日 本 林 業 技 術 協 会
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渡 辺 : 樹 木 の 外 科 手 <strong>術</strong><br />
邸<br />
へ<br />
二<br />
合 わせることによって, 一 定 時 間 後 に 固 まることになっ<br />
ている。まぜ 合 わせるには, 粘 凋 度 が 非 常 に 高 いのでか<br />
なり 力 がいる。それで 蓑 ぜ 合 わせに 用 いる 器 は, 直 涯 1<br />
尺 5 寸 , 深 さ7 寸 位 の 禰 薊 器 の 大 きいものか,トタンで<br />
出 来 ている 洗 濯 たらいなどが 適 当 と 思 う。これにコンパ<br />
ゥンドと 硬 化 剤 とをいれ,さらに 砂 を 適 当 量 いれてよく<br />
まぜ 合 わせる。 十 分 まぜ 合 わせられたものはおにぎりの<br />
ように 渥 ぎれる。このまぜ 合 わせたものを 適 当 の 大 きさ<br />
ににぎって 空 洞 入 同 の 穴 から 投 入 れるのである。そして<br />
入 れた 産 に 棒 でよくつき 固 める。 十 分 つき 固 めると, 没<br />
入 れた 城 充 物 は 全 部 一 体 となり,しかも 空 洞 のす 染 ずみ<br />
までよく 入 りこ 象 ,ほどなく 固 まる。 投 入 ロより 上 部 の<br />
方 も, 棒 で 上 の 方 におし 上 げ,おし 上 げおしこむことに<br />
よって, 割 に 簡 単 につめることが 出 来 る。<br />
このようにして 空 洞 は 一 応 填 充 が 終 る。つ<br />
め 口 は 左 図 のように 皮 より 少 し 下 の 所 霞 で<br />
つめ, 2 濤 間 程 して 固 まった 所 で, 砂 をま<br />
ぜない.Fルドコンパウンド 硬 化 剤 だけを<br />
童 ぜたもので 穴 の 詞 薗 を 平 滑 に 塗 って 仕 上<br />
げをする。 以 上 の 方 法 でj 手 <strong>術</strong> のやれる 箇<br />
所 は 一 応 全 割 蛎 充 し,なお 松 のほかにもゾ<br />
テツの 幹 の 蜜 同 も 猿 充 し,タケノコ 医 者 の<br />
手 <strong>術</strong> 口 附 近 ておこう。<br />
の 図<br />
填 実 した 面 は 処 嚴 摘 要<br />
責 をはたしたわけであった。<br />
以 上 のことは,はじめて 行 ったのでいろ<br />
いろと 不 都 合 なこともあったので, 今 後 こ<br />
のような 仕 事 に 三 一 ルドコンパウンドを 使<br />
用 される 人 達 のために, 謡 頂 を 改 めて 記 し<br />
樹 皮 より 少 し 1. 材 料 は 多 い 目 に 用 意 しておく。<br />
下 になるよう<br />
に。 2° まぜ 合 わせる 器 は 浅 く, 広 いものが<br />
よい。<br />
3. 重 粘 質 の 半 糀 動 体 なので, 手 についたらべたべた<br />
して 婚 末 におえなくなるから,およそ 使 用 壁 に 応 じて,<br />
コンバゥンドをあらかじめ,ビーカーに 分 けておく。<br />
600ccのビーカー(600ccのものを 使 用 したのほ3 杯 で<br />
1 升 になるから)にコンパゥンドをスれたものを 沢 山 用<br />
意 しておく。それと 同 じ 数 だけ 翻 上 剤 も 小 分 けしてお<br />
く。そこで 砂 をまぜ 合 わせる 器 に600ccのビーカーで 混<br />
合 割 合 に 応 じて 砂 を 入 れ,これに1つのビーカーのコン<br />
パゥンドと 硬 化 剤 を 入 れて,まぜ 合 わせるということに<br />
すれば 仕 事 も 早 くいくし,きれいにもいく。ビーカーに<br />
ついたコンパゥンドは 砂 を 入 れてよくこすれば 無 駄 なく<br />
とれる。まぜるには 手 を 用 いた 方 がよい。<br />
4.ti 類 をするときかたわらに 石 油 とベンジンをそな<br />
えておくことが 必 要 である。 童 ず 器 や 手 についたコンパ<br />
ゥンドは 先 に 石 油 で 洗 った 後 揮 謡 曲 でふくことによっ<br />
てきれいに 掃 除 することが 田 来 る。<br />
5° つめた 所 はよくつき 固 める。<br />
6° つめかたが 終 って2 時 間 位 おいて 完 全 に 固 まって<br />
から, 砂 をま 悪 ないコンパゥンドを 詞 面 に 塗 り 仕 上 げを<br />
やる。<br />
以 上 のようになると 思 う。<br />
応<br />
貴 重 なコールドコンパゥンドを 単 に 名 木 の 空 洞 につめ<br />
るだけでなく, 果 樹 園 などの 果 樹 の 外 科 手 輔 に 応 用 出 来<br />
ると 思 うし, 家 庭 内 でも 流 し 場 とかその 他 応 用 出 来 る<br />
所 ば 沢 山 あると 思 う。カシューのコールドコンパゥンド<br />
に 腫 看 瀬 が2~3あるが, 一 番 安 いもので16kgスリ1<br />
缶 が5,510 円 程 である。1 缶 に 約 8 升 程 入 っているか<br />
ら, 約 8 斗 の 砂 にまぜ 合 わせることができる。16kgX<br />
りの 缶 のほかに4kg, 1kg, 125gスリの 小 缶 もあるの<br />
で 使 用 には 便 利 である。<br />
用<br />
あとがき<br />
最 近 <strong>林</strong> 木 育 種 の 発 展 によって,また 木 材 利 用 の 一 大 飛<br />
躍 によって, <strong>林</strong> 木 自 身 のあゆ 象 の 早 さ 以 上 に, <strong>林</strong> 学 の 進<br />
歩 が 先 走 っており, 実 際 がそれに 追 いつけない 現 状 であ<br />
る。そのような 時 代 に 老 大 木 の 保 存 ほ 誠 に 時 代 錯 誤 の 感<br />
なきにしもあらずである。それだけの 経 費 があったら,<br />
老 木 を 処 分 し,その 跡 を 理 想 的 に 遮 涛 えをし,そこに 育<br />
種 学 的 に 見 てもっとも 優 秀 な 後 継 樹 を 植 えた 方 が,どれ<br />
だけ 国 家 のために 役 立 つかわからないというかもしれな<br />
い。 人 間 社 <strong>会</strong> では 功 なり, 名 をとげた 老 人 達 は 恩 給 ある<br />
いは 年 金 をもらって 悠 な 自 適 の 生 活 をしており, 病 気 に<br />
なれば, 医 者 よ 薬 よというて 寿 命 の1 <strong>日</strong> も 長 からんこと<br />
を 願 うのが 常 である。それを 思 えば, <strong>林</strong> <strong>業</strong> の 主 洗 は 前 述<br />
の 方 向 に 向 いつつある 世 の 中 でも,たまには 名 木 , 老 大<br />
木 の 余 命 を, 出 来 るだけ 手 当 をして 長 くすることも, 必<br />
ずしも 無 駄 なことで 臆 ないと 思 う。 世 の 中 が 進 歩 する<br />
と, 人 間 と 害 虫 , 害 菌 との 戦 争 もひどくなるようだが,<br />
用 材 称 <strong>業</strong> は 別 として, 特 用 樹 木 , 果 樹 などで 樹 幹 を 害 す<br />
る 請 書 が 出 てこないとほ 限 らない。その 時 の 用 意 にして<br />
は,あまり 用 意 周 到 かもしれないが, 一 応 考 えておいて<br />
無 駄 なことでなく, 調 束 保 護 学 もある 以 上 , 必 ずしも 時<br />
代 錯 誤 の 外 科 手 <strong>術</strong> と 捨 てさる 必 要 もないと 思 う。<br />
終 りにこ・の 外 ミ 厚 <strong>術</strong> をするにあたり,いろいろ 御 助 言<br />
を 賜 った, 芝 <strong>本</strong> 教 授 , 耀 熊 教 授 , 扇 田 助 教 授 , 佐 藤 助 教<br />
授 および, 填 充 剤 の 調 査 に 御 援 助 を 賜 った 及 ノII 辺 氏 に 厚<br />
く 御 礼 を 申 上 げる。<br />
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