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パンフレット - 科学技術振興機構

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海 洋 生 物 多 様 性 及 び<br />

生 態 系 の 保 全 ・ 再 生 に<br />

資 する 基 盤 技 術 の 創 出<br />

戦 略 目 標<br />

海 洋 資 源 等 の 持 続 可 能 な 利 用 に 必 要<br />

な 海 洋 生 物 多 様 性 の 保 全 ・ 再 生 のため<br />

の 高 効 率 な 海 洋 生 態 系 の 把 握 やモデル<br />

を 用 いた 海 洋 生 物 の 変 動 予 測 等 に 向 け<br />

た 基 盤 技 術 の 創 出<br />

平 成 23 年 度 採 択<br />

海 洋 生 物 の 遠 隔 的 種 判 別 技 術 の<br />

開 発<br />

赤 松 友 成<br />

( 独 ) 水 産 総 合 研 究 センター 水 産 工 学 研 究 所<br />

主 幹 研 究 員<br />

海 の 生 き 物 の 種 類 ごとの 分 布 や 動 きが<br />

天 気 図 のようにインターネットで 配 信 され<br />

れば、 多 様 な 生 物 相 がひと 目 でわかり、<br />

海 洋 生 物 資 源 の 持 続 的 な 利 用 と 環 境<br />

保 全 の 双 方 に 資 する 基 盤 技 術 となるこ<br />

とが 期 待 されます。 本 研 究 では、 見 たり<br />

触 ったりせずに 海 洋 生 物 の 種 類 と 数 を 測 る 技 術 を 開 発 しま<br />

す。 生 き 物 が 海 中 で 発 する 声 や、 生 き 物 から 反 射 してくる 音<br />

を 使 って、 種 を 同 定 し 個 体 を 数 えます。 世 界 最 先 端 の 音 響<br />

観 測 システムを 駆 使 し、プランクトンからクジラまで 海 洋 生<br />

態 系 を 構 成 するあらゆる 生 物 と、それをとりまく 海 洋 開 発 や<br />

地 震 などの 環 境 要 因 を 遠 隔 的 に 判 別 できる 技 術 を 創 ること<br />

が、 本 研 究 のゴールです。<br />

植 物 プランクトン 群 集 の 多 様 性 に<br />

注 目 したナウキャスト 技 術 開 発<br />

山 中 康 裕<br />

北 海 道 大 学 大 学 院 地 球 環 境 科 学 研 究 院<br />

教 授<br />

本 研 究 は、 西 部 北 太 平 洋 域 における 海<br />

洋 生 態 系 の 根 幹 である 植 物 プランクト<br />

ン 群 集 を 研 究 対 象 として、その 多 様 性<br />

の 現 況 を 把 握 するために(1) 数 値 モデリ<br />

ング、(2) 人 工 衛 星 を 用 いた 地 球 観 測 、<br />

(3) 海 洋 での 現 場 観 測 を 用 いて、 植 物 プランクトン 群 集 の<br />

多 様 性 の 形 成 ・ 維 持 ・ 消 滅 機 構 を 解 明 します。そして、 人 工<br />

衛 星 から 得 られる 物 理 環 境 や 植 物 プランクトン 群 集 を 海 洋<br />

生 態 系 モデルに 同 化 させることでナウキャスト( 現 況 予 測 )<br />

の 基 盤 技 術 を 開 発 し、 生 物 多 様 性 保 全 や 水 産 資 源 変 動<br />

予 測 等 に 貢 献 することを 目 指 します。<br />

研 究 総 括<br />

小 池 勲 夫<br />

本 研 究 領 域 では、 海 洋 の 生 物 多 様 性 および 生<br />

態 系 を 把 握 するための 先 進 的 な 計 測 技 術 と 将 来<br />

予 測 に 資 するモデルの 研 究 開 発 を 行 い、これらを<br />

保 全 ・ 再 生 するために 必 要 な 基 盤 技 術 を 創 出 する<br />

ことを 目 的 とします。<br />

具 体 的 には、 海 洋 の 生 物 多 様 性 および 生 態 系<br />

の 研 究 で 現 在 ボトルネックとなっている、 環 境 を 含<br />

む 生 物 データの 取 得 技 術 とその 将 来 予 測 に 注 目 し、<br />

(1) 海 洋 生 物 やその 周 辺 環 境 の 広 域 ・ 連 続 的 なセ<br />

ンシング・モニタリング 技 術 、 生 物 種 の 定 量 把 握 や<br />

同 定 の 効 率 化 、および 生 態 系 ネットワークの 解 明<br />

等 による 基 盤 的 な 生 物 ・ 環 境 データの 集 積 に 資 す<br />

る 先 進 的 な 技 術 等 の 開 発 、(2) 生 態 系 や 生 物 多<br />

様 性 の 変 動 を 把 握 し、 生 態 系 の 将 来 予 測 に 貢 献<br />

する 新 規 モデルの 開 発 、 研 究 を 対 象 とします。(1)、<br />

(2)いずれの 研 究 においても 対 象 とする 生 物 群 集<br />

や 現 象 等 を 明 確 にする 必 要 があります。また 開 発<br />

ターゲットに 即 した 海 洋 現 場 での 調 査 ・モニタリング<br />

による 実 証 が 要 求 されるため、その 分 野 の 研 究 者<br />

との 共 同 研 究 を 行 うことも 必 要 です。ただし、 調 査<br />

観 測 やモニタリングのみの 研 究 は 対 象 としません。<br />

従 来 の 海 洋 研 究 の 壁 を 乗 り 越 えるため、 工 学 や<br />

ライフサイエンス 等 を 専 門 とする 幅 広 い 分 野 の 研<br />

究 者 と 海 洋 生 物 ・ 生 態 研 究 者 との 共 同 研 究 を 重<br />

視 します。<br />

このような 研 究 を 通 して、 生 物 への 影 響 を 考 慮 し<br />

た 海 洋 資 源 の 持 続 的 な 利 用 や 海 洋 保 護 区 の 設<br />

定 などの 海 洋 環 境 保 全 策 の 提 示 に 貢 献 すること<br />

が 期 待 されます。<br />

領 域 アドバイザー<br />

琉 球 大 学 監 事<br />

青 木 一 郎 東 京 大 学 名 誉 教 授<br />

岸 道 郎 北 海 道 大 学 大 学 院 水 産 科 学 研 究 院 教 授<br />

中 田 薫 ( 独 ) 水 産 総 合 研 究 センター 研 究 推 進 部<br />

研 究 主 幹<br />

西 田 睦 東 京 大 学 名 誉 教 授<br />

藤 井 輝 夫 東 京 大 学 生 産 技 術 研 究 所 教 授<br />

松 田 裕 之 横 浜 国 立 大 学 環 境 情 報 研 究 院 教 授<br />

安 岡 善 文 情 報 ・システム 研 究 機 構 監 事<br />

矢 原 徹 一 九 州 大 学 大 学 院 理 学 研 究 院 教 授<br />

和 田 英 太 郎 京 都 大 学 名 誉 教 授<br />

センチメートル 海 底 地 形 図 と 海 底 モザイク<br />

画 像 を 基 礎 として 生 物 サンプリングを<br />

おこなう 自 律 型 海 中 ロボット 部 隊 の 創 出<br />

浦<br />

環<br />

東 京 大 学 生 産 技 術 研 究 所<br />

教 授<br />

本 研 究 では、 海 底 や 海 底 近 くに 棲 息 する 水 産 資 源 、 熱 水<br />

地 帯 やガスハイドレート 地 帯 など 深 海 のオアシスと 呼 ばれ<br />

る 場 所 の 特 殊 な 生 態 系 を 観 測 し、 生 物 多 様 性 を 把 握 し、<br />

その 変 動 の 予 測 を 可 能 にすることを 目 的 として、100mx<br />

100m 以 上 の 広 い 海 底 面 をcm 以 下 の 精 度 と 数 cmの<br />

水 平 分 解 能 でマッピングする、さらにmmオーダーの 分 解<br />

能 を 持 つスチル 写 真 をそれに 重 ねて、 三 次 元 的 な 広 がりを 四 次 元 的 に 明 らかにする、<br />

熱 水 地 帯 のプランクトンの 採 取 や 海 底 の 特 定 の 生 物 あるいは 周 辺 環 境 をなす 海 底<br />

土 等 のサンプリングを 行 う、などの 多 彩 なミッションを 分 担 して 行 う 高 機 能 の 自 律 型 海<br />

中 ロボット(AUV)を 各 種 開 発 します。そして、AUV 観 測 部 隊 を 編 成 して 鳩 間 海 丘 や<br />

鹿 児 島 湾 などに 展 開 し、 熱 水 地 帯 などの 特 殊 な 環 境 を 時 間 変 動 を 含 め 多 面 的 に 捕<br />

らえる 新 たな 観 測 手 法 を 実 現 します。ここでの 観 測 結 果 をフィードバックすることで<br />

AUV 機 能 をさらに 向 上 させて、 生 物 および 生 態 観 測 の 新 たな 世 界 を 構 築 します。<br />

超 高 速 遺 伝 子 解 析 時 代 の<br />

海 洋 生 態 系 評 価 手 法 の 創 出<br />

木 暮 一 啓<br />

近 年 の 遺 伝 子 解 析 技 術 の 爆 発 的 な<br />

進 歩 により、 短 時 間 に 多 量 の 遺 伝 子<br />

情 報 を 得 るとともに、バイオインフォマ<br />

ティクス 技 術 を 駆 使 してその 情 報 解 析<br />

を 行 うことが 可 能 になってきました。 本<br />

研 究 では、 海 洋 から 得 た 遺 伝 子 およびその 発 現 遺 伝 子<br />

を 対 象 にした 新 たな 解 析 技 術 を 確 立 し、どのような 環 境<br />

下 にどのような 生 物 がいて 何 をしているのかを 明 らかに<br />

するとともに、そうした 情 報 を 統 合 した 新 たな 生 態 系 の 診<br />

断 技 術 の 開 発 を 目 指 します。<br />

Digital DNA chipによる<br />

生 物 多 様 性 評 価 と 環 境 予 測 法 の 開 発<br />

五 條 堀 孝<br />

東 京 大 学 大 気 海 洋 研 究 所<br />

教 授<br />

情 報 システム 研 究 機 構 ・ 国 立 遺 伝 学 研 究 所 生 命 情 報<br />

・DDBJ 研 究 センター・ 遺 伝 情 報 分 析 研 究 室 副 所 長 ・ 教 授<br />

本 研 究 では、 東 北 地 方 を 襲 った 大 地 震 及<br />

び 津 波 の 沿 岸 域 における 海 洋 生 物 の 多<br />

様 性 や 海 洋 生 態 系 への 影 響 を 把 握 する<br />

ことを 目 的 に、 微 生 物 叢 DNAの 網 羅 的 解<br />

析 法 と 環 境 モニタリング 法 の 開 発 を 行 いま<br />

す。 被 害 のあった 東 北 沿 岸 と 被 害 の 無 かった 海 域 に 定 点 を 定<br />

め、これらの 技 術 を 用 いて、 物 理 環 境 と 海 洋 生 態 系 の 基 礎 とな<br />

る 微 生 物 DNA 叢 のモニタリングを 行 い、それらを 比 較 検 討 する<br />

ことによって、 微 生 物 叢 の 変 化 や 環 境 回 復 の 程 度 等 を 生 物<br />

多 様 性 の 観 点 から 評 価 します。 本 研 究 の 成 果 は、 海 洋 微 生 物<br />

生 態 系 のより 深 い 理 解 に 貢 献 することが 期 待 されています。<br />

平 成 24 年 度 採 択<br />

海 洋 生 態 学 と 機 械 学 習 法 の<br />

融 合 によるデータ 不 足 下 の 生 態 系 評 価<br />

手 法 の 開 発<br />

岡 村<br />

寛<br />

海 洋 資 源 を 持 続 的 に 利 用 していくた<br />

めには、 環 境 や 漁 業 などの 人 間 活 動<br />

が 海 洋 の 生 物 多 様 性 にどれだけ 影 響<br />

を 与 えるのかを 知 る 必 要 があります。し<br />

かし、 海 洋 生 態 系 の 評 価 に 利 用 できる<br />

データは 限 られており、また 大 きな 不 確 実 性 を 持 っていま<br />

す。 本 研 究 では、 新 しい 統 計 学 的 手 法 や 機 械 学 習 手 法<br />

と 呼 ばれる 柔 軟 な 方 法 を 用 いることにより、 不 確 実 で 限 ら<br />

れたデータの 下 でも 生 態 系 の 評 価 ・ 予 測 を 行 えるような<br />

生 態 系 モデルの 開 発 を 目 指 します。それにより、 生 態 系<br />

の 保 全 ・ 再 生 に 大 きな 貢 献 ができることが 期 待 されます。<br />

ハイパー・マルチスペクトル 空 海 リモー<br />

トセンシングによる 藻 場 3 次 元 マッピン<br />

グシステムの 開 発<br />

小 松 輝 久<br />

( 独 ) 水 産 総 合 研 究 センター 中 央 水 産 研 究 所 資 源<br />

管 理 研 究 センター 資 源 管 理 グループ グループ 長<br />

東 京 大 学 大 気 海 洋 研 究 所 准 教 授<br />

藻 場 は、 水 産 資 源 の 供 給 、 栄 養 塩 のリ<br />

サイクルなど 多 くの 生 態 系 サービスを 提<br />

供 しています。 持 続 的 な 沿 岸 域 の 発 展<br />

には 藻 場 が 減 少 しないように 適 切 に 管<br />

理 する 必 要 があります。そのためには、 藻<br />

場 の 種 類 、 分 布 、バイオマスを 正 確 に 計 測 できる 装 置 の 開<br />

発 が 望 まれています。 本 研 究 では、これらのデータを、 様 々な<br />

波 長 の 光 で 検 出 できる 光 ハイパースペクトルセンサーと 超<br />

音 波 で 検 出 できる 超 音 波 マルチビームセンサーとともに、そ<br />

れらの 装 置 を 搭 載 して 自 動 取 得 でき、 陸 上 でモニターできる<br />

水 陸 離 発 着 可 能 な 小 型 無 人 機 と 無 人 小 型 艇 を 開 発 します。<br />

北 太 平 洋 域 における 低 次 生 態 系 の<br />

動 的 環 境 適 応 に 基 づいた<br />

新 しい 生 態 系 モデルの 開 発<br />

Sherwood Lan Smith<br />

( 独 ) 海 洋 研 究 開 発<br />

機 構 地 球 環 境 変 動<br />

領 域 研 究 員<br />

海 洋 生 態 系 モデルの 現 状 の 課 題 は、 多<br />

様 で 複 雑 な 生 態 系 をいかに 現 実 的 に<br />

表 現 するかにあります。しかし、そのため<br />

にモデル 構 造 を 複 雑 にすれば、 結 果 の<br />

不 確 実 性 が 増 すだけでなく、 大 きな 計 算<br />

機 資 源 を 要 することから 地 球 規 模 でモデルを 動 かすことは<br />

困 難 です。この 研 究 では、プランクトンの 適 応 戦 略 を 考 慮 す<br />

ることにより、 単 純 な 構 造 でありながら 地 域 から 全 球 規 模 の<br />

生 態 系 変 動 をより 現 実 的 に 再 現 できる、 画 期 的 で 新 しい 生<br />

態 系 モデルの 開 発 を 目 指 します。<br />

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