26.01.2015 Views

「日本児童文学の流れ」 - 国際子ども図書館

「日本児童文学の流れ」 - 国際子ども図書館

「日本児童文学の流れ」 - 国際子ども図書館

SHOW MORE
SHOW LESS
  • No tags were found...

You also want an ePaper? Increase the reach of your titles

YUMPU automatically turns print PDFs into web optimized ePapers that Google loves.

子 どもの 文 学 の 新 周 期 ―1945-1960<br />

この 作 品 は、 翌 年 の『 一 年 生 おはなしの 本 』( 濱 田 廣 介 、 豊 島 與 志 雄 共 編 同 光 社 1949)に<br />

再 録 されている。そして、 続 きのお 話 といえるだろう「やなぎの ぶらんこ」がある。<br />

『かもめのともだち』( 横 山 トミ 著 泰 光 堂 1954 「ひらがなぶんこ」10 坪 田 譲 治 監 修 )<br />

この 本 は 横 山 トミの 作 品 集 で、 表 題 作 と「ウサギのひつこし」「うぐいすのこ」などが 入 って<br />

いる。<br />

3 章 長 編 と 物 語<br />

1. 農 山 村 の 子 どもたちの 小 説 と 童 話<br />

戦 争 が 終 わった 年 に 亡 くなった 望 月 芳 郎 という 童 話 作 家 が1942 年 に『 白 い 河 原 の 子 供 たち』とい<br />

う、 水 害 の 被 害 を 受 けた 村 の 建 て 直 しに 子 どもたちが 協 力 する 筋 の 作 品 を 出 している。この 作 品 に<br />

は、 資 本 家 ・ 地 主 階 級 に 対 する 批 判 などいっさいなく、 子 どもの 勤 労 は 彼 らの 純 粋 な 郷 土 愛 、 善 意<br />

によるものである。 特 に 戦 時 中 の 国 策 に 合 うような 迎 合 は 感 じられないが、 子 どもたちの 自 発 的 な<br />

善 意 の 表 現 としての 勤 労 などは、 戦 時 国 家 にあっても 無 害 とされたのだろう。そして、こうした 流<br />

れの 作 品 は 戦 後 も 連 綿 とした 流 れを 形 成 している。<br />

『 峠 の 子 供 たち』( 泉 本 三 樹 著 明 朗 社 1948)<br />

山 と 海 のあるところの 子 どもたちの 物 語 。<br />

『ぼくのうらない』( 磯 部 忠 雄 著 アテネ 出 版 社 1949)<br />

短 編 小 説 と 童 話 を 集 めたもの。<br />

『 空 の 雲 か 峯 の 桜 か』( 二 反 長 半 著 東 京 一 陽 社 1948)<br />

村 の 土 地 に 国 立 病 院 を 建 設 することに 子 どもたちも 協 力 していく 話 。 子 どもが 子 どものできる<br />

範 囲 で 地 元 の 発 展 にかかわっていく 話 は、 比 較 的 に 多 い。 望 月 、 二 反 長 の 後 には、 西 沢 正 太 郎 が<br />

『プリズム 村 誕 生 』( 講 談 社 1961)、『 青 いスクラム』( 東 都 書 房 1965)などの 作 品 を 発 表 して<br />

いる。<br />

2. 少 年 たちの 冒 険 物 語<br />

『 岬 の 少 年 たち』( 福 田 清 人 著 大 日 本 雄 弁 会 講 談 社 1947)<br />

奥 付 の 出 版 社 名 が 上 記 の 通 り。そして、さしえは 内 田 莉 莎 子 の 父 親 内 田 巌 。 昭 和 22 年 が 強 く 息<br />

づいている。この 話 は、 基 本 的 にはリアルなのだが、 勇 気 をくれる 赤 い 玉 とやさしさをもたせて<br />

くれる 青 い 玉 という 魔 法 が 出 てくる 物 語 である。<br />

『 少 年 の 塔 』( 福 田 清 人 著 梧 桐 書 院 1949)<br />

カラフトからの 引 き 揚 げの 三 少 年 の 運 命 にもてあそばれる 冒 険 の 物 語 。<br />

『 生 きている 山 脈 』( 打 木 村 治 著 中 央 公 論 社 1953)<br />

消 えた 農 芸 化 学 者 2 人 をさがす 少 年 と 少 女 の 冒 険 。<br />

戦 後 10 年 ほどの 少 年 少 女 小 説 ・ 童 話 は、 起 伏 に 富 む 筋 、 物 語 の 展 開 のために 細 部 は 省 略 、 現 実 的 、<br />

非 現 実 的 にこだわらず、テーマの 相 応 しい 伝 達 のための 手 段 をもちいる。 生 活 ・ 人 生 向 上 に 対 する<br />

確 信 および 大 きな、あるいは 小 さなハッピーエンドがある。 政 治 ・ 経 済 の 現 状 批 判 を 避 け、イデオ<br />

ロギーにかかわらない。<br />

福 田 は、 後 に 自 伝 的 三 部 作 『 春 の 目 玉 』( 講 談 社 1963)、『 秋 の 目 玉 』( 講 談 社 1966)、『 暁 の 目<br />

8

Hooray! Your file is uploaded and ready to be published.

Saved successfully!

Ooh no, something went wrong!