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Untitled - 東京大学 大学院薬学系研究科・薬学部

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いる。しかしその社会的・倫理的・経済的インパクトはなお未知数である。そこで、CIOMS<br />

(Council for International Organizations of Medical Sciences, 国際医科学協議会)が、2002 年に<br />

設立した CIOMS Working Group for Pharmacogenetics and Pharmacoeconomics のメンバーとして、<br />

世界の現状を分析し将来への提言を含む CIOMS Report の作成に従事している。2004 年度中に<br />

完成予定である。また 2003(平成 15)年度より厚生労働科学研究「ファーマコゲノミクスの合<br />

理的使用のための医薬品開発と医薬品行政のあり方に関する研究」を立ち上げ、アカデミア・<br />

行政機関・製薬企業などからのメンバーを得て、先の CIOMS Working Group に日本として対<br />

応するとともに、日本における将来のガイドライン作りに必要となる事項や留意点を明らかに<br />

する作業を行っている。また、支払い意思法 (willingness to pay: WTP)を用いて、<br />

pharmacogenetics の経済的価値を評価する研究を行っている。<br />

(3) クリニカル・エビデンス<br />

1) systematic review とそのインフラ整備<br />

医薬品の効率性を検討するには、まず医薬品の有効性・安全性が示されていることが必要で<br />

ある。いかにコストの低い薬であっても有効・安全なものでなければ意味がない。我が国では、<br />

1990 年代中ごろより「エビデンスに基づく医療」(evidence-based medicine: EBM)の重要性が<br />

指摘されているが、実際にその基となるデータの提供が十分になされていない。そこで、具体<br />

的に臨床試験に関わることやシステマティックレビューを行うことと同時に、我が国でなされ<br />

た RCT のハンドサーチによるデータベース作り(http://jhes.umin.ac.jp)を行っている。<br />

2) 診療ガイドライン<br />

診療ガイドラインは時として政治問題化する。日本における EBM のための情報センターの<br />

設立はこのために約 3 年遅れた。そこで診療ガイドラインとプロフェッショナル・オートノミ<br />

ーとの関係の研究を行い、従来「プロフェッショナル・フリーダム」と称されてきたものは「プ<br />

ロフェショナル・オートノミー」と称すべきものであることを明らかにし、診療ガイドライン<br />

の医療従事者への受容性の向上と、医療従事者による診療ガイドラインの質向上への貢献に取<br />

り組んでいる。<br />

さらに日本において 1999 年から厚生労働科学研究費補助金で作成された 20 の診療ガイドラ<br />

インがカバーする疾患のコストを、「患者調査」と「社会医療診療行為別調査」から推計した。<br />

医療費は 7 兆 400 億円で総医療費の 32.3%、薬剤費は 2 兆 3,000 億円で総薬剤費の 40.9%を占<br />

めることが明らかになった。今後、診療ガイドラインの中に、臨床経済学や薬剤経済学分析の<br />

結果をどう取り込むか、アルゴリズムに関する研究と議論の活性化が望まれる。<br />

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