4 - 大阪大学世界言語eラーニングサーバ
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的 なオーストラリアのアウトバックというものが、 既 に 失 われつつあるということである。<br />
都 市 と 荒 野 、 文 明 と 自 然 などの 対 比 が、Sarah と Drover の 関 係 のなかで 寓 意 的 に 描 き 出 されているこ<br />
とは 間 違 いない。<br />
“Over the Rainbow” from The Wizard of Oz<br />
もう 一 点 注 目 したいのは、 映 画 『オズの 魔 法 使 い』から“Over the Rainbow”の 歌 が 効 果 的 に 引 用 され<br />
ていること。Sarah が 母 親 を 亡 くした Nullah を 慰 めるために、たまたま 手 元 にあった 新 聞 に 広 告 が 載 っ<br />
ていたこの 映 画 の 話 をするのだが、 後 になって、『オズの 魔 法 使 い』がもう 一 つの 枠 物 語 になっていたこ<br />
とが 分 かる。<br />
『オズの 魔 法 使 い』と 言 えば、 主 人 公 の 少 女 が 見 知 らぬ 場 所 を 旅 し、 最 後 は“home”が 一 番 いいこと<br />
に 気 づいて 帰 って 行 くというお 話 だが、『プリシラ』と 同 じように、『オーストラリア』も、“home”と<br />
は 何 かを 再 確 認 してそこに 戻 るという 筋 書 きになっている。 物 語 の 終 盤 Sarah が“Let’s go home”と 言<br />
い、Drover が“There’s no place like it”と 応 えるところがあり、これはそのまま『オズ』からの 引 用 に<br />
なっている。その 彼 らは Nullah とともに 牧 場 に 戻 って 行 くのだが、 結 末 には 少 しだけひねりが 加 えてあ<br />
っ て 、“ home”の 件 は 必 ずしも 一 件 落 着 とはならない。<br />
まとめ<br />
『プリシラ』と『オーストラリア』に 共 通 しているのは、オーストラリアの 見 知 らぬ 荒 野 を 旅 するなか<br />
で、 次 第 に“home”が 形 成 されていく、または 再 発 見 されていくというプロット 展 開 である。 近 年 のア<br />
メリカ 映 画 では「 家 族 」が 大 きなテーマになっているとよく 言 われるが、オーストラリアの 場 合 も 似 て<br />
いるかもしれない。ただし、オーストラリアと“home”の 関 係 は、 少 し 特 殊 な 事 情 がありそうなので、<br />
さらに 突 き 詰 めて 考 えてみる 必 要 があるだろう。