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アイヌ政策のあり方と国民的理解 - 日本学術会議

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2.アイヌの 人 々の 現 状 とアイヌの 人 々をめぐる 最 近 の 動 き<br />

(1) アイヌの 人 々の 現 状<br />

・ 多 くが 北 海 道 に 居 住 と 考 えられる( 北 海 道 の 調 査 により 把 握 されている 数 は 約 2 万 4 千 人 )。<br />

・ 他 の 多 くの 日 本 人 とほぼ 変 わらない 様 式 で、 衣 食 住 などの 日 常 生 活 を 送 っている。<br />

・ 北 海 道 に 居 住 するアイヌの 人 々の 生 活 状 況 は 改 善 されてきているが、 道 民 ・ 国 民 全 体 との 格 差<br />

は 依 然 として 大 きい。 北 海 道 外 のアイヌの 人 々には 特 段 の 施 策 は 講 じられていない。<br />

・アイヌ 文 化 振 興 法 ( 平 成 9 年 ) 制 定 によりアイヌ 語 や 伝 統 文 化 の 維 持 ・ 伝 承 の 裾 野 が 広 がって<br />

いる。 一 方 、 継 承 や 発 展 にとって 十 分 に 機 能 していない 側 面 があるのでは 等 の 指 摘 もある。<br />

・アイヌの 人 々の 他 の 日 本 人 とほぼ 変 わらない 日 々の 生 活 とアイヌとしての 帰 属 意 識 を 感 じる 生<br />

活 はともに 尊 重 されるべき。<br />

(2) アイヌの 人 々をめぐる 最 近 の 動 き<br />

・ 平 成 19 年 9 月 「 先 住 民 族 の 権 利 に 関 する 国 際 連 合 宣 言 」 採 択 ( 我 が 国 も 賛 成 )<br />

・ 平 成 20 年 6 月 「アイヌ 民 族 を 先 住 民 族 とすることを 求 める 決 議 」 衆 ・ 参 両 院 で 可 決<br />

3. 今 後 のアイヌ 政 策 のあり 方<br />

(1) 今 後 のアイヌ 政 策 の 基 本 的 考 え 方<br />

1 先 住 民 族 という 認 識 に 基 づく 政 策 展 開<br />

・アイヌの 人 々は 日 本 列 島 北 部 周 辺 、とりわけ 北 海 道 の 先 住 民 族 であると 考 えることができる。<br />

・ 国 の 近 代 化 政 策 の 結 果 、その 文 化 に 深 刻 な 打 撃 を 与 えたという 経 緯 を 踏 まえ、 国 には 先 住 民<br />

族 であるアイヌの 文 化 の 復 興 に 配 慮 すべき 強 い 責 任 がある。<br />

・ここでいう 文 化 とは、 言 語 、 音 楽 、 舞 踊 、 工 芸 等 に 加 え、 土 地 利 用 の 形 態 等 の 民 族 固 有 の 生<br />

活 様 式 の 総 体 と 捉 えるべき。<br />

・ 伝 統 を 踏 まえた 復 興 とともに、それを 核 として 新 しいアイヌ 文 化 を 創 造 する 視 点 が 必 要 。<br />

・ 偏 見 や 差 別 の 解 消 、 新 しい 政 策 の 円 滑 な 推 進 のために、 国 民 の 正 しい 理 解 ・ 知 識 の 共 有 が 必<br />

要 。 次 の 世 代 が 夢 や 誇 りを 持 って 生 きられる 社 会 にしていく 心 がけが 大 切 。<br />

2 国 連 宣 言 の 意 義 等<br />

・ 宣 言 は 法 的 拘 束 力 はないものの、 先 住 民 族 に 係 る 政 策 のあり 方 の 一 般 的 な 国 際 指 針 としての<br />

意 義 は 大 きく 十 分 尊 重 されるべき。<br />

・ 参 照 するに 当 たっては、 各 々の 国 の 先 住 民 族 の 歴 史 や 現 状 を 踏 まえることが 必 要 。<br />

・アイヌ 政 策 の 根 拠 を 憲 法 の 関 連 規 定 に 求 め、 積 極 的 に 展 開 させる 可 能 性 を 探 ることが 重 要 。<br />

3 政 策 展 開 に 当 たっての 基 本 的 な 理 念<br />

ア アイヌのアイデンティティの 尊 重<br />

・アイヌとしてのアイデンティティを 持 って 生 きることを 積 極 的 に 選 択 し、かつ、その 選 択<br />

に 従 って 自 律 的 に 生 を 営 むことを 可 能 とする 政 策 が 必 要 。<br />

イ 多 様 な 文 化 と 民 族 の 共 生 の 尊 重<br />

・アイヌという 民 族 が 存 在 していることは 極 めて 意 義 深 い。 広 義 の 文 化 の 復 興 へ 配 慮 するこ<br />

とは、 多 様 でより 豊 かな 文 化 を 享 有 できるという 意 味 において 国 民 一 般 の 利 益 にもなる。<br />

ウ 国 が 主 体 となった 政 策 の 全 国 的 実 施<br />

・ 今 後 も、 地 方 公 共 団 体 や 企 業 などの 民 間 による 自 主 的 な 取 組 は 重 要 であるが、 従 来 以 上 に<br />

国 が 主 体 性 を 持 って 政 策 を 立 案 し 遂 行 すべき。 地 方 公 共 団 体 等 との 連 携 ・ 協 働 が 重 要 。<br />

・ 全 国 のアイヌの 人 々を 対 象 とする 政 策 展 開 が 必 要 。<br />

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