11.07.2015 Views

戦争と石油(5) - JOGMEC 石油・天然ガス資源情報

戦争と石油(5) - JOGMEC 石油・天然ガス資源情報

戦争と石油(5) - JOGMEC 石油・天然ガス資源情報

SHOW MORE
SHOW LESS
  • No tags were found...

Create successful ePaper yourself

Turn your PDF publications into a flip-book with our unique Google optimized e-Paper software.

エッセーて 中 国 の 蒋 介 石 政 権 を 降 伏 さす。ま独 、 伊 と 提 携 して、 先 ず、 英 国 を降 伏 させて 米 国 の 戦 争 継 続 の 意 欲を 喪 失 させる。2. 極 力 、 戦 争 相 手 国 の 増 加 を 防 ぎ、第 三 国 を 日 本 の 味 方 にする。( 注 :大 戦 中 日 本 に 宣 戦 布 告 をした 国 は52カ 国 = 含 未 承 認 国 )( 具 体 的 には)日 本 は 速 やかに 武 力 を 行 使 してアジア 及 び 西 南 太 平 洋 にある 米 、 英 、 蘭 の拠 点 、 基 地 、 根 拠 地 を 攻 撃 して 戦 略 的に 優 位 な 態 勢 を 作 る。 重 要 な 資 源 地 域と 主 要 な 交 通 線 を 確 保 して「 長 期 自 給 」の 態 勢 を 整 備 する。手 段 を 尽 くして 適 当 な 時 期 に 米 海 軍の 主 力 を 誘 い 出 してこれを 撃 滅 する。1. 日 独 伊 が 協 力 して、まず、 英 国 の降 伏 を 図 る。2. 日 独 伊 は 協 力 して、 対 英 作 戦 と 並行 して 米 国 の 戦 意 を 喪 失 させる。3. 中 国 に 対 しては、 対 米 英 蘭 戦 争 、そ特 に 其 の 作 戦 の 成 果 を 活 用 して 援蒋 ルートの 断 絶 、 抗 戦 力 の 減 殺 を図 り、 中 国 にある 租 界 を 掌 握 、 南洋 の 華 僑 を 日 本 側 に 導 き、 作 戦 の強 化 等 の 手 段 を 積 極 的 に 利 用 して蒋 介 石 政 権 を 降 伏 させる。4. 日 本 は 南 方 作 戦 の 間 は、 極 力 、ソ連 との 戦 争 を 防 止 する。 独 ソ 両 国を 講 和 させソ 連 を 枢 軸 側 へ 引 き 入れ、 日 本 とソ 連 の 関 係 を 調 整 しつつ、 場 合 によってはソ 連 のインド、イラン 方 面 への 進 出 を 助 長 する。5. 仏 印 に 対 しては 現 施 策 を 継 続 し、タイに 対 しては 日 本 の 施 策 に 協 調するように 誘 導 する。6. 常 時 、 戦 局 の 推 移 、 国 際 情 勢 、 敵民 心 の 動 向 等 に 対 して 周 密 な 監視 、 考 察 を 加 へつつ 戦 争 終 結 のため 次 の 機 会 を 捉 える。(イ) 南 方 に 対 する 作 戦 の 主 要 段 落(ロ) 中 国 に 対 する 作 戦 の 主 要 段 落 特に 蒋 介 石 政 権 の 屈 伏(ハ) 欧 州 戦 局 の 情 勢 変 化 の 好 機 、 特に 英 本 土 の 屈 伏 、 独 ソ 戦 の 終 末 、対 インド 施 策 の 成 功 。このためにすみやかに 南 米 諸 国 、スウェーデン、ポルトガル、ローマ 法王 庁 に 対 して 外 交 と 宣 伝 を 強 化 する。日 独 伊 三 国 は 単 独 不 講 和 を 取 極 めると共 に 英 国 の 屈 伏 時 には、 直 には 講 和 せず 英 国 をして 米 国 を 和 平 へ 誘 導 するように 施 策 する。対 米 和 平 の 促 進 策 としては、 南 洋 方すず面 で 生 産 される 錫 、ゴムの 供 給 及 びフィリピンの 取 扱 に 考 慮 する。この「 腹 案 」は 現 時 点 から 見 ると、天 動 説 的 、 他 力 依 存 的 な 印 象 を 受 けるが、 提 出 された 時 には 比 較 的 よくできた 案 とされた。 政 府 、 陸 海 軍 の世 界 情 勢 の 分 析 力 、 情 報 の 収 集 力 の水 準 とその 限 界 であった。 日 本 は 開戦 時 、 準 備 不 足 の 米 英 蘭 の 拠 点 を 奇襲 、また、 資 源 地 域 を 確 保 することには 成 功 した。しかし、 前 年 の 昭 和1 5(1 9 40) 年 9 月 、ドイツがバトル・オブ・ブリテン( 英 国 海 峡 上 空 航 空 戦 )で 英 国 に 敗 れ、 英 国 本 土 への 上 陸 作戦 を 延 期 という 形 で 放 棄 した 時 点 で、英 国 を 降 伏 させる 見 込 みは 完 全 に 遠のいていた。しかし、その 後 も 日 本の 陸 海 軍 は 英 国 が 降 伏 することを 前提 として 対 米 戦 の 構 想 を 構 築 していたのである。 状 況 把 握 が10カ 月 以 上遅 れていた。同 年 末 、ドイツはソ 連 への 侵 攻 作戦 (バルバロッサ 作 戦 )を 発 令 して 兵力 を 西 部 から 東 部 に 振 り 向 けた。 日本 は 翌 16 年 6 月 、ドイツが300 万 の兵 力 でソ 連 に 侵 攻 する 直 前 まで、 同盟 国 ドイツからこのことを 知 らされていなかった。 日 本 が 独 ソ 戦 の 可 能性 に 気 が 付 くのは 昭 和 16 年 4 月 の 段階 であった。 大 本 営 機 密 戦 争 日 誌 は次 のように 記 している。4 月 21 日 の 記 述 、「 独 及 米 大 使 より独 ソ 開 戦 の 可 能 性 近 きに 在 る 長 文 電( 独 大 使 は 故 に 日 本 は 武 力 南 進 すべしあ まで米 大 使 は 飽 く 迄 局 外 中 立 を 守 るべしいと 云 う) 来 る。 怪 電 文 情 報 は 誠 に 複雑 怪 奇 なり」、「 独 ソの 冷 却 化 日 米 の提 携 、 新 聞 、 特 暗 等 に 散 見 を 始 む」、「 独 ソ 開 戦 の 微 ある 武 官 電 少 なからず」、「ソ、 一 部 の 入 営 延 期 の 停 止 、 独ソ 国 境 200km 間 重 要 物 資 設 備 の 後 退等 々 如 し」日 本 が 独 ソ 戦 の 勃 発 を 確 証 し、それに 対 する 対 処 を 開 始 したのはドイツ 軍 の 攻 撃 開 始 僅 か1カ 月 前 であった。5 月 13 日 の 記 述 、「 独 、 伊 、ソ 三 巨頭 会 談 説 新 聞 報 あり。 日 、 独 、 伊 、ソ 四 国 同 盟 成 か」「 独 武 官 より 独 ソ 開戦 必 至 山 下 ( 奉 文 ) 調 査 団 の 帰 国 を 急ぐを 可 とす。( 独 第 二 部 長 、 西 郷 中 佐に 語 る)の 電 有 り。 独 ソ 開 戦 に 伴 ふ 帝国 の 態 度 省 部 の 意 見 を 求 む、 陸 軍 省意 見 来 る」。当 時 、 日 本 は 開 戦 前 であったため戦 争 当 事 国 の 英 国 、ドイツ、イタリアはもちろん、 周 辺 の 中 立 国 スウェーデン、スイス、スペイン、ポルトガルなどにも 大 使 館 を 持 ち、 駐 在 武 官を 配 置 して 情 報 収 集 を 行 っていた。しかし、 東 京 の 外 務 省 、 陸 軍 省 、 参謀 本 部 、 海 軍 省 、 軍 令 部 は 同 盟 国 のドイツからの 情 報 は 信 頼 するものの英 国 、スウェーデン 等 からの 情 報 は欧 米 派 武 官 、 皇 道 派 武 官 からのものとしてほとんど 無 視 していた。また、ドイツは 兵 力 の 英 仏 海 峡 側からソ 連 国 境 への 移 動 を 日 本 側 に 徹底 的 に 隠 していた。 当 然 のことながら 日 本 の 駐 独 大 使 ( 大 島 浩 )、 駐 在 武いんぺい 官 に 対 し 情 報 の 隠 蔽 と 操 作 を 行 っていたのである。 駐 独 大 使 の 情 報 はドイツ 首 脳 部 と 直 結 しているとして 重要 視 されていたが、この 情 報 は 連 合国 側 によって 解 読 され、「 大 島 情 報 」として 貴 重 な 情 報 源 となっていた。 近代 戦 は 高 度 な 情 報 戦 とも 言 えるが、 同盟 国 をひたすら 信 じ 必 要 な 情 報 は 与 え2011.3 Vol.45 No.2 78

Hooray! Your file is uploaded and ready to be published.

Saved successfully!

Ooh no, something went wrong!