「民法（債権関係）の改正に関する中間的な論点整理」に対して ... - 法務省

えた 議 論 が 重 要 なはずであり, 単 に 予 測 可 能 性 の 確 保 を 目 的 として 不 当 条 項 規 制導 入 を 所 与 の 前 提 とするかのようなアプローチには 反 対 である。( 日 大 民 研 ・ 商研 )○ 不 当 条 項 規 制 の 必 要 性 を 判 断 する 前 提 として 正 確 な 実 態 の 把 握 が 必 要 であるとの 指 摘 などにも 留 意 しつつ, 更 に 検 討 することに 異 論 はない。 検 討 するにあたっては, 以 下 のような 点 に 留 意 すべきである。まず, 消 費 者 と 事 業 者 との 間 で 締 結 される 消 費 者 契 約 について, 約 款 による 契約 であると 否 とを 問 わず, 不 当 条 項 規 制 を 設 けることには 異 論 がない。ただし,消 費 者 契 約 に 関 する 規 律 は 既 に 従 前 から 消 費 者 契 約 法 において 規 律 されているところであり,これで 十 分 であるとの 考 えもあり 得 るところである。また, 消 費者 契 約 法 の 目 的 規 定 ( 同 法 第 1 条 )や 不 当 条 項 の 差 止 請 求 ( 同 法 第 12 条 )との関 係 では 消 費 者 契 約 に 関 する 不 当 条 項 を 消 費 者 契 約 法 に 定 めておいた 方 が 分 かりやすくてよいという 考 え 方 もある。 以 上 のとおり, 民 法 にかような 消 費 者 契 約についての 不 当 条 項 規 制 を 設 けるべきかどうかについては 慎 重 な 検 討 が 必 要 である。事 業 者 間 契 約 に 対 して 不 当 条 項 規 制 が 適 用 される 場 合 , 実 務 にもたらす 影 響 は甚 大 である。 不 当 条 項 規 制 は, 約 款 作 成 者 と 相 手 方 の 交 渉 力 の 構 造 的 な 不 均 衡 を根 拠 とするが, 事 業 者 間 契 約 といっても, 上 記 のような 小 規 模 零 細 事 業 者 を 当 事者 とするものから, 大 企 業 間 の 契 約 まで 様 々であり 一 様 な 規 制 には 馴 染 まない。また, 約 款 使 用 者 が 当 該 取 引 について 独 占 的 な 地 位 を 占 めている 場 合 が 問 題 視 されるが,このような 場 合 には, 優 越 的 地 位 の 濫 用 ( 私 的 独 占 の 禁 止 及 び 公 正 取 引の 確 保 に 関 する 法 律 第 2 条 第 9 項 第 5 号 )といった 規 制 もなされているのであり,かような 諸 規 制 との 整 合 性 や 不 当 条 項 規 制 の 必 要 性 について,さらに 立 法 事 実 を検 討 する 必 要 がある。また, 不 当 性 の 判 断 枠 組 みについて, 例 えば,「 条 項 使 用 者 の 相 手 方 の 利 益 を信 義 則 に 反 する 程 度 に 害 するものは 無 効 」といった 要 件 が 検 討 されている。この点 , 消 費 者 契 約 に 適 用 する 場 合 には, 消 費 者 保 護 といった 観 点 からある 程 度 の 明確 化 が 可 能 と 思 われるが, 事 業 者 間 契 約 に 適 用 される 場 合 には, 基 準 として 曖 昧とならざるをえないように 思 われる。 事 業 者 間 の 契 約 についての 不 当 性 の 判 断 基準 は 消 費 者 契 約 に 比 べて 緩 やかでもよいとする 意 見 があるようであるが, 果 たしてそのような 二 重 の 基 準 を 設 けることにより,かえって 事 業 者 間 の 契 約 に 適 用 される 基 準 が 不 明 確 となり,ひいては 約 款 取 引 の 不 安 定 化 をもたらすのではないか懸 念 がある。以 上 のとおり, 不 当 条 項 規 制 を 一 般 法 化 し, 事 業 者 間 にも 一 律 に 及 ぼすことには 反 対 である。どのような 契 約 類 型 をその 適 用 の 対 象 とするべきか, 正 確 な 事 実149