アイヌ政策のあり方と国民的理解 - 日本学術会議

(2) 「アイヌ 政 策 のあり 方 に 関 する 有 識 者 懇 談 会 」 報 告 書 の 政 策 提 言
具 体 的 な 政 策 として 挙 げられているのは、 以 下 の 通 りである。
1 国 民 の 理 解 の 促 進
ア 教 育
アイヌ 民 族 に 関 しての 教 育 がしっかりと 行 われるべきである。 児 童 ・ 生 徒 の 発
達 段 階 に 応 じた 指 導 方 法 や 教 材 研 究 が 行 われるべきであるし、 教 員 への 指 導 者 研
修 も 必 要 である。
イ 啓 発
アイヌ 文 化 に 関 する 啓 発 活 動 は 現 在 北 海 道 内 にとどまっているが、これを 全 国
的 に 展 開 するべきであり、「アイヌ 民 族 の 日 ( 仮 称 )」の 制 定 を 含 めて、 啓 発 ・
広 報 活 動 が 必 要 となっている。
2 広 義 の 文 化 に 係 る 政 策
ア 民 族 共 生 の 象 徴 となる 空 間 の 整 備
アイヌの 文 化 ・ 歴 史 に 関 する 教 育 ・ 研 究 ・ 展 示 等 を 行 うことのできる 施 設 や 空
間 を 確 保 する。そこには 併 せて 大 学 等 に 保 管 されている 遺 骨 の 尊 厳 ある 慰 霊 が 可
能 となる 施 設 が 設 置 されることが 望 ましい。 先 住 民 族 の 尊 厳 を 尊 重 し、 多 様 な 文
化 の 共 生 を 象 徴 するものであるべきである。
イ 研 究 の 推 進
一 部 の 大 学 や 研 究 機 関 が 研 究 を 行 っているが、それらの 連 携 を 図 り、アイヌの
研 究 者 を 育 成 するためには、 総 合 的 かつ 実 践 的 な 研 究 の 推 進 体 制 へと 発 展 させる
べきである。 中 核 となる 研 究 機 関 の 強 化 、 研 究 のネットワーク 化 が 求 められる。
ウ アイヌ 語 をはじめとするアイヌ 文 化 の 振 興
アイヌ 語 ・アイヌ 文 化 に 学 び 触 れる 機 会 の 拡 充 に 加 え、 地 名 をアイヌ 語 表 記 に
するなどして 人 々がアイヌ 語 に 触 れる 機 会 を 増 やすことが 必 要 である。
エ 土 地 ・ 資 源 の 利 活 用 の 促 進
現 在 進 められているアイヌの 伝 統 的 生 活 空 間 (イオル) 15 再 生 事 業 を 拡 充 するこ
となどをはじめ、 今 日 的 な 土 地 ・ 資 源 の 利 活 用 によりアイヌ 文 化 の 総 合 的 な 伝 承
活 動 を 可 能 にすることが 必 要 である。
オ 産 業 振 興
工 芸 技 術 の 向 上 、 販 路 拡 大 、アイヌ・ブランドの 確 立 、 観 光 振 興 等 への 支 援 な
どが 必 要 である。
カ 生 活 向 上 関 連 施 策
北 海 道 外 のアイヌの 人 々の 生 活 実 態 調 査 を 実 施 し、 必 要 な 施 策 の 全 国 展 開 の 検
討 ・ 実 施 が 必 要 である。
15 多 様 な 自 然 環 境 の 中 で、 衣 食 住 から 儀 礼 まですべてをまかなうアイヌの 生 活 空 間 のこと。 再 生 事 業 では、
自 然 素 材 を 育 成 しそこでアイヌ 文 化 の 伝 承 や、 体 験 交 流 が 行 われている。
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