特許審査便覧第2100章 - Japan Patent Office
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となるプロセスを 実 施 するため、 法 定 の 保 護 対 象 となる。<br />
2106.02 数 学 的 アルゴリズム<br />
数 学 的 問 題 を 解 く 又 は 抽 象 概 念 を 扱 うにすぎないプロセスに 対 するクレームは、 分 析 が 複 雑<br />
でありここで 取 り 上 げる。<br />
クレームされるプロセスの「 行 為 」が 数 字 、 抽 象 概 念 又 は 前 述 のいずれかを 示 す 信 号 のみを<br />
扱 っている 場 合 、その 行 為 は 適 切 な 保 護 対 象 に 応 用 されていない。Gottschalk v. Benson, 409<br />
U.S. 63, 71 - 72, 175 USPQ 673, 676 (1972)。このように、 数 学 演 算 、 即 ち、 一 組 みの 数<br />
字 からもう 一 組 みの 数 字 への 変 換 だけで 構 成 されるプロセスは 適 切 な 保 護 対 象 を 扱 っておら<br />
ず、 法 定 の 保 護 対 象 であるプロセスを 構 成 することはできない。<br />
具 体 的 に 言 うと、 次 に 掲 げるプロセスの 場 合 、クレームは 法 定 の 保 護 対 象 ではない。<br />
- クレームされた 実 際 的 応 用 なしに 数 学 演 算 のみで 構 成 される( 即 ち、「 数 学 的 アルゴリズ<br />
ム」の 実 行 )。<br />
- 単 に 抽 象 概 念 だけを 扱 う。 例 えば、 実 際 的 応 用 がクレームされていない 入 札 (Schrader, 22<br />
F.3d at 293-94、30 USPQ2d at 1458-59) 又 はバブル 階 層 構 造 (Warmerdam, 33 F.3d at 1360、<br />
31 USPQ2d at 1759)。<br />
Alappat, 33 F.3d at 1543 n.19、31 USPQ2d at 1556 n.19 を 参 照 のこと。 連 邦 巡 回 控 訴 裁<br />
判 所 はここで 混 同 を 認 めた。<br />
最 高 裁 判 所 は、かかる 保 護 対 象 が 自 然 法 則 、 自 然 現 象 又 は 抽 象 概 念 を 表 しているので、 第 101<br />
条 の 範 囲 から 除 外 されるかどうかについて 明 確 にしていない。Diehr, 450 U.S.at 186( 数 学<br />
的 アルゴリズムを 自 然 法 則 とみなす); Gottschalk v. Benson, 409 U.S. 63, 71-72 (1972)( 数<br />
学 的 アルゴリズムを「 概 念 」として 取 り 扱 う)を 参 照 のこと。また、 最 高 裁 判 所 はどのような<br />
種 類 の 数 学 的 保 護 対 象 に 特 許 性 がないか 正 確 には 明 らかにしていない。 最 高 裁 判 所 は 他 に「 数<br />
学 的 アルゴリズム」、「 数 式 」 及 び「 数 学 方 程 式 」という 用 語 を 用 いて 単 独 で 特 許 権 による<br />
保 護 を 受 けられない 数 学 的 保 護 対 象 のタイプを 説 明 している。しかし、 最 高 裁 判 所 は、 説 明<br />
しているとしても、かかる 用 語 によって 意 図 するもの、 又 はこれらの 用 語 がどのように 関 連<br />
するかの 一 貫 した、 又 は 明 快 な 説 明 は 述 べていない。<br />
一 定 の 数 学 的 アルゴリズムは、 自 然 法 則 又 は 自 然 現 象 について 数 学 的 定 義 を 表 しているので、<br />
法 定 の 保 護 対 象 とは 認 められないとされた。 例 えば、 数 式 E=mc 2 で 表 される 数 学 的 アルゴリ<br />
ズムは「 自 然 法 則 」である―これは「 基 礎 的 な 科 学 的 真 理 」を 定 義 している( 即 ち、エネルギ<br />
ーと 質 量 の 関 係 )。 自 然 法 則 の 物 体 へのかかわり 方 を 理 解 するには、 必 ず 一 定 の 手 順 を 踏 まな<br />
くてはならない( 例 えば、 物 体 の 質 量 を 表 す 数 に 光 速 を 表 す 数 の 2 乗 を 乗 じる)。このような<br />
場 合 、E=mc 2 という 数 学 的 表 示 を 解 くために 従 わねばならない 手 順 のみからなるクレームされ<br />
たプロセスは、 自 然 法 則 と 区 別 がつかず、 自 然 法 則 を「 先 占 」することになる。 特 許 はかか<br />
るプロセスに 付 与 することができない。<br />
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