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先使用権制度の円滑な利用に関する 調査研究報告書

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『第 64 条は、善意に侵害行為を実行する者又は当該行為を実行するた<br />

めの現実かつ相当な準備を行うかする者に対して法定実施権とも呼べる<br />

ものを与えている。ここで言及されている侵害行為は、1977 年特許法第<br />

60 条に定められており、そのような行為には発明が物である場合には、そ<br />

の物を製造し、処分し、その処分の申入れをし、使用及び輸入することが<br />

含まれる。発明が方法である場合には、侵害行為には、その方法を使用し、<br />

処分し、処分の申入れをし、その方法により製造された物を使用し又は輸<br />

入することが含まれる。<br />

第 64 条(2)は、法定実施権を「その行為」を引き続き実行するか又<br />

は実行する権利に限定している。その行為とは、その者が実行した行為又<br />

は実行するために行った現実かつ相当な準備のことである。従って、この<br />

権利は、実行された特定の侵害行為又は現実かつ相当な準備の対象となっ<br />

た特定の行為に限定される。このような結論は、ある者が善意に侵害品を<br />

輸入した場合について検討することにより説明することができる。この条<br />

文によって、この者は、引き続きその侵害品を輸入することができるが、<br />

その輸入がその侵害品を販売するために現実かつ相当な準備することに<br />

相当しない限りは、その侵害品を販売することはできない。<br />

第 64 条(1)は、侵害を構成する行為に関連するものであり、特定の物<br />

又は方法に関連するものではない。すでに述べたように、このような行為<br />

とは、第 60 条に定められている特許の適用を受ける行為のことである。<br />

従って、ある者が優先日以前に侵害行為を実行したことを条件として、そ<br />

の者は、物若しくは方法にある程度の相違がある場合であっても、当該行<br />

為を引き続き実行することができる。これについては、侵害方法を使用す<br />

る者について検討することにより説明することができる。<br />

この者がその方法を優先日以後に変更したという事実は問題ではない。こ<br />

の条文は、その行為、すなわち侵害方法を使用することは、侵害とはなら<br />

ないと定めている。』<br />

もう 1 つの事件は、Lubrizol Corporation v. Esso Petroleum Co. Ltd (No.<br />

1)(1992) R.P.C. 281 である。当時王室顧問弁護士であった Laddie 氏は、<br />

Helitune 事件についての私の判決を検討して次のように述べた(295 頁)。<br />

『Aldous 控訴院裁判官に深い尊敬の念を持ってはいるが、Helitune 判<br />

決が正しいかどうかについては若干の疑念があると言わざるを得ないと<br />

考える。被擬侵害者が第 64 条(2)に基づいて引き続き実行する権利を有<br />

する行為とは、優先日以前に行っていた行為である。その時点ではその行<br />

為は侵害行為ではなく、商業的行為であった。被擬侵害者が引き続き行う<br />

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