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ず,むしろ, 新 規 の 海 外 拠 点 開 設 に 伴 って, 企 業 は 国 内 の 事 業 を 見 直 し,その 結 果 として
企 業 パフォーマンスが 改 善 することを 示 唆 する.
製 造 業 企 業 の 海 外 生 産 が 国 内 雇 用 を 減 らすことを 示 すエビデンスは 示 されなかったが,
卸 売 業 ・サービス 業 の 海 外 事 業 展 開 は 雇 用 にどのような 影 響 をもたらすだろうか.この 点
についてTanaka(2012b)は, 製 造 業 のみならず 卸 売 業 ・サービス 業 においても 海 外 展 開
は, 売 上 高 を 増 加 し, 国 内 の 雇 用 成 長 率 を 高 めていることを 確 認 している.
中 小 企 業 の 国 際 化 が 国 内 雇 用 の 減 少 や 経 済 の 空 洞 化 に 結 びついていると 懸 念 が 示 されて
いることから, 中 小 企 業 国 際 化 の 影 響 については 特 に 注 目 を 要 する. 戸 堂 (2012)は, 中
小 企 業 庁 のデータをもとに 分 析 し, 海 外 直 接 投 資 ・ 海 外 業 務 委 託 を 行 っている 中 小 零 細 企
業 の 方 が, 国 内 にとどまっている 企 業 よりも 平 均 的 には 雇 用 を 伸 ばしており, 海 外 進 出 に
よる 空 洞 化 は 生 じていないことを 指 摘 する. 海 外 進 出 することによって, 国 内 工 場 が 閉 鎖
されるなどして 国 内 雇 用 が 減 る 可 能 性 はあるものの, 他 方 では, 技 能 集 約 的 な 業 務 ,たと
えば 高 付 加 価 値 製 品 の 生 産 , 経 営 管 理 , 製 品 開 発 ,デザイン,マーケティングに 特 化 し,
競 争 力 を 増 し,そのような 業 務 に 対 する 雇 用 も 増 えることで, 空 洞 化 が 起 こっていないと
考 えられるからである. 実 際 に, 雇 用 量 全 体 は 海 外 進 出 によっては 変 化 しないが, 海 外 進
出 することで 従 業 員 の 大 卒 比 率 は 格 段 に 増 えている. 中 小 企 業 が 国 際 化 することに 伴 って
高 度 人 材 に 対 する 需 要 も 増 加 するので, 企 業 の 国 際 化 は 人 材 の 高 度 化 とセットで 進 める 必
要 があることを 示 唆 している.
2.3 企 業 の 国 際 化 と 研 究 開 発
国 際 化 企 業 と 非 国 際 化 企 業 での 生 産 性 の 違 いは, 企 業 のR&D 戦 略 の 違 いに 起 因 するこ
とはないであろうか.これまで 生 産 性 の 向 上 と 輸 出 の 関 係 をR&D 投 資 と 関 連 づける 研 究 は
なされているが, 企 業 の 研 究 開 発 戦 略 にまで 立 ち 入 った 研 究 はまだ 見 られない.Ito・Tanaka
(2012)は 企 業 のR&D 戦 略 を(1) 内 部 R&D,(2) 外 部 R&D,(3) 内 部 R&Dと 外 部 R&D
の3つに 区 分 して,R&D 戦 略 の 違 いが 輸 出 の 可 能 性 に 与 える 効 果 を 分 析 した. 分 析 の 結 果 は
, 非 輸 出 企 業 と 輸 出 企 業 ともにR&D 活 動 に 従 事 している 企 業 ほど 生 産 性 が 高 いことに 加 え,
内 部 R&Dと 外 部 R&D 戦 略 を 同 時 に 採 用 している 企 業 の 生 産 性 が 最 も 高 いことを 明 らかに
している.また, 外 部 のR&Dリソースを 活 用 したオープン・イノベーション 戦 略 は 自 社 内
R&D 活 動 と 代 替 的 でなく, 補 完 的 な 関 係 にあり, 両 者 の 組 み 合 わせが 企 業 の 国 際 化 を 促 す
上 で 重 要 な 役 割 を 果 たすことを 示 している.
海 外 直 接 投 資 先 国 における 現 地 企 業 のイノベーションが 海 外 投 資 子 会 社 のホスト 国 内 で
の 取 引 ・ 本 国 との 取 引 ・ 第 三 国 との 取 引 にどのような 影 響 を 与 えるであろうか.Jinji・Zhang
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