11.07.2015 Views

「信託等の entity と国際課税:所得の帰属と前提問題」[編集 ... - 立教大学

「信託等の entity と国際課税:所得の帰属と前提問題」[編集 ... - 立教大学

「信託等の entity と国際課税:所得の帰属と前提問題」[編集 ... - 立教大学

SHOW MORE
SHOW LESS
  • No tags were found...

You also want an ePaper? Increase the reach of your titles

YUMPU automatically turns print PDFs into web optimized ePapers that Google loves.

会 社 法 上 それができないということで、 何 とかしなければいけないということで、SPF の Advisory Board(とりあえず「 諮 問 委 員 会 」と 訳 しておきます)でいろいろ 議 論 をしたということです。SPF に 移 転 してしまった 議 決 権 等 について、 一 旦 SPF からXに 議 決 権 等 を 戻 し、Xから SPF に 議 決 権 等 を 一 株 当 たり CDN0.66 で 売 ることとした、といった 混 乱 があります。そして 善 後 策 を 考 えることとなります。それから、Executive Board(「 執 行 部 会 」と 訳 しておきましたが、)がでてきます。X は Advisory Board の 一 員 ではあったのですが、Executive Board には 参 加 していないとあります。 最 終 的 な 決 定 権 限 は Executive Board の 方が 持 っているわけですが、 最 終 的 な 決 定 権 限 を 持 っている Executive Board が、1997 年 12 月 に Vienna 株 のうちの 15 万 株 、3 万 株 、3 万 株 を 3 人 に 売 却 し、その 後 Vienna 社 が Nokia 社 から 買 収 提 案 を 受 けて Nokia 社 に全 ての Vienna 株 を 売 ったということのようです。最 初 X さんから SPF に 1 株 当 たり 1.33 もしくは 0.665 カナダドルで 売 却 したところ、SPF は 最 終 的 には Nokia社 に 1 株 当 たり 9 カナダドルで 売 ったということで、これも 特 に 時 価 について 争 いはないようです。SPF が 幾 らで取 得 したのかについての 争 いはありますが、そのときの 時 価 が 1.33 であるとか、9.00 であるということについては特 に 争 いがないみたいです。そういう 形 でキャピタルゲインが 発 生 したということで、これについてカナダが 課 税 できるかどうかということです。カナダは 所 得 税 法 でキャピタルゲインについても 課 税 するとしているわけですが、レジュメに 条 文 を 載 せればよかったなとちょっと 後 悔 していますが 21 、カナダの 所 得 税 法 75 条 2 項 (§75(2) ITA: Income Tax Act)に 基 づきますと、 信 託 に 財 産 を 委 託 した 者 が 財 産 を 取 り 戻 せる 場 合 であるとか、 或 いはその 信 託 が 財 産 を 誰 に 渡 すかについて 指 定 できる 者 がいる 場 合 について、 或 いはそういった 者 の 同 意 なしに 信 託 が 財 産 を 処 分 できないような 場合 について、 図 でいうとXが 財 産 を 委 託 したわけではないのですが、XがSPFとの 関 係 で 財 産 を 取 り 戻 せるとか、財 産 を 誰 かに 渡 すことが 指 定 できる、 或 いはXが 同 意 しなければ 信 託 が 財 産 を 処 分 できない、そういった 状 況 であるというふうにカナダの 課 税 当 局 は 考 えて、 信 託 財 産 から 発 生 した 損 益 は、Xに 帰 属 するという 前 提 で 課 税 処分 を 打 ったということです。これは 必 ずしもアメリカ 流 の grantor trust ルールそのものではないですが、grantor trust ルールに 近 い 内 容 が§75(2) ITA に 定 められていると 理 解 できます。1 回 信 託 に 財 産 を 設 定 したのだけれども、 実 は 裏 から 委 託 者 が 手を 伸 ばせるような 場 合 、 或 いは 委 託 者 に 限 らず、その 信 託 について 色 々 手 を 出 せるような 人 がいる 場 合 に、その手 を 出 せる 人 に 損 益 が 帰 属 する 可 能 性 があるというのが§75(2) ITA の 規 定 ということです。ここで 問 題 となるのが、オーストリア・カナダ 租 税 条 約 13 条 5 項 で、これも OECD モデル 13 条 5 項 とほぼ 同 じ規 定 ですが、カナダが 課 税 することは 禁 止 されるのではないかということが 問 題 となったという、そういう 問 題 状 況です。3.2. 裁 判 所 の 判 断先 ほどSPFが 信 託 という 前 提 で 話 をしかけてしまってしくじりましたが、まずSPFが 信 託 かどうかということはそもそも 争 点 の 1 つとなっています。この 点 につきまして、 読 んでもちょっと 分 からなかったのですが、SPFは 信 託 ではないとあります。オーストリアは 大 陸 法 系 ですので、 確 かに 私 的 基 金 が 信 託 であるというのはちょっと 難 しいのかなという 気 がしますが、A(Herbert Sommerer: 原 告 Xの 父 )と、SPFと、それから 受 益 者 X、B、D、Eという 関 係(A、SPF、 受 益 者 の 関 係 )が 信 託 を 構 成 するのだ(the relationship between Mr. Herbert Sommerer, the SPF andthe beneficiaries constitutes a trust) 22 と 裁 判 所 は 言 っています 23 。信 託 というのはそもそも<strong>entity</strong>なのか、それとも 契 約 関 係 なのかということがどこの 国 でも 問 題 となるわけです21 2011 TCC 212, paragpraph 83 より 抜 粋[83] Subsection 75(2) of the Act provides:Where, by a trust created in any manner whatever since 1934, property is held on condition(a) that it or property substituted therefor may(i) revert to the person from whom the property or property for which it was substituted was directly orindirectly received (in this subsection referred to as "the person"), or(ii) pass to persons to be determined by the person at a time subsequent to the creation of the trust, or(b) that, during the existence of the person, the property shall not be disposed of except with the person'sconsent or in accordance with the person's direction,any income or loss from the property or from property substituted for the property, and any taxable capital gainor allowable capital loss from the disposition of the property or of property substituted for the property, shall,during the existence of the person while the person is resident in Canada, be deemed to be income or a loss, as thecase may be, or a taxable capital gain or allowable capital loss, as the case may be, of the person.22 なお、SPF が 受 託 者 (trustee)であるとも 言 っている。23 2011 TCC 212, para 82.6

Hooray! Your file is uploaded and ready to be published.

Saved successfully!

Ooh no, something went wrong!