先使用権制度の円滑な利用に関する 調査研究報告書
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[1]先使用権 2 制度の概要<br />
1.英国における先使用権制度について 1<br />
1.条文、規則等<br />
[イギリス特許法第 64 条] (優先日前に開始された実施を継続する権利)<br />
(1) 特許がある発明に付与される場合、その発明の優先日以前に連合王国内で、<br />
(a) その特許が効力を有する場合にその侵害となるべき行為を善意で行う者、<br />
又は、<br />
(b) 当該行為を行うために現実的かつ相当な準備を善意でなす者は、<br />
特許が付与されるか否かにかかわらず、当該行為を継続して行い又は当該行為を<br />
行う権利を有する。ただし、この権利は、当該行為を行うライセンスを他者に与<br />
える権利を含むものではない。<br />
(2) 事業の過程において当該行為が行われ又はこれを行うための準備がなされ<br />
たときは、(1)で付与される権利を有する者は、<br />
(a) 当該事業における現在の自己のパートナーに当該行為を行う権能を与え<br />
ることができる。<br />
さらに、<br />
(b) 事業のうち、当該行為が行われた又はその準備がなされた部分を取得する<br />
者に対して、その権利を譲渡し、又は死亡あるいは法人の場合はその解散のとき<br />
に移転することができる。<br />
(3) (1)又は(2)で付与される権利の行使において他人に製品を処分する場合、当<br />
該他人及び当該他人を経由する権限を主張する者は、当該製品が特許権者によっ<br />
て処分される場合と同様の方法で当該製品を取り扱うことができる。<br />
2.立法趣旨<br />
イギリス特許法の原則として、特許が付与された場合でも、特許権者は第三者<br />
がその特許出願より前に行っている活動を妨げることができないとしている。<br />
この原則に基づき、旧法(1949 年法)においては、秘密であるか公然である<br />
かにかかわらず、すべての形式の先使用はその後出願された特許を無効にするこ<br />
とができることとされていた。<br />
現行法(1977 年法)では、公然の先使用については、新規性判断における先<br />
1 本資料は、英国法律事務所 Linklaters に調査を委託し、その調査レポート(平成 17 年及び平成 18 年)<br />
の情報及び見解を元に作成したものである。<br />
2 本資料においては、イギリス特許法第 64 条に規定する「優先日前に開始された実施を継続する権利」<br />
を「先使用権」と記す。<br />
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