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でのネットワークFDIが 増 えていることが 明 らかになった.こうしたファインディングスは<br />

, 日 本 企 業 の 直 接 投 資 を2 国 間 の 視 点 でなくアジア 地 域 における 生 産 ネットワークのハブと<br />

なることを 想 定 して,それに 対 応 する 政 策 課 題 を 考 えることが 必 要 であることを 示 唆 する.<br />

企 業 が 国 際 化 するにつれて 海 外 での 事 業 収 益 に 対 する 課 税 がいかにあるべきかが 重 要 な<br />

課 題 となる. 日 本 の 法 人 所 得 に 関 する 国 際 課 税 制 度 は,2008 年 度 までは 全 世 界 所 得 課 税 方<br />

式 を 採 用 していたが,この 方 式 では, 日 本 の 多 国 籍 企 業 が 海 外 で 得 た 利 益 を 国 内 に 還 流 せ<br />

ずに, 国 外 に 蓄 積 する 傾 向 となることが 指 摘 されてきた. 実 際 , 海 外 現 地 法 人 の 内 部 留 保<br />

の 総 額 は 増 加 の 一 途 をたどっており,2006 年 時 点 で 約 17 兆 円 に 達 すると 推 計 された. 税 制<br />

により 生 ずる 収 益 の 海 外 滞 留 のバイアスを 取 り 除 くため,2009 年 度 税 制 改 正 において 内 国<br />

法 人 が 海 外 子 会 社 から 受 け 取 る 配 当 金 を 一 定 の 条 件 のもとで 非 課 税 ( 益 金 不 算 入 )とする<br />

国 外 所 得 免 除 方 式 を 導 入 した. 長 谷 川 ・ 清 田 (2015)は,こうした 税 制 の 変 更 が 海 外 子 会<br />

社 の 配 当 送 金 に 与 えた 影 響 を 分 析 し, 内 部 留 保 残 高 が 十 分 に 大 きい 子 会 社 は, 他 の 子 会 社<br />

よりも 税 制 改 正 に 強 く 反 応 し, 配 当 送 金 ( 売 上 高 比 )を 増 加 させたこと,また, 税 制 改 正<br />

後 の 配 当 送 金 が 投 資 先 国 の 配 当 源 泉 税 率 に 対 して 感 応 的 になったことを 示 した. 国 外 所 得<br />

免 除 方 式 の 導 入 に 際 して 移 転 価 格 を 利 用 した 租 税 回 避 行 動 が 増 加 することが 懸 念 されたが,<br />

低 税 率 国 への 所 得 移 転 が 拡 大 し, 低 税 率 国 の 子 会 社 がその 他 の 子 会 社 よりも 配 当 送 金 を 増<br />

加 させるという 傾 向 は 見 られなかった.こうしたことから, 税 制 改 正 には 海 外 に 蓄 積 され<br />

た 多 国 籍 企 業 の 利 益 還 流 を 促 進 するという 政 策 目 的 を 達 成 する 効 果 があったと 判 断 される.<br />

2.2 企 業 の 国 際 化 と 雇 用<br />

企 業 の 国 際 化 が 近 年 の 雇 用 構 造 の 変 化 ,とりわけ 正 規 雇 用 者 に 対 する 非 正 規 雇 用 者 の 増<br />

加 にどのような 影 響 を 与 えるかは, 注 目 すべき 研 究 課 題 である.2000 年 から2007 年 にかけ<br />

ての 非 正 規 従 業 者 は 年 平 均 3% 程 度 で 増 加 した.しかし,リーマンショック 後 , 輸 出 の 急 激<br />

な 減 少 とともに, 非 正 規 労 働 者 の 解 雇 が 相 次 ぎ, 工 業 統 計 ( 経 済 産 業 省 )の 従 業 員 4 人 以 上<br />

の 事 業 所 の 従 業 者 を 基 にすると10 万 人 近 い 非 正 規 従 業 者 が 離 職 している.こうした 製 造 業<br />

の 非 正 規 雇 用 者 の 増 減 パターンは, 輸 出 の 変 動 パターンと 連 動 していたため, 製 造 業 の 外<br />

需 依 存 の 高 まりが 非 正 規 雇 用 の 拡 大 を 通 じて, 雇 用 構 造 に 変 化 をもたらしたとの 意 見 が 述<br />

べられてきた.しかし,この 点 に 関 しては 十 分 なエビデンスが 必 要 であろう.<br />

Tanaka(2012a)は, 企 業 レベルミクロデータを 用 いて 日 本 企 業 の 輸 出 が 効 用 構 造 に 与 え<br />

た 効 果 を 分 析 した. 分 析 の 結 果 は, 輸 出 が 雇 用 を 増 加 する 効 果 は 製 造 業 において 確 認 され<br />

るが, 卸 売 業 においては 確 認 されないこと, 特 に, 製 造 業 の 輸 出 開 始 後 3 年 間 は 雇 用 成 長 率<br />

を4~6% 程 度 押 し 上 げること, 一 部 の 製 造 業 企 業 に 限 っては 輸 出 が 派 遣 労 働 者 の 比 率 を 高 め<br />

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