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パンフレット - 科学技術振興機構

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気 道 炎 症 の 慢 性 化 機 構 の 解 明 と<br />

病 態 制 御 治 療 戦 略 の 基 盤 構 築<br />

環 境 応 答 破 綻 がもたらす 炎 症 の<br />

慢 性 化 機 構 と 治 療 戦 略<br />

自 然 免 疫 における 転 写 後 調 節 を 介 した<br />

慢 性 炎 症 抑 制 メカニズムの 解 析<br />

中 山 俊 憲<br />

千 葉 大 学 大 学 院 医 学 研 究 院<br />

教 授<br />

山 本 雅 之<br />

東 北 大 学 大 学 院 医 学 系 研 究 科<br />

教 授<br />

竹 内<br />

理<br />

京 都 大 学 ウイルス 研 究 所 教 授<br />

成 人 の 気 管 支 喘 息 や 慢 性 アレルギー<br />

性 鼻 炎 は 難 治 性 で、 現 在 のところ 有<br />

効 な 治 療 法 はありません。これらの 慢<br />

性 炎 症 疾 患 ではアレルゲンなどに 対<br />

する 免 疫 記 憶 が 成 立 し、 異 なったサイ<br />

トカインを 産 生 するヘルパーT(Th) 細 胞 分 画 (Th1/<br />

Th2/Th17 等 )が 記 憶 Th 細 胞 となり 病 態 形 成 に 関 与<br />

すると 考 えられています。そこで、これらの 記 憶 Th 細 胞<br />

分 画 のサイトカイン 産 生 制 御 機 構 に 着 目 した 解 析 を 行 う<br />

ことで 気 道 炎 症 の 慢 性 化 のメカニズムを 解 明 し 治 療 戦<br />

略 の 基 盤 構 築 を 目 指 します。<br />

私 たちの 生 活 環 境 には、 化 学 物 質 、<br />

紫 外 線 、 病 原 微 生 物 、 食 餌 性 毒 物 な<br />

ど 様 々なストレス 要 因 が 存 在 します。こ<br />

れら 環 境 ストレスに 対 する 防 御 の 破 綻<br />

が 種 々の 病 態 を 誘 発 することも 明 らか<br />

になってきました。 本 研 究 では、 環 境<br />

応 答 機 構 の 破 綻 が 慢 性 炎 症 病 態 を 誘 発 するメカニズ<br />

ムの 解 明 に 挑 みます。また、 炎 症 の 治 療 戦 略 として、スト<br />

レス 応 答 系 の 修 復 ・ 正 常 化 の 有 用 性 を 検 討 します。 本<br />

研 究 の 成 果 は、 環 境 要 因 と 慢 性 炎 症 病 態 との 関 係 の<br />

理 解 を 進 め、 難 治 性 慢 性 疾 患 の 効 率 的 な 治 療 技 術 の<br />

確 立 をもたらすものと 期 待 されます。<br />

マクロファージや 樹 状 細 胞 などにより<br />

担 われる 自 然 免 疫 は、 感 染 に 対 する<br />

初 期 応 答 に 重 要 であり、その 活 性 化<br />

と 抑 制 機 構 がバランス 良 く 調 節 されて<br />

います。しかし、 自 然 免 疫 活 性 化 が 長<br />

引 くと、 慢 性 炎 症 性 疾 患 の 発 症 につながります。 本 研 究<br />

では、 自 然 免 疫 細 胞 の 活 性 化 調 節 メカニズムを、 転 写<br />

の 観 点 だけでなく、 私 たちの 同 定 したRNA 分 解 酵 素 を<br />

足 がかりに 転 写 後 制 御 の 観 点 から 再 定 義 して、 新 規 炎<br />

症 制 御 法 開 発 につなげていくことを 目 指 します。<br />

慢 性 炎 症 による 疾 患 発 症 機 構 の 構 造<br />

基 盤<br />

平 成 24 年 度 採 択<br />

消 化 器 がんの 発 生 ・ 進 展 過 程 に<br />

おける 慢 性 炎 症 の 誘 導 と 役 割 の 解 明<br />

濡 木<br />

理<br />

東 京 大 学 大 学 院 理 学 系 研 究 科<br />

教 授<br />

大 島 正 伸<br />

金 沢 大 学 がん 進 展 制 御 研 究 所<br />

教 授<br />

本 来 個 体 の 生 命 維 持 に 必 須 な 生 理 反 応 が<br />

過 剰 に 起 こる、あるいはウイルスや 細 菌 など<br />

によりこの 生 理 反 応 が 撹 乱 されることで、 慢<br />

性 的 に 炎 症 が 惹 起 され、 最 終 的 に 癌 や 糖 尿<br />

病 、 動 脈 硬 化 など 様 々な 生 活 習 慣 病 が 引 き<br />

起 こされると 考 えられています。 本 研 究 では、<br />

1GPCRを 介 して 慢 性 炎 症 を 惹 起 する 脂 質 メディエーター 産 生<br />

酵 素 、2Toll 様 受 容 体 と、 細 胞 内 で 本 受 容 体 の 下 流 で 自 然 免 疫<br />

に 働 くシグナル 伝 達 タンパク 質 、3 核 内 において 細 胞 内 シグナル<br />

を 末 梢 で 制 御 する 転 写 調 節 因 子 タンパク 質 、を 中 心 に、タンパク 質<br />

( 複 合 体 )の 立 体 構 造 をX 線 結 晶 構 造 解 析 により 解 明 し、 立 体 構<br />

造 から 提 唱 される 作 業 仮 説 を 検 証 するため 機 能 解 析 を 行 うことで、<br />

慢 性 炎 症 のメカニズムを 原 子 分 解 能 レベルで 解 明 します。<br />

多 くのがん 組 織 は 炎 症 反 応 を 伴 って<br />

いますが、その 誘 導 機 序 や 役 割 につ<br />

いては 明 らかになっていません。 本 研<br />

究 では、 炎 症 をともなうがんを 発 生 する<br />

マウスモデルおよび 臨 床 検 体 を 用 い<br />

た 研 究 により、 発 がんの 初 期 および 悪 性 化 進 展 過 程 で、<br />

炎 症 反 応 が 誘 導 されて 遷 延 化 するメカニズムを 明 らかに<br />

し、 炎 症 反 応 ががん 細 胞 の 増 殖 や 浸 潤 を 促 進 する 分 子<br />

機 序 を 解 明 することを 目 指 しています。 研 究 の 成 果 は、<br />

慢 性 炎 症 の 制 御 による 発 がん・ 悪 性 化 の 制 御 につなが<br />

ることが 期 待 されます。<br />

臓 器 特 異 的 自 己 免 疫 疾 患 の 病 態 解 明<br />

による 慢 性 炎 症 制 御 法 の 開 発<br />

慢 性 炎 症 におけるガイダンス 因 子 の<br />

病 的 意 義 の 解 明 とその 制 御<br />

松 本<br />

満<br />

徳 島 大 学 疾 患 酵 素 学 研 究 センター<br />

教 授<br />

熊 ノ 郷 淳<br />

大 阪 大 学 大 学 院 医 学 系 研 究 科<br />

教 授<br />

私 たちの 身 体 には、 外 敵 ( 非 自 己 )の<br />

侵 入 から 身 ( 自 己 )を 守 る 手 段 として 免<br />

疫 システムが 備 わっています。ところ<br />

が、 何 らかの 原 因 により 免 疫 システム<br />

が 自 分 自 身 の 身 体 に 攻 撃 をしかけるよ<br />

うになり、 自 己 免 疫 疾 患 と 呼 ばれる 難<br />

治 性 の 慢 性 炎 症 が 発 生 します。 本 研 究 では、 免 疫 シス<br />

テムが「 自 己 」と「 非 自 己 」を 見 分 ける 能 力 を 獲 得 する 際<br />

にはたらくAIRE 遺 伝 子 を 研 究 対 象 に 選 び、 自 己 免 疫 疾<br />

患 において、 持 続 的 かつ 過 大 な 炎 症 が 発 生 するメカニ<br />

ズムを 探 ります。それによって、 原 因 に 基 づく 新 たな 治 療<br />

法 の 開 発 を 目 指 します。<br />

セマフォリンは 当 初 神 経 ガイダンス 因<br />

子 として 発 見 された 分 子 群 ですが、 現<br />

在 では 神 経 変 性 疾 患 、 骨 代 謝 疾 患 、<br />

免 疫 疾 患 、 網 膜 色 素 変 成 症 、がんな<br />

どの「 病 気 の 鍵 分 子 」であることが 示<br />

されています。 私 たちは、これまで 免 疫 反 応 に 関 わるセマ<br />

フォリンの 存 在 を 世 界 に 先 駆 け 明 らかにしてきました。 本<br />

研 究 では、 慢 性 炎 症 におけるセマフォリンの 関 与 を 解 明<br />

し、「ガイダンス 因 子 による 慢 性 炎 症 制 御 」という 新 たな<br />

治 療 戦 略 に 基 づいた 疾 患 制 御 の 開 発 につながる 成 果<br />

を 目 指 します。<br />

稀 少 遺 伝 性 炎 症 疾 患 の 原 因 遺 伝 子<br />

同 定 に 基 づく 炎 症 制 御 法 の 開 発<br />

制 御 性 T 細 胞 による 慢 性 炎 症 制 御<br />

技 術 の 開 発<br />

安 友 康 二<br />

徳 島 大 学 大 学 院 ヘルスバイオサイエンス<br />

研 究 部 教 授<br />

坂 口 志 文<br />

大 阪 大 学 免 疫 学 フロンティア 研 究 センター<br />

教 授<br />

本 研 究 では、 慢 性 炎 症 疾 患 の 家 系 例<br />

のゲノム 解 析 から、 炎 症 応 答 の 進 展<br />

に 決 定 的 な 役 割 を 持 つ 遺 伝 子 変 異 を<br />

同 定 し、その 遺 伝 子 機 能 を 明 らかにす<br />

ることを 目 的 としています。 本 研 究 の<br />

成 功 は、これまで 知 られていなかった 炎 症 応 答 の 進 展 機<br />

構 を 明 らかにできる 可 能 性 があると 同 時 に、 慢 性 炎 症 性<br />

疾 患 に 対 する 画 期 的 な 分 子 標 的 治 療 法 の 開 発 に 大 き<br />

く 貢 献 できると 考 えられます。<br />

制 御 性 T 細 胞 は、ほとんどの 免 疫 応 答<br />

の 抑 制 的 制 御 に 関 与 するリンパ 球 で<br />

す。 制 御 性 T 細 胞 を 標 的 として、 自 己<br />

免 疫 病 などの 慢 性 炎 症 、 臓 器 移 植 に<br />

おける 慢 性 拒 絶 をいかに 抑 制 するか、<br />

あるいは 腫 瘍 免 疫 のようにがん 抗 原 に 対 する 免 疫 応 答<br />

をいかに 引 き 起 こすかについて 研 究 します。 本 研 究 の 成<br />

果 は、 新 しい 免 疫 応 答 制 御 法 の 開 発 、さらには 次 世 代<br />

の 免 疫 抑 制 剤 、 免 疫 賦 活 剤 の 開 発 につながるものと 期<br />

待 されます。<br />

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