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先使用権制度の円滑な利用に関する 調査研究報告書

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関係する判例、学説は以下のとおりである。<br />

(判例)<br />

Helitune Ltd. 対 Stewart Hughes Ltd.事件[判例 2]は、「優先日の前に侵<br />

害行為を行っていた者は、当該行為を実行し続けることができる。たとえ製品又<br />

は方法がある程度異なっていても、当該行為を継続することができる。法は、製<br />

品を輸入し続けることを認めるが、もし輸入が製品を販売するための現実的かつ<br />

相当な準備に該当しないならば、製品を販売することは認めない。」と言及して<br />

いる。<br />

Lubrizol 対 Esso 事件[判例 3-2]判決では、その傍論で、特許法 64 条によ<br />

って継続できる「既存の商業活動」は、「現実的かつ相当な準備がなされた出願<br />

前の行為と実質的に同一な行為」と言及している。同判決では、さらに次のよう<br />

に言及している。「保護される行為が厳密に出願前の行為と同じでなければなら<br />

ないとすれば、特許法 64 条によって与えられる保護は無いに等しい。特許法 64<br />

条は、出願前に実質的に行っていたことを継続できる実用的な保護を与えること<br />

を趣旨とする。」<br />

また、Hadley Industries 事件[判例 4]の判決は、優先日前の実施形式と係<br />

争中の実施形式との間の主な変更点は、「単なる」変更ではなく、係争中の特許<br />

の教示との関係では、実質的かつ重大な変更であると判断した。<br />

先使用権が認められるためには、優先日前の実施形式と、係争中の実施形式と<br />

の間に明らかな繋がりがあること、つまり「因果関係」があることを証明しなけ<br />

ればならない。被告はこれを立証していなかったため、先使用権は認められなか<br />

った。<br />

さらに、Forticrete 対 Lafarge Roofing 事件[判例 5]の判決では、最も重要<br />

な条件は、係争中の被告の製品の生産と販売が、優先日以前に被告が実行した活<br />

動又は実行するために現実かつ相当な準備をしてきた活動と実質的に同じ活動<br />

であることを証明することである、と述べた。<br />

(学説)<br />

Terrell on the Law of Patents(第 15 版、237 頁、8.63 段落)では、自由に性質<br />

の変更を行う手段は、先使用権者に適切に与えられるべきであり、先使用権者は、<br />

実質的にその本質を変更し改良するようにではなく、製品か方法の本質に影響し<br />

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