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アメリカ法における生命保険契約と利益主義の展開 - 生命保険文化センター

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アメリカ 法 における 生 命 保 険 契 約 と 利 益 主 義 の 展 開<br />

Ⅱ アメリカ 法 における 生 命 保 険 契 約 と 利 益 主 義<br />

1 被 保 険 利 益 を 有 する 者<br />

(1) 自 己 の 生 命 についての 被 保 険 利 益<br />

アメリカ 法 においては 周 知 の 通 り、 生 命 保 険 契 約 が 公 序 (Public<br />

Policy)に 反 するものとしての 賭 博 契 約 (wagering contracts)と 区<br />

別 されるために 11) 、あるいは 被 保 険 者 が 殺 害 されるという 危 険 性 を 排<br />

除 するために、いわゆる「 被 保 険 利 益 (insurable interest)」が 要 求<br />

される。この「 被 保 険 利 益 」は、 後 述 するように、 多 様 な 意 味 ・ 内 容<br />

で 使 われているところである 12) 。そこでまず、その 被 保 険 利 益 を 有 す<br />

る 者 として、すべての 者 は 自 己 の 生 命 について 被 保 険 利 益 を 有 する 者<br />

であると 理 解 されている 13) 。しかしながら、ここでいう「 利 益 」は、<br />

その 者 が 自 己 の 生 命 について 金 銭 的 (pecuniary) 利 益 を 有 するという<br />

ことや、 自 己 の 死 亡 によって 金 銭 的 損 失 を 被 ることを 意 味 していな<br />

い 14) 。<br />

そこで、 被 保 険 利 益 が 要 求 されるというルールが 一 般 に 生 命 保 険 契<br />

約 に 適 用 されるとしても、 自 己 の 生 命 についてすべての 者 が 被 保 険 利<br />

益 を 有 しているということは、「 法 的 擬 制 (legal fiction)」であると<br />

指 摘 されてきたところである。すなわち、ある 者 の 生 命 について 経 済<br />

的 な 基 準 でその 価 値 を 評 価 することはできないのであるから、すべて<br />

の 者 が、 自 己 の 生 命 についての 保 険 契 約 を 保 険 者 が 提 供 する 額 で 有 効<br />

に 締 結 できるということを 意 味 するにすぎないとも 述 べられており、<br />

「 自 己 の 生 命 を 付 保 する 個 人 は、 保 険 の 利 益 を 受 領 する 者 としていず<br />

れの 者 またはいずれの 団 体 をも 指 定 することができる 権 利 を 有 する。<br />

すなわち、 自 己 の 生 命 について 保 険 を 獲 得 する 被 保 険 者 (the insured)<br />

は、『 保 険 金 受 取 人 (beneficiary)』を 指 定 するうえで 完 全 なる 自 由 を<br />

本 質 的 に 享 受 している」という 15) 。さらに、 賭 博 契 約 として 生 命 保 険<br />

契 約 が 利 用 される 危 険 性 に 関 しても、「ある 者 が 自 己 の 生 命 について 保<br />

―30―

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