先使用権制度の円滑な利用に関する 調査研究報告書
先使用権制度の円滑な利用に関する 調査研究報告書
先使用権制度の円滑な利用に関する 調査研究報告書
You also want an ePaper? Increase the reach of your titles
YUMPU automatically turns print PDFs into web optimized ePapers that Google loves.
1991 年 10 月 10 日) 7 。<br />
しかし、特許出願/実用新案出願を別の準備行為と組み合わせる場合には、こ<br />
のような全般的な準備行為は、特定の事例の事情により十分と判断されることが<br />
あるかもしれない。 8<br />
したがって、各事例について、それぞれの個別事情をかんがみて、検討しなけ<br />
ればならない。<br />
この問題について関係する判例は以下のとおりである。<br />
連邦通常裁判所 1963 年 5 月 21 日判決 Taxilian 事件[判例 12]<br />
侵害品である化学物質を用いての臨床治験は特許出願の優先日以後に初めて<br />
行われたことから、被告は優先日以前に本件物質の治療上有用な特性を知らなか<br />
ったため、先使用権が認められなかった。<br />
さらに、これ以外の本件物質に密接に関連する物質については、優先日前に治<br />
療上の特性は知っており、発明の占有があったが、この物質を用いての更なる試<br />
験は、最終的に当該発明の使用を開始するかの最終決定を下すための単なる準備<br />
措置に相当するとみなされ、先使用権が認められなかった。<br />
フランクフルト地方裁判所 1965 年 11 月 18 日判決、<br />
Elektrische Sicherungskörper 事件[判例 18]<br />
販売目的ではない幾つかの試験サンプルの手作業による製造は、ヒューズの大<br />
量生産を開始するための発明の有効な実施又は発明を実施するための十分な準<br />
備とはみなされなかったため、先使用権の申立ては認められなかった。<br />
7 同上<br />
8 G. Benkard, Patentgesetz, 10. Aufl. 2006, §12 Rn.12 を参照。<br />
-37-