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テイル 形 を 取 る 用 例 数 は 86%を 占 め、 傾 向 として、「 入 る」「 植 わる」の 観<br />
察 結 果 と 差 がない。 以 下 では、「 建 っている」の 例 と「 建 った」の 例 をいくつか 挙 げ<br />
る。<br />
(43) 駅 の 西 口 に 駅 前 ビルが 建 ってます。<br />
(44) 庭 の 奥 に 三 棟 のはなれ 屋 が 建 っていた。<br />
(45) 湯 煙 りのたつ 谷 川 の 岩 の 上 に、ちいさな 板 葺 き 小 屋 が 建 っていて、 入<br />
り 口 にサンダルが 脱 ぎ 捨 てられてある。<br />
(46)この 村 の 家 はほとんど、 古 代 の 墓 の 上 に 建 っているのだが、…<br />
(47)それが 鉄 クズの 散 らばる 原 っぱの 中 にポツンと 建 っていた。<br />
(48) 建 物 自 体 が 標 高 150mくらいの 位 置 に 建 っており、 天 気 が 良 ければ<br />
絶 景 を 拝 めると 聞 きました。<br />
(49) 受 け 付 け 用 のテントは 十 人 の 男 の 手 で、ほんの 十 五 分 で 建 った。<br />
(50) 徳 川 宗 敬 様 のお 筆 で、 公 の 御 事 蹟 顕 彰 の 碑 が 建 った。<br />
2.2.2.2. 用 例 から 抽 出 される 特 徴<br />
ア)(43)-(50)のいずれも、 他 動 的 な 行 為 が 前 提 となっていると 解 釈<br />
される。<br />
イ)テイル 形 で 出 てくるのが 多 い。ル 形 、タ 形 の 例 も 若 干 あるが、「タッテ<br />
イル(マス)」「タッテイタ(マシタ)」の 形 で 出 てくるのが 圧 倒 的 に 多 い。テイル<br />
形 で 出 てくる 用 例 は、すべて 結 果 状 態 を 表 すものであり、 進 行 を 表 すものは 観 察 され<br />
なかった。<br />
ウ)ほとんどの 用 例 は(43)の「 駅 の 西 口 に」、(44)の「 庭 の 奥 に」など<br />
のような 場 所 ニ 格 や 場 所 を 表 す 名 詞 を 伴 っている。 文 全 体 の 意 味 は「ある 場 所 にある<br />
ものがある」という 単 なる 存 在 文 の 意 味 に 近 い。ただ、「 入 る」と「 植 わる」とやや<br />
異 なり、「 建 っている」 文 の 語 順 には、「~ニ」・ 場 所 句 →「~ガ」という 語 順 がや<br />
はり 優 位 ではあるが、「~ガ」→「~ニ」・ 場 所 句 という 語 順 をとる 例 も 数 少 ないと<br />
は 言 えない。「~ニ」・ 場 所 句 →「~ガ」 語 順 が 存 在 文 の 基 本 語 順 と 一 致 しているが、<br />
(46)-(48)で 示 したように、それと 違 う 語 順 もある。<br />
2.3. まとめ<br />
「 入 る」「 建 つ」「 植 わる」の 実 例 の 動 向 から、「- 単 一 事 象 」 自 動 詞 はテ<br />
イル 形 を 取 りやすいとわかる。これと 表 裏 の 関 係 にあるのは、「- 単 一 事 象 」 自 動 詞<br />
はル 形 やタ 形 、またそれ 以 外 のアスペクト 形 式 を 取 りにくいということを 示 唆 する。<br />
先 行 研 究 によると、テイル 形 は、「 動 作 進 行 」と「 結 果 残 存 」という 二 つの<br />
主 な 意 味 を 持 つとされる。「 入 る」「 建 つ」「 植 わる」のテイル 形 は、プロセス( 進<br />
行 )を 表 す 副 詞 と 共 起 できない。「 結 果 残 存 」の 意 味 しか 持 たない。また、 進 行 の 局<br />
面 を 持 つ 動 詞 はル 形 やタ 形 を 取 りやすい。ル 形 やタ 形 を 取 りにくいことは、「 建 つ」<br />
「 植 わる」 類 の 動 詞 は 進 行 の 局 面 を 持 たないことを 示 唆 する。<br />
また、「- 単 一 事 象 」 自 動 詞 のテイル 形 の 文 は、 存 在 文 に 近 い 性 質 を 持 つと<br />
いう 特 徴 が 明 らかになった。<br />
3. 「+ 単 一 事 象 」 自 動 詞 との 違 い<br />
3.1. タ 形 とテイル 形 の 比 率<br />
アスペクト 形 式 の 観 点 から 見 れば、「- 単 一 事 象 」 自 動 詞 は、「+ 単 一 事<br />
象 」 自 動 詞 と 違 う 振 る 舞 いを 示 す。『 現 代 日 本 語 書 き 言 葉 均 衡 コーパス・ 少 納 言 』で