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害 賠 償 が 請 求 されたとしても,これに 対 する 防 御 方 法 は 幾 つも 想 定 され, 仮 に 精 神 的 損 害<br />

が 認 められた 場 合 であっても, 賠 償 額 が 巨 額 なものとなる 可 能 性 は 低 いことなどを 指 摘 し<br />

ている.<br />

外 国 投 資 を 保 護 することが 国 際 投 資 保 護 協 定 の 主 要 な 役 割 であるが,そうした 外 国 投 資<br />

の 保 護 が 自 国 の(あるいは 相 手 国 の) 外 交 政 策 上 の 手 段 としての 対 抗 措 置 ( 外 国 人 の 受 入<br />

国 は, 当 該 外 国 人 の 本 国 とのあいだで 抱 えた 紛 争 の 有 利 な 解 決 をはかるために, 当 該 外 国<br />

人 の 資 産 ・ 財 産 を 凍 結 し, 場 合 によっては 収 奪 するなどの 措 置 に 訴 えること)の 利 用 可 能<br />

性 に 対 する 制 約 を 認 めるか 否 か,あるいはどのような 制 約 であれば 許 容 しうるものである<br />

のかは 検 討 すべき 課 題 である. 国 際 投 資 保 護 協 定 はこの 点 について 規 定 を 置 いていないた<br />

め, 国 際 投 資 仲 裁 では 異 なる 判 断 が 下 されている. 岩 月 (2013)は,こうした 現 状 を 踏 ま<br />

え, 対 抗 措 置 の 利 用 可 能 性 に 関 して 法 的 に 不 確 定 な 状 態 が 自 国 の 外 交 的 立 場 に 問 題 を 生 じ<br />

させることがないよう, 国 際 投 資 協 定 において 明 示 する 必 要 があることを 指 摘 する.<br />

日 本 が 締 結 してきた 国 際 投 資 協 定 には「 一 般 的 例 外 規 定 」と 呼 ばれるものが 含 まれてお<br />

り,それらは GATT や GATS の 一 般 的 例 外 規 定 をモデルとしている.これに 対 して 諸 外 国<br />

では,「 一 般 的 例 外 規 定 」を 国 際 投 資 協 定 上 の 義 務 全 体 に 係 る 例 外 という 意 味 で 用 いること<br />

が 多 い. 森 ・ 小 寺 (2014)は, 日 本 が「 一 般 的 例 外 規 定 」を GATT/GATS 型 一 般 的 例 外 規<br />

定 を 意 味 するものとして 用 い 続 けるのが 妥 当 か 否 かを 再 検 討 し,もし GATT/GATS 型 一 般<br />

的 例 外 規 定 を 残 す 場 合 には,それによって 違 反 を 正 当 化 しようとする 投 資 協 定 上 の 義 務 の<br />

規 定 内 容 について 十 分 に 精 査 することが 必 要 なことを 指 摘 する.<br />

投 資 家 が 投 資 受 入 国 たる 外 国 で 損 害 を 被 った 場 合 に 申 し 立 てる 投 資 協 定 仲 裁 においては,<br />

当 該 損 害 が 投 資 受 入 国 の 国 際 義 務 違 反 によることが 認 定 されれば, 専 ら 金 銭 賠 償 の 支 払 命<br />

令 によって 紛 争 が 処 理 されてきた.しかし, 場 合 によっては 国 家 予 算 を 逼 迫 するような 莫<br />

大 な 損 害 賠 償 が 請 求 される 例 が 増 えるにつれて, 投 資 仲 裁 が 高 額 な 賠 償 を 国 家 に 命 ずるこ<br />

とが,とりわけ 経 済 的 困 難 にある 国 家 の 政 策 策 定 に 対 して 萎 縮 効 果 をもたらすことの 正 当<br />

性 について 疑 問 が 呈 され, 近 年 においては, 賠 償 に 代 えて 措 置 の 取 消 等 の 非 金 銭 的 な 救 済<br />

手 段 が 選 ばれるべきではないかという 考 え 方 が 示 されている. 他 方 で, 国 際 投 資 仲 裁 が 国<br />

内 措 置 の 取 消 や 無 効 を 宣 言 したり, 特 定 の 国 内 措 置 を 命 ずることは 国 家 主 権 への 干 渉 に 当<br />

たるので 許 容 されないと 主 張 されたりすることも 多 い. 西 村 ・ 小 寺 (2014)は,こうした<br />

投 資 仲 裁 を 通 した 非 金 銭 的 救 済 の 可 能 性 をどのように 評 価 すればよいかを 検 討 し, 国 家 予<br />

算 に 影 響 するような 多 額 な 金 銭 賠 償 が 課 される 例 があることに 鑑 みれば, 国 内 措 置 の 是 正<br />

によって 違 法 性 を 払 拭 する 選 択 を 残 すことに 合 理 性 がある 一 方 , 原 状 回 復 によって 生 ずる<br />

損 失 が 生 ずる 利 益 に 比 して 著 しく 均 衡 を 欠 く 場 合 には, 原 状 回 復 に 代 えて 金 銭 賠 償 が 適 切<br />

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