n?u=RePEc:eti:rpdpjp:15018&r=int

中 小 零 細 企 業 は 政 府 系 銀 行 から 十 分 な 額 の 融 資 を 受 けやすい 傾 向 があるが,そうした 企 業
の 生 産 性 が 低 いことを 明 らかにした.また,Shimamoto・Todo(2015)は,インドネシア
における 企 業 と 政 治 とのつながりが 企 業 のグローバル 経 済 への 志 向 に 与 える 影 響 を 分 析 し,
政 府 から 許 認 可 を 得 やすい 企 業 は 海 外 との 取 引 が 少 なく, 外 国 人 に 対 する 経 営 者 の 信 頼 感
が 低 い 傾 向 にあること,さらに, 海 外 との 取 引 が 少 なく, 外 国 人 に 対 する 信 頼 感 が 低 い 経
営 者 は, 自 由 貿 易 協 定 や 外 資 企 業 に 対 して 積 極 的 でない 傾 向 にあることを 明 らかにした.
利 権 を 伴 う 企 業 と 政 治 とのつながりが 国 内 企 業 の 保 護 主 義 を 強 め, 保 護 主 義 的 政 策 が 実 行
されることでますます 利 権 が 増 大 し, 企 業 と 政 治 とのつながりをさらに 強 めるという 悪 循
環 は,ネットワークの 負 の 側 面 と 言 える.
7 中 国 企 業 の 国 際 化 と 産 業 政 策
7.1 中 国 企 業 の 国 際 化
世 界 第 1 位 の 貿 易 国 であり 世 界 第 2 位 の 経 済 規 模 となった 中 国 は, 日 本 の 貿 易 ・ 投 資 に 密
接 不 可 分 な 存 在 であり, 中 国 企 業 や 市 場 の 特 徴 を 知 ることは 貿 易 . 投 資 政 策 を 考 える 上 で
極 めて 重 要 である. 企 業 の 国 際 化 に 関 する 標 準 的 な 理 論 と 実 証 分 析 は, 生 産 性 の 高 い 企 業
が 輸 出 し, 更 に 生 産 性 の 高 い 企 業 が 直 接 投 資 をすることを 示 すが,こうしたことは 中 国 企
業 においても 同 様 に 見 られる 現 象 であろうか.OECD 諸 国 と 異 なり 中 国 市 場 には 多 くの 国
有 企 業 や 外 資 系 企 業 が 存 在 するが,こうしことが 中 国 企 業 の 国 際 化 にどのような 影 響 を 与
えるだろうか.Wakasugi・Zhang(2012)は, 中 国 企 業 のミクロデータを 用 いて 分 析 し,
2000 年 前 半 までは 生 産 性 において, 国 有 企 業 は 民 営 企 業 より 低 く, 外 資 系 企 業 が 最 も 高 い
こと, 輸 出 企 業 に 限 ると, 民 間 企 業 , 国 有 企 業 の 生 産 性 は 外 資 系 企 業 よりも 高 いこと, 海
外 直 接 投 資 を 行 う 国 有 企 業 , 民 間 企 業 の 生 産 性 が 高 いこと, 輸 出 経 験 は 企 業 の 直 接 投 資 の
決 定 にプラスの 効 果 を 有 し,その 効 果 は 民 間 企 業 , 国 有 企 業 において 大 きいことを 明 らか
にした.このような 分 析 結 果 は, 中 国 市 場 における 民 営 企 業 , 国 有 企 業 , 外 資 系 企 業 では
市 場 参 入 の 条 件 に 差 異 があることを 示 すものである. 国 有 企 業 は 生 産 性 が 低 くても 国 内 市
場 への 参 入 が 可 能 であるが, 外 資 系 企 業 では 生 産 性 が 高 くなければ 参 入 が 出 来 ないこと,
逆 に, 海 外 市 場 とのネットワークや 知 識 経 験 を 有 する 外 資 系 企 業 であれば 生 産 性 が 低 くて
も 外 国 市 場 への 輸 出 や 直 接 投 資 が 可 能 であるが, 国 有 企 業 では 高 い 生 産 性 を 持 たない 限 り
外 国 市 場 への 参 入 が 困 難 であることは, 市 場 参 入 の 条 件 が 企 業 の 所 有 形 態 によって 異 なる
ことを 意 味 する.
WTOへの 加 盟 後 の 中 国 にとって, 市 場 経 済 化 は 重 要 な 政 策 課 題 である.2000 年 以 降 , 中
国 の 輸 出 は 極 めて 顕 著 に 増 加 してきたが,この 時 期 は, 中 国 がWTOに 加 盟 し, 輸 出 入 関 税
25