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「信託等の entity と国際課税:所得の帰属と前提問題」[編集 ... - 立教大学

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条 約 13 条 4 項 で 英 国 は 課 税 できないはずだということを 考 えたという 内 容 です。これだと 英 国 のイギリスの§77(1)(b) TCGAにいうところのbe chargeable to taxではないよね、というところを 狙 ったということです。 16最 後 、2001 年 3 月 2 日 から 4 月 5 日 の 間 において、3 番 目 の trustee として Smallwood 夫 妻 が 受 託 者 となって、約 1 カ 月 間 イギリス 居 住 者 が 受 託 者 であるということで、 先 ほどの§86(4) TCGA、 受 託 者 が 或 る 年 度 の 全 期 間 において 非 居 住 者 であった 場 合 については、 英 国 の settlor にキャピタルゲインが 帰 属 しますという 規 定 を 回 避 しましょうというのがこの 3rd trustee の 狙 っているところのようです。というところで 事 実 関 係 は 大 体 終 わりということで、 納 税 者 側 の 主 張 としては、 問 題 となるキャピタルゲイン、 株式 譲 渡 益 が 600 万 ポンド(£6,818,390)ですか、 発 生 したときに 居 住 地 を 判 定 し、そしてそのときに 英 国 モーリシャス 条 約 によって 課 税 されないはずだということを 主 張 したのですが、 課 税 庁 側 (HMRC 側 )はどう 主 張 したかということについて、 両 国 が 課 税 権 を 持 つのだと 主 張 したということです。両 国 が 課 税 権 を 持 つといっても、 当 然 モーリシャスの 方 はキャピタルゲインに 課 税 しないわけですが、イギリスの 課 税 権 が 条 約 によって 禁 止 されるわけではなくて、 英 国 モーリシャス 租 税 条 約 13 条 4 項 、OECDモデル 13条 5 項 にいうところは、 源 泉 地 国 としての 課 税 権 を 規 制 しているだけであって、 居 住 に 基 づいて 課 税 するところについては 何 ら 手 を 加 えていないはずだから、イギリスが 居 住 地 国 として 課 税 することは 条 約 によって 禁 じられないはずである、とイギリス 課 税 庁 側 は 最 初 主 張 したということです。2.2. 裁 判 所 の 判 断Avery Jones さん( 註 10)がいらっしゃる Special Commissioners がまずどう 判 断 したかですが、SpecialCommissioners は 納 税 者 ・ 課 税 庁 双 方 の 主 張 を 斥 けたとなっています。結 論 としては、 課 税 庁 を 勝 たせたということですが、まず 納 税 者 側 の 主 張 はどういうものかといえば、 株 式 売 却時 に 非 居 住 者 であるという 主 張 ですが、そうではなくて、 株 式 売 却 があった 年 度 全 体 において 判 断 しなさいというふうに Special Commissioners は 考 えて、 納 税 者 側 の 主 張 を 斥 けたということです。 先 ほど 見 た§2(1) TCGA が、全 部 又 は 一 部 の 期 間 居 住 者 であれば 課 税 すると 言 っているのだから、そこは 株 式 売 却 時 だけではないのだと、そういう 判 断 です。そうすると、イギリス 及 びモーリシャス 両 方 が 居 住 に 基 づいて 課 税 権 を 持 つというところを SpecialCommissioners は 認 定 した 上 で、 条 約 の 4 条 1 項 に 基 づいて、 受 託 者 が 両 国 に 居 住 を 有 する、これは OECD モデルでも 4 条 1 項 で、まず 自 国 の 国 内 法 に 基 づいて 居 住 があるかどうかを 判 定 するわけですが、 自 国 の 国 内 法に 基 づいて 居 住 があるかどうかを 判 定 し、それはありますということになります。モーリシャス 法 に 基 づいても 居 住 がありますということで、dual residence( 二 重 居 住 )であると 問 題 状 況 を 設 定 し、その 上 で、 条 約 の 4 条 3 項 、OECD モデルでも 4 条 3 項 の tie-breaker 規 定 で、 個 人 以 外 の 法 人 等 についてはおおむね 管 理 支 配 地 基 準 で 決 めるわけですが、 英 国 モーリシャス 条 約 もその 例 に 倣 って、tie-breaker 規 定 に 基づいて place of effective management( 実 質 的 管 理 の 場 所 )がイギリスにあったといえるかどうかが 鍵 となるとSpecial Commissioners は 問 題 状 況 を 設 定 したということです。あとは、 事 実 認 定 の 問 題 ということになってきますが、いろいろモーリシャスでもそれなりの trustee meeting( 受託 者 会 議 )などがあるとはいうものの、 実 際 にはイギリスの Bristol で 管 理 支 配 があるということで、tie-breaker 規 定にいうところの 居 住 地 判 定 は 英 国 居 住 であると Special Commissioners が 判 断 したということです。これが High Court で 1 回 覆 ったのですが、Court of Appeals で 再 度 覆 りました。High Court においては dualresidence の 問 題 ではないとした 上 で、 単 独 のモーリシャス 居 住 者 であってイギリス 居 住 ではないというふうに 判断 したのですが、Court of Appeals は dual residence の 問 題 であるという Special Commissioners の 判 断 をまた 採用 したということです。ですが、dual residenceなのだけれども、4 条 3 項 にいうところのplace of effective managementがイギリスにあるかモーリシャスにあるのかについて、Court of Appealsの 3 人 の 判 事 の 中 で 意 見 が 2 対 1 で 分 かれて、 少 数 意 見を 書 いた 1 人 の 方 がかなり 長 く 17 管 理 支 配 はイギリスにないのだということを 書 いているのですが、2 対 1 でイギリスに 管 理 支 配 があると 判 断 したということです。事 実 認 定 の 話 については 我 々がどうこう 言 っても 仕 方 ない 話 ですが、その 前 提 問 題 として、 本 件 がイギリスから見 てイギリス 居 住 者 であるといえるのかどうか、それから 条 約 の 適 用 において dual residence の 問 題 となるのかどうか、それから tie-breaker 規 定 の 問 題 として 問 題 状 況 を 設 定 した Special Commissioners、それから Court ofAppeals の 判 断 枠 組 みが 妥 当 なのかどうかというところが、 我 々から 見 ると 興 味 関 心 の 対 象 ということになります。16当 事 者 の 狙 いにつき Brian Cleave, The Treaty Residence of Trusts in the United Kingdom and Canada: SomeThoughts on the Smallwood and Garron (or St Michael Corp) Cases, British tax review, (2011) no. 6, p. 705-715,at 706 を 参 照 した。17 [2010] EWCA Civ 778 の 中 で、 少 数 意 見 は 1~64 段 落 、 多 数 意 見 は 65~74 段 落 。4

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