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戦略的研究拠点育成 - 科学技術振興機構

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平 成 22 年 度 研 究 評 価 部 会<br />

戦 略 的 研 究 拠 点 育 成<br />

評 価 作 業 部 会<br />

評 価 結 果 報 告 書<br />

平 成 22 年 12 月<br />

戦 略 的 研 究 拠 点 育 成 評 価 作 業 部 会


Ⅰ. 評 価 結 果<br />

1. 総 論<br />

2. 各 論


目<br />

次<br />

1. 総 論<br />

(1) 評 価 の 経 緯 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1<br />

(2) 平 成 22 年 度 戦 略 的 研 究 拠 点 育 成 評 価 作 業 部 会 における 評 価 結 果 一 覧 ・・・・・・・・・・・・・・・2<br />

(3) 戦 略 的 研 究 拠 点 育 成 評 価 作 業 部 会 委 員 名 簿 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・3<br />

2. 各 論<br />

(1) 戦 略 的 研 究 拠 点 育 成<br />

( 事 後 評 価 対 象 課 題 )<br />

1) 東 工 大 統 合 研 究 院 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・6<br />

2)「サステイナビリティ 学 連 携 研 究 機 構 」 構 想 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・10<br />

3) 国 際 統 合 医 療 研 究 ・ 人 材 育 成 拠 点 の 創 成 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・14


1. 総 論


(1) 評 価 の 経 緯<br />

戦 略 的 研 究 拠 点 育 成 評 価 作 業 部 会 において、3 課 題 の 評 価 を 実 施 した。<br />

プログラム 中 間 評 価 又 は 事 後 評 価 課 題 数 ( 採 択 年 度 ) 課 題 数<br />

戦 略 的 研 究 拠 点 育 成 事 後 評 価 3 課 題 ( 平 成 17 年 度 ) 3<br />

課 題 数 合 計 3<br />

評 価 の 実 施 に 当 たって、 被 評 価 者 から 提 出 された 成 果 報 告 書 等 及 びヒアリング 評 価 を 踏 まえ、<br />

評 価 作 業 部 会 の 合 議 により 評 価 結 果 を 決 定 した。 評 価 作 業 部 会 の 開 催 実 績 は 以 下 のとおりである。<br />

○ 第 1 回 会 合 平 成 22 年 10 月 25 日 ( 月 )<br />

・ 評 価 対 象 課 題 3 課 題 についてヒアリング 評 価 の 実 施<br />

○ 第 2 回 会 合 平 成 22 年 10 月 26 日 ( 火 )<br />

・ 評 価 結 果 の 検 討 ・ 決 定<br />

・ 戦 略 的 研 究 拠 点 育 成 プログラム 全 課 題 の 総 括<br />

本 報 告 書 は、 評 価 作 業 部 会 における 評 価 結 果 に 基 づき、プログラムオフィサーの 協 力 を 得 て 作<br />

成 した。<br />

1


(2) 平 成 22 年 度 戦 略 的 研 究 拠 点 育 成 評 価 作 業 部 会 における 評 価 結 果 一 覧<br />

プログラ<br />

ム 名<br />

課 題 名 実 施 機 関 総 括 責 任 者<br />

総 合<br />

評 価<br />

Ⅰミッシ<br />

ョンステ<br />

ートメン<br />

トに 対 す<br />

る 達 成<br />

度<br />

Ⅱ 組 織<br />

改 革 の<br />

妥 当 性<br />

Ⅲ 運 営<br />

改 革 の<br />

妥 当 性<br />

Ⅳ 実 施<br />

期 間 終<br />

了 後 に<br />

おける<br />

継 続 性<br />

の 見 通<br />

し<br />

Ⅴ 中 間<br />

評 価 の<br />

反 映<br />

戦 略 的 研<br />

究 拠 点 育<br />

成<br />

東 工 大 統 合<br />

研 究 院<br />

東 京 工 業 大<br />

学<br />

伊 賀 健 一 A a a a a/b a<br />

戦 略 的 研<br />

究 拠 点 育<br />

成<br />

「サステイナ<br />

ビリティ 学 連<br />

携 研 究 機 構 」<br />

構 想<br />

東 京 大 学 濱 田 純 一 A a a b a a<br />

戦 略 的 研<br />

究 拠 点 育<br />

成<br />

国 際 統 合 医<br />

療 研 究 ・ 人 材<br />

育 成 拠 点 の<br />

創 成<br />

東 京 女 子 医<br />

科 大 学<br />

宮 﨑 俊 一 A a a a a a<br />

2


(3) 戦 略 的 研 究 拠 点 育 成 評 価 作 業 部 会 委 員 名 簿 (50 音 順 敬 称 略 )<br />

主 査 平 澤 泠 東 京 大 学 名 誉 教 授<br />

岩 田 一 明<br />

大 阪 大 学 / 神 戸 大 学 名 誉 教 授<br />

大 滝 義 博<br />

株 式 会 社 バイオフロンティアパートナーズ 代 表 取 締 役 社 長<br />

小 川 智 也<br />

独 立 行 政 法 人 理 化 学 研 究 所 和 光 研 究 所 所 長<br />

国 武 豊 喜<br />

財 団 法 人 北 九 州 産 業 学 術 推 進 機 構 理 事 長<br />

小 長 谷 明 彦<br />

東 京 工 業 大 学 総 合 理 工 学 研 究 科 教 授<br />

谷 口 克<br />

独 立 行 政 法 人 理 化 学 研 究 所 免 疫 ・アレルギー 科 学 総 合 研 究 センター<br />

センター 長<br />

橋 本 和 仁<br />

東 京 大 学 大 学 院 工 学 系 研 究 科 教 授<br />

林 良 嗣<br />

名 古 屋 大 学 大 学 院 環 境 学 研 究 科 教 授<br />

室 伏 きみ 子<br />

お 茶 の 水 女 子 大 学 大 学 院 人 間 文 化 創 成 科 学 研 究 科 教 授<br />

山 野 井 昭 雄<br />

味 の 素 株 式 会 社 社 友<br />

David R. Cope<br />

Parliamentary Office of Science and Technology,<br />

Houses of Parliament<br />

Horst Domdey<br />

Chief Executive Officer, BioM AG<br />

Christopher T.<br />

Hill<br />

Duncan T. Moore<br />

Professor, School of Public Policy,<br />

George Mason University<br />

Professor, The Institute of Optics, School of Engineering and<br />

Applied Science, University of Rochester<br />

Bruce Stronach<br />

テンプル 大 学 ジャパンキャンパス 学 長<br />

3


2. 各 論<br />

4


(1) 戦 略 的 研 究 拠 点 育 成<br />

5


東 工 大 統 合 研 究 院<br />

( 事 後 評 価 )<br />

( 実 施 期 間 : 平 成 17~21 年 度 )<br />

機 関 名 : 東 京 工 業 大 学 ( 組 織 運 営 統 括 責 任 者 : 伊 賀 健 一 )<br />

組 織 運 営 計 画 の 概 要<br />

本 構 想 では、 社 会 や 産 業 界 から 生 じる 課 題 を 解 決 するだけではなく、 大 学 が 自 ら 描 く 数 年 後 か<br />

ら 十 数 年 後 の 社 会 や 産 業 界 のあるべき 姿 に 近 づくため、 解 決 すべき 具 体 的 な 課 題 を 設 定 し、 大 学<br />

が 持 つ 多 様 な 知 識 を 総 動 員 ・ 再 構 築 してそれら 課 題 解 決 のための 解 答 (ソリューション)を 創 出<br />

するためのメカニズムを 構 築 する。このための 研 究 拠 点 として「 東 工 大 統 合 研 究 院 」を 設 置 し、<br />

その 中 にソリューション 研 究 の 中 核 的 組 織 となる「ソリューション 研 究 機 構 」を 置 き、 産 業 界 で<br />

十 分 な 経 験 を 持 つ 学 外 からの 人 材 を 機 構 長 に 充 てる。さらに、 機 構 長 を 補 佐 する「 機 構 長 室 」、 次<br />

世 代 の 社 会 や 産 業 のあるべき 姿 を 示 し、それを 機 軸 とした 課 題 の 設 定 やソリューションに 至 るた<br />

めのロードマップを 提 示 する「イノベーションシステム 研 究 センター」 及 び 課 題 解 決 に 向 けて 研<br />

究 を 行 う「 研 究 部 門 」を 設 置 する。<br />

(1) 総 合 評 価 ( 所 期 の 計 画 と 同 等 の 取 組 が 行 われている)<br />

本 課 題 は、 社 会 ・ 産 業 における 課 題 解 決 型 研 究 (ソリューション 研 究 )を 大 学 が 組 織 として 実<br />

施 した 取 組 として 先 駆 的 であり、エネルギーや 医 療 という 社 会 的 に 意 義 のある 具 体 的 な 課 題 に 取<br />

り 組 み、 成 果 を 挙 げた。また、 研 究 拠 点 として 新 たに 東 工 大 統 合 研 究 院 を 設 置 し、トップダウン<br />

型 のマネジメントの 下 、 広 く 学 内 外 の 共 同 研 究 を 促 進 するための 組 織 的 枠 組 みを 構 築 し、 研 究 シ<br />

ステム 改 革 に 取 り 組 んだ。このような 取 組 は、 研 究 ・ 組 織 ・ 運 営 のそれぞれにおけるイノベーシ<br />

ョンを 企 図 した 好 事 例 として、 広 く 社 会 への 波 及 効 果 が 期 待 できるものである。<br />

ソリューション 研 究 は、 科 学 技 術 が 真 に 社 会 に 貢 献 し 得 るかどうかを 問 う 試 金 石 であり、 大 学<br />

が 国 民 の 支 持 を 得 るために 今 後 、 広 く 展 開 していくべき 重 要 な 取 組 である。 今 後 、 課 題 の 設 定 や<br />

ソリューションに 至 るロードマップ 等 を 提 示 するシンクタンク 機 能 を 具 備 したイノベーションシ<br />

ステム 研 究 センターの 機 能 強 化 によって、 本 課 題 の 取 組 が 広 く 学 内 外 に 普 及 し 展 開 が 図 られるこ<br />

とを 期 待 する。<br />

以 上 により、 所 期 の 計 画 と 同 等 の 取 組 が 行 われている。<br />

< 総 合 評 価 :A><br />

(2) 個 別 評 価<br />

1ミッションステートメントに 対 する 達 成 度<br />

目 標 1 6 年 目 以 降 は、 外 部 資 金 を 十 分 に 獲 得 し、ソリューション 研 究 機 構 の 研 究 部 門 は、 原 則<br />

として、 外 部 資 金 により 運 営 できるようになっていることとする。<br />

目 標 2 学 長 裁 量 ポストを 返 還 しても、 外 部 資 金 で 必 要 な 人 材 を 雇 用 できることとする。<br />

目 標 3 教 授 一 人 あたりの 外 部 資 金 獲 得 額 の 目 標 を、5,000 万 円 / 年 以 上 ( 間 接 経 費 20%を 含 む)<br />

とする。<br />

目 標 4 統 合 研 究 院 に 在 籍 している 博 士 課 程 の 学 生 数 の 目 標 を 平 均 10 名 / 教 員 とする。<br />

目 標 5 研 究 部 門 の 研 究 チームは、 時 限 が 切 れた 場 合 や 満 足 すべきソリューションが 得 られた 場<br />

合 には、 研 究 チームを 解 散 することとする。<br />

目 標 6 イノベーションシステム 研 究 センターにおいては、 調 査 研 究 の 実 施 および 成 果 を 基 に 国<br />

6


の 科 学 技 術 政 策 における 目 標 設 定 や 各 種 提 言 に 貢 献 するとともに、 研 究 部 門 の 新 規 研 究<br />

チーム 構 想 を 常 に 協 議 ・ 提 案 していく 体 制 を 整 えることとする。<br />

目 標 7 機 構 長 室 は、 広 報 ・サービス 活 動 の 評 価 を 行 い、その 貢 献 度 を 明 確 にする。<br />

目 標 8 先 進 研 究 機 構 からソリューション 研 究 機 構 への 継 続 的 な 協 力 ならびに 流 動 性 の 確 保 をす<br />

る。<br />

目 標 9 3 年 目 の 中 間 評 価 までに 明 らかにした 方 向 性 に 従 って、 附 置 研 究 所 の 組 織 改 革 を 実 現 さ<br />

せる。<br />

目 標 1については、 各 ソリューション 研 究 プロジェクトは、 競 争 的 研 究 資 金 及 び 共 同 研 究 費 等<br />

の 確 保 により、 原 則 として、 外 部 資 金 による 運 営 が 可 能 となっている。<br />

目 標 2については、 各 プロジェクトが 確 保 している 外 部 資 金 により、 継 続 に 必 要 な 人 数 の 雇 用<br />

を 可 能 とし、 平 成 22 年 度 においては 計 37 名 を 雇 用 している。<br />

目 標 3については、 平 成 21 年 度 における 教 授 1 名 当 たりの 外 部 資 金 獲 得 額 は 平 均 4,400 万 円 /<br />

年 ( 間 接 経 費 比 率 16.5%)であり、 設 定 した 目 標 に 対 してやや 未 達 成 であるが、 一 般 的 な 日 本 の<br />

大 学 教 授 の 外 部 資 金 獲 得 額 を 大 きく 上 回 っている。<br />

目 標 4については、 実 施 期 間 中 に 教 授 が 指 導 した 博 士 課 程 学 生 数 は 平 均 4.7 名 であり、 目 標 に<br />

到 達 することができなかったが、 一 般 的 な 大 学 における 数 を 大 きく 上 回 っている。<br />

目 標 5については、ソリューション 研 究 プロジェクトの 成 果 に 基 づく 転 出 ルール 等 を 設 定 し、<br />

宇 宙 服 プロジェクトを 含 む3プロジェクトについて 本 課 題 から 転 出 させるなど、 適 切 に 運 用 され<br />

た。 今 後 は、 限 られた 財 源 の 活 用 のために 一 定 の 基 準 に 従 って 実 施 中 のプロジェクトの 整 理 を 戦<br />

略 的 に 進 めることが 必 要 である。<br />

目 標 6については、 産 官 の 人 材 を 集 結 したシンクタンク 機 能 により 社 会 ・ 産 業 課 題 の 設 定 や 政<br />

策 提 言 を 行 う 枠 組 みを 形 成 し、 機 関 内 の 研 究 シーズとのマッチングを 図 りソリューション 研 究 プ<br />

ロジェクトを 実 施 した。 今 後 は、 社 会 ニーズをより 的 確 に 捉 えたニーズ 解 決 型 研 究 を 指 向 すると<br />

ともに、 課 題 特 定 の 早 い 段 階 から 研 究 実 施 者 を 巻 き 込 み 課 題 解 決 機 能 を 強 化 し、 成 果 の 社 会 への<br />

普 及 活 動 を 格 段 に 強 化 する 体 制 へ 発 展 させることが 必 要 である。<br />

目 標 7については、 季 刊 ニュースレター「そりゅーしょん 通 信 」の 発 行 、 各 年 度 に「ソリュー<br />

ション 研 究 国 際 シンポジウム」 等 の 成 果 発 表 会 を 開 催 するとともに、 機 構 長 室 の 研 究 支 援 機 能 を<br />

広 く 機 関 内 に 認 知 させ、 総 合 プロジェクト 支 援 センターの 発 足 につなげた。<br />

目 標 8については、ソリューション 研 究 の 社 会 ・ 産 業 課 題 の 設 定 において 先 進 研 究 機 構 が 研 究<br />

シーズの 抽 出 ・ 提 供 等 の 協 力 を 行 う 体 制 が 構 築 され、また 先 進 研 究 機 構 所 属 の 教 員 が 専 任 教 員 ・<br />

協 力 教 員 としてソリューション 研 究 に 参 加 する 等 の 協 力 関 係 や 流 動 性 が 確 保 された。<br />

目 標 9については、 平 成 22 年 度 に 新 統 合 研 究 院 を 発 足 させ、ソリューション 研 究 機 構 及 びフロ<br />

ンティア 研 究 機 構 を 中 心 とした 組 織 的 連 係 研 究 の 枠 組 みを 構 築 したが、 附 置 研 究 所 の 残 存 組 織 の<br />

改 革 については 取 組 の 方 向 性 を 打 ち 出 すことにとどまった。<br />

以 上 により、ミッションステートメントは 概 ね 達 成 されたものと 評 価 できる。<br />

2 組 織 改 革 の 妥 当 性<br />

統 合 研 究 院 にソリューション 研 究 機 構 を 設 置 し、 機 構 内 のイノベーションシステム 研 究 センタ<br />

ーのシンクタンク 機 能 によって 抽 出 された 社 会 ・ 産 業 課 題 と、 学 内 の 研 究 シーズとのマッチング<br />

によって、ソリューション 研 究 を 立 ち 上 げて 実 施 する 仕 組 みを 構 築 するとともに、これを 起 点 と<br />

して 学 内 横 断 型 の 共 同 研 究 を 促 進 し、 附 置 研 究 所 群 における 研 究 分 野 再 編 統 合 の 道 筋 を 付 けたこ<br />

とは、 組 織 改 革 の 取 組 として 評 価 できる。これに 加 えて、 機 構 長 室 による 研 究 支 援 体 制 の 拡 充 、<br />

ソリューション 研 究 実 施 における PDCA サイクルの 適 用 等 は 適 切 であり、 先 進 エネルギープロジ<br />

7


ェクトにおける 燃 料 用 高 純 度 水 素 ガス 製 造 の 実 証 や AES 国 際 共 同 研 究 センターの 発 足 による 産 学<br />

連 携 の 促 進 、 医 療 ・バイオプロジェクトにおけるフェライト 微 粒 子 を 用 いた 低 侵 襲 治 療 技 術 の 提<br />

案 及 び 医 療 情 報 プロジェクトにおける 電 子 私 書 箱 の 設 置 とその 活 用 による 政 策 提 案 等 に 代 表 され<br />

る 数 々の 成 果 を 挙 げた。<br />

日 本 の 大 学 の 組 織 的 な 取 組 として 先 駆 的 なソリューション 研 究 を、 今 後 より 効 果 的 な 社 会 ・ 産<br />

業 課 題 解 決 型 研 究 に 発 展 させるためには、 学 内 シーズにとらわれない 課 題 設 定 と、 研 究 成 果 の 社<br />

会 への 普 及 と 定 着 をより 強 く 意 識 した 研 究 プロジェクトの 設 定 が 必 要 であり、そのための 組 織 改<br />

革 が 継 続 されることを 期 待 する。また 学 内 の 組 織 改 革 や 附 置 研 究 所 群 の 時 代 の 要 請 に 適 った 統 合<br />

再 編 は 途 上 にあり、 機 関 長 のリーダーシップの 下 、 引 き 続 き 改 革 を 進 めることが 極 めて 重 要 であ<br />

る。<br />

以 上 により、 組 織 改 革 は 所 期 の 計 画 と 同 等 であったと 評 価 できる。<br />

3 運 営 改 革 の 妥 当 性<br />

統 合 研 究 院 は、 学 長 でもある 院 長 の 強 い 権 限 と 責 任 を 明 確 化 し、 院 長 のリーダーシップの 下 で<br />

トップダウンによる 意 思 決 定 を 実 現 しており、 学 長 裁 量 によるスペース・ポスト・ 経 費 を 確 保 し<br />

万 全 の 研 究 支 援 体 制 を 敷 くとともに、 流 動 教 員 制 の 創 設 による 学 内 研 究 者 のソリューション 研 究<br />

への 参 画 や 共 同 研 究 部 門 制 度 の 創 設 による 学 外 の 産 学 機 関 との 連 携 を 促 進 し、ソリューション 研<br />

究 を 支 える 多 様 な 共 同 研 究 体 制 を 可 能 とした。また、 大 型 プロジェクト 等 支 援 事 務 室 の 設 置 、 外<br />

部 資 金 による 職 員 雇 用 の 促 進 等 、 組 織 運 営 改 革 を 進 めた 多 面 的 ・ 多 層 的 な 取 組 は 評 価 できる。<br />

一 方 で、このような 取 組 は 機 関 内 の 他 部 門 ・ 部 局 への 波 及 は 途 上 にある。 特 に、ソリューショ<br />

ン 研 究 の 考 え 方 が 大 学 院 研 究 科 ・ 学 部 に 浸 透 することが 重 要 であり、 課 題 特 定 の 早 い 段 階 から 学<br />

内 外 の 研 究 実 施 者 を 含 めたソリューション 研 究 制 度 を 定 着 させ、また 特 に 社 会 的 課 題 に 対 しては<br />

成 果 の 社 会 実 装 までを 担 う 強 力 な 体 制 制 度 を 導 入 する 等 、 運 営 改 革 は 今 後 も 継 続 ・ 強 化 されるこ<br />

とが 必 要 である。また、 組 織 運 営 が 不 必 要 に 複 雑 化 することによる 弊 害 が 懸 念 され、 常 に 組 織 運<br />

営 の 見 直 し・ 最 適 化 を 図 ることを 期 待 する。<br />

以 上 により、 運 営 改 革 は 所 期 の 計 画 と 同 等 であったと 評 価 できる。<br />

4 実 施 期 間 終 了 後 における 継 続 性 の 見 通 し<br />

平 成 22 年 度 に 発 足 した 新 統 合 研 究 院 は、4つの 附 置 研 究 所 と 像 情 報 工 学 研 究 所 を 研 究 主 体 、ソ<br />

リューション 研 究 機 構 とフロンティア 研 究 機 構 を 研 究 プラットフォームと 位 置 づけた 組 織 形 態 を<br />

取 り、 学 長 裁 量 ポストの 確 保 により 教 員 数 と 流 動 性 も 担 保 し、 組 織 及 び 分 野 を 横 断 する 研 究 プロ<br />

ジェクト 推 進 を 更 に 促 進 する 枠 組 みとして 本 取 組 を 継 続 ・ 発 展 させるもので、 研 究 院 会 議 による<br />

組 織 横 断 的 な 意 思 決 定 の 下 で 研 究 システム 改 革 の 更 なる 発 展 が 期 待 できる。ソリューション 研 究<br />

は 機 関 の 中 期 目 標 ・ 中 期 計 画 にその 推 進 が 記 載 されており、 機 関 としての 継 続 の 意 思 も 明 確 であ<br />

る。<br />

一 方 、 継 続 に 当 たっての 財 政 的 裏 付 けについては、 競 争 的 研 究 資 金 、 運 営 費 交 付 金 特 別 教 育 研<br />

究 経 費 及 び 協 力 企 業 からの 資 金 受 入 が 当 面 は 確 保 されているものの、 長 期 的 な 継 続 性 の 観 点 から<br />

は 安 定 的 な 更 なる 外 部 資 金 の 確 保 が 必 要 である。 特 に 産 学 連 携 面 において、 協 力 企 業 数 に 見 合 っ<br />

た 財 政 規 模 の 確 保 を 期 待 する。また、 組 織 面 においては、 新 統 合 研 究 院 への 移 行 に 伴 い、 教 員 の<br />

流 動 性 は 確 保 されるものの 組 織 の 規 模 自 体 が 縮 小 する 懸 念 がある。 例 えば 学 内 他 部 門 との 連 携 に<br />

おいて 研 究 自 体 を 精 力 的 に 担 う 十 分 な 数 の 教 員 の 参 画 が 引 き 続 き 得 られるか 等 について 留 意 して、<br />

組 織 運 営 を 継 続 することが 必 要 である。<br />

以 上 により、 取 組 の 継 続 性 は 期 待 できるものの、やや 十 分 ではない 点 もあった。<br />

8


5 中 間 評 価 及 びフォローアップの 反 映<br />

中 間 評 価 におけるコメントへの 対 応 については、 中 間 評 価 の 翌 年 に 実 施 したフォローアップに<br />

おいて、 学 長 の 強 いリーダーシップの 下 で 改 善 策 が 示 されたと 評 価 され、その 上 で、ソリューシ<br />

ョン 研 究 の 理 念 の 一 層 の 明 確 化 、 研 究 プロジェクト 運 営 におけるシンクタンクの 役 割 の 明 確 化 及<br />

び 統 合 研 究 院 の 組 織 構 成 の 明 確 化 と 簡 略 化 の 必 要 性 が 指 摘 された。これらの 指 摘 に 対 して、ソリ<br />

ューション 研 究 を「 近 い 将 来 に 実 現 すべき 社 会 ・ 産 業 課 題 を 設 定 し、 学 内 外 と 広 く 連 携 して 取 り<br />

組 む 組 織 的 研 究 」と 再 定 義 し、シンクタンク 機 能 についてはプロジェクト 選 定 基 準 を 明 確 化 する<br />

とともに 透 明 性 を 確 保 し、 組 織 構 成 については 新 統 合 研 究 院 への 移 行 準 備 段 階 において、 各 組 織<br />

の 機 能 と 組 織 間 の 関 係 の 明 確 化 に 努 めた。これらの 取 組 は 中 間 評 価 及 びフォローアップにおける<br />

指 摘 への 的 確 な 対 応 として 評 価 できる。<br />

なお、ソリューション 研 究 が 本 来 の 意 味 での 課 題 解 決 型 研 究 となるためには、 社 会 ・ 産 業 にお<br />

けるニーズにより 重 きを 置 いて 課 題 の 設 定 と 研 究 成 果 の 社 会 への 還 元 と 普 及 定 着 を 進 める 必 要 が<br />

ある。また、 新 統 合 研 究 院 の 組 織 構 成 については、 発 足 時 点 における 整 理 を 出 発 点 として、 引 き<br />

続 き 明 確 化 ・ 簡 略 化 の 取 組 が 必 要 である。 以 上 の 点 について、 今 後 の 取 組 を 期 待 する。<br />

以 上 により、 中 間 評 価 及 びフォローアップの 結 果 は 反 映 されたと 評 価 できる。<br />

(3) 評 価 結 果<br />

総 合 評 価<br />

ミッションス<br />

テートメント<br />

に 対 する<br />

達 成 度<br />

組 織 改 革 の<br />

妥 当 性<br />

運 営 改 革 の<br />

妥 当 性<br />

実 施 期 間 終 了<br />

後 における 継<br />

続 性 の 見 通 し<br />

中 間 評 価 の<br />

反 映<br />

A a a a a/b a<br />

9


「サステイナビリティ 学 連 携 研 究 機 構 」 構 想<br />

( 事 後 評 価 )<br />

( 実 施 期 間 : 平 成 17~21 年 度 )<br />

機 関 名 : 東 京 大 学 ( 組 織 運 営 統 括 責 任 者 : 濱 田 純 一 )<br />

組 織 運 営 計 画 の 概 要<br />

本 連 携 研 究 機 構 は、 本 課 題 で 定 義 した「サステイナビリティ 学 」に 基 づき、 複 数 の 研 究 機 関 の<br />

連 携 により 必 要 とされる 研 究 教 育 領 域 を 包 括 的 にカバーするネットワーク 型 研 究 拠 点 を 形 成 し、<br />

サステイナビリティ 学 分 野 における 世 界 最 高 水 準 の 国 際 的 研 究 拠 点 の 形 成 を 目 指 す。 本 連 携 研 究<br />

機 構 は、 参 加 5 大 学 と 協 力 機 関 の 強 固 な 連 携 の 下 に 戦 略 的 協 働 研 究 教 育 を 推 進 し、 人 類 の 生 存 基<br />

盤 の 安 定 と 持 続 可 能 な 人 類 社 会 の 構 築 に 必 要 な 国 際 的 人 材 を 育 成 する。これらの 活 動 を 通 じて、<br />

新 しい 総 合 的 な 学 術 分 野 としてのサステイナビリティ 学 の 創 生 と 世 界 最 高 水 準 の 国 際 研 究 拠 点 形<br />

成 を 達 成 する。また、 本 連 携 研 究 機 構 の 学 術 ネットワークを 世 界 における 関 連 の 深 い 学 術 ネット<br />

ワークと 連 携 させ、 本 連 携 研 究 機 構 がそのハブとなることにより、 本 連 携 研 究 機 構 が「サステイ<br />

ナビリティ 学 」の 中 心 としての 役 割 を 担 う。<br />

(1) 総 合 評 価 ( 所 期 の 計 画 と 同 等 の 取 組 が 行 われている)<br />

「サステイナビリティ 学 」という 自 然 科 学 のみならず 人 文 社 会 や 社 会 科 学 も 融 合 した 新 しい 学<br />

問 領 域 創 成 に 向 け、 我 が 国 の 主 要 5 大 学 を 中 心 に 連 携 したプロジェクトである。 各 大 学 の 総 長 ・<br />

学 長 のリーダーシップが 十 分 に 発 揮 され、 参 加 大 学 の 特 性 を 活 かしつつ 関 連 分 野 の 組 織 改 革 が 行<br />

われた。 国 際 的 にも 学 術 誌 の 刊 行 、 多 数 の 学 術 論 文 の 発 表 等 サステイナビリティ 学 の 確 立 に 対 す<br />

る 貢 献 が 少 なくない。 育 成 期 間 終 了 後 も、 活 動 を 継 続 する 仕 組 みを 構 築 し、 今 後 もサステイナビ<br />

リティ 学 の 発 展 に 更 なる 寄 与 が 期 待 できる。なお、 教 育 プログラムについては、 参 加 大 学 間 にお<br />

いてより 深 化 した 改 革 の 継 続 と 発 展 が 必 要 である。<br />

以 上 により、 所 期 の 計 画 と 同 等 の 取 組 が 行 われている。<br />

< 総 合 評 価 :A><br />

(2) 個 別 評 価<br />

1ミッションステートメントに 対 する 達 成 度<br />

1) 組 織 構 築<br />

目 標 1 企 画 運 営 本 部 を 発 展 させ、「サステイナビリティ 学 連 合 ( 学 会 ・NPO から 構 成 さ<br />

れ、 連 合 教 育 部 を 併 設 する)」として 発 足 させる。その 組 織 構 成 ・ 運 営 方 針 について<br />

は、 連 携 研 究 アドバイザリーボード 及 び 戦 略 的 研 究 拠 点 育 成 評 価 委 員 会 等 の 評 価 ・<br />

助 言 を 受 け、 基 本 方 針 に 反 映 させる。<br />

目 標 2 参 加 5 大 学 における 総 長 ・ 学 長 主 導 の 組 織 改 革 の 成 果 を 定 着 させ、 全 学 的 な 組 織<br />

改 革 につなげる。<br />

2) 研 究 実 績<br />

目 標 3 サステイナビリティ 学 分 野 における 世 界 の 他 の 研 究 拠 点 を 凌 駕 する 学 術 論 文 等 の<br />

成 果<br />

目 標 4 国 際 連 合 の 締 約 国 会 議 、IPCC 等 の 専 門 家 会 合 において 本 機 構 の 成 果 に 基 づく 対 処<br />

方 針 が 提 示 される。<br />

目 標 5 国 際 学 術 誌 「Sustainability Science」を 年 4 回 刊 行 し、サステイナビリティ 学 分 野<br />

10


における 世 界 的 な 学 術 誌 として 定 着 させる。<br />

3) 教 育 実 績<br />

目 標 6 参 加 5 大 学 間 の 協 働 教 育 プログラムの 継 続 ・ 発 展 のため、 学 生 定 員 100 名 以 上 の<br />

「サステイナビリティ 学 連 合 教 育 部 」を 組 織 する。<br />

目 標 7 単 位 互 換 制 度 の 定 着 、デュアルディグリーあるいは 共 同 修 了 認 定 書 の 発 行 。<br />

目 標 8 サステイナビリティ 学 国 際 実 践 教 育 プログラムの 定 着 ・ 深 化 。 地 域 での 問 題 解 決<br />

能 力 を 有 する 次 世 代 人 材 の 育 成 。<br />

4) 海 外 拠 点<br />

目 標 9 育 成 期 間 終 了 後 も 参 加 5 大 学 及 び 協 力 機 関 が、アジアにおける 研 究 ・ 教 育 推 進 の<br />

拠 点 として 共 同 利 用 する。<br />

5)アウトリーチ<br />

目 標 10 自 立 的 に 国 際 会 議 が 開 催 できる 基 盤 をつくり、 同 基 盤 が 世 界 的 に 認 知 された 場 と<br />

する。<br />

目 標 11 サステイナビリティ 学 の 重 要 性 が 市 民 レベルで 認 識 されるよう、 啓 蒙 ・ 広 報 活 動<br />

を 継 続 。<br />

6) 企 業 連 携 と 人 材 育 成<br />

目 標 12 サステイナビリティ 企 業 コンソーシアムを 定 着 させ、 外 部 資 金 ( 年 1 億 円 以 上 )<br />

を 獲 得 、サステイナビリティ 学 連 合 の 運 営 基 盤 を 確 立 する。<br />

目 標 13 新 しい 産 業 の 育 成 に 対 するビジョン 提 言 、 国 際 機 関 に 対 する 政 策 提 言 等 により 国<br />

際 社 会 におけるリーダーシップを 発 揮 する。<br />

目 標 1については、 育 成 期 間 終 了 後 に 企 画 運 営 本 部 の 役 割 を 担 うとともに 教 育 部 門 も 有 する 一<br />

般 社 団 法 人 :サステイナビリティ 学 コンソーシアム(SSC)を 設 立 し、 連 携 研 究 アドバイザリー<br />

ボード 及 び 戦 略 的 研 究 拠 点 育 成 評 価 委 員 会 等 の 評 価 ・ 助 言 を 受 け、 法 人 運 営 に 反 映 させている。<br />

目 標 2については、 各 大 学 ともに、 全 学 的 な 組 織 改 革 には 至 っていないものの 関 連 分 野 の 部 局<br />

横 断 型 の 組 織 を 総 長 ・ 学 長 の 強 いリーダーシップの 下 に 設 立 し、 我 が 国 で 始 めてサステイナビリ<br />

ティ 学 分 野 のネットワーク 型 研 究 拠 点 の 構 築 を 推 進 した。<br />

目 標 3については、 連 携 フラッグシッププロジェクトを 立 ち 上 げ、 参 加 大 学 と 協 力 大 学 が 連 携<br />

して 横 断 的 な 研 究 を 進 めるとともに、 各 大 学 においてもこれまでの 学 術 研 究 の 蓄 積 を 活 かした 研<br />

究 を 推 進 し、サステイナビリティ 学 連 携 研 究 機 構 (IR3S)に 所 属 する 研 究 者 ( 協 力 教 員 、 併 任 教<br />

員 等 を 含 む)が、サステイナビリティ 学 に 関 連 する 分 野 で 発 表 した 査 読 付 の 学 術 論 文 数 は、 育 成<br />

期 間 中 に 1,000 編 を 超 えている。しかし、 既 存 の 専 門 分 野 の 雑 誌 等 に 発 表 した 業 績 がその 多 数 を<br />

占 め、 多 くは IR3S として 行 ったサステイナビリティ 学 の 直 接 的 研 究 成 果 ではない。ただし、 論 文<br />

の 質 に 関 する 国 際 メールレビューの 結 果 によれば、 総 じてその 質 は 十 分 国 際 レベルに 達 している<br />

と 判 断 されている。<br />

目 標 4については、 特 に IPCC 第 四 次 評 価 報 告 書 ・リードオーサー 会 議 においてメンバーの 大<br />

半 を IR3S 参 画 研 究 者 が 占 め、 政 策 提 言 等 が 対 処 方 針 に 反 映 される 等 、 国 際 的 に 大 きな 影 響 力 を 発<br />

揮 している。<br />

目 標 5については、 国 際 学 術 誌 「Sustainability Science」を 創 刊 した。 年 4 回 の 刊 行 には 至 って<br />

いないものの、 平 成 22 年 6 月 に ISI インパクトファクター(トムソン・ロイター 社 )は 1.651 を<br />

記 録 し、 世 界 の 環 境 科 学 関 連 180 の 学 術 雑 誌 中 80 位 を 占 め、 発 刊 間 もない 学 術 誌 としては、 確 実<br />

にサステイナビリティ 学 分 野 における 国 際 的 な 地 位 を 築 きつつあるものと 思 われる。<br />

目 標 6については、 参 加 5 大 学 において 各 大 学 の 特 徴 を 活 かした 教 育 プログラムの 設 置 を 足 掛<br />

かりに、 最 終 的 に 約 100 名 の 学 生 を 受 け 入 れるサステイナビリティ 学 連 合 教 育 部 を 組 織 した。<br />

11


目 標 7については、 参 加 5 大 学 のうち、 東 京 大 学 と 茨 城 大 学 との 間 及 び 京 都 大 学 と 大 阪 大 学 と<br />

の 間 で、 単 位 互 換 制 度 が 実 施 されている。また、 各 大 学 で 行 われているサステイナビリティ 学 に<br />

関 する 共 同 教 育 プログラムを 設 置 し、 修 了 者 30 名 に 共 同 修 了 認 定 証 を 発 行 している。<br />

目 標 8については、 東 京 大 学 において 海 外 の 学 生 も 集 めた 教 育 プログラム:Intensive Program on<br />

Sustainability(IPoS)を 開 催 したことをはじめとして、 参 加 大 学 においても 同 様 の 教 育 プログラムを<br />

開 設 している。<br />

目 標 9については、 東 京 大 学 が 中 国 及 びインドと、 京 都 大 学 が 中 国 及 びタイと 連 携 し 研 究 拠 点<br />

を 設 置 する 等 関 係 強 化 を 図 った。<br />

目 標 10 については、 国 際 会 議 やシンポジウムを 開 催 することにより、 世 界 的 な 認 知 度 を 高 めた。<br />

特 に International Conference on Sustainability Science(ICSS) 及 びそのアジア 版 (ICSS-Asia)については、<br />

多 くの 国 内 外 の 研 究 者 、 企 業 等 が 参 加 し 同 会 議 の 認 知 を 広 めた。また、ICSS は 育 成 期 間 終 了 後 の<br />

2011 年 の 開 催 機 関 等 が 決 定 されており、 継 続 的 な 開 催 を 図 っている。<br />

目 標 11 については、 無 料 の 季 刊 広 報 誌 :サステナを 育 成 期 間 中 に 16 回 (20,000 部 / 回 ) 発 行<br />

するとともに、 英 語 版 のテキストや 全 5 巻 の 書 籍 等 の 刊 行 (UNU Press 及 び 東 京 大 学 出 版 会 )、 公<br />

開 講 座 の 開 催 により、 市 民 レベルにおけるサステイナビリティ 学 の 啓 蒙 ・ 広 報 活 動 を 実 施 した。<br />

目 標 12 については、コンソーシアム 運 営 を 基 盤 とした 外 部 資 金 の 獲 得 は 順 調 ではないが、 参 加<br />

大 学 を 受 け 皿 にした 外 部 資 金 獲 得 額 は、 年 間 平 均 1 億 円 を 超 えている。<br />

目 標 13 については、 民 間 企 業 との 共 同 研 究 により 持 続 可 能 エネルギー 戦 略 を 策 定 する 等 、 産 官<br />

学 連 携 により 国 際 的 研 究 基 盤 の 確 立 を 推 進 している。<br />

以 上 により、ミッションステートメントは 概 ね 達 成 されたものと 評 価 できる。<br />

2 組 織 改 革 の 妥 当 性<br />

ネットワーク 型 研 究 拠 点 である IR3S のプロジェクトを 推 進 するために、 東 京 大 学 においては 総<br />

長 直 轄 の 組 織 が 設 置 され、その 後 の 東 京 大 学 における 関 連 分 野 の 組 織 改 革 の 先 鞭 となるなど、 組<br />

織 改 革 モデルの 有 効 性 が 認 められる。また 他 の 参 加 大 学 においても 総 長 ・ 学 長 のリーダーシップ<br />

の 下 、 関 連 分 野 の 部 局 横 断 型 の 組 織 が 設 置 され、それぞれの 大 学 が 有 する 特 性 を 活 かした 関 連 分<br />

野 を 対 象 とした 組 織 改 革 が 行 われており、 参 加 大 学 間 等 で 一 定 の 連 携 が 図 られ、シナジー 効 果 も<br />

見 られる。さらに、 国 際 学 術 誌 の 発 行 や 国 際 シンポジウムの 開 催 等 を 通 じサステイナビリティ 学<br />

におけるコミュニティが 形 成 されつつあり、 国 際 的 にサステイナビリティ 学 におけるネットワー<br />

クのハブとして IR3S の 認 知 が 高 まってきており、サステイナビリティ 学 の 構 築 における 主 要 な 推<br />

進 力 の 一 つになっていると 判 断 できる。<br />

今 後 は、サステイナビリティ 学 の 体 系 化 ・ 構 造 化 の 取 組 により、 目 的 の 絞 込 みと 必 要 な 機 能 の<br />

明 確 化 を 行 い、 東 京 大 学 のみならず 他 の 参 加 大 学 における 更 なる 組 織 改 革 を 推 進 する 必 要 がある。<br />

また、サステイナビリティ 学 全 体 に 寄 与 するべく、ネットワーク 型 研 究 拠 点 の 在 り 方 の 継 続 的 検<br />

証 と 拠 点 の 発 展 、 国 内 外 の 他 機 関 への 成 果 の 還 元 を 期 待 する。<br />

以 上 により、 組 織 改 革 は 所 期 の 計 画 と 同 等 であったと 評 価 できる。<br />

3 運 営 改 革 の 妥 当 性<br />

東 京 大 学 の 強 力 なイニシアティブと 相 まって、 各 大 学 の 総 長 ・ 学 長 のリーダーシップが 発 揮 さ<br />

れ、これまでの 大 学 全 体 及 び 部 局 内 における 硬 直 した 制 度 の 革 新 に 向 けた 動 きが 始 まっている。<br />

しかし、 東 京 大 学 と 他 の 参 加 4 大 学 の 運 営 改 革 の 進 展 には 遅 速 が 見 られ、 連 携 の 基 盤 となるサ<br />

ステイナビリティ 学 の 定 義 を 踏 まえた 更 なる 深 化 とアプローチ 手 法 の 検 証 により、 参 加 大 学 各 々<br />

のより 主 体 的 な 運 営 改 革 を 期 待 する。 特 に 今 後 、より 多 くの 機 関 との 連 携 を 図 り 相 乗 効 果 を 期 待<br />

するに 当 たっては、 機 関 の 選 定 方 法 を 見 直 し、サステイナビリティ 学 の 定 義 に 照 らして 整 備 が 遅<br />

12


れている「 社 会 の 持 続 」に 焦 点 を 当 てた 実 効 性 のあるネットワークの 構 築 を 工 夫 する 必 要 がある。<br />

教 育 に 関 しては、サステイナビリティ 学 という 幅 広 い 学 問 の 確 立 には Dual Degree 制 度 が、また、<br />

連 携 研 究 機 構 の 教 育 体 制 としては Joint Degree 制 度 の 確 立 が 不 可 欠 と 思 われる。しかし、 肝 要 な 単<br />

位 互 換 制 度 が 東 京 大 学 と 茨 城 大 学 との 間 及 び 京 都 大 学 と 大 阪 大 学 との 間 という、 近 隣 大 学 間 のみ<br />

でしか 導 入 されていないなど、 大 学 間 に 横 たわる 制 度 の 違 いを 克 服 することは 困 難 が 伴 うことを<br />

加 味 してもなお、 教 育 システムについては 改 革 が 不 十 分 であったと 言 わざるを 得 ない。<br />

以 上 により、 運 営 改 革 はやや 十 分 ではない 点 があった。<br />

4 実 施 期 間 終 了 後 における 継 続 性 の 見 通 し<br />

IR3S 全 体 としては、 一 般 社 団 法 人 SSC を 設 立 し、その 理 事 長 に 前 IR3S 機 構 長 が 就 任 している<br />

ことから、 各 大 学 拠 点 の 取 りまとめ 役 が 継 承 されていくことについて 懸 念 材 料 は 少 ない。また、<br />

参 加 5 大 学 の 研 究 拠 点 については 外 部 資 金 獲 得 及 び 人 事 的 措 置 が 行 われており、 財 政 面 ・ 組 織 面<br />

においても 拠 点 としての 活 動 が 維 持 されるとともに、 連 携 してサステイナビリティ 学 の 確 立 を 担<br />

って 行 くことが 期 待 できる。<br />

なお、 今 後 はさらに 多 くの 学 生 が 新 しい 学 際 分 野 であるサステイナビリティ 学 に 興 味 と 関 心 を<br />

もって 履 修 するよう、 充 実 したカリキュラムの 構 築 と 修 了 者 の 社 会 における 活 躍 の 場 の 創 設 ・ 開<br />

拓 を 期 待 する。また、 外 部 資 金 獲 得 の 他 に 企 業 との 連 携 を 進 め、 取 組 の 継 続 性 をより 確 実 なもの<br />

とすることが 必 要 である。<br />

以 上 により、 取 組 の 継 続 性 は 期 待 されると 評 価 できる。<br />

5 中 間 評 価 の 反 映<br />

中 間 評 価 においては、 継 続 性 ・ 発 展 性 に 関 して、 東 京 大 学 以 外 の 参 加 大 学 において 拠 点 の 継 続<br />

性 を 担 保 する 具 体 的 計 画 が 見 られないため、 早 急 な 対 応 が 必 要 である、との 指 摘 がなされた。こ<br />

れに 対 しては、 東 京 大 学 と 他 の 参 加 大 学 との 間 の 取 組 姿 勢 や 進 捗 度 について 相 違 が 見 られたもの<br />

の、 参 加 大 学 は 競 争 的 資 金 や 民 間 企 業 との 共 同 研 究 等 により 外 部 資 金 を 獲 得 するとともに、 拠 点<br />

の 継 続 を 図 るために 各 大 学 独 自 の 人 事 的 ・ 組 織 的 な 対 応 を 行 っている。 東 京 大 学 も 含 め、 総 長 ・<br />

学 長 の 交 代 後 も、 学 内 における 取 組 の 進 展 に 遅 れが 生 じないよう 関 係 者 の 努 力 とともに 総 長 ・ 学<br />

長 の 継 続 的 な 理 解 を 期 待 する。<br />

以 上 により、 中 間 評 価 の 結 果 は 反 映 されたと 評 価 できる。<br />

(3) 評 価 結 果<br />

総 合 評 価<br />

ミッションス<br />

テートメント<br />

に 対 する<br />

達 成 度<br />

組 織 改 革 の<br />

妥 当 性<br />

運 営 改 革 の<br />

妥 当 性<br />

実 施 期 間 終 了<br />

後 における 継<br />

続 性 の 見 通 し<br />

中 間 評 価 の<br />

反 映<br />

A a a b a a<br />

13


国 際 統 合 医 療 研 究 ・ 人 材 育 成 拠 点 の 創 成<br />

( 事 後 評 価 )<br />

( 実 施 期 間 : 平 成 17~21 年 度 )<br />

機 関 名 : 東 京 女 子 医 科 大 学 ( 組 織 運 営 統 括 責 任 者 : 宮 﨑 俊 一 )<br />

組 織 運 営 計 画 の 概 要<br />

東 京 女 子 医 科 大 学 の 私 立 医 科 系 大 学 としての 利 点 を 生 かし、 豊 富 な 臨 床 例 ・ 高 度 の 医 療 技 術 、<br />

特 色 あるテュートリアル 教 育 システム、 女 性 に 開 かれた 研 究 教 育 環 境 等 の 実 績 を 基 に、 医 療 ・カ<br />

ウンセリング・ 教 育 ・ 研 究 を 統 合 し、 伝 統 医 療 ・ 代 替 医 療 をも 包 含 した 新 しい 統 合 医 科 学 分 野 を<br />

確 立 するため、 医 師 ・ 研 究 者 育 成 の 先 導 拠 点 である 国 際 統 合 医 科 学 インスティテュート(The<br />

International Research and Educational Institute for Integrated Medical Sciences;IREIIMS)を 設 立 する。<br />

本 インスティテュートでは、 現 在 の「 治 療 中 心 の 医 療 」から「 予 防 中 心 の 医 療 」へのパラダイム<br />

転 換 を 目 指 し、 大 学 本 体 とは 別 に、 総 括 責 任 者 の 強 力 なリーダーシップの 下 に 研 究 マネージメン<br />

トと 組 織 マネージメントを 担 う 経 営 戦 略 室 が 主 導 し、 運 営 会 議 等 の 検 討 ・ 調 整 を 経 て、 経 営 戦 略<br />

を 具 現 化 、インスティテュート 独 自 の 計 画 を 策 定 ・ 実 行 する。 将 来 的 には、 大 学 医 学 部 との 融 合<br />

を 目 指 す。これにより、 真 に 開 かれた 医 学 研 究 教 育 体 制 の 実 現 を 図 る。また、 研 究 者 や 大 学 院 生<br />

への 支 援 システムとして、 臨 床 情 報 のデータベースと 推 論 学 習 支 援 システムによる 研 究 ・ 臨 床 情<br />

報 の 効 率 的 検 索 ・ 利 用 が 可 能 となる 統 合 医 科 学 情 報 基 盤 (Cyber Integrated Medical Infrastructure;<br />

CIMI)を 設 計 段 階 からインターフェイス 等 に 十 分 配 慮 しつつ 構 築 する。<br />

(1) 総 合 評 価 ( 所 期 の 計 画 と 同 等 の 取 組 が 行 われている)<br />

本 構 想 は、 統 合 医 科 学 を 目 指 した 研 究 及 び 人 材 育 成 拠 点 を 創 設 することを 目 的 としている。 総<br />

括 責 任 者 のリーダーシップに 基 づき、 機 関 全 体 で 組 織 運 営 、 研 究 及 び 教 育 のシステム 改 革 を 行 い、<br />

育 成 期 間 終 了 後 も 継 続 されていることは 評 価 できる。 機 関 で 実 施 した 一 連 の 改 革 は 他 大 学 及 び 他<br />

機 関 においても 組 織 改 革 等 のモデルと 成 りうるものであり 広 く 発 信 していくことが 期 待 される。<br />

今 後 も「 統 合 医 科 学 研 究 所 」(Tokyo Women’s Medical University Institute for Integrated Medical<br />

Sciences;TIIMS) 及 び CIMI 等 を 活 用 して 機 関 が 目 指 すリサーチサイクル( 基 礎 研 究 → 応 用 ・ 開<br />

発 研 究 → 予 防 ・ 診 断 ・ 治 療 → 評 価 研 究 → 基 礎 研 究 )の 実 現 に 向 け、 継 続 的 かつ 発 展 的 な 努 力 を 積<br />

み 重 ねることを 期 待 する。<br />

以 上 により、 所 期 の 計 画 と 同 等 の 取 組 が 行 われている。<br />

< 総 合 評 価 :A><br />

(2) 個 別 評 価<br />

1ミッションステートメントに 対 する 達 成 度<br />

目 標 1 組 織 運 営 面 での 目 標<br />

1) 育 成 期 間 終 了 後 は、 本 構 想 の 国 際 統 合 医 科 学 インスティテュートを 発 展 させた 国 際<br />

統 合 医 科 学 研 究 所 を 速 やかに 設 立 する。 統 合 医 科 学 を 実 践 し、 臨 床 ・カウンセリン<br />

グ・ 研 究 ・ 教 育 の 中 核 として 同 じ 目 標 を 持 つ 医 療 、 研 究 機 関 と 連 携 、 人 材 供 給 を 行<br />

う 体 制 を 継 続 させる。<br />

2) 国 際 統 合 医 科 学 インスティテュートにおける 活 動 目 標 は 以 下 のとおりである。<br />

ア 本 インスティテュート 内 で 約 70 人 の 研 究 者 が 活 動<br />

イ チーム 制 統 合 医 科 学 育 成 コースを 指 導 する 指 導 員 約 40 人 が 活 動<br />

14


ウ 統 合 医 科 学 データベースの 蓄 積 と 参 照 を 行 うシステムを 実 用 化<br />

エ 実 践 的 シミュレータの 実 用 化<br />

3) このインスティテュートを 発 展 させた 国 際 統 合 医 科 学 研 究 所 では、 研 究 ・ 教 育 活 動<br />

経 費 の 約 80%を 定 常 収 入 として 確 保 する。この 内 訳 は、 約 40%を 研 究 所 のクリニッ<br />

ク 収 益 によって 確 保 し、 研 究 活 動 によって 生 み 出 される 医 療 情 報 を 活 用 して、 製 薬<br />

会 社 及 び 健 康 保 険 組 合 への 情 報 提 供 の 代 価 としてそれぞれ 約 20%を 確 保 する。この<br />

他 、 競 争 的 資 金 、スポンサー 企 業 または 金 融 機 関 からの 融 資 によって、 残 り 約 20%<br />

を 確 保 する。この 他 、 企 業 との 連 携 による 施 設 使 用 料 、 知 的 所 有 権 のライセンス 使<br />

用 料 等 により 研 究 ・ 教 育 活 動 経 費 を 補 う。<br />

4) 組 織 運 営 面 で 構 築 するシステムは、 以 下 のとおりである。<br />

ア 統 合 医 科 学 の 中 核 施 設 として 発 展 し、 次 世 代 の 人 間 ドック、 包 括 的 遺 伝 子 医<br />

療 、 包 括 的 カウンセリングを 実 践 するクリニック 事 業 を 展 開 し、クリニック<br />

の 診 療 より 収 益 を 得 るシステムを 構 築 する。<br />

イ 研 究 拠 点 への 産 業 界 の 積 極 的 参 加 を 促 し、 産 学 連 携 を 具 体 的 に 進 め、 高 度 な<br />

医 療 技 術 の 開 発 を 企 業 とともに 推 進 するシステムを 構 築 する。<br />

ウ 本 研 究 所 の 研 究 成 果 を 協 働 参 加 企 業 が 利 用 するビジネスモデルを 構 築 し、そ<br />

こから 収 益 を 得 るシステムを 構 築 する。<br />

目 標 2 研 究 開 発 面 での 目 標<br />

1)プロジェクト1 4,000 株 の 疾 患 細 胞 株 の 遺 伝 子 解 析 を 終 了 する。 解 析 を 進 める 中 で<br />

新 規 疾 患 関 連 遺 伝 子 ・タンパクの 同 定 を 行 う。<br />

2)プロジェクト2 分 子 イメージング 検 査 機 器 開 発 のための 分 子 マーカーと 検 査 方 法 を<br />

実 用 化 する。<br />

3)プロジェクト3 効 果 的 な 再 生 医 療 法 を 開 発 ・ 実 証 し、 臨 床 応 用 する。<br />

4)プロジェクト4 疾 患 毎 の DNA チップを 用 いた 超 早 期 疾 患 診 断 ・ 発 症 前 診 断 ・ 予 防 シ<br />

ステムを 開 発 し、その 有 効 性 を 実 証 する。<br />

5)プロジェクト5 遺 伝 子 ・タンパク 解 析 を 用 いた 特 定 保 健 用 食 品 、 栄 養 機 能 食 品 の 科<br />

学 的 評 価 を 行 い、その 有 用 性 を 検 証 する。<br />

6) 上 記 5つのプロジェクト 全 体 で、 論 文 発 表 約 150 件 、 学 会 発 表 約 120 回 、 特 許 出 願 約<br />

10 件 を 達 成 目 標 とする。<br />

目 標 3 教 育 面 での 目 標<br />

1) 育 成 された 人 材 は、 本 学 でのチーム 制 統 合 医 科 学 育 成 リーダーとして 活 動 する 他 、 他<br />

機 関 へ 統 合 医 科 学 実 践 の 中 核 として 派 遣 される。<br />

2) 本 インスティテュートは、 他 の 研 究 機 関 ・ 企 業 とも 連 携 し、オープンな 体 制 の 下 に、<br />

統 合 医 科 学 研 究 を 推 進 し、 優 れた 商 品 開 発 を 行 う 人 材 を 育 てる。<br />

3)アウトリーチ 活 動 として 統 合 医 科 学 を 広 く 社 会 に 向 け 判 りやすく 発 信 する。<br />

これらの 目 標 について、 目 標 1の1)については、IREIIMS の 構 想 と 取 組 を 継 承 する 組 織 とし<br />

て TIIMS を 育 成 期 間 終 了 直 後 に 立 ち 上 げた。TIIMS においては、 前 述 のリサーチサイクルのコン<br />

セプトに 基 づく 統 合 的 研 究 を 目 指 す 体 制 を 築 いた。<br />

2)については、 最 終 年 度 末 において 76 名 の 研 究 員 が 活 動 するとともに、 最 終 年 度 までに 総 勢<br />

47 名 の 指 導 員 が 活 動 した。また、CIMI 及 び CIMI を 活 用 した 実 践 的 シミュレータの 実 用 化 を 行 っ<br />

た。<br />

3)については、 現 段 階 ではかなり 高 額 な 有 料 事 業 となり、 社 会 的 責 任 と 信 頼 性 をもって、そ<br />

れに 見 合 う 事 業 として 展 開 するには、 医 学 的 内 容 が 未 だ 不 十 分 であるとの 判 断 から、 健 診 事 業 収<br />

15


益 によって TIIMS を 維 持 するという 方 法 は 採 られていない。これに 代 わり、TIIMS では、 競 争 的<br />

研 究 資 金 と 企 業 からの 資 金 導 入 を 定 常 的 な 収 入 源 とすることを 計 画 している。<br />

4)のアについては 目 標 1の3)に 対 する 達 成 度 において 示 した 内 容 と 同 様 である。イ 及 びウ<br />

については、 企 業 等 との 共 同 研 究 の 実 施 、これを 支 援 する 事 務 部 門 の 新 設 、CIMI の 実 用 化 等 、 高<br />

度 な 医 療 技 術 の 開 発 を 企 業 と 協 働 で 推 進 するシステムを 構 築 するとともに、 研 究 成 果 を 協 働 参 加<br />

企 業 が 利 用 するビジネスモデルを 構 築 した。<br />

目 標 2については、4,000 株 の 疾 患 細 胞 株 の 遺 伝 子 解 析 (プロジェクト1)、 磁 気 共 鳴 分 光 法 を<br />

用 いた 非 侵 襲 化 学 的 腫 瘍 診 断 法 による 実 用 化 (プロジェクト2)、 重 症 心 筋 症 に 対 する 再 生 医 療 法<br />

の 臨 床 応 用 (プロジェクト3)、 遺 伝 子 検 査 に 利 用 可 能 な DNA チップを 用 いた 簡 便 かつ 信 頼 性 の<br />

高 いリシークエンシングのシステムの 構 築 (プロジェクト4)、 特 定 保 健 用 食 品 及 び 栄 養 機 能 食 品<br />

に 対 するアンケート 方 式 による 評 価 法 の 有 効 性 の 実 証 (プロジェクト5)、また 論 文 発 表 379 件 、<br />

学 会 発 表 451 件 、 特 許 出 願 10 件 を 達 成 した。<br />

目 標 3の1)についてはチーム 制 統 合 医 科 学 育 成 コースを 修 了 した6 名 がコーディネータとし<br />

て 健 康 増 進 指 導 を 実 践 した。またコーディネーターの 他 機 関 への 派 遣 は 実 践 されなかったが、 他<br />

大 学 のコース 修 了 者 が 統 合 医 科 学 の 理 念 ・ 実 践 の 普 及 に 貢 献 した。<br />

2)については 企 業 等 との 共 同 研 究 及 び IREIIMS 公 開 セミナーの 実 施 により、オープンな 体 制<br />

の 下 に 統 合 医 科 学 研 究 を 推 進 するとともに、 食 品 開 発 メーカーとの 協 同 による 慢 性 疾 患 患 者 等 向<br />

けの 食 品 開 発 を 通 して 商 品 開 発 に 携 わる 人 材 育 成 を 行 った。<br />

3)については、 公 開 シンポジウム、IREIIMS セミナー 等 の 実 施 により、 統 合 医 科 学 のアウト<br />

リーチ 活 動 を 行 った。<br />

以 上 により、ミッションステートメントは 概 ね 達 成 されたものと 評 価 できる。<br />

2 組 織 改 革 の 妥 当 性<br />

IREIIMS は 教 授 会 等 既 存 の 大 学 組 織 から 独 立 した 大 学 法 人 理 事 会 直 属 の 組 織 として 設 置 された。<br />

また、この IREIIMS に 経 営 戦 略 室 を 設 置 し、 総 括 責 任 者 である 学 長 のリーダーシップが 発 揮 しや<br />

すい 体 制 を 確 立 した。この 体 制 の 下 、 大 学 院 医 学 系 研 究 科 先 端 生 命 医 科 学 系 専 攻 統 合 医 科 学 分 野<br />

の 開 設 、 研 究 支 援 部 の 設 置 、 知 財 管 理 体 制 整 備 の 着 手 、 研 究 者 の 国 際 公 募 等 研 究 及 び 教 育 システ<br />

ムを 改 革 した。これにより、 専 門 分 野 のみで 滞 留 していた 知 見 の 共 有 化 が 進 み、 専 門 性 の 垣 根 を<br />

越 えた 自 由 闊 達 な 議 論 が 行 われることにより 研 究 におけるブレークスルーが 起 こるとともに、 異<br />

分 野 融 合 型 の 週 1 回 、6ヶ 月 のチーム 制 統 合 医 科 学 人 材 育 成 コースを 設 置 し e-ラーニングとラウ<br />

ンドテーブル・ディスカッションを 組 み 合 わせて 東 京 女 子 医 科 大 学 内 外 の 多 様 な 受 講 者 を 育 成 す<br />

るとともに、 当 初 目 標 には 掲 げられていなかった 短 期 コースを 開 設 したことは 評 価 できる。<br />

さらに、 中 間 評 価 における「 大 学 医 学 部 との 融 合 は 必 然 」との 指 摘 に 基 づいて、 育 成 期 間 終 了<br />

直 後 に 設 立 した 統 合 医 科 学 研 究 所 :TIIMS を 本 機 関 の 研 究 施 設 の 一 環 として 位 置 づけたことは 高<br />

く 評 価 できる。<br />

また IREIIMS において 行 われた 研 究 の 中 で、 先 天 性 疾 患 の 原 因 遺 伝 子 が 高 い 割 合 で 成 人 におけ<br />

る 腫 瘍 形 成 の 原 因 でもあることの 提 示 、 超 早 期 診 断 に 資 する 高 性 能 スクリーニング 法 の 開 発 及 び<br />

病 気 に 対 する 統 合 的 アプローチを 教 授 する「 症 例 ベース」 法 の 開 発 は、 国 際 的 に 見 ても 医 学 生 物<br />

学 界 に 対 する 統 合 医 科 学 研 究 の 貢 献 であるものと 評 価 できる。<br />

さらに、 本 育 成 期 間 において 実 践 した 改 革 手 法 は、 他 の 私 立 医 科 系 大 学 を 初 め、 多 くの 分 野 の<br />

活 動 においても 波 及 しうるモデルであるものと 評 価 できる。<br />

なお、こうした 取 組 が 新 聞 記 事 として 取 り 上 げられる 等 広 く 社 会 に 発 信 されている。<br />

以 上 により、 組 織 改 革 は 所 期 の 計 画 と 同 等 であったと 評 価 できる。<br />

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3 運 営 改 革 の 妥 当 性<br />

学 長 のリーダーシップに 基 づき、 研 究 施 設 の 設 置 等 研 究 環 境 を 迅 速 に 整 備 した。 特 に 人 事 運 営<br />

面 については、 国 際 公 募 により 多 様 な 研 究 者 を 集 めるとともに、 年 俸 制 を 採 用 することにより、<br />

女 性 研 究 者 、 外 国 籍 研 究 者 が 多 く 参 加 し 研 究 者 同 士 でモチベーションを 高 め、 結 果 的 に 当 初 目 標<br />

を 上 回 る 学 術 論 文 及 び 学 会 発 表 数 を 達 成 したことは 評 価 できる。また、CIMI の 整 備 により 統 合 医<br />

科 学 の 実 践 を 加 速 させたことも 評 価 できる。<br />

以 上 により、 運 営 改 革 は 所 期 の 計 画 と 同 等 であったと 評 価 できる。<br />

4 実 施 期 間 終 了 後 における 継 続 性 の 見 通 し<br />

育 成 期 間 終 了 直 後 に TIIMS を 創 設 し、IREIIMS の 機 能 や 体 制 を 継 承 させたことは 評 価 できる。<br />

運 営 資 金 面 においても 大 学 からの 出 資 が 担 保 されるとともに 外 部 資 金 も 獲 得 するなど 継 続 性 が 確<br />

保 されている。また、 研 究 及 び 教 育 面 においては、 大 学 院 医 学 系 研 究 科 先 端 生 命 医 科 学 系 専 攻 統<br />

合 医 科 学 分 野 を TIIMS が 担 当 することによって、 研 究 と 教 育 が 一 体 的 に 実 施 されることが 期 待 で<br />

きる。さらに、IREIIMS の 人 材 育 成 部 門 の 施 設 ・ 設 備 及 びノウハウを 継 承 する 新 設 の 統 合 教 育 学 習 室<br />

及 び 既 存 の 臨 床 技 能 研 究 室 を 軸 とする「 医 療 人 統 合 教 育 学 習 センター」を 設 置 し、これまでの 知 見 ・ノ<br />

ウハウを 活 かしてより 多 くの 統 合 医 科 学 を 実 践 する 人 材 を 輩 出 することが 期 待 できる。<br />

以 上 により、 取 組 の 継 続 性 は 期 待 されると 評 価 できる。<br />

5 中 間 評 価 の 反 映<br />

全 体 的 に 中 間 評 価 において 指 摘 された 事 項 に 適 切 に 対 応 している。 特 に 中 間 評 価 報 告 書 におけ<br />

る「 当 面 医 学 部 の 外 に 新 組 織 (IREIIMS)を 設 置 して 組 織 改 革 を 進 める 手 法 は 理 解 できる。 将 来 的 には、<br />

治 療 と 予 防 を 区 別 する 観 点 から 既 存 の 病 院 とは 融 合 させないものの、 大 学 医 学 部 との 融 合 は 必 然 である<br />

ため、ソフトランディングに 向 けた 具 体 的 な 計 画 に 着 手 すべきである」という 指 摘 に 対 して、 育 成 期 間 終 了<br />

直 後 に 設 置 した TIIMS を 大 学 の 研 究 施 設 の 一 つとして 新 設 したことは 評 価 できる。また CIMI について<br />

は、システム 開 発 体 制 を 増 強 することにより、 他 大 学 に 普 及 できるシステムを 開 発 した。さらに、<br />

情 報 発 信 については、 実 績 を 踏 まえ 論 文 及 び 学 会 発 表 数 を 上 方 修 正 したが、それを 上 回 る 実 績 を<br />

挙 げた。<br />

以 上 により、 中 間 評 価 の 結 果 は 反 映 されたと 評 価 できる。<br />

(3) 評 価 結 果<br />

総 合 評 価<br />

ミッションス<br />

テートメント<br />

に 対 する<br />

達 成 度<br />

組 織 改 革 の<br />

妥 当 性<br />

運 営 改 革 の<br />

妥 当 性<br />

実 施 期 間 終 了<br />

後 における 継<br />

続 性 の 見 通 し<br />

中 間 評 価 の<br />

反 映<br />

A a a a a a<br />

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