 変 化 を 受 けて、それに 必 要 な 制 度 の 変 化 が 起 きる。 具 体 的 には、 法 律 である。そして、 法 律 などの 制 度 の 変 化 を 受 けて、インセンティブの 構 造 が 変 化 する。つまり、 人 の 行 動 が 変 化するのである。これによって、システムが 変 化 する。その 結 果 、ようやく 新 たなビジネス 活 動 が 可 能になるのである。つまり、システムの 変 化 というものは 簡 単 に 達 成 されるものではなく、その 原 点 は、人 の 考 え 方 の 変 化 にあるということである。それでは、 上 記 の 理 論 を、 日 本 の 防 衛 産 業 に 当 てはめるとどうなるのか。まず、 安 全 保 障 に 関 する 危機 感 が 変 化 した。 一 つは、 中 国 の 台 頭 などに 伴 う 危 機 感 であり、ここ 数 年 特 に 高 まりを 見 せている。もう 一 つは、 先 に 紹 介 したような、 防 衛 生 産 ・ 技 術 基 盤 の 弱 体 化 に 対 する 危 機 感 である。これらの 危 機 感によって、 武 器 輸 出 三 原 則 の 変 更 という 制 度 的 変 化 が 起 きた。 今 後 、 日 本 が 防 衛 装 備 品 の 海 外 移 転 を 進めていくためには、 防 衛 関 連 企 業 が 競 争 力 を 高 め、 自 らの 事 業 を 輸 出 事 業 にまで 育 てる 必 要 がある。それを 実 現 するためには、 先 に 示 した 理 論 に 基 づけば、あと 二 つのステップが 残 されている。 一 つは、 防衛 省 市 場 からグローバル 市 場 に 歩 み 出 すための 新 たなインセンティブの 創 出 であり、もう 一 つは、それを 踏 まえてのシステムの 転 換 である。ここに 至 ってはじめて、 競 争 力 のある 輸 出 事 業 が 生 まれる。Policy Perspectives No. 21- 5 -

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