特許審査便覧第2100章 - Japan Patent Office

III. 主 張 される 有 用 性 について 信 頼 性 を 評 価 する
A. 主 張 される 有 用 性 は 有 用 性 についての 推 定 を 生 む
ほとんどの 場 合 、 出 願 人 の 有 用 性 の 主 張 は 特 許 法 第 101 条 の 有 用 性 要 件 を 満 たすに 十 分 であ
るとする、 有 用 性 についての 推 定 を 生 む。 参 照 事 例 として、In re Jolles, 628 F.2d 1322, 206
USPQ 885 (CCPA 1980); In re Irons, 340 F.2d 974, 144 USPQ 351 (CCPA 1965); In re Langer,
503 F.2d 1380, 183 USPQ 288 (CCPA 1974); In re Sichert, 566 F.2d 1154, 1159, 196 USPQ
209, 212-13 (CCPA 1977)。In re Langer 事 件 において 関 税 特 許 控 訴 裁 判 所 が 次 のように 述
べている 通 りである。
「 特 許 商 標 庁 の 業 務 上 、 特 許 出 願 された 保 護 対 象 の 範 囲 に 相 当 する 有 用 性 の 開 示 を 記 述 する
明 細 書 は、クレームされた 保 護 対 象 全 体 として 第 101 条 の 有 用 性 要 件 を 満 たすに 十 分 とみな
さなければならない。ただし、 当 業 者 が 有 用 性 の 記 述 又 はその 範 囲 について 客 観 的 真 実 に 疑
問 を 持 つ 論 拠 がない 場 合 とする。」
In re Langer, 503 F.2d at 1391、183 USPQat 297( 強 調 は 原 文 のまま)。 有 用 性 に 関 する「Langer」
テストは、 連 邦 巡 回 控 訴 裁 判 所 と 関 税 特 許 控 訴 裁 判 所 の 両 者 によって 特 許 法 第 112 条 第 1 段
落 による 拒 絶 の 評 価 で 用 いられている。ここで、 拒 絶 は 特 許 法 第 101 条 に 基 づく 不 備 を 理 由
とする。In re Brana, 51 F.3d 1560, 34 USPQ2d 1436 (Fed. Cir. 1995)において、 連 邦 巡
回 控 訴 裁 判 所 は 特 許 法 第 112 条 第 1 段 落 の 拒 絶 に「Langer」テストの 関 税 特 許 控 訴 裁 判 所 の
表 現 を 明 示 的 に 採 用 した。In re Marzocchi, 439 F.2d 220, 223, 169 USPQ 367, 369 (CCPA
1971)にわずかに 語 句 を 言 い 換 えた 形 で 表 現 されているとおり。 即 ち、「 特 許 出 願 された 保 護
対 象 を 記 述 し 定 義 する 際 に 用 いられた 言 葉 の 範 囲 に 合 致 する 言 葉 を 使 った 当 該 発 明 の 作 成 及
び 使 用 方 法 の 教 示 を 含 む 明 細 書 の 開 示 は、 第 112 条 の 第 1 段 落 の 実 施 可 能 性 要 件 に 適 合 して
いるとしなければならない。ただし、 実 施 可 能 性 の 裏 付 けに 信 頼 に 足 るものでなければなら
ず、そこに 記 載 される 記 述 の 客 観 的 真 実 を 疑 う 理 由 がない 場 合 とする。( 強 調 は 引 用 者 によ
る)。」
従 って、Langer とそれに 続 く 事 例 によって 特 許 商 標 庁 は 出 願 者 によって 行 われた 有 用 性 の 記
述 は 真 実 であると 推 定 するようになった。In re Langer, 503 F.2d at 1391、183 USPQat 297;
In re Malachowski, 530 F.2d 1402, 1404, 189 USPQ 432, 435 (CCPA 1976); In re Brana,
51 F.3d 1560, 34 USPQ2d 1436 (Fed. Cir. 1995)を 参 照 のこと。 明 らかな 効 率 性 の 理 由 及 び
出 願 人 の 発 明 についての 理 解 を 重 んじ、 有 用 性 の 記 述 を 評 価 する 際 、 本 庁 審 査 官 は 有 用 性 に
関 する 記 述 の 真 実 を 疑 うことから 始 めてはならない。そうではなく、 審 査 は 有 用 性 について
の 記 述 の 真 実 を 疑 う 理 由 があるかどうかを 尋 ねることから 開 始 しなければならない。これは、
出 願 人 が 引 用 した 証 拠 を 考 慮 に 入 れ、 出 願 人 が 作 成 した 記 述 の 妥 当 性 を 単 純 に 評 価 すること
によって 成 すことができる。 主 張 される 有 用 性 が 信 頼 できる( 即 ち、 当 該 発 明 の 記 録 又 は 本 質
に 基 づいて 信 ずることができる) 場 合 、「 有 用 性 の 欠 如 」を 理 由 とする 拒 絶 は 適 切 ではない。
本 庁 審 査 官 は、 当 該 発 明 の 技 術 分 野 又 はその 他 一 般 的 理 由 に 基 づき、 主 張 される 有 用 性 は 誤
りらしいと 仮 定 して 有 用 性 の 評 価 を 開 始 してはならないことは 明 らかである。
特 許 法 第 101 条 を 満 たすことは 事 実 に 関 する 争 点 である。Raytheon v. Roper, 724 F.2d 951,
956, 220 USPQ 592, 596 (Fed. Cir. 1983) cert. denied, 469 U.S. 835 (1984)。 従 って、
出 願 人 の 有 用 性 主 張 の 真 実 性 の 推 定 を、 覆 すには、 本 庁 審 査 官 はどちらといえば 当 業 者 は 有
用 性 についての 記 述 の 真 実 性 を 疑 う( 即 ち、「 異 議 を 申 し 立 てる」)だろうことを 立 証 しなけ
ればならない。 拒 絶 の 表 明 に 当 たって 査 定 系 審 査 を 通 じて 用 いるべき 証 拠 基 準 は、 検 討 中 の
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