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San Diego Yu Yu, June 1, 2018

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C<br />

24 SAN DIEGO YU-YU JUNE 1, <strong>2018</strong><br />

米 朝 首 脳 会 談 実 現 への 駆 け 引 きに 熱<br />

完 全 非 核 化 と 体 制 保 証 のディール<br />

史 上 初 の 米 朝 首 脳 会 談 を 前 に、 北 朝 鮮 が「 一 方 的 な 核 放 棄 強 要 」と 反 発 を 示 したが、トランプ 政 権 は 非 核 化 で 譲 歩 しない 姿 勢 を 示 す 構 えだ<br />

トランプ 大 統 領 が 5 月 17 日 、 北 朝 鮮 の<br />

非 核 化 の 見 返 りに 金 正 恩 ( キム・ジョンウ<br />

ン ) 朝 鮮 労 働 党 委 員 長 の 安 全 を 保 証 、 体<br />

制 転 覆 を 図 らないと 明 言 した。 北 朝 鮮 に<br />

とって 最 大 の 懸 念 を 取 り 除 き、 非 核 化 に 向<br />

け た 行 動 を 前 倒 しす る よう「 取 引 ( ディー<br />

ル )」を 迫 る 構 えだ。<br />

一 方 、 正 恩 氏 と 急 速 に 距 離 を 縮 め、 存<br />

在 感 を 高 める 中 国 の 習 近 平 国 家 主 席 に 苛<br />

( いら ) 立 ちも 見 せる。6 月 12 日 に 予 定 され<br />

ている 首 脳 会 談 が 迫 るなか、 米 朝 の 攻 防<br />

が 熱 を 帯 びる。<br />

■ 封 印 ■<br />

「 私 たちはリビアを 破 滅 させた。イラク<br />

でも 同 じことをした」。ホワイトハウスの 執<br />

務 室 でトランプ 氏 は 17 日 、リビアのカダ<br />

フィ 政 権 やイラクのフセイン 政 権 の 末 路 を<br />

語 りつつ、 正 恩 氏 には「 強 力 な 保 護 」を 与<br />

える 用 意 を 強 調 、 体 制 保 証 を 惜 しまない 姿<br />

勢 を 見 せた。<br />

大 統 領 の 懐 刀 ( ふところがたな )、ボル<br />

トン 大 統 領 補 佐 官 が 最 近 、 全 面 的 に 核 放<br />

棄 するまで 見 返 りを 与 えなかったリビアの<br />

例 に 言 及 したところ、 北 朝 鮮 は 猛 反 発 した。<br />

「リビア 方 式 」は 核 を 手 放 した 数 年 後 、 反<br />

体 制 デモと 欧 米 の 軍 事 介 入 で 権 力 の 座 を 追<br />

われ、 民 兵 に 殺 害 されたカダフィ 大 佐 の 運<br />

命 と 重 なる 不 吉 な 象 徴 と 映 っている。<br />

「 正 恩 氏 は 国 に 居 続 けるし、 国 家 運 営 を<br />

続 ける。 国 は 豊 かになるだろう」。トランプ<br />

氏 は 今 回 、 表 向 きリビア 方 式 を 封 印 。 体 制<br />

崩 壊 か 国 家 繁 栄 かの 二 者 択 一 を 迫 った。<br />

■ 行 動 ■<br />

「 北 朝 鮮 が ( 非 核 化 に 向 けて ) 何 を 前 倒<br />

しして、その 見 返 りに 何 が 受 け 入 れられる<br />

のかという 点 こそが、 米 朝 首 脳 会 談 に 向 け<br />

て の 協 議 事 項 だ 」。 ソ ーン トン 米 国 務 次 官<br />

補 代 行 は 15 日 、 東 京 都 内 で 開 かれたシン<br />

ポジウムで 水 面 下 の 米 朝 折 衝 の 一 端 を 明<br />

かした。<br />

ソーントン 氏 によると、 正 恩 氏 は 韓 国 政<br />

府 高 官 と 会 談 した 際 、 自 身 の 非 核 化 の 約<br />

束 を 証 明 するために 行 動 を 前 倒 しする 意 向<br />

を 伝 えたという。<br />

どういった 行 動 を 想 定 しているのかは 不<br />

明 だが、 外 交 筋 によると、 米 側 は 非 核 化<br />

への 意 思 を 明 確 に 示 す 措 置 として 北 朝 鮮<br />

に 核 兵 器 の 国 外 搬 出 を 要 求 。 日 本 政 府 当<br />

局 者 は「トランプ 氏 はどうにかして、11 月 の<br />

中 間 選 挙 までに 核 兵 器 引 き 渡 しの 第 1 弾 を<br />

実 現 しようとするだろう」と 語 る。<br />

しかし、 金 桂 冠 ( キム・ゲグァン ) 第 1 外<br />

務 次 官 は 16 日 、ボルトン 氏 を 名 指 しで 非 難 、<br />

首 脳 会 談 取 りやめを 示 唆 した。 強 気 の 揺 さ<br />

© Mike Trukhachev / Shutterstock.com<br />

6 月 12 日 に 非 核 化 をめぐる 米 朝 首 脳 会 談 が 行 われる 予 定 のシンガポール。<br />

北 朝 鮮 が 会 談 の 取 りやめを 警 告 したことで、 実 現 への 懐 疑 的 な 見 方 も …<br />

北 朝 鮮 は 5 月 16 日 に 開 催 予 定 だった 南 北 閣 僚 級 会 談 を 中 止 すると 表 明 。<br />

米 韓 両 軍 の 定 例 共 同 訓 練 「マックス・サンダー」を 中 止 の 理 由 としている<br />

ぶりの 背 景 には 、 後 ろ 盾 と な って い る 中 国<br />

の 姿 がのぞく。<br />

「 正 恩 氏 は 間 違 いなく 取 引 したがってい<br />

たが、 今 は 違 うのかもしれない」。トラン<br />

プ 氏 は 正 恩 氏 が 習 氏 と 今 月 上 旬 、4 月 の<br />

初 会 談 から 異 例 の 短 期 間 で 再 会 談 した 後 、<br />

北 朝 鮮 の 態 度 に 変 化 があったと 指 摘 し、<br />

習 氏 の “ 介 入 ” を 批 判 。 米 中 間 の 綱 引 きも<br />

露 骨 になってきた。<br />

■ 研 究 ■<br />

四 半 世 紀 もの 間 、 金 一 家 に 振 り 回 されて<br />

きた 米 国 だが「 正 恩 氏 は 父 親 の 故 金 正 日<br />

( キム・ジョンイル ) 氏 とは 違 う」( ソーント<br />

ン 氏 ) と 希 望 を 託 す 見 方 が 政 権 内 にある。<br />

北 朝 鮮 国 内 では 世 代 交 代 が 進 んでおり、<br />

欧 州 への 留 学 経 験 もある 若 い 指 導 者 の 決<br />

断 を 後 押 しするだろうとの 観 測 だ。<br />

一 方 、 疑 心 暗 鬼 の 北 朝 鮮 は、トランプ<br />

氏 の 扱 い 方 を 熱 心 に 研 究 しているようだ。<br />

ブレア 元 英 首 相 の 側 近 で、 頻 繁 に 平 壌 を 訪<br />

れているジョナサン・パウエル 氏 は、CN N<br />

テレビの 取 材 に 北 朝 鮮 当 局 者 がベストセ<br />

ラー『トランプ 自 伝 』( “TRUMP: THe Art<br />

of the Deal” ) や、 今 年 1 月 出 版 の 『 炎 と<br />

怒 り』( “Fire and Fury” ) を 読 み 込 んでい<br />

ると 説 明 。「 北 朝 鮮 は 昨 年 から、ずっと 明<br />

確 な 戦 略 を 持 っている」と 舌 を 巻 いた。■<br />

kyodo kyodo<br />

北 朝 鮮 、 南 北 会 談 「 中 止 」<br />

米 朝 会 談 取 りやめも 警 告<br />

北 朝 鮮 の 朝 鮮<br />

中 央 通 信 は 5 月<br />

1 6 日 、 米 韓 両 軍 の<br />

定 例 の 共 同 訓 練<br />

を 非 難 し、 同 日 開<br />

催 予 定 だった 南 北<br />

閣 僚 級 会 談 を 中<br />

止 すると 表 明 した。<br />

北 朝 鮮 の 金 桂 冠 第 1 外 務 次 官 は、 米 国 が 一 方<br />

的 な 核 放 棄 を 強 要 するなら 6 月 12 日 に 予 定 さ<br />

れる 米 朝 首 脳 会 談 に 応 じるか「 再 考 慮 せざる<br />

を 得 ない」との 談 話 を 発 表 、 首 脳 会 談 中 止 の<br />

可 能 性 をちらつかせて 牽 ( けん ) 制 した。<br />

北 朝 鮮 の 非 核 化 をめぐる 米 朝 交 渉 は 一 気<br />

に 緊 迫 した。サンダース 大 統 領 報 道 官 は16 日 、<br />

「 首 脳 会 談 開 催 にまだ 望 みはある。 厳 しい 交<br />

渉 への 準 備 もできている」と FOX ニュースで<br />

語 った。 会 談 が 開 かれなければ「 最 大 限 の 圧<br />

力 」 を 維 持 す る と も 述 べ た 。 ト ラン プ 政 権 は<br />

経 済 支 援 や 体 制 保 証 をちらつかせながら「 完<br />

全 な 非 核 化 」の 実 現 を 目 指 すが、 会 談 成 功<br />

への 懐 疑 的 な 見 方 が 強 まるのは 必 至 だ。<br />

韓 国 統 一 省 も16 日 未 明 、 北 朝 鮮 が 南 北 閣<br />

僚 級 会 談 の 無 期 延 期 を 通 知 してきたと 発 表 。<br />

同 省 は「 遺 憾 であり、 速 や かに 会 談 に 応 じる<br />

ことを 求 める」との 報 道 官 声 明 も 発 表 した。<br />

米 韓 両 軍 は 定 例 の 共 同 訓 練 「マックス・サ<br />

ンダー」を 11 日 に 開 始 。 北 朝 鮮 はこの 訓 練<br />

を 中 止 の 理 由 としているが、 北 朝 鮮 が 南 北 閣<br />

僚 級 会 談 の 開 催 を 通 知 してきたのは 15 日 で、<br />

既 に 共 同 訓 練 は 始 まっていた。<br />

韓 国 の 聯 合 ニュースは 16 日 、 軍 消 息 筋 の<br />

話 として、 共 同 訓 練 に 参 加 予 定 だった 米 軍 の<br />

B52 戦 略 爆 撃 機 が 参 加 を 見 送 る 方 針 だと 報 じ<br />

た。 北 朝 鮮 の 反 発 を 受 けた 措 置 とみられる。<br />

また、ウォールストリート・ジャーナル 紙<br />

( 電 子 版 は ) 18 日 、 米 政 府 当 局 者 の 話 として、<br />

韓 国 政 府 が 今 月 中 旬 、 米 軍 の B52 戦 略 爆 撃<br />

機 との 共 同 訓 練 「ブルー・ライトニング」への<br />

参 加 を 見 送 っていたと 報 じた。6 月 に 予 定 され<br />

る 米 朝 首 脳 会 談 を 前 に、 核 搭 載 可 能 な 爆 撃<br />

機 との 訓 練 が 北 朝 鮮 を 刺 激 し、 緊 張 が 高 まる<br />

のを 懸 念 したようだ。<br />

トランプ 政 権 は 北 朝 鮮 の 非 核 化 実 現 まで<br />

経 済 、 軍 事 両 面 で「 最 大 限 の 圧 力 」を 続 ける<br />

方 針 を 掲 げているが、 韓 国 の 不 参 加 は 圧 力 を<br />

弱 めかねないとの 懸 念 も 上 がりそうだ<br />

朝 鮮 中 央 通 信 は 4 月 の 南 北 首 脳 会 談 で 発<br />

表 した「 板 門 店 (パンムンジョム) 宣 言 」で、<br />

軍 事 的 緊 張 緩 和 へ 努 力 することで 合 意 したと<br />

指 摘 。 米 韓 訓 練 は「 宣 言 に 対 する 露 骨 な 挑 戦<br />

であり、 良 い 方 向 に 発 展 する 朝 鮮 半 島 情 勢 に<br />

逆 行 する 故 意 の 軍 事 挑 発 だ」と 非 難 した。<br />

北 朝 鮮 は 5 月 23 ~ 25 日 の 間 に 北 東 部 豊 渓<br />

里 (プンゲリ) の 核 実 験 場 を 廃 棄 すると 発 表 。<br />

同 通 信 はこの 問 題 については 触 れておらず、<br />

現 時 点 では 予 定 通 り 行 われるとみられる。<br />

* 資 料 : 共 同 通 信 社

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