手話で の指導と指の - 筑波技術大学
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聴 覚 障 害 学 生 のバレーボール 指 導 について<br />
- 手 話 での 指 導 と 指 のサインプレーの 重 要 性 一<br />
聴 覚 部 建 築 工 学 科 今 井 計<br />
要 旨 : 平 成 3 年 4 月 本 学 に 着 任 し, 学 生 の 要 請 に 応 じてバレーボール 指 導 している。まず,バレーボール<br />
経 験 の 有 無 を 聞 き, 経 験 者 ・ 未 経 験 者 のプレーぶりを 見 て 指 導 を 始 めた。1 年 間 指 導 して, 健 聴 者 のように<br />
声 で 連 携 プレーができないため,アウトボールに 触 ったり,お 見 合 いをした。そこで 聴 覚 障 害 を 加 味 した 実<br />
戦 法 として, 指 でサインを 送 る 指 導 をした。2 年 目 に 新 体 連 北 区 連 盟 ,3 年 目 に 関 東 大 学 男 子 バレーボール<br />
連 盟 に 加 盟 し( 本 学 運 動 部 で 大 学 連 盟 に 登 録 するのはバレーボール 部 が 初 めて),リーグ 戦 に 出 場 した。その<br />
際 , 健 聴 者 との 違 い( 笛 が 聴 こえない, 審 判 の 問 題 )をわかっていただいた。 健 聴 者 との 試 合 では, 私 が 声<br />
を 出 さずに 手 話 で 作 戦 を 与 えることがプラスになった。またトラブルを 少 なくするために, 体 育 館 にフラッ<br />
シュランプの 設 置 の 普 及 という 問 題 点 もあった。 聴 覚 障 害 学 生 を 手 話 で 指 導 する 際 に「 指 のサインプレー」「 反<br />
復 練 習 から 体 で 覚 える」「 状 況 判 断 」が 大 切 だということがわかった。<br />
キーワード: 聴 覚 障 害 ,バレーボール 指 導 ,サインプレー, 健 聴 者 との 試 合<br />
1。【 未 経 験 者 の 指 導 と 練 習 試 合 】<br />
メンバー 構 成 を 表 Iに 示 す。9 人 の 学 生 が 本 学 入 学 ま<br />
でにスポーツを 経 験 している。バレーボール 経 験 者 は,<br />
レシーブ・スパイクを 兄 て 判 | 折 したd 未 経 験 者 は,パス<br />
の 構 えと1iii 後 左 右 にボールを 散 らせて, 体 の 正 iI1iでポー<br />
ルを 取 ることと, 足 の 運 び 方 を 覚 えさせた。スパイクは<br />
スウィングと 畦 打 ちをやった。<br />
練 習 のi 伎 後 にバランス 良 〈チームを 分 け, 乱 打 をやっ<br />
た。そこで 未 経 験 者 は 経 験 者 と 一 緒 にやることで,「 自<br />
分 にはイilIが 足 I)ないのか」,「どんなプレーを 身 につけた<br />
らいいのか」ということを 自 覚 させるようにした。<br />
6 川 kに 力 を 試 すため, 私 が 所 属 する 千 川 クラブ( 東<br />
京 : 社 会 人 )に 練 習 試 合 をお 願 いした。 結 果 は1-6で<br />
惨 敗 したが,チーム 内 で 目 標 を 持 ち, 積 極 的 に 純 得 する<br />
ようになった。 以 後 9 月 ,12 月 にも 練 習 試 合 をやった。<br />
その 他 筑 波 大 バレーボールサークル, 筑 波 大 医 学 専 門 学<br />
群 , 筑 波 大 附 属 聾 学 校 歯 科 技 工 科 とも 練 習 試 合 を 行 った。<br />
公 式 試 合 に 参 加 したい 気 持 ちが 強 まり, 問 い 合 わせて<br />
みたが, 筑 波 にバレーボールのカレッジリーグはない。<br />
地 域 の 社 会 人 の 試 合 は, 学 ノヒ 登 録 は 認 めていない。<br />
2.【 新 体 連 での 問 題 点 と 解 決 法 】<br />
2.1 交 流 試 合 での 審 判 の 試 行<br />
そこで, 千 川 クラブが 参 加 している 新 体 連 東 京 都 北 区<br />
リーグに 聞 いたら, 運 営 委 員 長 が「 交 流 試 合 をして, 来<br />
年 参 加 できるか 判 断 して 下 さい」という 返 事 もらった。<br />
ⅡjⅡKⅡKⅡⅡ<br />
Y-VⅡⅡYⅡ0V<br />
表 ンバー 構 成<br />
1 期 卒 業 生 から 現 在 までのメンバー<br />
図 ■ 田 圃 図 圃 國 國 國 囮<br />
学 {12 身 jと バレーボール 縫 験 及 びスポーツ$Y 験 のイj 鮒<br />
K・Y 卒 170 イィ( 高 校 1(l2lIIl) 大 学 I(l:の11i「 陸 」Z 部<br />
Y・P 卒 183 照 ( 高 校 :ゴルフ 部 ) 人 学 l【I:のUIIテニス81〈<br />
」F 3《I 173 照 ( 聾 学 校 '1’・ 高 等 部 :’;1 球 部 )<br />
【.Y 3(’ 173 イイ(、l 学 校 11 等 部 3WZiIII)<br />
【Ⅱ 3{I 178 イ「( 高 校 3(’ 1111)<br />
【Ⅱ 3(1 165 照 (、P 学 校 '1 ・ 高 等 部 : 卓 球 部 )<br />
l【・Y 2『I 175 有 (【|' 学 3 年 間 聾 学 校 癌 零 部 2fIzIlIl)<br />
【.Ⅱ 2f1 175 イ『( 聾 学 校 為 等 部 2 年 Ⅱ11) 111 学 の 時 パスケ 部<br />
T・U lfl 168 無 ( 野 学 校 野 球 部 )<br />
K,Y 1 年 163 無<br />
ルール・ 記 録 は 勉 強 会 を 開 き, 試 合 のビデオで 見 なが<br />
ら 記 録 をつける 練 習 を 繰 り 返 した。ラインズマンは, 練<br />
習 中 に1N・OUTの 旗 の 上 げ 方 を 指 導 したが, 問 題 は 主<br />
審 ・ 副 辮 でプレーヤーからの 質 問 がわからない, 説 明 が<br />
できても 発 音 が 不 明 瞭 のためプレーヤーは 聞 き 取 りにく<br />
い,ブロックの 微 妙 なワンタッチの 判 定 ができないこと<br />
だった。どの 位 できるのかを 交 流 試 合 で 試 し,その 結 果<br />
私 が 通 訳 で 審 判 台 の 脇 につくという 条 件 で 運 営 委 員 会 で<br />
正 式 に 加 盟 を 認 めていただいた。<br />
2.2 指 のサインプレーの 試 行<br />
チームの 形 ができ, 近 畿 地 区 ろう 学 校 大 会 で 優 勝 経 験<br />
を 持 つ 新 入 部 員 が2 人 入 ってきた。<br />
1 年 間 指 導 して 感 じたことは, 彼 らは 健 聴 者 のように<br />
声 で 連 携 プレーができないことだった。 例 えば「1N.<br />
4s
OUT・ワンタッチ」のジャッジを 声 でできないために,<br />
アウトポールに 触 わったり,お 見 合 いをしたことがあっ<br />
た。そこでリーグ 戦 が 始 まる6 月 までは, 声 を 代 わりに<br />
指 でサインを 送 る 練 習 などをした。サーブレシーブの<br />
ジャッジは,「OUT」の 時 に, 両 手 をあげたり, 足 で 床<br />
をたたいてレシーバーに 振 動 で 知 らせる。( 床 が 木 製 の<br />
場 合 は 成 功 した) 他 のプレーの 場 合 は,とっさの 判 断 の<br />
ため 床 をたたく 余 裕 はなかった。スパイクのサインは,<br />
サーブを 打 つ 前 にセッターが,スパイカーのサインを 見<br />
る 事 にした。サーブレシーブの 時 は,スパイカーがセッ<br />
ターのサインを 見 た。 例 えば, 指 文 字 の「お」はオープ<br />
ンとか「れ」はレフトという 約 束 をした。<br />
レシーブが 乱 れた 場 合 ,つなぎのトスをあげる 人 を 決<br />
め,コート 外 にはじかれたポールはいちばん 近 い 人 がつ<br />
ないだ。<br />
2.3 対 策 と 反 省<br />
リーグ 戦 は 毎 月 第 3 日 曜 日 に 総 当 たり2 回 戦 を 行 っ<br />
た。( 参 加 チームは9チーム)リーグ 戦 中 は 練 習 に 加 えて,<br />
当 日 ビデオ 撮 影 を 行 って, 後 日 それを 見 て 反 省 会 を 行 っ<br />
た。また 今 度 対 戦 するチームのビデオがあれば,それを<br />
見 て 対 策 を 立 てたこともあった。<br />
結 果 6 位 だったが, 健 聴 者 のチームと 試 合 ができたこ<br />
とは, 大 きな 自 信 となったが, 指 でサインを 送 ることは<br />
充 分 できなかった。 特 にラリーが 続 くとセッターとスパ<br />
イカーのタイミングが 合 わなくなり, 失 点 したケースが<br />
あった。この1 年 間 は,バレーに 対 する 考 え 方 やチーム<br />
の 方 向 ` 性 など, 私 自 身 学 生 と 衝 突 し, 学 生 同 士 でも 衝 突<br />
があり,チームをまとめるのに 苦 労 した。<br />
2.4 指 のサインプレーの 先 駆 者<br />
この 年 に, 関 東 ろうあ 者 ・ 全 国 ろうあ 者 体 育 大 会 を 見<br />
に 行 った。 全 国 大 会 は, 平 成 5 年 7 月 ブルガリアで 開 催<br />
される 世 界 ろうあ 者 体 育 大 会 のメンバー 選 考 会 を 兼 ねて<br />
いた。 鳥 取 , 東 京 , 広 島 は 健 聴 者 のチームではないかと<br />
思 うくらい 息 も 合 っていた。やはり 細 かく 指 でサインを<br />
送 っていた。 正 月 にはオリンピックの 第 1 次 合 宿 ( 沖 縄 )<br />
の 練 習 の 手 伝 いに 行 き, 各 チームの 代 表 選 手 に 聞 くと,<br />
状 況 に 応 じたサインがたくさんあることを 知 った。 例 え<br />
ば, 時 間 差 攻 撃 の 時 は,サーブレシーブの 返 球 が 悪 い 場<br />
合 , 練 習 中 にそれに 代 わる 次 のサインを 決 めていた。そ<br />
うなるとセッターに 高 い 能 力 が 必 要 だと 感 じた。 私 は,<br />
翌 年 7 月 の 最 終 合 宿 ( 東 京 )にも 参 加 できた。<br />
学 生 からはやはり「 健 聴 者 の 大 学 生 と 試 合 をやりたい」<br />
という 希 望 が 出 て, 大 学 リーグ 連 盟 事 務 所 へ 出 かけ 事 情<br />
を 説 明 した。<br />
特 に 彼 らは 耳 が 不 自 由 であり, 健 聴 者 との 違 い( 例 え<br />
ば, 笛 が 聞 こえない, 審 判 の 問 題 )をわかっていただい<br />
た。 監 査 役 の 先 生 が 彼 らの 様 子 を 聞 いた 上 で,「 障 害 が<br />
ある,なしは 関 係 なく, 登 録 する 条 件 が 満 たされていれ<br />
ば 充 分 です」という 回 答 をいただき, 後 日 正 式 に 理 事 会<br />
で 承 認 されて, 平 成 5 年 度 から 関 東 大 学 リーグに 加 盟 す<br />
ることになった。<br />
3.2 目 標 とサインプレーの 見 直 し<br />
大 学 リーグ( 最 下 部 は15 部 )に 向 けて, 春 季 リーグで<br />
勝 ち14 部 へ, 秋 季 リーグで 勝 ち13 部 へ 昇 格 するという 年<br />
間 の 目 標 を 立 てて, 練 習 を 開 始 した。チームとしては,<br />
各 人 役 割 を 決 め, 拾 ってつないで,エースに 打 たせると<br />
いう 方 向 で 戦 った。<br />
指 のサインプレーについては,クイックが 打 てるよう<br />
になったので, 種 類 を 増 やした。 例 えば, 平 行 トスは 指<br />
文 字 の「へ」,セミは「せ」,バックセミ「た」,Aクイッ<br />
クはアルファベットの「A」,ライトへのランニングス<br />
パイク( 専 門 用 語 でCワイド)は 手 話 の「トイレ」(C<br />
とwを 組 み 合 わせて)と 決 めた。<br />
3.3 春 季 リーグの 反 省 点 と 対 策<br />
春 季 リーグの 結 果 を 表 2に 示 す。 初 日 は, 相 手 チーム<br />
がわからない 状 態 でいきなりの 連 敗 スタートでショック<br />
が 大 きかったようだが,その 後 5 連 勝 ということで 初 日<br />
が 悔 やまれた。 以 前 よりもラリー 中 に 指 でサインを 送 れ<br />
表 2<br />
平 成 5 年 度 関 東 大 学 男 子 バレーポール<br />
春 季 15 部 リーグ 戦 績 表<br />
会 場 都 立 科 学 技 術 大 ( 東 京 都 豊 田 市 )<br />
白 旧 叫 ○ ○ 0 ○ 0 ○ ○<br />
1 位<br />
3.【 大 学 リーグでの 問 題 点 と 解 決 法 】<br />
(】'i) 3-0 3-1 3-0 3-0 3-1 3-0 3-0 7 0 昇 格<br />
3.1 加 盟 塞 杏 * 不 : 刀 qfbE9 及 びフ 両 RNi,(”: 銅 、 盟 ,(14.7): 前 回 もk 季 リーグME14 部 7 位 , 昇 格 :l 欠 期 リーグU2は14 部 へ<br />
図 杏 館 情<br />
報 (14.7)<br />
東 京 医 歯<br />
科 (14.8)<br />
武 E 鰹 チョビ<br />
術 (15,4)<br />
北 里<br />
(15,5)<br />
八 千 代 国<br />
際 (15,6)<br />
; 宜 荊 b1 弓 宅 『<br />
( 句 、<br />
霊 、 鬮 愉<br />
×<br />
0-3<br />
○<br />
3-1<br />
○<br />
3-0<br />
○<br />
3-0<br />
×<br />
2-3<br />
東 乃 U 屋 歯<br />
科 大 :ill 謨 学 蔓 漂<br />
○<br />
3-0<br />
×<br />
2-3<br />
×<br />
1-3<br />
○ 不<br />
3-0<br />
×<br />
2-3<br />
。 ○ 不<br />
8-2 8 一 0<br />
×<br />
1-3<br />
○<br />
3-2<br />
○<br />
3-2<br />
○<br />
3-1<br />
×<br />
2-3<br />
0<br />
3-1<br />
×<br />
0-3<br />
○<br />
3-1<br />
×<br />
2-3<br />
○<br />
3-2<br />
×<br />
1-3<br />
0<br />
3-0<br />
北 里 大<br />
X<br />
0-3<br />
× 不<br />
0-3<br />
×<br />
1-3<br />
×<br />
2-3<br />
×<br />
0-3<br />
×<br />
0-3<br />
閨 i;j:<br />
○<br />
3-2<br />
○<br />
3-2<br />
○<br />
3-2<br />
○<br />
3-1<br />
○<br />
3-0<br />
0<br />
3-1<br />
i 護 鐘 廟<br />
×<br />
2-3<br />
× 不<br />
0-3<br />
×<br />
1-3<br />
×<br />
0-3<br />
○<br />
3-0<br />
×<br />
1-3<br />
白 目 O 大<br />
×<br />
勝 敗<br />
自 助 冬<br />
賦 位<br />
0-3 2 5 6 位<br />
×<br />
1-3 3 4 7 位<br />
×<br />
0-3 2 5 5 位<br />
×<br />
0-3 3 4 4 位<br />
×<br />
1-3 6 1<br />
×<br />
2 位<br />
昇 格<br />
0-3 0 7 8 位<br />
X<br />
0-3 5 2 3 位<br />
4s
るようになったが,クイックのタイミングがずれる 事 が<br />
多 かった。 試 合 中 にしっかりした 対 策 を 立 てれば, 負 け<br />
るような 相 手 ではなかっただけに 私 自 身 データ 分 析 の 重<br />
要 性 を 痛 感 し, 秋 季 リーグの 目 標 を14 部 昇 格 と 決 めた。<br />
3.4 秋 季 リーグに 向 けての 強 化<br />
3.4.1サーブの 変 化 とスピードに 慣 れる<br />
サーブレシーブ(3 人 1 組 十 セッター)の 練 習 では,<br />
私 と 学 生 で 工 夫 してオーバーハンド,サイドハンド,フ<br />
ローター,ドライブ,ジャンプといったサーブを 長 短 強<br />
弱 をつけたり,エンドライン 際 から 壁 まで 徐 々に 下 がっ<br />
たり, 変 化 ・スピードに 慣 れるように 打 った。1 本 1 本<br />
打 たれる 時 に, 相 手 のフォームを 見 て,コースを 読 み 素<br />
早 く 正 面 に 入 るように 指 導 した。また, 反 対 側 のコート<br />
に2 枚 ないし3 枚 のブロッカーつけて,レシーブ 後 の<br />
フォローの 練 習 も 加 えた。<br />
3.4.22 段 トスを 目 と 指 で 連 携 する<br />
つなぎの 練 習 は,レシーブから2 段 トスを 上 げてスパ<br />
イクを 打 ち, 反 対 側 のコートにブロッカーつけて,フォ<br />
ローの 練 習 も 加 えた。これが 一 番 難 しいことだった。 健<br />
聴 者 は,2 段 トスを 上 げる 人 が「レフト」と 言 ったり,<br />
アタッカーが 呼 んだり,とっさの 判 断 を 声 でできるが,<br />
彼 らにはそれができないため, 反 復 練 習 をしていく 中 で<br />
目 と 指 で 連 携 する 方 法 を 見 つけていった。 例 えば,アタッ<br />
カーがトスをレフトへ 高 くあげてほしいときは 手 話 の<br />
「 上 」, 低 めの 時 は「 低 い」という 手 話 を 使 い,それをセッ<br />
ターが 見 るようにした。<br />
3.4.3 切 り 返 しの 中 での 状 況 判 断<br />
アタックレシーブからの 切 り 返 しの 練 習 では,トスを<br />
上 げてもらって 私 がいろいろなポジションから 強 打 ,<br />
フェイント,ブロックアウト,クイック, 移 動 攻 撃 など<br />
を 打 ち,それを 拾 ってラリーを 続 け, 相 手 のコートを 見<br />
たり, 指 でサインを 送 るタイミングをつかませた。この<br />
練 習 で,いろいろな 状 況 での 対 処 の 仕 方 を 覚 えたし,ス<br />
ムーズに 指 でサインを 送 るタイミングもわかったよう<br />
だ。<br />
3.4.4 打 点 の 高 いスパイクに 慣 れる<br />
夏 休 み 静 岡 県 富 士 宮 市 で 合 宿 を 行 った。 合 宿 が 終 わり,<br />
1つだけ 私 に 不 足 していたのは, 低 身 (170cm)のため,<br />
高 さと 力 のあるスパイクが 打 てないということだった。<br />
高 さのあるスパイクは 打 点 が 高 く 角 度 が 付 くので, 腰 を<br />
より 低 く 構 えてレシーブする 必 要 がある。<br />
そこで, 長 身 者 のスパイクに 慣 れることを 目 的 として,<br />
千 川 クラブのエース3 人 (180cm 前 後 )にお 願 いをして,<br />
スパイクを 打 ってもらい,それを 拾 って 攻 め 返 す 練 習 と<br />
高 いブロックを 打 ち 抜 く 練 習 と 乱 打 をやった。<br />
3.5 秋 季 リーグ 中 の 対 策<br />
3.5.1 相 手 チームの 分 析<br />
秋 は 春 季 リーグのビデオで 相 手 を 分 析 した。 例 えば,<br />
誰 がサーブレシーブが 苦 手 なのか, 攻 撃 パターン, 接 戦<br />
の 時 にセッターは 誰 にトスを 上 げるのか,スパイクを 打<br />
つときどこが 空 いているのかを 確 かめて 対 策 を 練 った。<br />
リーグ 戦 空 き 時 間 に, 学 生 は 他 大 学 の 試 合 を 偵 察 し,<br />
相 手 チームが 春 と 同 じメンバーか 入 れ 替 えがあるのか<br />
チェックさせた。 私 は, 試 合 を 見 て,サーブレシーブか<br />
らの 攻 撃 パターンをローテーション 別 に 分 析 した。<br />
3.5.2ベンチから 手 話 で 作 戦 指 示<br />
ローテーション 別 分 析 をした 結 果 ,ブロックの 的 が 絞<br />
りやすくなった。そこでサーブを 打 つ 前 に, 私 が 試 合 中<br />
ベンチから 声 を 出 さず, 手 話 で 指 示 を 送 ったため, 相 手<br />
チームにわからずに 試 合 を 運 べた。これは 手 話 を 知 らな<br />
い 健 聴 者 との 試 合 では 有 効 な 手 段 ではないか。<br />
例 えば, 左 手 でサーバーに「サーブは1 番 を 狙 え」と<br />
いうのを「l」の 手 話 で, 右 手 は「 相 手 のレシーブが 崩<br />
れたら,ライトから10 番 が 打 つぞ」というのを「10」の<br />
手 話 で 簡 単 に 表 現 した。また, 合 間 を 見 て 細 かい 指 示 を<br />
手 話 で 指 示 した。しかし,ラリー 中 には 指 示 が 送 れない<br />
のが 難 点 だったので, 何 か 方 法 はないだろうか。<br />
指 のサインプレーに 関 しては,うまくできていたので,<br />
やはり 時 間 をかけて 指 導 した 成 果 が 出 たと 思 う。 秋 季<br />
リーグの 結 果 を 表 3に 示 す。 負 けた 試 合 も 展 開 次 第 では,<br />
フルセットまで 持 ち 込 めただけに「` 悔 しい」の 一 言 に 尽<br />
亜 学 院<br />
(M、7)<br />
月 鵡 【】 蜂 I<br />
(M’8)<br />
亜 汀 なkb 頤<br />
(15.8)<br />
屈 団 目 野 美<br />
術 (15.4)<br />
6K 立 科 技<br />
(15.5)<br />
Bag、 埴 檀<br />
報 (15.6)<br />
F 且 宜 戻 歯<br />
科 (15.7)<br />
八 千 代 国<br />
際 (15.8)<br />
東 間 弩 と 園<br />
( 研 )<br />
聖 学 院 大<br />
○<br />
3-0<br />
○<br />
8-0<br />
×<br />
0-3<br />
○<br />
3-2<br />
×<br />
0-3<br />
表 3 平 成 5 年 度 関 東 大 学 男 子 バレーボール<br />
× 不<br />
0-3<br />
×<br />
1-3<br />
×<br />
0-3<br />
秋 季 15 部 リーグ 戦 績 表<br />
会 場 武 蔵 野 美 術 大 ( 東 京 都 小 平 市 )<br />
東 京 ヨE 科<br />
大 藤 技 術 鶏 ;( 鰯 f 掌 ; 驍<br />
×<br />
0-3<br />
×<br />
1-8<br />
×<br />
1-3<br />
×<br />
2-3<br />
×<br />
0-3<br />
○<br />
3-1<br />
×<br />
0-3<br />
×<br />
0-3<br />
×<br />
0-3<br />
○<br />
3-1<br />
×<br />
2-3<br />
○<br />
3-1<br />
×<br />
2-3<br />
×<br />
2-3<br />
×<br />
0-3<br />
×<br />
1-3<br />
0<br />
3-0<br />
0<br />
3-1<br />
。<br />
8-2<br />
0<br />
3-0<br />
×<br />
0-3<br />
0<br />
3-2<br />
×<br />
0-3<br />
×<br />
1-3<br />
東 京 医 科<br />
歯 科 大<br />
東 洋 学 団<br />
大 届 敗<br />
* 不 :。q 鰹 、 及 び 可 珂 2 敗 ,( 新 ): 新 jm20(14,7):、1 回 春 季 リーグ 戦 14 部 7 位 , 烈 各 :i 欠 XHリーグWil4 邸 へ<br />
×<br />
2-3<br />
0<br />
3-2<br />
×<br />
1-8<br />
×<br />
0-3<br />
×<br />
0-3<br />
x 不<br />
0-3<br />
×<br />
0-3<br />
×<br />
1-3<br />
。<br />
3-0 3<br />
0<br />
3-0<br />
0<br />
8-2<br />
○<br />
3-0<br />
○<br />
3-0 3<br />
x 不<br />
0-3<br />
×<br />
1-3<br />
×<br />
0-3<br />
O 不<br />
一 0<br />
×<br />
1-3<br />
。<br />
8-2<br />
×<br />
2-3<br />
O 不<br />
一 0<br />
O 不<br />
3-0<br />
×<br />
1-3<br />
O 不<br />
3-0<br />
。<br />
3-1<br />
○<br />
3-0<br />
。<br />
8-0<br />
0<br />
3-0<br />
0<br />
3-0<br />
○<br />
3-1<br />
。<br />
3-1<br />
0<br />
0<br />
H 助 冬<br />
n 位<br />
3-0 5 3 4 位<br />
○<br />
3-0 7 1<br />
2 位<br />
リギ 格<br />
。<br />
8-1 6 2 8 位<br />
0<br />
3-1 3 5 5 位<br />
○<br />
3-1 7<br />
1 位<br />
昇 格<br />
○<br />
3-0 3 5 6 位<br />
x 不<br />
0-3 3 5 7 位<br />
×<br />
0-3 0 8 9 位<br />
3-0 2 6 8 位<br />
47
きるが, 春 よりも 数 段 レベルアップした3 位 だと 自 負 し<br />
ている。<br />
4.【 学 生 からの 感 想 】<br />
「お 遊 び 同 然 だったチームがよくここまで 来 た 感 じ」<br />
「 聴 障 者 を 人 として 認 めてもらえたのがうれしい」「 耳<br />
が 聴 こえなくてもそれ 以 外 は 対 等 にできることを 見 せた<br />
かった」「 自 分 の 力 がどのくらい 通 用 するのかワクワク<br />
した」「 最 後 の 試 合 がとても 印 象 に 残 った」「 審 判 をやっ<br />
たときはプレッシャーを 感 じた」「 健 聴 者 と 試 合 をして<br />
精 神 的 ・ 肉 体 的 に 鍛 えられた」「チームワークの 大 切 さ<br />
を 知 った」と 書 いてあった。<br />
5.【 健 聴 者 との 試 合 での 問 題 点 】<br />
健 聴 者 との 試 合 で 学 生 にいろいろ 事 が 起 こった。 例 え<br />
ば,プレー 中 に 隣 のコートのホイッスルが 補 聴 器 に 入 り,<br />
反 則 と 勘 違 いしてプレーをやめてしまったり, 反 則 のホ<br />
イッスルが 聴 こえず,スパイクが 相 手 に 当 たったり,そ<br />
れがトラブルの 原 因 となったことがあった。<br />
現 在 , 身 障 者 スポーツ 施 設 の 体 育 館 では,フラッシュ<br />
ランプが 壁 に 埋 め 込 まれて, 反 則 などを 瞬 間 的 に 光 で 知<br />
らせる。 一 般 の 体 育 館 にも 設 置 を 望 む。また,それをバ<br />
レーのネットやポールにつける 事 はできないのか。<br />
6.【 今 後 指 導 する 際 の 注 意 点 】<br />
手 話 で 指 導 する 場 合 「 頭 で 理 解 する 前 に 体 で 覚 える」<br />
「 状 況 判 断 ができ,それに 応 じて 反 射 的 に 動 ける」「 反<br />
復 練 習 をする」ことと,プレー 中 は「 指 での 連 携 プレー<br />
する」ことの 重 要 性 がわかった。 今 後 指 導 するにあたっ<br />
て,これらの 点 を 注 意 していきたい。これまで 指 導 につ<br />
いてきてくれた 学 生 と 練 習 のお 手 伝 いをして 下 さった 人<br />
たちに 深 く 感 謝 したい。<br />
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