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Untitled - 九州大学演習林

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1.流域環境制御学研究室<br />

森林環境に関する研究<br />

Ⅰ.研 究 部<br />

A.研 究 概 要<br />

流域生態系における水循環と水資源管理に関する研究<br />

福岡市の多々良川水系の上流に位置する福岡演習林御手洗水流域に量水試験地を設置し,流出<br />

水の量と質,林外雨・林内雨・樹幹流の量と質,林外の気象(日射,風向,風速,気温,湿度,<br />

降水量)の観測を行い,森林における水循環,物質循環等の素過程,流域水循環における森林の<br />

役割に関する研究を行っている.本研究の一部は,科学研究費補助金・基盤研究B「九州のヒノ<br />

キ人工林流域における水・エネルギー・物質循環の定量化と公益的機能の解明」(代表:大槻恭<br />

一),科学研究費補助金・基盤研究A「流域生態圏における水・熱・物質循環の長期変動モニタ<br />

リングと広域比較研究」(代表:小川 滋),平成16年度農学研究院若手助手支援プロジェクト<br />

「九州地方福岡都市圏の森林流域における物質循環の長期モニタリング体制の構築」(代表:智<br />

和 正明)によるものである.<br />

個葉・単木・群落スケールにおけるスギ・ヒノキの水分動態に関する研究<br />

宮崎演習林矢立樹木園に高さ20mのタワーを建設した.このタワーは数高度で水平方向に梯子<br />

が伸び,隣接するスギ・ヒノキの樹幹,個葉の精密な生理学的計測を行なうことが可能である.<br />

また,タワー近傍のスギ・ヒノキ林分では,大量の樹液流速センサーが投入され,群落スケール<br />

の蒸散量推定手法の検討,さらには,スギ・ヒノキの林分単位水利用の定量的把握が行なわれて<br />

いる.<br />

森林の水源涵養機能の定量化に関する研究<br />

広島県江田島に設置された3試験流域において降雨流出観測を行い,森林の持つ水資源涵養機<br />

能の定量的評価を行った.これまでに,森林回復による年流出量の減少,蒸発散量の増加といっ<br />

たデータが得られている.本研究は,広島県,水利科学研究所との共同研究である.<br />

熱帯雨林における大気-林冠間のエネルギー・物質交換過程に関する研究<br />

マレーシア国サラワク州ランビル国立公園の低地混合フタバガキ林に建てられた高さ90m,回<br />

転半径80mのクレーンを用いて,林冠上の熱・水・二酸化炭素交換速度と大気乱流による交換特<br />

性,林冠空間内,土壌中の熱・水・二酸化炭素環境,さらに個葉レベルでの生理生態学的特性の<br />

長期連続観測を行っている.東南アジア熱帯雨林における物質交換速度の長期連続観測は世界初<br />

であり,現在までにデータが蓄積されており,熱帯雨林特有の物質交換特性が徐々に明らかにさ<br />

れてきた.本研究の一部は,科学技術振興機構戦略的創造研究推進事業「水の循環系モデリング<br />

と利用システム」「熱帯モンスーンアジアにおける降水変動が熱帯林の水循環・生態系に与える<br />

影響」(代表:鈴木雅一)によるものである.<br />

中国黄土高原における砂漠化防止に関する研究<br />

中国黄土高原は過去数千年にわたる人為的影響等により大部分の森林が破壊され,土壌侵食や<br />

頻繁な砂嵐が深刻な問題となっている.現在中国政府は退耕還林政策を推進しようとしているが,<br />

森林回復に不可欠な生態学を基盤とした基本理念や造林目標は不明確であり,造林に伴う技術的<br />

問題も解決されていない.また,以前から広範に造林されてきた北米産のニセアカシアに成長不<br />

良や先枯れ等の問題が生じており,今後どのような森林を造成していくのかが課題となっている.<br />

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