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RIPS_PP21_Japan's Defense Industries and Its New Principles of Arms Transfer

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い。また、 技 術 流 出 リスクもある。 山 崎 氏 の 指 摘 にもあったが、 本 来 知 的 財 産 権 をもって 保 護 すべきものであっても、 現 状 日 本 には、 秘 密 特 許 制 度 に 関 する 規 定 が 存 在 しない。そして、 秘 密 保 護 に関 するリスクも、 常 に 存 在 している。 現 在 、 秘 密 保 護 法 など 関 連 法 規 が 整 備 されつつあるものの、例 えば、 軍 事 情 報 包 括 保 護 協 定 (GSOMIA)や 了 解 覚 書 (MOU)のような 二 国 間 の 取 り 決 めが 成立 しない 状 況 下 で、どの 程 度 、 情 報 開 示 を 伴 う 折 衝 が 可 能 なのか、 明 らかではない。中 期 的 リスクとしては、まず、 政 治 リスクがある。この 点 に 関 し、 政 府 がどの 程 度 の 責 任 を 取 り、必 要 な 時 には 救 済 措 置 を 講 じるのか 不 明 確 である。また、オフセットなどの 対 外 投 資 リスクも 存 在する。オフセットの 在 り 方 は、 例 えば、 日 本 の 防 衛 政 策 上 あるいは 安 全 保 障 政 策 上 、リスクを 取 ってでも 案 件 を 推 進 するとなった 場 合 、その 調 整 と 責 任 、リスクを 誰 が 負 うかも 明 らかになっていない。また、 投 資 に 関 しては、 仮 にそれが 合 法 化 されても、 第 三 国 や 第 四 国 を 経 由 する 場 合 の 可 否 までは 十 分 に 議 論 されていない。また、 政 策 的 是 非 に 関 する 判 断 をどの 程 度 企 業 に 求 められるのかという 点 も 問 題 である。そして、 中 期 的 リスクで 一 番 大 きいインテリジェンス・リスクを、どの 程 度企 業 の 責 任 として 負 わせるのかという 点 も 未 だ 十 分 な 検 討 がなされていない。その 他 にも、 特 に 懸念 すべきは、 技 術 が 関 連 するリスクである。 例 えば、 国 際 共 同 開 発 に 参 加 しても 中 枢 部 分 には 参 加できず、 組 み 立 て 等 に 参 加 できないことによって、 結 果 的 に 国 産 技 術 を 育 む 機 会 を 喪 失 するリスクである。グローバルなサプライチェーンに 参 加 することで、 従 来 保 ってきた、 国 内 のサプライチェーンを 崩 すリスク、あるいは 損 失 ・ 混 乱 させるリスクを 指 す。また、グローバル 市 場 での 競 争 にさらされることによる、 過 当 競 争 のリスクもあるだろう。なお、 山 崎 氏 が 指 摘 した 秘 密 特 許 制 度 については、 原 則 公 開 の 原 則 に 基 づく 知 財 制 度 の 変 更 を 伴 うものであり、 更 には、 裁 判 制 度 にも 影 響 を与 えるものであるため、 相 当 な 議 論 が 必 要 である。現 在 、 政 府 あるいは 企 業 で 検 討 が 進 んでいると 思 われる 貿 易 保 険 についても、リスクが 存 在 する。それは、 輸 出 の 許 可 が 出 た 後 でなければ 保 険 は 付 与 されないというリスクである。つまり、 輸 出 許可 が 出 るまでの 間 に 生 じうるリスクについては、 当 面 は 全 て 企 業 が 負 うことになる。まして 貿 易 保険 は、 今 後 、 民 営 化 が 予 定 されており、 極 めて 経 済 的 な 理 論 の 下 で 運 営 されることになる。その 際 、今 指 摘 したようなリスクに 十 分 な 対 応 ができないのではないかという 懸 念 もある。防 衛 装 備 移 転 三 原 則 は、 外 為 法 のガイドラインである。よって、 一 義 的 には 経 済 産 業 省 の 輸 出 管理 部 門 において 各 種 のリスクに 関 する 判 断 がなされるであろう。 現 時 点 では、パトリオットミサイルのシーカー・ジャイロなどの 事 例 はあるものの、 引 き 続 きケース・バイ・ケースで 実 績 を 積 み 上げ、 経 験 と 知 見 を 踏 まえて 都 度 判 断 していくということにならざるを 得 ないのではないか。ただ、その 場 合 であっても、オフセット・リスクや 投 資 リスクを 輸 出 管 理 の 範 疇 で 負 えるのかという 問 題はある。 従 って、 新 しくできる 防 衛 装 備 庁 において、リスクへの 対 応 も 含 めて、 関 連 する 新 しい 制度 をどのように 構 築 するのか 注 視 している。ただ、リスクテイクには、 対 数 法 則 などの 保 険 に 関 する 理 論 を 前 提 とする 必 要 があり、 難 しさがあることは 明 らかである。この 点 については、 諸 外 国 の制 度 について 調 査 し、 参 考 情 報 を 取 集 することも 早 急 に 検 討 すべきである。Policy Perspectives No. 21- 16 -

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