パンフレット - 科学技術振興機構
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生 命 動 態 の 理 解 と<br />
制 御 のための<br />
基 盤 技 術 の 創 出<br />
戦 略 目 標<br />
生 命 現 象 の 統 合 的 理 解 や 安 全 で 有 効<br />
性 の 高 い 治 療 の 実 現 等 に 向 けたin<br />
silico/in vitroでの 細 胞 動 態 の 再 現<br />
化 による 細 胞 と 細 胞 集 団 を 自 在 に 操 る<br />
技 術 体 系 の 創 出<br />
平 成 24 年 度 採 択<br />
神 経 系 まるごとの 観 測 データに 基 づく<br />
神 経 回 路 の 動 作 特 性 の 解 明<br />
飯 野 雄 一<br />
東 京 大 学 大 学 院 理 学 系 研 究 科<br />
教 授<br />
ヒトや 他 の 動 物 の 脳 は 無 数 の 神 経 が<br />
網 目 状 に 結 びついて 情 報 を 処 理 して<br />
いますが、 実 際 の 神 経 回 路 がどのよう<br />
に 演 算 し、 情 報 処 理 しているのかはよ<br />
くわかっていません。 本 研 究 では、 神<br />
経 の 数 が 少 なく 各 神 経 のつながり 方 がすべてわかって<br />
いる 線 虫 を、 生 きたまま 独 自 に 開 発 した 共 焦 点 顕 微 鏡 シ<br />
ステムで 立 体 的 に 並 んだ 多 数 の 神 経 の 活 動 を 連 続 的<br />
に 観 測 すると 共 に、シミュレーションにより 感 覚 系 から 行<br />
動 制 御 系 への 情 報 伝 達 を 担 う 神 経 回 路 の 情 報 処 理 原<br />
理 を 明 らかにします。<br />
動 物 の 形 態 形 成 の 分 子 メカニズムの<br />
探 求 と 形 を 操 る 技 術 の 創 出<br />
近 藤<br />
滋<br />
大 阪 大 学 大 学 院 生 命 機 能 研 究 科<br />
教 授<br />
Turingの 反 応 拡 散 モデルは、 生 物 の 自 律 的 なパ<br />
ターン 形 成 を 説 明 できる 理 論 の 代 表 的 なもので<br />
す。 研 究 代 表 者 は、ゼブラフィッシュの 皮 膚 模 様<br />
を 用 いてTuring 波 形 成 原 理 の 研 究 を 進 めてきま<br />
したが、 最 近 詳 細 な 分 子 細 胞 レベルの 原 理 を 明<br />
らかにし、 皮 膚 模 様 を 自 在 に 改 変 する 事 にも 成 功<br />
しました。 本 研 究 においては、これまでに 皮 膚 模 様 形 成 で 得 られた 知 見 が<br />
他 の 形 態 形 成 現 象 に 応 用 できるという 想 定 の 下 に、 脊 椎 動 物 の 骨 を 含<br />
む 様 々な 臓 器 ・ 器 官 の 形 成 において、 数 理 モデル 構 築 および 実 験 的 な<br />
証 明 を 行 います。その 際 、 従 来 の 発 生 学 で 重 要 視 されていた、リガンドの<br />
拡 散 によるシグナル 伝 達 だけでなく、 力 学 的 な 刺 激 や 細 胞 の 突 起 による<br />
直 接 刺 激 等 も 考 慮 することで、より 普 遍 的 な 原 理 の 発 見 と 共 に、 将 来 的<br />
に 臓 器 ・ 器 官 の 形 態 を 制 御 する 技 術 の 創 出 につなげることを 目 指 します。<br />
研 究 総 括<br />
山 本 雅<br />
生 命 体 は 環 境 刺 激 に 応 答 する 機 構 とホメオスタ<br />
シス 維 持 機 構 の 動 的 バランスにたっています。 本<br />
研 究 領 域 では、ゲノムやたんぱく 質 ・ 脂 質 をはじめ<br />
とする 生 体 高 分 子 が 織 り 成 す 生 命 現 象 を 無 細 胞<br />
系 、 細 胞 、 細 胞 集 団 のレベルで 観 察 ・ 実 験 ・ 計 測 し、<br />
この 生 命 体 の 動 的 システムを 時 空 間 の 視 点 で 統<br />
合 的 に 理 解 することを 目 指 します。 同 時 に、これら<br />
の 研 究 を 基 盤 として、 生 命 現 象 を 自 在 に 操 る 技 術<br />
の 創 出 を 追 求 します。<br />
具 体 的 には、 近 年 急 速 に 発 展 した 高 速 ・ 高 分 解<br />
能 の 計 測 ・ 分 析 技 術 や 数 学 、 物 理 学 、 工 学 、 情<br />
報 ・ 計 算 科 学 などを 含 む 先 端 科 学 を 生 命 科 学 と 融<br />
合 し、 従 来 のアプローチでは 踏 み 込 めなかった 動<br />
的 かつ 複 雑 な 生 命 現 象 の 作 動 原 理 を 解 明 しよう<br />
とする 研 究 を 対 象 とします。 生 命 体 の 動 的 システム<br />
を 数 理 科 学 に 基 づくモデリングやシミュレーション<br />
を 活 用 して 理 解 するなど、 新 しい 方 法 論 の 確 立 に<br />
つながる 学 際 的 視 点 を 持 つ 先 導 的 な 研 究 を 推 奨<br />
します。<br />
領 域 アドバイザー<br />
沖 縄 科 学 技 術 大 学 院 大 学<br />
細 胞 シグナルユニット 教 授<br />
秋 山 徹 東 京 大 学 分 子 細 胞 生 物 学 研 究 所 所 長 / 教 授<br />
浅 井 潔 東 京 大 学 大 学 院 新 領 域 創 成 科 学 研 究 科 教 授 /<br />
( 独 ) 産 業 技 術 総 合 研 究 所 生 命 情 報 工 学<br />
研 究 センター 研 究 センター 長<br />
巖 佐 庸 九 州 大 学 大 学 院 理 学 研 究 院 教 授<br />
加 藤 毅 京 都 大 学 大 学 院 理 学 研 究 科 教 授<br />
鈴 木 貴 大 阪 大 学 大 学 院 基 礎 工 学 研 究 科 教 授<br />
高 田 彰 二 京 都 大 学 大 学 院 理 学 研 究 科 准 教 授<br />
竹 縄 忠 臣 神 戸 大 学 大 学 院 医 学 研 究 科 特 命 教 授<br />
豊 柴 博 義 武 田 薬 品 工 業 株 式 会 社 医 薬 研 究 本 部<br />
生 物 分 子 研 究 所 主 席 研 究 員<br />
中 野 明 彦 東 京 大 学 大 学 院 理 学 系 研 究 科 教 授 /<br />
( 独 ) 理 化 学 研 究 所 基 幹 研 究 所 主 任 研 究 員<br />
西 川 伸 一 ( 独 ) 理 化 学 研 究 所 発 生 ・ 再 生 科 学 総 合 研 究<br />
センター 副 センター 長 /グループディレクター<br />
深 見 希 代 子 東 京 薬 科 大 学 生 命 科 学 部 学 部 長 / 教 授<br />
本 多 久 夫 兵 庫 大 学 健 康 科 学 部 教 授<br />
三 品 昌 美 立 命 館 大 学 総 合 理 工 学 研 究 機 構 客 員 教 授<br />
吉 田 佳 一 ( 株 ) 島 津 製 作 所 常 務 執 行 役 員 /<br />
技 術 研 究 副 担 当 / 基 盤 技 術 研 究 所 長<br />
細 胞 増 殖 と 分 化 における 遺 伝 子 発 現<br />
振 動 の 動 態 解 明 と 制 御<br />
影 山 龍 一 郎<br />
細 胞 増 殖 や 分 化 過 程 では、 多 くの 遺<br />
伝 子 発 現 が 振 動 しています。この 発<br />
現 振 動 を 阻 害 すると 細 胞 増 殖 や 分 化<br />
が 抑 制 されますが、その 分 子 機 序 はよ<br />
くわかっていません。また、 細 胞 間 で 発<br />
現 振 動 が 同 位 相 化 すると 均 一 な、 位 相 がずれると 多 様<br />
な 細 胞 集 団 になると 考 えられますが、この 位 相 制 御 機 構<br />
もわかっていません。 本 研 究 では、 数 理 モデルをもとに 予<br />
測 と 検 証 実 験 を 行 い、 発 現 振 動 と 位 相 制 御 の 意 義 ・ 原<br />
理 を 解 明 し、 細 胞 の 増 殖 と 分 化 の 制 御 を 目 指 します。<br />
時 間 情 報 コードによる 細 胞 制 御 システム<br />
の 解 明<br />
黒 田 真 也<br />
生 命 現 象 を 制 御 するシグナル 伝 達 経<br />
路 は、 同 一 の 経 路 でも 一 過 性 や 持 続<br />
性 、 周 期 性 などの 時 間 パターンにより<br />
異 なる 生 理 機 能 を 選 択 的 に 制 御 でき<br />
ます。これはシグナル 分 子 は 情 報 を<br />
コードするための 媒 体 であり、シグナル<br />
分 子 の 活 性 化 の 時 間 パターンこそが 情 報 の 実 体 である<br />
ことを 意 味 しています。 本 研 究 では、 生 体 内 においてイン<br />
スリンの 一 過 性 、 持 続 性 、 周 期 性 の 時 間 パターンにより<br />
代 謝 を 選 択 的 に 制 御 するインスリンシグナリングに 着 目<br />
して、 時 間 情 報 コードのメカニズムと 生 理 的 意 義 を 実 験<br />
と 数 理 解 析 の 融 合 研 究 で 解 明 します。<br />
洪<br />
実<br />
京 都 大 学 ウイルス 研 究 所<br />
東 京 大 学 大 学 院 理 学 系 研 究 科<br />
慶 應 義 塾 大 学 医 学 部<br />
教 授<br />
教 授<br />
教 授<br />
動 的 遺 伝 子 ネットワークの 多 次 元 構 造<br />
解 析 による 高 精 度 な 細 胞 分 化 制 御 技 術<br />
の 開 発<br />
本 研 究 では、ヒト 幹 細 胞 の 形 態 と 機 能<br />
を 調 節 する 転 写 因 子 全 てを、ひとつず<br />
つ 操 作 することによって、 全 遺 伝 子 の<br />
発 現 パターンが 時 間 とともに、どのよう<br />
に 変 化 していくかを 詳 細 に 調 べます。<br />
この 前 例 のない 大 規 模 かつ 高 精 度 の<br />
データを 最 新 のコンピュータで 解 析 することによって、 今<br />
まで 不 可 能 とされてきた、 多 様 で 複 雑 な 転 写 因 子 ネット<br />
ワークの 構 造 とその 動 態 解 明 に 挑 みます。ネットワークを<br />
人 為 的 に 精 密 制 御 できる 方 法 を 開 発 することで、 生 命<br />
の 数 理 的 理 解 をめざすのみならず、 再 生 医 療 、 医 療 工<br />
学 で 必 要 とされる 様 々な 細 胞 種 を 自 由 自 在 に 創 り 出 す<br />
基 盤 技 術 も 創 出 します。<br />
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