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4 - 大阪大学世界言語eラーニングサーバ

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神 の 名 に 於 いて、アーメン。 我 等 の 統 治 者 たる 君 主 、 又 神 意 により 英 王 国 (グレート・ブリトン)、フランス<br />

及 びアイルランドの 王 にして 又 信 仰 の 擁 護 者 たるジェームズ 王 の 忠 誠 なる 臣 民 たる 我 等 下 名 は、 神 の 栄 光 のた<br />

め、 基 督 教 の 信 仰 の 増 進 のため、 及 び 我 が 国 王 と 祖 国 の 名 誉 のために、ヴァジニアの 北 部 地 方 に 於 ける 最 初 の<br />

植 民 地 を 創 設 せんとして 航 海 を 企 てたものであるが、ここに 本 証 書 により、 厳 肅 かつ 相 互 に 契 約 し、 神 と 各 自<br />

相 互 の 前 で、 契 約 により 結 合 して 政 治 団 体 を 作 り、 以 て 我 等 の 共 同 の 秩 序 と 安 全 を 保 ち 進 め、 且 つ 上 掲 の 目 的<br />

の 遂 行 を 図 ろうとする。そして 今 後 之 に 基 き、 植 民 地 一 般 の 幸 福 のため 最 も 適 当 と 認 められる 所 により、 随 時 、<br />

正 義 公 正 な、 法 律 、 命 令 等 を 発 し、 憲 法 を 制 定 し、 又 公 職 を 組 織 すべく、 我 等 はすべて 之 等 に 対 し、 当 然 の 服<br />

従 をすべきことを 誓 約 する。A・D・1620 年 、 英 王 国 、フランス 及 びアイルランド 王 としてのジェームス 王 の<br />

治 世 の 第 18 年 、スコットランド 王 としての 治 世 第 54 年 、11 月 11 日 、ケープコッドに 於 いて、<br />

以 下 41 名 の 署 名<br />

( 高 木 八 尺 訳 : 斉 藤 358-359)<br />

C. 独 立 宣 言 が 生 み 出 す 新 たな 共 通 の 価 値<br />

アメリカ 社 会 というのは、 結 局 、 当 初 はヨーロッパから、 後 には 世 界 各 地 から 人 種 ・ 民 族 ・ 宗 教 ・ 文 化 その 他<br />

の 異 なる 人 たちが 移 住 してきて 形 成 した、あるいは 形 成 しつつある 社 会 です。その 意 味 で、 繰 り 返 しになりま<br />

すが、 本 質 的 には 他 者 、よそ 者 、 見 知 らぬ 者 同 士 の 集 団 です。それを 一 つの 社 会 に 統 合 していくという 場 合 、<br />

一 つには 法 的 な 契 約 で 相 互 をまとめて 一 つの 政 治 体 を 作 っていくことが 必 要 になります。 植 民 地 時 代 に 西 へ 移<br />

住 しますと、その 移 住 した 人 たちの 間 でそういう 契 約 を 作 って、 新 しいタウンを 作 り、 後 から 来 た 人 はその 契<br />

約 に 参 加 するという 形 を 取 ります。(...) 独 立 にさいし、かくして 13 のステイトが 出 来 るわけですが、そう<br />

いう 各 ステイトを 代 表 する 人 びとが 1787 年 に 集 まり、 今 度 はアメリカ 全 体 を 一 つの 国 にする、「ザ・ユナイテ<br />

ッド・ステイツ」 形 成 の 案 を 作 る。ユナイテッド・ステイツというのは、それまでは 国 家 の 集 まりであったの<br />

ですが、「われわれ、ユナイテッド・ステイツの 人 民 が」 合 衆 国 憲 法 を 制 定 することによって、ザ・ユナイテ<br />

ッド・ステイツ・オブ・アメリカを 改 めて 一 つの 国 家 にする。つまり、 歴 史 的 に、アメリカ 社 会 は、 元 来 多 元<br />

的 なものを 契 約 で 結 んで 一 つのものに 統 合 するということをしてきたと 思 います。<br />

ただ、その 場 合 にもう 一 つ 重 要 なことは、ただ 縁 なき 者 が 何 か 契 約 で 結 ばれるということだけはなく、やは<br />

りそこに 何 か 共 通 の 価 値 、 信 条 を 共 有 するということが 前 提 とされるということです。 先 ほど 申 し 上 げたよう<br />

に、このプリマスの 場 合 には、ピューリタンもよそ 者 も 広 い 意 味 のプロテスタントですから、「 神 の 栄 光 のた<br />

めに」とか、あるいはいずれもイギリス 人 ですから「 祖 国 のために」ということで 共 通 の 目 的 を 持 ち 得 たわけ<br />

です。しかし、その 後 アメリカ 社 会 にいろいろな 人 々が 移 住 してくる。ドイツ、フランスからも 来 る、カトリ<br />

ック 系 の 人 も 来 る、ユダヤ 教 の 人 も 少 しではあるが 来 るということになります。さらに、 啓 蒙 主 義 の 影 響 も 出<br />

てくる、 理 神 論 も 不 可 知 論 も 入 るということになると、もう「 神 の 栄 光 のために」というわけにはいかない。<br />

より 広 く 共 有 できるものが 必 要 とされてきます。 個 人 的 にはそれぞれ 別 の 信 仰 、 別 の 考 え 方 を 持 ちつつ、しか<br />

し、アメリカ 社 会 全 体 としてそれらと 矛 盾 しない 一 つの 共 通 の 価 値 を 持 つ 必 要 がある。それを、 提 示 したのが<br />

独 立 宣 言 ではないでしょうか。<br />

独 立 宣 言 というのは、イギリスから 独 立 するというだけの 宣 言 ではございません。「 独 立 宣 言 」と 呼 ばれて<br />

おりますが( 正 式 にはそういうタイトルはついておりません)、 元 来 は、なぜイギリスから 独 立 しなければな<br />

らないか、という 理 由 、 大 義 。コーズの 宣 言 です。イギリスから 分 離 する 大 義 が、 実 は 同 時 に、これからアメ<br />

リカという 新 しい 国 ( 当 初 は 国 の 連 合 ですが)を 作 っていく 大 義 になるわけです。そういう 意 味 で、 独 立 宣 言<br />

はイギリスからの 分 離 宣 言 であるが、 同 時 に、アメリカを 統 合 する 統 合 宣 言 でもあると 私 は 解 釈 しております。

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