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「信託等の entity と国際課税:所得の帰属と前提問題」[編集 ... - 立教大学

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4.2. 前 提 問 題 2: 者 (person)の 認 定次 にpersonをどう 認 定 するかという 問 題 。 昨 年 、「 信 託 や 組 合 等 , 法 人 格 がないものであっても,「 者 」に 含 められることが 多 いと 見 受 けられます」 30 と 安 易 に 言 ってしまいましたが、このときイギリスの 話 が 視 野 になかったのでこういう 表 現 をしてしまったのですが、イギリスの 問 題 を 視 野 に 入 れると、ちょっとこの 表 現 は 不 正 確 かなと 反 省 をしているところです。イギリスの 受 託 者 がpersonとなるというところについてですが、これがかなりややこしいという 話 です。というのは、31trusteeそのものがpersonとなる、これがDawson 事 件 で 確 立 したということですが、Dawson 事 件 では 3 人 trusteeがいまして、3 人 のうち 2 人 が 非 居 住 者 、1 人 が 居 住 者 であったという 事 案 で、 結 論 としてはtrusteeが 英 国 非 居 住者 であるという 判 断 です。3 人 いたうち 2 人 、 多 数 派 が 非 居 住 者 であるということで、 個 々の trustee の 居 住 の 判 定 +trustee についての 居住 の 判 定 という、2 段 階 の 構 えになっているわけです。1 人 1 人 の trustee の 居 住 地 判 定 と、それから、その trustee全 体 としての 居 住 地 判 定 という 2 段 階 の 構 えになっているわけです。法 人 に 例 えていうと、 例 えば 取 締 役 がどこに 居 住 しているか、 取 締 役 がどこで 管 理 しているかで 法 人 の 居 住 地を 決 めるといった、そういったイメージに 近 いのではないかと 推 測 されます。こういうDawson 事 件 の 判 決 があって、その 後 法 改 正 をして、1 人 でも 英 国 居 住 者 であればtrustee 全 体 として 英32国 居 住 者 扱 いとするというような 法 改 正 をしたということが 註 で 紹 介 されています。つまり、 厄 介 な 話 というのは、trustee というものが 単 一 の 継 続 的 団 体 となるというところで、§69 TCGA で、「trustees of the settlement shall・・・be treated as a single and continuing body of persons (distinct from the personswho may from time to time be the trustees)」、「 受 託 者 は(その 時 々の 受 託 者 とされる 者 と 区 別 される) 単 一 の 継続 的 団 体 として 扱 われる」、と 規 定 されていて、trustee といったとき、 個 々の trustee に 着 目 しているのか、1 つの信 託 に 関 する 1 つの 団 体 としての trustee なのかということについて 考 えなければいけないということです。そうすると、A さん、B さん、C さんという 弁 護 士 が 受 託 者 になっている 場 合 については、1 つの 受 託 者 というものを 観 念 した 上 で、その 1つの 受 託 者 が 英 国 居 住 者 であるかどうかという 判 断 をイギリス 人 はしているということになるようです。これはちょっと 日 本 ではあまり 馴 染 みのない 話 なので、 注 意 しなければいけないなと 思 いました。一 方 で、カナダの 方 は 信 託 が individual 扱 いされるということですので、 法 人 ではないかもしれませんけれども法 人 みたいな 被 課 税 主 体 として 考 えればよろしいのだろうと 思 います。4.3. 前 提 問 題 3: 二 重 居 住 問 題 であるか 否 かと 随 時 税 ・ 期 間 税そして、 前 提 問 題 3 としまして、 二 重 居 住 問 題 であるかどうかという 話 と、それから 随 時 税 なのか 期 間 税 なのかという 話 が、これがかなり 厄 介 な 問 題 だなと 思 った 次 第 です。Smallwood 事 件 におきまして、 最 初 イギリス 課 税 庁 (HMRC) 側 は、dual residence( 二 重 居 住 )の 問 題 として 管理 支 配 地 がイギリスにあるという 主 張 をしていなかったというふうに 先 ほど 述 べたわけですが、 最 後 、Court ofAppeals に 至 って、 嫌 々ながらそういうふうに 主 張 したとされます。これは 註33 にあるWood Holden 事 件 でplace of effective managementに 着 目 した 結 果 負 けた 事 例 があるので、place of effective managementの 基 準 でtrusteeの 居 住 地 を 判 断 するという 判 断 枠 組 みになってくると、Smallwood事 件 ではHMRCが 最 終 的 には 勝 ったわけですが、イギリスの 課 税 庁 の 課 税 権 の 保 持 という 観 点 からいくと、「 実質 的 管 理 の 場 所 」という 基 準 では 簡 単 にイギリスの 課 税 を 回 避 されてしまうという 懸 念 がHMRC 側 にはあるのであろうと 推 測 されます 34 。実 際 この 事 件 でも、 最 高 裁 の 3 人 の 判 事 のうちの 1 人 が、 実 質 的 管 理 の 場 所 はイギリスにはないのだと 判 断 しているので、 後 は 事 実 認 定 の 問 題 ですから 微 妙 な 話 なのだろうと 思 います。この 事 件 では 勝 ったわけですが、今 後 、では place of effective management をモーリシャスに 持 っていけばいいのでしょうという 話 になってくるわけですので、この 事 案 で、Smallwood 事 件 において HMRC が 勝 ったとはいえ、HMRC としては 必 ずしも 理 屈 の 上で 勝 ったという 喜 びには 浸 っていられない 状 況 のようです。ただ、HMRC の 主 張 を 素 直 に 受 け 止 めようとすると、レジュメに 書 いていますが、ちょっと 無 理 筋 なのではない30浅 妻 ・ 註 7、198 頁 。31 Dawson v IRC, [1990] 1 AC 1; [1989] STC 473; 62 TC 301.32 Dawson 事 件 及 び 1989 年 改 正 につき、Ian Ferrier & Matthew Hutton, TOLLEY’S UK TAXATION OF TRUST, 14 thed. 20.9 (Tolley 2004) 参 照 。33 Wood v. Holden, [2006] EWCA Civ 2634増 井 ・ 註 10、262 頁 ;Jonathan Schwartz, Avoidance and Tax Treaties: Current UK Experience, Bulletin forinternational taxation, Vol. 65, No. 8, p. 453-459 (2011); 今 村 隆 (Jonathan Schwartz)「【 海 外 論 文 紹 介 】 租 税 回 避と 租 税 条 約 : 最 近 における 英 国 の 経 験 」 租 税 研 究 753 号 325 頁 (2012.7) 参 照 。8

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