アイヌ政策のあり方と国民的理解 - 日本学術会議

また、 大 学 においても、 関 連 する 科 目 担 当 者 の 自 主 性 において、アイヌ 民 族 に 関 する
教 育 が 行 われることを 希 望 する。
(5) 多 様 な 文 化 の 共 存 と 共 生
アイヌ 政 策 推 進 会 議 で 現 在 進 められている 民 族 共 生 の 象 徴 となる 空 間 の 整 備 の 事 業
は、 教 育 ・ 研 究 ・ 文 化 伝 承 ・ 展 示 など 多 くの 機 能 を 併 せ 持 った 施 設 を 含 む 空 間 となる 予
定 であり、それぞれの 機 能 はそれぞれに 評 価 されるべきであるが、これが 多 様 な 文 化 の
共 存 と 共 生 の 象 徴 となることはきわめて 重 要 である。
異 文 化 に 対 し 違 和 感 をもつのではなく、 異 なる 文 化 を 互 いに 理 解 する 努 力 をして、 文
化 的 多 様 性 を 保 持 しつつ 共 生 する 社 会 を 築 き 上 げることは、21 世 紀 の 世 界 中 で 必 要 とな
っていることである。 日 本 学 術 会 議 が 平 成 22 年 に 公 開 した『 日 本 の 展 望 』の 人 文 ・ 社
会 科 学 からの 提 言 の 中 には、「 多 様 に 異 なる 文 化 を 相 互 に 理 解 するためには、 自 文 化 中
心 主 義 を 克 服 しつつ 文 化 的 伝 統 を 継 承 しうる 柔 軟 な 思 考 とともに、 相 互 の 異 なるニーズ
を 理 解 しあった 上 で 負 担 を 分 かち 合 う 姿 勢 が 不 可 欠 である。」[17]とある。そのような
多 様 性 に 対 する 寛 容 さの 基 盤 は、 残 念 ながら 我 が 国 ではまだ 十 分 育 っていない。そのよ
うな 多 様 性 を、 喜 び、 享 受 する 態 度 を 醸 成 する 第 一 歩 として、アイヌ 民 族 を 先 住 民 族 と
して 理 解 し、その 声 を 聴 き、 共 に 考 えていくことが 重 要 である。
以 上
< 参 考 文 献 >
[1] 北 海 道 環 境 生 活 部 (2006)『 平 成 18 年 北 海 道 アイヌ 生 活 実 態 調 査 報 告 書 』
http://www.pref.hokkaido.lg.jp/ks/ass/grp/H18houkokusyo.pdf
[2] 東 京 都 企 画 審 議 室 調 査 部 (1989)『 東 京 在 住 ウタリ 実 態 調 査 報 告 書 』
[3] アイヌ 政 策 のあり 方 に 関 する 有 識 者 懇 談 会 (2009)『 報 告 書 』
[4] 朝 日 新 聞 2010 年 10 月 30 日 朝 刊 31 ページ、 北 海 道 本 社 「アイヌ 道 外 調 査 足 踏 み」
[5] アイヌ 政 策 推 進 会 議 、 第 6 回 「 北 海 道 外 アイヌの 生 活 実 態 調 査 部 会 」 議 事 概 要 。
http://www.kantei.go.jp/jp/singi/ainusuishin/jittaichousa/dai6/gijigaiyou.pdf
[6] Poisson, B. (2002), The Ainu of Japan, Lerner Publications, Minneapolis.
[7] Sjöberg, K. (1993) The Return of the Ainu: Cultural Mobilisation and Practice
of Ethnicity in Japan, p. 152. Amsterdam: Harwood Academic Publishers
[8] 小 内 透 編 著 (2010)『 現 代 アイヌの 生 活 と 意 識 :2008 年 北 海 道 アイヌ 民 族 生 活 実 態 調
査 報 告 書 』 北 海 道 大 学 アイヌ・ 先 住 民 研 究 センター
[9] ウタリ 対 策 のあり 方 に 関 する 有 識 者 懇 談 会 (2000)『 報 告 書 』
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