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ゼは、このような 生 活 世 界 に 基 礎 をおく 宇 宙 了 解 であるように 思 われる。 9<br />

こうした 数 としての 宇 宙 把 握 と、「 輪 廻 」 観 念 を 持 つオルフェウス 教 とが 出 会 い、ギリシア 的 円 環 的 時<br />

間 が 生 じたと 真 木 は 考 える。<br />

、、、<br />

オルフェウス 教 自 体 はむしろ、 固 有 の 意 味 でのヘレニズム 文 明 以 前 の、 農 耕 共 同 体 の 時 間<br />

感 覚 を 基 礎 としている。この 時 間 感 覚 が、ヘレニズム 文 明 世 界 の 客 体 化 し 数 量 化 する、したが<br />

ってまた 抽 象 的 に 無 限 化 してゆくロゴスと 出 会 った 時 に、その 交 叉 するところに 必 然 に 生 まれ<br />

、、<br />

てくるのが、 円 環 としての 時 間 のイメージであったのではないか。 円 形 はギリシャの 人 間 が 無<br />

限 を 表 象 するときの 形 式 であった。はるかな 原 始 共 同 体 にまで 通 底 するオルフェウス 教 の 生<br />

、、、<br />

、、、<br />

死 の 反 復 する 感 覚 が、 数 量 化 するロゴスによって 対 象 化 されたときの 形 象 が、ヘレニズム 的 な<br />

、、<br />

時 間 の 円 環 であったはずである。 10<br />

すなわち、 我 々が 第 一 に 見 てきた 反 復 的 時 間 が、 数 的 な 合 理 性 を 獲 得 することを 通 して、 円 環 的<br />

な 性 質 を 得 るということである。それゆえギリシア 人 の 時 間 性 は、 質 というよりは 量 的 な 時 間 性 であり、<br />

かつ「 円 環 」であるから 可 逆 的 である( 厳 密 には 可 逆 ――すなわち、 逆 流 可 能 である――というより<br />

は、 巡 り 巡 って 同 じ 時 が 帰 って 来 るということだが)。 故 にヘレニズムの 円 環 的 時 間 は、「 可 逆 的 で、<br />

量 的 な 時 間 」である。<br />

c) 線 分 的 な 時 間<br />

前 述 の 円 環 的 時 間 がヘレニズムの 時 間 と 名 指 されていたのに 対 し、 線 分 的 時 間 は「ヘブライズ<br />

、、、、<br />

ムの 時 間 」と 名 づけられる。その 重 要 な 要 素 は 不 可 逆 性 である。そして「ヘブライズムの 直 進 する 時<br />

、、、<br />

間 の 意 識 は 終 末 論 をその 起 源 としている」 11 。なぜ 時 間 が 終 末 論 において 線 分 となるのか。 真 木 は<br />

クルマンを 引 いてこう 述 べる。「なぜならば、『 始 め』と『 終 わり』が 問 題 とされるからである。『 始 め』と<br />

、、、、、、<br />

『 終 わり』とが 区 別 せられるならば、 直 線 がそれに 適 合 した 形 だからである」 12 。そのことを 真 木 は 次<br />

、、、、、、、、、、、、<br />

の 如 くまとめ 直 す。「すなわちヘブライズムの 時 間 は、カイロスの 間 をむすぶものとして 直 線 なので<br />

、、、、、、、<br />

、、、、、 カイロス<br />

あり、 尺 度 として 直 線 であるわけではない。いいかえれば 質 としての〈 時 〉のあいだに 張 られた 緊 張<br />

、、、、、<br />

としての『 直 線 』なのであり、 量 としての実 体 的 な 直 線 であるのではない」 13 。「すなわちヘブライズム<br />

の 時 間 は、 無 限 にのびてゆく 均 質 性 としてのニュートンの 絶 対 時 間 との 対 比 においてあえて 形 象<br />

、、<br />

化 していうならば、『 始 めと 終 わり』(アルケーとテロス)によって 区 切 られた 線 分 としての 時 間 である」<br />

動 に 映 るかもしれないが、「 昼 」と「 夜 」が 前 後 性 に 規 定 されていないのだから「 逆 」ということもあり 得 ないのである。<br />

9<br />

真 木 、 前 掲 書 、177 頁 。<br />

10<br />

同 上 、179 頁 。<br />

11<br />

同 上 、183 頁 。<br />

12<br />

同 上 、160-161 頁 。(CULLMANN, O., Christus und die Zeit, 1946. 前 田 護 郎 訳 『キリストと 時 』 岩 波 書 店 、1954 年 、<br />

36 頁 。)<br />

13<br />

同 上 、161 頁 。<br />

4

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