近代日本における、ある異邦人の宿命 - subsite

近 代 日 本 における、ある 異 邦 人 の 宿 命 99
すくもある。そして、その 二 本 の 色 の 真 ん 中 を 通 り 抜 けるという 三 行 目 が、まる
でその 音 が 聞 こえてくるかと 思 えるほど、 意 外 にも 現 実 的 な 動 きを 想 像 させるの
である。 初 めの 二 つのスタンザは 想 像 の 世 界 で 収 まってしまうほど 軽 めな 内 容 だ
が、 三 つ 目 のスタンザに 誰 もが 日 常 的 に 感 じる 現 実 的 な 場 面 を 持 って 来 て 現 実 味
を 持 たせていることで、 四 つめのスタンザで 哲 学 的 なものを 語 っても 唐 突 な 感 じ
がせず、その 理 想 をすんなりと 受 け 入 れられるような 運 びになっている。 詩 と 愛
の 間 をバランスをもって 進 む、それがノグチが 目 指 す 方 向 性 なのだと、まるで
くっきりとその 路 が 見 えてくるようである。そして、ホイットマンのように、 逆
説 的 なものをカタログ 方 式 で 並 べながら、 絶 対 的 存 在 としての 自 己 を 表 現 してい
るようである。
このように、ノグチはホイットマンからの 詩 法 を 自 分 なりにアレンジしなが
ら、アーサー・ランサムも 認 めたように、 手 で 触 る 事 の 出 来 ないものや 描 写 でき
ないものを 通 して 理 想 的 な 現 実 を 表 わそうとした (78) 。また、それらの 表 現 が、
国 籍 を 越 えた 多 くの 人 の 心 に 響 いたものであることは、 海 外 でノグチについて 書
かれているランサムなどの 評 論 の 他 、エズラ・パウンドがノグチに 送 った 手 紙 に
ある、“Of your country I know almost noting – surely if the east & west are
over to understand each other that understanding must come slowly & come
first throught [sic.] the arts” (79) などに 明 らかである。
4.ヨネ・ノグチの 日 本 詩
次 に、ノグチの 日 本 詩 を 具 体 的 に 少 し 見 てみたい。ノグチが 残 した、791 本 に
上 ぼる 日 本 詩 は 多 くの 課 題 を 投 げかける。 例 えば、 当 時 の 日 本 詩 の 世 界 という 文
脈 に 置 いて、ノグチの 詩 がどのように 取 られるのが 相 応 しかったか、 当 時 の 日 本
の 詩 人 達 の 社 会 的 背 景 、また 当 時 の 英 米 文 壇 を 実 際 に 知 るノグチが 当 時 の 日 本 の
詩 人 たちに 齎 した 本 当 の 影 響 や、ノグチが 後 世 の( 例 えば2008 年 現 在 における)
詩 人 たちに 及 ぼした 影 響 、ノグチ 独 自 の 日 本 語 表 現 、 当 時 の 詩 人 達 との 細 かいや
り 取 りから 見 えるノグチが 感 じていたであろう 疎 外 度 や、 疎 外 されたからこそ 貢